2023年9月17日日曜日

欧州連合 TikTok へ3億 4,500万ユーロの罰金

  


 今年の7月の段階で、フランス上院調査委員会は4ヶ月間にわたる調査と専門家、研究者、学者、政治指導者、TikTok側のフランスの代表らとの約30回の公聴会を経て、ソーシャルネットワークの利用と個人データの利用に関する報告書の結論を発表し、TikTokに対して、年齢制限、時間制限、危険なコンテンツについて扱いなどについての要請を行っていることを明らかにしていました。

 この要請は、少なくとも21項目に及ぶもので、この段階で回答があったのは、その20%ほどで、残りの80%に対しては、なんら対策がとられていない状態ということで、一定の猶予期間を設けた後、2024年1月までに、これが改善されない場合はフランスは、TikTokに対して停止措置をとると発表していました。

 そして、その2024年1月を待たずして、問題は、フランスだけでなく、欧州連合全体が問題を追及し、欧州連合は、未成年者のプライバシーに関する欧州データ保護規則 (GDPR) に違反したとして、TikTokに対して、ヨーロッパで過去最高となる3億 4,500 万ユーロの罰金を課すことを発表しています。TikTokはこの罰金を3ヶ月以内に支払わなければならない・・と。

 以前のフランス上院調査委員会の調査の際にも非常に問題視されていたものでもありますが、この中国で誕生したSNSサービスのツールが中国当局との強力な連携の上に成り立つものであり、ユーザーに関する情報がアルゴリズムファイリングを通じて全て中国当局に収集されていることに対する懸念でもあります。

 欧州連合全体で1億3,400万人のユーザーを抱えているTikTokに回収されるデータ量は、膨大なものであり、特に未成年のユーザーも多く、今回の違反(罰金対象)とされているのは、親の TikTok アカウントをティーンエイジャーの TikTok アカウントにリンクできる「家族接続」モードに関連したものであると言われています。

 TikTok の広報は、「今回の決定、特に課せられる罰金の金額には同意しかねる」と異を唱え、次のステップを検討中であると回答しています。

 他の欧州連合の国々、ひとつひとつの対応はわかりませんが、少なくともTikTokは、この欧州全体の違反通告、罰金措置とともに、フランスからの改善要請と警告(年内までに改善されない場合は、フランス国内ではTikTokは停止)を受けているわけで、TikTok側が言っている次のステップは、どういうことなのかはわかりませんが、どちらに対しても、彼らがあっさりと要請を受け入れないことだけはたしかなようです。

 と同時にこのような問題があるたびに、日本人の私としては、フランスや欧州全体がこれだけ警戒しているTikTokというツールに対して、日本はなんらかの対策をとっているのだろうか?と少々心配になります。

 彼らが収集しているデータは、ヨーロッパからだけというわけではなく、どこの国からも同様に収集しているわけで、日本だけが例外ということはないのです。

 TikTokが未成年者のデータの処理を理由に罰金を課せられたのは、これが初めてではなく、 2019年にアメリカで570万ドル、2021年にオランダで75万ユーロ、イギリスで昨年4月に1,270万ポンドの罰金を課せられています。

 つまり、この程度の罰金では、まったく懲りずにいるということなのです。


TikTok 罰金


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2023年9月16日土曜日

新年度の始まりとともに、急激に増加しているコロナウィルス感染

  


 フランス公衆衛生局は、ここ1週間で急激にコロナウィルス感染者が増加していることを警告しています。

 もう、また~~?と言いたくなるところですが、救急医療が処置したコロナウィルス患者数は、8月最終週からの1週間では、3,488件、9月に入り、4日から11日の間に4,067件に増加しました。その前まではわずか7%増でしたが、1週間で17%増となり、その後は22%増と3週間連続で上昇傾向が続いています。

 この傾向は、学校に戻って最初の 1 週間の子供たちに特に顕著にみられる傾向であり、大人ではわずか 12% であったのに対し、子供では 58% 増加しています。過去の感染の経過を参考にするならば、子供が学校で感染してきたウィルスが家庭内に広まり、今度は大人に感染が拡大し始めるというこれまでの実績を考えれば、これからさらに2週間後くらいになると、本格的に感染が拡大してしまうことになりかねません。

 これにつれて、救急外来の受診も増加しており、救急患者の数は30%増と堅調に?増加しており、救急患者の約3分の1が入院措置になっているそうです。

 ただし、体調を崩して救急外来に訪れる人々の多くは、もはやコロナウィルスを疑うことはなく、風邪をひいた・・と言ってやってくるそうで、たいていの場合はドリプラン(パラセタモール)を飲んで、2~3日安静にしていればよい程度のもので、このような人々のことを、一部ではコビデットと呼んでいるそうです。

