2022年5月7日土曜日

ついにギャラリーラファイエットグルメにまで登場した日本のパン屋さんブーランジェリーAKIとおにぎり

   


 ギャラリーラファイエットから、コマーシャルメールが来て、大抵、いつもは、スルーしてしまうのですが、スルーしようとしたら、「GOURMET JAPONAIS グルメ・ジャポネ」という文字が目に入ってきて、ふと目を止めると、なんと「グルメで東京を感じよう!」「日本の美食を味わおう!」と銘打って、パリにある「日本のパン屋さん」こと、ブーランジェリーAkiや、おにぎり屋さんGili-Gili、WAKAZEの日本酒などが出店していることを知って、びっくり!

 パリ1区のサンタンヌ通りに「日本のパン屋さん」として、オープンしたブーランジェリーAKIは、今や同じ通り沿いにお餅のお店からカフェまで一体、何軒あるかわからないほど人気が拡大し、最初はオーソドックスないわゆる日本のパン屋さんにあるような食パンやカレーパン、あんぱん、クリームパンなどから始まって、いわゆる日本のショートケーキやロールケーキ、お弁当などにまで、商品の種類が増えて、最近は可愛く彩られたメロンパンが大人気なのは、知っていました。

 それが、パリのグルメ界の王道とも言えるラファイエットグルメにまで登場したのには、驚きです。ラファイエットグルメは、少々お値段は高いのですが、あちこちのお店を回ることなく、美味しいものが確実に手に入るので、便利といえば、便利なのです。

 美食を誇るパリの真ん中で、選りすぐりの名店が軒を連ねるラファイエットグルメに登場するのは、かなりパリの中でも評価を得ているということです。

 昨今の日本食ブームはSUSHI、ラーメンに止まらず、日本のパン、お餅、おにぎりにまで広がろうとしていることを思い知らされる感じです。



 さっそく行ってみると、Akiとおにぎり屋さん、お酒は同じブースにひとまとめになっており、Akiに関しては、高く積み上げられたケースから察するに、おそらく、目玉商品はメロンパン、その他はスイーツ系のお餅(桜もちやいちご大福、どら焼きなどなど)やどら焼きなどでした。

 

 こうして人気のメロンパンを見ると、もはやメロンパンというよりもシュークリームみたいです。

 おにぎりは比較的小さめで、具は、梅干し、昆布、明太子、梅おかか、鮭、ツナマヨなどの想像よりもオーソドックスなラインナップ(私が行った時には、かなり売り切れていました)でした。

 

 お昼すぎの時間だったために、棚はガランとしていましたが、それだけ売れているということです。ショーケースの写真を撮らせてもらっていたら、写真を撮っているとは知らずに私の後に行列ができてしまったほどです。

 気になるお値段ですが、メロンパンは1個5ユーロから5.8 ユーロ(680円〜800円)、おにぎりは、3ユーロから 4.5ユーロ(400円〜600円)となかなかなお値段です。

 おにぎりに関しては、もはや、別のコーナーにテイクアウトができるコンビニのような食料品がおいてあるスペースには、常駐のおにぎりもあり、こちらに関しては、かなり変化球バージョンの具で、サーモンクリームチーズ、チキン蜂蜜マスタード、ツナスパイス、牛肉照り焼き、とともになぜか、なす味噌というユニークな品揃い(こちらは 1個3.8ユーロ(500円程度))でした。


 このラファイエットグルメのAkiやおにぎり屋さんの出店は現在のところは、期間限定で、5月31日までのようですが、そのうち、もしかしたら、本格的に常設店になる・・なんてこともあり得ないではありません。

 しかし、先月、日本に一時帰国していた身としては、どう考えてもこのお値段は受け入れ難く、なんなら、自分でおにぎり作って売りたいくらい・・と思ってしまいますが、まあ、GLF(ギャラリーラファイエット(グルメ))価格ということもあり、他の店舗の商品と比べてみれば、相応な価格ではあります。

 何より、これで、けっこう売れています。

 考えてみれば、パリの外食、特に日本食店、ラーメン屋さんの値段などを考えれば、普通といえば、普通なのですが、パリで外食する場合、特に日本食の場合は、決して円換算をしていたら、とても食べる気がしなくなるので、「円換算はご法度」、これがパリで日本食を食べる時の心構えかもしれません。


