2021年11月2日火曜日

若年層のCOVID LONG(長期コロナ感染症)の後遺症と脳の損傷との関連の可能性

  



 コロナウィルスによるパンデミックはワクチン接種により、かなりおさまってはきているものの、まだ終息の兆しは見えていません。

 これまでに世界中で2億4,700万人が感染したと言われていますが、このうち、一旦、回復しながらも、症状が長期にわたって潮の満ち引きのように繰り返されるCOVID LONG(長期コロナ感染症)がある一定の割合(フランスでは、10%〜15%と言われています)で認められることは、昨年の段階から明らかになっています。

 ワクチンが開発され、ある程度の予防や治療は可能になってきたものの、依然としてこの病気の未知の部分は多く、この病気の予後やその治療などが人体に与える影響に関しては、まだまだ解明されていません。

 ここに来て、マルセイユのティモーネ病院の医師らが第一波でコロナウィルスに感染し、このCOVID LONG(長期コロナ感染症)の症状に苦しみ続けている子供や若年層の追跡調査で、彼らが脳の特定の領域に問題を抱えていることを発見したと説明する研究を発表し、話題を呼んでいます。

 彼らは、第一波の間にコロナウィルスに感染した201人の子供・若年層を追跡し、このうちの約20%がCOVID LONG(長期コロナ感染症)の症状に苦しみ続けており、その一部に共通する脳の特定の領域に異常が認められることを発見しています。

 このCOVID LONG(長期コロナ感染症)に苦しむ子供たちは、感染後1年以上経っても17%は、激しい倦怠感、記憶の問題、集中力、激しい頭痛などの症状が消失していません。

 彼らを詳しく検査した結果、他の身体的な臓器の損傷は検出されなかった患者に対して、PETスキャンを介してさらに検査を行った結果、その画像から、共通して彼らの脳の一部に損傷が見られることがわかり、この代謝低下が特定の領域、嗅球、脳幹、小脳の領域である全てに存在することを発見しました。

  


 これらの領域が機能不全であり、うまく機能しないという事実は、彼らのCOVID LONG(長期コロナ感染症)の症状の原因である可能性が強いと説明しています。

 また、さらにこの症状の多くは若年層であり、同時にアレルギー性の疾患を持っている確率が高いことも述べています。

 若年層は、感染しても重症化し難いという一面もありながら、悪くすると、長期化する上に、脳に損傷を受けてしまうという可能性が判明された中、やはり子供も若者も感染対策は依然として重要であることを彼らは警告しています。

 酷いケースになると、コロナウィルス感染は陰性となった後も、学校に行くことも、起き上がることも、日常の活動をすることもできなくなるほどになり、治療を受け続けなくてはならない状況に陥ってしまうといいます。

 彼らは引き続き、若年層のこの二次災害ともいうべく症状をフォローし続けていく支援を呼びかけています。

 そして、彼らの症状の消失と「通常の生活」への復帰を促進するための支援には、医師、小児科医、理学療法士だけでなく、神経小児科医と心理学者の調整をとってのフォローアップが必要であると語っています。

 まだまだ侮れないコロナウィルス・・感染すれば、子供の将来にも影響を及ぼす危険があるとすれば、子供たちに対しても一層の注意が必要です。


長期コロナ感染症 COVID LONG

 

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2021年11月1日月曜日

拡張されていたカフェ・レストランのテラス席解体

 

パリ市内ど真ん中に拡張されて作られていたテラス席


 今年の5月の段階で、コロナウィルスのために、半年以上も営業が停止されていたカフェやレストランの営業再開に際して、最初は、テラス席の営業のみが許可されていたために、本来あったテラス席以上に歩道や自動車道にまでテラス席を拡張することが許可されていました。

 もはやパリ市内、どこの通りを通っても仮設のテラス席がない通りはないくらいにあっという間にどんどんテラス席は拡張し、多くの店舗が木製の踊り場のようなテラス席を作り、店内営業が許可されてからも、もともとテラス席が好きなフランス人には、盛況で、店内よりも、テラス席の方が賑わっているような状況で、怪我の功名とも言うべく、当初はコビット(COVID)テラスなどと呼ばれたテラス席により、これまで以上に集客できる絶好のステージになっていました。

