2023年4月30日日曜日

クープ・ド・フランス フランスカップの決勝戦はサッカー以外のレッドカードとホイッスル問題でゴタゴタ・・

 


 サッカーをこのうえなく愛するフランス人にとって、クープ・ド・フランス(フランスカップ)の決勝戦といえば、大変な盛り上がりを見せるところです。

 今回の決勝戦は、ナントVSトゥールーズの試合となり、おそらく大変に盛り上がっているのだとは思いますが、サッカー以外のことで、ごたごたして、試合以外のことばかりに注目が集まる妙な決勝戦となりました。

 現在のフランスは人が集まる場所には、鍋を叩いたりする抗議行動が発生することが多く、今回のこのフランスカップの決勝戦には7万8千人の観客が予想されていたために、この場で抗議行動がヒートアップすることが、かなり過剰に警戒されていたようで、当日、決勝戦が行われるスタジアムには、3,000人の警察官と憲兵隊の動員に加えて1,400人のセキュリティー要員が配置されていました。

 フランスカップの決勝戦にはマクロン大統領も夫人を同伴して選手を激励し、観戦することが予定されており、このマクロン大統領の参加がさらにこの警戒をヒートアップさせた感じがしないでもありません。

 当然、これだけの観客を動員するサッカーの試合の決勝戦、しかも、そこにはマクロン大統領まで登場し、その模様が全国に生中継される機会とあれば、現在、年金改革問題について抗議を続けている組合にとったら、多くの人に注目される絶好のステージに違いありません。

 この決勝戦に臨むにあたり、組合側は64歳引退と書かれた「レッドカード」3万枚とホイッスル1万個を用意し、試合中49分3秒(年金改革問題を国会の採決をとらずに通過する憲法49.3条にちなんで)にこのレッドカードを掲げてホイッスルを吹く抗議行動を呼び掛けていました。なかなかお金もかけて準備周到だったようです。

 当日、組合側はこのレッドカードの配布を開始しましたが、スタジアムの入口ではこれが回収されていることがわかり、どうやらこれはパリ警察長官がこの抗議行動(デモ)を禁止する命令を発令しているためであったことがわかりました。

 その後にこの命令が一時停止され、パリ行政裁判所に判断が委ねられることになり、結局、試合開始後までも、結局、良いの?ダメなの?やるの?やらないの?と情報が錯綜しており、試合そのものよりも、49分3秒に何が起こるのか?に注目が集まることになりました。

 結局、キックオフの数時間前に裁判所は組合側に有利な決定を下していたようですが、その決定が浸透していなかったようです。

 また、本来は試合前にフィールドで選手を激励したりするマクロン大統領ですが、安全のためにマクロン大統領はフィールドに登場することはなく、舞台裏の廊下で選手との対面が行われていたようです。

 結局、皆が注目していた49分3秒には、もともとの歓声と大して変わらない程度にしか、騒ぎが起こることはありませんでしたが、今後、このような大きなスポーツの試合や催し物のたびに、このような騒ぎになりかねないことには、フランスの混乱ぶりが表れています。

 そもそもスポーツの場に政治を持ち込むのはナンセンスだという意見もありますが、それに過剰に反応して、警察がビラ配り(今回の場合はレッドカード)を禁止したり、デモ行為を禁止したりするのも余計に反発を買うことにもなりかねません。

 今回のフランスカップの場合は、ナントやトゥールーズから大勢のサポーターもシンプルにサッカーの応援に来ている人も多く、抗議活動は二の次だという人も少なくなかったとも思うのですが、結果的に裁判所が警察の決定を退けたことは、さらなる反発を生まずに済んだのではないかと思っています。

 暴力的でない抗議に対して警察が過剰に抑えつけるのは、逆効果のような気がしてなりません。

 しかしながら、今後、どんな機会に国民の怒りに火が付くかは、わからない状況で、気を緩められない政府としては、火種は少しでも消しておきたいと思う気持ちもわからないではありません。

 とりあえず、公然とデモを行えるデモの祭典である5月1日のメーデーが次の抗議運動のピークとなることは間違いありません。


クープ・ド・フランス フランスカップ レッドカード ホイッスル


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2023年4月29日土曜日

メトロ6号線の死亡事故 運転手の過失致死起訴に同僚が抗議のデモとストライキ

  


