2025年10月19日日曜日

S&P グローバル・レーティング フランスの格付け格下げ

   


 フィッチに続き、S&P グローバル・レーティング(旧スタンダード&プアーズ)は、フランスのソブリン格付けをAA-からA+に引き下げました。

 これは、フランスの財政に関する不確実性が高いことを理由としており、格付けは「高品質」から「平均以上の品質」に変更されたのです。

 この格下げに関し、ローラン・レスキュール経済相は、「これは透明性と責任を求める声であること」を認め、「この不確実性を無視することはできない」と語りました。

 S&Pは、プレスリリースの中で、今回のフランスの格付け決定の主な要因は、「年金改革の停止」であることを明かし、「年金問題は、フランス財政の長期的な悪化の主要要因のひとつである」と見ており、「この改革の後退は絶対に避けるべき一線である」と警告していたため、当然の結果であるとも見られています。

 また、S&Pは、フランスの政情不安にも焦点を当てており、政情不安は財政再建の可能性に大きな不確実性をもたらしており、財政再建は予想よりも時間がかかると見ています。

 さらに、S&Pは、この政情不安とそれに伴う不確実性が成長を阻害していると考えています。来年の成長見通しも1%に下方修正しています。

 この決定が市場に与える影響は、即時にフランス国債の金利が急騰する可能性は低いと見る見方もありますが、中長期的には問題となる可能性があります。

 フランス国債の金利がさらに上昇した場合、それに伴って公的債務による国債債務による政府予算への負担も増加する可能性もあり、具体的には、利払いに充てられる数十億ユーロが引き続き増加し、教育、防衛、司法、環境問題への有益な支出が損なわれることになります。

 しかし、今回のS&Pの格付け格下げは、既に投資家が認識していることを単に確認しているだけのことであるとも言えます。

 年金問題、財政悪化、政情不安は、それぞれが混ざり合って、悪循環に作用していますが、財政赤字削減の政府の予算案、長いこと定まらずに、何回も短期間で退任する首相、政府、今回は年金改革を一時停止することで、ようやく首相不信任案を一端回避できたものの、これがいつまで続くのかも不透明で、そのうえ、大手各付け会社からは、「年金改革停止を主要因」とする軒並み格下げの烙印を押されています。

 年金改革の停止をしなければ定まらない政府と年金改革停止でさらに悪化する財政。

 その結果、さらに国債の金利の上昇から、ますます赤字増大。

 これはフランス政府に対する圧力となる可能性もあり、国の利益のために、財政健全化を可能にする予算を策定するために、誰もが妥協し、譲歩しなければならないということを警告されているとも言えます。

 ちなみに、この格下げとなった「A+」という格付けは、スペイン、日本、ポルトガル、中国と同等の格付けなのだそうです。


フランス S&P 格下げ


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2025年10月18日土曜日

警察官も出動する騒ぎになったマルセイユのギャラリーラファイエット閉店クリアランスセール

  


 ギャラリーラファイエットがマルセイユの2店舗を閉店することを発表したのは今年1月初旬のことでした。それから、半年以上が経過し、いよいよ閉店を目前に控えて、閉店するマルセイユのギャラリーラファイエットでは、在庫処分のクリアランスセールがスタートしました。

 ふつうの在庫処分とは違って、この2店舗のクリアランスセールは店内の棚にある商品と在庫の全てを処分することが目的なため、一部のブランドでは、一部の商品もしくは全ての商品を回収し、自社ブティックや他の店舗で再販売することを選択していますが、とはいえ、デパート全体に残る商品は数万点にも及びます。

 靴やコート、ランジェリー、美容製品、家具、あらゆる種類のテキスタイルまで、デパートまるまる空っぽにするわけですから、もの凄い商品数です。

 それを処分するためには、割引もふつうのセールに比べて、思い切りもよく、最大80%引きまでというかなりの割引率になるために、多くの来客が見込まれていました。混雑を予想して、店舗は警備員の増員など、セキュリティを強化して臨んでいたはずでした。



