2023年1月21日土曜日

日本のニューワードに疎くなる 「片親パン」の巻

   メトロの中で日本のネット記事を見ていたら、「片親パン」という言葉がでてきて、???となりました。 今や海外に住んでいても、いつでも日本の記事も読めるし(yahooニュースはVPNを使わないと見れなくなってしまったけど・・)、日本人のYouTubeを見たりするので、そんなに日本語に疎くなる感じもありませんが、それでも、たまに新しい言葉だったり、表現だったりを知らなくて、長くフランスにいるからといって、ネイティブのようにフランス語を操れるわけでもなく、え~?日本語にもついていけなくなっちゃったかも??と焦るような気持ちになることがたまにあります。 前回は、仕事で日本の雑誌への広告...

2023年1月20日金曜日

フランス全土で112万人動員!想像以上に長引きそうな年金改革のデモとストライキ

  今回の年金改革反対の動きは、12年ぶりの労働組合統一の大規模なデモだと言われていましたが、その動員数は、パリだけでも40万人、フランス全土で112万人を動員したと発表されています。 これは、この動員を呼び掛けていた労働組合にとっも想像以上のものに盛り上がったようで、まだ、その1日が終わらないうちから、次回の動員は1月31日だと発表され、早くも長期戦の兆しを呈しています。 とはいえ、これに伴うストライキについては、以前の2019年12月の大規模なストライキの時のような大混乱とはならずに、渋滞もさして深刻にはならず、駅も場所によっては、いつもより人が少ない場所もあったようです。 これは、パンデミックのロックダウンなどの経験により、リモートワークが広がったことや自転車を交通手段として使う人の割合が増えたことにより、いつのまにか公共交通機関のストライキに対する耐性を身に着けていたことも大きいのかもしれません。 とはいえ、誰もがリモートワークが可能なわけでもなく、また、誰もが自転車通勤が可能なわけでもなく、これが長く続けば、疲弊していくことに変わりはありません。 私自身、以前、パリ近郊に住んでいた頃に1カ月近く、ストライキのための間引き運転が続いて、心身ともに疲れ果てたこともあり、その月のNavigo(定期券のようなもの)が払い戻しのような対応になったものの、その直後に電車内にキセルのコントロールに回ってきたRATP(パリ交通公団)の職員が「こんなに長いことストライキをやっていたくせに、コントロールとは何事だ!」と周囲の乗客に袋叩きに遭っているのを見かけたこともありました。 また、学校のストライキが1カ月近く続いたときにも困り果てて、学校がストライキだからと私まで休むわけにもいかずに、勉強も見てくれる娘のベビーシッターを急遽探して頼んだら、私の安い給料などは、ほとんどベビーシッターのためにすっ飛んで、一体、何のために働いているのかわからないと思ったり、何より、明日は学校やっているのか?と不安な状態が続くことに、つくづくウンザリしたこともありました。 その結果、「なにがなんでも娘はストライキをやらない私立の学校へ入れる!」という決意を固くし、後になってみれば、それが娘にとっては、幸いしたのです。 今回の年金改革には、国民の80%が反対していると言われており、今回の動員数を見ても、そう易々と解決するとは思えません。 今後、このデモがどのように発展していくはわかりませんが、デモが単に大勢の人が集まってモノ申すだけにとどまらず、乱暴者が介入し、破壊や放火などにつながる危険がついてまわるため、その日はまともな生活が送れなくなります。 時間の経過とともに、勢いを失っていくデモもありますが、今回のデモはどうにも今のところ、沈静化していく兆しはないので、余計に盛り上がっていく可能性が高い気がしています。 定年の年齢が62歳から64歳になったことで、「死ぬまで働かせるつもりか!」と怒っているのですが、特に若い世代にとっては、これがそのうち64歳どころでは済まなくなる・・ということで、職種にかかわらず、男女にかかわらず、年齢にもかかわらず、ほぼすべての人に該当することで、すでに定年を迎えている人でさえ、自分の子供、孫のためにと立ち上がっているのですから、動員数が膨れ上がるのも致し方ないところです。 長く働くことで、それなりに受給する年金額は増額されることになるのですが、このインフレの折り、その増額はインフレにおいついていないというのも反発を買っている一つでもあります。 とはいえ、政府に対して声を上げるデモの権利というものは、当然、正当な権利であり、それ自体はこの抗議を受ける側である政府も認めるところではありますが、いずれにしても長期化しても国全体にとってもよいはずはないため、今後、この国民の声に政府がどう対応していくのかは目が離せないところです。 このようなデモによって、これからの政策がさらに練られていくことは、必要なことで、自分の意見をはっきり主張することを良しとする教育を受けて育っているフランス人にとっては、ごくあたりまえのことなのだろうと思います。 フランスのこんな様子を見ていると、少しは日本人も政府に対してモノ申せばいいものをと思っても、おとなしく従うことを良しとする教育を受けてきた日本人には、なかなか難しいことで、教育からして、政府の都合のいいようにできているのだな・・と果てしない問題を抱えているようにも思います。 フランス年金改革デモ112万人動員<関連記事>「娘の人生を変えたストライキ」「12年ぶりの労働組合統一戦線...

