2023年2月24日金曜日

16歳の高校生が授業中に教師を刺殺する異常な事件

  


 サン・ジャン・ド・リュズ(バスク地方)の高校で、授業中に16歳の少年が教師を刺し殺すという衝撃的な事件が起こりました。

 事件は、まじめで穏やかな校風で知られる静かな私立のカトリックの高校のスペイン語の授業中に起こったことで、事件を起こした少年は、授業中、突如として席を立ち、おもむろに出入口であるドアを塞いだのち、無言で教師に近付き、紙に包んで用意していた刃渡り20㎝ほどの大きなナイフを胸に突き刺したと言われています。

 現場にいたクラスメイトの証言によると、事件を起こした本人は、ひどく落ち着いていたものの、教室内はパニック状態になり、悲鳴が響き渡り、この少年がドアを開けるまでは、どうしたらいいかわからず、凍りついていたものの、彼がドアを開けるとともに、みんなが我先にと逃げ出し、慌てて、窓から飛び降りて逃げようとする生徒までいた模様です。

 彼は警察に身柄を拘束される前に学校で、「何ものかに憑依され、とりつかれて犯行に及んだ」というようなことをつぶやいていたそうですが、同時に、「これで人生がめちゃくちゃになってしまった」というようなことも話していたと言われています。

 少なくとも、これまでに、このスペイン語の授業の間にこの教師と生徒の間に問題が起こったことは一度もなかったと言われているため、ますます不可解な事件であるとも言えます。

 この少年は、明らかに知的で勤勉な少年で成績もよく(スペイン語以外)、いわゆる警察や学校からマークされるような不良少年ではなく、ビデオゲームや友人との外出など、同年代の若者として典型的な行動をしていたとクラスメイトは証言しています。

 しかし、一面では、他人との関係がぎこちなく、精神的に不安定な傾向にあり、うつ病の病歴があり、昨年10月に薬物による自殺未遂の、抗うつ剤を服用していたようです。

 このような、未成年、異常な行動による犯行の場合は、精神鑑定により、その責任能力が問われることになりますが、身柄拘束後の検察による1回目の精神鑑定によると「統合失調症型の精神疾患は認められず」、「急性精神疾患による脱力感も認められない」と診断されているものの、1年前からうつ病の要素があることも判明しています。

 どちらにしても、彼が自分自身で用意して、犯行に及んでいることは、明らかなことで、計画的な殺人事件として、捜査が進められていきます。

 この少年がいわゆる常日頃から素行の悪いいわゆる不良少年ではないことは、かえって事件を複雑にしているようなところがあり、犯行動機というものは、成績優秀な彼が唯一苦手な教科がスペイン語であったということくらいしか見当たらないのですが、まさか苦手な教科の教師だから殺すということも考え難いことでもあります。

 しかし、多くの人の目の前で行われた殺人は、冷静に、なんのためらいもなく、ひと突きのみで確実に致命傷をおわせたものであることはなおさら、恐ろしく感じられます。

 こうなると、被害者の53歳のスペイン語の教師の人となりが注目されるのですが、これまたちょっと聞いたことのないような評判のよい先生で、「並外れて献身的な人・・」、 「とても穏やかで親切でとても良い人で、誰からも愛されていた・・」、「彼女は休暇中であっても、少なくとも 80 ~ 90% の時間を学校での仕事に費やしていました・・」というおそらくフランスの学校ではなかなか耳にしない評判のいい先生だったようです。

家族関係も良好で、夫婦や家族も、とても仲が良かったとのことで、彼女の周囲の人々は、やるせない気持ちのやり場に苦しんでいるのではないかと思われます。

 いずれにせよ、これが公の場で行われたもので、事件の捜査は、この少年の精神障害についてが、掘り下げて行われることになります。

 この現場に居合わせたクラスメイトをはじめ、同校の生徒たちのショックは大きく、そのケアのための心理的サポートのためのユニットが設置されました。

 パンデミック後、パンデミックのためにうつ病が急激に増加した(特に若い世代)と言われていましたが、まさかこんな事件が起こるとは・・。彼が単なるうつ病だけであったとは、思えないのですが、彼の善悪の識別能力を妨げるものが病気として判断されるのか?それとも彼の人格として判断されるのか? 今後の捜査で少しずつ解明されていくと思います。

