2021年9月21日火曜日

フランスのスーパーマーケットの顧客獲得戦略のトレンド 会員制特別割引システム

   


 フランスの大手スーパーマーケットチェーンは、顧客獲得のための制度を模索し始めています。

 現在、フランスのスーパーマーケットの顧客獲得のための会員制特別割引の先駆けは、大手スーパーマーケットチェーン・カジノ(Casino)グループで、カジノは、2019年に月額10ユーロ(約1,300円)を支払うことで、同店での買い物の際に10%の割引を受けることができるというシステムを開始しており、これにより、カジノグループはすでに20万人の常連固定客を獲得するという大成功を収めています。

 これに次いで、モノプリ(Monoprix・カジノグループ)も、月額 9.9ユーロ、6ヶ月で 54.9ユーロ(約7,000円)、1年間で 99.9ユーロ(13,000円)の会費を支払うことで、食品、衛生関連用品、メンテナンス製品の10%割引が提供されるシステムを開始しました。

 このシステムは、オンラインショッピングに関しても、店舗での買い物同様に適用されています。これにより、グループに定期的に資金(月額会費)が流入するようになり、また、消費モードに関係ない、特に日曜必需品等のベーシックな買い物に関する固定客を同業他社に流さずに、惹きつけ続けることを目的としています。

 このシステムは、スポーツジムや携帯電話契約や有料配信サービスなどの方式に似ていますが、このスーパーマーケットのシステムの違うことろは、最低契約期間なしで、ある月から次の月に簡単にキャンセルできることです。

 何なら、1ヶ月だけ加入して、一年分の備蓄を買いだめして、その後、すぐに解約することも可能なわけです。

 しかし、そうそう備蓄できるものばかりでもなく、その度に契約・解約を繰り返すのも現実的ではなく、このシステムに関しては、顧客側からすれば、特に家族の多い、頻繁に大量に買い物をする人にとっては、確実なメリットが期待できるものではありますが、少人数の家庭などには、どれほどのメリットがあるのかは疑問です。

 買い物の量に関係なしに買い物をするために、前金で会費を支払って、買い物をした段階で割引を受けるというシステム・・なかなか微妙ですが、それでも、大口消費者の客層を競合他社に取られないためには、有効なのかもしれません。

 そして、先駆者であるカジノグループの成功により、9月20日からフランスの最大手スーパーマーケットチェーン・カーフールもこのシステムの試験的な試みをルーアン地域の約20店舗で月額 5.99ユーロ(約780円)の会費でカーフールグループの多数の割引へのアクセスを提供するシステムの検証を開始しました。

 カーフールでは、規模も大きいだけに、多くの衛生関連用品や食品、7,000点もの製品、特に自社ブランドの製品に関して、15%割引を行う予定としています。また、カーフールでは、他の割引と組み合わせることができる利点を強調しています。

 日本のスーパーマーケットでは、詳しいことはわかりませんが、私の知る限りでも、ポイント制度、キャッシュバックなど、顧客獲得のための様々な試みがなされていることを私は、ずっと羨ましいと思ってきました。

 ようやく、フランスもこの顧客獲得のためのシステムがスタートしたものの、会費制というハードルがあります。

 フランスのスーパーマーケットでは、これまでも、自社製品に対してのポイント制度などはありましたが、それも、不明瞭なポイントの付き方で、同じものを購入しても、ポイントが付いたり、付かなかったりで、いちいちクレームをつけるのも面倒で、付いていればラッキーという程度のもので、あまり、その適当なポイント制度のために顧客が惹きつけられていたとも考え難い程度のものでした。

 しかし、すでに先行していたカジノグループの月額会費よりも低価格の会費で、それ以上の割引を提供する同業他社が現れたことで、この動き、トレンドは、加速していくことが期待できます。

 いずれにしても、とかく事がスムーズに運ばないことが多いフランスで、加入は簡単でも解約がなかなかできなかったり、解約しても、なかなか返金がされなかったりすることの多いことを考えれば、月額を定期的に支払って割引を受けるというシステムに、私は飛びつくことはできない感じです。

 「お客様は神様」「消費者のためのサービスを常に考える」「次々に顧客を惹きつける工夫」に長けた日本で育ってきた私にとって、フランスの一般消費者向けの商業戦略は、隙だらけで、「なんで、何もやらない???」と疑問に思いながらも、諦めていた私ですが、会費制というセコい(着実ともいうかもしれないが・・)やり方ながらも、一歩、前進したことは、今後のフランスの消費者向けのサービスに明るい光がさしたとも言えるかもしれません。


カーフール 会員制割引システム


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2021年9月20日月曜日

フランスのヘルスパスは成功したのか?

