2023年9月7日木曜日

新年度早々に、いじめを苦に自殺してしまった15歳の少年

  


 先月、新年度を前にフランス政府(文部科学省)は、増大していく、いじめ問題に関して、「学校を去るべきなのは、被害者ではなく加害者である」と、いじめの加害者を転校あるいは、退学にさせることができる新しい法律を発令したばかりでした。

 しかし、新年度が始まって早々に、いじめを苦に15歳の少年が自宅で首を吊って自殺してしまうという悲劇的な事件が起こってしまいました。

 この被害者の少年は、長い間、いじめのターゲットとなっており、昨年12月には、この少年に対するいじめが報告され、今年3月には、学校側が、複数の加害者とその保護者、そして、この被害者の両親を呼び出し、話し合いが行われていました。

 4月には、学校と被害者の両親との間で数度にわたる手紙のやりとりが行われていた模様ですが、この被害者側は、学校側からの対応は満足のいくものではなかったと語っています。

 業を煮やしたこの父親は、警察に訴状を提出したものの、受け付けてもらえなかったと話しています。

 結局、年度末(夏のバカンス前)まで、学校との話し合いは続けられ、学校側は、この被害者の少年のいじめ状況を、CPE(Conseilleur principale d'educaation 教育アドバイザー)が、定期的に監視するという措置をとっていたと言います。

 結局、この被害者の両親は、学校側の対応に不安が拭いきれずに、この少年は、9月からは、別の学校に転校することになっていました。

 文部科学省の出した法令は、結局、この少年に対しては適用されなかったようで、(タイミング的に遅かったこともあるが、)被害者の両親の言い分では、このいじめの事実認定が正確になされていなかったと話しています。

 とはいえ、この少年にとって、新年度からは新しい学校で心機一転というわけにはいかなかったということは、このいじめや嫌がらせが、校内だけでなく、SNS上などにも及んでいた可能性があることが指摘されています。

 しかし、まだまだこれから長い人生が待っているはずの15歳の少年が、自らの命を絶ってしまったという事実、夜、自分の家で首を吊っていたところを発見した両親の気持ちを考えるといたたまれない気持ちです。しかも、さんざん心配な状況をなんとかしなければならないと奔走していただけに、許せない気持ちだと思います。

 この加害者になっている子供たちとて、こんな行為に及ぶということは病んでいる状態であることは明白ですが、やはり、あらためて、いじめの問題は、ことさら早く、厳しい対応が必要であることを痛感します。

 納得する対応をしてくれない学校、訴えを受け付けてくれない警察。さんざんいじめに遭っていた少年の心は弱っており、SNSで無限に拡散されるいじめもあったとしたら、もう耐えられないと思ってしまったかもしれません。

 未成年ということで、厳罰化ができないという側面もあるかもしれませんが、最近の未成年の犯罪(いじめも犯罪)は、目に余るものがあり、未成年とて、厳しい措置をもって、早急に対応することが必要なのかもしれません。

 フランスでの未成年の事件では珍しいことではありませんが、この被害者の両親は、前日に息子が自ら命を絶ってしまったというのに、気丈にもテレビのインタビューに答え、「今、すぐになんとかしなければいけないのは、アバヤの問題などではなく、いじめの問題に対する確固とした対応です」と訴えていました。


フランスのいじめ問題


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2023年9月6日水曜日

フランスの大人気ユーチューバーのマクロン大統領独占インタビュー 24時間で100万回再生突破

  


 フランスの人気ユーチューバーの一人である通称ユーゴ(Hugo Travers氏)が新年度が始まる日のタイミングを狙って、「若者の将来」を中心としたテーマで、マクロン大統領への独占インタビュー映像が、当日、午後6時にYouTube、TikTokで同時に配信され、話題を呼んでいます。

 彼は、TikTokで500 万人以上、YouTubeで200 万人以上の登録者を抱える、特に若者に大きな影響力を持つ人物でもあります。若干、26歳の彼の位置づけは、もはやユーチューバーというよりも、ジャーナリストと呼ぶにふさわしいもので、毎日毎日、国内はもとより、世界中のニュースを抜粋して、客観的に解説して伝え、10分程度に編集されている彼のYouTubeは私もほぼ毎日、視聴しています。