 しかし、私にとって、少なからずショッキングだったのは、この事件が起こったのが私立のカトリックの学校だったということで、娘の学校選びに際して、知人や先輩方から、「フランスではクズは限りなくクズ・・学校は絶対、私立にするべき!」と言われて、私も、たしかにそう感じて、娘は、小・中・高校と私立のカトリックの学校に通わせていました。

 この事件の起こった学校のように、静かで穏やかに見える学校で子供たちの顔つきも違っているような気がしたものですが、実際には、かなり進学校で、高校生の頃は、試験が終わるたびに、生徒たちは、慌てて成績の順位をチェックするために携帯に釘付けになると異様な話も聞いていて、うつ病で学校に来なくなっちゃった子がいる・・などという話もそういえば、聞いたことがあったのでした。

 とりあえず、私立の学校の方が安心と思っていた私にとって、この事件は、私立とて、例外ではない・・と思わされる事件でした。

 殺された教師やその家族はもちろんのこと、この少年の家族とて、どれだけ打ちひしがれているかと思うとやるせなくなります。


16歳の高校生 授業中に教師を刺殺


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2023年2月23日木曜日

ギャラリー・ラファイエット 26の店舗にセーフガード手続き申請 デパートに未来はあるか?

  



 ここのところ、中規模の服飾品メーカーが相次いで、管財人の管理下におかれ、事実上の倒産状態になったり、経営危機が露わになってきていますが、フランス最大手百貨店もその中に含まれているようです。

 競合他社であるプランタンが国内の7店舗を閉鎖する発表をしたのは、2020年11月のことで、パンデミックが始まった年でもありました。

 この時、すでにギャラリーラファイエットは大丈夫なんだろうか?という思いが、ふと頭をよぎったのですが、どちらにしても、パリの店舗はさすがに同社全体の象徴的な存在でもあり、影響は及ばなかったために、フランス国内の地方の店舗の事情もピンと来なくて、あまり深く考えることもありませんでした。

 今回のギャラリー・ラファイエットのセーフガード手続きというものは、こういう申請の仕方もあるのか?と思ったものの、経営が上手くいっていないことに違いはありません。

 財務省の説明によると、セーフガード手続きの目的は、経営難に陥った企業が負債を清算しながら活動や雇用を維持するために、組織再編を促進することとされており、キャッシュフローが債務を決済するのに十分ではなくなったものの、まだ支払いを停止していない企業を対象に、経済活動や雇用を維持し、確実に債務を返済できるようにするためのものだそうです。

 これにより、債務の利息(法定利息、遅延利息、延滞利息)および課徴金の支払いが停止されます。

 このセーフガード申請の対象には、アジャン、アミアン、アングレーム、バイヨンヌ、ボーヴェ、ベルフォール、ブザンソン、カーン、カンヌなどの店舗が挙げられています。

 どちらにしても、プランタンといい、ギャラリーラファイエットといい、各段に観光客の多いパリの店舗はすっかり復活した観光客に支えられえていると思われますが、どちらにしてもこのデパート、百貨店という営業形態がもはや成り立たなくなりつつあることも事実です。

 私自身、そもそも買い物をあまりしなくなったうえに、ギャラリーラファイエットへ行くのは、ノエルのデコレーションを見に行く時だけで、それ以外は、ごくごくたまに行く、ラファイエットグルメだけ。

 考えてみれば、何か探して買い物に行く際には、「まぁとりあえずデパートに行けばみつかるだろう・・」と思っていたのは遠い昔の話で、今でも広範囲の色々なブランドのものが、置いてあることには違いがないのでしょうが、どうにも、見づらく、また、中途半端に高いという始末の悪さに、デパートで買い物をしようとは思わないのです。

 今は何か欲しい商品があれば、ネットで調べて、ネットで買ってしまう方が簡単なうえに、実物を見て、自分の手で触れてみてから選びたいという場合でも、お店もそれぞれに、簡単に調べて出向くことができるので、わざわざ不特定多数のある程度の商品数がおいてあるデパートに行く必要はないのです。

 ラファイエットグルメなどは、美味しいものがたくさん厳選されておいてあり、たしかに、よくこれだけ集めているなぁと感心するものの、やっぱりお値段は、それぞれのお店よりも若干高めに設定されており、短時間に一度に美味しいものを手に入れるには便利なところではあるのですが、このインフレで商品の価格には、今まで以上に敏感になっている消費者にとっては、敷居が高くなっているかもしれません。