*ちなみにこれは期間限定の出店であったため、現在は入っておりません。


ギャラリーラファイエットグルメ Aki


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2022年5月6日金曜日

中国とともに赤塗りされた日本の鎖国 6月にはようやくG7並みに水際対策緩和と発表

   



 3月1日から日本の新型コロナウィルス感染対策のための水際対策が緩和され、フランスからの入国についても、入国後の隔離が撤廃されたり、公共交通機関の利用などができるようになって、ずいぶんと日本も入国制限が緩和されたような気になっていました。

 しかし、考えてみれば、これは日本人、日本国籍を持った人に対して、また観光目的以外の外国人に対してのみのことで、一般的には、外国人に対しては、依然として鎖国を続けています。

 先日、仏紙で「強制検査、検疫...予防接種を受けていても、旅行者の入国を制限している国はあるのか?」という記事を見かけて、ギョッとさせられました。

 新型コロナウィルス感染も多少、落ち着きを見せ始め、多くの観光客が夏休みを前にして、旅行先を検討する時期に入って、多くの国で国境規制が緩和されました。それでも多かれ少なかれ入国制限を課しています。

 「中には、自国への入国を全面的に禁止している国もあります」(記事の中では日本は名指しされてはいませんが・・)、色分けされた世界地図を見れば一目瞭然、全面的に禁止している国は真っ赤に塗られた日本と中国、そしてトルクメニスタン(中央アジア南西部の小さな国)、かなり特異な感じで扱われています。

 この世界地図を見てもわかるように、濃いブルーはワクチン接種済みの人に対しては制限なし、薄いブルーの国は、出発前の検査を義務付けています。

 例えば、ニュージーランドでは、5月1日(日)以降、フランスを含む約60カ国の観光客に対し、予防接種を受けた場合の入国を許可しています。ニュージーランドに加え、EU諸国、カナダ、メキシコ、アルジェリア、チュニジアなどがこのグループに入っています。

 また、アメリカ、モロッコ、インド、アフリカ諸国の半数は、ワクチン接種を受けた旅行者に依然として陰性検査を要求している国のグループに入っています。

 そして、アジアの一部の国では、ワクチン接種を受けた旅行者が、出発前の検査で陰性であることに加え、到着後に隔離期間を設けることを現在でも要求している。例えばマレーシアでは、当局が指定するホテルに24時間隔離しなければなりません。

 中国については、国内でさえもかなり厳しい感染対策措置がとられているニュースが報道されているので、問題外としても、日本はその中国と同じ分類の「問答無用に入国を認めない鎖国を続けている国」なのです。

 そもそも、同じワクチン接種をしていながら、外国籍だから入国させないというのは、おかしな話です。だいたいウィルスは国籍の区別をするわけではありません。何もウィルスは今さら外国からだけ入ってくるわけではありません。

 せめて、最低でも、日本人に対して入国の際に行なっている検査等を同様に行えば、外国人とて入国を許可するべきだと思います。

 在外邦人の方々は心あたりのあることかもしれませんが、ただでさえ、アジア人というだけで、いっしょくたにされがちで、中国と日本の区別もよくついていないフランス人(ヨーロッパの人)も少なくない中、あらためて、この地図を見せつけられて、ますます同一視されかねない嫌な感じがしているのです。

 20年ぶりの円安の中、外国人観光客には、本来ならば、日本に旅行するチャンスです。パンデミック前までは、日本行きの飛行機はほぼフランス人でいっぱいだったほど、日本はフランス人に人気の旅行先でもありました。

 こちらの知り合いにも、「私も一度は日本に行ってみた〜い!」という人はたくさんいました。この日本人気が消え去らないうちに、なんとか外国人に対してもいつまでも鎖国などせずに、必要ならば検査を義務付けても、扉を開いてあげてほしいです。

