2024年1月19日金曜日

フランスの出生率低下が浮き彫りにする中流階級が苦しい現状

  


 年が明け、昨年のデータが続々とあがってくるようで、2023年のフランスの出生率は、戦後最低を記録したことが話題になっています。

 INSEE(国立統計経済研究所)が明らかにした最新データによると、2023年にフランスで誕生した子供の数は、67万8千人だったということで、ここ数年、下がり続けていたにもかかわらず、さらに減少を続け、1年で6.6%減少しているようで、現在フランスの女性1人が持つ子供の数の平均は、 1.68人なのだそうです。

 週明けに行われたマクロン大統領の記者会見でもこの問題について、触れていましたが、現在の育児休暇に代わる両親のための6ヶ月間の出産休暇を創設し(月額429ユーロ相当の補償)、またこの出生率低下には、不妊症の増加も影響しているとし、不妊治療への取り組みを進めることを発表しています。

 たしかに、これまでフランスは、避妊薬の援助などの話はたまに聞くことはあっても、不妊治療の援助の話は、あまり浮上してきてはいませんでした。

 私が子育てをしていた頃は、娘の周囲には、3人兄弟(姉妹)という家庭が多いような印象で、子どもが3人以上になると税制的にずっとメリットがあるという話を聞いていたのですが、どうやら、フランスもそれだけでは、子供が増やせなくなったということなのかもしれません。

 そもそも、女性の就学期間が長くなり、就業し始めて、生活が安定してからとなると、第一子を出産する年齢も上昇し、必然的に子供を出産して育てることを考えると年齢的な幅も狭まっていくことになります。

 そのうえ、パンデミック、戦争、インフレと世界情勢も波乱続きで、不安定な世の中で子供を持ちたくない、持つことへのリスクを考えたりもするのかもしれません。

 それでも、この出生率の低下はヨーロッパ全土に共通する現象でもあり、フランスはイタリアやスペインなどと比べてみても、出産により女性が仕事を辞めなければならないケースはかなり少ないし、決して悪い方ではないという意見もあります。どんな状況にあっても、この中では、フランスはトップ!とか、向こうの国はもっと酷い・・とかいう意見が出るのもフランスらしいなとも思います。

 また、フランスは2023年になっても出生数が死亡数を上回っているため、人口全体の比率としては、バランスを保っているという人もいます。しかし、これが20年後となると、話はまた、別の次元になるわけで、この世代の人口が極端に減っていくということになり、バランスを保てなくなる時が訪れるということです。

 この問題は、年金改革問題とも関わりのある話で、現在、退職者1人当たり現役労働者は約1.7人ですが、2070年にはおそらく1.2人になると言われています。フランスの平均寿命は女性が85.7歳、男性が80歳とけっこうな長寿国でもあるのです。

 また、バランスの話になれば、もっとも子供の数が少ないのは、中流階級の世帯であり、多くの子供を持つのは、最も貧しい世帯と最も裕福な世帯というのもフランス社会の縮図のような気もするのです。

 フランスでは、以前からよく聞く話ですが、フランスでの税金は決して安くはなく、しかし、最低レベルの人には、援助が手厚く、極端に言えば、払う人ともらう人に分けられるわけですが、実際には、援助を受けられるほどには、貧しくなく、高い税金を払わなければならないギリギリの中流世帯が一番苦しいことになるということで、その狭間にたった人々にとっては、この不安定な世の中で、子供を持つのを躊躇うという選択肢をとるのも、なんか頷ける話です。

 これまで、出生率低下の話になると、たいていは、日本の少子高齢化の話が例にあげられることも多いのですが、今回は、あまり日本の話はあがってきてはおらず、もはや、比較するには、及ばないといったところなのでしょうか?


フランス出生率低下


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2024年1月18日木曜日

ゼロユーロ紙幣発売 ゼロユーロはいくら?

  


 2月にゼロユーロ紙幣が限定発売されるという話を聞いて、「へっ?ゼロユーロっていくらなんだろう?」とへんな感想を持ちました。

 今回は、ノルマンディー上陸作戦80周年を記念したものということで、3,000枚が発行されるそうで、従来の紙幣と同じ品質を維持し、透かし、セキュリティスレッド、特殊インク、さらには、固有のシリアル番号などのセキュリティ機能が供えられているゼロユーロながら、ホンモノの紙幣?なのだそうです。

 2月販売開始で7月発行予定ということですが、当然、ゼロユーロということで、法定通貨ではありますが、金銭的な価値はなく、使用することはできませんが、コレクターの間では、人気を呼んでいるもののようで、希少性があるために、後に、コレクターの間で、高値をつけることがあるかもしれません。

