2022年12月11日日曜日

2023年1月1日からファストフードの使い捨て容器廃止へ

 


 ファストフードの容器については、すでにプラスチックのストローが廃止されたり、プラスチックボトルで提供されていたエビアンなどの水が取り扱われなくなったり、すでに環境問題に適応してきました。

 しかし、この適応では飽き足らずに、2023年から1月1日からは、イートインの飲食については、段ボール製のハンバーガーボックスや紙コップによるテーブルサービスが禁止されます。これまで、プラスチックから紙に移行していたのに、ついには、その紙もダメになったのです。

 その代わりに、店内での飲食に関しては、ハンバーガーが崩れないように包む紙を除いて、再利用可能な食器や洗える食器のみが利用可能になります。再利用可能な・・というと、ハードルが高そうではありますが、要は普通の食器、食器はそもそも再利用できるのが普通です。

 持ち帰り販売にはこの規制は適用されないものの、ファストフード店では、使用後すぐに捨てられてしまうパッケージが年間18万トンも発生しているそうで、これだけでも、相当な量のごみ削減に貢献できるとともに、まずは、大手ファストフードチェーン、バーガーキング、KFC、クイック、マクドナルドに対して課せられるものとなれば、ある意味、人々の意識改革を促すものにもなりえる気がしています。


 考えてみれば、普通、レストラン内で食事をすれば、食器は普通のお皿だったり、ガラスのコップだったりするわけで、食事が終われば、それを洗って、また使うのはあたりまえのことなのです。

 私はあまりファストフードのお店に行くことはないのですが、フランスに来たばかりの頃は、食べ終わった後の使い捨ての容器を自分では片付けないで帰ってしまう人が多いことに驚いていましたが、最近は、少しはマシになって、自分でゴミを捨てる人が増えた印象があります。

 これが使い捨ての容器ではなくなると、どうなるのでしょうか? 再利用可能となれば、持って帰ってしまう人が多いのではないか?と気にもなります。

 バーガーキングでは、現在、一部の店舗で新しい再利用(リユース)食器の使用を開始しており、1月1日までにすべての店舗で装備される予定だといいます。 客がゴミ箱に捨てたり、持ち帰ったりするのを防ぐために、バーガーキングではテストレストランで食器にチップを装備したようです。

 最初はゴミ箱に捨てたり、持ち帰ってしまうケースが多かったのですが、カウンターに食器を戻すようになってきたそうです。長い間の習慣を変える必要があるのは、お客さんだけではなく、店舗側も再利用となれば、食器を揃えて、それを保管する場所を確保する必要もあり、また、食洗器を置くスペースも必要になります。

 テイクアウトに関しては、これまでどおりのパッケージが利用されるために、食器の保管スペースはダブルに必要になることになります。

 しかし、返す返すも、店内で食事をするのに使い捨ての容器を使っていたことの方がおかしかっただけで、店内での飲食には再利用可能な食器を使うのは当然のことで、今までおかしなことをしていたのをもとに戻すだけなのにな・・と思うのです。


ファストフード店内飲食 使い捨て食器利用禁止


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2022年12月10日土曜日

2023年1月から開始される若者へのコンドーム無料化

  


 今週半ばにマクロン大統領がツイッター上で「2023年1月1日から、18歳から25歳までのすべての若者が、薬局で無料でコンドームを受け取ることができるようになる。これは予防のための小さな革命である!」と発表し、この小さな革命は大きな話題を呼びました。

 フランスでは、これまでもすでに、2018年12月10日から医師や助産師からの処方箋があれば、この費用は社会保険からすでに払い戻されており、エイズや性感染症対策のツールとしても位置付けられてきましたし、また、検査センターや特定の団体から無料でコンドームを入手することができる状態ではありました。

 しかし、コンドームを無料で入手するためには、医療機関を受診したり、特別な機関に行く必要があり、もちろん、そのためにわざわざ出かけていく人というのは、少なかったのです。

 しかし、今回は、それをより身近な場所で簡単に入手できる場所として薬局を選び、「社会保障による100%の払い戻し」、「処方箋なし」という非常にシンプルな手続きになります。いわば、コンドームの無料配布ということになります。