 一部では、日本はグローバル化を叫びながら、いつまでも内向きな国だという酷評も受けています。

 さらに言わせてもらえば、日本人に対して行なっている現在の水際対策でさえ、機内で濃厚接触したからといって、隔離させておきながら(現在は家族のみということになっているらしい)、隔離解除には検査も義務付けないというザル方式。これでは「やってます感」だけをアピールしているとしか思えません。

 しかし、昨日、ヨーロッパを訪問していた岸田首相がロンドン滞在中にシティでの講演で「新型コロナウィルスのための水際対策を緩和すること」を発表。「G7(主要7カ国)並みに円滑な入国がとなるようにさらに緩和していく」「日本は今後とも世界に対してオープンだ」「みなさん日本にお越しください。最大限のおもてなしをします。」と宣言しました。

 講演後の記者会見では、この水際対策緩和について、「連休後の感染状況を見極め、6月にも専門家の意見も踏まえて水際対策を含め新型コロナ対策を段階的に見直す」「さらに日常を取り戻して行きたい」と語りました。

 ヨーロッパ首脳との会談とともに、ヨーロッパですっかり日常が戻っている様子に刺激を受けてくれたのか・・足並みを揃えるのが得意な日本・・岸田首相が鎖国解禁を思い直してくれるきっかけになってくれて、よかったと思っています。

 贅沢を言わせてもらえば、せっかく緩和するならもっと早くしてくれればいいのに、なぜ6月から?6月は燃油サーチャージが大幅に値上げされるタイミングです。

 しかし、ようやく日本の鎖国も終わる兆しは、やはり朗報です。

 これで円安緩和も少し期待できるかもしれません。


日本の鎖国 水際対策


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2022年5月5日木曜日

加速するインフレ 食用オイルが棚から消えた

  


 ウクライナ戦争によるインフレが世界中で進んでいる模様で、フランスもどうやら例外ではないようです。このインフレ騒ぎは、ガソリン等の燃料費の価格高騰から始まり、電気代等の値上げに対して、フランス政府は早々に低所得世帯にエネルギーチケットを配布したりして対策を講じてきました。

 ここのところは、今度は食料品の価格高騰について問題になりつつあり、スーパーマーケットの棚を見ても、世界有数のひまわりオイルの輸出国であるウクライナ戦争から派生したと見られる特にひまわりオイルを皮切りに食用オイルの棚が見事に空、または品薄になり、オリーブオイルは、まあまああるものの、たとえ、あったとしても「一人2本まで・・」などと張り紙がされています。



 フランス人ってそんなにひまわりオイル使ってるの?と逆に不思議に思ってしまうくらいですが、品薄、値上がり確実・・と、急激に買い占めが起こったものと思われます。

 そんなわけで、食用オイルについては、値上げとともに、そもそも商品自体がないので、一体、どの程度、値上げしているのか?中には、4倍近く値上げしているとの話もありますが、今のところ、我が家には、とりあえずの買い置きがあるので、価格が高騰している食用オイルを買ってはいません。

 現在のところは、まだ棚から姿を消していないオリーブオイルに関しても、フランスの農業・食料問題を専門とする経済学者、ブルーノ・パルマンティエ氏は、「インフレに加えて、オリーブの木は過去10年間、地球温暖化の犠牲になっており、オリーブオイルの価格は自動的に上がっている」と述べており、オイルの価格上昇は地球温暖化も関連していることを語っています。

 彼は、ひまわり油に代わる第一の油として、「フランスでは、10月に収穫が予定されているひまわり油の生産が農家で増え、フランス国内の需要を調整する可能性がある」として、フランス産の菜種油を推奨しています。

 ヒマワリ油の世界的な不足は2023年初頭まで続くと予想されており、世界銀行は「2024年までインフレが続く」と予測しています。

 また、他の食品に関しても、昨日の仏ル・パリジャン紙によると4月の食品インフレ率は、パスタ15.31%、冷凍肉11.34%,、小麦粉10.93%,、オイル9.98%,、マスタード9.26%と発表しています。



 フランスは世界の中でもかなり、食料品自給率の高い国ですが、だからといって、スーパーマーケットなどに置かれている商品がフランス製のものとは限らず、フランス製の食料品よりも安い商品が多く輸入されて売られているのが現実でもあります。