 しかし、これらの拡張テラスには、10月31日までという期限があり、11月からは拡張されたテラスは撤廃することが義務付けられ、これに違反すると500ユーロから15,000ユーロの罰金が課せられることになります。

 お客さん側には好評であったテラス席の拡張ですが、必ずしも全ての人が諸手を挙げて賛成していたわけではなく、近隣住民からは、騒音問題や道路の封鎖、美しい石畳を覆い尽くしてしまい美観を損ねる・・などの苦情も上がっており、このサマータイムが終わり、冬が近づき、気温も一段と下がり始めるタイミングは、この拡張されたテラス席を撤廃する一区切りのタイミングでした。

 加えて、今年の冬からは、フランスでは、環境問題対策の一環として、テラス席の暖房は禁止されているため、コロナ前から既存していたテラス席でさえも、これまで以上に寒いテラス席となり、集客の低下が予測されます。

 しかし、近隣住民との摩擦やテラス席の暖房問題も考えると、一度、撤廃することは、必要であるのかもしれません。

 それでも、夏の間のこのテラス席の拡張の想像以上の成功に、2022年4月からは、今度は、有料での拡張テラスが検討されており、すでにパリ市には、7,000件以上のリクエストが届いています。

 拡張されて作られていたテラス席は、それぞれにセンスを競い合い、なかなかおしゃれにできていたので、それはそれで、パリの夏の風物詩のようで、季節ごとに趣向を凝らしてテラス席ができるのは、なかなか楽しみな気もします。

  


 夏になるとセーヌ川沿いにできるパリプラージュのように、春になり気候がよくなる時期には登場する拡張テラスも新しいパリの景色になっていくかもしれません。

 しかし、気になるのは、このタイミング、現在、フランスの感染状況は徐々に悪化し始めており、数ヶ月間、1日の新規感染者数は5,000人台に留まっていたと思っていたら、つい先日、6,000人を超えたと思ったら、あっという間に7,000人超え。

 カフェやレストランのテラス席が感染回避の手助けになっていたとしたら、今のタイミングで、これまでテラス席にいた人々が一気に店内に集うことは、なかなか危険が伴うことになることなのかもしれません。


テラス席拡張終了 パリ テラス席


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2021年10月31日日曜日

夏時刻・冬時刻はなぜ、なくならないのか?

  


 

 1970年代に起こったオイルショックから、主にエネルギー消費の節減のために導入されたサマータイムの制度はフランスでは1976年から採用されています。

 しかし、サマータイムの導入から時が経過し、実際のエネルギー消費の節約は、0.5%〜2.5%と、大した節約にはなっておらず、むしろ、健康や事故に対するリスクの方が高く、この年に2回の時刻の変更を失くすという方向で欧州連合では議論が進められ、毎年のように、「これが最後のサマータイム・・」などと言われ続け、本来ならば、欧州連合は2021年に夏時間と冬時間の終了を予定していました。

 2018年には、欧州連合はこの慣行を終わらせることに賛成し、各国は夏時間と冬時間のどちらかを選択する必要があり、翌年に行われた国会の協議により、フランス人は夏時間を選択しました。

 しかし、それ以来、時間の変更についての議論は滞ったままで、未だ夏時刻・冬時刻を1時間ずつ進めたり戻したりする奇妙な慣行は続いています。現在、公的には、パンデミックのせいということになっていますが、EU加盟国にとって、この夏時刻・冬時刻問題は、議論すべき優先事項にはなっていません。

 これは近隣する各国が冬時刻を選択するか、夏時刻を選択するかの相違により、輸送手段などにおける非互換性が生まれ、どちらがどの国に歩み寄るかで摩擦が生じることを恐れていることが原因の一つであると言われています。

 ヨーロッパは地続きのために、国境を越えて通勤している人も少なくはなく、例えば、夏時間を選択したフランスと冬時間を選択したドイツの間を通勤している人は1日2回時計を変更しなければならなくなります。

 ヨーロッパ内を移動する航空会社や鉄道などの輸送事業者が時間の変更に伴う新しいスケジュールを適応させて設定するのには少なくとも18ヶ月はかかると言われています。

 ということは、たとえ、それが今、正式に決定されたとしても1年半先のことになります。

 夏時間から冬時間になる時は、1時間余計に眠れる日ができるため、比較的、慣れやすい時間の変更ではありますが、日本との時差を考えた場合には、時差が7時間から8時間と長くなるために、日本との仕事はしにくくなることになります。

