2022年4月28日木曜日

フランス人に花粉症が増えた

    

フランスの花粉マップ


 今年はやたらとなぜか、周囲で花粉症に悩まされている人の話を耳にするようになりました。以前は、フランスでは、こんなに花粉症の話を聞かなかったのになぁ・・と不思議に思っています。

 我が家は母方の親族はこぞってアレルギー体質で、私もしっかり、その体質を引き継いでいて、母も私も叔母たちも春先は特にクシャンクシャンとくしゃみが止まらず、ティッシュを手放せない状態が続き、酷い時には、もうこの時期は外に出られないとまで言い出す者までいたくらいでした。

 私が最初に海外に出たのは、イギリスで、イギリスには花粉症はないのか?と聞いたところ、当時はそれほどでもなく、その後のアフリカでは花粉以前の問題で、アレルギーも全くあらわれず、フランスに来てからは、もっぱら、花粉というよりは、埃とかハウスダストに悩まされることはあっても、花粉症には、それほど悩まされることはありませんでした。

 一方、かなり前に、いつもは夏に一時帰国していたものの、夏には、娘の学校の入学問題があって、夏には帰れない年があって、それなら、4月のお休みの際にと、4月に一時帰国したことがあって、その時は、私の花粉症の最悪の時期で、くしゃみや鼻水だけでなく、花粉症に起因して、喘息のような症状になり、呼吸も苦しくて、せっかくの一時帰国時に丸一日寝込んでしまうという苦しい思いをしたことがあって以来、もう春に日本に行くのはやめようと思ったくらいでした。

 しかし、今は亡き母が「花粉症などのアレルギーも年齢を重ねていくと、どうやら身体がアレルギーに対して大きく反応しなくなるらしく、自然とおさまっていくわよ・・」と言っていたとおりに、ここのところ、私はあまり花粉症に悩まされることはなくなってきました。

 今年もそんなことはすっかり忘れて、春に日本に一時帰国したというのに、花粉症の症状はまったく起こりませんでした。入国の際の書類や検査、そして、入国後の隔離問題などに直面して花粉症のことなど忘れていたくらいでした。

 ところが、パリに戻って以来、ここのところ、やたらと周囲に「花粉症だ・・」と嘆いている人が増えたことを意外に思っています。 

 今日、買い物に出かけて、レジで並んでいたら、近くにおしゃべり好き?なおじいさんがいて、別の女性に、「なんだ、おまえ、いつまでマスクなんかしてるんだ・・」と店内でマスクをしている人にケチをつけているのを見かけて、耳を傾けていたら、その女性は、「ここのところ、花粉症なのよ・・ほら・・」とマスクをずらして、真っ赤になった鼻を見せていました。

 「うわっ!マスクをしている人にイチャモンつけている人が出てきた!」と思ったと同時に、「はて、また、花粉症の人だ・・」とも思ったのです。

 その後、そのおじいさんは、「花粉症」というあまり聞きなれない話題になったことからか、それ以上、その女性のマスク着用に言及することはなく、自分は今は引退していて、かつてはずっとルノーで働いていて、1年前からガンを患っている・・などという身の上話を始め、マスクに対するイチャモンは、おしゃべり好きのおじいさんのほんの話のとっかかりであったことが判明し、ちょっとホッとしたと同時に、いつまでも喋り続けることに、ちょっとうんざり・・。

 しかし、もしも、これから、マスクをしていて、イチャモンをつけられたら、「花粉症なんで・・」というのは、ちょっとした逃げ道になるかな?とも思ったりしたのでした。

 そして、家に帰ってしばらくすると、近所に住む知人が、「ちょっとポニョ(我が家の猫)が喜ぶものがあるから、明日、行ってもいい?」という電話。電話口で、鼻声なので、「どうしたの? 風邪ひいた? まさかコロナ?」と聞いたら、「くしゃみや咳、鼻水が酷いので、医者に行ったら、花粉症だと言われた・・」「今までは、こんなことなかったのに、まったく、歳をとると、いろいろ、生きにくくなるよ・・」と・・。

 またまた出た出た花粉症・・今年はなんで、こんなに花粉症が多いのか? さっそく、フランスの花粉症の状況について、調べてみると、どうやらフランスの花粉症は、白樺と樫の花粉だそうで、日本でよく聞くスギ花粉ではありません。