 そもそもガソリン価格が高騰した時点で少なくとも、輸送費は確実に余計にかかっているわけで、欧州内からの低価格の輸入品の方が価格が高騰し、もともと高価であったフランスの製品の方が値上げ率が低いという逆転現象も起こっています。

 食用オイルについては、我が家は、もともとそんなにオイルを使うわけでもなく、安くなっていた時に少し買ってストックしているので、現在のところは、あまり、実感はありません。もともと、私には、生活必需品に関しては、ストック癖があり、ストックのストックがないと買い足しておくので、2020年のロックダウンでほぼ2ヶ月間買い物に行かなかった時もなんとか、生活できていました。

 考えてみれば、あのロックダウン騒ぎの時も買い占めが起こり、トイレットペーバーがなくなったり、小麦粉がなくなったりしましたが、別にこれがなくてはどうしてもダメということもないので、なければ別のものを代用してなんとかするということは、例えば日本の食料が手に入りにくくても、他のものを代用してなんとかするトレーニングは長年にわたる海外生活で培ってきているので、買い占めに走るほどには心配はしていません。

 現在の物価上昇を受けて、フランスの大手スーパーマーケットチェーンルクレールは、今年の夏に向けて、6~7%の物価上昇を見込んだ上で、フランスで最も必要とされる12品目については物価上昇の影響を受けないように対処すると発表しています。

 もっとも、今回のインフレはパンデミックで弱った経済状態の上に全世界を巻き込んでいるウクライナ戦争が大きな原因であることに違いなく、なにもかもを奪われて避難しているウクライナの人々のことを思えば、インフレに文句を言っている場合ではないかもしれないとも思うのです。

 この戦争を機会に、多くの国で軍事体制の見直しが行われているように、国民の生活を守るためには、自国のことは自国で賄うという体制に変化していくのかもしれません。


インフレ ひまわりオイル 物価上昇


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2022年5月4日水曜日

約1ヶ月ぶりのマクロン大統領とプーチン大統領の電話会談

 


 ロシアによるウクライナ侵攻が開始される前後にかけては、かなり頻繁にプーチン大統領と電話会談していたマクロン大統領ですが、ウクライナの首都キエフ近郊ブチャにおけるロシアが行っていると見られる残虐行為が公表されて以来(3月29日以来)、プーチン大統領との電話会談がパッタリと行われなくなっていました。

 この間、フランスは大統領選挙があったこともあるとは思いますが、あまりに凄惨な状況に言葉を失ったのかもしれません。

 プーチン大統領と直接、話のできる人は、今、世界中にそんなにたくさんいるわけではなく、たとえ、説得が叶わなかったとしても、対話を続けることができる人がいることは大切なことで、これでマクロン大統領が、プーチン大統領とのコミュニケーションを絶ってしまうのではないかと少し心配でもありました。

 しかし、大統領選挙に再選が決まった直後に、「来週早々にもプーチン大統領とは話をする準備がある」と語っていたとおりにマクロン大統領は、昨日、プーチン大統領と約1ヶ月ぶりの電話会談を約2時間にわたって行いました。

 マクロン大統領は、ロシアがウクライナに対して行った侵略戦争がもたらす結果の極めて深刻さを改めて強調し、マリウポリとドンバス情勢について深い懸念を表明し、ロシアに対し、ここ数日始まったアゾフスタル製鉄所からの避難を人道支援団体と連携して継続させ、国際人道法に従って避難民が行き先を選択できるようにするよう要請しました。

 また、世界の食料安全保障への影響を考慮し、黒海を経由するウクライナの食料輸出に対するロシアの封鎖を解除するために、関連する国際機関と協力する用意があることを表明しました。

 そして、ロシアに対し、この壊滅的な侵略を終わらせることで、国連安全保障理事会の常任理事国としての責任を果たすよう求め、平和とウクライナの主権と領土保全の完全な尊重を可能にするための交渉による解決に向けて努力する意志を引き続き表明しました。

 一方、プーチン大統領は、「西側諸国はウクライナが行っている残虐行為を無視している。止めるように圧力をかけるべきだ」と主張。また、「西側諸国はドンバス地方の町や集落に対する戦争犯罪および大規模な砲撃を終わらせる手助けが可能である」と提案。

