2022年8月7日日曜日

英語で話すかフランス語で話すか? フランス人もずいぶん英語を話してくれるようになった!

  


 今、夏のバカンスシーズン真っ只中で、多くの人がバカンスにでかけているようで、うちのアパートの住民もかなりの割合で留守らしいのは、ガランとした駐車場を見れば明白です。今朝も、エレベーターの前でいくつものスーツケースを転がしながら出てきた家族連れがいて、小さい子供を連れて大変そうだな・・と思いながら、「ボン・ヴォヤージュ!ボン・ヴァカンス!」と言ったら、すごく嬉しそうに満面の笑顔で「メルシー!」と言って出かけていきました。

 そんなわけで、パリの街はいつもよりは空いている感じなので、私はむしろ、人が減ったこの時期のパリが好きで、夏に旅行に出かけることはほとんどありません。 

 娘が小さい頃には、子供のバカンスの時期に合わせて日本に行ったりしていたこともありましたが、今ではその必要もなく、チケットもホテルも高くて、しかもどこに行っても混雑しているこの季節、逆に人が少なくなっているパリを離れる気にはなりません。

 しかし、その代わりと言ったら、なんですが、パリにはすっかり観光客が戻ってきて、桁違いの肥満体型の人を見かけたり、フランス語以外の言語が聞こえてきたりするので、パリの住民はバカンスでパリを留守にしても、バカンスでパリに観光にきている人もいるので、観光地となり得るような場所では、わりと人がいます。

 我が家の近くにあるホテルなども、ここ数年のパンデミックのために、ずっとガラガラ状態が続いていて、「大丈夫なのかな?このホテル・・」と心配していましたが、どうやら、ぼちぼちお客さんが戻って来ているようで、近くのバス停などには、観光客らしい人でいっぱいだったりするので、「なんだか、こんなの久しぶりだな・・」と思いながら、見ています。

 考えてみれば、もう少し、踏ん張っていれば、2年後にはパリオリンピックが控えているわけで、パリ市内、パリ近郊のホテルなどは、軒並み満室になるだろうし、そんなこともあって、ちょこちょこ改装などをしつつ、頑張っているのだと思います。

 そんなこともあってか、普段、パリにいて、特にここ数年は英語で話しかけられることなどなかったのに、ここのところ、観光客が増えたせいか、英語で話しかけられることが増えてきました。日常の買い物の際などはさすがにフランス語だけですが、ちょっと贅沢なお店や食料品などのお店、デパートに行ったりすると、アジア人の顔をしているせいか、観光客だと思って、気を遣ってくれているのか?お店の人が英語で話してくれたりすることがあって、逆にちょっと戸惑ってしまいます。

 こちらがフランス語モードの時に、英語で話されると、一瞬、「えっ??え〜と・・」となって、そのまま英語で話すべきか、フランス語に戻してもらうか、一瞬、迷います。

 しかし、考えてみれば、お店などで、こちらから英語で話さなくても、向こうから英語で話しかけてくれるようになったとは、パリもずいぶん変わったな・・とつくづく思います。以前は、フランス人といえば、英語がわかる人でも、英語では話してくれない人も多く、駅などで、英語で話そうとする観光客相手に「ここは、フランスなんだから、フランス語で話せ!」とフランス語でまくし立てているのを見かけたりして、「なんて、いじわるな人たちなんだ!パリなんて、観光客が多いし、観光収入でどれだけ潤っていると思ってるんだよ! 英語くらい話してあげればいいのに・・」と思ったりもしましたが、今では、外国人だとみると、向こうから英語で話してくれるようになったとは、すごい変化だな・・と思います。

 私などは、英語もフランス語も中途半端なので、両方を同時に使い分けるスイッチングがすんなりいかないので、お店などで英語で話しかけてくれても、そのままフランス語で返してしまったりもするのですが、そうすると、正直なもので、お店の人もちょっとホッとした感じでフランス語に戻るのです。

 なんか、そのホッとしている感じに微笑ましくも感じるのですが、とにかくフランス人も場所にもよるのでしょうが、ずいぶん英語を話してくれるようになったことを少し嬉しく感じる今日、この頃なのです。