 しかし、パリの店舗を見る限り、店舗はいつもにぎわっている様子なので、大きな問題ではないのかもしれませんが、購買力の弱い地方の店舗にとっては、ギャラリーラファイエットとはいえ、デパートという存在自体が、生き残りが難しくなっているものなのかもしれません。


ギャラリーラファイエット セーフガード手続き申請


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2023年2月22日水曜日

パリに日本人観光客がちょっとだけ戻ってきた・・

  


 パリは今、学校が冬休みのバカンス中で、パリの街を歩いていても、いつもよりも子供連れの人が多い気がします。

 かねてから、ノエルで年末年始がお休みなうえに、また冬休み!と思うこのバカンス期間ではありますが、今年はここのところ、冬休みというよりも春休みのようなポカポカした気候です。

 暖かい日差しの中を歩いていると、まことにのどかに見えるパリです。

 この間、ランチをしていたら、どうやら地方からやってきたフランス人家族連れ4人が隣席で食事をしており、それぞれ子供達が食べたいものや行きたいところが折り合いがつかずに、それぞれ意見を通そうと話しつつも、なごやかな感じが微笑ましく、また、両親用のアントレが運ばれてくると、子供たちはなぜかパパのお皿には手を出すのにママは独り占めで食べ続けるという家庭内のチカラ関係が垣間見えるようで面白いな・・と思いながら、眺めていました。

 しかし、それにしても、家族4人でパリに来て、何日滞在して、どこへ行くのかわかりませんが、結構、高くつくんだろうな・・などと考えていました。

 こういったフランス国内からやアメリカやヨーロッパからの観光客はすでに、昨年の夏頃から、もうかなり戻ってきた感じで、いわゆる観光地っぽいところに行くと、ガイドさんが旗をもって、解説していたりする一団を見かけたりもするし、セーヌ川を渡るバトームーシュ(遊覧船)などは、遠目から見るにも、けっこう満員です。




 それでも、昨年には、「世界からの観光客は完全に復活した!」と言われつつも、どうにも、日本人の観光客を見かけることはほとんどなく、日本人の私としては、どうにも寂しい気がしていました。

 それが、昨日、出かけようとしたら、まずバス停で日本語が聞こえてきて、「えっ?」と思って振り返ると、若い日本人のカップルでどう見ても観光客。日本人の場合、そのたたずまいというか、服装や雰囲気で、こちらに住んでいる人なのか?観光客なのかはすぐにわかります。

 そういえば、パンデミック前までは、2月のこの時期は比較的、航空券が安いこともあってか、卒業旅行や研修旅行などで、日本人観光客が意外と多い時期でもありました。

 我が家の近くのホテルの中には、日本のツアー客が使っているホテルがあって、時には、知り合いのガイドさんなどに偶然、お会いすることもあったのに、ここの数年は、日本人どころか、ガラガラだったホテル。そんなホテルにも最近、お客さんが入りだしたな・・と思ってはいたのですが、日本人までとは・・。

 パリ市内のメトロは路線によって、フランス語、英語などに混ざって日本語のアナウンスが入る路線が何本かあるのですが、パンデミックのこの3年間、観光客が来ないからといって、アナウンスのテープをわざわざ変えないということもあってなのか、日本人なんて、誰一人として乗っていないのに日本語のアナウンスが流れるメトロを「これって私だけのためになっちゃってるのね・・」と虚しい気持ちで聞き続けていました。

 それが、今日1日で、最初のバス停に続いて、2ヶ所で2組の日本人観光客らしき人々を見かけて、「あ~ようやく、日本人もパリに来てくれるようになってきたんだ・・」となぜか、なんとなく嬉しくなりました。

 長らく日本で生活していないので、日本で今、お休みを取りやすい時期なのか?よくわかりませんが、個人の観光客が気安い時期なのでしょうか?