 「西側諸国がウクライナ当局に適切な(ロシアにとって)影響力を行使し、ウクライナへの兵器供給を停止すれば、これらの残虐行為に終止符が打てる」と語りました。

 ウクライナが残虐行為を止めるために圧力をかけよと言いながら、ウクライナへの兵器供給を停止すれば、残虐行為に終止符が打てるという支離滅裂な話。

 そもそもロシアがウクライナに侵攻しなければ、西側諸国もウクライナへの兵器供給などしないわけで、ロシアが停戦しない限り、西側諸国も兵器供給を止めるはずはないのです。こうして、二人の電話会談がなされている間にも、マリウポリでは、国連と赤十字の支援により、アゾフスタル製鉄所から民間人を一部避難させた後も、民間人が避難している建物を含む原発の領土に発砲し続けています。

 先日、ロシアのラブロフ外相の「ヒットラーにはユダヤ人の血が入っていた」との発言(ウクライナのゼレンスキー大統領がユダヤ系であるのに非ナチ化のために戦うか?ということについての正当化しようとする稚靴な言い訳)にイスラエルが激怒した話が伝えられていましたが、このラブロフ外相の発言によって、イスラエルはエストニアに対してイスラエル製スパイク対戦車ミサイルのウクライナへの供与を許可しています。

 イスラエルはこれまで、このウクライナ戦争に関して、ロシアへの経済制裁も武器供与も行わず、中立な態度をとってきましたが、ロシアはこのイスラエルをも怒らせてしまいました。

 やることなすこと、すべて裏目裏目にでて、さらに残虐行為を加速させている感のあるロシアですが、残念ながら、マクロン大統領との会話は平行線のままのようです。

 しかしながら、マクロン大統領は、今後も交渉による解決に向けて努力する意志を示しているので、一時中断していたマクロン大統領とプーチン大統領の電話会談は続くものと思われます。

 今回も2時間以上にもわたる長い電話・・仲の良い友人となら、2時間の長電話もなんのことはありませんが、明らかに意を反する相手とこんなに長時間、怒らせないように、また、自分も怒らないように電話を続けることは、大変な緊張状態です。

 いみじくも、大統領に再選された際にプーチン大統領は、マクロン大統領に対して、「新しい任期での成功とともに、健康をお祈りします」という不気味なメッセージを送っています。

 しかし、プーチン大統領も大変なストレスの中、心身ともに健康ではない気がします。


マクロン大統領とプーチン大統領の電話会談


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2022年5月3日火曜日

パリに日本人観光客が戻る日は遠い 燃油サーチャージ大幅値上げ

 


 2020年のパンデミック以来、飛行機も飛ばなくなって、ロックダウンの中、家の窓から空を見上げて、「いつもなら、飛行機雲の1つや2つは見えていたのに・・」と思っていました。あの時は、飛行機ではなく、時折、大型のヘリコブターのようなものが見えて、「ああ〜また誰かが地方の病院に移送されているんだな・・」などと思ったものです。

 ついこの間、天気のよい日の青空に、飛行機雲がいくつも重なっているのを見て、飛行機もずいぶん、増えたんだなぁ〜と感慨深い思いがしました。

 そんな中、5月に入って、どうやらパリー羽田の直行便が再開されるというニュースを聞いて、ちょっと嬉しくなりました。しかも、迂回便とはいえ、ルートが変更されて、私が3月に日本に行った時(あの時は直行便はなくロンドン経由でしたが・・)と比べると飛行時間が短縮され、パリ→羽田便は13時間45分(通常は12時間程度)、羽田→パリ便は15時間15分になったようです。

 しかし、喜んだのも束の間、今度は6月から燃油サーチャージが大幅値上げされるとのこと。JALの場合は片道36,800円、往復だと73,600円もかかることになります。ざっと1.8倍の値上げです。これは、あくまでも燃油サーチャージだけの値段なので、航空運賃にこれがのっかることになるのです。これは大変なことです。家族で旅行など、そうそう簡単にできるものではありません。

