2022年4月29日金曜日

大統領選挙後のスケジュールとフランス国民が望む女性首相の擁立

   マクロン大統領の再選から、数日経って、新しい内閣の人事が早々に発表されるのだと思っていたら、マクロン大統領の2期目の正式な就任は5月14日ということで、じっくり地固めをするため、マクロン大統領は新体制の選択と決定に時間をかけることにした模様です。 昨日、臨時にエリゼ宮に召集された閣僚理事会は、現政府の最後の理事会になるものと思われていましたが、政府のスポークスマン・ガブリエル・アタル氏は、「この理事会が最後ではなく、政府は、国にとって現在のすべての問題に関して必要な決定を下し続けるために活動している」と発表し、周囲を驚かせました。 とはいえ、今回のエリゼ宮での昼食会を含んだ会合は、多くの特別感を含んだもので、閣僚が勢揃いし、エリゼの中庭が閣僚の到着に合わせて特別に開放され、庭園に隣接するテラスでは豪華なビュッフェも用意され、選挙後初の閣僚会議...

2022年4月28日木曜日

フランス人に花粉症が増えた

    フランスの花粉マップ 今年はやたらとなぜか、周囲で花粉症に悩まされている人の話を耳にするようになりました。以前は、フランスでは、こんなに花粉症の話を聞かなかったのになぁ・・と不思議に思っています。 我が家は母方の親族はこぞってアレルギー体質で、私もしっかり、その体質を引き継いでいて、母も私も叔母たちも春先は特にクシャンクシャンとくしゃみが止まらず、ティッシュを手放せない状態が続き、酷い時には、もうこの時期は外に出られないとまで言い出す者までいたくらいでした。 私が最初に海外に出たのは、イギリスで、イギリスには花粉症はないのか?と聞いたところ、当時はそれほどでもなく、その後のアフリカでは花粉以前の問題で、アレルギーも全くあらわれず、フランスに来てからは、もっぱら、花粉というよりは、埃とかハウスダストに悩まされることはあっても、花粉症には、それほど悩まされることはありませんでした。 一方、かなり前に、いつもは夏に一時帰国していたものの、夏には、娘の学校の入学問題があって、夏には帰れない年があって、それなら、4月のお休みの際にと、4月に一時帰国したことがあって、その時は、私の花粉症の最悪の時期で、くしゃみや鼻水だけでなく、花粉症に起因して、喘息のような症状になり、呼吸も苦しくて、せっかくの一時帰国時に丸一日寝込んでしまうという苦しい思いをしたことがあって以来、もう春に日本に行くのはやめようと思ったくらいでした。 しかし、今は亡き母が「花粉症などのアレルギーも年齢を重ねていくと、どうやら身体がアレルギーに対して大きく反応しなくなるらしく、自然とおさまっていくわよ・・」と言っていたとおりに、ここのところ、私はあまり花粉症に悩まされることはなくなってきました。 今年もそんなことはすっかり忘れて、春に日本に一時帰国したというのに、花粉症の症状はまったく起こりませんでした。入国の際の書類や検査、そして、入国後の隔離問題などに直面して花粉症のことなど忘れていたくらいでした。 ところが、パリに戻って以来、ここのところ、やたらと周囲に「花粉症だ・・」と嘆いている人が増えたことを意外に思っています。  今日、買い物に出かけて、レジで並んでいたら、近くにおしゃべり好き?なおじいさんがいて、別の女性に、「なんだ、おまえ、いつまでマスクなんかしてるんだ・・」と店内でマスクをしている人にケチをつけているのを見かけて、耳を傾けていたら、その女性は、「ここのところ、花粉症なのよ・・ほら・・」とマスクをずらして、真っ赤になった鼻を見せていました。 「うわっ!マスクをしている人にイチャモンつけている人が出てきた!」と思ったと同時に、「はて、また、花粉症の人だ・・」とも思ったのです。 その後、そのおじいさんは、「花粉症」というあまり聞きなれない話題になったことからか、それ以上、その女性のマスク着用に言及することはなく、自分は今は引退していて、かつてはずっとルノーで働いていて、1年前からガンを患っている・・などという身の上話を始め、マスクに対するイチャモンは、おしゃべり好きのおじいさんのほんの話のとっかかりであったことが判明し、ちょっとホッとしたと同時に、いつまでも喋り続けることに、ちょっとうんざり・・。 しかし、もしも、これから、マスクをしていて、イチャモンをつけられたら、「花粉症なんで・・」というのは、ちょっとした逃げ道になるかな?とも思ったりしたのでした。 そして、家に帰ってしばらくすると、近所に住む知人が、「ちょっとポニョ(我が家の猫)が喜ぶものがあるから、明日、行ってもいい?」という電話。電話口で、鼻声なので、「どうしたの?...