 このニュースは、ほぼ、肯定的に受け取られていて、私などは、「さすがアムールの国、セックスに関してもなかなかオープンな措置だな・・」などと思っていましたが、現実的に、そして合理的に考えれば、結果的には、医療費削減にもつながるのだろうな・・と思うだけで、18歳から、25歳という年齢制限に疑問を感じてはいませんでした。

 しかし、世の中の反応は、さらに先に行っていて、18歳以上ではなく、未成年者に対しても、これを適用してほしいという声があっという間に高まり、「若い未成年者の多くがセックスをしていること、彼らも自分の身を守ることができるはずだ、同じように経済的な制約を受ける可能性がある!」という声が大きくあがり、これに対して、マクロン大統領もすぐに反応し、「この対策を未成年者にまで拡大するよう、各チームに働きかけてもらう。すべての若者が自分の身を守れるようにするための非常に良い予防政策だと思う」と答えています。


 たしかに、オープンに、そして現実を捉えての合理的な試みとしたら、よい政策であるとは思いますが、これに乗じて、無料で手に入れたコンドームを販売しようとするような輩が絶対に現れることは必須で、また、新たな取り締まりの方法を別にとらなければならないであろうと思われます。

 同時にマクロン大統領はビデオの中で、HIV以外にも「他の病気、他のウイルスにも無料検診を拡大する、それは我々の予防政策でもあるからだ」とも述べています。「今後も、健康予防施策の強化、主要ライフステージにおける定期的な診断・検診、特定のウイルスに対するワクチン接種のさらなる推進を図っていきます。私はパピローマウイルスを考えています。」と述べています。

 相変わらず、様々な問題に対して、大変アクティブなことです。

 でも、次から次へと現れる病気と犯罪とに、いつも対応し続けなければならないのが、生きているということなのかもしれません。


若者へのコンドーム無料化


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2022年12月9日金曜日

パリのクラック問題 子供の通学に警察官が同行しなければならない深刻な事態

  


 もはや、定期的に問題が浮上してくるたびに、深刻化している感が否めないパリのクラック(コカインの一種で比較的安価に出回っていることから貧乏人のドラッグとも呼ばれている)問題は、子供の学校の登下校に警察官が同行しなければならない異常な事態を迎えています。

 毎回、毎回、このクラック常用者の溜まり場を解散させて、そのたびに、これだけの逮捕者が出たとか、このクラックキャンプの移動先の住民が反対デモを起こしたりして、押し付け合いが起こり、ごたつくのですが、結局、しばらくすると、他の事件などに紛れて世間には、忘れられていく感じで、根本的に問題は解決しないままに、再び放置されてしまいます。

 それでも、警察が全く諦めているわけではなく、今回は、300人以上が住処にしていたパリ19区のフォルスヴァル広場にあったクラック常用者の溜まり場が内務相の命令によって解体され、10月5日以来、1000人以上(うち216人のディーラー)が逮捕されており、16ヶ所のクラックキッチン(クラック製造所)が閉鎖されています。

 にもかかわらず、これは、もぐら叩きのようなもので、こっちをつぶしても、また別の場所から湧いてくる、現状ではエンドレスな戦いのようでもあります。

 今回、問題となっているのは、18区の一部の地域での子供の通学路に数十名のクラック常用者が酩酊状態でうろついている状態に、彼らの間での抗争に子供が巻き込まれる危険や、子供が見るべきではないドラッグ中毒者の動向がさらされる危険など、ついには、警察官が子供の登下校に同行しなければならない事態に陥っています。

 そもそも、今の季節は、子供の登校時、朝8時頃はまだ薄暗く、しんとした街中を歩いていくのは、厳しいことで、家庭にもよりますが、小学生の場合はだいたい、親が送っていくのが普通なのですが、それでさえもなお、警察官の同行が必要というのは、よほどの事態であると言わざるを得ません。

