2024年10月28日月曜日

日本の選挙結果に関するフランスの報道

  


 今回の日本の衆議院選挙の結果は、深刻な日本の経済状況などからも、とても気になっていたし、自分自身も在外投票にも行ってきたし、とても気になって、少しずつ発表されていく当選・落選の行方をネットでずっと見守っていました。

 結果は自民・公明の大敗という結果でしたが、だからと言って、すぐに政権交代して、ガラッと日本が変わるというわけでもなく、まだまだ目が離せない状況が続きそうです。

 そして、フランスでは、今回の日本の選挙はどんな風に報道されているのかな?と、一応、目を通してみました。

 「自民党は2009年以来、ほぼ前例のない過半数を大幅に下回る結果となった」、「自民党と連立していた公明党もまた大幅に議席を失い、連立でさえも、過半数に満たない大敗に終わった」とまず事実を説明し、これに至った原因として、金融スキャンダル、統一教会問題などを挙げています。

 それに加えて、石破茂氏は、「公平、公正、誠実な党として新たな基盤で再スタート」したいと明言したにもかかわらず、総裁就任直後に、早期解散選挙を宣言し、夫婦別姓の可能性やキャピタルゲイン課税の強化など、当選以来いくつかの問題で方針を転換したことに加えて、裏金議員への偽装非公認・非公認としながら、裏で2,000万円を援助していたことがスクープされたことなどを挙げています。

 この内容は、ほぼ日本で報道されている内容と同様のものですが、一部、この偽装非公認の2,000万円問題のスクープ記事元が朝日新聞となっていることが奇妙でした。(日本では、赤旗のスクープだと言っていましたが・・)

 特にこの2,000万円問題は、購買力を侵食する持続的な価格高騰が有権者の不満を煽っているにもかかわらず、野党の激怒と有権者の怒りを引き起こすには十分だったと説明しています。

 自民・公明の連立政権を維持するには、より広範な連立を構築するよう努める必要があり、これは明らかに行動能力を制限することに繋がり、政府は麻痺する危険があり、日本では、不確実性と政治空白の時代が始まると見ています。

 また、この選挙結果は、このシナリオに慣れていない金融市場をパニックに陥らせる可能性があるとアナリストが警告しています。

 まったく、さんざんな書かれようですが、事実なので仕方ありません。

 ただひとつ、好意的に評価されていたのは、「今回の選挙で選出された女性の数は、これまでの2009 年の記録である 54 名を上回り、70 名でした。今回の選挙に立候補した女性は 314 名で、全候補者の 23.4 % に相当します。この結果により、日本は2024年に世界経済フォーラムが定める男女平等ランキングで146位中118位と順位を向上させることになるだろう」という点だけです。

 また、フランスの報道には、記載されていませんでしたが、私が特にショッキングだったのは、相変わらずというか、ほぼ記録的な投票率の低さということで、これは、本当に深刻な問題だと思います。

 日本で生活していて、日本経済や暮らし向きなどなどが悪化していることは実感しているだろうに、にもかかわらず、選挙に行かないという無責任というか、無関心というか、ちょっと○○なのか? 文句は言っても、最低限の投票という義務を果たさないのは、本当に意味がわかりません。

 フランスならば、こんな低い投票率は大スキャンダルです。

 よく知らないとか、よくわからないとかいう人がいますが、知らないなら、知る努力をしなければいけないし、今はそれこそネットだってなんだって、いくらでも情報はあります。必ずしも正しい情報ばかりではありませんが、数を見ていれば、どれが本当だろうか?ということは、見えてくるものです。

 日本の失われた30年は、たしかに政治家に一番の原因がありますが、この投票にさえ行かない国民にも大きな責任があります。


衆議院選挙についてのフランスでの報道


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2024年10月27日日曜日

パリで美味しいクスクスが食べられるお店 Le 404 と La mosquée

  