 JALは、この値上げをとりあえず6月、7月のものとしており、8月以降についての燃油サーチャージについては、未発表で2ヶ月間の石油市況平均が1バレルあたり6,000円を下回った場合は、8月以降は、この大幅な値上げを適用しないとしていますが、これはほぼ不可能なこと。今後当面は、値上がりすることはあっても値下げになることはあり得ない感じです。

 私としては、4月にフランスに戻ったばかりなので、当分、日本はいいかな・・とは思っていますが、長期的にこの値段が定着してしまうとなると大問題です。

 このところ、パリの街中を歩いていると、ずいぶん観光客が戻ってきたな・・と思うのですが、アジアからの観光客は少なく、ヨーロッパ周辺の観光客か、アメリカ人です。パリの観光客の多くを占めるのはアジア系の人々、これらの人々が観光客として戻らないことは、依然として大打撃です。(そして、皮肉なことにパリへの観光客には、ロシア人もけっこう多いのです。)

 特に日本からの観光客が戻らないのは、フランス入国は日本からなら、ほとんど問題もないのですが(私が入国した時にも、ノーチェックだった)、日本に帰る時には、72時間前の陰性証明書や日本入国時に提示しなければならない書類(今は少し簡素化されて、事前に「ファストトラック」というシステムができて、到着予定時間の6時間前までに「My SOS」というアプリをダウンロードして事前申請を行えば検疫手続きの一部を事前に済ますことができるようになったらしい)や空港での検査が待っています。

 ただでさえ、お休みがとりにくい日本で、もしも、入国時に陽性になれば、さらにしばらく自粛状態になってしまいます。

 日本から海外旅行に行く場合は、日本に帰国し、再入国する際には、どこに行ったにしろ、最低でも、ほぼ同じことが必要なので、パリに限ったことではありませんが・・。

 しかも、ただでさえ遠いヨーロッパ、いくら直行便が復活したとはいえ、迂回便でいつもよりも長い移動時間が必要です。

 その上、考えてみれば、ロシアからのミサイルがパリまで約3分20秒などと脅されている国にだれがわざわざ旅行に行くでしょうか? まさかとは思いますが、ここ数ヶ月間で、「まさか!」と思っていたことを次々とやっているプーチンが自暴自棄なことをやらかす可能性はゼロではありません。

 私は別にパリ旅行のネガティブキャンペーンをやっているわけではありませんが、あらためて考えてみれば、日本人観光客がわざわざ旅行先としてパリは選ばないだろうな・・友達にも気軽に「パリに遊びに来て!」などとは言えないな・・とちょっとガッカリしているのです。

 我が家の近くにあるホテルも、シーズンによっては日本人観光客がいたりしたのに、日本人どころか、お客さんが戻らず、空室だらけのようで、夜にも客室の灯りがつきません。

 世界一の観光大国と言われるフランス・パリも平和な日常を取り戻したようにに見えても観光客が戻らなければ、本格始動とはなりません。

 また、飛行機でさえも、本格的に直行便が再開するには、パンデミックまではほぼフランス人で満席であったほどに日本はフランス人にも人気の旅行先となっていたのに、日本が外国人観光客(一部の国をのぞいて)を受け入れないために毎日運行には戻らないでしょう。

 戦争も一向に解決の糸口も見えないまま、パンデミックもおさまらず、今年こそは・・と思い続けてもう2年以上。最近は、もう今年こそとは思わずに、パリオリンピックの2024年には、元にもどっているかな?と思うようになっています。


燃油サーチャージ値上げ


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2022年5月2日月曜日

フランスのメーデー 労働者の日と労働者のデモとスズラン

  


 5月1日は、フランスでは労働者の日として、祭日でお休みですが、今年は日曜日にあたり、多くの人にとっては、休日が1日減ってしまうことになります。(フランスは5月1日と8日が祭日なので、今年は2日とも日曜日)

 休日出勤というのも、普段の休日ならば、フランスとて、ないわけではありませんが、この日(5月1日)ばかりは、労働者のための休日ということもあり、基本的に法的に労働は禁止、この日に労働させる場合は、雇用者は労働者に対して、ダブル(職種によってはトリプル)の賃金を支払わなくてはならないため、普通の会社はまず休み、店舗とて、かなり閉店にしているお店が多く、比較的、静かな日です。

