先週、在中国フランス大使館が「中国のゼロコロナ政策」を「不必要で過剰な制限である」とSNS上で批判したことが、中国国民の大きな賛同を得て盛り上がったことが話題となっていましたが、先週末は大規模なデモが中国各地で起こり、このデモは、政権を直接標的とした政治的な方向に進み始めており、フランスでは、習近平政権が揺らぎ始めたと注目しています。
デモ隊の怒りに火をつけたのには、中国通信によると、中国北西部ウルムチの住宅で火災が発生し、10人が死亡、9人が負傷する致命的な事態となったことも原因の一つであり、地域がゼロコロナ政策のために封鎖されると、至るところに障壁が設置され、消防車までもが燃える建物に近づくことができなかったためでもあると言われています。
この地域隔離や工場閉鎖など、もうそろそろパンデミックが始まって以来3年が経とうとしている今、あらゆる階層の人々が、あまりに厳しい隔離や検査にうんざりして鬱憤がたまりきっており、その爆発の仕方が半端ないものになっており、また、このデモに参加したのか、取材中だったのか、イギリスのBBCのジャーナリストが警察に暴力を受けながら逮捕されたりしたことも、イギリスも容認できないとしています。
コロナは関係なくとも、四六時中、毎週のようにどこかでデモをやっているフランスにとって、デモをする権利というのは、尊重しすぎるほど尊重されているもので、それが暴徒化しないように、間近にするとちょっと引くぐらい、これでもかというほど、警察や憲兵隊がガードしてまで行うデモでも、警察側から暴力をもってデモを阻止することなど、もってのほかで、はたから見ても、自由の侵害は許せない!という気持ちになるのでしょう。
フランスのデモが暴徒化した場合でも、重装備した警察官や憲兵隊も武器を使ったりすることは、よほどのことがないとありえないことで、せいぜい催涙ガスか、水を撒いて応戦する感じなのです。
中国から比べたら、今から思い返せばフランスのロックダウンなど短かったわけで、最初の1カ月強はほぼ、外に誰も出られない完全なロックダウンでしたが、その後、少しずつ、外出できる時間も距離も広がり、営業できる種類の店舗も拡大し、様々な種類の規制がしばらく続いていたものの、そんな中でもデモは行われていて、私などは、逆に「へんなの・・」と思っていたくらいです。
ロシアの言論統制にしても、今回の中国のゼロコロナ政策にしても、不自然なかたちで政府が国民を抑えつける体制は、全くフランスとは相容れない国であるのがわかります。
それにしても、中国人のデモというのもなかなか迫力のあるもので、それを阻止しようとしている中国の警察の圧力のせいもあるかもしれませんが、例えば日本のデモなどの様子を映像で見たときに、フランスのデモを見慣れている私にとっては、「なんとおとなしい!これは本当にデモなのだろうか?」と思うのに比べて、中国のデモは、なかなか迫力のあるデモで、なかなか中国人、発火した場合はすごいパワーになりそうです。
とにかく、フランスでは、今回の中国のゼロコロナ政策反対デモは1989年の天安門事件以来の歴史的なムーブメントになるのではないか?と見ており、習近平政権が揺らぎ始めるきっかけになるのではないか?と見守っているのです。
また、この中国での騒動については、今回は、国連も「平和的抗議の権利の尊重」を求め、「平和的に意見を表明しただけで恣意的に拘束されることがあってはならない」「国際的な人権法と基準に従ってデモに対応するよう求める」と警告を発しています。
中国ゼロコロナ政策反対デモ
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