 パンデミックの前の段階にはすでに、昔のような日本のグループの団体客というのは、めっきり減っていましたが、個人で観光に来ている日本人を見かけたりすると、大丈夫かな?なにか、力になれることがあれば・・と声をかけたくもなります。

 そこは、まだまだフランス人のおばちゃんたちのように、気軽に知らない人に声をかける勇気もなく、また、特に日本人に対しては、いきなり見ず知らずの日本人のおばちゃんに声をかけられたら、不審に思われてしまうかな?などと、臆してしまうのであります。

 今日、通りかかったノートルダム大聖堂は、未だ絶賛工事中で、ごくごく近くには近寄れないようにはなっていますが、その囲いには工事中の様子の写真と、その状況を解説するようなパネルが何枚もかけられていて、工事中は工事中なりの観光を楽しめるようになっています。

 



 考えようによっては、工事中のノートルダム大聖堂もこれまた、今しか見れないものなので、これはこれで貴重かもしれません。

 来年には、パリオリンピックで、またまた普通にパリに来るのが大変になりそうでもあるので、パリに行ってみたいと思っていらっしゃる方には、2023年はよい機会かもしれません。

 これから、日も長くなり、同じ日数でも、これまでの季節よりも、もっともっと楽しむことができるようになってきます。

 日本人のみなさん、パリに来てください。


パリ 日本人観光客


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2023年2月21日火曜日

フランスのポップな色合いの可愛い雑貨のお店 ピローヌ(PYLONES)

  


 パリと言えば、可愛い雑貨が溢れているようなイメージもあるかと思いますが、これがそんなに気の利いたものがなかなか見つかるわけでもありません。

 そんな中、ピローヌ(PYLONES)は、カラフルでポップな可愛い雑貨を扱う雑貨屋さんとして、わかりやすい可愛さにあふれるお店で現在、パリ市内には13店舗あります。

 このお店は正真正銘のパリ発祥のお店で、人間、動物、花のシルエットにカラフルなパターンを施した日用品やアクセサリーを中心にした作品を発表し続け、その独特なポップな色合いと華やかさ、便利さやちょっとしたいたずら心を兼ね備えた商品を前面にして、1987年にパリ・サンルイ島に1号店をオープンしたのが始まりです。

 このお店を最初に見つけたのは、もうかなり前のことになりますが、この手のお店にありがちな、可愛くて、ついつい欲しくなって買ってしまったものが家にも数点あります。

 でも、可愛いし、日本へのおみやげにもいいかな?と一瞬、思ったのですが、日本に行った時に、偶然、このお店を見つけて、「なんだ・・日本にもあるんだ・・」と思って調べたら、日本にも、10店舗ほどあるようです。しかし、パリにおいてあるものと、全く同じものが置いてあるのかどうかはわかりません。

 すでに、最近では断捨離もどきのことを始めているため、この手のお店はできるだけスキップして見ないようにしてきたのですが、先日、たまたま通りかかって、なんだか久しぶりに覗いてみようか?という気になり、久しぶりに店内に足を踏み入れました。

 こういうお店は見ているだけでも楽しいもので、なんだか私の場合、中高生くらいの頃に意味もなく、友達とぶらぶらとソニープラザ(今でもあるのかなぁ?)などを眺めて歩いた時のことを思い出します。

 

可愛いふくろうの眼鏡置き

 

てんとう虫のテーブルクリーナーと猫のキッチンタイマー

 

パズルのような鍋敷き

 

折りたたみ傘

 ここの商品は可愛いだけでなく、ちょっと便利ということも、つい手がのびてしまうのですが、この折り畳み傘などは、ちゃんと傘を畳めないフランス人の習性?をうまく利用しているようなところも笑えます。

 

犬や猫のスポンジホルダー

 

 

瓶の栓 ハメるとおぼれている人の足が・・

  

エッフェル塔のチーズおろし

 
猫のバターナイフとちょっとどうかと思う鍋敷き

 

手足が下り曲がる携帯ホルダー

 見ているうちに、なんだか年甲斐もなく一人ではしゃいでいる気分になってしまい、猫好きの私はついつい猫ものに、いちいち過剰に反応してしまいます。

 別に見るだけのつもりが、ついつい買ってしまったのがこちら・・


猫の携帯ホルダー

 しかし、携帯を置いてしまうと猫は見えず、あんまり猫の感じはしないのですが、まぁ、なんとなく、生活の中でにっこりしてしまう物があるのも、楽しいな・・と久しぶりに雑貨屋さんに入って、思ったのでした。