2022年4月27日水曜日

大統領選挙フィーバーで見たノーマスクにビズーのフランスの日常の復活

    日曜日の大統領選挙の結果は、今後5年間のフランスの将来のかかった重大なもので、十分に注目すべきことでしたが、この盛り上がりぶりを見て、私には少なからず気に掛かることがありました。 それは、マクロン大統領の当選が決まって、エッフェル塔近くのシャン・ド・マルスに約3,000人ほどが集まった集会の模様でした。屋外とはいえ、これだけの人が集まり、歓喜の声を上げる中、誰もマスクをしていない・・。 マクロン大統領当選の晴れやかな場面でのマスクは興ざめであることに違いはありませんが、マスクどころか、フランスでは、かつては日常の挨拶であったビズー(頬と頬を交互に合わせての挨拶)も...

2022年4月26日火曜日

マクロン大統領再選の世界の反応と投票結果の分析

    マクロン大統領が再選されて、正直、ホッとしています。現在のこの世界情勢で極右政権に傾くことは、外国人として生活している在仏邦人としては、穏やかならないものがあります。 また、ロシアによる侵攻から始まったウクライナ戦争が一向に終息の兆しが見えない中、ヨーロッパが結束を強めなければならない中、その中心になって動き始めていたマクロン大統領の存在は、ヨーロッパ全体としても非常に重要な存在であり、もしもマクロン大統領が失脚すれば、ヨーロッパとしての結束が揺らぐ可能性もあり、ロシアに対しても、つけ込む隙を与えかねないことになりかねない結果に陥る危険を孕んでいたと思います。 大統領選挙に向けて、服装から発言まで、ソフト路線に切り替えていたマリン・ルペン氏も、その根本に持つ思想については、疑問が多く、ロシアとの金銭的な繋がりなども指摘されていたこともあり、私個人の意見ではありますが、そのソフト路線が仮面のように見えてしまっていました。 実際に大統領選挙直前にドイツ・スペイン・ポルトガルの首脳が内政干渉とも言える異例の声明を発表し、マクロン指示を表明したことや、ウクライナのゼレンスキー首相が「マクロン大統領との良好な関係を失いたくない」と発言したり、周囲の国々からもマクロン大統領を支持する声が上がっていました。 マクロン大統領が満点であるとも思えませんし、実際にマクロン大統領に投票した人のうちの42%は、マクロン大統領に投票したのは、とりあえず、マリン・ルペン氏を阻止するために投票したという数字も出てきています。 年齢層や地域によってもかなり大きく意見が分かれているようで、高齢者と若者には、比較的マクロンを支持するものが多いとか、中間の労働者層にはルペン支持がおおいなど、どちらに投票したかという分析がなされていて、自分の住む地域や周囲の人々がどんな意見を持っている人なのか? この大統領選挙は、そんなことを再確認する機会でもあったかもしれません。 しかし、ともかくも、フランス国内の状況だけでなく、世界との関係性においては、やはりマクロン大統領でよかったと思っています。 そんな世界の期待どおり、マクロン大統領は「我々は警戒を怠らず、ヨーロッパとして、同盟国として団結し、非欧州の地域大国を含むすべての大国と対話を続け、国連内で、ロシアに対して明確なメッセージを送るべきだと思う」と強調し、「しかし、同時にエスカレートしてはならない」と語りました。 「我々は停戦と平和のための努力を続けているが、特にロシア側のいかなるエスカレーションの試みにも屈することがあってはならない。」、ウクライナ・ブチャでの大量虐殺の痕跡と見られる映像が世界中に流れて以来、プーチン大統領との連絡が途絶えている中、早ければ今週中にも彼に電話する機会があるだろう」と語っています。Le...