 欧州連合各国が夏時間・冬時間を自由に選択することなどせずに、単純にもともとあったサマータイムなしの時間に戻すということで統一すれば良いものを妙なところで、自由に選択できるなどという融通を効かせるために、この1年に2回の時間の変更はいつまでもなくならないのです。

 私は、この時間の変更が苦手で、たったの1時間の変更ながら、身体がそのリズムに慣れるまでに1週間近くかかります。

 この区切りをうっかり忘れていて、(日曜出勤をしたにもかかわらず・・、)(時間の変更は土曜日の夜から日曜日にかけて行われます)1時間早く出社してしまったこともありました。

 会社に着いた時点で何となくおかしいことに気付いてハッとして、近くのバス停で本を読みながら、1時間待ったという苦い経験があります。まあ、これは単なる自分の不注意であったのですが・・。

 時間の変化が健康と体調不良、そしてそれがもたらす交通事故などへの悪影響にもかかわらず、この主題はEUにとって優先事項ではありません。

 現在のフランスでは、この年2回の時間の変更が交通事故の増加や高齢者、子供の睡眠障害を引き起こし、この時間の変更から生じる時差ボケは、不安定な気分を引き起こし、人々の健康に重要な影響を及ぼしていることが問題視されており、特に冬時間への変更は、日照時間の減少と、気温が低下する時期に重なるため、健康管理はさらに複雑になり、ことにパンデミックを背景に、すでにうつ病や不安の症例が増加している現在では、問題は深刻です。

 欧州連合という連合ではありながら、違う国の集まる連合は、やはり一つの国でのような決定事項のように簡単には行かず、とりあえず、この時間変更の問題では連合できていないのです。

 1時間とはいえ、同じ国内で1年に2度の時差ボケを引き起こすこのサマータイムの制度、もういいかげんやめてくれないかな・・とず〜っと思っています。


サマータイム サマータイム廃止


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2021年10月30日土曜日

医療介護者・看護士不足のための病床閉鎖の増加

   


 科学技術評議会によれば、現在、フランスの公立病院の病床は医療介護者・看護士の不足から、その20%あまりが閉鎖状態に追い込まれていると言われ、このことに対する早急な対応が求められています。

 これは、もちろん今回のパンデミックにより極端に労働条件が悪化したことが引き金を引いてはいますが、そもそもこの問題はコロナ以前からの長期にわたる問題であったことが問題を根深くしています。

 そもそも、医療介護士・看護士の仕事は、「きつい」「汚い」「危険」の3Kと言われる職業でもあり、敬遠されがちな上に、フランスの医療介護士(看護士)の給与は他のヨーロッパ諸国と比較してもかなり低水準。

   

EU・OECD加盟国の看護士給与比較

 その上、介護士・看護士という仕事は、30年後もキャリアアップが望みにくい職業であることも将来を見据えた時に、理想と現実とはかけ離れていき、厳しい労働環境下での精神的、肉体的なストレス、疲労が蓄積されていくと、離職、転職に繋がっていってしまうことが少なくないのです。

 2020年10月の時点で全国看護士団は、看護士の10人に4人が、5年後、この職業に止まっているかどうかわからないと述べたことを明らかにしています。実際に今年に入ってからは、1,300人の看護師の辞職が確認されています。

 それに加えて、介護士・看護師を目指す学生の中途退学もこのパンデミック下に急増し、フランスが医療崩壊を起こした時点で看護学生が大量に動員されたことから、実際の職務につく以前に、あまりに厳しい病院の現場を目の当たりにしてトラウマ化してしまったことも大きく影響していると言われています。

 パンデミック以前からすでに人員不足だった医療現場において、大きな志を持って看護の勉強をしていた学生にとって、最初の現場があまりにショッキングなものであったことは間違いありません。

 人を救いたいという高い志を持ち、社会に不可欠な大切な仕事をしている、しようとしている人々が安い賃金と劣悪な労働環境で耐えられなくなり、報われない状態が長く続いていれば、バーンアウトしていくのも当然です。