 しかし、この花粉症がどうやら、フランスではあまり長い歴史を持つものではないな・・と思ったのは、その記事のトップに「花粉症対策として、マスクは有効か?」とあったことで、いくらマスク文化がなかった国とはいえ、花粉症といえば、マスクは定番のアイテムで、日本人からしたら、今さら・・と思うことを堂々と書いてあるのです。

 しまいには、アレルギーの専門医まで出てきて、「マスクをすることであまり苦しまないで済みます、マスクをすると、くしゃみやのどの痛みが軽減されます。マスクには明らかに鼻と口を守る効果があるのです」などと、書かれているのです。

 明らかに日本だったら、もはや公然の事実である誰でも知っている情報に花粉症初心者感が満載です。

 そして、この時期、日本では定番だった(今でもあるんだと思うけど)花粉症マップなるものまで登場しています。

 これまで、そこまで騒いでいなかった花粉症がこんなに増えているとは・・昨年、一昨年は、幸か不幸かコロナのために、ほとんどの人がマスクをしていたために、花粉症が避けられていたのかもしれませんが、「ここ数年の気候変動で、フランスでも一気に花粉が増えたのかな?」などと思っています。

 どちらにしても、コロナ以外でもマスクが有効なことが広まってくれれば、少しはマスクに対する嫌悪感が減ってくれるのではないか?とちょっと、違った期待をしています。


フランスの花粉症


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2022年4月27日水曜日

大統領選挙フィーバーで見たノーマスクにビズーのフランスの日常の復活

   


 日曜日の大統領選挙の結果は、今後5年間のフランスの将来のかかった重大なもので、十分に注目すべきことでしたが、この盛り上がりぶりを見て、私には少なからず気に掛かることがありました。

 それは、マクロン大統領の当選が決まって、エッフェル塔近くのシャン・ド・マルスに約3,000人ほどが集まった集会の模様でした。屋外とはいえ、これだけの人が集まり、歓喜の声を上げる中、誰もマスクをしていない・・。

 マクロン大統領当選の晴れやかな場面でのマスクは興ざめであることに違いはありませんが、マスクどころか、フランスでは、かつては日常の挨拶であったビズー(頬と頬を交互に合わせての挨拶)もすっかり復活していて、マクロン大統領を迎え待つ人々に夫妻ともどもビズーをしながら挨拶を交わしていたのには、少々、ギョッとさせられたのです。

 フランスからマスクが消えた・・ビズーも復活した・・と。

 パリの街中を歩いていれば、気候がよくなったこともあり、屋外でマスクをしている人は、ほぼ見られなくなりました。

 ここ数週間の大統領選挙活動を見ても、マスク姿の人はほぼ見当たらず、握手をしたり、肩を抱いて写真を撮ったりと、まるでパンデミックの影は消え去ったかのようでした。

 マスク嫌いのフランス人の中で、マスクをしての選挙活動はマイナスイメージであるのかもしれませんが、ついこの間、日本に行ったばかりの私にとっては、これはかなりの温度差を感じるものです。

 日本では、本当にどこへ行っても、屋外でさえも、みんながマスクをしていることに逆にビックリしたくらいで、人のいない道だから、ちょっとぐらいはいいだろう・・と、マスクをずらしていたら、どこからか人が出てきて、マスクをずらしているのをスゴい怖い顔で睨まれたりして、「うわっ!!厳しい!日本人!」と身を縮めたくらいだったので、フランスに戻ってからの、フランスのこの緩い様子にどこかホッとすると同時に、「やっぱり、ちょっと怖いな・・」とも思うのです。

 さすがにパリでも、バスやメトロの中などは皆、一応マスクはしているので、マスクが全く消滅したのではないんだな・・と逆にホッとするのですが、どうにも不安がつきまとうのは、私の日本人っぽいところなのでしょうか?