 パリ市内だと1号店のサンルイ島をはじめ、マレ地区やルーブル美術館の地下にもあり、また、東駅、サンラザール駅、モンパルナス駅の駅ビル内にもあります。

ピローヌ(PYLONES)

 ちょっと、楽しいお買い物、ウィンドーショッピングをしたい方には、ちょっと覗いてみたらいいかもしれません。


ピローヌ(PYLONES) パリの雑貨屋さん


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2023年2月20日月曜日

エルメス絶好調で特別ボーナス4000ユーロ 笑いが止まらないフランスの高級品業界

  


 決算発表の時期ということもあり、その明暗の分かれ目が顕著に見える時期でもあります。

 カマイユ、Kookaï(クーカイ)、Pimkie(ピンキー)、Go Sportなどが次々と管財人管理下に置かれるなどのニュースが相次ぎ、ついには、ギャラリーラファイエットの26店舗までがセーフガード手続き申請など、不景気な話ばかりが次々と流れる中、びっくりするほどの絶好調なのは、ハイブランドといわれる高級品業界です。

 先日は、LVMHグループの時価総額過去最高を記録したなどという話が出たばかりのところ、今回は、エルメスも絶好調という話で、昨年の売上高から29.2%増の116億ユーロを記録し、世界中の全従業員19,700人に対して4,000ユーロ(約56万8千円)の特別ボーナス、株主に対しては1株当たり13ユーロの配当を支払うことを発表しています。

 この中でも、最も注目されるのは、売上高の約半分を占める皮革製品・馬具部門で、供給問題の影響を受けた2021年よりも21.3%増、約8,000ユーロで販売されるバーキンは入手するのに平均10ヶ月待ちという状態を少々改善したこともこの増収に繋がっていると見られています。

 強気なエルメスは昨年の4%値上げに引き続き、今年も7%値上げすることも同時に発表しています。

 エルメスのマネージングディレクターは、「独自の、特に強固なビジネスモデルによって強化され、自信を持って2023年に臨んでいる」、「2022年は、あらゆる不確実性にもかかわらず、すべての国で好まれているおかげで非常に好調であった」と述べています。

 競合のLVMHやケリングが年次決算発表時に、第4四半期の中国での売上がパンデミックの影響で落ち込んだことを指摘されたのに対し、エルメスはアジア太平洋地域(日本を除く)の売上が30.7%増となりました。

 たしかにエルメスは最近のルイヴィトンなどのド派手なデコレーションや広告などとは、全く違うビジネスモデルで突き進んでいる感じはします。

 滅多にこの手のお店には行かない私が昨年、日本に一時帰国をした際に従妹に頼まれたものを探しにエルメスの本店に行ったのですが、当然のごとく、その商品は売り切れで、今後、入荷の予定はいつ頃なのかと尋ねたところ、現在作っているのかどうかもいつ入荷するかもわかないと言われて、あんまり売る気ないんだな・・と思いつつも、あまのじゃくな私のようなものにとったら、ぜんぜんやる気ないというか、ガツガツ稼ごうとしていない感じには、かえって好感を持てる気がしたりして、また、そのうち覗いてみようかと思ったまま、結局、あれ以来、行ってはいません。

 そのエルメスが好きな従妹の話によると、とにかくまず商品が入らないのがエルメスで、エルメスの商品を扱っているサイトなどでは、とにかく出せば、即売れてしまうのだそうで、日本は貧乏になった・・などと言われる反面、こういうものを超高価格でも買うという人はいるのだな・・とビックリしたりもしました。

 こんな生産が間に合わない状態を改善するために、エルメスは2023年にウール県(ノルマンディ)ルーヴィエとアルデンヌ県ラ・ソルモンヌに2つの皮革製品工場を開設する予定だそうで、今後、品不足は少しだけ改善されるかもしれません。

 しかし、一方では、簡単に手に入らないということも、価格上昇をもいとわない購買意欲を掻き立てていることも事実なので、エルメスに行って、欲しいものがすぐに買えるようになる(2つ工場が増えたくらいでは、すぐにそうはならないと思うけど・・)のも、なんだか、逆に肩透かしをくう気分がするかもしれません。