 回り道をして、他の道を通ろうにも、環状線の近くで、今度は車が多く行き交う地域で他の選択肢がないようなところなのです。

 結局、クラック常用者の溜まり場は、パリの18区、19区、セーヌ・サンドニのあたりで、いつも、たらいまわしになっている感じで、この地域の治安が悪いのは、クラックに限ったことでもないのですが、このクラック問題は、押し付け合いでは解決しないので、根本的なしっかりとした治療を伴う収容施設がなければ、解決しないのではないかと思われます。

 一時は、このクラックのたまり場が、我が家からもそんなに遠くない場所に移動してくるという計画が浮上して、街を挙げての大騒動になり、夜通しで市議会が開かれ、強烈な反対運動のために、あっという間に立ち消えになったことがあって以来、どうにも他人事でもない気もしてきているのです。

 ただ、そもそも、彼らが選んでいる場所というのは、その手の誘いに乗りやすい人も多い、貧因層の多い、もともとが治安が悪い場所で、悪循環が絶ち切れない原因でもあります。

 パリは、現在、2024年のパリオリンピックに向けて、あちこちが工事中で、警察官の数を増やして、治安のよい安全なパリをアピールしたいと言っているのですが、クラック問題のような事態は、建設工事のように計画的には進まず、難航しているようです。

 この18区、19区に隣接するセーヌ・サンドニは、オリンピックのメインスタジアムになる場所でもあり、逆になぜ、こんなに治安の悪い場所をオリンピックのスタジアムに選んだのかとも思いますが、楽観的?に考えれば、この近辺の治安がオリンピックを機に改善してくれればよいのに・・とも思います。

 それにしても、貧因層の人々は、地域が危険だからといって他の場所に転居することもできず、その子供たちは、犯罪を目の当たりにしながら育ち、負のスパイラルから抜けることが難しい境遇で大人になることを思うと暗澹たる気持ちになります。

 パリ警察は、問題が起こるたびに、〇〇人逮捕したとか、24時間常駐し、安全を確保し、必要に応じての逮捕だけでなく立ち退きも行い、住民と地域住民に大いに感謝される目に見える存在を可能にしていると胸を張っているのをもどかしい思いで見ています。

 

パリのクラック問題


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2022年12月8日木曜日

2023年には全世帯の約半数に100ユーロの燃料手当

 


 ボルヌ首相は、 2023年1月初旬から100ユーロの燃料手当を最貧困層1000万人に支給すると発表しました。(しかし、この基準を見てみると、かならずしも最貧因層とも言えない感じでもありますが・・) この制度には、約10億ユーロの予算が計上される予定です。

 1月初旬から2023年通年で100ユーロの燃料手当を最貧困層1000万人に支給すると発表しました。 この制度には、約10億ユーロの予算が計上される予定です。

 これは2023年に一度だけ支払われるもので、全世帯の半数に相当するもので、具体的には、年間平均12,000km走行するフランス人の場合、1年間で1リットルあたり10セント以上の支援になる計算になります。

 例えば、自動車を2台を所有する共働き夫婦の場合、200ユーロの恩恵を受けることが可能となり、また、この補助は、二輪車を含むすべての車種(電気自動車やプラグインハイブリッド車を含む)に適用されます。

 この援助は、2022年12月31日に終了する燃料割戻しを引き継ぐためのもので、これまで、ガソリンスタンドですべての人に対して受けていた1リットルあたり10セントの割引をより限定的に弱い立場の人にのみ継続するための政府の苦肉の策であるともいえます。

 この恩恵を受けるためには、2021年の基準税額所得(RFR)が1314ユーロ(約19万円)/月未満と申告した単身者、3285ユーロ(約47万円)/月未満と申告した夫婦と子供1人の場合、子供2人を持つ独身者、3941ユーロ(約57万円)/月未満と申告した子供2人の夫婦の場合、5255ユーロ(約76万円)/月未満と申告した、3人の子供を持つ夫婦が該当し、自営業者や公務員にも支給されます。