 先週の土曜日に起こったパリのメトロ6号線の死亡事故は、ちょっとあり得ない、いや絶対あってはならない悲惨な事故でした。降車時にコートがドアに挟まってしまった乗客の女性がそのまま発車してしまったメトロに引きずられて身体の一部がホームと線路の間に挟まれて死亡してしまった事故でした。

 この事故直後にアルコール・薬物検査を受けた運転手は陰性の結果が出ていますが、今週末にこの運転手が「過失致死」の罪で起訴され、拘留されたことにRATP(パリ交通公団)6番線の同僚およびエージェントが怒って抗議のデモ・ストライキを行いました。

 デモの当日、メトロ6番線が止まったのは半日ほどだったようですが、彼らはこの事故を起こした運転手について「彼は10年以上にもわたって真面目に仕事に取り組んできた人間で、犯罪者ではない!この拘留は間違っている!彼が警察で夜を過ごさなければならないなどということは、あり得ないことだ!」と息巻いているそうです。

 また、「私たちは悲劇的に亡くなった女性とその家族には心からの哀悼の意を表します。しかし、私たちは年中無休の公共サービスを提供しています。私たちは暗殺者ではなく、乗客を安全に運ぶために働いているのであり、乗客を引きずり殺すために働いているわけではありません。私たちは敬意をもって扱われたいと思っています。事故を起こしたとはいえ、運転手がこのように犯罪者のように扱われるのをこれまで見たことがない!」と、FO-RATP組合の呼びかけにより、「撤回権」を行使しようとしています。

 たしかに、駅のホームや電車の構造などの安全対策にも問題はあり、この事故の責任を個人に負わせるのは酷な気がしないでもありませんが、しかし、実際に乗客が死亡してしまった電車を発車させたのは運転手で、意図的に行ったものではないとしても彼に過失がなかったとは言えないのではないかと思うのです。

 不幸な事故ではありますが、彼が起訴・拘留されるのは、何も凶悪な犯罪者であると烙印を押していることとは違って、あくまでも「過失致死」なのです。

 それを「運転手は犯罪者ではない」とか、「自分たちをもっと敬え!」などと言いだすのは、同僚としてはまことに連帯を感じる抗議であるとはいえ、なにかちょっと違うのではないか?と思ってしまいます。

 運転手本人は、事故後、相当なショックを受けていて、ケアが必要であったというような話が流れてきていたので、彼自身がこの起訴・拘留について、抗議しているかどうかは、わかりませんが、組合の同僚の運転手たちが、同じ運転手として、こんな扱いをされることは、許せない!と言っているのです。

 しかし、許せないとは、被害者とその家族が言いたいことで、責任や罪についての言及云々以前にやるせない思いに打ちひしがれているのではないかと思われます。

 パリ検察庁は、この事故に関する調査は警察だけでなく、陸上交通事故調査局が捜査を開始し、死亡事故に至ったすべての状況を分析すると発表しています。 

 いずれにしても、5分おきに発着するメトロのホームの乗客の乗降状態を監視カメラだけで運転手が一人でチェックするというのは、今回のような事故もあり得ないことではありません。

 RATPは、この運転手が犯罪者であるかどうかではなく、どうしたら、このような事故が怒らないような対策をとれるかどうかを考えてもらいたいと思います。


メトロ6号線死亡事故 運転手 過失致死起訴


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2023年4月28日金曜日

割引、おまけ、それ、あげます・・最近の私のお買い物と食生活

  

マルシェで買ったイチゴとメロンとおまけの生姜 全部で6ユーロ


 最近の私の食生活はベジタリアンというわけではありませんが、野菜や果物を多く摂るようになりました。もともと、どうしてもお肉が食べたいというタイプでもなく、家の近所にマルシェが立つようになってからは、ことさら新鮮な野菜が比較的お手頃価格で手に入るようになったことが大きいかもしれません。

 我が家の近所にはカーフールという大きなスーパーマーケットがあるのですが、インフレのためか、以前のような勢いがなくなり、また、あからさまな値上げぶりと並んでいる商品も若干減り、魅力が一段と欠けた気がして、いつもいつも同じような商品に飽き飽きしてきた感じもしているのです。

