ここ数年、フランスの夏の猛暑は毎年のことで、珍しいことではなくなってきました。
私がフランスに来た頃、20年くらい前は、夏の間、暑い日があってもせいぜい2〜3日のことで、湿度も低いせいか、夏は断然、フランスの方が過ごしやすいと思っていましたし、建物自体が木造ではないため、外が暑くても建物の中に入ると、冷房がなくとも、すっと涼しい感じでした。
年間を通して、あっつ〜 い!と感じる2〜3日のためにエアコンを買うこともないし、実際、一般家庭にエアコンのある家はほとんどありませんでした。
フランスでも、日本のエアコンのように壁面に取り付けるものも、もちろんないことはありませんが、それよりも大きな箱のようなものが多く、場所もとるし、また一年のほとんどを使わないとなるとしまっておく場所も必要で、我が家はフランスのアパートではたいていあるカーヴ(地下にある物置のようなスペース)もないため、収納スペースがごくごく限られていて、そうでなくとも、普段使わないものが多い我が家には(夫の妙な美術品の収集癖のため)、そんなものを置く場所はないので、ハナからエアコンを買うつもりはありませんでした。
それがここ数年、夏の暑さは毎年のように40℃前後にまで上がる日が数日あり、天気予報を見ながら、そろそろヤバいとなると、もう戦闘体制で、朝早くに家の空気を入れ替えた後は、ベランダの植物にはたっぷりと水をやって、窓もあけず、光も遮断して、お風呂に水をため、家に籠ってバスタオルに水を浸して肩からかけて、なんとか凌ぐというのが、ここ数年の猛暑対策として、定着しています。
しかし、この猛暑もこれまでは、せいぜい7月から8月にかけてのことで、今年は、まだ、なんと5月! まだ5月というのにここ連日30℃近い日が続いており、これは、5月としてはフランスでも歴史的な記録なのだそうです。
昨日は、フランスの南西部を中心に13地域で軒並みこれまでの5月の気温の記録を更新し、ソール・オスゴール(ヌーベル・アキテーヌ地域圏)での35.18℃をはじめとして、トゥールーズで33.4℃、パリで30℃とこれまでの記録を軒並み塗り替えています。
それでも暑いとはいえ、まだパリは30℃、例年なら、暖かい気温が安定しはじめる5月まで待って、ベランダに野菜の種を蒔き、それから1ヶ月ほどして、苗を分けていくのですが、今年は早々に芽をだしたと思ったら、気温が高いだけあって、育つのが早いこと!
もう苗を分け始めなければならなくなり、ベランダで、畑仕事?をしていたら、どうにも暑くて耐えられなくなり、一旦、中断して、夕方になって少し日が傾いてから再開したくらいでした。
4月までは、暖かくなったとはいえ、まだまだ朝晩は肌寒かったりしたのに、徐々に暑くなっていくのならともかく、急激な気温の変化に身体がついていきません。
昨夜は寝苦しく、冷凍庫に入れっぱなしになっていたアイスノンを引っ張り出して眠りました。(この時代に原始的な方法・・)
フランス気象庁は、今年は早く、長く、激しい熱波が発生していると発表しています。水曜日、フランスの3分の1が30℃以上の気温を記録していたそうで、数日後には、再び多くの場所で35℃を超えるという予報が出ています。また、この気温の上昇は、少なくとも5月24日まで続くそうで、この高い気温の連続も記録を更新しそうだということです。
また、この天気続きで干ばつの被害も心配されています。テレビのニュースでは、燃料費の高騰に始まり、あらゆる物価の上昇の次は、この干ばつで、野菜や果物にまで影響が出て、新鮮な野菜は高級品になると騒いでいます。
やっぱり、ベランダ菜園はやめられません。
アフリカに住んでいた頃は、朝起きて、曇っていると、心の底からホッとしたり、また四季のある生活というものは、やはり良いものだな・・などと思ったことを思い出しますが、本来ならば、一番過ごしやすい季節のはずの5月がこのようなことになるとは、地球環境問題も本当に早急に対応しなければならないことだと実感しています。
いつもは当てにならないフランスの天気予報ですが、こんな時だけは当たるんだな・・と恨めしく思うのです。
フランス5月の記録的な熱波
<関連記事>
「夏にバカンスで閉めるフランスのプールとラーメンを出さないラーメン屋」
「便利な生活がもたらすもの フランスへの修行ツアーのススメ」
「フランスの天気予報は当たらないのに洋服選びが上手なフランス人」
「本格的なバカンスに突入するとともに40℃の猛暑のフランス」