 しかし、見込みは全然、甘く、実際にこの閉店セールが開始された水曜日には、予想以上の大勢の人が押し寄せ、現場は大混乱に陥り、大勢の来客というよりも群衆が押し寄せ、乱闘の末に、強盗未遂事件までもが発生し、警察官が出動する大騒動になり、予定よりもずっと早い時間で閉店となり、翌日の開店も正午過ぎになりました。

 事態の深刻さに鑑み、警察官が現場に派遣され、衝突と暴力行為を鎮圧するために介入、警察官が軽傷を負っています。

 業績不振のために閉店するお店に制御不能なほどの来客で埋め尽くされるというなんという皮肉な話。大勢の来客に慣れていなかったのか?それとも、特別な割引にお客さんたちが熱狂・興奮しすぎていたのか?いずれにしても、哀しい話です。

 私はマルセイユのギャラリーラファイエットには行ったことがないので、どのようなお店なのかはわかりませんが、そもそも、ほんの一部の例外を除いて、やはりデパートというものは、今、ほぼほぼオワコン(この言葉自体ももうひょっとすると使われていないのでしょうか?)なのかもしれません。

 先日、たまたま、パリのギャラリーラファイエットに行って(実際に行ったのはグルメ館の方で、本館の方は、ちょっと中を通って、相変わらず、ドームがきれいだな・・と眺めただけですが・・)ここだけは、いつ来ても、すごい人だな・・と思ったばかりです。

 パリのギャラリーラファイエットは、その例外に入るのかもしれません。


マルセイユのギャラリーラファイエット閉店セール大混乱


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2025年10月17日金曜日

メトロ10号線で運行を開始した新車両 MF19とパリの鉄オタくんたち

 


 未来の地下鉄車両がメトロ10号線で運行を開始するというので、ちょうど、その日は予定がついたこともあって、運行開始当日に、野次馬根性で見に行ってきました。

 私は特別、電車にもメトロにも興味があるというわけでもないのですが、「未来の地下鉄」とか、「将来的にはこの新世代の車両がパリの地下鉄路線の半分を占めることになる」とかいうので、どんなハイテク?どんな新車?と気になったのです。




 あとになってわかったことですが、この車両、まだ、あんまり本数も多くなく、当面は午前9時から16時まで、走行区間も10号線のほんの一部(ポルト・ドートゥイユ駅とラ・モット・ピケ・グルネル駅間)だけだそうで、何時にその車両がやってくるのかもわからず、まあ、見れたら、ラッキー!くらいの軽い感じでした。




 個人的には、以前RER E線がサンラザール駅まで開通した頃に見た、なんだかキラキラした感じなのかな?と思っていましたが、技術的なことはわかりませんが、わりとふつう。

 やっぱり私みたいな野次馬がけっこういると見えて、けっこう車内も混んでいたので、実感できなかったのかもしれませんが、大きく、これまでの他線の新車と思われるものと、そこまで大きく変わった感じはありませんでした。




 しかし、さすがに乗ってみると、新車の匂い(電車にも新車の匂いっていうものがあるのですね・・)、なんとなく、プラスチックというか、なんかケミカルな感じの匂いがしました。

 行く先の表示の電光掲示板が今までよりも広く、長く、おそらく見やすくできているんでしょうが、今のところ、「Bienvenue ligne 10」(10号線にようこそ)としか表示されていませんでした。




 細かいところは、なんとなく、ポールなどが全体に丸みを帯びている感じ、窓が大きいこと、ドアが幅広なのが特徴的かな?と思います。携帯のチャージができたりするUSBポートがところどころにあるのは、他の車両にも既に登場しているので珍しくはありません。

 正直、日頃、10号線というのは、ほぼほぼ乗る機会がないため、これまでの車両というものを知らなかったのですが、帰りに折り返しの電車に乗ってみたら、なかなかな年季が感じられ、椅子の布は擦り切れ、落書きを消した形跡があったりと、まあまあ汚くて、なるほど・・と思いました。