 日本に一時帰国してフランスに戻ってきた後に、日本から大量の食料を持ち帰っても、やはり生鮮食料品が必要になって、スーパーマーケットに行った時に、全ての商品が色あせて見えて、物悲しくなる感じにちょっと似ています。

 もうフランスの食料品に嫌気がさしてきて、何をする気もおこらなくなると、バゲットなどのパンを買いにいくか(買い置きができないため、普段はあまりバゲットは買いませんが・・)、ピカールの冷凍食品(といっても主には素材)などに頼ってしまいます。

 このあいだ、たまには、バゲットでも食べようかな?と思い、夕方、「ドゥミバゲット(バゲット半分)ください~」とパン屋さんに行ったら、もうすぐ閉店時間?(といっても16時半くらいだったけど)なのか? たまたま半分にしたバゲットが残っていたからかわかりませんが、半分のバゲットを袋に入れてくれて、お金を払おうとしたら、「お代は結構ですよ!」と店員さんがにっこりパンの入った袋を渡してくれました。


なぜかタダでもらったバゲット


 えっ?売れ残っちゃうからかな?と思ったけれど、普通に売ればいいものをくれちゃうあたり、そんな緩い感じがフランスのいいところだな・・と思いながら、私はバゲットの入った袋をもらって、ごきげんになって家に帰りました。

 バゲット半分でごきげんになる私もずいぶん安いもんですが、ちょっとした優しさで、人は気分が明るくなったり、ほっこりしたりするものです。

 また、その翌日、マルシェで何か目ぼしいものはないかな?と覗いていると、きれいなイチゴが目に入り、「2パックで3ユーロにしとくよ!」と威勢のいいお兄さんに声をかけられ、おもむろにプラスチックの袋を渡されました。どういうわけか、今年はやたらとイチゴを食べることになっている年らしく、ここ1ヶ月ほどで、もうイチゴを一人で何パック食べたかわからないほど食べています。

 なぜか、今年のイチゴは甘くて美味しいです。

 昨年末あたりに、お気に入りのケーキ屋さんをみつけて、ひたすらケーキ屋さん通いをして、ひととおり、そのお店のほぼ全ての種類のケーキを食べつくした後は、なんだか甘いものを食べる習慣がついてしまっていて、「血糖値高めになったかも・・?」などと、今さらのようにちょっと反省して、お菓子はやめて、せめて果物にしようと思った結果、イチゴをやたら食べているのです。

 安い!と思いつつも、いじましくもできるだけきれいなイチゴのパックを選ぼうとイチゴの品定めをしていると、今度はそのお兄さん、「これ!食べてみて!」とメロンを切ってくれたのです。

 メロンは甘すぎて(さんざんケーキを食べておきながらおかしな話ですが・・)普段はあまり食べないのですが、お兄さんが切ってくれたメロンは香りもよく、想像以上に美味しくて、ちょっとびっくりして目を丸くしていたところに、お兄さんが「メロンも2個で3ユーロにしとく!」と言うので、思わずメロンまで買ってしまいました。

 2パックのイチゴと2個のメロンを抱えて、お金を払おうとしていたところに、ちょうどよく生姜が置いてあって、そういえば、生姜が切れてた!と思って、「この生姜いくらですか?」と聞いたら、「生姜はカドー(プレゼント)にする!」と、これまた威勢よく言われて、今度は生姜をタダでもらってきました。

 この間はバゲットをもらったし、今日は生姜をもらっちゃって、せこい話ではあるけど、なんか、最近、ついてるな・・などと、スーパーマーケットではありえない割引やおまけに恵まれるマルシェやお店での買い物を最近、ちょっと見直すようになった自分の単細胞ぶりに、ちょっと苦笑しながらも、今後はカーフールに行く機会はずっと減るだろうな・・となんだか、人が掛け合いをしながらする買い物が楽しくなっている今日この頃です。


パリのマルシェ おまけ


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2023年4月27日木曜日

ファミリーサイズ詐欺 大量パッケージは安いとは限らない

  


 フードウォッチ(Foodwatch)(消費者保護団体)の調査によると、ファミリーサイズなどの大きなパッケージの商品は実は既存のサイズのものよりも、割高の価格で販売されているケースが少なくないことを警告しています。

 一般的な消費者の心理としては、ファミリーサイズや大きなパッケージで同じ商品が大量に入っている場合、当然、お得で割安な印象を受けてしまうので、このファミリーパッケージは思わぬ落とし穴で、「ファミリーサイズ詐欺」などとも呼ばれています。



