2022年1月11日火曜日

ワクチンパス反対デモの拡大とデモ過熱によるサンピエール・エ・ミクロンでの代議士個人攻撃

   



 先週末は、フランス全土で、ワクチンパス反対、ワクチン反対などを訴え10万5000人がデモに参加しました。

 今回のデモは、ワクチンパスが施行される直前ということもあり、また、マクロン大統領がこの数日前にワクチン非接種者についての過激な発言をしたこともあり、年末年始にかけては、少しずつ減少していたデモ隊が再び、増加し始めています。

 パリでは3つのデモ隊に分かれて18,000人が参加しています。デモに参加している人々の主旨は様々で、ワクチン接種そのものに反対している者、ワクチンパスに反対している者、政府の強引なやり方に抗議する者、自由を制限されることに対して抗議する者、マクロンの過激な発言に対して抗議する者などがごちゃ混ぜになっています。

 もともと、フランスのこのヘルスパスやワクチン接種に関するデモは、もうずっと途切れることなく続いており、特にヘルスパスの施行が発表された直後は23万人以上が集まる大変な盛り上がりを見せていましたが、ワクチン接種が進み、ヘルスパスが浸透するとともに少しずつ縮小していたので、フランス全土で10万人超えのデモは久しぶりのことです。

 いつものことですが、警備にあたる警察との衝突もいくつか起こっており、パリ市内では、逮捕者10名、軽傷者3名、他の地域では24名の逮捕者、軽傷者7名が発生しています。

 これらのデモは時には暴徒化することあっても、街中を練り歩いて行進して歩くのが普通ですが、このデモが、フランス領サンピエール・エ・ミクロンで、ワクチンパス反対のデモ隊が過熱し、代議士の個人宅を攻撃するという事態にまで陥る事件が発生しました。

 

 過熱したデモ隊の一部が、代議士宅へ向かい、デモ隊と対話をしようと家の前の階段の上に現れた代議士に向かって多くの人が彼に向かって石を投げ続けたのです。

 デモによる抗議活動は、認められているものですが、個人攻撃は、明らかにルール違反。襲撃を受けた代議士は、顔見知りの者もいる集団が自分に怒りを向け、石を投げつけられ、彼がしていたマスクを引きちぎられ、「ウィルスは存在しない!」と叫び襲いかかるものもいたそうで、その際の恐怖と憤りを語っており、この襲撃者たちを告訴する意向を表明しています。

 政府の決定に対して、また長期間おさまることのないパンデミックへのやり場のない怒りをぶつける標的を個人に向けることは、あり得ない話、ましてや最も個人的な私邸への襲撃とは、警備する警察官もたまったものではありません。

 このように実際の暴力的なかたちでの攻撃は、さすがに珍しいものではありますが、SNSによる抗議や脅迫メールなどは、後を絶たないと言います。

 マクロン大統領は、サンピエール・エ・ミクロンで起こったこの代議士への「耐え難い」「容認できない」攻撃を糾弾し、特定の被害者の苦情を現地で集める可能性に言及しました。

 マクロン大統領が行った「ワクチン未接種者を非難し、彼らを怒らせたい」と言った過激な発言は、一部の国民の怒りを過熱させ、過激な暴力行為に向かわせてしまったかもしれません。

 警察は「政府の決定に最も敵対する者たちが再び標的となりうる国会議員やその事務所に注意を払うべき」と対策を検討中です。

 今、戦うべきは、ウィルスであって、人と人ではないことを思い出してほしいです。


サンピエールエミクロン ワクチンパス反対デモ


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2022年1月10日月曜日

IHU変異種とデルタクロン 新しい変異種の出現のニュースの信憑性

   


 昨年の12月の段階から、世界では騒がれ始めているのに、なぜか、フランスでは、あまり報道されていない新しい変異種があるというのを小耳に挟んでいて、気になっていました。

 それは昨年12月初旬にマルセイユの大学病院の感染症専門医ディディエ・ラウルト教授のチームが新しい変異種を発見したと発表したことから「IHU変異種」と呼ばれ、世界の一部の科学者を心配させているのだそうです。