   


 パンデミックが始まって以来、これまでに、フランス政府から、個人の携帯向けに、ダイレクトにメッセージが入ってきたことが2回ありました。

 一度目は、2020年3月の最初のロックダウンの際で、それは、「コロナウィルス感染拡大のため、大統領がロックダウンを宣言しました。ウィルスの感染拡大を防ぎ、命を守るためにこのロックダウンの規則を厳格に守ってください。日常最低限の買い物や仕事のための外出の際には、外出証明書が必要になります」という内容のものでした。

 全国民に対してこのようなSNSでのメッセージが送ることが、なぜ可能なのだろうか? 携帯電話の番号をなぜ把握しているのだろうか? 個人情報が・・などと一瞬、思ったものの、恐らく、そのメッセージは私には送られてきたのに、娘には送られてこなかったことを考えると、税金の申告書に記載した携帯電話の番号ではないのか? などと思ったりもしました。

 しかし、事態が事態だけに、あの頃のフランスは、本当に壊滅的な被害を生んでおり、このまま放っておいたら、さらに被害が甚大になる重大な局面であったことを考えれば、逆にあらゆる手段を使って、国民にロックダウンをいち早く、徹底して伝えるためにこのようなことができることは、スゴいことだ・・とも思いました。

 その後、感染は一時は減少したり、またその後、増加したりを続け、第2波、第3波を迎え、その度に、1回目のような街全体がシンとなるような完全なロックダウンではないにせよ、外出時間帯や距離の制限や、店舗の営業制限などが繰り返されてきました。

 けれど、第2波、第3波のロックダウンに際しては、政府からの携帯へのメッセージが送られてくることはありませんでした。

 そして、2回目の政府からのメッセージが送られてきたのは、今年の6月22日のことで、「もしも、まだワクチン接種が済んでいない場合、また、もしもワクチン接種の予約が取れていない場合は、こちらのサイトをご覧ください、または、こちらに連絡するか(電話番号記載)、かかりつけの医師に相談してください」という内容のメッセージでした。

 それは、すでにワクチン接種が開始されて、フランス人が夏のバカンスに出る直前のことで、その時点では、フランスのワクチン接種率が上げ止まりになっていた時期でもあり、ロックダウンは解除になっている中、デルタ変異種が依然として猛威を振るい続けていたこともあり、昨年の例を鑑みて、国民がバカンスから戻る秋には、第4波を迎える危険性を政府が深刻に受け止めていることがうかがえました。

 しかし、その後、7月上旬にヘルスパスが日常生活に適用されることが発表され、事態はあっという間に変わっていきました。

 ヘルスパス適用に関しては、PCR検査の陰性証明書も認めるとしながらも、かなり強引な内容ではありましたが、結果、ヘルスパスが適用されることにより、一時は、低迷しかけていたワクチン接種率は再び、大きく上昇し始め、また、ヘルスパスによる人の集まる場所での入場制限により、より明確な感染対策が行われることになり、100%安全とは言えないまでも、安心して、人の集まる場所での日常生活を楽しめるようになりました。

 まだまだ、先はわかりませんが、結果、「秋には第4波を迎える」と言われていたフランスは、9月に入ってからは、患者数の減少が続いており、陽性率は7月中旬以来最低の1.5%にまで下がっており、第4波の危険を考える事態どころか、今は、ヘルスパスによる制限の緩和の検討を始めています。

 フランス人は日本のように曖昧な制限で従順に自粛する国民ではないので、今回のような強行的なやり方がやはり、必要であったように思います。駄々をこねる子供をより具体的でわかりやすい規則で導いていく・・そんな感じです。

 しかし、どちらにせよ、政府はこの緊急事態に際して、より具体的でわかりやすい内容の方針を示し、国全体を導いていくことは重要なことだと思います。

 現在のフランスは、「現状にルールを適用させていく」という、かねてからの公言どおりに対応していくためには、今度は、この「ヘルスパス」による制限を緩和させていくことを求められています。