 これは、かなりショッキングというか、悪質なやり方で、このインフレで何もかもが値上げされている中、原料費、燃料費、人件費など全てが値上がりしているため、商品の値上げは必然だという話もよく聞きますが、このファミリーサイズ詐欺に関しては、全く違うものです。

 我が家は、大家族ではないので、ファミリーサイズなるものをほとんど買ったことはないのですが、そんな落とし穴があるとは知らずに、むしろファミリーサイズは多すぎて買えないな・・などと、ちょっと残念な気さえしていたのです。

 そもそも、スーパーマーケットなどには、他にも落とし穴があって、半額!などと書かれていても、その横に小さな文字で「2つ買うと3つ目が半額」などというのも結構あって、結局は、どの程度安くなっているんだか、すぐには、わからない感じの落とし穴もあります。

 もともと、そんなに大量に買っても仕方がないのですが、たまに買い置きをしておいても間違いなく消費するものなどの場合は、一瞬立ち止まって計算してみて、その結果、本当にお買い得の場合は買うこともありますが、迷った挙句に、結局レジでは、割引されていなかったりもするので、一応、表示してある価格の写真を撮って、レジで金額を間違えられた時のために備えたりするくらいです。(常に戦闘態勢)

 そもそも、フランスに来て以来、ほぼ全てのことに関して信用しておらず、トラブルに遭った場合に備える癖がついています。

 しかし、このファミリーサイズ詐欺は実は2020年から問題視されていて、フードウォッチが警告を続けていたそうなのですが、3年経った現在も現状は変わっていないようです。特に昨年から止まらないどころか加速を続けるインフレの中、消費者は一層、値段に対して注意深くなり、また、ファミリーサイズなどの商品を手にする大家族は、比較的、経済的にも弱い立場にある人々であることも多いことから、弱いものを獲物にした悪質な商売の仕方が非難の対象となりつつあります。

 これは食品メーカー側の卸価格によるものなのか?最終的な価格設定をしている小売店(スーパーマーケット)がやっていることなのかはわかりませんが、いずれにせよ、悪質なことにはかわりありません。

 スーパーマーケットが「アンチインフレバスケット」などと選定された商品に対して価格を値上げしない宣言をしたりしていますが、その陰でこんな詐欺まがいのことをしているとしたら、嫌悪感を感じずにはいられません。

 これは、表示している価格どおりに商品を販売しているわけで、厳密にいえば、これは違法ではありませんが、「ファミリーサイズなどの大きなパッケージは割安である」という消費者の先入観を利用した詐欺まがいの商法でこれに騙されるわけにはいきません。

 それが、しかも、あまり目にしないようなメーカーのものでもなく、むしろ、誰もが知っているようなメーカーの有名な商品であったりするのは、そんなやり方までして儲けようとするところがうんざりさせられるところです。

 そもそも、このインフレも恐らくインフレに乗じて上乗せ値上げをしている商品も少なくない感もしないではなく、こうなったら、マルシェのような売り手と買い手が直接、交渉しつつ買い物ができる場所の方がむしろ信用できるのではないか?と最近、思うようになりました。


ファミリーサイズ詐欺


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2023年4月26日水曜日

医者の予約がとれない! 病院・検査機関にインフレは関係なし

 


 加齢につれて、例にもれず、私もお医者さんにかかる機会が増えている残念な現実ですが、フランスの場合は、お医者さんと検査機関、薬の処方と全て分業体制なので、ちょっと風邪をひいたり、簡単な疾病の場合は、かかりつけのお医者さんで済むので、薬の処方箋を書いてもらって、薬局に薬を取りに行く程度のことで、大した手間ではないのですが(それでさえ、慣れるまでは面倒くさいな・・と思いましたが・・)、もう少し、厄介な病気の場合は、まずは医者に行ってから、必要な検査の処方箋を書いてもらって、それから、それぞれの検査機関に検査をしに行って、そのうえで、検査結果を持って、専門の医者にかかるということになるので、とても1日で済む話ではありません。

 私の場合は、持病のために飲んでいる薬の処方箋を書いてもらうために、定期的にかかりつけのお医者さんにはかかっているのですが、その他には怪我をした場合など以外は、あまり検査にも行かないし、専門医にかかることもありません。