 実際に「French variant」と検索すると、このIHU変異種について書かれた数百件の記事がヒットします。時には、「この変異種はオミクロンよりもさらに多くの変異がある」とか、「フランスの科学者が警鐘を鳴らす」といった記事にも遭遇します。

 しかし、実際にフランスでは、この「IHU変異種」については、あまり報道されていません。

 この新しい変異種は「IHU型」と呼ばれ、昨年10月にフランスとコンゴで発生した別の型と関連があり、12月中旬に発表されたフランスの公衆衛生局による最新の調査では、その後300人強の陽性例を出しています。

 しかし、「この変異種はフランスにおける感染者の1%未満以下であり、これは非常に少ない症例数、解釈には慎重であることが望ましい」と公衆衛生局は指摘しています。この変異種については、変異種をリストアップしているWHOの定義によると、リスクがあると疑われているものではありますが、必ずしも危険というわけではありません。

 この変異種の発見が、他の科学者によるレビューや検証がまだ行われていない段階で発表され、それが以前にクロロキン(本来は、マラリアの治療薬)を使ってのコロナウィルスの治療に成果をあげて、一躍、ヒーローのような存在になったディディエ・ラウルト教授のチームによるものであったことが、誇大広告の引き金となったと現段階では、言われています。

 IHU変異種が検出されたのは、フランスでオミクロンが広がり始める前の段階であったことから、新しい変異種であり、その存在は事実ではあるものの、オミクロンほどの警戒をすべきものとは、考えられないとされ、むしろ、イギリスのインペリアルカレッジなどは、必要以上に危機感を煽る報道は避けるように戒め、騒ぎを沈静化するために、「このIHU変異種の発見は、南フランスでの症例の急増を説明するものではない」、「フランスで何百人もの人々をICUに送ったわけではない」などとの、この騒ぎを鎮静化させる声明を発表しています。

 クロロキンを使ってのコロナウィルス治療の研究成果を発表したラウルト教授は、一時、救世主のようにマスコミを賑わせたものの、結果的に1年以上経った現在、この治療法が浸透していないことからも、これは、結局、お騒がせ・・というか、マスコミが勝手に騒いだだけだった・・と思わせられます。

 そんな経緯もあり、フランスでは、あまりこの「IHU変異種」については、騒ぎにはならず、それどころか、デルタ変異種がおさまらないうちにオミクロンの驚異的な感染拡大で、それどころではない状況です。

 そして、昨日、「キプロス大学生物学教授のLeondios Kostrikis氏は、「現在、オミクロンとデルタの共感染があり、我々はこの両者を組み合わせた新しい変異種を発見した」と発表しました。

 それは、オミクロンの遺伝的サインとデルタのゲノムを持つとされ、そのため、すでに「デルタクロン」というニックネームがつけられています。

 同医師によると「入院中の患者の方が変異の頻度が高く、デルタクロンと入院の間に相関関係があるとの考えに至るかもしれない」と付け加えたという。「この変異種がより病的なのか、より伝染性が強いのか、あるいはそれが優勢なのか、今後見ていくことになる」と述べています。

 このサンプルは、他研究所(パスツール研究所など)に送られ、これから分析を進めるとしていますが、既に、一部では、異なる変種のサンプルを扱う実験室のミスによるものだと懐疑的な声も上がっています。

 現在のフランスの重症患者は依然として、デルタ変異種による患者が多い中でのオミクロン感染の急激な増加、この異なる変異種が合わさるものであるのかは、わかりませんが、どうやら、科学者の新しい変異種発見の発表が充分に確認される前にフライング気味に世の中に出回ってしまうことだけは、確かなようです。

 私たちにとっては、ウィルスは目に見えるものではなく、変異種ごとに感染対策が特に異なるならば別ですが、できる感染対策を粛々としていくしかありません。

 しかし、新しい変異種が出現するということは、確実にこのパンデミックが長期化するということだけは確かだと思うと、また、うんざりするニュースではあります。


デルタクロン IHU変異種


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2022年1月9日日曜日

1日の新規感染者が30万人でも閉鎖しない学校の大混乱 来週には学校はストライキの予定

  


 

 ノエルのバカンスあけ1月3日に再開したフランスの学校は、衛生管理を強化し、とにかく検査を徹底することで、始まったものの、まだ1週間も経たないのに、すでに大混乱になっています。