 昨年の今頃は、感染者が急増して、再度、夜間外出制限や外出距離の制限のロックダウンが行われていた時期です。

 あの頃に比べれば、感染状況はかなり改善してはいるものの、それでも辞職する人が後を経たないのは、問題がパンデミックだけに起因しているわけではないということです。

 フランスでは、医者を志して医学部に進学したものの、医学部途中で医者になることを断念した人が看護士になっているケースも少なくないため、看護師になって、実際の現場での仕事に臨んで余計に焦燥感を感じてしまうという事態にも陥りがちになります。ツイッターなどのSNSでも看護士が辞職を告げているメッセージが広く伝えられています。

 転職ということがあまりマイナスにとらわれていないこともこの状態をさらに悪化させています。

 この医療介護者・看護士不足への中期的な解決策として、「とにかく学生の数を増やすこと、より多くのトレーニングを行う必要がある」と語っている人もいますが、仕事同様にプライベートを大事にする人々が、この現在の介護者や看護師が耐えきれずに辞職していく現状を踏まえて、そのような職業に着くための学校を選択するとは考えづらく、学生の数を増やすためには、現場の労働環境・待遇の改善が先なのではないかと思います。

 昨年から比べると改善しているコロナの感染状況ではありますが、ここ1週間ほどで、コロナウィルスによる入院患者は14%ほど上昇しています。

 マルセイユの病院では、市内にある2,700床の病床のうち、16%の448床が閉鎖されており、感染が再び増加し始めている現在から冬にかけて、どうやって過ごすのかわからない、絶望の危機に瀕していると語っています。

 コロナウィルスのピーク時には、集中治療室の占拠率が〇〇%などということがしきりに報道されていましたが、現在では閉鎖されている病床が〇〇%などと言われるようになり、また、別の意味での不安材料が生じてきました。

 労働者の権利の主張が激しいフランスで、なぜ、このセクターはいつまでも改善されないのか?

 医療現場という社会にとって、必要不可欠な場所で、一生懸命働いている人々が報われない・・そんな状況は改善してもらわなければ困ります。


医療介護者・看護士不足 病床閉鎖


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2021年10月29日金曜日

フランスの食品廃棄物救済アプリ Too Good To Go 


「Too Good To Go」で3.99ユーロで購入した「PAUL」のパン


  最近、環境問題の一貫として、食品廃棄物の問題が取り上げられ、スーパーマーケットなどでも賞味期限間近、または、廃棄処分になっている食料品を食品廃棄物防止の黄色やオレンジ色のラベルが貼られて、大幅に値段を下げて、売られるようになりました。

 これは政府の「アンチガスピヤージュ(無駄廃止)」の呼びかけによるもので、大きな成果を上げてきました。

 そして、ここに来て、食品廃棄物を減らし、それをアプリを使って、利用できるサービスがフランスでは急拡大しています。

 それは「Too Good To Go」という携帯アプリで、自分の希望する地域の食料品を扱う店舗で、その日に売れ残る商品を大幅な割引価格で購入することができるシステムです。「Too Good To Go」をフランス人は「トゥグトゥゴ」と縮めて呼んでいます。

「フランスのToo Good To Go のサイト・ここからダウンロードできるページに飛べます」

 これは、実によくできたシステムで加盟店はその日に売れ残るであろう?食料品を廃棄せずに約3分の1程度の価格で売り捌くことができます。

 まず、だいたい、引き取りに行く都合(時間が限られているために)の良い場所で店舗を探します。

  



 だいたい、この地域にはこれくらいの数の店舗が登録されているということが表示されます。

 毎日、毎日、同じ店舗で同じ数のパッケージがあるかはその日(あるいは前日)にならないとわからないので、その時点での購入可能な数が表示されています。

 


 加盟店には、パン屋さん、レストラン、スーパーマーケットなど、現在、フランスでは23,999の店舗が登録しており、前もって予約し、購入予約をして、アプリで決済を済ませ、当日の指定された時間(閉店間際の時間)に取りに行けば良いだけです。

 この加盟店には地域にもよりますが、「PAUL」や「Eric Kayser(エリック・カイザー)」などのパン屋さん、「Monoprix(モノプリ)」や「FranPrix(フランプリ)」などのスーパーマーケット、Starbucks(スターバックス)など、大手チェーン店も名前を連ねています。