2023年1月19日木曜日

LVMH モエ・ヘネシー・ルイヴィトングループ 時価総額4,000億ユーロ超の絶好調

   2年前の冬、まだまだパンデミックにもっと緊迫感があったころ、それでもクリスマスのイルミネーションは綺麗だろうとパリの街中に出かけて行ったとき、クリスマス前だというのに、人もまばらで、ようやく飲食店以外の店舗の営業ができるようになったものの、シャンゼリゼはもちろんのこと、高級品店が並ぶヴァンドーム広場などは、お店が開いているというのに、お客さんが全然いなくて、暇そうに店員がお店の中でつったている様子を見て、いつもは、忙しそうにしているこれらのお店のお客さんは、ほとんどが観光客だったんだと思わされて、クリスマスのデコレーションでいつも以上に煌びやかにお店が飾られている分、余計に物悲しい感じがしました。 考えてみれば、ヴァンドーム広場やコンコルド広場などに出るまでの比較的細い道は、いつもは、クリスマスとは関係なくとも、けっこうな人がいて、スムーズには歩きづらいほどなのですが、そういえば、今日はスイスイ歩いてきたな・・などと、ガラガラのお店をみて思ったものでした。 しかし、こんな状態が続いたら、これらのお店も大打撃だろうな・・と思ったのを覚えています。 あれから、徐々に観光客も戻り、現在は、ほぼ通常モードに戻っているパリは、ルイヴィトンを筆頭に高級品店は長蛇の列がもとどおりになりました。もとどおりどころか、最近は、その派手なデコレーションやアピールぶりで、さらに否応なしに存在感を増している感じです。 つい先日、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイヴィトン)の時価総額が4,000ユーロを突破し、これは欧州企業では初めてのことだと沸いています。これは株価の上昇によるものなのですが、企業自体が好調であることは言うまでもありません。 このインフレでガソリンの値段が、バゲットの値段が・・などと騒いでいる時に、ルイヴィトングループなどの高級品店は、インフレの影響をまるで感じさせず、ごくごく日常のものについては買い渋りなどの現象が見られるのに、けた違いの値段の商品が行列を作って人が買っていくのですから、まるで別世界のようです。 別世界といえば、このグループ、最近はルイヴィトンにしてもディオールにしてもギャラリーや美術館まで拡大しているのがこれまでと違うところで、私などは、お店を覗くだけでも、美術館みたいだ・・と思うのですが、その美術館みたいだ・・と思って、なにも買わずに出てくる私のような人間に、本物の美術館を作って買わない人からも入場料を徴収するというのが凄いところ・・。 また、このギャラリーなどが、大金を使っているだけあって、なかなか見応えがあり、予約しても行列ができるという大盛況ぶりです。 そもそもこのグループの一つ一つのブランドは一つずつでも最強なブランドばかりが束になっているのですから、強者がさらに虎の威を借りてさらに強くなっていく相乗作用で、ルイヴィトンをはじめとして、そんなにブランドに詳しくもない私も知っているディオールやをセリーヌ、フェンディ、ティファニー、ショーメ、ブルガリ、ウブロ、ゲラン、ロエベなどなど・・名前を上げれば上げるほど、そりゃそうだよね・・という感じです。 LVMH...

2023年1月18日水曜日

日本の空き家問題をフランスのニュースで知る 空き家の相続問題

 日本では850万戸の空き家があり、政府は相続人に対する規制を強化することを検討している・・とフランスのニュースで取り上げられているのを見て、「えっ?そうなの?」「空き家が多くなっていることは知ってたけど、それに対する規制を強化・・という話は知らなかった・・」とちょっと斜め読みしていたところ、じっくり読むことにしました。 「高齢化社会を迎え、団塊の世代が80歳を迎える10年後には、日本の住宅の3軒に1軒は空き家になるという試算もある」 「多くの国々と同様、日本も深刻な住宅問題に直面しています。毎年人口が減少しているとはいえ、ある程度の広さが必要な家族にとっては住宅価格は高い。特に住宅市場は、...

2023年1月17日火曜日

12年ぶりの労働組合統一戦線  年金改革抗議の強力なストライキの予定

  年がら年中、誰かがデモやストライキをやっている感じがするので、ストライキ自体に少々、麻痺している感じもあります。とはいえ、自分が利用する交通機関などだったりすると、それなりにうんざりして、対策を考えるのですが、個人的には、防ぎようもないことなので、こうなると、あまり怒りすぎないように、大きくため息をつく感じです。 怒ったときには、一度、大きく深呼吸をするといいといいますが、なるほど、ため息というのは、深く息をつくという意味では、自然発生的に自分がとっている防衛本能の一つかもしれないなどと、つまらないことまで考えます。 さて、1月10日に政府が提示した年金改革は予想どおりに大きな...