 私は全く知らなかったのですが、このゼロユーロ紙幣は2015年から存在しているそうで、これまで2,500を超える異なるデザインのゼロユーロ紙幣が30ヵ国で発行されているようです。

 現在のところ、ゼロユーロ紙幣の価格は発表されていないようですが、これまでの前例からすると、1枚5~10ユーロ程度のようです。

 これまで記念切手や記念コインなどの類は見たことがあり、現在は、パリオリンピック記念コインなどがオリンピックオフィシャルショップやネット上などでも販売されていますが、どれも実際に使用できる値段がついているもので、この「ゼロユーロ紙幣」という発想は、ホンモノなのに使えないという、紙幣であって紙幣ではないような妙な存在です。

 フランス向けのこのゼロユーロ紙幣の見本には、「我が国を解放するために団結したすべての国の男女に敬意を表します」というマクロン大統領の口から出てきそうな一文が書かれています。

 フランスやヨーロッパはこういった過去の歴史を讃えるようなものを造ることが好きなんだな~と思いますが、フランスとヨーロッパの歴史におけるこの出来事の重要性を非常に詳しく説明しており、ド ゴール将軍、ナポレオン、ヴェルサンジェトリクスからパンテオンなどに特に敬意を表するデザインなのだそうです。

 販売は先着順ということで、3,000枚限定なので、あっという間に売り切れるものだと思いますが、個人的には、せめて20ユーロ紙幣とか50ユーロ紙幣にすれば、もっと高く売れるし、使用することもできるのに・・(パリオリンピックの2ユーロの記念コインは5ユーロで売っていた・・)とい、の歴史的遺産を使うことなく、過去の遺産の断片として、この遺産を保存することなのだそうで、なんだか独特な美学というか、ヨーロッパらしい気もするのです。

 しかし、ここ数年、両親亡きあと、実家の片付けをしている私は、「へ?なんでこんなものがあるの?」というものに紛れて、記念切手や記念コインなどの部類のものを見つけても、そのうち、どっかで売れるかな?などと思って持ってきてはいても、結局は、また、どこにしまったかわからなくなってしまっているという・・この連鎖は私がいなくなった後も続くような気がしているのです。


ゼロユーロ紙幣


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2024年1月17日水曜日

マクロン大統領の大規模記者会見生中継の圧倒的な存在感

  


 マクロン大統領が記者会見を行うという予告は、数日前から公表されていました。しかし、プレス・カンファレンスというだけで、それが一体、どのようなものなのかは、具体的にイメージしていませんでした。

 この記者会見は夜20時15分からというゴールデンタイムに行われ、驚くことに、主要各局は、ほぼ全局、生中継、加えて、X(旧Twitter)、YouTube、Instagramなど、ほぼあらゆるメディアで同時生配信とそれは、それは大規模なものでした。

 約百人の報道陣をエリゼ宮に招いての記者会見は、その会場自体も煌びやかで華やかでもあり、絶対的な威厳を感じさせるものでもありました。

         


 マクロン大統領は、ほぼ予定どおりの時間に登場し、まず、冒頭に「これまでの6年半の大統領としての歩みを経て、私たちは、どこから来て、どこへ行くのかを国民の皆様に伝えるためにこの機会を設けました」と話しはじめ、「わたしたちは、もっと団結していけば、フランスはこの激動の世界でさらに強くなるでしょう」と軍事力強化について語り、また、子ども、市民教育の重要性、教育部門の強化、学校での演劇の授業の必修化、制服導入の試験的試みや、原子力、再生可能エネルギーの増加、購買力増加、税金、インフレ問題などについて、饒舌に20分程度、語りました。

 マクロン大統領は、大変、お話が上手なのには、もう国民も慣れ過ぎている感じもあり、まあ、正論だし、そうなったらよいけど、現実はそう簡単にうまくはいかないよね・・と思ってしまうところがあって、今回もそんな感じに終わるかと思っていました。

 しかし、実際は、その後がマクロン大統領の本領発揮の見せどころだったのです。

 結局、彼が何人の記者からの質問に答えたのかは、数えていませんでしたが、相当数の質問に答え続けたこと、トータルで2時間15分程度、ある程度の想定質問に対する答えは用意していたであろうものの、どこからでもどうぞ・・とばかりに、あらゆる質問に対して、淀みなく余裕でしっかりと自分の言葉で答え続け、ここのところ、大抜擢されたフランス史上最年少のガブリエル・アタル氏に注目が集まっていたところに、大統領として、絶対的な能力をこれでもか?とばかりに見せつけた感じになりました。