 なにせ、現在のフランスの新型コロナウィルスの発生率は10万人あたり、2391.2人まで上昇しており、単純に計算する限り、約40人に1人は感染しているという計算になります。

 これで、特にワクチン接種があまり行われていない5歳〜11歳の年齢層の生徒が集まる小学校などは、この週数回の検査と隔離の確認、連絡に大わらわになるのも無理からぬことです。

 学校再開以来、約5万人の生徒が陽性。約30の学校と10,800以上のクラスが閉鎖されています。

 学校は、毎日毎日の生徒の陰性確認に加えて、接触者の再検査の連絡、今や薬局や検査場は、どこも長蛇の列で、検査を受けるといっても簡単に受けられるわけではありません。

 それに加えて、教員が感染して欠員の場合の代理教員の手配。エンドレスに続く毎日の煩雑な作業に学校も学生、そして、保護者も悲鳴をあげています。

 特に小学生以下の場合、例えば、前日の夕方にクラスに感染者が発見された場合、翌日の登校前までに検査をしなければならずに、薬局に駆け込んでも、すでに長蛇の列、夜の時間帯ゆえ、子供を連れて並ぶことを諦めて、翌日、朝に検査をしてから遅れて登校。

 また、学校に行ってみると、教員の欠員のために代理教員が午前中には手配できないために授業は、午後から・・または、今日は休講・・などなど、それらすべてに付き添わなければならない保護者は、子供の学校に振り回されて、仕事どころではありません。

 どちらにしても、その全体の調整とチェック、連絡だけでも相当な仕事量です。通常、フランスの学校の先生は、授業の講義を受け持つだけで、その他の仕事は、自分たちの仕事ではないというのが基本的な姿勢です。

 それが、パンデミック以来、生徒の学校内での衛生管理や検査結果のチェック、感染者が出れば周囲の生徒への連絡と隔離状態のチェックなどなど、業務は膨れ上がっています。

 学校再開の前には、検査の徹底のルールとして、初日に全員が検査、陰性の生徒のみの登校、感染者が出た場合は、クラス全員が検査、その後、数日おきに検査を続けることなどが発表されましたが、それは、あくまでも紙の上でのことで、実際にこれを続けるのは、学校側の負担も学生側の負担も計り知れないほどの負担になっています。

 なんといっても、1日の新規感染者は、毎日のように30万人を超えている状況で、子供の間の感染率も例外ではなく、これを続けるのは、学校を閉鎖するよりもよほど大変な状況に陥っているのです。

 今回は、教員が欠員のクラスの生徒を他のクラスに割り振ることも禁止されているために、代理教員が見つからない限り、子供を受け入れることもできません。

 しかも、生徒も教員もいつ感染するかわからないわけで、前もって、準備することもできません。

 この想像以上の混乱に直面し、大多数の教職員組合は、学校の混乱を糾弾するために、1月13日(木)にストライキを行うことを発表しています。

 教職員組合は、「フランス政府は、学校の安全を確保するために労働組合が行った要求に対して耳を貸さなかったという事実を遺憾に思っている」とし、学校とその職員が日ごとに変わる実行不可能なルールに、もはや対処できないことを政府に理解してもらう」とストライキに入る理由を語っています。

 特に、「1件の陽性例=学級閉鎖」という保護規定に戻し、家族内接触例を隔離するという基本的なルールを取り戻すことを求めています。

 この現在の混乱状況に加えて、ストライキ・・1日だけなのか、長期にわたる予定なのかはわかりませんが、この感染者数からいくと、少なくとも彼らの要求している「1件の陽性例=学級閉鎖」が通れば、たちまち、学校は、ほぼ閉鎖状態になると思われます。

 保護者の立場からすると、自分の仕事も合わせて、スケジュールを日々、調整するのは、大変なことで、いっそのこと学校は閉鎖なら閉鎖でリモート授業としてくれる方が、そのたびに右往左往する必要もなく、ひとまず感染状況がもう少しおさまるまでは、閉鎖してくれた方がまだマシかもしれないと思うのです。

 子供の将来を考え、学校閉鎖は、あくまでも最終手段であるとしてきたフランス政府ではありますが、学校を閉鎖せずに検査と隔離を続けながら継続するには、あまりに感染者が多すぎて、どうにも立ち行かなくなっている現状です。