 フランスの場合、税金にしても、このような援助金にしても、また年金の換算などに関しても、全て、子供がいることでプライオリティを得られるようになっています。

 今回は100ユーロの援助金をもらうには、2023年初めに税務サイト(impots.gouv.fr)を通じて「通勤に車が必要であること」、「納税番号とナンバープレート」を申告する必要がありますが(とても簡単)、申告後は速やかに口座に銀行振込で支払われます。

 私は首都圏に住んでいるので、車の必要性を感じないので、車は持っていません。なので、この援助金の恩恵には預かれないのですが、気になるのは、これは2023年1度きりの援助であると強調している点で、これから、さらに燃料費が高騰した場合でも、これで凌げということでもある感じがしないでもありません。

 タクシーやハイヤーの運転手さんが口を揃えて、「車の維持費、駐車料金、燃料費、保険などを考えたら、車を持つのは、どう考えても、コスパ、が悪すぎる」というのですが、車がなければ、生活できないような場所もけっこうフランスにはあるもので、電車に乗って、ちょっと郊外に出たりすれば、パリ郊外でも意外と、すぐに田園風景になることには、驚きです。

 以前、娘がパンデミックの影響で日本への留学がドタキャンになって、慌ててスタージュを探して行くことになった地方のフランス最大手の乳製品メーカーの研究所が、およそ、車がなければ生活できそうもない場所で、最初、知らない場所でGoogle mapで最寄りの駅を探したら、駅が見つからず、駅がGoogle mapに映らないなんてことありえない!と思いきや、まさか、これが駅?というような駅で、ほんものの田舎というのは、こういうものなんだ・・とびっくりしたことがありました。

 その駅でさえも、とても研究所まで歩ける距離ではなく、併設されている工場とともに、そこで働く人々はほぼすべて、車通勤とのことで、この援助金の話を聞いて、その会社のことを思い出しました。

 燃料費はどんどん高騰し、電気が足りなくなって停電するかも?などと、今までありえなかったことばかりが起こる日々に、ロックダウンとは別の窮屈さを感じます。


燃料手当100ユーロ


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2022年12月7日水曜日

カカオ、コーヒー、大豆・・EU加盟国 森林破壊製品輸入禁止に合意

 


 欧州議会は、1990年から2020年の間に、森林破壊によってEUの面積よりも大きな面積が失われており、欧州での製品の消費はこの損失の約10%に相当していることを指摘し、欧州議会と欧州連合(EU)加盟国政府は、森林破壊を引き起こしている製品のEUへの輸入を2023年には禁止することで合意に至りました。

 この協定は、カカオ、コーヒー、大豆、パーム油など、いくつかの製品を対象としています。木材、牛肉、ゴムも影響を受けますし、いくつかの関連素材(革、チョコレート、家具、紙、木炭など)も影響を受けます。これらの製品が2022年12月31日以降に森林破壊された土地に由来する場合、それらの輸入が禁止されると、国会は声明で述べています。森林全体へのダメージも考慮されます。

 これにより、輸入企業は、そのサプライチェーンに責任を持つことが義務付けられ、衛星写真と連動した作物の位置情報により、トレーサビリティ(その製品がいつ、どこで、誰によって作られたかを証明するために、原材料の調達から生産、消費、廃棄に至るまでを追跡可能にすること)を証明する必要があるのです。

 対象商品は、カカオ、コーヒー、大豆の他、パーム油、木材、牛肉、ゴムも対象であり、いくつかの関連資材(革、チョコレート、家具、印刷紙、炭など)についても対象になるようです。

 森林破壊と聞いて、カカオ、コーヒー、パーム油、木材、ゴムなどは想像がつくところではありますが、正直、大豆??というのは驚きでした。しかし、この大豆も欧州に輸入される大豆を栽培するための農産業によって大きく破壊されているとのことでした。

 日本人としては、味噌、醤油、豆腐などなど、必須の食材ゆえ、捨て置ける話ではありません。

 WWF(World Wildlife Fund)によると、ヨーロッパは中国に次ぐ、森林破壊者であると言われています。

 同様に、2年後には、欧州委員会は、他の製品(欧州議会が今すぐ対象とすることを望んだトウモロコシなど)、泥炭地など炭素貯蔵量と生物多様性に富む他の生態系、さらには金融部門(これも欧州議会からの強い要求)への範囲拡大の可能性を検討する義務を負っていると息巻いているようです。