2023年1月16日月曜日

フランソワーズ・モレシャンのインタビュー記事

   偶然、フランソワーズ・モレシャンのインタビュー記事を見つけて、「あ~そういえば、彼女はフランス人だったんだわ・・」と思うほどに、私の中での彼女の記憶は曖昧なのですが、そういえば、「モレシャンさん・・」と呼ばれていた彼女を子供の頃は時々、テレビで見かけることがあり、昭和生まれの人なら記憶があるかもしれません。 インタビュー記事によると、彼女は私が生まれる前から日本に来ていたらしく、いわゆる外タレの先駆者みたいな存在だったようです。今の日本にいる外タレはビックリするほど日本語が流暢で堪能な人が多い感じがしますが、私の記憶の中での彼女は「ワタシノク二では~~!」と、今から...

2023年1月15日日曜日

パリに巻き起こる「エミリーパリへ行く」現象と経済効果 Emily in Paris

   Netflix の人気シリーズ「エミリーパリへ行く」(Emily in Paris)がその舞台となっているパリで、訪れる観光客やドラマの中に登場するブランドなどに大旋風を巻き起こしているようです。 新シーズンは、放送開始後わずか5日間で全世界で1億1700万時間の視聴時間を記録したという「エミリーパリへ行く」は、もはや、どんなファッション雑誌よりも影響力が大きく、ドラマに釘付けになっている視聴者、特にテレビから離れてしまっているといわれているティーンエイジャーや若い層(若くない場合もあり)へのアクセスの役割を果たし、彼女たちは、ドラマを見ると同時に、ヒロインと同じバッグ、同じ洋服、アクセサリーをインターネットで探しはじめ、ドラマに出てきたブランドの売り上げが急上昇するのだそうです。 視聴者にとってあこがれの存在であるヒロインに少しでも近づきたい、ファッションを真似したい、同じ場所を訪れてみたいという感情は珍しいことではありません。 エミリーに限ったことではありませんが、熱狂的なファンにとって、その映画やドラマの撮影に使われた場所への聖地巡礼のようなことはよくあることです。 前シーズンに、ヒロインがドラマの中でNach(ナッシュ)(アニマルモチーフの陶器のアクセサリーブランド)のフラワーピアスとインコのネックレスを着用しており、そのアクセサリーは1週間もしないうちに、品切れになり、それ以来、売上高はうなぎ上りを続け、フランス全土、アメリカ、イタリア、日本から注文が殺到し続けているといいます。 シーズン2、3に登場するボタン・パラダイスのベルトなどもその一つですが、すでに有名なハイブランドと小規模なアーティストのブランドを上手にミックスして登場させているところも巧みなところで、ヒロインが高級マーケティング会社に勤務という設定から、架空のブランドだけでなく、シーズン2では宝飾店のショパール、シーズン3では自動車メーカーのマクラーレンなど実在のブランドの広告キャンペーンを企画することもできています。 このドラマのヒロインが自由な服やジュエリーを使うことで、このシリーズは多くのフランス人デザイナーのショーウィンドーになっているのです。 実際にドラマの中で主人公が訪れるフランスのマクドナルドでは、年末から「エミリーインパリ」なるメニュー(バゲットのパンを使ったサンドイッチとポテトとドリンク+デザートにマカロンが付いたセット)が販売されています。 こんなエミリー効果に沸いているパリは、もっと素直に喜んでもよさそうなものだとも思いますが、世界中の観光客を魅了する絵葉書のような風景を映し出すこのドラマに、真実とはほど遠い「理想化されたパリ」ばかりを映し出していることを指弾するエコロジストの政治家なども出てきて、それはそれで、ちょっと驚きで、閉口してしまいます。 彼ら曰く、「エミリーが私たちに見せているのは、変わらないパリの写真であり、超中心地区に限定され、富裕層だけが住む、均質で固定された建築遺産を持つパリのディズニーランドに他ならない」のだそうです。 しかし、私は思うのです。いいじゃない!ドラマなんだから・・と。 ドラマの中では、決して便利でもなく、いじわるな人もところどころに登場し、適度にパリの嫌なところもシニカルに表現されているところもあるので、せめて美しい場所を映してくれる(美しいところばかりではないのも事実ではあるが・・)このドラマはありがたいものだと思いますが、どうにもイチャモンをつけたがる人はいるものだな・・と思います。 以前、「アメリ」という映画が人気で、「アメリがクレームブリュレを食べたカフェ」をツアー行程に盛り込んでいる日本の旅行会社のツアーなどがありましたが、今や日本の旅行会社はツアーを組むということがあるのかないのか? 以前のように日本人観光客がツアーでパリを廻ることがあれば、さしずめ、「エミリー巡礼ツアー」なるものが登場していただろうな・・などと、新しい流れに昔を懐かしむ気分でもあるのです。エミリーパリへ行く 社会現象 Emily...