 感染悪化に対応しているはずだった秋に、代わりに「ヘルスパス」の緩和を検討する事態には、フランス政府にとっては、恐らく嬉しい悲鳴であるに違いありませんが、まだまだウィルスが絶滅したわけでもない中、また一歩、間違えれば、逆戻りの崖っぷちであることには変わりはありません。

 一つ一つの政府の決断が大きく現状を変え、国民は政府に命を委ねていることを感じずにはいられません。


フランスのヘルスパス


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「10週連続のヘルスパス反対デモと3,000人の医療従事者の停職処分と戻ってきた日常」

2021年9月19日日曜日

10週連続のヘルスパス反対デモと3,000人の医療従事者の停職処分と戻ってきた日常

 

すっかり戻った日常を皆がゆったりと楽しむパリの光景

   

 ヘルスパス(ワクチン接種2回済み証明書、72時間以内のPCR検査陰性証明書、6ヶ月以内にコロナウィルスに感染した証明書)による公共の場所(レストラン・カフェ、文化施設、娯楽施設、商業施設(2万㎡以上の施設)等)への入場制限を行う規制が発表されて以来、このヘルスパスに反対するデモは10週目を迎えました。

 また、9月15日からは、医療施設で働く医療従事者(病院、高齢者施設、民間介護、ホームヘルパー、消防士、救急隊員など)に対しては、ヘルスパスだけではなく、ワクチン接種の義務化が正式に法的に執行され、この時点で1回目のワクチン接種が済んでいない(または、予約もない)人々は、停職処分となり、実際にこの時点で、3,000人が停職処分となったことが発表されています。

 この処分に関しては、同日、オリヴィエ・ヴェラン保健相は会見を行い、3,000人の停職処分により医療体制が逼迫することはなく、これまでどおり医療のケア体制は確保されていることを発表しています。

 また、この停職処分は一時的なものであり、これらの処分に該当した者は、医療に直接関わる人々ではなく主に医療をサポートする仕事に携わっている人であることも加えて説明し、国民の動揺を抑えています。

 この医療従事者に対するワクチン接種義務化後、初めてのデモということもあり、また、先週行われたデモが動員数自体は減少したものの、一部が暴徒化したことから、一部地域では、予めデモが閉鎖される措置が取られていました。

 このため、10週目のデモは、相変わらず行われてはいたものの、大きな問題もなく、動員数も先週よりもさらに減少し、現在の時点では、デモが沈静化の傾向にあると言えます。

 現実に、フランスは、すでにこのヘルスパスによる効果が顕著に数字として現れ始めており、ワクチン接種率は81.7%にまで上昇し、感染者数も入院患者数、集中治療室の占拠率も全てが減少しており、一部、デモが起こっている場所を除けば、街は、本当に平和な日常を取り戻しています。

 ここのところ、土曜日はできるだけ外出しないようにしていた私ですが、たまたま用事ができて、土曜日の午後にノートルダム寺院の近くに出かけたのですが、一時は、ロックダウンが解除されたとはいえ、飲食店も閉ざされたままで死んだような街だった辺りの様子を見ていた私には、ごくごく日常の午後のひと時を皆がゆったりと楽しむ姿に、ちょっとうるうるしそうな感慨を覚えたのでした。

 マクロン大統領も16日の段階で、フランス全体でのワクチン接種が5,000万人のしきい値を突破し、ヘルスパスによる効果が具体的に数字に現れ始めていることを述べ、現段階では、時期尚早としながらも、「ウィルスの循環が遅くなってきている地域から、特定の制約を解除する準備ができている」と発表しています。

 もはや、ワクチン接種を済ませている人にとっては、ヘルスパスを提示することだけで、かなりの制約は排除されているわけで、それ自体も感染がこのまま減少を続け、ワクチン接種率がさらに上昇を続けていけば、ヘルスパスの提示で入場制限をする必要もなくなり、本当に元どおりの日常にさらに近い日常が戻ってくる可能性があることを示唆しているのです。

 マクロン大統領のこの発表は、デモを計画している人々に釘を刺したという意味もあったかもしれません。

 もっとも、全世界が足並み揃えて、この状況というわけではないので、観光客が多いパリなどは、また、観光客対策として、何か別の感染対策が求められることも考えられます。

 しかし、学生の多い地域であると同時にいつもなら観光客で賑わう(というよりごった返す)ノートルダム寺院界隈などは、フランス国内、また近隣のヨーロッパ各国からの観光客は、少しずつ戻りつつあり、ザ・お土産屋さんのようなお店も再開していましたが、まだまだいつもどおりの観光客は見当たらず、むしろ、地元の住民がゆったりと土曜日の午後を楽しんでいる感じです。

