2026年予算案の修正案では、暴動による損害を補償するため、保険契約に賦課金が導入されるという内容が盛り込まれています。
暴動ありきのこの賦課金には、現在のフランスの状況では、不思議ではないものの、賦課金を科す前に、暴動を起こさないようにすることは考えないのだろうか?と思ってしまいます。
政府が提出したこの修正案は、保険契約に暴動補償を義務付けることを提案しています。
この保証は、個人、企業、地方自治体など、あらゆる種類の保険契約に課税することで財源が賄われる仕組みになっています。
この賦課金は、テロや自然災害への保障のために既に存在するものと同様の補償基金に充てられることになります。
実際、現在、すべての住宅保険契約には、自然災害リスクとテロリスクに関連する賦課金が含まれています。
しかし、特に「保険会社が全国的にこのリスクの保障条件を厳格化し、最もリスクが高いと判断される地域での保証を撤回した」という、実際、事が起こった段階になって、「えっ??なんのための保険だった?」というような事態が発生していたことを挙げ、今回の「暴動リスク賦課金」の導入の必要性を説明しています。
フランスでは、デモは日常のことで、このデモが暴動に発展してしまうことも決して少なくなく、2年前に発生した大きな暴動では、総額10億ユーロの損害が発生しています。
暴動で破壊され、燃やされたりする建造物や車などを見るたびに、これ?誰が払うの?でも、保険に入っているんだろうな・・などと漠然と思ってはいたのですが、10億ユーロともなれば、保険で全てをカバーできるわけはなく、むしろ、保険会社の方としたら、どのように支払金額を軽減するか?と考えているのも頷けてしまいます。
また、この「暴動」の定義付けも不透明で、どこからどこまでが「暴動」であるか?ということも、きっちり境界線が引きにくいところでもあります。しかし、政府はこの改正案の中で、「暴動とは、暴力を伴う集団行動であり、公権力に対するもので、抗議を表明し、政治的もしくは社会的要求の充足を得ることを目的としている」とし、「暴動に起因する直接的な物質損害は被保険者が当該損害を防止するために講じた措置によって、発生を防止できなかった場合、または実施できなかった場合に暴動の影響と見なされる」と説明しています。
たしかに、最近は大きなデモが告知されたりした場合、店舗を閉店したり、ウィンドーにバリケードをはってガードしたりするのは珍しくないことになっています。
現時点では、この予算案が現在の形で成立する保証はありませんが、いずれにしても、放置できる問題でもないのかもしれません。
たしかなことは、この「暴動リスク賦課金」が導入されれば、個人であれ、法人であれ、すべての保険契約者は居住する自治体で暴動が発生したかどうかに関わらず、この賦課金を支払わなければならなくなるということです。
現在のところは、上院を通過しただけで、まだまだ議論が続きそうではありますが、これに反対する声も大きく上がっており、「国家は秩序を維持できないのに、私たちがその代償を支払うのか?」、「これは暴動にまで税金をかける、暴動税だ!」などなど・・。
まだまだ、議論は続きそうですが、いずれにしても、また増税です。
暴動リスク賦課金 暴動税
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