フランス人と英語


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2022年8月6日土曜日

パリで最も古いパティスリー 「ストレー」Stohrer のババ・オ・ラムとピュイ・ダムール PATISSIER STOHRER

   


 パリの中心地で、美味しいものがたくさんある通り「モントルグイユ通り」(rue Montorgueil)(他にも美味しいものがあるところはたくさんあるけど・・)は、ふらふらと歩いているだけでも楽しい通りですが、その通りの中程に「ストレー」というパリで最も古い歴史を持つパテイスリーがあります。

 1730年創業というパリで最も古いと言われるこのパティスリーはパリの史跡にも指定されており、お店の前には、その歴史を記された看板がたっています。

  


 パリの史跡にも指定され、パリ最古のパティスリーというのに、お店はこじんまりとしていて、まるで偉そうにしていない感じがとても良いのですが、狭い店内に入ると、その店内の内装も歴史を感じられるもので、天井やシャンデリアに見られる店内の装飾はキラキラしすぎないまでも、ポール・ボードリ(オペラ・ガルニエの装飾を担当)の弟子の作品だけあって、やはりちょっとただものではない感じ。




エリザベス女王も・・


 また、置いているお菓子の種類の多さと、その一つ一つが妙にモダニズムされすぎていないにもかかわらず、丁寧に、また見事に作られていることに目を奪われ、どれもこれも食べてみたくなります。見ただけで、どれもが美味しいことがわかります。

 今では、フランス菓子として有名なババ・オ・ラムやピュイ・ダムールを作り出し、パリに広めたのもこのパティスリーを創業したニコラ・ストレーだと言われており、これらのお菓子の本家本元でもあります。つまり、元祖・・というやつです。

 ババ・オ・ラムはラム酒のシロップがたっぷりのサバラン(キルシュ、アブサン、ローズウォーターがミックスされている)で、円筒形で少し先細りになっているケーキで、かなりアルコールも感じられる大人のケーキで、好き嫌いが分かれるかもしれませんが、けっこう甘くもありますが、後味に嫌な甘さも残らない、甘いわりには、すっきりした味わいです。ホイップクリームと一緒だと、さらにまろやかな味わいになります。




 私のおススメはどちらかというとピュイ・ダムールの方で、カスタードクリームを包んだパイ生地の風味の良さはちょっと比類ないものです。それがパイ生地のバターが良いのか、生地の香ばしさからくるものなのかはわかりませんが、それともカスタードクリームとのハーモニーがよいのか? とにかく、その風味の良さは、これでもパリで色々なお菓子を食べてきた私にとっても久しく味わっていない感動でした。




 これは、ぜひ、このお店のものは全制覇してみたいと思って、後日、またお店を訪ねましたが、ピュイ・ダムールは人気のようで、その日はすでに売り切れていました。

 このお店は、とにかく小さいお店に、ものすごい種類のケーキだけでなく、チョコレート、パン、お惣菜(特にブッシュ・ア・ラ・レーヌなどは、見事!!)など、とにかくたくさんのものがあり、目移りすることこの上ありません。








 また値段も決して、普通のお店と比べて高すぎることもないのも魅力的なところです。むしろ、今どきの流行りのパティシエのお店などから比べると若干、安いくらいです。

 そして、応対してくれた男の子がハンサムなうえに、可愛くて、ちょっと不器用そうなのに、とっても一生懸命に働いていて、私はこのお店の常連客になってしまう気がしています。

 小さなお店に詰まったパリの歴史を感じる空間を楽しめる美味しい場所を見つけて私はとても満足しています。

 包装や紙袋もすごく可愛いです!