 こうなってくると、逆にいつまでもマスクをしていることに、そのうち日本とは逆の同調圧力がかかってくるのではないか?と思いつつも、感染者数は若干減少しつつあるとはいえ、しっかり「感染してしまった!」などという人々の話も聞くので、やっぱり、個人的にはマスクはまだまだ外せないのです。

 もはや、フランスでの感染者数については、ウクライナ戦争と大統領選挙の報道でかき消されているのかと思いきや、ゼロコロナを目指して躍起になって、感染者を隔離したり、ロックダウンをしたりしている上海を狂気的な出来事として報道したりしているところを見ると、コロナウィルス感染に全く関心がないというわけでもないのでしょうが、これは、どちらかといえば、感染云々よりもこの上海の威圧的なやり方についてを取り上げている感じではあります。

 4月上旬からいったん、フランスも感染者が上昇して、これはまたヤバいかも・・と日本から見ていたものの現在は、若干減少傾向にはあるものの、日によってかなり差があり、先週1週間の1日の感染者数の平均は5万人前後、集中治療室の患者数は若干ではありますが、増加しています。

 フランスがすでに日常生活を取り戻すことを優先にして、感染対策に目くじらを立てることは放棄したことは明白ですが、この同じウィルスに対する対応の違いには、なかなか戸惑いを感じるところです。

 現在のところ、私個人としては、人の多いところでは屋外でもマスクは外せません。まあ、もともと人の多い場所は好きではないので、ほとんど行かないのですが・・。


ノーマスク ビズー復活


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2022年4月26日火曜日

マクロン大統領再選の世界の反応と投票結果の分析

   



 マクロン大統領が再選されて、正直、ホッとしています。現在のこの世界情勢で極右政権に傾くことは、外国人として生活している在仏邦人としては、穏やかならないものがあります。

 また、ロシアによる侵攻から始まったウクライナ戦争が一向に終息の兆しが見えない中、ヨーロッパが結束を強めなければならない中、その中心になって動き始めていたマクロン大統領の存在は、ヨーロッパ全体としても非常に重要な存在であり、もしもマクロン大統領が失脚すれば、ヨーロッパとしての結束が揺らぐ可能性もあり、ロシアに対しても、つけ込む隙を与えかねないことになりかねない結果に陥る危険を孕んでいたと思います。

 大統領選挙に向けて、服装から発言まで、ソフト路線に切り替えていたマリン・ルペン氏も、その根本に持つ思想については、疑問が多く、ロシアとの金銭的な繋がりなども指摘されていたこともあり、私個人の意見ではありますが、そのソフト路線が仮面のように見えてしまっていました。

 実際に大統領選挙直前にドイツ・スペイン・ポルトガルの首脳が内政干渉とも言える異例の声明を発表し、マクロン指示を表明したことや、ウクライナのゼレンスキー首相が「マクロン大統領との良好な関係を失いたくない」と発言したり、周囲の国々からもマクロン大統領を支持する声が上がっていました。

 マクロン大統領が満点であるとも思えませんし、実際にマクロン大統領に投票した人のうちの42%は、マクロン大統領に投票したのは、とりあえず、マリン・ルペン氏を阻止するために投票したという数字も出てきています。

 年齢層や地域によってもかなり大きく意見が分かれているようで、高齢者と若者には、比較的マクロンを支持するものが多いとか、中間の労働者層にはルペン支持がおおいなど、どちらに投票したかという分析がなされていて、自分の住む地域や周囲の人々がどんな意見を持っている人なのか? この大統領選挙は、そんなことを再確認する機会でもあったかもしれません。

 しかし、ともかくも、フランス国内の状況だけでなく、世界との関係性においては、やはりマクロン大統領でよかったと思っています。

 そんな世界の期待どおり、マクロン大統領は「我々は警戒を怠らず、ヨーロッパとして、同盟国として団結し、非欧州の地域大国を含むすべての大国と対話を続け、国連内で、ロシアに対して明確なメッセージを送るべきだと思う」と強調し、「しかし、同時にエスカレートしてはならない」と語りました。

 「我々は停戦と平和のための努力を続けているが、特にロシア側のいかなるエスカレーションの試みにも屈することがあってはならない。」、ウクライナ・ブチャでの大量虐殺の痕跡と見られる映像が世界中に流れて以来、プーチン大統領との連絡が途絶えている中、早ければ今週中にも彼に電話する機会があるだろう」と語っています。



 マクロン大統領再選に際して、EU・欧州連合をはじめとして、ドイツ、イギリス、アイルランド、スペイン、カナダ、ウクライナ、アメリカ、日本、オーストラリア、ニジェール等世界各国の首脳が祝辞を発表していますが、ロシアのプーチン大統領もマクロン大統領再選に際しての祝辞を発表。