 なんといっても、フランスにとっては、アジアからの観光客が戻らないということは、大打撃なのです。ヘルスパスにより、すっかりフランスには、日常が戻ってきた今、次の課題は、観光客からの感染対策をどう取って、いかに、以前のような観光客を取り戻すことかもしれません。


今はテラス席になっているが、本来ならまともに歩けないほどの人混み


 

一時はこの辺りも全店閉店していたが、元に戻ってよかった・・

 いずれにせよ、ワクチン接種とヘルスパスによる制限で、ある程度の感染を抑え、同時にアンチワクチンやヘルスパス反対のデモを抑えつつ、日常を取り戻しつつあるフランスです。

 現在のところ、フランスは、ワクチンに対して、より伝染性で耐性のある新しい変異体の出現がない限り、このまま感染回避と経済復興の道を進んでいけそうな、そんな楽観的なムードなのです。


ヘルスパス反対デモ パリに戻ってきた日常


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2021年9月18日土曜日

パリの日本の食パンブームの波 Carré Pain de Mie カレ・パン・ドゥ・ミの日本の食パン


左がもちもちしっとり、右がトーストサクサク


 お寿司の全国的な広まりで一気に加速したフランスでの日本食ブームは、ラーメンやうどん、カレーや丼ものから駄菓子に至るまで、とどまることを知りません。

 そして、ここ数年、とうとう本家本元であるはずのパンにまで、日本の食品は、その領域を広げ、ここのところ日本の食パンを扱うお店が急増しています。

 もともとフランス人が最も一般的に食べるのは、日本でフランスパンと呼ばれるバゲットがなんといっても主流ではありますが、どちらかといえば、日本の食パンに近いものとして、パン・ドゥ・ミ(Pain de Mie)と呼ばれる日本の食パンよりは小ぶりの長方形の形のパンをスライスして食べるものがあり、概ね日本の食パンと同じように食べるものではありますが、なぜか、似通っていながら、およそ違うもので、中にはブリオッシュの生地を使ったものなどもあって、生地もどちらかというと粗く、日本の食パンのようなつもりで食べると肩透かしを食う感じになります。

 パンというのはフランス語でもPain(パン)で、それぞれにバゲットとか、パン・ド・カンパーニュとか、クロワッサン、パン・オ・ショコラ、ショッソン・オ・ポム、パン・オ・レザン(正確にいえば、クロワッサンやパン・オ・ショコラなどはパンではなくヴィエノワズィリーと別に分類されます)など、それぞれ別の名前で呼ばれますが、おおよそパンは、その総称のような感じです。

 なので、これまでのフランスのパン文化には、日本人がおそらく一番食べているであろういわゆる日本の食パンなるものはフランスには存在していませんでした。あれは、日本が生み出した日本人が好む形に日本独自に改良されて広まっているものです。

 しかし、その日本の食パンが最近は、逆輸入のような形でフランス人にも受け入れられるようになり、日本の食パンを扱うお店がちらほら登場するようになりました。

 以前、「日本のパン屋さん」と銘打ったAki (Boulangerie Aki )ブーランジェリーアキが大成功を収めたという話をご紹介しましたが、Akiは、日本の食パンからカレーパン、メロンパン、アンパン、サンドイッチからお弁当まで売っている今やパリ市内に姉妹店を何店舗も抱えるお店に成長しましたが、今度は、また別の地域で「日本の食パン」に特化した別のお店が大人気になっています。

 このお店「Carré Pain de Mie (カレ・パン・ドゥ・ミ)」は、パリの中心地・4区のパリ市庁舎から遠くない場所にあり、日本の食パンをメインに販売しています。一見、パン屋さんなの?と見過ごしてしまいそうな目立たない店構えではありますが、結構、繁盛しています。

  