 最初は、新しく任命された首相や大臣の面々も控えていたので、途中、助け舟を出すこともあるのかと思いきや、全く彼一人で対応し続け、大統領が全てを統治していることを圧倒的に披露したような感じでもありました。

 おまけに、これは、SNSも含めたフランス全メディアで生放送、失敗は許されない大勝負でもありました。

 これに臨むということは、なんという自信!そして、この会見のあいだ中、本人もかなり楽しんでいるようにも見える・・実際に彼は、こういう舞台が楽しいのではないかと思います。

 準備はしているだろうとはいえ、もう喋り出したら、勢いづいて止まらないとばかりにものすごいテンションで語り続ける話術は、やっぱりすごいな・・と感心させられた次第です。

 日本の総理大臣も国民の信頼を回復したいのなら、一度でいいから、こんな記者会見をやってみせてもらいたいものです。


マクロン大統領記者会見


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2024年1月16日火曜日

カーフールの強烈な値段交渉 ペプシ、レイズ、リプトンの商品の販売を一時停止

  


 インフレが続くなか、フランス政府は今年は、一部の食品の値下げを約束しています。

 そのため、政府は販売店に対して店頭価格を引き下げる、あるいは、可能な限り抑えることを要請しているため、食料品メーカーと販売店との交渉が対立してヒートアップしています。

 しかし、原材料他、燃料費等も値上げしているために食品メーカーとて、値上げを余儀なくされるのも致し方ないところもあります。

 大手のスーパーマーケットなどの流通業者は、1月末までに価格交渉を終えるのですが、この話し合いが決裂しているところもあります。

 ほとんどの食品メーカーは、値上げを要求しているのですが、スーパーマーケットチェーン・カーフールは、「ペプシコグループブランドの値上げは、度を越えており、インフレを理由に、その値上げは便乗値上げが含まれている!」と抗議し、その抗議を店頭で公開し、アピールするという強烈な態度に出ています。

 「受け入れがたい値上げのため、当店では、このメーカーの商品の販売は停止します」と書かれた紙が、予告どおりにレイズのポテトチップスの棚などに貼られています。

 この話は、ニュースでチラッと見ていたのですが、今日、カーフールに買い物に行ったら、本当にやっているので、ビックリして、ああ、これだったか・・と目を丸くしてしまいました。

 対象となっている商品は、ペプシコーラだけでなく、セブン アップ、レイズやドリトスなどのポテトチップスなどのスナック類、ベネナッツ、リプトン ティーなどの商品棚には、この「受け入れがたい値上げのため、当店では、このメーカーの商品の販売は停止します」の表示が・・。

 とはいえ、ガラガラになった棚には、在庫にある分は売ってしまうつもりであるのか、商品が全くないわけでもないところが、ちゃっかり感もあります。

 しかし、仕入れ側の価格交渉の抗議方法として、こんなふうに消費者に訴えるカタチをとっているのは、初めて見ることで、これは、一時的なことなのか?それとも、このペプシコグループの商品を今後一切、カーフールから排除してしまうつもりなのか?は、わかりませんが、どちらも引かない限り、ペプシコグループもカーフールもどちらも痛手を食うことになりかねません。

 まあ、どうしても、このペプシコグループの商品にこだわりを持って買い物をしている消費者を、カーフールは失うことになるだろうし、また、同じようなものを別のメーカーのものに切り替える消費者もいると思います。

 もう一つ、思い当たるのは、カーフールの「価格を抑える努力をしてますアピール」と考えることもでき、実際に、カーフールでは、このペプシコグループの商品よりもずっと高い商品を売っているので、どうして、ここにだけ、こんなに強硬な態度をとるのかは少々、疑問でもあります。

 まあ、今回のペプシコグループの商品を見る限り、コーラやセブンアップなどのジュース類や、ポテトチップスなどのスナック菓子など、この際、できるだけ、どのメーカーにせよ、あまり健康的な食品とも言い難く、消費を控えた方がよいものが多く目につくところ・・。

 個人的には、もともとあまり買わないものなので、どちらでもよいというのが正直なところなのですが、このやり方、どっちに軍配があがるのか? ということについては、ちょっと興味があります。

 

カーフール対ペプシコグループ


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2024年1月15日月曜日

アンジェリーナのアドベントカレンダーに虫が混入 リコールで回収へ

  


 日本ではモンブランで有名なパティスリー「アンジェリーナ」のアドベント・カレンダーのチョコレートに虫が混入していた可能性があるため、その製品のリコール・回収が呼び掛けられています。