フランス学校ストライキ


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2022年1月8日土曜日

在宅中でも油断できないパリの治安 偽身分証明書による家宅侵入による盗難事件

 

偽警察官を見分けるために、警察が公開している本物の警察官の身分証明書

 

 イル・ド・フランス(パリ近郊地域)では、昨年の1月から11月までの11ヶ月で、偽の身分証明書を提示して、個人の家宅に侵入しての窃盗事件が464件も発生していることが報告されています。

 街中でスリやひったくりに遭うだけでなく、自宅にまでやってくるというのですから、家にいても、決して油断はできません。

 この手の犯罪は、一昨年までの倍以上に跳ね上がっているので、今、流行?している犯罪の手口なのかもしれません。ちょうど、パンデミックの時期と重なっているため、観光客が激減したり、外出制限などで、街中の人出が通常のようには、戻っていないため、その手の犯罪を生業にしている人にとっては、商売あがったりの状況が続き、窃盗の方法を変更しているのかもしれません。

 偽の身分証明書、身分を偽って家宅に侵入するには、さまざまな種類があるようで、時には警察官、配管工、電気工、水道や電気のメーターのチェック、ごみ収集、煙突掃除などなど、様々な身分に変装し、偽の証明書や書類を持って現れ、工事やチェックをするふりをして、隙をみて、家の中の貴重品を盗み出します。

 また、自治体を名乗り、寄付を募るという手口もあるようです。

 ここのところ、我が家でも、同じところに住んで長くなるために、どういうわけか、家の中のあちこちにガタがき始めて、トイレや洗面所、電気系統、給湯器など、ここのところ、立て続けに工事の人が家に入っていたので、このニュースにちょっとドッキリしています。

 しかし、我が家の場合は、調子が悪くなっている場所を修理してもらったりする場合は、必ず、管理人さんを通して、工事の人を頼んで来てもらっているので、このニュースにあるような、不意の訪問ではないので、まず心配はないと思っています。

 幸いにも現在の管理人さんは、とても腰が軽い人で、何かあれば、すぐにSNSで連絡がとれ、メッセージを送るとすぐに対応してくれる人なので、とても助かっています。

 とはいえ、このご時世に、全く知らない他人が家に入ってくるのですから、感染の心配もあるし、余計なことをされても困るし、逆についでに頼めることがあれば、頼んでおきたいと、思っているので、工事をしてもらっている最中は、工事人に張り付いて、おしゃべりしながら、見ているので、今のところ心配はないと思いますが、もしかしたら、気を抜いた隙に何かをとられていても気がついていないかもしれません。

 もっとも、我が家には、大した貴重品もないので、心配することはないのかもしれませんが・・。

 この手の犯罪は、どこも増加しているようで、自治体ごとに警戒のメッセージを告示しています。特に高齢者の世帯に被害が多いという報告も上がっています。

 特に警察官などが家に来れば、本来ならば、市民を守ってくれるはずの立場の人、容易に騙されてしまうことも多く、パリ近郊の市役所などでは、本物の警察官の身分証明書を公開し、違うものを提示された場合は、必ず警察に確認してくださいなどと警告しています。

 しかし、突然の訪問に咄嗟にそのような対応ができるか?と心配になりますが、このようなことがあり得ると知っているのとそうでないのとでは、身構え方が違ってくると思うのです。

 パリ警視庁は、この手の犯罪の防御策として、

○制服を着ている場合でも、プロフェッショナルカードの表裏とミッションオーダー(または通過証明)を見せてもらうこと。もし、本人が拒否したり、疑問を持ったりした場合は、中に入れないこと。

○訪問者の身元を確認したい場合は、名乗ったり電話をかけてきた人の電話番号ではなく、自分で電話番号を調べた先に、電話して確認すること。

○電話、郵便、または建物内の掲示で誰かが来ることを知らされた場合、その人が来た組織、家主、不動産管理人、コンシェルジュ、または隣人に確認すること。

○国勢調査、測量などのために来る人に注意すること。窃盗の犯人は、しばしば偵察を行っています。

○アポなし取材には決して応じず、相手の真意を確かめるために身元を確認した上で、改めてアポを取ること。

 窃盗は5年の禁固刑と75,000ユーロの罰金に処されることにはなっていますが、このような犯罪が横行しているということは、そのほとんどが検挙されていないということなので、注意が必要であることは、いうまでもありません。