ちょっとパン屋さんらしくなく目立たないけどパン屋さん

 このお店の食パンには、「Carré Mochi Mochi Shittori(もちもちしっとり)」と「Toast Sakkuri(トースト さっくり)」の2種類の食パンがあり、食パンとして、そのまま店頭販売もしていますが、卵サンドやツナ、ハム、ポテトサラダ、カツなどが挟んである日本のサンドイッチやBLT、フルーツサンドやトースト(エシレバターとジャム付き)などが店内で食べられるようにもなっています。

 このお店のメニューには、全てこの食パンが使用されており、お値段は、店内で食べるとトースト1枚7ユーロ(約900円)、サンドイッチ類は、8ユーロ(約千円)から20ユーロ(約2,600円)となかなかなお値段です。

  

店内メニューの一部

 サンドイッチの一部は、テイクアウトも可能です。

 私個人としては、サンドイッチにこれだけのお値段を払う気はなかなかしないのですが、普通に店頭で販売している食パンは一斤、3.5ユーロ(約450円・トーストさっくり)と4ユーロ(約500円)で許容範囲内です。

 このお店では、この食パンを一つ下さいと言うと丸々一本のことになるので、半分(Demiドゥミ)が一斤分の大きさになります。また、スライスしますか?と聞かれて、そのまま頼むと、サンドイッチにするには、少し厚く、トーストにするには少し薄い感じの厚さになるので、トーストにしたい場合は、少し厚めに、サンドイッチにしたい場合は、少し薄めに切ってくださいとお願いしたほうが良いかもしれません。(あくまでも私の好みですが・・)

 このお店は10時オープンとパン屋さんにしては、開店が遅いのですが、10時開店と同時に食パンは購入可能ですが、スライスを希望する場合は、焼きたてはスライスできないため、11時以降においで下さいとのことでした。

 食いしん坊の私は、両方食べてみたい!と両方を食べてみましたが、私のおススメは断然、「もちもちしっとり」の方です。

 特にトーストする前のふわふわで滑らかで、それでいて、しっとりもちもちした食感と癖のなさは、ちょっと感動もので、真ん中の白い部分は、大切に扱ってあげないと、崩れてしまいそうな滑らかさと優しさで、パンを赤ちゃんを触るみたいに愛おしく扱ってあげたくなります。

 またパンの耳の部分もしっとりとしていて食べやすく、おそらくパンの耳が苦手という方でも美味しく頂けるような、こんなパンの耳、食べたことない!およそパンの耳とは違う食感で、パンの耳を切り落とすことがもったいないと感じさせるようなパンの耳です。(パンを紹介するのにパンの耳を絶賛するのも変ですが・・)

 トーストにする場合は、このしっとり加減を損なわないように、比較的高音で、サッと焼くのがおすすめです。

  

トーストにエシレバターを塗って・・お店で食べたら、1枚7ユーロ

 生(トーストにせずにということ)で食べても、トーストにしてもどちらも絶品ですが、まず、買ってきたら、生で食べてみると、2度感動を味わうことができます。

 日本でも食パンブームとかでやたらと高級な食パンが売れているようですが、フランスでもまた、日本の美味しい食パンを楽しむことができるようになりました。

 Aki の食パンも美味しいのですが、このCarré Pain de Mie カレ・パン・ドゥ・ミの「しっとりもちもち」の食パンもなかなかの感動ものです。

  

店内に置かれている食パンについての説明がき

 そもそもパンが主食のフランスは、おそらく原料の小麦粉も厳選されたものであれば、かなりの品質のものが期待でき、それに加えて研究、改良を重ねて作り上げられたフランスでの日本の食パンは、さらに他の店舗で作られているものにもなかなか期待できるものではないかと、これからもフランスでの日本の食パン探しは楽しいものになる気がしています。

Carré Pain de Mie カレ・パン・ドゥ・ミ 店舗のサイト


日本の食パンブーム パリ


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2021年9月17日金曜日

ユニクロ パリ・リヴォリ店オープン ルーブル美術館・日本文化とのコラボ

   


 パリにユニクロが初上陸したのは、2007年12月のことでした。あの頃は、フランスでは、ユニクロは今ほど有名ではなかったので、ユニクロフランス上陸!1号店がラ・デファンスにオープン!というニュースを聞いても、「へぇ〜ユニクロ、フランスにもできるんだ〜」くらいであまり感動もなく、おまけにやはり日本の製品、値段も日本で買った方が安いので、ユニクロは、日本に行った時に買うもの・・当時は私にとってパリのユニクロはそんな感じでした。