 たしかに、放置できない問題ではあるし、このような規制ができたとて、網の目をかいくぐるように、輸入する業者はあとを絶たないとは思いますが、とりあえず、輸入が制限されることで、最初に頭をよぎるのは、また値上げです。

 そうでなくとも、インフレのためにすべてが値上がりしている中、また、値上がりする要因が加わることは、あまり喜ばしいニュースではありません。

 そうでなくとも、輸入品に関しては、欧州製品保護だか、安全性だかわかりませんが、個人的に送ってもらったりする荷物でさえも、受け取るだけで税金がかかる(しかも結構、高い)という事態で、まことに苦々しい思いをしています。

 とはいえ、森林破壊を放置しておいていいわけはなく、この試みがソフトに移行して、あまりショッキングな結果を生まないように、また、他の政治的な思惑がのっかることのないように公正に進んでいってくれればよいな・・と思います。

 いずれにしても、社会の発展とともに行き過ぎていたあらゆることを今は少しずつもどしていかなければならない時期なのかもしれません。


欧州 森林破壊製品輸入禁止


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2022年12月6日火曜日

登録者数1200万人のフランスの人気ユーチューバー 未成年者強姦で身柄拘束

 


 1200万人の登録者を持つフランス第3位の人気ユーチューバーであるノーマン(Norman Thavaud)が、複数の10代の少女や若い女性を巻き込んだ未成年者強姦の容疑でパリ検察庁に身柄を拘束されました。

 事の発端は、フランス第1位のユーチューバーSqueezieが「特定のユーチューバーが若い女性登録者の心理的脆弱性につけこんで性行為を強要する不適切行為を行っていること」を非難する内容のツイートをしたことがきっかけで、彼の名前が浮上し始めたことから始まりました。

 パリ市警察庁と、そのBPF(家族保護機関)は数カ月前から、複数のシナリオを照合して捜査を開始し、少なくとも6人の被害者から事実確認を行っていたのでした。

 2020年夏、ケベック州のファンで事件当時16歳だった少女が、以前にSnapchatで送られてきた性的な内容の写真や動画を操作され、心理的コントロールを受けて、憧れてもいたこのユーチューバーの罠にはまってしまったと、Instagramで告発。

 その後、ノーマン絡みの、この少女と同じような体験をした若い女性30人ほどから連絡があったことを発表されています。被害者候補はすでに裁判所から事情聴取を受けており、ほぼ全員がレイプされた可能性があるとみられており、そのうち2人は事件当時、未成年でした。

 ノーマン("Norman fait des vidéos ")はフランスのユーチューバーの中でもインターネットとともに成長した第一世代の象徴といわれる存在で、シプリアン、ミスターV、ヒューゴ・トゥ・スールらと同様、日常生活のありふれた出来事をインターネットやYouTubeのコードに適応させたスケッチ・コメディである「ポッドキャスト」のパイオニアでもあります。

 10年以上の活動で、彼のチャンネルは約1200万人の登録者と27億回の再生回数を誇るまでに成長しました。

 1200万人の登録者を持つ彼は現在35歳、2017年からフランスのモデルでもあり、インフルエンサーでもある女性と交際中で、3歳の女の子がいます。

 インターネットの成長とともにトップにのしあがってきた彼が、ネットの威力を知らないわけはないのですが、彼の行状が隠しきれることであると思っていたのでしょうか?

 恋愛事情に関しては、かなり寛容なフランスではありますが、レイプや未成年をだまして・・ということになれば、問題は一変します。

 とりあえず、彼が拘束されるのは48時間ということですが、その後、彼がどのように釈明し、この告訴状と戦っていくのか、また、このような影響力のある人物が事件を起こした場合にフランス社会はどう対応していくのか? 