 なにせ、ふだん、ほとんど行ったことがない駅なので、折り返しはどこ?とまず出口を上がっていくと、駅の窓口に小さな人だかりができていました。のぞき込めば、何やら、大きな紙のようなものを配っていて、パリの鉄オタくんたちが、集結しています。

 さきほど、ホームでも写真を熱心に撮っている人たちがいて、パリにも鉄オタくんっているんだな・・と遠巻きに眺めていたのですが、思いがけずに彼らの固まりの中になんとなくすっぽり入ってしまうかたちになりました。

 駅の窓口では、新しい車両の紙の模型とステッカー、クッキーなどを配っていて、「せっかくだから、私も欲しいな・・」と並んでいると、近くにいた男の子が「これ欲しいんでしょ!ひとつどうぞ・・」と分けてくれました。

 すると、周りにいた男の子たち、そして駅員のおばさんまでもがクッキーやステッカーも欲しいでしょ・・とMF19のマーク入りのクッキーを出してきてくれました。




 きっと、鉄オタくんたちにとったら、またとない貴重品をこんな見ず知らずの野次馬おばさんにまで分けてくれるなんて・・ととっても感動しました。

 私は、これまで日本でもフランスでも鉄オタくんと呼ばれる人々に接したことはなかったので、初めて、ちょっとだけお話しましたが、彼らがとっても優しい目をした人たちで、優しいのは目だけではなく、本当に優しくて、しかもとても繊細そうで、(余計なお世話ですが・・)この人たち、こんなに優しくて普通の社会を渡っていけるのだろうか?とちょっと思いました。

 ちょっとこれまで出会ったことのない独特な世界観を持った不思議な雰囲気(決して悪い意味ではない)の人々でした。

 彼らの情報によれば、この新車両の中には、1台だけ、茶色いおタカラ車両があるそうで、残念ながら、その日は、もう運行は終了して車庫入りしているとのこと。

 せっかくだったら、そのレア車両も見てみたかったのに残念でした。

 でも、正直、この日、私は、未来の新車両を見れたことよりも、ふつうに生活していたら、絶対に接点がありそうもない、この鉄オタくんたちと、ちょっとだけでも触れ合えたことが感動的な1日でした。


メトロ10号線 MF19


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2025年10月16日木曜日

携帯3個持ってパリに来ている娘 私たちは、携帯に縛られている?

  


 娘はお年頃にもかかわらず(関係ないかもしれないけど・・)、どこに行くのもとても荷物の少ない人で、日頃、ふらっとでかけたりするのには、バッグも持たず、に手ぶらで出かけることが多く、旅行に出かけるにしても、非常に荷物はコンパクトで、私が若い頃に比べたら、考えられない身軽さ・・これじゃ、男の子みたいじゃん!と思わないでもありません。

 しかし、今回、娘がパリに来るのには、パソコン2台、携帯3台とそれに伴う充電器等々、電子機器が彼女の少ない荷物のかなりの割合を占めています。

 もっとも、彼女がパリに来るときには、私があれこれと、主に食料品をあれ買ってきて、これ買ってきて!と頼んでいるので、結局は、申し訳ないことに、恐らく、私の食料が大部分を占めるのですが、パソコン2台に携帯3台には、ちょっと驚きます。

 そもそも、パリに来ても、仕事をするから、こうなるのかもしれませんが、パソコンも携帯もそれぞれ会社用と自分用のそれぞれ1台。そして、携帯に関しては、自分の携帯ですら、フランスの携帯と日本の携帯と会社の携帯。

 まったく、しょっちゅう何か忘れ物をしたり、落とし物をしたりする娘がよくも携帯3台も持って失くさないものだと母としては、それだけでも感心するところです。

 しかし、携帯というもの、依然として私は、しっかりと使いこなせているとは言えないし、どちらかといえば、好きではないのですが、携帯がないとか、繋がらないとなると、途端に不安になってしまう状態でもあります。