 しかし、今のところ、スタバなどは、購入可能な商品を見つけたことはないので、環境問題に参加してますアピールのために名前を連ねているのか?などと思ったりもします。


注文すると届く画面


 ただ、中身については、選ぶことはできないので、例えば、中身は定価で〇〇ユーロ相当のものが入っているというだけで、その3分の1程度の価格が提示されています。

 先日、それなら一度、試してみよう!と、近くのパン屋さん「PAUL」で12ユーロ(約1,600円)相当のものが3.99ユーロ(約520円)というパッケージを購入してみました。「PAUL」ならば、日頃、売っている商品は大体把握しているし、何が入っていたとしても、ハズレはないと思ったからです。

 なんだか、何が入っているのかわからないので、ちょっとした福袋気分で引き取りに行くのが楽しみでワクワク・・。

 引き取りに行く時間は閉店直前の18時15分から18時30分のたったの15分だけに限られていて(これはお店によって違います)、私たちの他にはもうひと組、この「Too Good To Go」の引き取りに来ていましたが、普通のお客さんは、通常の定価で買い物をしています。

 商品は、その時間には、すでに袋に入って用意されており、アプリを提示するだけで引き取ることができます。

 さてさて、中には何が入っているか?と、家に帰るとさっそく、中身を広げてみました。

 中には、バゲットが1本、スモークサーモンのサンドイッチ、オリーブのパンにオリーブオイルとトマト、モツァレラチーズの入ったサンドイッチ、ブレッツェル、オリーブとベーコンのフガス各1個、ベニエ(チョコレート)2個、シューケット6個、シリアル入りの炭のプチバゲット、ジンジャーブレッドなどなどと盛りだくさん! 余裕で12ユーロ以上の内容です。

 これはお買い得!そして、普段、自分では試すことがないものを試すことができるので、思わぬ発見もあり、これなら、今度、買ってみようか?などと思うきっかけにもなります。

 しかし、逆にこれを知ってしまえば、もう二度と「PAUL」で定価でパンを買わないのではないか?などと思ったりもします。早々に、バゲットなどは冷凍保存し、日持ちしないサンドイッチを真っ先に頂きました。

 けれど、まだまだ充分に美味しく食べられるものを今までは廃棄していたのか?と思うと、とてもお買い得なお買い物をしたと同時に無駄を減らすことに貢献できた!という都合の良い満足感も感じます。

 このアプリはデンマークで発祥したアプリのようですが、このようなアプリがもっと世界中に広がると良いなと思っています。


食品廃棄物救済アプリ Too Good To Go

 

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2021年10月28日木曜日

パリで見つけた美味しいお蕎麦屋さん あぶりそば Abri Aoba

  

フランス産の鴨の鴨南蛮そば フランス人は鴨が大好き

 

 お寿司、ラーメン、うどん・・今やパリで和食のお店は珍しくなくなりましたが、そんな中でもあまり見かけないのがお蕎麦屋さんです。

 私はお蕎麦が大好きで、日本で仕事をしていた頃は、お昼というと週2〜3回はお蕎麦というオヤジのような生活をしていました。

 パリに来てからは、そもそもお蕎麦屋さんには全く期待をしておらず、ずいぶん前にサンジェルマン・デ・プレの方にお蕎麦屋さんができたという話を聞いたのですが、あまりの高価さに覗いてみる気にもならず、パリでお蕎麦といえば、家で乾麺を茹でて食べるというくらいでした。

 しかし、先日、「何か美味しいものは・・・」と探していたら、パリにもいつの間にかあったではありませんか? なんと、ミシュランのビブ・グルマン(Bib Gourmand Michelin)(ミシュラン星付きレストランほど高価ではなく、比較的お手頃価格の厳選されたお店)に載っているお蕎麦屋さんが・・。

 これは行かないわけにはいかない・・とさっそく、行ってきました!