 



 



<Stohrer  51 rue Montorgueil 75002 Paris>

map

Metro 1,4,7,11,14番線 Chatelet 5番出口を出るとモントルグイユ通りまですぐです。

パリ最古のパティスリー ストレー ババオラム ピュイダムール


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2022年8月5日金曜日

安倍晋三の神話は崩壊した

   


 安倍元総理が銃撃されて亡くなったニュースはフランスでもセンセーショナルに報道され、直後は、選挙運動中に銃撃されるというショッキングな亡くなり方も手伝って、あの安全で平和な日本で、しかも日本で最も有名な首相が暗殺されたという事実や、民主主義への攻撃は許されないというような正論も手伝って、「日出ずる国は、日本の近代史における重要な家系の純粋な家系図を失い、日本の歴史に長い歴史を持つ日本の政府首脳が初めて暗殺された暗い日として、永遠に刻まれることになるであろう」などと、もはや彼が神話として語り継がれるかの如き勢いでした。

 彼の出自についても、「19世紀以降に大きな影響力を持った安倍、岸、佐藤という苗字を持つ家系であり、真の日本の王朝物語、安倍氏はその生涯を武勇伝として残した」と説明し、彼の業績とされることを羅列して報道していました。

 「安倍晋三が「この国の人々が私に託した使命を自信を持って果たすことができない状況にあるため、もはや首相を続けるべきではない」と判断し、健康上の理由で、首相を退陣して2年も経たないうちに、まさか、こんなエピローグを迎えるとは、誰も想像していなかっただろう」と、その時の報道は結んでいましたが、しかし、エピローグはそんな美談だけでは終わらなかったのです。

 ほとんど美化され、神話化されたかに見えた安倍首相暗殺の知らせに世界各国の首脳からは弔意のメッセージが届いていました。

 しかし、その後、この犯人の自供により、この犯行の動機が統一教会に関係したものであり、少しずつ統一教会と政府、特に自民党との関係が明らかになってくると、世界からの見方、報道も一変したものになりました。

 今では、「Shinzo Abe」と検索すると、「Shinzo Abe  Secte Moon(統一教会)」と一番に上がってくるほどになりました。

 そもそも、この統一教会の名前が当初、伏せられたことについても海外メディアは厳しく糾弾していましたし、その後、次々と明らかになり始めた政府と統一教会のつながり、統一教会による被害についての報道も容赦はありません。

 その報道は山上容疑者が家族、人生を破壊された経緯とともに、信徒である母親が、銀行預金や相続した不動産や土地の売却益から1億円(約72万ユーロ)を宗派に寄付したことから、2002年には破産していることや、お金がなくて大学に行けなかったこと、自衛隊員だった2005年、兄と姉に生命保険を回収してもらうために自殺を図ったことなど、積年の恨みを募らせていたことが説明されています。

 また、「日本のメディアは、統一教会(2005年に世界平和統一家庭連合に改称)と日本の政治家、特に自民党の政治家とのつながりを指摘し、この改称にあたっても政府が加担してきたことなどを含めて、日ごとに、時間ごとに、統一教会と自民党の関係を明らかにしていった。これは、長年、カルト教団に圧力をかけられた被害者を支援してきた弁護士集団が明確に確認するものである」

 「35年間で総額1,237億円(9億ユーロ)を下らない金が統一教会に支払われていると推定されている」

 安倍晋三氏の死の直後には、「真の日本の王朝物語」とまで評された安倍家の家系は一転して、祖父の代から統一教会の日本への参入と存続、勢力拡大に加担してきたブラックな一族として知らしめられるようになり、「現在、国会議員112人(その大半は自民党員)が、この宗派と関係があると言われている」と報道されています。 

 岸田首相は、かなり早い段階で安倍氏の国葬を行うことを決定し、日本国内でも国葬に関しては意見が分断しているようです。なぜ国葬にするのかの基準や理由はよくわかりませんが、多くの国から、弔意が寄せられたこともあり、岸田首相と安倍元首相の関係からくる気持ちなどもあるでしょうが、絶好の外交の場としても考えられたかもしれません。

 しかし、この世界の安倍氏への見方が変化して、一転していることを考慮しないと、日本の国葬ともなれば、世界が無視はしないまでも、実際の首脳が国葬に参加するかどうかは、甚だ疑問でもあり、形式上、代理人が参加するようなことも多いに考えられ、もしかしたら、多くの日本国民から反感を買うだけでなく、世界的にも大きな恥をかくことになるかもしれません。

 いい加減、日本政府は、ごまかしてばかりいないで、真正面から向き合わないと取り返しがつかないことになります。


安倍晋三 国葬


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2022年8月4日木曜日

フランスの熱波 川の水温上昇のための冷却機能低下で原子力発電所が発電量削減

  