2022年4月25日月曜日

マクロン大統領 再選 数年ぶりの満面の笑み

  ウクライナでの戦争勃発のために、いつもよりも選挙期間が短く感じられたフランスの大統領選挙でした。 マクロン大統領が前回の大統領選挙に当選して、大統領に就任して以来、本当にこれでもかというほどの災難続きの5年間でした。黄色いベスト運動による激しいデモや暴動は長い間続き、その後もテロ、そして、パンデミック、さらにロシア侵攻によるウクライナ戦争と人の一生にこんなことが何度も起こり得るのか?というような出来事が立て続けに起こりました。 今年はフランスの大統領選挙という年の初めは、1月にはフランスでは爆発的な感染の増加を記録し、若干、それが下がり始めたと思ったら、今度はロシアとウクライナの戦争の危機。 マクロン大統領は、この大統領選挙の選挙戦の予定をこのために大幅に変更せざるを得なくなり、立候補は確実とされながらも公示直前まで立候補を表明しないままに選挙戦が開始されました。 しかし、結果的には、ウクライナ戦争の悲惨な戦況のために、選挙に関する報道は大幅にカットされ、ほぼほぼ直前までは、選挙報道は通常よりもずっと抑えられ、その間、ロシア・ウクライナ双方の間に立ち、電話会談等を続けてきたマクロン大統領の活躍が前面に表れている時期も少なからずありました。 大統領選挙投票用紙 マクロン大統領は立候補の公示を表明する前から、本命と言われてはきましたが、一時は、対立候補の極右マリン・ルペン氏が追い上げを見せ、最後まで結果はわからないと言われてきました。 フランスの大統領選挙当日は、日本のような出口調査の結果は公表されず、投票時間である8時から19時(都市によっては20時)までで、その間に投票状況が公表されることはありません。 そして、いきなり結果が発表されるのが、20時で、19時まで、あるいは20時まで投票が続いている段階で、どのように集計しているのかはわかりませんが、20時の段階で、各局が同時にマクロン58.40%、マリン・ルペン41.60%と公表し、マクロン大統領の再選を発表しました。 ここ2ヶ月間ほどは、ほぼウクライナ戦争に偏った報道でしたが、この日ばかりは選挙一色の報道。 結果が発表される数時間前から、マクロン大統領の支持者はエッフェル塔近くのシャン・ド・マルス広場に用意されている巨大スクリーンと舞台を見守り、結果発表とともに大歓声が上がりました。 マクロン大統領がシャン・ド・マルスに登場したのは、21時30分頃、満面の笑みを浮かべて第九のBGMとともに、夫人と手を繋いで周囲を一般市民と見られる子供や若者たちとともに歩き、その後、夫人と2人で登壇しました。 壇上に上がったマクロン大統領は、本当に数年ぶりに見る晴れやかな笑顔で、「Merci...