 それは、こじんまりとした、さほど目立たない外観でお店の看板も出さずに(看板は敢えて出さないという方針らしい)やっているAbri Soba(炙りそば)という名前のお店で、行列を避けて、なんとか昼1時前には・・と思っていたにもかかわらず、すでに少し行列ができていたことでそのお店だとわかったほど、目立たずに営業しているお店でした。

  

目立たず、看板もなく、ちょっと見には何のお店かわからない外観

 店内に入るとすぐに目に飛び込んでくる、吊るされたワイングラスやその上下にずらっと並んだ日本酒やワインの酒瓶が酒飲みの目にはことさら嬉しく、一見すると、バー?飲み屋さん?と思われる店内です。

 

これだけ見たら、とてもお蕎麦屋さんには見えない


 店内はテーブル席30席ほどとカウンター席が6席で、満席。お店の規模のわりには店員さんは8人もいて、スタッフは全て日本人、お客は私たち以外は全てフランス人という珍しい光景です。

 ここでは、ナイフやフォークは提供していないのか?お客さんたちは、器用にお箸を使っていましたが、中には上品そうなマダムがまるでナゲットかフライドチキンのように、天ぷらを手で摘みながら、お蕎麦を食べている様子なども見られてそれはそれで、微笑ましい感じです。

 

一見、日本か?と思うような座席、座席の下には荷物を入れるカゴまで!


 入り口の扉から内装まで、全て木目調で揃えられ、店内のあちこちに見える細かい装飾品も味のある日本のもので飾られています。


可愛らしい日本の小物とともにフランスのレストランには珍しい黒七味


 さすがに日本人だけのスタッフのサービスは、フランスではあまり見られないサービスが隅々まで行き届いており、お店の人の対応にはいちいち、さすが・・日本人・・と嬉しくなります。

 昼のメニューはそれほど種類は多くありませんが、どちらにせよ、そんなに食べられるわけでないので、充分です。

 お蕎麦には、冷たいお蕎麦と暖かいお蕎麦があり、ざるそば、おろしそば、きつね、ごまだれ、天ぷら、月見、山菜、鴨などがあります。お値段は9ユーロ(約1,200円程度)(ざるそば)から17ユーロ(約2,200円程度)(天ぷらそば)の間なので、パリでの外食としては、このクォリティでこのお値段はすごく納得のいく価格です。

 それぞれのお蕎麦には、プラス6ユーロでサラダ、ご飯(炊き込みご飯(ひじきや枝豆などが入っている)かマグロとサーモンの巻き寿司が2個)の他に、唐揚げか野菜餃子、日替わりのお惣菜のいずれかのを選ぶことができます。

 

お昼のメニュー

 お蕎麦以外には、鶏の唐揚げ、とんかつ、鮭の西京焼きのお弁当(定食)があり、ご飯、お味噌汁、漬物、野菜餃子がついてきます。

 寒くなってきたので、暖かいお蕎麦が食べたくて、天ぷらそばと鴨南蛮そばを頼んだのですが、天ぷらは別盛りでカラッと揚がったサクサクの天ぷらが楽しめます。

 お蕎麦はお店で作っている特製のお蕎麦で、比較的細めの麺は滑らかで、舌触りも良く、久しぶりのお蕎麦に舌鼓をうちました。


天ぷらそば 天ぷらは海老2本とエリンギとナス

 大きなぷりぷりの海老の天ぷらも、鴨の脂がじわっとつゆに染み出している鴨南蛮にも大満足、お蕎麦に載せられている刻みネギの細かさと小さな三つ葉にまで感動しました。強いていうならば、おつゆは若干、甘めです。


 


 プラス6ユーロでついてきた、巻き寿司は赤酢の酢飯で巻かれており、サラダには水菜、大根のつまなどが合わされ、鰹節と醤油ベースのドレッシング、唐揚げには甘だれがうっすらとかかっており、唐揚げに添えられたサラダには胡麻ダレがかかっています。

 その一つ一つの小さな小皿にも細かい心遣いが感じられ、丁寧に作られていることがわかります。

 その上、どんなものかわからず、一人分しかプラス6ユーロのメニューにせずに二人で分けあって食べていたら、頼まずとも、唐揚げは二人分に切り分けてくれる心配り。

 

お水を入れてきてくれるボトルも可愛い

 お水一つをとってもなくなったら、すぐに次のボトルを持ってきてくれました。(日本ならあたりまえのことですが、フランスでは決してあたりまえではありません)