 今週、フランスを襲っている熱波は、世間では今年の夏の第3波の熱波と呼んでいるようですが、私としては、今年は5月からパリでも30℃超えの気温を記録したため、体感的には、今年4回目の猛暑のような感じがしています。

 それでも今週、訪れる熱波は、パリでも35℃程度と言われていたので、タカを括っていたのですが、暑さを避けるつもりで、前日に外出したのですが、すでに照り付ける日差しがあまりに強くて苦しく、暑さを避けて一時、教会に避難し、教会の中のスッと涼しい空気にひたってから、用事を済ませてきました。

 パリでは7月末から冷房中にお店の扉を閉めないお店は罰金150ユーロという法令が発令されたために、おおかたそれは守られているようではありますが、冷房をつけているといっても、そんなに強く冷房がかけられているわけでもありません。

 さすがにそれがちょっと繊細なパティスリーだったりすると冷房もかなり効いているし、ピカール(PICARD・冷凍食品のお店)などはさすがにかなりひんやりとしています。

 メトロなども、全線、全車両が冷房車というわけでもなく、かなり冷房車が増えはしたものの、たまに、ハズレにあたると、冷房車ではありません。おまけにバカンス期間中に集中して行われている工事のため、閉鎖されている駅が多く、遠回りしなければ行けなかったりするのには参ります。

 とにかく、この暑さ続きの夏は異常で、それに伴う干ばつの被害が深刻で、さまざまな場面に影響が及ぼしているようです。

 気象庁によると、2022年7月の降水量はによると、9.7㎜で、1958年からの測定開始以来、フランスでは、すべての月を合わせても2番目に乾燥した月となっており、通常と比べて約84%の降水量不足と言われています。

 パリの街を歩いていても、街の草木はしんなりと黄ばみかけてきているし、あらゆる農作物にも影響を及ぼすだけでなく、地方の川や湖なども水量が減少していることから、グラン・エストやブルゴーニュ地方を中心に600㎞近い運河が閉鎖されたり、ボルドーの埠頭と上流のブドウ畑を結ぶクルーズもキャンセルになっています。

 ヴォージュ地方のジェラールメールでは、湧水が少なくなっているために、水曜日から湖から水を供給しています。その結果、水は細菌学的検査を行うための時間である48時間は、飲用不可となっています。

 今週、パリ市でも、水の消費量に注意を喚起し始めています。

 思ってもみなかった影響は、原子力発電所にまで及び、EDF(フランス電力)は、原子炉の冷却に使用されるローヌ川の水温が上昇し、発電施設の冷却機能が制限されるため、発電量を削減する可能性が高いことを発表しました。

 通常、EDFは、年間を通して、輸出量が輸入量を上まっているところ、現在は、その電力供給も輸入に頼っているのが現状になっています。ただでさえ、戦争の影響でエネルギー不足、価格が高騰する中、水不足という事態も加わった上に電力の供給にも影響を及ぼすという異常事態がおこっているのです。

 私は今週の一番、暑い日はプールで泳ごうと、これは、絶好の暑さ対策!と意気揚々と最近、再開したばかりのプールに泳ぎに行きましたが、皆、考えることは同じようで、けっこうな人で、さっさと泳いで、早々に退散。プールを出ると、外は暖房しているかのごとくの熱波で、目が周りそうになり、慌ててピカール(PICARD)(冷凍食品のお店)に避難しました。

 さすがに、冷凍食品のお店だけあって、お店はひんやり、涼むだけでなく、せっかく来たのだからと店内を見て歩くと、まるで私の来店を待ち受けてくれていたかの如く、私のピカールの一番のお気に入りの鯖の切り身がセールになっており、思わず2袋も大人買い?、ついでにアイスクリームなどの誘惑も手伝って、思わぬ買い物をしてしまい、結局、猛暑の中、冷凍食品を抱えて、慌てて汗だくになって帰るハメになりました。

 8月もまだ始まったばかりですが、今年の夏のこれ以上の熱波はお断りしたいところですが、こればかりは、思うようにはなりませんが、せめて、地球温暖化対策になることを少しでも積極的に心がけなければ・・と思うのでした。