 日本でどの程度、「クスクス」というものが食べられているのかわかりませんが、私が初めて、クスクスを食べたのは、考えてみたら日本で、しかもフランス人の家庭に招かれたときのことで、「クスクスパーティーするからおいでよ!」と・・。当時は、「クスクスってなに?アフリカの食べ物だよね・・珍しいものが好きなフランス人なんだな・・」などと思ったような記憶があります。

 クスクスは、小さな粒状のパスタみたいなもので、これを蒸してバターやオイルでパラパラにしっとりさせて、これにシチューのようなものをかけたり、サラダのように野菜と混ぜたりして(フランスではタブレと呼んでいますが・・)食べます。

 フランスに来る前に私たちは、2年間西アフリカのコートジボアールに住んでいた時期があったので、それこそ、クスクスの本場、マルシェでもテイクアウトで食べられるクスクスが売っていたし、クスクスだけではなく、似たような形状のアチェケ(原料はキャッサバ)というものもあったりして、こちらはクスクスよりも若干モッチリしていますが、似ていて、主食というか、肉・野菜などのシチューのようなものや魚料理などと一緒に食べたりします。

 形状的には、お米よりも細かくて食べやすいために、アフリカの人は、赤ちゃんにもこれを食べさせたりして、離乳食のようにもしていたので、アフリカで生まれた娘には、赤ちゃんの頃からこれを食べさせたりもしました。

 アフリカにいた頃は、家にお料理をしてくれるボーイさんがいたので、クスクスを作ってもらうだけでなく、作り方を教わったりもしました。

 それこそ、地方や家庭によって、材料も様々なのですが、多くはトマトベースでお肉、様々な野菜やひよこ豆などを入れる、栄養的にもとてもバランスの良い食事だと思います。

 そして、フランスに来て、ビックリしたのは、フランス人にとって、このクスクスはかなりポピュラーで一般的なお料理で、これってフランス料理だった?と思うほど、よく食べられている食品で、もしかしたら、日本で言うカレーのような位置づけのお料理かもしれません。

 以前は、もっとたくさんクスクスがファストフードのような感じで安価に食べられるお店が多かったような気がしますが、気が付いてみれば、時代の変化かこのお手軽な感じのクスクス屋さんはずいぶん減ったような気がします。

 以前は、お金のない学生などは、今日もクスクスでいいね・・なんて言っていたと思うのですが、このクスクスの位置は、ケバブやハンバーガーに置き換わったような気がします。

 私自身、自分でも作れるので、何も外でクスクス食べなくてもいいかな?とあまり、外でクスクスを食べようとも思わなかったのですが、ここ最近、クスクスの美味しいお店・・というのを見つけて、立て続けに行ってみたら、けっこうボリュームもあって、スパイスなども自分で作るのとは一味違ったり、またお店の内装がちょっとオリエンタルな感じで素敵だったりしたので、ちょっとご紹介したいと思います。

 ひとつは、Le 404 というお店で、入口はけっこう地味だけど、中に入ると素敵な空間が広がっているお店。クスクスだけでなく、ケフタやタジンなど、モロッコ料理?全般、けっこう有名なお店らしいです。気候の良い時期ならテラス席のある中庭も気持ちよいです。




 もうひとつは、 La mosquée モスケというだけあって、もっと大規模な空間で、もっと異国情緒溢れる空間でハマムなども併設しています。ただ、場所的に、ちょっと行きづらいかもしれませんが、なかなかゆっくり、ゆったりできます。猫ちゃんがウロウロしていたりして、となりの席にやってきたりするのもご愛敬です。






 どちらもボリュームたっぷりで、お店の人も至極感じよく、デザートなどもアラブならではのお菓子が山盛りになっているので、(ただデザートまで食べるお腹の余裕がなくなる可能性大ですが・・)そんなところも楽しいです。

 どちらもお値段は、比較的、良心的な価格。パリでのランチとしたら、ごくごくふつうのお値段ですが、かなりボリューミーですので満足できると思います。

 なにも、パリでクスクス食べなくても・・と思うかもしれませんが、クスクスはほとんどフランス人の国民食といってもいいくらいポピュラーな食事・・フレンチに飽きたら、ちょっとトライしてみるのも、楽しいかもしれません。