 まったく、外に出れば、スリやひったくりに遭わないかと警戒し、家を留守にすれば、空き巣に狙われ、在宅していてもこのような窃盗に遭うとは、パリという街は、どこにいても気が抜けないところです。


偽身分証明書の提示での家宅侵入による窃盗事件


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2022年1月7日金曜日

日本からパリに来てくれた友人のコロナカルチャーショック

  


 

 パンデミック以来、私が日本へ行くこともできなくなっただけでなく、日本から友人が来てくれることも、パッタリとなくなってしまっていました。

 日本からフランスへの入国は、ワクチン接種さえしていれば、隔離もなく、さほど面倒なことはないのですが、日本に戻った時の隔離期間を考えると、まあ容易に海外に出るのは、難しく、旅行期間プラス隔離期間の日程をもってしても、検査だ隔離だ、公共交通機関を使わない移動だと、いつもはかからない余計な出費をも考えると、海外に出られるという人は、なかなかいるわけではありません。

 12月の初めに、私は友人から、「年末年始にかけて、パリに行くつもりでいたんだけど、どうしよう?」と連絡があり、「パリは感染は増えているけど、みんな全然、普通に生活してるよ・・」と話していました。

 彼女は、長いこと会えていなかった遠距離恋愛中の彼に会うためにフランスに来る予定にしていたのですが、現地の事情もよくわからないので・・と連絡をくれたのでした。

 長いこと会えていなかった彼女の彼は、このパンデミックで、家族数名を亡くし、失意に暮れていたところに、彼女も「やっぱり行くのは、諦めようかな・・」と言い出したら、さらにガックリしてしまったそうで・・結局、彼女は、意を決してパリにやってきたのでした。

 彼女は、エアフランスのチケットを予約していたのですが、予約していた便はキャンセルになり、翌日のフライトでパリに来たとのこと。彼女の住む地域には、パリへの直行便はなく、国内での乗り換えが必要なため、変更されてバタついたとのこと・・。

 しかも、前日のフライトのキャンセルのために彼女の乗った飛行機は満席だったとのこと、航空会社からしてみれば、効率はよいとはいえ、この時期の長距離便(日本⇄パリは12時間)で満席状態というのは、なかなかリスクもあるのではないか?と少々、不安にもなります。

 彼女曰く、日本での海外渡航用のPCR検査は3万円だったとかで、それが、当日の検査ともなると4万5千円なのだそうで、なぜ、PCR検査がそんな高額になるのか、それだけでもちょっとバカバカしい気分になります。

 彼女が「フランスに行くかもしれない・・」と言うと、「まさか、ほんとに行くの?」と怪訝な顔をする人も周囲に結構、いたとかで、結局、ごくごく親しい人にしか話さずに来たとのこと。日本の厳しい雰囲気がなんとなく、想像つく感じもしたのです。

 しかし、色々なことをクリアして、いざフランスに来てみると、「この自由な感じは、ホント、楽!」だったと話してくれて、その楽な感じにどっぷり浸かっている私は、逆に今、日本に行ったら、その厳しい感じがさぞかし、窮屈に感じるだろうと、そんな風にも思ったりしたのでした。

 結局、この自由な感じが感染者を急増させていることには違いはないので、一概に日本の厳しさを責めることはできません。何といっても桁違いも桁違い、桁がいくつも違うほどの感染者を叩き出しているフランスと日本の空気感の違いは、言うまでもありません。

 仕事関係の日本の人などが、「どうやら日本も感染が悪化してきたから、もしかしたら、また日本入国は、さらに厳しくなるかもしれない・・」などと話しているのを聞いても、日本での1日の感染者数は2,500人を超したくらい、フランスは?と聞かれて、「33万人を超えています」と言っても、もうどうにもお互いにピンと来なくなっていることを感じます。