 しかし、どこもかしこも静かかというと、そういうわけでもなく、労働者の日ということもあり、デモが大々的に行われる日でもあります。そうでなくとも、毎週土曜日は、いつでもどこかでデモをやっている国なので、デモがあるからといって、とりたてて驚くことでもないのですが、メーデーという大義名分がある分、デモの動員数は、いつもに増して拡大する傾向にあります。

 今年は、大統領選挙の直後ということもあり、早くも新しいマクロン政権の提案している政策に反対する人々やデモに乗じて、暴力・破壊行為に及ぶ人々が出たりと、また、なかなかな騒ぎになったようです。

 今年のメーデーのデモは、フランス全土で11万6,500人、パリだけで24,000人に及びました。デモ隊がレピュブリック広場を出発してわずか数分後、黒い服、手袋、マスクをつけた機動力のあるデモ隊が、オベルカンフ通りでメインの行列から離れ、警察と衝突。

 さらに、レオン・ブルム広場では、マクドナルドの店舗が破壊され、窓には反資本主義のスローガンが書かれました。 沿道では、銀行の支店、不動産会社、保険会社、有機製品の店などが同じような被害を被りました。

 また、デモの最終目的地であるナション広場に到着した行列の左翼指導者が警察と衝突し、投擲された弾丸に反応して催涙弾が発射される事態となりました。



 中には、火をつけられた店舗に消火活動にあたっている消防隊に殴りかかる人まで現れ、(なんと、女性)計45名が逮捕されています。

 一度、デモ隊の近くをたまたま通りかかったことがありましたが、警察や憲兵隊が重装備でものすごい警護をして先導しているのにびっくりしたことがありましたが、そこまでしても、このような暴力・破壊行為が、デモの本体から派生して起こるのです。

 現在のロシア国内の状況などを見ていると、デモの権利は認められるべきものだと思いますが、このような暴力・破壊行為は本来のデモの意味とは別問題です。

 ジェラルド・ダルマナン内務大臣は、この事態を「容認できない暴力」と非難し、パリ消防隊も「人々や市の資産を守り、デモの進行を保証する消防隊員への野蛮行為は恥ずべきことである」と抗議のツイートを発表しています。

 ここのところ、(特に年末年始に感染が異常に拡大し、ウクライナ戦争が開始されて以来)ここまでデモ隊の一部が暴徒化することは、あまりなかったので、ここまでの騒ぎは久しぶりでもあり、これよりずっと悲惨な戦争の状況を見慣れてしまっているために、今までよりも驚かなくなってしまっている自分にも驚きです。

 しかし、今回の大統領選挙では、想像以上に、今の政権に満足していない勢力が拡大していて、しかも、マクロン大統領に投票した人でさえも、必ずしも彼の政策に満足して投票したわけではないことからも、このメーデーを皮切りに、今後、このデモがますます拡大していく危険性は無きにしも非ずだと思っています。

 また、フランスでは、メーデーには、労働者に感謝して、スズランの花を送り合うという風習もあり、街中でスズランを売っている人を見かけます。このスズランの販売は、販売用に栽培されたものではなく、庭や森で摘んだスズランを販売することが一般の人にも許可されています。(ただし、お花屋さんから40m離れた場所で人や交通を妨げないこと)

 なんとも、ほっこりさせられるスズランの販売事情と、デモの暴徒化により燃やされる店舗と警察と争い炎と黒煙があがる風景に、そのどちらもが同時に存在しているパリの不思議を思うのです。


5月1日 フランスのメーデー


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2022年5月1日日曜日

止まらないロシアの威嚇とマクロン大統領とゼレンスキー大統領の電話会談

  


 毎日、毎日、戦争のニュースで気持ちが滅入ってきて、正直、このニュースを避けたくなる気持ちがあります。ウクライナの様子は、本当に日々悲惨な光景で、同じ瞬間に、しかも地続きの国がこんなに悲惨な状況にあることが信じ難い気がしてしまうこともあるのですが、これはやはり現実なのです。