🌟  Le 404            69 Rue des Gravilliers 75003 Paris 

🌟  La mosquée     39 Rue Geoffroy -Saint-Hiliare 75005 Paris


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2024年10月26日土曜日

久しぶりのオルセー美術館 予約なしでも、あんまり並ばずに済んだ・・

 


 いつでも行けるのに、結局、なかなか行かない場所のひとつに美術館などがありますが、その行かない理由に大行列が嫌だ・・という理由があります。ルーブル美術館にしてもオルセー美術館にしても、なんとなく、いつも、ものすごく行列しているというイメージがあって、あの行列に並ぶのはなぁ~~と思ってしまいます。

 もっとも、最近は、ほぼ予約制で事前にネットでチケットが買えるようになったので、予約していけばよいのですが、それさえも、お天気の悪いことの多い最近では、事前に予約しておいて、その日は大雨・・なんていうことになったら嫌だ・・という全くのわがままで予約するのも躊躇われるのです。

 私は、あまり絵画や美術品に詳しいわけではないのですが、やはり美しいものに囲まれた空間は、心が満たされるような気分になるものです。

 娘が小さい頃に一時、娘が美術館にハマったことがあり、やたらと美術館に行きたがるので休みの日になると度々、美術館へ通ったこともあったりしたのですが、それ以来、一度、ロックダウンの明けたすぐあとに、今なら、ルーブルガラガラだよ!という話を聞いて、すっ飛んで行ったことがあったくらいで(本当に、あの時は、もう二度とあんなことはないと思うくらい空いていて、ほぼほぼ人のいないルーブルを堪能しました)、その後は、ほとんど美術館には、行っていませんでした。

 それが、急に思い立って、「そうだ!今日はオルセーに行ってみよう!予約していないけど、ダメならダメでいいわ・・お散歩がわりと思って行ってみよう!」と思い、出かけたのでした。

 ルーブル美術館は、恐ろしく中も広いので、見て歩くのも大変だけど、オルセー美術館は、そこそこ、そんなに抵抗なく歩いて回れる範囲内、しかも、あんまり絵画に詳しくない私でも、「ああ~これ見たことある!この絵は、ここにあったんだ!」と思うような絵がけっこうあるので、楽しみやすいのです。

 予約していないのだから、ある程度の行列は覚悟していたものの、ほぼ予約制になったからなのか?行列は思ったほどでもなく、15分ほど並んで入れました。これくらいなら、全然OKです!




 要は、まず入場するために行列するのは、荷物チェックのために並んでいるのであって、わりと、行列もどんどん進みます。

 今は、観光客だけでなく、トゥーサンのバカンスのために子ども連れの家族もけっこういて (全てのパリの国立美術館は25歳以下の子ども、若者は無料)、そういえば、夫が存命中、休みといえば、娘をミュゼ(美術館や博物館)に連れ歩いていたことを思い出したり、後ろに並んでいた年配の女性がこのバカンス中のミュゼ巡りの予定を今日はオルセー、明日はケ・ブランリー、その次は・・などと、とうとうと語っているのが聞こえてきたりしました。









 こんなにすんなり入れるなら、少しは勉強してから来るんだったな・・などと思いつつ、自分のペースで好きに美術館内を廻る時間はなかなか心地よいものです。




 オルセーの中のレストランはなかなか悪くないという話だし、カフェもちょっとおしゃれな感じでお値段もそこそこで、市内のレストランやカフェと比べても、そんなに高すぎることもなく、かなり賑わっていました。

 最近は、オルセーといえば、その絵画や彫刻とともにシンボル的になっている時計のシルエットが撮れるインスタスポットもなかなか賑わっていて、ああ~これだったか・・と見てきました。


 家からも30分くらいで来れるし、そんなに並ばなくてもいいんだったら、もっと頻繁に来てもいいな・・と思いながら、芸術の秋だ・・などと、一人ごちて気分よく帰途につきました。

 ちょうどオルセー美術館の正面には、レジオン ドヌール勲章博物館もあります(こちらは、大人も入場無料です)。

 行くまでは、なんとなく億劫でも行ってみるととてもよいところは、なんかジムみたい・・とか思いながら、こういうものは、気負わず、リラックスして日常と違う空間に身をおく、とても良い場所だな・・などと思いつつ久しぶりの美術館を楽しんできました。


オルセー美術館


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2024年10月25日金曜日

ノートルダム大聖堂に入場料5ユーロは有りか?無しか?