 プーチン大統領からは、「公務の成功とご健康を心よりお祈り申し上げます」というメッセージ。この戦渦の禍中の人として、このような他国の大統領選挙当選に祝辞を贈るような、常識的?なことを臆面もなくやるのも驚きですが、今、彼に健康を祈られるほど不気味な空恐ろしさを感じるものもありません。

 どちらにしても、これは、一応、ロシア国内へのポーズをとっているものではないかと思われますが、これをマクロン大統領がどのような顔をして見ているのかは、想像に難くないところですが、これまでさんざんプーチン大統領と会談を重ねてきたマクロン大統領にとっては今さら何の感情も動かないことかもしれません。

 いずれにしても、パンデミックも戦争も終息していない中、マクロン大統領の仕事は、これらを終息させることを中心に始まると思われますが、とりあえずは、自分の政策を進めるための組閣人事にとりかかる模様です。

 再選が決まったばかりで気の早い話ではありますが、2008年の憲法改正以来、フランスの大統領は2期以上連続して就任することはできなくなっていますが、1期スキップした10年後には出馬することは可能などという話も出始めています。

 彼は現在44歳、10年後でも54歳です。彼がそんなに何回も大統領の座に就くことが良いかどうかは別として、とにかく若いんだな・・とあらためて感心しているところです。

 蛇足ですが、日本の首相としては54歳でも若い方だよな・・と思って調べたら、伊藤博文は44歳で首相になっていました。


マクロン大統領再選 フランス大統領選挙


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2022年4月25日月曜日

マクロン大統領 再選 数年ぶりの満面の笑み

 


 ウクライナでの戦争勃発のために、いつもよりも選挙期間が短く感じられたフランスの大統領選挙でした。

 マクロン大統領が前回の大統領選挙に当選して、大統領に就任して以来、本当にこれでもかというほどの災難続きの5年間でした。黄色いベスト運動による激しいデモや暴動は長い間続き、その後もテロ、そして、パンデミック、さらにロシア侵攻によるウクライナ戦争と人の一生にこんなことが何度も起こり得るのか?というような出来事が立て続けに起こりました。

 今年はフランスの大統領選挙という年の初めは、1月にはフランスでは爆発的な感染の増加を記録し、若干、それが下がり始めたと思ったら、今度はロシアとウクライナの戦争の危機。

 マクロン大統領は、この大統領選挙の選挙戦の予定をこのために大幅に変更せざるを得なくなり、立候補は確実とされながらも公示直前まで立候補を表明しないままに選挙戦が開始されました。

 しかし、結果的には、ウクライナ戦争の悲惨な戦況のために、選挙に関する報道は大幅にカットされ、ほぼほぼ直前までは、選挙報道は通常よりもずっと抑えられ、その間、ロシア・ウクライナ双方の間に立ち、電話会談等を続けてきたマクロン大統領の活躍が前面に表れている時期も少なからずありました。

 

大統領選挙投票用紙

 マクロン大統領は立候補の公示を表明する前から、本命と言われてはきましたが、一時は、対立候補の極右マリン・ルペン氏が追い上げを見せ、最後まで結果はわからないと言われてきました。

 フランスの大統領選挙当日は、日本のような出口調査の結果は公表されず、投票時間である8時から19時(都市によっては20時)までで、その間に投票状況が公表されることはありません。

 そして、いきなり結果が発表されるのが、20時で、19時まで、あるいは20時まで投票が続いている段階で、どのように集計しているのかはわかりませんが、20時の段階で、各局が同時にマクロン58.40%、マリン・ルペン41.60%と公表し、マクロン大統領の再選を発表しました。

 ここ2ヶ月間ほどは、ほぼウクライナ戦争に偏った報道でしたが、この日ばかりは選挙一色の報道。

 結果が発表される数時間前から、マクロン大統領の支持者はエッフェル塔近くのシャン・ド・マルス広場に用意されている巨大スクリーンと舞台を見守り、結果発表とともに大歓声が上がりました。

 マクロン大統領がシャン・ド・マルスに登場したのは、21時30分頃、満面の笑みを浮かべて第九のBGMとともに、夫人と手を繋いで周囲を一般市民と見られる子供や若者たちとともに歩き、その後、夫人と2人で登壇しました。