 こんな感じのお店なので、夜になると、メニューも増えて、ちょっとつまみながら飲める居酒屋さんのようになり、大賑わいになるようです。

 このお店で出てくるものなら、際限なく飲めそうだと思いながら、次回はぜひ、夜に来たいものだと思ったのでした。


⭐️Abri Soba Paris あぶりそば パリ

10 Rue Saulnier 75009 Paris  月曜休 12:00~14:00, 19:00~22:30 日曜夜のみ

メトロ⑦番線 Cadetより徒歩3分、⑧⑨番線 Grand Boulevardsより徒歩7分


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2021年10月27日水曜日

眞子さまのご結婚報道で見えるフランスの日本という国の見方

 


 「日本の眞子内親王の物議を醸す結婚」「眞子内親王は長い論争の末に結婚した」「眞子内親王の結婚式が帝国の伝統を破る理由」「眞子内親王は4年間の論争の末、ついに婚約者と結婚する」「4年間待った後、眞子内親王はついに結婚しました!」こんな見出しで、フランス大手各紙は眞子さまのご結婚を報道しています。

 フランスでのこの結婚に関する報道は、概ね以下のとおりです。

 天皇陛下の姪にあたる眞子さまは、一般人の小室圭氏と結婚しました。この結婚は婚約発表の3ヶ月後に、夫となった小室圭氏の母親が400万円(3万ユーロ)の返済を拒否したことが公になって以来、日本では物議を醸し続けてきました。

 このスキャンダルは日本社会の非常に保守的な層からは完全に否定的な目で見られていました。

 そのため、宮内庁はこの結婚を延期し、小室氏はニューヨークに旅立ち、勉強を続けていましたが、結婚が正式に決まったタイミングで日本に帰国。4年が経過し、結婚が決まった状況においても空港に降り立った際の彼のポニーテールでさえも非難の的となり、とうとう結婚直前になっても彼らの結婚への反対の声は収まることがありませんでした。

 日本でのこの結婚に対する論争は、英国のメーガンとハリーに匹敵するほどであると報道しています。

 このように、結婚までの経緯については、日本での報道とほぼ同じではありますが、この報道を機に、眞子さまが心的外傷後ストレス障害であると発表されたことから、過去に現皇后・雅子妃殿下が長い間うつ病を患ってきたことなどを例に挙げ、日本のマスコミは、皇族のわずかな粗さにも態度を緩めることはないと指摘しています。

 結果、「多くの人がこの結婚に納得していない」と判断した皇室側は、結婚にまつわる皇室での伝統的な儀式を全て中止し、まるで平和な生活への代償を支払うかのように、結婚時に支払われるはずの1億5,200万円(110万ユーロ)を辞退する結果となり、これは、戦後、日本史上初めてのことであると伝えています。

 また、結婚が単なるラブストーリーの延長ではなく、家族間に関わる契約である場合が多い日本という国で、彼女の父親が結婚を受け入れることは、何世紀にも渡る皇室の伝統や習慣を損なうことになろうとも、娘の幸福を望む秋篠宮文仁親王の皇室の変化への願望とも解釈することができ、この願望はこの世代の日本人の両親によって広く共有されつつあるものでもあり、眞子内親王の結婚は、若い日本人女性の開放の強力な象徴になる可能性があるとも伝えています。

 日本の皇位継承は男性皇族のみに引き継がれるもので、女性の皇族は、結婚後、皇室を離脱することが、定められています。皇室の女性を結婚後も皇室に留めおくことは論じられてはいるものの、強硬派の支持者や伝統主義者は、女性が統治できるようにするための措置に激しく反対しているため、制度の変更は今後長い間続く可能性があります。

 皇室を離れた経緯は異なるとはいえ、ニューヨークに移住するこの元皇族の夫婦は、必然的に王室を離脱して異国に移住したハリー王子とメーガン妃との比較が行われ続けるだろうと予測されています。

 気になるのは、いくつかのメディアでは、国民の多くが賛同しないがゆえに、眞子さまが皇室を離脱したという報道があることです。

 いずれにせよ、ニュースの内容そのものよりも、日本古来の伝統的な皇室の異例な結婚というこのニュースを通じて、フランス(海外)からは、日本がこんな風に見えているのか・・ということを垣間見える興味深い一面もありました。


眞子内親王ご結婚 日本の皇室


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