  


 2019年に発生した大火災から、5年間の再建期間を経てパリ・ノートルダム大聖堂は、12月7日に公開を再開する予定になっています。再公開まで2ヶ月を切るタイミングで、文化大臣がノートルダム大聖堂入場を有料にすることを提案し、賛否両論の嵐が巻き起こっています。

 彼女が提案しているノートルダム大聖堂入場料5ユーロは、年間訪問者数が1,500万人にも及ぶパリ・ノートルダム大聖堂には、年間7,500万ユーロ(約118億円)をもたらすことになります。この入場料による収入で「宗教遺産を保護する大規模な計画」に資金を提供することが可能となり、「ノートルダム・ド・パリはパリとフランスのすべての教会を救い、それは素晴らしい象徴となる」と説明しています。

 フランスでは、特定された約5万の礼拝所のうち、5,000の宗教的建造物がその持続可能性への懸念を引き起こしており、緊急の介入が必要な状態にあると言われています。

 一方、フランス司教会議は、「これらの祈りの場所へのアクセスは無料でなければならない、アクセスに価格を設定することは、それを観光目的と商業目的に歪めることに等しい!この提案は、フランスで施行されている法律に反するものである!」と主張しています。


 政教分離に関する1905年以来の法律は、ノートルダム・ド・パリなどの歴史的建造物に分類される教会や大聖堂へのアクセスは「無料」のままでなければならないと規定しており、この法律の第 17 条には、「建物の訪問および機密の動産の展示は公開され、いかなる税金や料金も発生することはない」と書かれています。

 パリ・ノートルダム大聖堂は宗教的施設であると同時に多くの観光客が訪れる場所であり、この5年間も、たとえ、入場できないことがわかっていても、たくさんの観光客が常に集まっていました。

 観光客にとって、5ユーロという金額は、決して、他の観光施設に比べて高い価格?設定ではないと思いますが、それが祈りの場でもあり、宗教施設だということには、多少、引っ掛かりを感じないでもありません。

 しかし、カトリック教会全体を救うために資金が必用であるということで、その資金集めをするためであれば、入場料を取る(信者からはとらないそうですが・・)ということも、理解できないではありませんが、それを政府が提案し先導するということには、抵抗を感じます。

 パリ・ノートルダム大聖堂は、1905年に制定された法律以前に建てられたため、国家の所有物であり、カトリック教会が譲受人であると規定されています。所有者であるとはいえ、政教分離の立場からいえば、国が介入しすぎることは、いかがなものかと思います。

 ただでさえ、ノートルダム大聖堂の改築に関しては、火災での被害を逃れたにもかかわらず、マクロン大統領が「現代的ステンドグラスプロジェクト」などと、現代的デザインのステンドグラスに置き換える方向で国家遺産建築委員会(CNPA)(15万人の嘆願書も添えている)の大反対を無視して進めようとしている経緯などもあり、どうにも政府が先導しようとしているイメージが強いのです。

 政教分離というのは、けっこう大切なことだと思うのですが・・。

 

ノートルダム大聖堂入場料5ユーロ


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2024年10月24日木曜日

感情的に子どもを叱ったり怒鳴ったりするのは、逆効果だと思う

 