 パリの1号店をオープンした当時は、店員の教育も日本式で、テキパキと仕事を黙々とこなすような仕事ぶりをフランス人の店員に進め、レジに人が並んでも、他のお店よりは、格段に早くレジが進むことや、店内の展示品を休むことなく、きれいにたたみ直して、整理整頓を常に行うという日本では当たり前のことが、なかなかフランス人の店員には受け入れ難かったようで、従業員は長続きせずに、四六時中、ユニクロは従業員を募集していた記憶があります。

 あれから、13年以上の月日が流れ、ユニクロは、比較的庶民的な価格設定のわりには圧倒的なクォリティの高さに絶対の信頼を築き、一時は他のメーカーで類似品を続々と売り出したりもするほどでしたが、ユニクロの地位は揺るぐどころか、どんどんフランス国内でも勢力を拡大し、パリ市内だけでも14軒もお店を構える人気店に成長しました。(フランス全体で24店舗)

 そして、2021年9月16日、14軒目のユニクロのお店がパリの中心地リヴォリ通り沿いのサマリテーヌの一画にオープンしました。

 

ユニクロ新店舗正面入り口

  

入り口すぐに開店セール・カシミアセーター全品10%オフ

 ユニクロは、2021年よりパリ・ルーブル美術館とパートナーシップ契約を結び、特にこのリヴォリ店に関しては、ルーブル美術館の多くのアートを取り込み融合させ、日常生活の中心に据えるというコンセプトを展開しています。

 このリヴォリ店のユニクロの使用しているスペースは、広すぎず、狭すぎない3フロアから成り立っており、何よりもサマリテーヌの建物の一画を使っているために、荘厳な歴史的建造物の中にあり、外壁の大理石やモザイクのタイルなどもサマリテーヌと同じものが使われており、ユニクロのお店のイメージが、ランクアップされたように印象付けられています。

  

外壁の大理石や上部のモザイクのタイルはサマリテーヌと一緒

 また、店内には、モナリザのパネルやミロのヴィーナスのオブジェなどが飾られ、ルーブル美術館UT(UNIQLO Tシャツ)コレクションの新デザイン(モナリザのTシャツ)が独占販売されています。

  




 また、日本文化との融合ということなのか、フランスでも人気の作家・村上春樹さんの小説がテーマになったTシャツなども彼の本と共に展示されていたり、パリの日本文化振興会の方々が、日本茶の振興のためにお茶を振る舞っていたり、まさにフランスと日本文化の融合を感じさせるスタートです。

  

村上春樹のコーナー

 しかし、おそらく、その他の商品構成は、一般のユニクロの店舗と変わることなく、フランスのお店にしては、小さいスペースに商品数は多く、色とりどり、きれいに展示され、平日昼間というのに、オープン初日ということもあってか、なかなかの人出、しかも、見るだけでなく、しっかり買い物をしている人が多く、早くも大成功の兆しがうかがえます。

  

見るだけではなく、ちゃんと買い物している

 ユニクロの1号店オープンの際には、レジの行列を早く進めることが課題の一つだったようですが、現在、リヴォリ店でのレジは、人が介するレジと、セルフレジ、しかも商品を入れるだけで、全てスキャンして自動計算されるオートレジシステムが導入されていて、お店の人に尋ねると、そのオートレジの使い方を得意げに説明してくれました。

  

セルフ・オートレジ

 ユニクロがヨーロッパ進出に参入した際にライバル視していたのはGAPやZARAなどでしたが、GAPのお店は、今やほとんどの店舗がフランスから撤退してしまいましたが、皮肉なことに。このリヴォリ店の正面にはZARAのお店があります。

 斜向かいくらいには、C&A(同業の衣料品店舗)の店舗(ユニクロよりも大きなスペースをとったお店)がありますが、こちらは気の毒なくらいガランとしていて、ユニクロの開店と共に大きな煽りを受けそうな気配が漂っていました。

 パリのリヴォリ通りは長い通りですが、ことさら、この近辺は、買い物のメッカとも言えるような、ありとあらゆるブランドのお店が立ち並ぶ通りで、おそらく、そのリヴォリ通りの中でもサマリテーヌ(先日、16年ぶりに再開したパリの老舗デパート)のある一画は、最もポピュラーでロケーション的にも抜群の立地を誇っています。