 壇上に上がったマクロン大統領は、本当に数年ぶりに見る晴れやかな笑顔で、「Merci !」(ありがとう)という一言で挨拶を始めました。ここ数年、厳しい表情ばかりだったマクロン大統領の真の笑顔を久しぶりに見た気がしました。

 彼は、「5年間の変遷を経て、幸せな時と困難な時、そして例外的な危機も。2022年4月24日の今日、我々の大多数は、今後5年間の我々の共和国を統率するために、私を信頼することを選択してくれました」

「より独立したフランス、より強いヨーロッパ、そして投資と深い変革を通じて、私に信頼を寄せてくれたすべてのフランス人男性、女性に感謝したいと思います」

「また、今日、多くの人々が私に投票してくれたのは、私が掲げる考えを支持するためではなく、極右を阻止するためであることも知っています。そして、この投票が今後何年にもわたって私に義務を課すものであることを自覚していることを、ここで伝えたいと思います。私は、彼らの義務感、共和国への愛着、そしてここ数週間で表明された相違への敬意を守る者です」と述べました。

 このフランスの大統領選挙の模様を見るにつけ、摩擦は多々、起こるものの、国民が直接参加して、盛り立てていく様子が民主的な感じで、なんだか羨ましい気がするのでした。

 マクロン大統領はこの結果により、これまでの5年間プラスさらに今後、5年間フランスの大統領を継続することになります。フランスの大統領は、2期までと決められていますから、最大の10年間のマクロン政権が続くことになります。

 ウクライナ戦争も続いている現在、これからも険しい道が続きますが、2年後には、パリオリンピックなどの華やかな行事も控えています。これからの5年間がさまざまな面で上向きになってくれますように・・。

 そして、その次の大統領選挙には、彼はもう出馬できないわけですから、彼にはこの5年間の間に後継者を育てるという課題が追加されています。


マクロン大統領再選 フランス大統領選挙結果


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2022年4月24日日曜日

国民健康保険カードCarte Vitalを利用した詐欺と日本のオレオレ詐欺

  


 最近、フランスでは、IT化が進み、これまで、いちいち出向かなけれなならなかった用事が携帯やネットで済むようになってきています。そんな中、ここ数ヶ月の間にSMSを使った通称カートヴィタル(Carte Vitale)国民健康保険カードの詐欺被害が発生しているようです。

 フランス国民及び、フランスに在住する者は、この国民健康保険に加入していますが、この国民健康保険には、緑色のICチップ入りのカードが使用されており、そのカードによって医療は管理されており、ある意味、命綱とも言える大切な存在です。

 医者にかかる時、医者が処方してくれる処方箋による薬をもらいに行く時など、また、今回のパンデミックなどでは、PCR検査を受ける時などもこのカードが活躍しました。

 また、このカードにより、かなり個人個人の健康に関するデータが把握されており、既往症や病歴や年齢などに応じて、必要な予防接種や検査などのオファーが届いたりもしています。

 しかし、このカード、定期的に更新手続きが必要で、時々、その更新手続きをするようにという通知が届きます。更新手続きといっても、薬局などにおかれている専用の機械でチャージするだけで完了するごくごく簡単なものです。もちろん無料です。

 ところが、最近、このカードの更新手続きを装った詐欺が多数発生しており、現在フランスで2番目に多い詐欺なのだそうです。その手口は、契約者の携帯電話に、カードの更新や更新を促すメッセージが届き、リンクをクリックすると、「国民健康保険」のサイトとよく似たサイトが表示されます。そして、新しいカートヴィタルを送るために、住所を聞かれるのです。

 しかし、それを受け取るためには、数ユーロを支払わなければならない。その後、詐欺師は「支払いはお客様のクレジットカードで支払うことができます」と誘いかけます。詐欺師は84セントを支払うようにという話でしたが、数百ユーロが引き落とされるという被害が続出しているようです。

 中には、なかなか巧妙な手口を使う場合もあり、詐欺師は、被害者に銀行員のふりをして電話をかけてきて、「あなたは、こんなところに住んでいて、こんな銀行のカードを持っている、こんな人です」と自分を信用させるための情報をすでに持っていて、さらには、銀行カードの不正利用を逆に彼ら自身から伝えることで、被害者を安心させようとするようです。