 私は携帯は1台しか持っていないので、日本に行った時には、SIMカードを買って(今はe-simが使えるようになった)利用しているわけなのですが、この外国に行って、携帯のwifiが繋がるようにしなければ、いられない!とけっこう焦ってしまうことに、そういえば、少し前までは、そんなものなかったのにな・・と思わないでもありません。

 とはいえ、今は、携帯でなんでも情報を得ようとすることに慣れてしまっている今、街中の観光客を見渡しても、地図を片手に歩いている人など、すっかり見かけなくなっているし、人から道を聞かれることもめっきり減った気がします。

 反面、それだけ、携帯に縛られているような・・そんな気がしないでもありません。

 今度、バカンスに出るときには、思い切って、携帯をオフにして・・などと思わないでもありませんが、もはや、そんな勇気はなくなっているのです。


携帯電話


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2025年10月15日水曜日

新?首相 セバスチャン・ルコルニュⅡ 年金改革の停止を提案

  

 

 すったもんだの挙句にフランスの首相は、在任期間の最短記録を更新したと言われたセバスチャン・ルコルニュ首相が再任し、そんな経緯から、彼の新政権はルコルニュⅡ(ルコルニュⅡ世)などと呼ばれています。

 今回は、一応、組閣も終了し、各大臣の任命も行われています。

 とはいえ、来年度の予算審議を控えて開催される16日に開催される国民議会をまえに、ルコルニュ首相は、先制攻撃というか、防御というか、議員に対し今後のロードマップを説明しました。

 なにしろ、怒りに湧き上がっていた議員たちが予算を決めるよりも何よりも、そのまえに政府を倒す気満々で、国民連合(右派)と一部の左派は、首相の不信任動議の採決を行おうと手ぐすねを引いて待っている状態です。

 今回の彼の首相再任にあたっては、一度は自ら首相を辞任し、それが受理され、公にも首相再任は考えていないと宣言したうえでの、まさか・・いや、やっぱり・・の再任。生半可なことでは彼はこの火中の栗どころではない厳しい要職を受けるにあたって、マクロン大統領は、彼に全権を与えているという噂もあります。

 この期に及んでも、絶対に他党派に首相の席を与えなかったマクロン大統領もなかなかな根性だとも思いますが、首相の再任命の前日、各党派のトップを大統領官邸に呼ぶメールが夜中の2時くらいの時間に届いたと各リーダーが明かしており、さすがのマクロン大統領も相当、悩みに悩んだ末の選択だったと思われます。

 とはいえ、今回のルコルニュⅡの先制攻撃ともいえるスピーチは、とりあえずの政権転覆をなんとかして回避するためなのは、明白で、彼は自らの再任について、「フランスには予算が必用だからこそ、私は大統領の任命を引き受けた」と説明しました。

 生半可なことでは納得しそうもない議員たちを前に、彼はなんと、暴動騒ぎまで起こして決定した「年金改革の停止」を提案。これは、社会党が長いこと求め続けてきたことです。

 そして同時に、年金改革をごり押しして通した憲法49条3項を放棄することを約束。つまり禁じ手はもう使いませんという宣言です。

 年金改革に関しては、具体的には2023年の年金改革を2027年の大統領選挙まで停止、2028年の退職年齢の引き上げは2028年1月までは行わず、保健期間についても据え置きの2028年まで170四半期のままとなります。

 この年金改革の停止により、「2026年に4億ユーロ、2027年に18億ユーロ」の費用がかかることを付け加えたうえで、これにかかる費用は、貯蓄によって補填される必要があるため、「社会パートナーとの合意に基づく年金と労働に関する会議」の場を設けると発表しました。

 そもそも各党派はもちろんのこと、国民の最も関心の高い年金改革問題について、大きく譲った提案に世間も驚いています。

 また、難しいと言われている予算案(特に赤字削減問題)については、支出削減を継続することは急務であるとしつつも、「本質的に改善可能」であると断言。社会保障や税務における不正行為への対策を強化することで他の節約も実現するとし、また、中小企業への減税に加え、一部の超大企業を対象とした的を絞った例外的な増税を実施。税の最適化を規制する措置を提案することを発表しました。