 今、パリの学校はトゥーサンのバカンス期間に入っていて、バスやメトロなど街中でやたらと子ども連れの人々を見かけます。

 プールなどに行ってもおじいさんやおばあさんが孫を連れてきていたり、特に孫と祖父母の組みあわせを微笑ましく見ています。

 この間、バスの中でおじいさんとおばあさんが孫娘を連れて乗っていて、5~6歳くらいの女の子がやたらとカラフルなあやとりを持って遊んでいて、「うわぁ・・今のあやとりってこんなにカラフルできれいなんだ・・ちょっと長めなんだな・・ていうか、フランスにもあやとりあるんだな・・うちの娘はやっていなかったな・・」などなど思いながら、微笑ましく見ていました。

 あやとりで何を作るのかな?と思っていたら、なんだかマジックみたいなしかけで突っ込んだ手がいつの間にかはずれるというトリックをやってみせるのをおばあさんではなく、おじいさんがやたらとごつごつした手で一緒に相手をしてあげているのが微笑ましい感じでした。

 この夏休みとノエルの中間にあるトゥーサンのバカンスは比較的、親は仕事をしていて、子どもと一緒にバカンスをとる人は少ないのかな?とも思いますが、このおじいさんやおばあさんと過ごす短い時間もけっこう良い時間なのではないか?とも思います。

 かと思うと、小さな子どもを4人も連れたママがメトロにいて、なんだか、やたらと子どもを叱りつけていて、ところが、それが全く説得力がなく、子どもはあまり言うことを聞きません。だいたい、やたらと大きなバギーを狭いメトロの真ん中に斜めにど~んと置いて、もう少し隅に寄せるとかしたらいいのに・・子どもを叱りつけながら、自分はなにやら携帯をいじっています。

 まだ、幼稚園に行くか行かないかくらいの子どもたちなので、言うことをきかない子もいるでしょう。普段はあんまり見かけませんが、そういえば、パリに引っ越してくる前に住んでいた家の近所に、こうやって、四六時中、子どもを叱りつけている親がけっこういたな・・と思い出しました。

 だいたい、そういう親は、「早くしなさい!黙りなさい!静かにしなさい!」など、おんなじことをかなり感情的な𠮟り方をして、どなりつけているのですが、そんな様子を見かけると、「あなたの方がよっぽどうるさいんですけど・・」とこっそり思っていました。

 そのうち、メトロの中で、子どもがふざけ出したら、「Ça va pas la tête ?」(サ・バ・パ・ラ・テットゥ?」(頭おかしいんじゃない?みたいな意味です)と怒鳴って、びっくり・・内心、「サ・バ・パ・ラ・テットゥって久しぶりに聞いたな・・しかも、子どもに大声で、しかもメトロの中で怒鳴る??」と思っていました。

 感情的に怒鳴って子どもを叱る親の子どもは、概して、むしろ、全然、言うことを聞かないような気がします。最近は、小さい子どもと接することもないし、当然、そのくらいの子どもを持つママともパパとも接点がないので、よくわかりませんが、普段は、こういう親子はあまり見かけない気がしています。

 うちの娘は、パパがとても厳しく・・というか、滅多に怒らなかったけど、怒るととても怖かったので、聞き分けがなくて、困ったという記憶はほとんどなく、私もたいていのことには、うるさくは言わなかったけど、ダメなことはダメと絶対にグラついたりしなかったので、やけに諦めよく、考えようによっては、要領よく、無駄に駄々をこねるようなことはしない子どもでした。

 うちには、娘が一人だけだったので、これが2人~3人といたら、また違っていたかもしれませんが、賢明な家庭の子どもは、子どもが2人いても、3人いても、そんなに激しく公共の場で子どもを叱りつけたりしない気もします。それ以前に、子どもは、もうすでに公の場での振る舞いを心得ている感じで、叱りつけるまでもなく、きちんとしています。

 むしろ、娘が小さい頃に日本で水族館に連れて行ったときに、子どもがあまりに聞き分けがなく、うるさいのにビックリした覚えがあるくらいです。しかし、これも、かなり昔の話なので、今はどうなっているのかわかりませんが、私としては、親は、四六時中、くどくど口うるさく叱らずに、ここぞというときに、落ち着いて言い聞かせる方が効果的な気がしています。