 暑いだけでなく、今回のような干ばつ被害にまで及ぶことは深刻ですが、この干ばつの状況をすぐに打開することはできず、状況が正常に戻るには、1ヶ月の降雨過多が必要だと言われています。

 地球が心配な今日この頃です。


フランス原子力発電所 発電削減


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2022年8月3日水曜日

警察署への火炎瓶、迫撃砲花火による襲撃事件連発 警察への報復

 


 パリ近郊のヴィトリ・シュル・セーヌ(ヴァル・ド・マルヌ県)警察署が、黒い服を着て、フードをかぶった約20人の男たちにより火炎瓶と迫撃砲花火で襲撃される・・「警察署が襲撃される」という事件が起こっています。

 これにより警察官二人が負傷しました。

 事件が起きたのは午前1時頃。警察署の建物と駐車場に4本の火炎瓶が投げ込まれ、そのうちのいくつかは囲いを守る投影防止ネットに刺さり、警察署の入り口に向かって花火が発射され、迫撃砲1発が目標に命中し、停車してあった警察車両のうちの1台の車の中で爆発し、車が炎上しました。

 この炎に包まれた攻撃は45分間も続き、警察官は催涙ガスで応戦し、警察署が他の警察署への増援を要請する事態となりました。

 警察官は暴漢の一団を逮捕しようとしましたが、別の暴漢に激しく襲われ、逮捕したのは1名だけ、実際の襲撃にあたった人数よりも、もっと大掛かりな集団での計画的な犯行と見られています。

 この警察署襲撃は、前日に逮捕された男の仲間が警察に報復するためのものと見られているようで、麻薬取引地域を車で巡回していた警察官が、職務質問した男性から攻撃を受け、侮辱されたことにより、彼らは車から降り、「侮辱」と「反抗」の罪で男を逮捕したことに由来していたものだと言われています。

 事件後、捜査が開始されると、いくつかの爆発用の機器が設置されていたため、計画的な犯行であると見られていますが、警察署に攻撃をしかけるとは、よほど警察に対する怒りを抱えているのか?反抗する態度を表明したいのか? 市民の安全を守るはずの警察が攻撃されるのは、深刻な事態です。

 警察側もパトロールの際などに過剰に反応して、暴挙に及ぶこともあるので、彼らを怒らせることがないとは言えないのですが、だからといって、警察署を攻撃するなどというのは、あり得ない話です。

 ヴァル・ド・マルヌ県では、つい3週間前にもシャンピニ・シュル・マルヌ警察署が50人ほどのグループに襲撃されるという同様の事件が起こっていたばかりで、今回の事件に関しても、「公権力者への暴力」「損害」「脅迫行為」の容疑で捜査が開始されましたが、なんとか食い止めなければ、このままでは、ヴァル・ド・マルヌ県は警察署が襲われることで有名になる・・と揶揄されています。

 それにしても、つい先日もリヨンでパトロール中の警察官が群衆に襲われ、リンチ状態にさらされる事件が起こりましたが、どうにも、アンチポリス、警察に反抗するどころか、警察官、警察署を攻撃するという人々が増加しているようです。

 襲撃された警察署に停車してあった車からは、花火用迫撃砲に相当する約60個の迫撃痕が発見され、「より深刻な結果を招きかねない事態である」と警戒を強め、警察官の増員を要請しています。

 しかし、それにしてもパリ、パリ近郊は現時点でさえも、警察官の数は異様に多く、今日も通りかかったパリ・リヨン駅構内には、長い銃を抱えた憲兵隊が何人も立っており(いつものことですが)、また、パリの街中でも結構な警察官のグループが待機しているのを見かけて、相変わらず警察官が多いところだなぁ・・物騒な感じだけど、警察官がいてくれるのは安心と思わなきゃいけないのかな?などと思いながら、パリの街を歩いていました。

 こんなに警察官や憲兵隊がいるのに、それでも警察官が足りないと言っているのですから、やっぱり、つくづくパリは物騒なのだ・・と暗澹たる気持ちです。


パリ近郊警察署襲撃事件


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2022年8月2日火曜日

フランスは保健衛生上の緊急事態期間が終了しました

 