 その他、もろもろ、細かいこともあるのですが、それはここでは省略させていただきますが、彼は、ここでちょっとしびれることを宣言しています。

 それは、「国家予算と社会保障予算に関する討論はここ(国民議会)で行い、ここで決めるものであり、決して財務省が決めるものではない!私自身が規範を示す!」と、「日本の国会でも言ってよ!」と思うようなことを堂々と宣言しています。

 そして、「会議が終結すれば、政府は合意を法律化する」と明言。

 たしかに、ハッキリさせなければ、この混乱は繰り返され続けることになります。

 それでも、まだ、この彼の提案が受け入れられるかどうかは、まだ定かではないだけでなく、彼自身の不信任動議の行方もまだ、わかりません。

 しかし、年金改革の停止を提案した時点では、社会党からは拍手が沸き起こったというのですから、一筋の光が見えてきた気もしないではありません。

 若干39歳の首相ですが、個人的には、思っていたよりもずっと頼もしい感じがしてきました。


年金改革停止


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2025年10月14日火曜日

サルコジ元大統領 10月21日パリ・ラ・サンテ刑務所へ収監決定

  


 サルコジ元大統領に懲役5年の実刑判決が下って約2週間、予定どおり、サルコジ元大統領は、国家財務検察庁(PNF)からの召喚状を受け取り、その日程と場所を告げられました。

 元大統領は、判決を不服として控訴したものの、仮執行猶予付きの拘禁命令により、収監されることになります。

 彼が収監されるパリ・ラ・サンテ刑務所は、パリ14区にあり、6年前に全面改装されて、2019年初頭に再開したばかりの比較的、新しい刑務所で、脆弱な立場にある人々の安全を確保するために隔離された「脆弱者区画(QPV)」があることで知られています。

 これまでにもピエール・パルマード、ベルナール・タピ、パトリック・バルカニーといった著名人も受けいれたことでも有名な場所でもあります。

 刑務官によれば、いかなる人物も優遇措置を受けることはないとのことではありますが、元国家元首ともなれば、刑務所側が優遇というよりも、中での争いごとを避けるための配慮が必用になることは言うまでもありません。

 とはいえ、彼は、他の受刑者と同様に、個人収監通知書、つまり比較的個人的な質問票への記入を求められました。内容は、「うつ病ですか?」、「監視すべき自殺の危険性はありますか?」、「治療や投薬が必用な依存症はありますか?」などの質問です。

 彼が入るのは、9平方メートルの個室。ベッド、ワードローブ、シャワーに加え、テレビと冷蔵庫も利用可能(利用料を支払った場合のみ)。他の受刑者と同様に、週3回の面会室と24時間利用可能な携帯電話の利用権が与えられますが、利用できる電話番号は裁判所が許可した番号に限られます。

 それでも、刑務所内で携帯もテレビも冷蔵庫も利用可能とは、驚きです。

 ただし、個室から出ることは元大統領という立場場、制限を受けるとのこと。このいわゆる社会的脆弱者区画では、1日に2回、専用の中庭に出て、他の受刑者と会うことなく独りで過ごすことができます。

 これは、携帯電話を持ち込んだ他の受刑者がサルコジ氏の動画を撮影したりするリスクを避けるためとしています。

 しかし、サルコジ元大統領は、収監後、ただちに彼の弁護団は、釈放を求める申し立てを請求することができるようで、審査は最大で2カ月以内に行われるというので、彼がノエルまでには、出られる可能性もあり得るという見方もあります。

 この申し立てに対して、70歳以上の高齢者は減刑の恩恵を受けられる可能性が高いともいわれているものの、これは、最終的な有罪判決が下された場合に限られます。しかし、サルコジ元大統領は、控訴しており、6ヶ月以内に再審が開かれる予定になっているため、この控訴がこの申し立てを遮るものになる可能性もあります。