 しかし、今回の感染拡大も依然として、重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある人々にとっては、深刻なケースに陥る危険があり、フランス公衆衛生局は、10月17日から予定していたワクチン接種キャンペーンを10月2日に前倒しすることを発表しています。

 今年のワクチン接種には、欧州規制当局によって承認された新変異種XBB.1.5 対応のファイザーの新しい適応ワクチンが使用される模様です。

 また、フランス公衆衛生局は感染後重症化リスクの高い人に関しては特に症状が出た場合は早期の検査を推奨しています。 なぜなら、早期の段階ならば、感染が悪化しないための抗ウイルス薬(ファイザー社のパックスロビッド)を処方できる可能性があるからということです。

 喉元過ぎれば・・ではありませんが、すっかり、日常生活に戻っている今、ワクチン接種をするかどうかは、これまですでに数度にわたり、ワクチン接種をしてきた時と違って、なんとなく、またさらに続けて大丈夫だろうか?という抵抗もあり、また、差し迫って、危険を感じていないことから、さらにハードルが上がったような気もします。

 研究によると、欧州では、ほぼ全人口が感染歴があることが示されており、また、感染によって、ある程度は免疫を獲得し、守られていると考えることもでき、また、同時にファイザーとモデルナのメッセンジャーRNAワクチンには、特に若い男性において心筋炎(心筋の炎症)のリスクがあることが報告されていることから、無差別にワクチン接種を行うことは避け、フランス、ドイツ、イギリスでは、リスクのあるグループにのみ毎年追加免疫を行うことを推奨するという体制を固めつつあると言われています。

 気温が下がってくるとウィルスが活発になることから、秋以降は感染が増加することは、必須なのでしょうが、とりあえずは、こまめに手を洗うこと、うがいをすることなどの日本人ならば、決して特別ではない地道なことが大事かな?くらいに思っています。

 どのみち、ワクチン接種キャンペーンは10月以降、ワクチン接種に関しては、かかりつけのお医者さんとも相談して、決めようと思います。


コロナウィルス感染急増


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2023年9月15日金曜日

コンコルド広場にできているラグビーヴィラージュ ラグビーワールドカップ2023パリ

  


 現在、フランスでは、ラグビーのワールドカップが絶賛開催中で、このワールドカップが始まる少し前に見かけた工事中だったコンコルド広場のオフィシャルショップが完成したところを見てみようと出かけたところ、コンコルド広場全体が、ラグビーヴィラージュとなっていて、大きなオフィシャルショップだけでなく、巨大スクリーンが設置され、そこでは、現在進行中の試合の模様が中継されていました。

 私が訪れた日の夜には、フランスの試合が開催される予定だったためか、このラグビーヴィラージュ周辺は、大変な警戒ぶりでした。

 少し歩こうとシャンゼリゼから歩いて行こうと思ったのですが、通常ならば、シャンゼリゼを下っていけば、コンコルド広場に到達するのですが、これがシャンゼリゼの途中、グランパレを過ぎたあたりで、通行止め。

 やたらと警察車両が止まっているので、何ごとか?と思いましたが、警察車両がたくさん待機していることは、決して珍しいことでもないので、そのまま通り過ぎたのですが、それにしても警察官の数も半端ではありません。

 あと5分くらい歩けば・・というところで、いよいよ本格的に歩行者さえもシャットアウトで、警備にあたっている警察官を捕まえて、コンコルド広場には、入れるのでしょうか?と聞くと、迂回していくしかないとのこと・・。

 結局、想像以上に歩くことになり、コンコルド広場に入るかなり前の道にも警官がたくさんいて、「ラグビーショップに行きたいのですが・・」と言ったら、荷物チェックのうえ、道を通してくれました。

 最寄りのメトロの駅(①号線コンコルド駅及びチュイルリー駅)は閉鎖されており、せっかくのラグビーヴィラージュに簡単にアクセスできないことは、フランスの現在の治安を物語っています。

 しかし、このワールドカップの期間(9月8日~10月28日)限定のラグビーヴィラージュは、その背景には、シャンゼリゼやエッフェル塔、チュイルリー公園などが広がる絶景のスペースです。


 ラグビーヴィラージュの中には、巨大スクリーンの他に、大きなステージが用意され、簡単に遊べるミニラグビー場や障がい者用(車いす用)のスポーツエリア、飲食店のスタンドなどが、いくつかあり、コンコルド広場って、こんなに広かったっけ?と思わせられるスペースになっています。