 この商品は、昨年9月11日から12月にかけて、フランス全土(食料品店、お菓子屋さん、デパートなど)で販売されたアドベントカレンダーに関するもので、ダークチョコレートとホワイトチョコレートが入ったヘーゼルナッツプラリネに虫と非有害物質が存在していると伝えられており、虫に関しては、不活性な幼虫と疑われています。

 該当するロットナンバーは、No.082023です。 賞味期限が 2024 年 3 月 31 日となっているそうです。

 しかし、アドベントカレンダーは、そもそも12月のカレンダーでノエルに向けて、1日、1日とカレンダーの日付をめくって、少しずつ楽しむのがふつうなので、「今ごろ言われたって~~!もうとっくに食べちゃった~~!」と悲鳴をあげている人が大半だと思います。

 最近、アドベントカレンダーは、以前よりも派手になっている印象があり、12月頃にデパートに行ったりすると、ラファイエットグルメなどのパティスリーなどは、軒並み有名パティシエのアドベントカレンダーが、これ?お菓子の値段?と思われるほどのすごい値段で売られていますし、スーパーマーケットなどでも、もう少しお手頃価格のチョコレートメーカーのアドベントカレンダーなどが山積みになっています。


 これまで私は、アンジェリーナのアドベントカレンダーは、見たことがなかったのですが、さすがにパリの老舗だけあって、決してお安くもない価格、それがリコールとは!ちょっと、というか、かなり驚きです。

 老舗の名前に傷がつくといったところかもしれませんが、一応、このようなことが公になってくれることは、公正なことだと思います。

 このような件が呼び掛けられるということは、少なくとも複数のクレームが上がっているということでは、ありますが、現在のところは、それで食中毒・・などと言う話は上がってきていません。

 老舗でも、そういった問題が起こるということで、決してブランドだけでは安心できないのかな?などと懐疑的になってしまいます。


アンジェリーナ アドベントカレンダーリコール


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2024年1月14日日曜日

2024年 フランスは年間1億人以上の観光客を目指す

  


 フランスは世界一の観光客数を誇る観光大国で、昨年も堂々、観光客数第一位にの座を獲得したことをマクロン大統領は誇らしげに公表し、特に今年は、オリンピックを機にフランスの美しさ、素晴らしさを大々的にPRして、さらなる観光業界の飛躍を期待しています。

 ここ数年では、2019年に観光客数約9,000万人を記録して以来、パンデミックのために、ガックリと低下していましたが、2022年には、約9,300万人(INSEE発表)と2019年を上回る好調な盛り返しを見せ、2023年分はまだ、はっきりとしたデータが出ていませんが、それ以上の数字が見込めるのではないか?と見ています。

 2024年はオリンピック・パラリンピックを控えている年でもあり、マクロン大統領は声高らかに1億人以上の観光客を!と宣言しています。

 1億人と聞いて、まあ、なんとまた大仰なこと!と思ったのですが、オリンピック・パラリンピックでは1,600万人以上の観光客を見込んでいるために、昨年、一昨年の数字を維持できて、プラス1,600万人を加えれば、1億人は下らない計算になるので、あながち大風呂敷を広げたわけでもないようです。


 マクロン大統領は、自らのSNSでこのフランス観光をアピールする投稿をして、フランスの観光業界を一層盛り上げていくことを宣言しています。なんとも、目がチカチカするような映像ですが、心意気は理解できます。

 フランスの観光収入は決して侮れないもので、フランスの年間観光消費額は、約2,000億ユーロ(約31兆4,000億円)、GDPの 約7.5%以上を占め、その 3 分の 1 は海外からの観光客によるものと言われています。

 また、この隆盛をもって、フランス政府は、毎年1億人の観光客を呼ぶフランスの観光業界をフランスのダイナミズムを示すものであるとし、観光客を呼び込むだけでなく、多くの海外投資家に対しても、さらなる投資を呼び掛けています。

 年間1億人といえば、フランスの人口の 1.5倍相当にあたるので、これだけの人々が、フランスに来てお金を消費していってくれるということは、凄いことです。

 今年は、オリンピック・パラリンピックもあるだけでなく、大惨事で焼け落ちたノートルダム大聖堂の公開も再開されます。

 ここのところ、工事のために不便な思いをすることも多いのですが、フランスが人気のある国になって、多くの人が訪れてくれることは嬉しいことです。

 以前は、「パリなんて、行ったことあるし・・もういいかな・・」などと、言われてしまうことも多かったのですが、ここ数年でパリもずいぶん変わりました。一度来たことがある人でも、見どころはたくさんあるし、昔なら、「ここはフランスなんだからフランス語で話せ!」なんて言われている観光客を見かけたのも、うそみたいに、多くの人が英語でも話してくれるようになりました。

 日本からだと、時間もお金もかかると思いますが、どちらも余裕がある方はぜひ、パリに来てください!