 しかし、なんとかして、逃れるかと思っていましたが、とにかく一度は、お入りになることになりそうです。


二コラ・サルコジ元大統領 パリ・ラ・サンテ刑務所


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2025年10月13日月曜日

認知症ってそんなに急激に悪化してしまうものとは驚いた・・

  


 イタリア旅行中に、従姉妹にLINEで、脳天気にイタリアの美しい海や現地で食べた美味しいものの写真などを送っていたら、「バカンス満喫中に悪いんだけど、ママの体調が急激に弱って、ここ1週間くらいで急に歩けなくなってしまって、トイレにさえも一人で行けなくなってしまって、入院させたところで、バタバタしています・・」という返事が返ってきて、なんだか申し訳ない気持ちになってしまいました。

 実は、今回、娘がパリに来るときに、従姉妹には、一緒に来ない?などと、誘っていたのですが、「ママを長期間、2日以上、家に一人で置いてくることはできないから、ちょっと無理だな~」と言っていたのです。

 今年の夏頃から、叔母は、急激に弱り始め、その時も、従姉妹によると、「もうほとんど、一日中寝てばっかりいるの・・」と言っていたのですが、まだ、その頃は、食事は自分で取れるし、思い出したように起きてきて、食事する・・けど、トイレなどは、自分で行っている」という話だったのです。

 それが9月に入ってから、急激に弱ってしまって、とうとう一人で歩くことができなくなり、もう一日、何回もトイレに連れて行くだけでも大変になってしまって、そんな一週間が過ぎて、とうとう音を上げて、入院することになったのです。

 90を過ぎている叔母ですが、とても社交的な明るい性格で健康そのものの人でした。

 ところが、この入院によって、10日くらいの間にあっという間に認知機能が低下してしまったらしく、そのまま同じ病院に入院させておくことが不可能になり、介護施設探しに奔走した結果、ちょうど今月オープンしたばかりの施設に入ったばかりとのこと。

 ずっと家で介護してきた従姉妹にとっては、何よりも、このあまりに急激な母親の認知機能の低下が何よりもショックだったようで、「ほんとに、こんなに急激に悪くなっちゃうものなの?」とその事実が受け入れがたいことのようで、今まで、「どんなことがあっても家を動きたくない!死ぬまでこの家にいる!」と言っていた叔母も、もう自分がどこにいるのかも、ほとんどわかっていない様子だとのこと。

 最初に、歩けなくなってしまって病院に入院した時には、まだまだ自分で携帯で電話してきたり、持って行った差し入れを自分で食べていたりもしたようなのですが、1ヶ月の間に、もうすっかり、介護なしには無理な状況になってしまったらしいのです。

 まだ施設には入ったばかりらしいのですが、これがまた、費用が1ヶ月40万円程度かかるということで、大変そう・・。でも、もうお金には代えられないし・・とのことでしたが、当然のことながら、誰もがそんな金額を払えるわけではないし、やっぱり老後は大変なのだなと実感した・・一方、でも、お金持ちっているものだな・・まさに入ってくるご老人たちの身なりも全然、違うもん・・昨日、入ってきたおじいさんなんて、ハットにステッキ姿で現れた・・と感心していました。

 上には上がある高級介護施設ですが、これが区の特別養護介護施設だと、費用はだいたい半額以下・・だけど、2年待ちとかなのだそう・・。それは無理な話でしょう。

 従姉妹にとっては、この1ヶ月、激動の1ヶ月だったようですが、ずーっと母親と二人暮らしだった彼女には、新しい生活にまだまだ慣れなくて、別居生活をしていると思うようにしている・・と言いながらも、日々、母親のところに行っては、一生懸命、話しかけたり、面倒をみたりして、なんとか回復してくれないか・・と頑張っている模様。

 しかし、今の状況では叔母が自宅に戻ることは絶望的な感じで、それも辛くてたまらない様子でした。

 老いて、弱っていく家族の状況を受け入れることは辛いことです。


認知機能の急激な低下



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