 私は心臓疾患があり(そんなに深刻な状態ではありませんが・・今のところは・・)、これまでに心臓専門医には数回、行ったことがありましたが、かかりつけの主治医に、しばらく心臓専門医にかかってないから、チェックしてもらいに行った方がいいと言われて、そのためのいくつかの検査の処方箋を書いてもらっていました。

 まずは血液検査ですが、しばらく行かない間にこれまで通っていた?検査施設が閉鎖になっており、別の場所へ行くと、これがもう、こんなに健康に問題のある人がいるのか?と思うくらいに大混雑、それでも血液検査の場合は予約なしに当日受付で検査をしてくれるので、健康保険のカードを渡して、ミューチュエルの書類などを提出して受付すれば、少々、待たされるものの、その日のうちに検査してくれて、結果はその日のうちにネットで送ってくれるので、まだマシなのですが、これが別の検査となると、話はまた別で、レントゲンを撮ってくるように言われていたので、また別の場所に検査に行くと、これには予約が必要で、しかも1ヶ月くらい先になるとのことで、絶句しましたが、仕方ありません。

 最後に心臓専門医に予約を取ろうと電話したら、これがなんと約3ヶ月後になるとのことで、もしも私の病状が深刻だったりする場合は、手遅れになるだろうと思います。

 そうでなければ、もう定期的にあらかじめ予約を取っておくしかないのですが、そこまで医者に通いたくもありません。

 フランスでは、医者不足が問題になっていて、特に若い世代の医者が充分に増えていかないことから、数年後には、フランスの医者の25%は60歳以上になり、遠くない未来には、医者の数が一気に減少する状態になることから、「医者に定年後も働いてもらうためのシステム」が国会でも審議されていたりして、話には聞いていましたが、いざ、こうして自分が検査に行ったり、専門医にかかろうとしたりすると、本当にこの医者不足の現実を身に染みて感じることになります。

 私自身は、フランスの病院に入院したりするほど本格的にお世話になったことはないのですが、夫が入院した時のことや、友人が入院・手術した時のことなどを見ていると、どうにも、できれば避けたいと思うような現状でもあります。

 インフレによる消費者の買い控えなどから、経営危機を迎えて閉店してしまうお店も相次ぐなか、どんなに浪費を控えようとも、健康維持のための医療を控えることはできないようで、病院・検査機関はこんなにも混雑していることが、なんとなく悲しく感じられます。

 私自身は、両親もすでに他界し、夫にも先立たれ、娘ももう社会人として自立したので、いつ死んでもいいと思ってはいるものの、生きている間はできるだけ快適に過ごしたいために医者にかかっているのですが、これがもし、差し迫った病気で余命数ヶ月・・とかになった場合は、もう完全にアウトです。

 まあ、それも運命と受け入れるしか仕方ありませんが、来月、もう一つの検査を受けて、再来月に心臓専門医にかかるという、実際に医者にかかるころには受けていた検査結果とはまた身体の状態も変化しているかもしれない妙な診察になるわけです。

 今後、おそらく劇的にこの医療体制が改善されることはあり得ないことで、むしろ悪くなっていくに違いないのは、これからますます医者にかかることが増えるであろう私にとっては、心もとない状況なのです。


医者の予約 検査予約 医者不足


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2023年4月25日火曜日

日本人なのに日本語がほとんど話せない海外育ちの従弟の子供

 


 娘が日本で就職して、あっという間に1年が経ちました。彼女が生まれてから、私は彼女の日本語教育には、ことのほかしつこく、根気よく、かなり労力を費やしてきました。

 フランスで生活しつつ、私は彼女とは日本語だけで会話を続け、ある程度の年齢までは、家にいるときは、日本語のテレビ(ビデオやDVDなど)しか見せず、小さい時は、日本語の単語のカードを作って遊みたばせてみたり、毎晩、寝る前には、日本語の絵本の読み聞かせを続け、会話だけでなく、日本語の読み書きもできるようになってほしかったので、日本語をできるだけ億劫に感じることがないように、フランスの学校に通い始める前に、2歳になるかならないかのうちに、公文に通い始め、日本語で彼女に接してくれる私以外の人のいる環境にも定期的に身を置き、簡単な読み書きを教え始めました。