 飲食店のスタンドもそんなに多くはない中、ビールは、スポンサー企業であるアサヒスーパードライが独占状態で、さすがに他にワインやジュースもある中、フランスでビールがアサヒのスーパードライだけ・・という場所もそうそうないことで、これを機に日本のビールがもっともっとフランスでも広まってくれればなぁ~と思いました。



 コンコルド広場は、来年のオリンピックにも、いくつかの試合が開催されるアーバンパークとして利用されることが発表されていますが、このラグビーヴィラージュは、おそらく、その予行演習のようなテストケースのようなものでもあるのかもしれません。



 しかし、今回のように、実際にコンコルド広場で競技が行われるわけでもないのに、こんなに凄い警戒態勢で、大変な迂回を強いられるわけなので、オリンピックになったら、もうパリの街中は、自由に移動することが不可能になるのではないか?と、ちょっと、ウンザリしないでもありません。


ラグビーヴィラージュパリ ラグビーワールドカップ2023


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2023年9月14日木曜日

フランス発 肺がん治療ワクチン Tedopi について

  


 フランスのバイオテクノロジー企業 Ose Immunotherapeutics が開発した肺がん治療ワクチン Tedopi が化学療法と比較して、死亡リスクを40%以上軽減するという研究結果ががんに関する医学専門誌に掲載され、がん治療に光が差したと話題を呼んでいます。

 このニュースは肺がん治療に関わる人々にとっての大きな朗報であることには違いありませんが、現在のところは、このワクチンは、すべての肺がん患者を対象としたものではなく、最も重篤な患者、再発した患者、転移のある患者、既存のすべての治療に抵抗があるが免疫療法にすでに陽性反応を示した患者のみを対象としています。

 つまり、この研究結果は、かなりの末期患者を対象としたもので、この臨床試験の結果も、「肺がんの末期患者の44%以上がこのワクチン接種後1年後も生存が確認されており、平均すると3ヶ月半の生存期間の延長がみとめられた」というもので、必ずしも完全治癒するというものではありません。

 しかしながら、化学療法などと比較すると、副作用等も3分の1に減少するため、治療に際して患者さんのQOL(生活の質)も向上するとしています。

 このワクチンは、現段階では、いわゆるワクチンでイメージされる予防のためのものではなく、治療薬であり、免疫反応を引き起こす抗原を選択し、免疫系のキラー細胞である T リンパ球は腫瘍細胞を認識し、それらを排除する働きを利用するという、コロナウィルス対応のRNAワクチンを思わせる感じです。

 病気に特有の病気の異常を特定し、ワクチンによってこれらの異常に特異的に対処する免疫系の細胞を生成することが可能になり、患者自身の免疫系が病気に関連する細胞を根絶するというものです。

 このメッセンジャーRNAタイプのワクチンは、コロナウィルス予防のワクチン開発のために、急激に普及し、研究も進みましたが、元来は、がん治療に有効であるという考えのもとに開発されてきたものでした。

 このワクチンは腫瘍学者によれば、これは「がんとともに生きるすべての患者に大きな扉を開くものであり、本当に大きな希望をもたらすものである」と断言しており、肺がんと同時に転移のある膵臓がんや再発した卵巣がんに対する検査も進行中です。

 しかし、このワクチンも、現段階では、治験の段階であり、一般化されるかどうかは、未定であるものの、比較的可能性が高いとも言われています。

 Tedopiは2027年に販売認可を申請予定としていますが、さらなる新たな治験でテストされる必要があるようです。現在の治験の結果を見ると、治験ゆえ、あらゆる治療を試みたにもかかわらず、効果が認められず、他に手立てがない場合に行われているもので、その前段階に使用した場合の効果に関しては、発表されていません。

 しかしながら、これはフランスの5,000人から7,000人の患者に相当するもので、このワクチンを製造するバイオテクノロジー企業は、世界中で年間10万人の患者を対象とするものになることを見込んでいるそうです。

 以前は、ガン宣告=死亡宣告のようなもので、告知されないケースなどもありましたが、この研究が進んでいけば、ガンも治る病気として認知される日がやってくるかもしれません。


フランスバイオテクノロジー 肺がん治療ワクチン Tedopi


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2023年9月13日水曜日

フランスでの iphone 12 販売禁止の理由

  


 奇しくも iphone 15が発表された日にフランス ANFR(国家周波数局)は、9月12日のプレスリリースで、Appleに対し、規制されている許容量を超える電波を発する iPhone 12の販売を中止するよう要請したことを発表しました。