 フランスでは、2020年3月から施行されていた保健衛生上の緊急事態は7月末で終了し、それとともにコロナウィルス感染対策のためにとられたすべての例外措置が終了し、今後、これまで行われてきたロックダウンや行動制限措置等が必要になれば、政府は国会と一つ一つ交渉して、対策を講じなければならない、いわば、通常モードに戻りました。

 科学評議会もまた、2年以上にわたる流行管理に関する勧告を終了しました。

 2020年からこれまでの間、屋内外でのマスク着用、ワクチンパスポート、外出禁止令やロックダウンなど、フランスは国で罰金付きの厳しい制限を行ってきました。パンデミックが発生した2020年3月以来、この保健衛生上の緊急事態期間は最初のロックダウン開始3日後から、これまで3回にわたり延長されてきましたが、今回は延長されることはありませんでした。

 自由とか、権利とかをとかく主張したがるフランス人に対して、これまでのような強制的な処置がとられてきたということは、なかなか歴史的にも特異な期間であったような気がします。パンデミックが始まった時にマクロン大統領は「我々は、今戦争状態にある」と宣言しましたが、戦争でもないのにロックダウンなどという耳慣れない言葉が普通に使われるようになって、確かに異常な期間でした。(まさか、その後、本当の戦争が地続きの国で起こるとは思ってもみませんでしたが・・)

 フランスは6月末から7月初旬にかけて、1日の新規感染者数が20万人を突破する第7波を迎えていましたが、その後、特に対策も講じずにいつの間にか感染者数は減少し始め、さすがに一時は、重症患者数も増加しましたが、壊滅的な被害に陥るほどにはならずに第7波を乗り越えてきました。

 今回の緊急事態期間の終了は、逆に言えば、コロナウィルスに関して、特別扱いをやめるということで、これ以上は、マスクをしようとしまいと、ワクチンをしようとしまいと個人の自由に委ねるということです。

 それでも、コロナウィルスか終息したわけでもなく、感染は依然として続いており、先週1週間の1日の平均感染者数は5万人前後です。しかし、重症化する人が激増しない以上、これ以上の制限を加え続けるべきではないと判断し、日常生活を完全復活させる道を選択したのです。要は、これ以上は多少の被害は止むを得ないと判断したということです。

 一方、31日(日)に官報に掲載された法令では、病院、医療・社会福祉施設、薬局、医学生物学研究所の責任者が、6年以上マスクを着用することを義務付けることができると明記されていまおり、パリ公立病院(AP-HP)、ボルドーやニースのCHUなど、マスク義務を維持することを選択した病院もあります。

 しかし、これは、医療施設での話で、もともとパンデミックでなくともマスクをしていた方が良さそうな場所で、あまり、問題ではなさそうです。

 フランスでは、5月の段階で、すでに公共交通機関でのマスク着用義務化が解除されて以来、ほぼ、全ての感染対策の義務が解除した形でしたが、それから波を一つ乗り越えて、今回の緊急事態期間の終了ということで、完全に日常生活復活宣言になりました。

 そんなことには、おかまいなしにバカンスシーズン真っ只中のフランスは皆がバカンスに出かけ、観光客も2019年(パンデミック以前)よりも10%増という状況に戻っており、いつまでも、ビクビクしてはいられない(実際、ほとんどの人が全くビクついていない)というところです。

 重症化のリスクの高い人はマスクをして、追加のワクチンをすれば、それでいいんじゃないかということです。

 私は、自分の判断で追加のワクチン接種をしましたが、それは全ての人がそうしなければならないとも思いません。

 多少、不安は残りますが、重症化する人が減少している現在、ただの風邪と変わらないとまでは言えませんが、いつまでも危ない危ないと言って、行動制限を続けるのは、なんとなくもう社会全体のバランスが保てなくなってきているのかもしれません。


フランス緊急事態期間終了


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2022年8月1日月曜日

フランス人の夫の元妻との離婚理由は宗教だった・・

 