 これは、コロナウィルスにより生まれた新しいカルチャーショックの一つでもあるかもしれません。

 もともと、世界中を渡り歩く仕事をしてきた私の友人は、順応性もあり、日本とフランスの現在の両方の様子を実際に体験して知っている貴重な友人ですが、フランスから日本に帰った時、時差ボケだけでなく、このコロナウィルスに対する温度差ボケに、ちょっとしたカルチャーショックを感じるのではないかと思いますが、幸い?現在、フランスから日本への入国の際には、6日間の隔離施設での隔離、その後、陰性の場合はさらに8日間の自主隔離期間があるので、その間に日本モードにシフトできるのではないか?と思っています。

 彼女は、フランスでのPCR検査は、4-5,000円(旅行者)でそれほど高いわけではありませんが、現在は、検査は長蛇の列、2時間並ぶ苦行に大変な思いをしたようです。

 そして日本に帰国後は、彼女には6日間の隔離施設での隔離プラス8日間の自主隔離というさらなる苦行が待っています。しかし、その隔離によっぽどうんざりしない限り、「また、春頃には来るから・・」と日本に帰国する前から、また来る気、まんまんです。

 それにしても、フランスの状況は、現在のところ、少なくともあと1週間くらいは、この悪化が止まらないであろうという感染予報?が出ており、特に学校などは、学級閉鎖が10,800件、25,000人の生徒、4,000人の大人(教員等のスタッフ)が陽性、75,000人の生徒、3,000人の大人が隔離中とかで、また、隔離明けのタイミングもなかなか微妙でややこしく、学校は、なかなか混乱している模様です。

 問題になっていたワクチンパスは国会で可決され、来週の上院での審議に備えている状況で、どうやら、予定どおり、1月15日からワクチンパスが施行される模様です。

 この決定を受けて、これまでワクチンをせずにねばっていた人がこれでワクチン接種を受け入れるのか?とは、疑問でしたが、多少なりとも、これまで全くワクチン接種をしてこなかった人々がワクチン接種をし始めたと報道されています。

 実際のところは、よくわかりませんが、初めてのワクチン接種を受けている様子のインタビューなどを見ていると、どちらかというと若者が多く、肝心の高齢者のワクチン未接種者の姿があまり見えないのは、気のせいでしょうか?

 とにかく、ワクチン接種を進めること、ワクチンパスを施行させることを軸に進めているフランスは、私の友人が「楽!緩い・・」と感じたとおりにワクチン接種さえしていれば、ほぼ、日常の生活が送れるように、レストランやカフェ(食事やアルコールの提供、営業時間などは通常どおり)、その他の施設、店舗なども、閉鎖されてはいません。(ディスコなどは除く)

 しかし、10万人あたりの感染率は、とうとう2,000人を突破、50人に1人は感染しているという計算になります。こうなると、本当に身近な周囲の人々の中にも、必ず感染者がいる感じを実感するようになり、ほんとうに明日は我が身です。いくら、フランスの社会が緩くても自分の身は自分で守らなければならないと実感しています。

 今日、処方箋をもらってあった薬を取りに行こうと薬局に行ったら、もの凄い人で、あまりの人の群れに恐れをなして、明日、朝、早くに出直そう・・と帰ってきてしまいました。

 日本のニュースを見ると、感染悪化のために、「蔓延防止等重点措置」だとか、アルコール提供停止、時短営業などを検討中だとか・・。感染者30万人でも、みな朗らかに暮らしているフランスから見ると、思わず「えっ?それだけの感染者数で時短営業? こちらのもはや天文学的数字の感染者数をよそに、日本の経済は大丈夫なの?」などと心配にもなってしまいます。

 フランスと日本、もはや比較にならないどころか、あまりの別世界ぶりにどちらが正解なのかは全くわかりませんが、以前に書いたことがありますが、危篤状態になった時に、比較的、あっさり?諦める気がするフランスの医療と、何がなんでも延命治療をしようとする日本の医療に見られる死生観の違いのようなものが、このコロナ対応にも反映しているのではないか?などと思ったりもするのです。


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2022年1月6日木曜日

フランスの1日の新規感染者数33万人突破 連日新記録更新とマクロン大統領の戦略

  