 やっと夏休みが終わって、ようやく学校が始まって落ち着き始めたと思ったら、またバカンス・・トゥサンのバカンスが終われば、またしばらくすると、今度はノエルのバカンスです。子どもが小さい頃は、本当にこのバカンスに追いまくられて大変だったな・・と、今はそんな子どもたち、親たち、おじいさん、おばあさんを見ながら思い出すのです。


子どもの叱り方


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2024年10月23日水曜日

30件目の誘拐警報は生後17日の未熟児の赤ちゃん

 


 週明け早々、月曜日の午後11時から午後11時30分の間に、オルネー・スー・ボワ(イル・ド・フランス地域圏セーヌ・サン・ドニ県)(パリ近郊)のロベール・バランジェ病院の産科病棟から生後17日の未熟児の赤ちゃんが誘拐されました。

 この赤ちゃんは2ヶ月も早く生まれた早産のために、病院での治療が必用な状態で、12時間以上、病院のケアが受けられない状態が続けば生命の危険が大きく、さらに2週間以上の入院が必用な状態で誘拐されたため、その安否が問われています。

 フランスでは、2006年から「誘拐警報」というものが存在しており、国民を動員するために未成年の子供の誘拐が発生した場合に大規模に警報を発令することで構成され、メディアだけでなくソーシャル ネットワークや公共交通機関ネットワークでも大規模に中継されます。

 今回の事件が30件目に発令された「誘拐警報」ということで、実際に起こっている失踪事件を含めた誘拐事件は、もっと多いはずなのに・・と思うところですが、これが「警報」レベルになるには、いくつかの条件を満たす必要があるということです。

 まず、それが失踪などではなく、誘拐であることが証明されなければならないということと被害者が未成年でなければならないということで、今回の事件に関しては、自分で動くことはできない生後17日の乳児ということで、ここは間違いなく問題ない話です。

 そして、被害者の生命または身体が危険にさらされていることですが、これもまた、今回は、本来は少なくともあと2週間は入院の必要があった乳児ということで、間違いなく該当します。

 最後に、検察官が子供の居場所を特定できる情報を持っていなければならないという条件がありますが、今回の事件に関しては、病院の監視カメラの映像から、この乳児を連れ去ったのは、子どもの両親と他3人が子どもを連れ去ったことがわかっており、すでにこの両親の家族5人が逮捕され、彼らの証言から、恐らく彼らは子どもを連れてベルギーに向かったと見られています。

 この両親は、23歳の父親と25歳の母親ですが、彼らだけで逃げているのではなく、他数名も一緒に逃げているとみられ、何のために子どもの命を危険に晒してまで逃げなければならなかったのかは、明らかになっていませんが、この2人は薬物中毒であると言われています。まったくもって気の毒な赤ちゃんです。

 この誘拐警報というシステムが誕生して18年間で、警報が失敗したのは、昨年7月にセーヌ・マリティームで6歳の男児が死亡した事件と2020年にナントで1歳の少女が死亡した2件だけということで、それなりの検挙率を挙げています。

 すでに逮捕されている逃亡中の両親の家族の証言から、容疑者らはベルギーに向かった可能性が高く、捜査依頼は、ベルギー司法当局にも送られ、悪質な犯罪捜査は、ベルギーの司法当局と警察当局と協力して続いていると検察官は説明しています。

 しかし、ここで説明されている乳児の安否(12時間以上病院のケアなしでは生命が危険に晒されるという点)は、すでに12時間以上はとっくに経過しているため、かなり危険な状態にあると考えられます。

 そして、不思議なことに、この乳児は発見されていないにもかかわらず、この「誘拐警報」は解除され、しかし、捜査は続いているという説明をしているのは、よく意味がわかりません。

 とにかく、この不可解な事件は大々的に報じられているのですが、この病院についての責任問題には、誰も触れていないのは、不思議なことだとも思っています。乳児の誘拐というのは珍しい話ではあるとはいえ、病院が責任を持って管理しているべきはずの子どもが誘拐されたのですから、その病院には問題はなかったのか?と管理責任を問う話があってもよさそうなものの、誰も話していません。