 SMSと電話を巧みに利用する新手の詐欺です。フランスにお住まいの方は、くれぐれもご注意を! 健康保険がメッセージでカートヴィタルの更新を依頼することはなく、カードの更新は薬局で完全に無料で行われるもので、決してネット上で行われるものではありません。

 その他、フランスでは、最近、荷物の受け取りに関するSMS上での詐欺を目にしたことがありますが、私の場合、荷物を受け取る予定はなかったために「ん??」と不審に思ったので、調べてみると案の定詐欺であるということがわかりました。

 不審に思ったら、その文面をそのままコビーしてググれば、詐欺被害の情報が出ていますので、調べてみた方がよいかもしれません。

 そういえば、先日、日本に一時帰国していた際に、私は初めて自宅の電話で「オレオレ詐欺」らしき電話を初めて経験しました。日本のオレオレ詐欺は、ずいぶん昔から聞いたことはあったのですが、実際にその電話に出たのは初めてでした。

 電話に出ると、若い男性の声で、「あ〜俺・・」、家の固定電話ですから、勧誘などの電話以外は、だいたい知っている人からしかかかってきません。たまたま弟と連絡をとらなければならない要件があった私は、一瞬、弟だと思い、「あ〜○○!」と弟の名前を言いました。

 しかし、どうも、声が少し若いようで、いや、でも国際電話(弟は海外にいる)だからなのかな?と一瞬思ったものの、どうにもおかしい・・「え〜ほんとにあなたなの?」というと、「そうだよ・・」と、「今、どこにいるの?」「仕事中だよ」「仕事中ってどこよ?」ここまで言って、相手が適当な日本の地名を言えば、絶対に違うことがわかると思ったのです。

 そこまで来て、相手はそれには答えずに「やだな〜疑ってるの?」とばかり、繰り返すだけ・・これが本当に弟ならば、疑ってるの?などとは言いません。結局、相手は要件を伝えないままに諦めたようで、電話は切ってしまいましたが、「オレオレ詐欺ってほんとにオレオレって言うんだな・・」などと思ったものの、若い人がこんなことを昼日中に必死にやっていることが情けなくて、とても嫌な気持ちになりました。

 しかし、これほど有名な詐欺も、もう私が海外に出る前からあった話ということは、もう20年以上も前からあったこと。凝りもせず、こんなことが続いているということは、それなりに騙されている人がいるということです。

 最近は、日本のATMにも、そのような被害に気をつけてくださいなどという張り紙もあり、少しまとまった金額の現金を窓口でおろそうとすると用途などもうるさく聞かれると叔母などが嘆いていました。

 フランスの場合も日本の場合も少しの隙をついて、騙そうと企む人は後を絶たないようです。見慣れないものを見かけたら、まず疑ってかかることが、必要なのかもしれません。


Carte Vital 詐欺 オレオレ詐欺


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2022年4月23日土曜日

フランス司法当局 カルロス・ゴーンに国際逮捕状発行

   


 夜、テレビをつけたら、カルロス・ゴーンがインタビューに答えているところでした。

 ウクライナでの戦争開始以来、ニュースの大半は戦争関連の話題に切り替わり、一時は大統領選挙さえも、一掃されていました。さすがに現在は、大統領選挙が目前に迫ってきて、選挙関連の報道が増えましたが、まさか、このタイミングでカルロス・ゴーンが登場するとは思ってもみませんでした。

 彼が日本から逃亡したのは、2019年の年末のこと。当時は、思いもよらない逃亡劇にフランスでも盛んに報道され、年明け早々にレバノン到着後に彼が世界中のマスコミを集めて行った記者会見なども生放送で報道され、ドキュメンタリー番組まで作られていました。

 当時は、フランス人の知人から、「日本、逃げられてやんの・・」みたいな嘲笑を受けたりしてムッとすることもありましたが、その後、まもなく起こったパンデミックにより、彼についてのニュースもすっかり影を潜めていました。

 この間、一度、彼のフランスの税務当局が彼のフランスでの資産を差し押さえたというニュースが流れたこともありましたが、当の本人はレバノンにいるままで、話題がそれ以上、盛り上がることもなく、すっかり忘れていました。