 私が彼のニュースを好んで見ているのは、あくまでニュースが客観的に伝えられているためですが、マクロン大統領を始めとする政治家たちや、時代を動かしているような著名人に対するインタビューなどの中に彼の確固とした信念が感じられることでもあります。嫌みの感じられない好青年の印象です。

 日々のニュースの中で話題になりそうな問題については、SNSを通じてアンケートをとったり、また、それをInstagramなどでさらに、詳しく解説したりしながら、特に若者に関係するテーマに熱心に取り組んでいます。

 いわゆる○○チャレンジ・・とか、エンタメ系ではないユーチューバーがこれだけ人気があるというのも、政治の話題が好きなフランス人らしいところではありますが、このような若者からのインタビューや対談などでも、政治家が力強く自分の言葉で語るところなどには、日本にも、このような場面があったらいいのに・・と思うところでもあります。

 今回のインタビュー映像は、忙しい大統領が2時間以上、彼の質問に答えながら語るというもので、フランスでは、急上昇ランク1位、24時間以内に100万回再生を突破しています。

 数々のインタビュー依頼があるにもかかわらず、このタイミングで彼のインタビューを受けた大統領の側の意気込みが感じられるほどに、ものすごい熱量で、白熱して話続けるマクロン大統領の勢いを、若い彼の方が冷静に、しかし、適格に進行していく様子は、それはそれで、興味深いものでもありました。

 彼は、質問の最初に若者のうつ病が増加していることから、精神科の医師不足などの問題から始まり、今、話題になっている公立校でのアバヤ着用禁止問題や制服について、学校のバカンス短縮問題から、子供へのスポーツの重要性や環境問題の一環として、49ユーロで公共交通機関への無制限のアクセスを提供するドイツのモデルと同様の鉄道へのアクセスを促進する措置に好意的であることなどを述べています。

 私はこの内容よりも、日本にはおそらくあり得ないだろう大統領と若者が、若者の、そして国の現状の問題や未来を踏まえて熱く語る姿を羨ましいと思って見ていました。

 私は、マクロン大統領を全面的に支持するわけではありませんが、少なくとも、こうして若者に対して、もう止まらないと思うくらい熱く語る国のリーダーをいいなと思うし、そして、適格に社会の動きを捉えながら、多くの若者の言葉を代弁して大統領からの話を引き出す若者の存在を好ましいと思うのです。

 日本のYouTube業界には詳しくないものの、思い浮かぶのは、スキャンダルを暴くことで爆発的な人気を博したユーチューバーが国会議員になったものの、あっという間に消えていったという出来事で、正当に国をよくしていくような政治家からの若者への歩み寄りも、それにぶつかっていこうとする若者も日本には、見られないのは、残念なことです。


フランス人気ユーチューバーのマクロン大統領インタビュー100万回再生


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2023年9月5日火曜日

パリの国立自然史博物館はレイアウトもライティングも含めて美しい・・

  


 パリの国立自然史博物館は、オーステルリッツの広大な植物園の中にあります。

 国立自然史博物館 (MNHN) は、自然、生命科学、地球科学、人類学の教育、研究、普及を目的として1793年に設立された、この種の施設としては、世界最古の施設の一つでもあります。

 かなり前に友人が子供を連れて、パリに遊びに来た時に、その博物館に恐竜を見に行きたいと言って、でかけたことがありましたが、不覚にも、その時の記憶は、友人とのおしゃべりに夢中で、ほぼ記憶がないのです。しかし、この間、近くに来て、なんとなく懐かしくなり、久ぶりに覗いてみたところ、はっきりした記憶はなかったとはいえ、明らかにきれいになっていて、展示品はもとより、照明を含めた全体のレイアウトも素晴らしい、映画「ナイトミュージアム」を彷彿とさせる光景でした。

 この映画の撮影に使われたのは、ニューヨークにある「アメリカ自然史博物館」のようですが、このパリの博物館もなかなか、悪くないぞ・・と、妙に対抗心を覚える私も奇妙なものです。

 アメリカの自然史博物館は行ったことがありませんが、ロンドンにいた頃は、私は自然史博物館の真ん前に住んでいて、何回か行ったことがありました。ロンドンの自然史博物館に比べると(などと書いても、あまり意味がないと思うものの・・)若干、小規模ですが、一つの箱としたら、トータルの美しさを堪能できる芸術性の高い博物館だと思います。