 もちろん、乳児を誘拐した人物が悪いけれど、新生児をしっかり管理できていない病院ってのもどうなのかな?とモヤモヤしています。


生後17日の乳児誘拐事件


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2024年10月22日火曜日

「1990年代の日本の軌跡を辿る中国経済」という記事

  


 先日、仏レゼコー紙に掲載されていた「1990年代の日本の軌跡を辿る中国経済」という記事を見つけて、あらためて、1990年代からの日本経済の失敗が紹介?されていることに、愕然とする思いでした。なんか身内同士で悪口を言い合うのはまだしも、外野から言われると傷つく・・そんな気持ちでした。

 その記事によると、「多額の債務、不動産バブルの崩壊、人口の高齢化、成長の鈍化、デフレの蔓延、米国との緊張を悪化させる重商主義(重商主義は、国家の輸出を最大化し、輸入を最小化するように設計された国家的な経済政策)、そして消費よりも投資に基づいた経済モデル。 2024 年の中国には、1990 年代初頭の日本と、いくつかの厄介な類似点がある・・」と始まります。

 「日本は、長年にわたる過剰債務によって生じた不動産バブルの崩壊後、長期間のデフレと低成長を経験している・・一方、中国の公的債務と民間債務の総額はGDPの245%に達しており、30年前の日本よりも高い水準にあり、中国の労働人口は減少に転じており、2050年までに総人口は2億人減少すると予想され、中国の人口動態の変化は、やはり日本よりも早いと見られている」

 「中国経済において輸出は依然として重要であり、かつての日本のように米国からの保護主義波の圧力を受けている・・不動産バブル崩壊後の中国の家計の不信感が貯蓄を促し、内需の圧縮が起こり、経済全体を弱体化させているにもかかわらず、供給側政策を実践し続けている・・しかし、歴史上、GDPに占める消費の割合が増加せずに先進国の生活水準に達した国は例がない」

 「輸出と投資だけでは経済を永久に推進するのに十分ではなく、これを続ければ日本と同様の罠に陥る危険があり、ほとんど進歩していない生活水準に留まり続けることになる」とエコノミストが強調しています。

 しかし、1990年代の日本と現在の中国を明確に区別できる点もあり、現在の中国のGDPは、30年前の日本を上回っており、何よりも、中国は国家が経済分野全体を支配しているということで、為替レートは当局によって設定されており、これにより人民元の過小評価が維持される。したがって、日本に起こったことは中国には起こらない。

 1985年に日本はドル安と円高を目的とした米国および欧州諸国とのプラザ合意に署名し、その結果日本の輸出の活力が低下したが、中国は政府が大手銀行と金融セクターの大部分を管理しており、資本規制により貯蓄の国外流出が防止されているという事実により、中国は、そのディリジスト・モデルが生み出す過剰投資や不良投資に関連する損失を経済主体に配分することができるようになっているが、日本のような自由主義経済には当てはまりませんでした。

 「最近の不動産部門の粛清はその一例で、10月に発表された再建計画では、大手銀行の資本増強が計画されておる、政府は不動産部門の統合を推進することで、不動産リスクを小規模銀行から大規模銀行に移している・・したがって、中国は経済の「日本化」を回避する可能性を秘めていると思われる」

 「多額の債務、輸出に依存したモデル、高齢化、成長の鈍化」最後に再び、このワードを羅列して、「1990 年代の日本に似ている地域がもう 1 つあり、それはヨーロッパです」と締めくくっています。

 私もそんなに経済について詳しいわけではないので、ご丁寧に説明してくれてありがとう・・と半分、嫌みというか、自虐的な思いで読みながら、この記事に一貫して書かれていることは、日本がこの30年間の失敗経済・失敗政策のモデルのように使われていることで、いかに日本がダメであったか? 経済の「日本化」=経済の失敗という意味で引用されているわけで、事実だから仕方ないとはいえ、つくづく情けない気持ちになりました。


経済の日本化


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