 親子だと、どうしても煮詰まってしまうこともあるので、公文には本当に助けられました。その後、結局9年くらい公文には通い、毎晩、学校が終わって家に帰宅後、私は食事の支度をしながら、公文の宿題を5枚やらせるというのが、日課になっていました。

 途中、夫が亡くなってしまったことで、正直、私も仕事と学校の送り迎えであっぷあっぷで、やはり本業?の現地校の学校での勉強を優先にしなければと思い、その時点で公文はやめてしまいましたが、その後、バカロレアのオプションに日本語を選択するとかで、高校生になってから、また別の学校に個人授業を受けに通わせたりしていました。

 小さい頃は必ず1年に一度は日本に連れていき、日本の小学校に一時的に編入させていただいたこともありました。毎年毎年、娘は日本に行くのが何よりの楽しみで、「日本語が出来ない子は日本には行けないよ!」と私に言われて、彼女には、日本行きが日本語のお勉強の大きなモチベーションになっていたと思います。

 そんなわけで、彼女は今では日本で仕事ができるほどに、日本語を習得することができたので、私としては大変、満足な結果を得ることができたのですが、もともとは、彼女に私の家族と普通に話ができるようになってほしかった・・コミュニケーションがとれるようになってほしかったというのが、一番、シンプルな私の願いでした。

 現在、日本で生活している娘は、友人もできて、小さい頃から日本に行くたびに可愛がってくれていた日本の叔父や叔母や私の従妹たちとも、時々、会ったりして、楽しく生活しているようです。

 先日、カナダに住む従妹の娘が日本に来ているというので、娘にもお声がかかって会いに行ってきたというのですが、どうにも従弟の娘は日本語がほぼ話せないようで、周囲とはほぼコミュニケーションがとれずに、「なんだか、とっても暗い雰囲気だった・・みんなもあんまり英語話さないし・・だから、私が呼ばれたのかな? あれじゃ、日本に来ても楽しくないだろうね・・」などと話していました。

 カナダに住んでいる従弟の娘のママは、もう従弟とは離婚してしまっていて、従弟は別の人と再婚して、再婚相手との間にも子供がいるので、少々、複雑な境遇でもあります。彼女のママは、日本人ではあるのですが、父親が外交官で海外を転々として育ってきたので、それこそ日本語があまり得意ではなく、子供が生まれた時点で、ほぼ、日本語を教えることを放棄していたのです。

 せっかくバイリンガルにできる機会なのにもったいないな・・と思ったものの、私が強制するのもおかしな話なので黙っていましたが、結果的に日本にいる家族とはろくにコミュニケーションが取れないという事態になってしまっているようです。それでも、英語なので、周囲とて、なんとか話ができないわけではないのですが、やはり、日常的に話つけていないと会話は弾まないのです。

 私は、娘がこんな状況に陥ることをとても恐れていましたし、また、我が家の場合はフランス語・・日本だとフランス語を話す人となると、英語以上にハードルが高くなるので、これはもう日本語ができなかった場合は絶望的な状態になり、結局、疎遠になってしまいがちでもあります。

 娘は、幸いにもそんなことにはならず、周囲の叔父や叔母や従妹たちとも普通に接することができていて、そんな親戚の集まりにも、ごちそうにつられて時々、顔を出しているようです。

 唯一の私の誤算といえば、一番、彼女を可愛がってくれていた私の両親が思っていたよりも早くに亡くなってしまったことで、今、両親が生きていてくれたら、彼女が日本で生活していることをどんなに喜んでくれたかと思うと残念ではあります。

 しかし、海外で普通に生活しているまま、そのまま放置していれば、両親が日本人だろうが、日本語はしっかり身につかないということは、忘れてはなりません。そして、それは日本の家族とのコミュニケーションがとれなくなるということで、疎遠になってしまうということに他ならないのです。


バイリンガル教育 日本語教育


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2023年4月24日月曜日

パリのメトロ6号線でコートがドアに挟まって死亡事故 

 


 私が初めてパリのメトロに乗ったのは、はっきりと記憶にはありませんが、ずっと昔に旅行でパリに来た時のことだったと思います。あの時はフランス語も全くわからなかったし、外国の地下鉄だし、治安も悪いというし、なんか、やたらと緊張した覚えがあります。