 もはや、どうにも止まらないフランスの感染者数は、昨日よりもさらに5万人以上増加し、1日で33万人(332,252人)を突破しました。

 感染者数だけでなく、入院患者数も1日で2,000人以上増加(現在、コロナウィルスによる入院患者数は20,688人)している今、オミクロン株は重症化しないから、感染者数だけで騒ぐことはない・・などとは、言っていられなくなる状況に陥りつつあります。

 しかも、そのうち295人は、10歳未満の子供だということです。

 にもかかわらず、フランスでは、一昨日のパリジャン紙のインタビューに答えたマクロン大統領の過激な発言の方が話題沸騰しています。

 たしかに、これまでのマクロン大統領は、決して国民を怒らず、どんな時も国民に対して好意的にフランスという国を称えながら、連帯と団結を唱え、つい先日の大晦日の演説でも、フランスという国の「団結、博愛、支持を維持しよう」と宣言し、国の「統一」を図ろうとしてきました。

 しかし、このインタビューでは、一転して、ワクチン未接種者に対して、「自分の自由が他人の自由を脅かしている!それは無責任な自由の主張であり、無責任な人間は、もはや国民ではない!」という強い攻撃的な言葉を発し、ワクチン未接種者を怒らせたい(しかも、俗語表現というか、お行儀のよい言葉使いではない)とまで語ったことは、少なからず、国民には、ショッキングな内容であったようです。

 おりしも、大統領選挙を目前としているタイミング、当然、対立候補の面々は、この発言をここぞとばかりにバッシングする発言を繰り返し、感染者が連日、爆発している現実を飛び越えて、「意見の違う人々を排除しようとする発言をする者は、大統領として認められない!」などの声明を出し続けて、違うところでヒートアップしています。

 しかし、これは、あくまでも、フランスの1新聞社のインタビューによる字面で発表された内容で、彼がこの内容をどのような口調でどのようなトーンで話したかは、映像として出されているわけではなく、ニュアンスがどのようなものであったかは、しっかりと伝わってはいません。

 現政府のスポークスマンなどは、この発言に対するフォローと思われる説明(現状がいかに厳しい状態であるか等)をしていますが、彼自身は、この件に関して、何の弁明もしていません。

 これだけの独占インタビューによる紙面ですから、内容に関しては、当然、大統領府のチェック済みのものだと思われるので、「彼自身が怒らせたい」とこの紙面で語っているとおりに、一部の人(ワクチン未接種者)は、怒り、また、それに乗じる政治上の争いのために、それを囃し立てて、騒ぎを大きくしていると思われます。

 しかし、多くのフランス国民に衝撃を与えたマクロン大統領のこの発言は、マクロン大統領自身による計算された作戦であるという見方もあります。

 現在のフランスのワクチン接種率は、ほぼ80%に達しつつあり、残りのワクチン未接種者は2割程度、ワクチン接種を受けている者にとっては、いつまでもワクチン未接種者のために続く感染拡大と医療の逼迫、生活制限には、うんざりとしているのは、言うまでもありません。

 非難の声を浴びせる対立候補をよそに、これまでのように、ぬるい言葉で、国民を讃えているだけでは、これ以上は、解決される問題ではないことは、皆がうすうす感じていることで、いわば、「ショック療法で、自分たちの置かれている状況を見つめ直させる」そんな意図があったのではないかとの声も上がり始めています。

 どちらにせよ、毎日、毎日、新規感染者数を記録更新し続け、1日30万人以上もの感染者を出し続け、医療状態も逼迫している現在のような状況で良いわけはありません。

 このような緊急事態を政権争いに利用して、撹乱するのは、やめてもらいたいです。

 現在のフランスの検査(PCR・抗原検査)における陽性率は、17.05%、10万人あたりの発症率は、1752.53人まで上昇しています。つまり、5人に1人は感染している状態に限りなく近づいています。

 イタリアでは、50歳以上は、ワクチン接種の義務付けられることになりました。


フランス1日の新規感染者33万人突破


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2022年1月5日水曜日

フランスの1日の新規感染者数27万人突破 怒りと焦りが見える政府陣営の怒りの発言の数々

  


 年末から、「1月の初旬には、1日の新規感染者数は25万人を超える可能性がある」と言われてきましたが、昨年のノエルに10万人を超え、10万人のしきい値を超え、そのわずか4日後には、20万人を突破した時点で、1月初旬の25万人突破も現実味をおびてきた・・と思っていたら、初旬も初旬、三ヶ日を過ぎてすぐに、25万人どころか27万人を突破してしまいました。