 これは、この機種の電波がヨーロッパで規制(認可)している比較している閾値を超えているためであることから、この措置はフランスだけに留まらない可能性があります。

 また、ANFRは、この問題について、2週間以内に同社が対策を講じない場合は、この製品の、すでに流通している商品に対するリコールを命令する用意があると警告しています。

 一応、携帯は持ってはいるものの、まるで、その知識に疎い私にとっては、一体、なんのことやら、わからないのですが、この販売禁止の理由は、過度に高い波動の放出が原因とされており、最近実施されたテストで、携帯電話を手に持ったり、ポケットの中に入れたりしたときに人体が受信する電波を測定した結果、比吸収率の限界を超えたことが関連していると言われています。

 このテストによれば、フランスでは、携帯の電波は、4 W/kg に制限されていますが、 iPhone 12 の場合は 5.74 W/kgであったとされています。

 具体的にどのようにこの閾値が設定されているのかはわかりませんが、一応、様々な観点から設定されているであろう数字なので、これを看過することはできないのもわかります。

 しかし、この iPhone 12 は、2020 年にリリースされたもので、すでに3年も経った今になって言われるのも、なんで、発売前にちゃんとチェックしてくれなかったの?とモヤモヤします。

 現在、発売になったばかりの iphone 15の前にすでに iPhone 12の後には、13、14が出ていて、それに関しては、販売禁止の対象になっていないということは、これらに関しては、問題がないのだとは思われますが、それにしても、販売する企業側も、販売を許可する側も販売前にその検証がなされていなかったことは、遺憾に思います。

 同時に、今や携帯なしでは生活できない気がしてしまうほど、全ての人々に浸透しているからこそ、このような検証がなされ続けることは必要なことではないかと思っています。


フランス iphone 12 販売禁止


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2023年9月12日火曜日

ラグビーワールドカップとジャニーズ性加害スキャンダル

  


 現在、フランスではラグビーのワールドカップを開催中で、街中には、サポーターの集団がワイワイしているのを見かけたりするので、普段、あまりラグビーに興味がない私は、今さらのように、「ラグビーってこんなに人気あるスポーツだったんだ・・」などと、少々ズレたことを感じたりしていました。

 ラグビーとは全然関係なしに、このワールドカップが始まる少し前に、たまたまパリのコンコルド広場近くを通ったら、ずっと工事中だった場所に大きな仮設の建物が建っていて、「あれ?オリンピックの用意ができ始めたんだ・・見てみよう!」などと、行ってみると、まず、その建物には、マスターカードのマークがやたらと張り付いていて、「えっ?オリンピックはVISAカードじゃなかったっけ?」などと、「へっ??」と思っていると、それは、ラグビーのワールドカップのオフィシャルショップ(けっこうな広さ)で、なるほど、ワールドカップの方は、マスターカードがスポンサーなのか・・と気が付いたのでした。

 しかし、ワールドカップのために、コンコルド広場にこんなスペースを設けるとは、なかなかなアピール具合です。

 コンコルド広場には、その他、いくつかのスポンサー会社のテントが張られていて、その中に「Asahi」のテントを見つけて、「やるな~!日本の会社も頑張っているぞ!」と思ったばかりでした。

 日本でのジャニーズの性加害スキャンダルについては、フランスでは、今のところ、テレビメディアでまでは、それほど大きな扱いにはなっていませんが、新聞媒体(ルモンド紙)では、ジャパンラグビーのアンバサダーとして起用されているジャニーズ事務所のタレントであることを問題視する記事を掲載したりはしています。

 そんな中、ジャニーズ事務所の謝罪と新体制の記者会見を受けて、次々と企業側がジャニーズタレントの広告起用を取りやめる発表をし始めていますが、中でもいち早く、アサヒホールディングスが入っていたことに、なるほど・・と思った次第です。

 日本では、このような事態に対して、曖昧な状態でいることが、さほど責められないどころか、賛否両論あるなどと、甘いことを言っていますが、このような事態は、海外では一発アウトの案件であり、今回のラグビーのワールドカップのスポンサーなどという、世界中の注目を集めるイベントのスポンサーとしての立場にいるアサヒホールディングスは、いち早く、キッパリとした対応をとる必要があったのです。

 さもなければ、世界の大舞台のスポンサー企業として名を連ねていることで、通常以上に一企業として注目される立場にあるわけで、同企業の社長が会見で「ジャニーズタレントを起用するということは、人権問題に寛容な企業と判断される」と発表しているように、はっきりした態度をとる世界基準に沿ったきっぱりとした対応を早急に表明する必要があったのです。

