パリの街の美しいところは、近代化されていく中でも歴史が脈々と残されているところにあると思っています。とはいえ、場所によっては、「ここは、本当にパリ?」と思うほど劣化して、スラム化しているような場所もあるのですが、そういう場所は危険も伴うので、たまに出くわすことがあってもあまり近寄ることはありません。
パリに来たばかりの頃は、「きっとパリってず〜っと変わらないんだろうな・・」と思っていたのですが、ここ10年ほど、特にパンデミックを境に大きく変わってきた気がします。
パリの中でも、私が最も好きなの場所のひとつは、サンジェルマン・デ・プレ界隈で、おそらく日本の人がイメージしているであろうパリが楽しめる場所です。
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サンジェルマン大通り沿いのパッサージュの入り口付近 |
そんなサンジェルマン・デ・プレを散歩していて偶然見つけたのが、パリで最古といわれるル・プロコープ Le Procopeというカフェレストランです。実は、有名なレストランだったのですが、私は全くそんなことは知らずに、サンジェルマン大通り(Boulvard St.Germain)に面した小さなパッサージュ(石畳の小さなお店が迷路のように並んでいる一画)を歩いていて、こんなところにこんな空間!とちょっとワクワクして、その古路を歩いていると、一見すると小ぶりなカフェ?と思われるお店を見つけ、覗き込むとレストランでもあり、メニューを見ても、そんなに横暴な値段でもなく、ただ、看板には1686年創業とちょっと信じ難い年号が出ていたために興味を惹かれたのでした。
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パッサージュの中のカフェ裏口のテラス席 |
しかし、実のところは、そのパッサージュから入る入り口はいわば裏口のようなもので、正面口は、アンシャン・コメディ通り(Rue de l'Ancienne Comédie)にあり、見事な店構えです。
店内は美術館というか博物館のような感じの重厚なインテリアでシャンデリアや絵画、歴史的な書物などが要所要所に飾られており、だいたい建物自体が歴史を感じさせる一見の価値があるもので、地上階(日本でいう1階)、階段を登ると中間の階にも部屋があり、その上に1階と大変、立体的で面白い作りで、「うわっ!ここにもお部屋が・・うわっ!こんなものが・・」といちいち感動します。
テーブルには古典的ではありますが、白いテーブルクロスが敷かれ、ウェイターの人も背筋が伸びている感じで礼儀正しく、感じよく、細かいサービスも行き届いています。
メニューは、アントレ(前菜)10〜20ユーロ前後、肉料理、魚料理(20〜30ユーロ前後)、デザート(10ユーロ前後)と、パリでは一般的な感じのお値段ですが、お昼のメニューだと、その日のいくつかのメニューの中から、前菜とメインまたは、メインとデザートで23.50ユーロ(平日のみ)というチョイスもできます。
お店のインテリアや雰囲気、サービスに負けることなく、お料理もしっかり美味しく、一つ一つ手抜きのないお料理であることが一口、口にするとわかります。
オーダーするとまず、つきだし?のように出してくれるオリーブがちょっと感動するほど美味しく、前回、行った時に食べたお昼のメニューのアントレに頼んだ白トリュフのラビオリは、「これは、やっぱり自分ではできない、なかなかなクォリティー!」と感動し、メインに選んだ鱒のムニエルは散りばめられているアーモンドのソテーの香ばしさが上手くマッチしていて、外はカリッと中はふっくらとしていて絶品でした。
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白トリュフのラビオリ |
また、添えられていたピューレもわざとつぶが残されているバターの香りの効いた思わずにっこりしてしまう味、何も足さずに出てきたそのままで満足できるお味でした。
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鱒のムニエルとじゃがいものピューレ |
デザートは、もうお腹いっぱいで、食べられませんでしたが、近くの席に座っていた人が食べていたこのお店の人気のタルト・オ・カフェがとても美味しそうでした。
また、このお店には、伝統的に受け継がれたメニューというものが、いくつか存在していて、その中でも人気のコック・オー・ヴァン(雄鶏の赤ワイン煮込み)を、後日、食べてみましたが、まず、実に鶏肉自体が大変美味しく、味のしっかりした鶏肉で、これが鶏肉料理?と思うほどの煮込み料理で、赤ワインと鶏のブイヨンでよくぞこれほどのコクのある味が・・と思わせられるのに、鶏肉自体は柔らかく煮込まれているにもかかわらず、煮崩れることなく存在し、一緒に煮込まれている小さなじゃがいもや小玉ねぎ、人参、マッシュルームなどが、ソースと混ざって、かなり食べ応えがあります。
コック・オー・ヴァン(雄鶏の赤ワイン煮込み)
このコック・オー・ヴァンは、お鍋のままサーブされ、温かいお皿が別にやってきます。ふたりで分けて食べてもいいくらいたっぷり入っています。
デザートは食べられなかったので、最後にカフェだけ頼んだら、なんとカフェにはマドレーヌで蓋がしてあるというユニークな心遣いで、なんだか妙にお得な気分。よくカフェには小さなチョコレートがついてきたりしますが、マドレーヌとは・・、これにもちょっと感激でした。
一見すると煌びやかな感じもしますが、お客さんはそんなにかしこまることもなく、普段着で気楽にやってきていて、たまに観光客らしきアジア人のカップルがやけにドレスアップしてやたらと写真を撮りまくっていたりするのもまた、そんなに違和感もありません。
ちょうど近くにいた私と同年代の女性が母親らしき人を連れて食事していたのが、微笑ましく、かなり高齢と思われる母親はオニオングラタンスープだけしか食べていませんでしたが、それはそれでOKな、見かけの重厚さとは裏腹な、温かいお店の雰囲気です。
私もそんな彼女を見ていて、母が生きていたら、連れてきてあげたかった・・いやいや、フランス料理好きだった祖父を連れてきてあげたらどんなに喜んだだろうか?などと、一瞬、思っていたのですが、そもそも歴史あるお店ゆえ、パリに留学していたことのある祖父です。
数々の歴史的著名人も訪れていたというこのお店、なにしろ、1686年からやっているのですから、彼の留学中にも存在していたわけで、もしかしたら、祖父もここに来たことがあったかもしれない・・などと想像が膨らんだのでした。
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このお店に来店していた著名人の名前が刻まれている |
レストランを選ぶ時には、その味はもちろんのこと、そのお店の雰囲気、サービスなど色々な要素が加わりますが、このお店はそのどれをとっても超おススメです。
また、私が初めてパリに旅行に行く際に一番、躊躇したのが言葉の問題ですが、ここは英語もOK(というより、今はパリ市内のたいていのレストランは英語を話してくれます)で、英語のメニューもあるようですのでご心配いりません。
Le Peocope ル・プロコープ
13 Rue de l'Ancienne Comédie 75006 Paris 毎日12:00~0:00まで
パリ最古のカフェレストラン ルプロコープ
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