 もう数字の感覚が麻痺してきており、27万人を超え、すでに27万人が「30万人近くの感染者を出している・・」という報道のされ方をするようになり、もう換算される桁が10万人単位になりつつあり、27万人が限りなく30万人に近いという感覚になっています。

 先週はPCR検査と抗原検査を合わせて800万件の検査が実施され、陽性者は検査対象者の15%に相当しており、1週間で発症率が130.3%に跳ね上がっています。

 この感染者の増加とともに、入院患者数は1週間で38%増加、昨日、1日で297人が死亡しています。毎日、200人から300人が亡くなっているということは、毎日のように飛行機の墜落事故が起こっているような状況です。

 厚生省の発表によると、現在、コロナウィルスによる入院患者数は、20,186人、(1週間で3,000人近く増加)、うち3,685人が集中治療室で治療を受けています。

 想像以上の感染増加の速度に政府の閣僚たちも苛立ちを抑えきれずに、怒りを露わにする場面が目立ち始めました。

 かなりアクセントの強い喋り口調のせいもありますが、日頃は、どちらかというと、穏やかな口調のカステックス首相が、昨日の国会の議会では、ワクチンパスに関する法案の審査が中断されると、野党議員の政治的な動きを非難し、「コロナウィルスの感染の急拡大の局面を迎えている重要な時期に議論を遅らせることは、非常に無責任な行為である」「ウイルスは疾走しているのに、あなたはハンドブレーキを引いている」「真夜中も働き続けている医療従事者のことを考えているのか!」と激昂して語りました。

 また、マクロン大統領もル・パリジャン紙のインタビューの中で、「ワクチン接種を受けていない人々を攻撃するために言葉を濁すことはしない」とワクチンパスの正当化について語っています。

 こちらも、またかなり強めの発言です。

「私たちは、フランス国民を困らせるためにワクチンパスを施行するのではない!」「ワクチンパスによって、日常生活をブロックされるとなると、一日中文句を言っている人たちを本当に怒らせたい!最後までやり続ける!これが私たちの戦略だ!」と強く語りました。

 「この感染の急拡大をなんとかおさめるために、ワクチン未接種者を刑務所に監禁するのではなく、長期的に一定の活動を奪い、1月15日からは、レストランに行くことも、公共交通機関を利用して長距離旅行をすることも、劇場へ行くことも、映画館へ行くこともできなくなると伝えなければならない」と。

 また、アンチワクチン論者の人たちが、現在の感染急拡大による緊張状態を促進していることを強く批判し、「ワクチン未接種者への診療拒否」という問題が提起されている現在、彼らの道徳的な過ちを指摘し、国家の強さを損なうものとなっており、自分の自由が他人の自由を脅かしており、無責任な自由の主張であり、無責任な人間は、もはや国民ではない!」と発言しています。

 かなり、きつい発言になっていますが、現在の入院患者のほとんどがワクチン未接種者で埋められており、ワクチンをしていても、3回目のブースター接種が間に合わなかったケースなどがほとんどです。

 これらの人々のために、ノエルもなく、昼夜、患者のケアにあたっている医療従事者、また、病床がコロナウィルス患者に圧迫されて、本来予定されていた手術が延期されている人々の生命、検査を受け続けながら学校に通わなければならない子供たちなど、結果的に多くの人の日常生活を奪っている事態には、国を動かしている政府からしたら、怒りが震盪するのも理解できます。

 しかし、ただでさえ、大統領選挙を前にして、感染状況をよそに、何かと足の引っ張り合いのようなことが横行している現在のフランスでは、マクロン大統領のこの発言は、絶好のつっこみどころとなり、ワクチンパス以上に論争を起こしそうな気配です。

 さすがに、一部のワクチンをしない国民を切り捨てるような発言は、勢いあまって、口がすべったような感じがありますが、カステックス首相の激昂にしても、マクロン大統領の過激発言にしても、政府は、かなり、現在の状況に焦りと苛立ちを隠しきれなくなってきている状況であることは間違いありません。


新規感染者27万人突破 マクロン大統領の過激発言

 

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