 私の夫はやたらと美術館・博物館の類が好きな人で、特に子供には、やたらと美術館や博物館に連れていきたがり、特に私が休日出勤の時などは、子供たちを連れて出かけるといえば、博物館の類で、娘などは、「え~~また?ミュゼ~~(博物館・美術館)?」などと言うほど、恐らくパリ中の博物館めぐりをしていたと思われます。



 現在は、巨大なクジラの骨が正面入り口に展示され、地上階には、まるで大きな動物(マンモスやカバ、キリン、象などなど)が行進しているように置かれていて、天井は吹き抜けになっており、その四方を囲むように上階が広がっており、時間帯によって変化するライトが神秘的です。



 昔の駅を思わせるような造りなのは、オルセー美術館などとも、共通する感じがあるのですが、やはり、自然史博物館ということで、動物が中心で、一つ一つの動物の解説などに、ビデオやゲームなどが取り付けられていて、小さな子供とともに家族で楽しみながら、動物の起源や習性、その生態などを楽しく学べるばかりでなく、大人がふらっと見て歩くのにも、美しく、デートコースとしても充分満足できそうな場所でもあり、実際にそんな感じのカップルもけっこういました。




 ちょっと腰掛けることができるように置いてある皮張りの椅子なども、いちいち味わいの深いもので、歴史の余韻に浸ることができます。




 現在は、常設展の他にネコ科の動物展を開催していて、猫好きの私としては、う~ん、勇ましいライオンもトラもネコみたいな動きやしぐさをする・・とか、逆に考えればうちの猫もライオンっぽいところがあるのかも?などと思いながら、楽しみました。




 ネコ科の動物展の最後に展示されていたのは、まさかの大きな招き猫だったのも、日本人としては、見事なオチだったな・・と、ちょっと嬉しくなりました。

 家族連れでも、デートでも、ちょっと行き場に困ったら、こんな博物館も楽しいかもしれません。


🌟 Musée National d'Histoire Naturelle

     57 Rue Cuvier 75005 PARIS

     入場料 大人13€、子供10€ 火曜休


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2023年9月4日月曜日

子供のお稽古事はどの程度、必要なのか?

  


 私が子供の頃、やっていたお稽古事は、ピアノくらいなもので、英語は習っていたというよりも、母が教えてくれていたので、お稽古事という感じではありませんでした。

 まあ、時代も国も違うので、今の日本の子供たちがどんなお稽古事をしているのかはわかりませんが、お稽古事をさせる親の立場になってみると、フランスでは年度初めの9月に色々なスケジューの都合をつけて、申し込みをしたり。必要なものを揃えたりと忙しい時期でした。

 なんといっても、私が娘にさせていた最優先にしていたお稽古事?は、日本語(公文)でした。パリの公文の教室は小学校のお休みに合わせて、水曜日と土曜日の午後、好きな時間に行って、みんながそれぞれの課題をやって、それぞれが学習している間を先生が見て下さり、帰りには宿題をもらって帰ってくるというものでした。

 水曜日と土曜日の2日間を公文だけに時間を割いてしまうというのもキツいので、我が家は週1回だけ連れて行って、1週間分の宿題を頂いてくる感じでした。公文が大変だったのは、教室に連れていくことよりも、どちらかというと、その宿題を毎日やらせることで、私は仕事終わりに娘を迎えに行き、学校から帰ってくると私は食事の支度をしながら、公文の宿題を監督するという日々の繰り返しがなかなか根気がいることで、しかし、私は娘の日本語だけは、絶対にあきらめないと思っていたので、他のことは娘にうるさく言ったことはありませんでしたが、このルーティーンだけはけっこう頑なに守っていました。

 フランスの小学校は、この学校以外のアクティビティーのためにということで、水曜日をお休みにしているのですが、実際にお稽古事などの他のアクティビティ・お稽古事などに時間を割いている子供の割合がどのくらいいるのだろうか?と疑問にも思います。