 ここに新たにオープンしたユニクロの新店舗、広すぎないスペースを有効に上手に活用し、しかも、その立地条件でそのブランド自体をワンランクアップしたイメージを抱かせ、しかも値段は、他店舗と同じで(日本とは違うと思いますが・・)、ルーブルとコラボの限定品の独占販売とますますもって、見事な戦略。

 ワンランクアップしたイメージながら、キラキラしすぎない、背伸びし過ぎを感じさせることなく安定した部分もしっかり見せつつも着実に進化しているのは、さすがとしか言いようがありません。

 ルーブルとのこの独占販売Tシャツは、パリに来る観光客にも注目されることは間違いなく、この新店舗のオープンに、ユニクロの一層の繁栄が見えるような気がしたのでした。


パリ・ユニクロ


⭐️ユニクロ・リヴォリ通り店(UNIQLO RIVOLI)

67 Rue de Rivoli 75001 Paris  毎日10:00~20:00

メトロ 1号線 Louvre-Rivoli駅、7号線 Pont-Neuf駅、

    1.4.7.11.14号線 Châtelet駅 12番出口より徒歩1分



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2021年9月16日木曜日

ファラフェル激戦区 パリ・マレ地区の美味しいファラフェルのレストラン2選

  


 パリでのファストフードといえば、サンドイッチかハンバーガー、ケバブ、そしてファラフェルです。現在の日本の様子はよくわかりませんが、私はパリに来るまでは、ファラフェルというものを日本で食べたことはありませんでした。

 ファラフェルは、ひよこ豆をすり潰して、パセリやコリアンダーなどの香辛料を混ぜ合わせて丸めたものを油で揚げたもので、トマト、オニオン、きゅうり、紫キャベツ、ピクルス、揚げナスなどの野菜とともにフムスやサワークリーム(ヨーグルトクリーム?)のようなソースとピタパンと共に食べる(ピタパンに挟んでサンドイッチのように食べる)中東のお料理です。

 メニューによっては、それに肉類が添えられていますが、基本的にファラフェルは、ミートボールのようでありながら、原料はひよこ豆であり、ベジタリアンにも食べられるヘルシーな人気メニューです。

 パレのマレ地区(パリ4・3区)は、パリで最初のユダヤ教会が作られた場所であることから、ユダヤ人の多い地域で、マレ地区だけでも一体、何軒のファラフェルのレストランがあるかと思うほどのファラフェル激戦区です。

 価格も比較的安いことやベジタリアンにもOKだったり、ヘルシーなわりにはボリュームがあるこのファラフェルは、特に若者を中心に大変に人気のある食べ物で、食事時には、大行列ができています。

  


 中でも、恐らく一番人気は、L'As du Fallafel というお店で特にファラフェルのピタパンを使ってのサンドイッチのテイクアウトのための行列は途絶えることがありません。これは、周囲のファラフェルレストランが気の毒になるほどで(といっても、他のお店にお客さんがいないわけではありませんが・・)、このお店は開店と同時に行列用のロープが張られ、長い時間帯、行列の長さが変わることはないほどの人気店です。

  

ファラフェルのサンドイッチ・円錐形の紙に包んで、フォークを添えてくれます

 私は、たまたま友人が近くに住んでいるために、マレ地区に出向くことが多いのですが、近くには、ピカソ美術館や古い街並みがそのまま残されながら、様々なアーティストのアトリエやギャラリーも多い地域で、入れ替わりも激しく、常に新しいものと古いものが混在する魅力的な界隈です。

 そんなマレ地区で一際、目立つのがこのファラフェルレストランで、この地域では他のファストフードがかすんで見えるくらいです。

 恐らく、この一番人気のお店は、一番コスパ(値段と味の両方)が良いのだと思いますが、テイクアウトのこのシンプルなファラフェルのサンドイッチは、テイクアウトなら、6.5ユーロ(850円程度)とパリでの外食としては、かなり安い、しかもフランス人がこだわりたがる手作り、ホームメイドでオリジナルなメニューが人気を呼んでいるのだと思います。

 天気の良い日などは、こんなファラフェル片手に外で気ままに食事するのは、レストランの中で食事をするよりも、まことにフランス人の好みそのものなのです。

 私は、周囲のファラフェルレストランを制覇したわけではありませんが、友人が勧めてくれた「ここがパリで一番美味しいファラフェルレストラン」と太鼓判をおしてくれたKING FALLAFEL PALACE というレストランのものがやっぱり美味しかったのです。