 それが、ここへきて、このウクライナ戦争と大統領選挙の間に、「フランス司法当局がカルロス・ゴーンに国際逮捕状を発行した」というニュース。

 フランス司法当局の判事は、すでに2度、ベイルートを訪問し、カルロス・ゴーンの尋問を5日間にわたって行っていました。しかし、その内容が報道されることはなく、彼がレバノンにいる限り、如何ともし難い状態なのだと思っていました。

 これまで、フランス司法当局には、レバノン当局にカルロス・ゴーン氏への「告発通知」(フランスでは起訴に相当)を求めるか、あるいは逮捕状を発行するかという選択肢があると言われてきました。 司法関係者によると、最終的に裁判官たちが保持したのは、より「法的安全性」が高いと判断したこの第2の選択肢であったと言われています。

 今回、フランス司法が発行した逮捕状は、企業資産の乱用とマネーロンダリングに関する容疑で、RNBVとオマーンにおけるルノーの販売代理店であるスハイル・バフワン・オートモービルズ(SBA)との間で、1500万ユーロに及ぶ不審な支払いについての容疑を中心とした逮捕状5件とされています。

 カルロス・ゴーンは、すでに日本からの要請でインターポールの逮捕状の対象となっていますが、2018年11月に東京で逮捕された彼は、「不正から逃れたい」と逃亡を正当化し、日本当局の「陰謀」を糾弾していました。

 そして、その時点で彼は、フランスの司法制度を信頼していると繰り返し述べていました。

 昨日のフランスのテレビ局のインタビューで、カルロス・ゴーンは「容疑に関して、全て説明できる用意はできている。いつか、フランスに戻れる日が来ると信じている」と語っています。

 しかし、現実には、このような令状が発行されても、第三国の当局にそれを執行する義務はなく、さらに、レバノンはフランスと同様、自国民の身柄を引き渡さない。具体的には、レバノン当局にはカルロス・ゴーン氏をフランスに引き渡す義務はない、ということです。彼はレバノン国籍とともにフランス国籍(同時にブラジル国籍)も持っているので、フランスとしても自国民の身柄を要求することはできないのだろうか?とも思います。

 68歳の彼は普通の人間ならば、引退する年齢ではありますが、今年、2月の段階では、ベイルートにおける仏紙Le Parisienの独占インタビューで、自分のイメージを「再確立」する決意を述べ、「これまで私が何をしてきたか、私が誰であるかについての意見を操作する試みがあまりにも多かったので、自分のイメージを再確立することが重要だと思う」と語り、まだまだ復活する心積りでいたと思われます。

 彼が本当に、全てを説明できる準備ができていて、フランスの司法を信頼しているのであれば、堂々とフランスに出頭すれば良いはずなのですが、彼の算段としては、おそらく、自分のイメージを再確立して、ある程度の世論を味方につけてからというものであったかもしれませんが、現在の世界の状況は、戦争にかき消されて彼の発言などに注目は集まりません。

 パンデミックのために彼の罪は世間からは、忘れ去られようとしていましたが、その後、ウクライナ戦争という大事件が起こっても、フランス司法当局は、決して忘れていないどころか、着々と次の段階への準備を続けてきていたのです。

 もともと日本で逮捕されたカルロス・ゴーンではありますが、日産とルノーという日本とフランス両国に関わる人物であっただけにフランスとて黙っているわけはありません。

 お役所仕事は何かと滞るフランスも税務署、財務司法となると他とはわけが違います。先日もロシアのオリガルヒの資産凍結をあっという間に行ったばかり・・日本が取り逃したカルロスゴーンを今度はフランスがとことん追求してもらいたいものです。

 

カルロスゴーン国際逮捕状


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2022年4月22日金曜日

ドイツ・ポルトガル・スペイン首脳が異例の声明発表 フランス大統領選挙はもはやフランスだけの問題に留まらない

  


 フランス大統領選挙目前の最終候補2人の直接対決の討論会の翌日、ドイツ・ポルトガル・スペインの首脳が仏ル・モンド紙面で、フランス大統領選挙に際して「民主的な候補」の選択を求める声明を発表しました。

 ドイツのオラフ・ショルツ、スペインとポルトガルのペドロ・サンチェスとアントニオ・コスタの政府首脳は木曜日にル・モンド紙に掲載した記事で、フランス大統領選挙の第2ラウンドで、名前は出してはいないものの、エマニュエル・マクロンへ投票を行うよう暗に呼びかけています。 