観光大国フランス 観光客1億人


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2024年1月13日土曜日

大震災の後に思うこと・・

  


 元旦の日に起こった能登半島での地震は、その日には、フランスでもトップニュースで扱われたものの、その翌日の羽田空港での事故もあり、その後は、国内でのニュースが優先で、被害の規模は小さいとはいえ、さすがに国内のできごと、フランス北部パ・ド・カレでの洪水被害の報道などが中心になりました。

 それでも、当初はあまりに大きく扱われた日本での大震災のニュースにフランス人の知人などが、わざわざ電話をくれて、「あけましておめでとう」の電話かと思ったら、「日本ですごい地震があったみたいだけど、家族は大丈夫?」という話だったりもしました。

 こんなとき、フランス人はとっても優しいのです。全然、知らない人がジムなどで、「あなた日本人でしょ・・ご家族は無事だったの?」などと声をかけてくれたりもします。

 能登半島での地震についてのフランスでの大々的な報道は、ほんの最初の1~2日だけだったので、地震の被害の大きさだけでなく、「日本人は日頃から災害に備えているから、みんな落ち着いていて、素晴らしい!」というような報道のまま消え去っているので、その後、引き続き、日本のニュースにも目を通している私には、この大災害にもかかわらず、日本政府の対応には、ちょっと首を傾げてしまうことが多く、考えさせられました。

 フランスの報道で讃えてくれた災害時の日本人の対応の素晴らしさは、日本人が災害時にも冷静に対応できるという点が中心だったのですが、これは、コロナウィルス対応の時にも言えることで、日本がフランス(ヨーロッパ)のように、壊滅的な死者数を出さなかったのは、日本国民の常日頃からの衛生観念の高さ、つまり国の対策よりも国民のおかげだったのです。

 今回は、支援活動に現地に駆け付けた政治家をやたらと叩く声があがったり、支援物資がなかなか届かなかったり、もう早くも10日以上経つというのに、まだまだ避難所に入れなかったりするのに、救助活動が思うように進んでいない話を見かけるのには、やはり国が上手く機能していないのではないか?と思わずには、いられません。

 自分たちだけでできないならば、快く声をかけてくれている海外からの援助を受ければいいものの、それも断り、かといって、自分では迅速に被災者を救うことができず、できないだけでなく、それを隠そうしているようなところが見受けられるところも言葉がありません。

 特に原発の問題については、隠蔽など問題外、目をつぶっていれば、世界中に迷惑をかける結果になりかねません。

 今回の大地震は、立地的にも難しい場所であることもネックにはなっていると思うのですが、それにしても本気で取り組んでいるのか? もっと迅速でよいやり方ができたはずだ!と思わずにはいられません。

 こんなときに、またフランスと比べるのは、なんなのですが、フランスの場合は、災害や大事件が起こった場合は、すぐに内務大臣が現地にすっ飛んで行って、政府と緊密に連絡をとって、必要な対応を迅速に行います。

 フランスの場合は、災害もありますが、テロだったり、暴動だったりすることもあり、年がら年中、内務大臣は、国内、あちこちを飛び回っていて、「あの人、本当に大変だろうな・・」などと思います。率直にいって、フランスの政治家の行動を見ていると、「政治家って本当に大変なんだな・・」と感じます。

 また、来年に控えている大阪万博問題も、今後、どうするのかはわかりませんが、万博終了後には、すぐに取り壊してしまう建物にとんでもないお金と労働力を投入しようとしているという意味不明などではすまされない愚の骨頂。

 災害を機に中止すれば、世界も納得することなのに、被災者を、そして国民をないがしろにする日本という国を外から見ていても呆然とするばかりです。政府は国民のためにあるべきものが、まるで国民は政府のためにあるもののようです。

 海外に住んでいると、何か大災害や戦争などが起こったりしたときは、やっぱり、私は外国人なわけで、フランス人が優先されるだろうから、そんなときは、やっぱり自国である日本にいた方がいいのかな?と思ったりすることもあるのですが、こんな日本の様子を見ていると、なにかあっても国民を助けてくれない政府だったら、フランスにいた方がマシなのかもしれないかも・・などと思ったりもします。

 フランスが絶対的に優れているとは言いませんが、もはや政治家の動きを見ていると比較するのもおこがましい気がします。その他の国の政治家については、よくわかりませんが、現在の日本の政治家がダメなことだけは、わかります。


日本政府


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