 このガツガツしていない感じは(私の個人的な印象ではありますが・・)、以前、前述の従妹に頼まれて、まだ小学校低学年くらいだった娘を連れて、手帳を買いに行ったときのこと、その時は、あっさり希望の品物は買えたのですが、その時に応対してくれたフランス人のお姉さんが、買った商品とともに、「大きくなったら、中身を買いにきてね!」とエルメスの小さなオレンジの箱を持ってきて娘に渡してくれたのは、私のエルメスのイメージをなんとなくほっこりとさせてくれた良い思い出です。

 残念ながら、大きくなった娘は、エルメスには全く興味がないのですが・・。


エルメス大幅増益 特別ボーナス


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2023年2月19日日曜日

昨年、フランスで最も盗まれた車はトヨタだった!

  


 フランスでデモが暴徒化したりする場合に車が燃やされる光景というのは、珍しくはないことですが、それよりも地味に、しかし、着実に起こっているのは車の盗難事件なようで、特に昨年は車の盗難件数が急増し、2021年の127,700件に対し、合計134,000件と9%も急増しています。

 つまり、フランスでは、1日367台(1時間に15台)の車が盗難に遭っているということなのです。その中でも昨年、最も盗まれた車はトヨタRAV4なのだそうで、しかも、それは昨年のトヨタプリウスに続いて、トヨタは2年連続の堂々1位のタイトルを獲得しています。

 これは、喜ぶべきか、嘆くべきか、考えてしまうところでもあるのですが、そもそもそれだけ、フランス国内でトヨタの車がかなり出回っているという証でもあり、人気があるという証でもあるかもしれません。

 たしかに、やはりなんといってもフランスの車が多いフランス(ちなみにフランスで一番売れている新車はプジョー208だそうです)で、特にここ数年、なんだかトヨタの車を目にする機会が増えたような気がするのです。

 特に警察車両(パトカー)などがトヨタだったりするのには(もちろん全部ではありませんが)、フランスの国の機関である警察の車両くらい、なんでフランスの車にしないのかなぁ?と、不思議に思ったりもします。

 先日、ゼレンスキー大統領がパリに来た時に彼をエリゼ宮に運んで行ったのもトヨタの車でした。

 現在の車のキーは、昔のキーと違って、鍵師が巧なテクニックを使って開けるわけではなく、なんと、今はコンピュータ化された電子システムが使用されているために、ネットで解除装置を買えば、誰でも簡単に車を盗むことができるのだそうで、この高度化?されたツールによって、車を3分以内、(車種によっては40秒以内)に簡単に盗むことができてしまうのだそうです。

 内務省のデータを編集している保険の専門機関の統計によると、1000を超える車種の盗難頻度を算出したことにより、トヨタRAV4は保険加入車1万台中240台も盗難に遭っていることが判明したのです。

 これは主に日本企業の特定のモデル専用のハッキングキットをネット上で数千ユーロで販売している車窃盗システムが発覚し、昨年10月、警察はついにこの車窃盗のためのハッキングキットを輸入していた犯罪ネットワークを摘発したようです。

 しかし、これはイタチごっこの始まりということで、一つの犯罪ネットワークを摘発しても、また別のネットワークが登場するだろうし、自動車メーカーがこれらのハッキングキットに対応したセキュリティを開発しても、また、それを解除することができるハッキングキットが再開発されるのだと思います。

 フランスに来たばかりの頃に、夫がうるさいくらい、車の中には、決して物をおいておかないで出先でも荷物は必ずトランクに入れるように言っていて、ラジオ・CDのプレーヤーなども外して乗り降りしていて、「そこまでするの??」と思ったのですが、これは、当時も多かった車上荒らし対策だったのだと思いますが、今や車もろとも簡単に盗まれてしまうのでは、もうお手上げ状態です。

 しかし、「これには対策があります!」と推奨されているのは、「壊れやすい車や窃盗団に人気のある車をお持ちの場合、理想的な解決策は閉鎖された駐車場に車を駐車すること。それができない場合は、ハンドルに棒をつけるなど昔ながらの方法をとれば、コンピューターでは、それを取り除くことができないため、窃盗犯はそれを見て立ち去ります!」とのことで、この電子ロック解除に対抗する方法がハンドルに棒をつけるという原始的な方法が推奨されていることに、どうにも拍子抜けさせられる気がします。

 