 だいたい、小学生の場合は、どこへ行くにも送り迎えが必要で、送り迎えができない場合はお稽古事に行かせることもできないわけです。私は休日出勤したりした場合の代休は水曜日に充ててもらうようにしていましたが、さりとて、毎週毎週決まって水曜日に休めるわけでもなく、そうなると、水曜日に娘のお稽古事の予定を入れるわけにもいかなくて、どうしても、お稽古事は土曜日に集中することになり、土曜日には、もう一つやらせていたバレエと公文の教室のハシゴをしていました。

 とにかく、平日の学校(月・火・木・金)は、16時半までで、その後は希望者にはエチュードという学校の宿題などを見てもらえる時間があり、それが18時まで、もう時間はいっぱいいっぱいで、他のお稽古事のための時間はありませんでしたし、それ以上、増やすつもりもありませんでした。

 なので、私も水曜日が休める日は、多くの場合はプールに連れて行って、水泳は私が教えました。というと、聞こえはいい?のですが、娘はあっという間に泳げるようになったので、娘をプールに連れていくのは、私自身も泳ぎたかったことや、エネルギーがありあまっている娘をどうにかして、疲れさせることが目的でした。

 バレエは私が小さい頃になんとなく憧れていたので、パリということもあり、また地域のバレエの教室の先生がなんとパリ・オペラ座のソロのダンサーだったというカッコいい先生で、こんな先生に教えてもらえるチャンスなんて、そうそうあることではない!と、娘が4歳くらいの時から通うことにしたのですが、娘はけっこう、気に入って、10年くらいはやっていたのではないでしょうか?

 結局、お稽古事らしいことは、バレエと公文くらいのもので、それ以外は、学校で行った乗馬の合宿がきっかけで、春休みになると、乗馬の合宿に参加したりもしていましたが、これは、不定期なもので、挙句の果てには、もっと別のスポーツをやってみたいと、他のものに移行していきました。

 夫が他界したこともあって、それ以降は、うんざりするほど多い学校のお休みは、とても私一人で面倒を見きれるものではなく、私がお休みをとれる1ヶ月程度を除いた彼女の学校のバカンスを、結局は、彼女がやりたいというスポーツの合宿で埋めることになり、結果的に後になってから考えれば、このおかげで彼女は乗馬、スキー、サーフィン、ダイビング、カヌー、ハイドロスピードなどなど、彼女の年齢にしたら考えられないほどたくさんの体験をすることができてきました。

 お金もかかりましたが、それでも幸いなことにこれらの合宿に参加するための遺族補助金のようなものが国から出ていて、それでも、かなりの出費ではありましたが、私は娘に物を買い与える代わりにこれらの体験をさせることにお金を使いました。

 具体的に何の役に立つというものでもありませんが、多すぎる学校のバカンス期間を休みがとり切れずに仕事に行っている母親を待って退屈しながら時間を過ごすのは、無駄だし、毒だと思っていたのです。

 子供にしろ、大人にしろ、暇だったり、退屈したりしているとロクなことにはなりません。

 娘のお稽古事に関して、一つだけちょっと残念に思うのは、私が小さいときから当たり前のように習っていたピアノを教え続けることができなかったことです。私自身が親からしてもらったことは、当然のように自分の子供にもしようと思って、私は彼女が小さいときにピアノを教え始めたのですが、どんなに走っても疲れない娘がピアノの練習となると、すぐに「手が痛くなってきちゃった・・」とか言い出すので、私は、この子は、そんなにピアノが好きではないんだろうな・・無理矢理やらせるのも労力の無駄・・と早々に辞めてしまったことです。

 しかし、まあ思い返すに、私も仕事をしながらの子育てで、もうスケジュールはいっぱいいっぱいで、あれ以上はムリだったな・・とも思います。

 子供の頃は、言語にしろ、スポーツにしろ、飲み込みが早くて、大人になってからやるよりも、ずっと効率もよいので、好き嫌い、向き不向きがわかるだけでもやってみるということは結構、大事で、どんなことにしても、子供の頃、若い頃に、ちょっとでもやったことがあるということは、その後、大人になってから、再開するにしても、ハードルが下がるものでもあります。

 子供の個性によっても、様々な事情によっても、できること、できないことはありますが、色々なことを体験するという意味では、お稽古事は決して悪くはないかも・・と、思うのです。


子供のお稽古事


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2023年9月3日日曜日

世界が首をかしげる日本のマスコミ ジャニー喜多川性加害問題

  