 私は昔の戦争を知っているわけではありませんが、オンタイムの戦地の状況が流されるのは、現代の戦争というものなのかと不思議な気もしています。

 今回の戦争は、どうやらロシア(というよりもプーチン大統領)の目論見の甘さが戦争を長引かせているようですが、彼の意に反して、フィンランドやスウェーデンまでをNATO(北大西洋条約機構)加盟に導き、欧米の力の拡大を引き起こし、どうにも引くに引けない状況を招いています。

 この戦争の報道を見ていると、戦争のルールとも言われる戦争犯罪とか国際人道法などという言葉が出てきて、民間人への攻撃や虐殺について、問題にしていますが、そもそも民間人を攻撃しなければよいというルール?も腑に落ちないところではあります。

 もはや敵国の民間人どころか、自分に相反する者であれば、自国民の命さえも何とも思わないような人が、今さら、何かを躊躇するようなことがあるのだろうか?と思ってしまいます。

 先日、ロシアのテレビ番組で第三次世界大戦と核兵器について報道され、現在のウクライナ紛争が第三次世界大戦にエスカレートする可能性が「現実的」な危険であるとの警告を強め始めました。 

 ロシアの外交官セルゲイ・ラブロフの「危険は深刻であり、現実であり、過小評価することはできない」と警告、この強い発言以来、ロシアのテレビは、核兵器使用の可能性をこれまで以上に強調するようになりました。

 番組では、カリーニングラードからパリ、ロンドン、ベルリンに向けて発射されるサルマット・ミサイルの飛行時間を示すインフォグラフィックを発表し、 プーチンが最近「比類なき」と賞賛したこの新世代の超長距離ミサイルは、フランスとイギリスの首都に約3分20秒、ドイツの首都に約1分45秒かかると説明しています。 

 同番組では、「サルマット・ミサイルが1発あれば、もうイギリス諸島はなくなる」と解説しています。ロシアのテレビは、西側諸国を核攻撃で脅し続け、ウクライナへの支援を続けることを必死に思いとどまらせようとしているのですが、西側諸国は、この脅しで引くはずはありません。自分から攻撃を始めておいて、なんだか変なお願いです。

 ロシアがウクライナを攻撃しなければ、西側諸国とて、援助などしません。だいたい、世界中がウクライナへ支援するといって提示している金額に、そんなにお金出せるんだ・・とちょっとびっくりするほどです。



 先日、マクロン大統領は、大統領選挙後、初めてゼレンスキー大統領との1時間にわたる電話会談を行い、軍事装備と人道支援という観点からフランスのウクライナ支援を強化することを約束しました。

 ゼレンスキー大統領は、この電話会談の後、「ウクライナはEUの一員であるように心強く感じている」とインタビューで語っています。同い年であるこの二人、ゼレンスキー大統領はマクロン大統領を「真の友」と呼び、多大なる信頼を寄せています。

 この戦争の一部は、情報合戦とも思えないでもない部分もあり、どんどん過激になって行く中、この悲惨な状況に目を背けそうになるところもありますが、この現実にはやはり目を背けてはいけないし、報道は続けられなければならないと思っています。

 先月、日本に一時帰国していた際は、フランスに比べて日本はこの戦争についての報道が少ないことに驚き、ともするとバラエティー番組ばかりを目にすることになってしまいそうで、日本滞在中は、情報はもっぱら、ネットに頼っていました。

 結局は、バラエティー番組の需要が多いということなのかもしれませんが、日本のテレビ番組の編成にも少々疑問を感じました。(ほとんどテレビをつけてはいなかったのですが、つけるとバラエティ番組ばかりでちょっとガッカリしました)

 現在のところは、欧米諸国が直接攻撃をしているわけではなく、ウクライナへのさまざまな支援をしているだけではありますが、現在の状況では、ロシア側は、もはや、この支援さえも攻撃として受け止めつつあるということです。

 プーチン大統領は、「どうせ、いずれは皆死ぬ」とか、「それでも我々は天国に行ける」とか、新興宗教の教祖のようなことを言い始めているそうです。予言めいたことを言って、それを自らが実行して、自分達が被害者のように訴える・・なんか、日本で同じことをやっていた教祖がいたな・・と思ったりもするのです。


ロシアの核戦争威嚇


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