 なりゆきを、今後も、見届けたいと思っています。 

 日本だったら、このようなスキャンダルがあれば、抹殺されるか、当分の間、活動休止になることは必至ですが、とりあえず、この逮捕を受け、フランスで最も重要なYouTubeチャンネルを制作しているウェブディア(Webediaグループ)は、「ユーチューバーのNorman Thavaudとのコラボレーションを停止する」と発表しています。

 以前、マクロン大統領が人気ユーチューバーとコラボ企画をしたことがありましたが、彼じゃなくてよかった・・。


フランス人気ユーチューバー ノーマン逮捕


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2022年12月5日月曜日

フランスで最も有名な日本人留学生死去のフランスでの報道

 


 恐らく彼は、歴史上、フランスで最も有名な日本人留学生であったろうと思います。事件当時、まだフランスにはいなかった私も、彼のニュースは、日本でも報道されていた記憶が微かに残っている気がする程度ですが、その後もかつてそういう人がいたということは、たびたび報道されていたし、猟奇的な殺人事件が起こったりすると、必ず、比較対象として、挙げられてきたような気がします。

 それは、のちに本人や周囲によって書籍化されたり、映画化された「食人鬼 佐川君」の事件です。

 1981年6月、ソルボンヌ大学に在学中だった佐川君は、同級生であったオランダ人の女学生を自分のアパートに夕食に招き、そこで彼はライフルで彼女の後頭部を撃ち、レイプした後、彼女を切り刻み、3日間にわたって体のさまざまな部分を食べ、その写真を何枚も撮影しました。

 その後、彼は2つのスーツケースに彼女の遺体を入れて、ブローニュの森で処分しようとしましたが、目撃者による通報により、発見、逮捕されました。

 逮捕後、彼の自供によると、かねてから彼には、人肉食願望があり、「この子を食べる というのは、愛の表現であり、好きな人の存在を自分の中で感じたかった」と驚きの告白しています。

 事件後の精神鑑定により、彼は心神喪失状態であったと判断され不起訴処分となり、しばらくパリの精神病院に入院後、日本へ帰国し、都内の精神病院に収容されました。日本の病院においても、彼の精神鑑定が行われ、日本では彼の心神喪失状態は認められず、精神障害ではなく、人格障害であったとされ、日本では刑事責任を問う方向で警察も動いていたものの、フランス側から、「不起訴処分となった事件の捜査資料の引き渡しはできない」という理由で、彼は刑事責任を追及されることから解放されました。

 フランスでは、彼はその後に日本でベストセラー作家となり、マスコミのスターになったとも伝えられ、彼の行為は世間に衝撃を与えたと同時に、ある種の病的な魅力を与えたともいわれています。

 しかし、先日、彼が事件から40年後に日本で死去したニュースがほぼすべての大手新聞社の紙上で報道されたことは、この事件がフランスでもどれだけ衝撃的な事件であったかを物語っています。

 先月、パリでアルジェリアからの移民であった女性が少女を殺害してスーツケースに遺体を入れて捨てた事件でフランス中が震撼とさせられ、同時に移民問題も持ち上がって大騒動になりましたが、思うに「佐川君事件」は、当時、それ以上の騒ぎになっていたに違いありません。

 事件が起こったのは、日本がバブル景気に沸く直前で、その時期にパリにいた日本人学生は、決して少なくなく、佐川君と同世代の日本人はけっこうパリにも多くいて、また、私の知る限り(知り合い)では、なかなか強烈なキャラクターの人も多いような気がするのですが、当時、彼らがどれだけ居辛い思いをしたかと、思わずにはいられないのです。

 差別的ともいえるかもしれませんが、移民としては、日本人は決して、問題視されたり、危険視されている国民ではないだけに、佐川君の事件は、「日本人が・・日本人なのに・・」として、余計に衝撃的であったに違いありません。

 彼の死去のニュースが流れるまで、私は、すっかり佐川君事件のことは忘れていましたが、毎日のように陰惨な事件が起こっているフランスにおいても、フランスのマスコが事件後40年経っても、彼が日本に帰っても、彼のことを忘れることはないほどの衝撃的な事件だったのです。


佐川君死去 食人鬼 日本人留学生


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