 日本の大手マスコミの機能不全については、安倍元総理の銃撃事件の際の報道について、フランスでもかなり辛辣に取り上げ、目前に控えていた選挙が終わるまでは、犯人が元海上自衛隊員であったことを強調し、統一教会に恨みを持った人物であったことを公にせずに、日本の大手5大新聞が捜査当局が垂れ流した内容を真実性や臨場感がまるで感じられない全て同じ見出しの記事を一面トップで掲載したことに、これは、もはやマスコミとしての使命感やプライドを失っている状態で、「日本の主要メディアが卵の殻の上を歩いているようなものだ」と評していました。

 この時も、すでに同時点で、統一教会の名前は、すでに初期の段階から、すでに地元のタブロイド紙や海外の新聞によって明らかにされていたにもかかわらず、これを大手新聞社、テレビ等のマスコミは選挙が終わるまでは報じずに、あたかも、取材やってます感をアピールさせるかのごとく、やたらとヘリコプターを飛ばしたり、全力で報道している姿勢を見せつつも、実際のところ、発表するのは、当局の発表どおりというていたらく。マスコミは機能不全に陥っているという見方です。

 最近、公になりつつある「ジャニー喜多川の性加害問題」についても、過去に裁判で性加害が認められていたにもかかわらず、その後、ほぼ見て見ぬふりをし続けた同事務所はもちろんのこと、報道、追及しなかったマスコミ、警察も同罪で、この恐ろしい性加害は、裁判後も長く続くことになってしまいました。

 今回の騒動に発展したのも、BBCが報道してくれたおかげで、それをきっかけに、性加害の犠牲者が顔出しで外国人記者クラブで記者会見したことで、しぶしぶ日本も報道を開始したようなもので、その後、国連までが動き出したことにより、とうとう報道しないわけにはいかなくなった感じで、日本国内での問題でも、海外に訴えなければ日本のマスコミは動かないということが露見したかたちになりました。

 この事件がもし海外で起こったら、その企業に加担した企業はどうなるのか?どういう扱いを受けることになるのか?  海外ではあたりまえの基準を日本も少しは踏まえなければ、国際的に、日本は、とんでもない国としての烙印を押されることになります。

 現在は、それでもネットがあるおかげで、日本人でも訴えたいことは、ネット上の番組やYouTubeなどで、公開されているので、色々な声を聴くことができますが、ネット上の番組などで語っている人々は、これがテレビだと絶対にカットになるとか、こんなことを話したら出演NGになるなどと平気で言っているので、どれだけテレビも規制がかかって、本当のことを言えない場であるのかがわかるような気がします。

 ただでさえ、新聞離れ、テレビ離れと言われている今、真実を覆い隠した報道ばかりでは、読者、視聴者が離れていくのは当然のこと、忖度なしに真実を伝えてくれる場に移行していくのは、致し方ないことです。

 そもそも、世界的にも前代未聞の大スキャンダルをひた隠しにした挙句に海外メディアが取り上げ、国連が動いて、日本をすっ飛ばして、先に海外に日本国内での惨状が日本のマスコミの無能ぶりとともに拡散されるという最悪のシナリオは、いつまで続くのでしょうか?

 とりあえず、この日本の報道のシステムが改善されるまでは、何か訴えたいことがあれば、外国人記者クラブに訴えかけ、世界規模で問題にしてもらわない限り、日本のテレビやマスコミは芸能人の不倫とか、どうでもいい内容の報道に終始して、肝心なことは伝えてくれない全く意味のない機関となり下がったままです。


ジャニー喜多川性加害問題 日本のマスコミ


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2023年9月2日土曜日

日本のデパートの60年ぶりのストライキにフランス人もビックリ!