フランスで一番盗まれる車 トヨタ


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2023年2月18日土曜日

パリにも広がりつつある日本のお菓子

  


 私がフランスに来たばかりの頃は、パリでみかける日本のお菓子は、日本のポッキー(POCKY)が、なぜかMIKADOという名前で売られているくらいで、日本の食料品を扱うお店に行けば、それなりに少しは日本のお菓子もあるにはありましたが、他の場所では、滅多に見かけることもありませんでした。

 何より、なにも日本のお菓子を探さなくても、まぁ、そこそこのお菓子はこちらにもあるし・・別にお菓子は、いいかな?とも思っていました。

 もともと、私は日本にいた頃は、圧倒的な辛党で、お菓子を食べていたのは、子供の頃のことの話で、あまり日本のお菓子というものには詳しいわけではありませんでしたが、それでも、普通に出回っていたメジャーなお菓子くらいはそんなに頻繁ではないにせよ、あっ知ってる、食べたことある!くらいの認識はありました。

 もうかなり前のことになりますが、日本に行く外国人が増え始めてから、外国人が日本から買って帰るお菓子で最も人気のあるのは、「コアラのマーチ」という噂を聞き始めてまもなく、コアラのマーチは日本食料品店だけでなく、アジア食材を置いているスーパーなどにも登場するようになっていました。

 それが最近、日本食ブームなども手伝ってか、中華系のチェーン展開もどきの日本食レストランや、ラーメン屋さんなどには、かなりの頻度でラムネ(ドリンク)が登場するようになり、オペラ界隈には、日本の駄菓子屋さんのようなお店までが登場しました。

 お菓子に限ったことではありませんが、日本の商品は常に商品開発が続けられていて、同じメーカーの同じお菓子でも常に新しいフレーバーや季節限定商品などの新商品が出てきて、楽しませてくれるものであることをそんなお店を見ていると思い出します。

 日本に比べれば、フランス人は、本当にいつもいつも同じものを食べていて、よく飽きないな・・と思うほど、代わり映えがしない感じです。それでも、以前に比べれば、新商品や新しいフレーバーなども出るようになりましたが、まだまだ日本の比ではありません。

 一つには、かなりフランス人の味覚が保守的であることもあるし、「伝統的なものこそ王道である」というような考え方もあるかもしれません。

 一時、フランスで、抹茶味がプチブームになった時には、抹茶味のキットカットを見たことがありましたが、それもあっという間に消え去ってしまいました。

 それが、昨日、たまたまNormal(ノーマル)という若者向けの比較的低価格のコスメやお菓子類、小物などを扱っているチェーン展開のお店(現在、急激に店舗数を拡大中)に行ったら、お菓子の山があって、「いつでも新商品入荷!」などと書いてあり、まず、目に入ってきたのは、チョコレート味とイチゴ味の「コアラのマーチ」でした。

 コアラのマーチもこんなところにまで、登場するようになったんだ・・と、なんとなく満足気な気持ちで、ふと、そのまわりを眺めると、MIKADOではなく、POCKYがあり、しかも、つぶつぶイチゴやアーモンドクランキー、それに加えて、ホワイトチョコレートやショコラオレンジのキットカットがありました。

 たまたま、それを珍しそうに手に取っていたフランス人が「キットカットなのに、これ何??パッケージからして、オレンジの味なんじゃない・・へえ~~」と言っていて、ショコラオレンジってフランス語っぽくは書いてあるんだけどね・・カタカナ書きだもんんな・・と、惜しい!と思って、クスッとしました。

 それに加えて、なぜかブルーベリー味のラムネ、そして、日本のグミがゴソゴソとおいてありました。なるほど、グミとはフランス人が好きそうなもの(フランスには国民食といってもいいほど人気のHARIBOというグミのようなお菓子があります)を選んで入れているんだな・・と思いつつ、これまた、きっと、なんだかわからないんじゃないかなぁ~?とちょっと残念にも思いました。

 日本のものがフランスで広まってくれることは、日本人としては嬉しい限りですが、考えてみれば、日本の食料品には、優れものがたくさんあります。

 お寿司、ラーメン、餃子、日本の食パンなど、かなりフランスに広まったと思う食べ物はたくさんありますが、今度は日本のお菓子が来ているのかもしれません。


パリで買える日本のお菓子


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