 安倍元総理の襲撃事件をきっかけに、日本では盛んに統一教会の問題が騒がれているようですが、その宗教問題はもちろんのこと、それに関わる政治家との関わりや捜査に至らなかった経緯など、なんだか話を聞けば聞くほど、暗澹たる気持ちになってきます。

 この話に関連して、フランスには反セクト法があり、このような事態には至らないという話も話の端々に出てきていますが、たしかに、フランスにも新興宗教(セクトとかカルトとか呼んでいる)は存在しても、霊感商法などの話はあまり聞かないな・・などと思っていました。

 しかし、考えてみれば、我が家の場合は、ごくごく身近にそんな感じのことがあったのを思い出しました。

 それは、私の夫の元妻が新興宗教なのかどうかはわかりませんが、かなり宗教にどっぷり浸かっていたという話で、私は直接にはよく知らないのですが、プロテスタント系のキリスト教会に通っていて、その傾倒の仕方がかなり激しいもので、ほぼ生活のすべてが教会を中心に廻り始めて、日曜日の礼拝に通うくらいなら、まあまあ理解はできるのですが、そのうち、毎日になり、なんでも教会に寄付してしまうという事態に発展し始めたのだそうです。

 初期の頃は、夫も一緒に教会に通っていたらしいのですが、元妻の方ののめり込みが尋常ではなくなり、付き合いきれなくなり、子供に対しても教会通いは絶対的な強制事項で、テレビなども禁止、本なども制限されるというなかなかな厳しい状況になっていった中、夫が交通事故でかなりの重症を負った際に、教会の人々がここぞとばかりにおしかけてきて、その中の何人かから、「今回の事故はあなたの信仰が足りないせいだ・・」と言われたとかで、その時点で夫はブチ切れ、教会とは縁を切ったようです。

 その後、教会生活中心の元妻とはうまくいかなくなるのは当然の話で、仕事の都合で転勤も多かった夫とは、ますます関係は悪化していったようです。

 私が彼に出会ったのはそれから、ずっと後のことでしたが、彼の子供たち(元妻と生活していた)、特に一番下の男の子(当時は小学生だった)は、土日になると、よく家に泊まりにきていました。その子が我が家にきていたのには、パパに会いたいということもあったのでしょうが、パパのところに行けば、教会に行かなくても済む・・というのも大きな理由の一つでもあり、また、家では禁止されているテレビも見れるし、ママからは禁止されていたおばあさまに買ってもらったテレビゲームなどは自分の家においておくと、ママに取り上げられてしまうために我が家においてあり、ここぞとばかりにゲームをしたり好きな本を読んだりしていました。

 長男は、もう母親の洗脳?にどっぷり浸かり、かなり優秀で、高学歴で、一度はフランス大手の銀行に就職したのですが、結局、銀行での仕事に馴染むことができずに、今でも宗教の道を歩んでいます。結局のところ、もう誰に強制されるわけでもなく、自分で選択した道を信念を持って歩んでいるのだし、人に害を与えるわけでもないので、それはそれで良いのかもしれません。すごく純粋で優しい子なのです。

 家によくきていた一番下の男の子は、本人の希望と夫の配慮もあり、母親と教会から隔離する意味もあって、高校入学を機に、全寮制の学校に進んで、それ以来、母親とも教会ともほどほどの距離を保っているようです。

 その教会が新興宗教であったのかどうかはよくわかりませんが、それがたとえ、セクトではない普通の教会であったとしても、あまりに狂信的な信仰のために家庭が崩壊したことには違いありません。

 考えてみれば、コロナウィルスによるパンデミックがフランスで最初に広まったのは、地方で行われていたちょっと???と思われるキリスト教会の全国から信者が集まる集会のようなものでもありました。

 私は教会などに通ったことはないので、そういう世界の中のことはわかりませんが、やはり、ある程度、一般社会からの隔離のようなことを強いたりするのは、不自然でましてや子供までというのは、気の毒な気がします。

 とはいえ、信仰を持つ本人は、それが良いこと、正しいことと信じているのですから、子供に対しても、そのように教育しようとするのは当然とも思うのですが、統一教会の2世問題などを見るにつけ、以前、家に来ていた夫の子供などを思い起こすに、複雑な気持ちになります。


フランスの新興宗教 セクト カルト 


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