  


 私がフランスに来たばかりの頃、あまりのストライキの多さに私はあきれ返って、「気に入らないことがあるたびに、ストライキして、これでは駄々っ子みたいではないか!これがまかりとおるなんて・・」と憤懣としていました。

 もちろん、誰もかれもがストライキができるわけではなく、公務員やそれに準ずる仕事に携わる人のストライキが多く、直接、一般市民が被害を被るのは公共交通機関や学校、病院くらいのもので(最近では、ゴミ収集やガソリンスタンドなんていうのもありましたが・・)、ストライキなんて、通用しないところだって、たくさんあるし、それこそ、そういう人こそ、やってられない・・と思っているのでしょうが、もうストライキはすっかり当然の権利として社会に根付いているので、実害を被りながらも、「こういう抗議行為も必要なことだ・・」という認識も同時に存在して、文句を言いつつも容認しているようなところもあります。

 私がフランスに来たばかりの頃に、あまりのストライキの多さに驚いたのは、それは、日本では、あまりこのようなストライキに遭遇することがなくなっていたということでもあり、ストライキのない世界が当然のようになっていたからです。

 しかし、私がフランスでの生活に慣れてきたこともあるのか?また、あまりにも日本が変わらないどころか停滞している様子を外から眺めているせいか? やっぱり、こうして何らかの手段を用いて、抗議したり、主張することが日本にもあってもいいのではないか?と思うようになりました。

 ここへきて、先日、「東京の百貨店が60年ぶりのストライキ!」というニュースをフランスで報道しているのを見てびっくりしましたが、おそらく、フランス人はこのニュースを見て、「ストライキが60年ぶり!」というところに驚いたと思います。

 フランスでは、それこそ日常茶飯事のように起こるストライキというものが、「60年ぶりってどういうこと?」、「そんなことってあり得るの?」・・そんな感じだと思います。

 「東京のデパートで極めて珍しいストライキ!」とか、「日本のテレビは、60年ぶりのストライキをヘリコプターまで飛ばして、上空からも含めてライブ中継で報道した!」とか、なかには、「日本人もフランスのように抗議せよ!」なんていうタイトルの記事もありました。

 フランスでも、「日本人は黙ってガマンする」というイメージはあるようで、実際に、以前、フランス人の同僚から、「日本人は黙ってガマンするからいけないんだ!」とハッキリ言われたこともあり、抗議しない=受け入れることであり、抗議するべきことは、言わない方が悪いということで、その時は、「そうは言っても・・」と、人間関係をギクシャクさせたくないとか、当時の私は、それこそまさに日本人そのもののような感じでいたのです。

 でも、それは特にフランスの社会では通用しないことで、大げさに言えば、言うべきことは言わないと生活していけないわけで、ずいぶん私も黙ってはいないようになりました。このようなことにもフランス人は慣れているので、けっこう言いたいことを言ったとしても、あとは、わりとカラッとしているところもあり、むしろ、とことん話すことをあまり不快には思っていないのです。

 なので、今回は同社の米投資ファンドへの売却による厳しいリストラへの懸念という大きな節目であったとはいえ、これまでも様々な問題があったであろうに、60年間も黙ってたの? 私がフランスに来たばかりの頃に思った、なんでストライキばっかり?と思った逆バージョンで、なんで?そんなに黙ってるの?ということで、「日本人もフランス人のように抗議せよ!」となるのです。

 しかし、これは、今となっては、私自身も日本に対して感じることでもあり、もっと日本人は、言うべきことを言い、抗議するということをしなければいけないのではないか?と思うのです。

 無責任な話ではありますが、日本の労働組合は、フランスの労働組合に視察に来てみたらどうだろうか?とさえ思います。それこそ、ストライキの必要性について、熱く語ってくれることでしょう。

 何も、フランスのように、暴れたり、破壊行為までする必要はありませんが、マスコミも含めて、社会問題を世間に知らしめることは、社会にとって必要なことだと思います。

 日本社会の文化としては、あまり、ことを荒立てるのは、好まれないことはわかりますが、「黙ってガマンする」のは、日本人の美徳でもありながら、時として、「言うべきことは言う、抗議する」ということも、特に現在の日本には必要なことなのではないかと思うのです。

 ほんと、日本とフランス、足して2で割るとちょうどいいのにな・・と思うことはよくあります。


60年ぶりの日本のデパートのストライキ


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2023年9月1日金曜日

ダイアナ妃の命日 アルマ橋にある記念碑には、今もお花が絶えることはない

  


 8月31日という夏の終わりを告げるような日は、ダイアナ妃がパリでの悲劇的な事故で亡くなった日で、私もその日のことをぼんやりと覚えています。

 なんとなく、ぼんやりと夏の終わりだった気がするものの、当時、私はアフリカに住んでいて、ほぼ一年中が夏のような暮らしだったのですが、8月ももう終わりという区切りのタイミングだったために、なんとなく、夏の終わりだったことを覚えているのです。