 一番人気のレストランよりは、値段も多少、上がりますが、パリでの外食としたら、決して高いものではありません。ファラフェル自体も外側がカリッと中はふっくらと仕上がっていて、カリッと口に入れるとフワッと微かな香辛料が香ります。

  


 結構、ボリュームがありますが、ほぼ野菜のこのメニュー、思ったほどには、お腹にズシンとくることもありません。ファラフェルに添えられたたくさんの野菜がとれることも魅力的でお腹がいっぱいになるわりには、罪悪感がありません。

 パリにいらっしゃることがあれば、ビストロや星付きレストランのフレンチも美味しいですが、パリジャン、パリジェンヌに人気なこんなファストフードを試してみるのも楽しいかもしれません。


ファラフェル パリ


⭐️L'As du fallafel  

 34 Rue des Rosiers 75004 Paris 🚇1号線Saint paulより徒歩2分


⭐️KING FALAFEL PALACE

 26 Rue des Rosiers 75004 Paris 🚇1号線Saint paulより徒歩2分





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2021年9月15日水曜日

大学・高等教育機関でのイベント・パーティーにもヘルスパス

   


 小・中・高校は既に夏のバカンスを終え、授業が再開していますが、大学以上の高等教育機関での講義はこれから徐々に再開されます。

 これらの大学以上の高等教育機関は、パンデミック以来、長いこと対面授業が回避されていた期間も長く、今年度の初めから、ようやく対面授業が再開されます。大学の対面授業には、ヘルスパスの提示は義務付けられてはいないものの、久しぶりに本格的に対面授業が再開され、学生同士が集えば、当然、予想されるのは、学生同士のイベント・パーティーの再開です。

 この事態を目前にして、高等教育大臣フレデリック・ヴィダルは、学生の行うパーティー・イベントの開催に際しては、ヘルスパス提示義務の対象となることを発表しました。

 彼女は、パーティーやイベントをやみくもに禁止するのではなく、敢えて許可する道を選んだとしています。


 これにより、校内、あるいは施設内でのイベント・パーティーに際しては(週末の集まりも含む)、事前申請の届出が必要となり、参加者はヘルスパス(2回のワクチン接種証明書、72時間以内のPCR検査の陰性証明書、6ヶ月以内にコロナウィルスに感染した証明書)の提示が必要になります。

 「学生同士が関わり合う必要性と全ての人の健康と安全との間の公正なバランス」を追求するための手段の一つとしてのキャンパスライフでのヘルスパスの導入と、施設の収容能力の75%を超えてはならず、マスク着用が推奨されています。

 そのため、大学では、学生会主催の祝祭活動、講義・研修などとは関係のない文化・スポーツ活動、外部の参加者を受け入れるスタッフが50人を超える科学セミナーや会議などについても同様の措置が取られる見込みです。

 クラス内に感染者が出た場合は、小・中・高校の規則と同様に感染者は隔離、接触者に関しては、ワクチン未接種の場合は、一定期間の隔離が求められます。

 この措置は、感染対策の措置としては、ある程度は有効ではあるとは思いますが、学生同士が行うパーティーを全て取り締まることができるわけでもなく、大っぴらにはできないだけで、いくらでも抜け道は考えられ、ましてや重症化のケースが比較的少なく、歯止めの効きにくい年代の若者たちによる感染拡大の危険性を充分に避けられるとは考えにくいと思います。

 もともと、罰則のないルールはルールではないようなところがあるフランス人の、しかも、若い世代の統制は、そんなに簡単ではありません。

 大学が始まると絶対、パーティーが始まるから釘を刺した。しかし、抜け道はいくらでもあり、パーティーなどをやらないわけはありません。

 何もしないよりは、マシではありますが、結果的には、全国的なワクチン接種率の上昇が、最も確実な感染拡大回避の道だと思うのです。

 パンデミックにより、若者には若者の、年長者には年長者の大切な時間が失われてきました。これ以上、パンデミックを長引かせないためにも、あともう少し、私たちは、感染対策をとりながらの生活を続けなければなりません。

 すっかり日常モードのフランスですが、まだまだ気を緩めるわけにはいかないのです。


大学 パーティー ヘルスパス


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