 あれから数十年経って、パリのメトロもずいぶん進化し、特にここ数年はオリンピックの準備なのか、やけに工事も多く、きれいになった駅も多く、車両も新車になったりしてずいぶん様変わりした感じがしていました。

 しかし、実際には、路線によって、整備のされ方はずいぶんと差があることも事実で、駅のホームと車両の間にドーム型のガードやそれと同様のガード(もう一つのドアみたいな感じのものなど)がつけられていたり、ピカピカの新車の車内に次の駅の表示が出るようになったり、冷房車が増えたり、中には携帯の充電までできる車両もあったりして驚かされるのですが、一方では相変わらず、ハンドルを手動で回して自分でドアを開ける車両が今でも使われていたり、ついこの間も車両とホームの間がやけに広く空いていて(多分、4号線だったと思う)、ボーッとしておりたら、足を踏み外してしまったり、間に挟まってしまったりしそうで危ないな・・と思ったばかりでした。

 パリのメトロは、「次は○○駅~~」というようなアナウンスもなく、なので、大げさな言い方をすれば、電車は勝手に来て、勝手に去っていくという感じなので、うっかりすると乗り過ごしてしまいかねません。

 また、一応、ホーム全体を監視するカメラが数か所には備え付けられているものの、日本のように電車の発着時の安全の確認をする駅員さんもいません。

 こんな感じに慣れてしまうと、日本に行ったときは、なにもそんなに言わなくてもいいのに・・などと、至れり尽くせりの日本のサービスをちょっとうるさいように感じてしまうことすらあったのですが、やっぱりあれは必要なことなんだな・・と、今回のような事故を聞くと、今、あらためて感じています。 

 事故が起こったのは、土曜日の午後4時頃のことで、パリのメトロ6号線がベル・エア駅(パリ12区)を出発しようとした時に起こりました。家族連れの45歳の女性がメトロを下りようとした際にコートがメトロのドアに挟まり、それに気が付かないままに発車したメトロに引きずられて身体の一部が車両の下敷きになり、死亡してしまったという大変、悲惨な事故でした。

 この女性はこの時、夫と子供が一緒だったそうなので、ごくごく普通の土曜日のお休みの日に家族で出かけた先の思ってもみなかった事故により、一瞬のうちに死亡してしまったのですから、一緒にいた家族は呆然自失だったことでしょう。

 パリのメトロは、現在のところ、1番線と14番線だけが運転手のいない自動運転になっていますが、この6番線には運転手がいて、事故を起こしたメトロの運転手さんは、当然のことながら強いショックを受けているそうです。

 6号線は地下鉄とはいえ、地上に出ている部分もあったりで、セーヌ川を渡る陸橋の上を走る部分もあり、エッフェル塔が見えたり、パリの街を眺められたりもする線でもあるのですが、それだけに駅も車両とホームのガードなどがない駅も多く、このような事故が起こってみれば、危険と言えば危険でもあります。

 メトロの車両のドアがコートを挟んで人を引きずるくらい強力に閉じるということには、改めて驚きですが、コートと言わないまでも、慌てて乗ったり降りたりする際にバッグが挟まってしまって周囲の人が手でこじ開けている様子は、そういえば、時々、みかけることはあります。

 バッグが挟まった場合などなら、逆にドアがきっちりと閉まらないために、その隙間に手を突っ込んでこじ開けるということも可能なのですが、コートの場合は、周囲の人もそのことに気付かなかった可能性も考えられます。

 どちらにしても、ちょっと信じられない悲劇的な事故ですが、発車の際の安全確認を十分にしていないという意味では、このような事故はいつでも起こりうる話なのかもしれません。

 一応、警察は運転手に対して、薬物、アルコールの検査を行ったそうですが、陰性だったようです。

 メトロといえば、スリやひったくりなどに注意しなければいけないと思ってきましたが、ドアに挟まれないようにも気を付けなければなりません。

 こういう事故が起こると実はこんなこともあった・・という話が出てくるのが常ではありますが、1週間前にもRER(パリ郊外線) B線で若い女性が線路に落ちて死亡するという事故があったばかりだそうです。

 駅の整備や拡張なども、ありがたいことですが、RATP(パリ交通公団)は、まずは根本的な安全対策を徹底してもらいたいと思った出来事でした。


パリ メトロ6号線 死亡事故


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