 あの日は、家にいて、つけっぱなしになっていたテレビはたしか、CNNのニュースだったと思うのですが、何か別のことをしながら、見ていたというよりは、眺めていた感じだったので、突如、ダイアナ妃の映像に切り替わり、映像の下には、Diana Spencer(1961~1997)と記されていて、生まれた歳はともかく、「なんで、1997で閉じられているのだろうか?」と一瞬、考えてから、「えっ??まさか??」と思ったことを思い出します。

 あれから、しばらくして、我が家はパリに引っ越すことになり、その後にアルマ橋には、ダイアナ妃を偲ぶモニュメントが建てられたと聞いていて、たまに、近くを通ることがあっても、「ああ、あそこなんだなぁ・・」とそのたびに思うくらいで、特に記念碑?を訪れることはありませんでした。

 しかし、あの場所は、あれ以来、ある種の観光名所とは言わないまでも、車やバスなどで通りすぎることがあれば、パリをガイドしている人は、必ず、一言、説明を加える場所にもなっているようです。

 なんと、ダイアナ妃が亡くなってから、すでに26年が経っているそうで、いくら衝撃的な事故であったとしても、事故現場とはいえ、ダイアナ妃にとっては異国の地である場所に大きな記念碑が建つだけでなく、26年間、人の足が絶えることがないというのも凄いことです。

 しかし、あらためて、調べてみると、あのモニュメントは、自由の女神の100周年を記念して、アメリカからフランスに送られたニューヨークにある自由の女神が掲げている炎のレプリカ版であり、送られた当初、パリ市はこの高さ3.5メートルもあり、なかなか明るいゴールドのこの炎のモニュメントをどこに置き、どのような位置づけとして扱うか、処遇を図りかねたまま、アルマ橋に設置したと言われています。

 アメリカから自由の女神100周年記念で送られたとはいえ、正直、「何あれ?」という感じで存在感もあまりありませんでしたが、その後、ダイアナ妃の悲劇的な事故がアルマ橋の下で起こり、この炎のモニュメントは、図らずも、その意味を与えられることになったという不思議なめぐりあわせになっています。

 このモニュメントは、1980年代から存在していたものでありながら、あまり注目されることもなく、ダイアナ妃の事故によって、新たな意味付けを与えられたかたちになったようですが、鎮魂の炎として、また、華やかで美しかったダイアナ妃の慰霊碑として、あまりにピッタリ着すぎて、怖いくらいです。

 事故現場は陸橋の下なので、そこを歩くことはできませんが、こんなところで、死亡事故が起こるほどのスピードを出していたのか?と思わないでもありませんが、陸橋の下は、当然、交差する道路もなく、また、歩行者が絶対に通らないところなので、今でも、なかなかのスピードを出して車が走っていて、なるほど、夜遅い時間で、パパラッチとのカーチェイスのようなことをしていたら、事故は起こりかねないのかもしれないとも思える場所です。

 しかし、このダイアナ妃のモニュメントになっている場所は、セーヌ川を含めたパリの街なみが広がるエッフェル塔をまるまる拝めることができるパリの絵葉書に登場するような美しい場所で、美しい人がこの美しい場所で亡くなり、しかも、そこには、あたかも彼女のために用意されていたかのごときモニュメントが存在していたことに、不思議な偶然を感じさせられるのです。



 彼女の26回目の命日のために、お花はもちろんのこと、写真や手作りのメッセージが飾られていて、若くして亡くなった彼女の写真は当然のごとく、若く美しいままです。

 どういうわけだか、フランス人はイギリス王室の話題が大好きですが、なんといっても未来永劫の人気を保ち続けるのは、ダイアナ妃だろうと思われます。今では、長きにわたり王座におられたエリザベス女王も亡くなり、なんだか、今一つ人気が冴えないチャールズ国王ですが、今年、即位後、初の海外公式訪問にフランスを選んでくれていたのに、フランスは年金問題の暴動で、彼のフランス訪問はキャンセルになっていました。

 9月には、その延期されていた公式訪問が予定されていますが、彼がフランスを訪問した際には、このアルマ橋を訪れるのでしょうか?


ダイアナ妃 アルマ橋 炎のモニュメント


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