2022年4月24日日曜日

国民健康保険カードCarte Vitalを利用した詐欺と日本のオレオレ詐欺

   最近、フランスでは、IT化が進み、これまで、いちいち出向かなけれなならなかった用事が携帯やネットで済むようになってきています。そんな中、ここ数ヶ月の間にSMSを使った通称カートヴィタル(Carte Vitale)国民健康保険カードの詐欺被害が発生しているようです。 フランス国民及び、フランスに在住する者は、この国民健康保険に加入していますが、この国民健康保険には、緑色のICチップ入りのカードが使用されており、そのカードによって医療は管理されており、ある意味、命綱とも言える大切な存在です。 医者にかかる時、医者が処方してくれる処方箋による薬をもらいに行く時など、また、今回のパンデミックなどでは、PCR検査を受ける時などもこのカードが活躍しました。 また、このカードにより、かなり個人個人の健康に関するデータが把握されており、既往症や病歴や年齢などに応じて、必要な予防接種や検査などのオファーが届いたりもしています。 しかし、このカード、定期的に更新手続きが必要で、時々、その更新手続きをするようにという通知が届きます。更新手続きといっても、薬局などにおかれている専用の機械でチャージするだけで完了するごくごく簡単なものです。もちろん無料です。 ところが、最近、このカードの更新手続きを装った詐欺が多数発生しており、現在フランスで2番目に多い詐欺なのだそうです。その手口は、契約者の携帯電話に、カードの更新や更新を促すメッセージが届き、リンクをクリックすると、「国民健康保険」のサイトとよく似たサイトが表示されます。そして、新しいカートヴィタルを送るために、住所を聞かれるのです。 しかし、それを受け取るためには、数ユーロを支払わなければならない。その後、詐欺師は「支払いはお客様のクレジットカードで支払うことができます」と誘いかけます。詐欺師は84セントを支払うようにという話でしたが、数百ユーロが引き落とされるという被害が続出しているようです。 中には、なかなか巧妙な手口を使う場合もあり、詐欺師は、被害者に銀行員のふりをして電話をかけてきて、「あなたは、こんなところに住んでいて、こんな銀行のカードを持っている、こんな人です」と自分を信用させるための情報をすでに持っていて、さらには、銀行カードの不正利用を逆に彼ら自身から伝えることで、被害者を安心させようとするようです。 SMSと電話を巧みに利用する新手の詐欺です。フランスにお住まいの方は、くれぐれもご注意を! 健康保険がメッセージでカートヴィタルの更新を依頼することはなく、カードの更新は薬局で完全に無料で行われるもので、決してネット上で行われるものではありません。 その他、フランスでは、最近、荷物の受け取りに関するSMS上での詐欺を目にしたことがありますが、私の場合、荷物を受け取る予定はなかったために「ん??」と不審に思ったので、調べてみると案の定詐欺であるということがわかりました。 不審に思ったら、その文面をそのままコビーしてググれば、詐欺被害の情報が出ていますので、調べてみた方がよいかもしれません。 そういえば、先日、日本に一時帰国していた際に、私は初めて自宅の電話で「オレオレ詐欺」らしき電話を初めて経験しました。日本のオレオレ詐欺は、ずいぶん昔から聞いたことはあったのですが、実際にその電話に出たのは初めてでした。 電話に出ると、若い男性の声で、「あ〜俺・・」、家の固定電話ですから、勧誘などの電話以外は、だいたい知っている人からしかかかってきません。たまたま弟と連絡をとらなければならない要件があった私は、一瞬、弟だと思い、「あ〜○○!」と弟の名前を言いました。 しかし、どうも、声が少し若いようで、いや、でも国際電話(弟は海外にいる)だからなのかな?と一瞬思ったものの、どうにもおかしい・・「え〜ほんとにあなたなの?」というと、「そうだよ・・」と、「今、どこにいるの?」「仕事中だよ」「仕事中ってどこよ?」ここまで言って、相手が適当な日本の地名を言えば、絶対に違うことがわかると思ったのです。 そこまで来て、相手はそれには答えずに「やだな〜疑ってるの?」とばかり、繰り返すだけ・・これが本当に弟ならば、疑ってるの?などとは言いません。結局、相手は要件を伝えないままに諦めたようで、電話は切ってしまいましたが、「オレオレ詐欺ってほんとにオレオレって言うんだな・・」などと思ったものの、若い人がこんなことを昼日中に必死にやっていることが情けなくて、とても嫌な気持ちになりました。 しかし、これほど有名な詐欺も、もう私が海外に出る前からあった話ということは、もう20年以上も前からあったこと。凝りもせず、こんなことが続いているということは、それなりに騙されている人がいるということです。 最近は、日本のATMにも、そのような被害に気をつけてくださいなどという張り紙もあり、少しまとまった金額の現金を窓口でおろそうとすると用途などもうるさく聞かれると叔母などが嘆いていました。 フランスの場合も日本の場合も少しの隙をついて、騙そうと企む人は後を絶たないようです。見慣れないものを見かけたら、まず疑ってかかることが、必要なのかもしれません。Carte...

2022年4月23日土曜日

フランス司法当局 カルロス・ゴーンに国際逮捕状発行

    夜、テレビをつけたら、カルロス・ゴーンがインタビューに答えているところでした。 ウクライナでの戦争開始以来、ニュースの大半は戦争関連の話題に切り替わり、一時は大統領選挙さえも、一掃されていました。さすがに現在は、大統領選挙が目前に迫ってきて、選挙関連の報道が増えましたが、まさか、このタイミングでカルロス・ゴーンが登場するとは思ってもみませんでした。 彼が日本から逃亡したのは、2019年の年末のこと。当時は、思いもよらない逃亡劇にフランスでも盛んに報道され、年明け早々にレバノン到着後に彼が世界中のマスコミを集めて行った記者会見なども生放送で報道され、ドキュメンタリー番組まで作られていました。 当時は、フランス人の知人から、「日本、逃げられてやんの・・」みたいな嘲笑を受けたりしてムッとすることもありましたが、その後、まもなく起こったパンデミックにより、彼についてのニュースもすっかり影を潜めていました。 この間、一度、彼のフランスの税務当局が彼のフランスでの資産を差し押さえたというニュースが流れたこともありましたが、当の本人はレバノンにいるままで、話題がそれ以上、盛り上がることもなく、すっかり忘れていました。 それが、ここへきて、このウクライナ戦争と大統領選挙の間に、「フランス司法当局がカルロス・ゴーンに国際逮捕状を発行した」というニュース。 フランス司法当局の判事は、すでに2度、ベイルートを訪問し、カルロス・ゴーンの尋問を5日間にわたって行っていました。しかし、その内容が報道されることはなく、彼がレバノンにいる限り、如何ともし難い状態なのだと思っていました。 これまで、フランス司法当局には、レバノン当局にカルロス・ゴーン氏への「告発通知」(フランスでは起訴に相当)を求めるか、あるいは逮捕状を発行するかという選択肢があると言われてきました。...