 同紙によると、彼らは「フランス国民が直面している選択は、フランスと欧州のすべての人々にとって極めて重要である」「ヨーロッパ共通の価値を守ることができる主導者が必要である」と述べています。

(以下 声明内容)

 「ヨーロッパは時代の転換期を迎えています。歴史を塗り替えようと、ウラジーミル・プーチンはウクライナとその国民に残忍な攻撃を開始しました。マリウポリ、ブチャ、クラマトルスクの映像は、ヨーロッパの最も暗い時代を思い起こさせます。しかし、プーチンの侵略はさらに進んでいます。彼は、欧州の平和秩序の最も基本的なルールを破りました。血塗られた過去に何度も行ってきたように、力による国境線の引き直しを行わせないためにヨーロッパ全体の連帯が必要な時です。この戦争は、フランスと私たちの国が守る価値観、すなわち民主主義、主権、自由、法の支配の秩序を揺るがすものです。」

 「我々の国も同様にポピュリストや極右の政治家は、現在は、ロシアから距離を置こうとしているような姿勢を見せてはいても、彼らの基本的な姿勢はプーチンを思想的・政治的モデルとしており、彼の民族主義的主張に共鳴する部分を持っていることを忘れてはなりません」

 極右(マリン・ルペン候補)は過去にクリミア半島の併合を容認しており、現在はロシア侵攻を非難している立場をとってはいるものの、この3首脳は、「今、彼女がロシアから距離を置こうとする姿勢をみせていても、過去の発言を決して忘れてはいけない」と警告しています。

 「これらの要素を考慮すると、フランス大統領選挙の第2ラウンドは、私たちにとって、他の選挙とは異なるものです。フランス国民が直面している選択は、フランスと欧州のすべての人々にとって極めて重要です。強力で自立した欧州連合(EU)においてフランスはより強くなると信じる民主的な候補者と、フランス啓蒙主義から直接もたらされた基本的価値である自由と民主主義を攻撃する人々の側に公然と立つ極右の候補者の間の選択です」

 「フランスは欧州プロジェクトの中核を担う国であり、民主主義の旗手となり、常にリーダーシップを発揮してきました。近年のパンデミックにおいて、さらに強化されたヨーロッパ全体の連帯は、現在、ロシアのような権威主義的な国の侵攻を許さないために、国家主権を制限することなく、各国が繁栄し、さらに強力な統一が求められている重大な局面にあります」

 「我々は、フランスを必要としています。我々の共通の民主的な共通の価値を守るフランスは、我々が自らを認める欧州において、自由で世界に開かれ、主権があり、強く、同時に寛大な国です」とし、「フランス国民がこのヨーロッパ共通の価値を守る選択をしてくれることを望んでいます」と締めくくっています。

 EU(欧州連合)加盟国の首脳が他国の内政に干渉するような声明を発表することは、極めて異例なことで、現在、ロシアのウクライナ侵攻により、ヨーロッパ全体が極めて重大な局面に置かれているかということが、フランスの大統領選挙を目前にして、3国の首脳が他国の大統領選挙に口を出すという声明発表に現れています。

 現在、フランスはEUの議長国でもあり、それがもしも、極右の大統領が取って代わるとなれば、ヨーロッパ全体の連帯が揺らいでしまうことに繋がりかねないと彼らは非常に懸念しているのです。

 今回のウクライナ戦争に際しても、プーチン大統領ともゼレンスキー大統領とも頻繁に連絡を取り続けてきたマクロン大統領に対して、ゼレンスキー大統領は、一昨日行われた仏BFMTVのインタビューで、「マクロン氏とルペン氏のどちらの大統領を望みますか?」という質問に対して、これは私が決めることではないと苦笑いしながらも「マクロン大統領との良好な関係を失いたくない」と答えています。

 どうやら、海外においては、決して他人事としては、捨ておけず、マクロン大統領を望む声が多い様子のこの大統領選挙。

 フランス国民はどんな選択をするのでしょうか?

 選挙権がないことをこれほど残念に思うのは、初めてです。


ドイツ・ポルトガル・スペイン3国首脳 フランス大統領選挙


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