 現在、どの程度、どの企業の広告にジャニーズタレントが起用されているのかは、わかりませんが、このワールドカップのスポンサーであるアサヒホールディングスの対応を考えれば、来年のパリオリンピックのスポンサーとなっている企業、ブリヂストン、コカ・コーラ、パナソニック、トヨタなどは、同様の対応をとらざるを得ないことは必須です。

 世界的には、タレントに罪はないなどという理屈は通用せず、むしろ、このような事務所のタレントを広告に起用したりすることは、マイナスイメージにしかならないのが世界の常識なのです。


ラグビーワールドカップ アサヒホールディングス ジャニーズ事務所


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2023年9月11日月曜日

モロッコの大地震 救助を制限されているフランスの焦燥




 2,000人以上の死者を出したモロッコの大地震について、フランスでは、我が国のことのように大きく報道しています。

 私はモロッコという国に行ったことがありませんが、フランスに来てから、モロッコという国は以前よりも身近に感じる国になったことは事実です。

 在フランスモロッコ人の数は約150万人と言われており、モロッコ人に遭遇する確率も多く、比較的、近い、異文化を感じられる国として、フランス人の人気のバカンス先でもあります。

 以前の会社の同僚には、モロッコ人もいたし、フランス人でも、バカンスにモロッコに行くという話はわりとよく聞くので、最初は、「へぇ~モロッコって人気あるんだ・・」と、最初はちょっと意外に感じました。

 今回、モロッコでの大地震による大惨事に、フランスの報道機関は取材チームを現地に送り、大々的な報道を続けています。

 専門家の解説によれば、どうやら、今回の地震は、「起こるか起こらないかではなく、起こることはわかっていたが、いつだかわからなかった・・」というものだったらしく、「驚くことではない・・」などと説明していることに驚いてしまいます。

 しかし、専門家が「驚くことではない・・」と説明するのとはうらはらに、その被害の様子の映像は、充分に衝撃的なもので、壊滅的に崩れて、原形がどういう場所だったのかは、よくわからないような状況です。

 もともと、フランスには、こうした地震がないので、一般的には、おそらく日本人以上に大きな地震に対する反応が大きいような気もするし、それだけモロッコを身近な国であると感じているということもあるのだと思います。

 しかし、当のモロッコ政府は、国際支援の管理について、責任を持って、最も効果的なアプローチが必要との理由で、現在のところ、スペイン、英国、カタール、アラブ首長国連邦の4ヵ国からのみの援助を受け入れています。

 これに対し、すでにフランス、イタリア、米国、スイス、ベルギー、トルコなど、多くの国がモロッコに支援を申し出ており、赤十字などの団体やアストラゼネカなどの企業も援助を申し出ています。

 マクロン大統領は、モロッコ当局が有用と判断した場合に介入できるよう、技術チームと安全保障チームを待機させていると発表しています。

 救助を申し入れているフランス人としては、この悲劇的な状況にモロッコが支援を制限していることが、少なからず納得がいかず、なぜ、スペインやイギリスを受け入れて、なぜフランスからの支援を受け入れないのか? 日頃の外交に問題があるのではないか? などと、話は別の方向にも傾いています。

 とりあえず、フランスのすべての携帯電話事業は、「激しい地震に見舞われたモロッコへの通話とテキストメッセージを顧客に提供している(フリー、ブイグ、SFR、オレンジの顧客はモロッコへの通話とSMSが無料になる)」と、デジタル担当大臣代表が発表しています。

 慈愛の精神に満ちたフランス人としては、壊滅的な被害を受けている場所に飛んでいって、助けたいという気持ちが溢れているのに、それを止められていることに少なからず焦燥感を感じるところがあるようですが、政治的な立ち位置は別として、とりあえず、一度にあらゆる国が押し寄せてきてくれても、場所を含めて被害状況がはっきり確認できない状態では、混乱を招きかねないと考えるモロッコ政府の言い分もわからないではありません。

 援助を提供するのも受けるのも簡単なことではないようです。

 在モロッコフランス大使館は、モロッコに旅行予定だったフランス人に向けて、現在のところは、旅行予定を中止、延期してほしいと呼びかけるとともに、状態が沈静化した後のモロッコ復興のために、モロッコをバカンス先候補から排除せずに、モロッコの観光産業を盛り立ててほしいと話していました。

 マクロン大統領、インドのモディ首相、コモロのアスマニ大統領、世界銀行、国際通貨基金、欧州委員会の指導者は、「モロッコが緊急事態に必要なあらゆる支援を提供する」と約束する共同宣言に署名しています。


モロッコ大地震とフランス


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