2025年11月2日日曜日

今年のハロウィンの人気の仮装はルーブル美術館の強盗犯

  


 ハロウィン(フランスではトゥーサン)の季節を迎え、以前は、ハロウィンよりもトゥーサン(万聖節)、亡くなった人を祀る=簡単に言えば、お墓参りの日という印象が強かった(今でもお墓参りの日ではある)フランスですが、ここ数年で、だいぶハロウィン色が濃くなってきて、かぼちゃをくりぬいたり、いわゆるハロウィンの仮装をする人々が増えてきて、スーパーマーケットなどにもハロウィンの仮装用の衣装が店頭に並んでいます。

 仮装しているのは、子どもを中心としたその親たちや若者たちなのですが、まあ、吸血鬼だったり、ドクロだったり、魔法使いだったりとベーシックなものが一般的ではありますが、毎年、その年の象徴的なものがモチーフになることもあります。

 そんな中、今年は皮肉?なことに、わりと最近に起こったルーブル美術館の強盗の仮装がけっこう人気を呼んでいるようで、特にSNS界隈(TikTokなど)で若者たちがルーブル美術館の強盗が着ていた黒い服にジレ・ジョーヌ(いわゆる黄色いベストやオレンジの蛍光色のベスト)を着て、バラクラバ(つまり帽子とマスクを合わせたような帽子)をかぶって強盗を装い、動画を撮って、投稿するのが軽いブームになっています。

 今回のルーブル美術館の強盗たちは、作業員を装うつもりだったのか?皆、黄色いベストを着用していたのです。強盗に入るならば、真っ黒な服など、できるだけ目立たない服装を選びそうなものを、よりによってわざと目につきやすい蛍光色のベストを着て、目くらましをするとは、大胆な発想です。

 そもそもこの黄色いベストは、数年前の燃料税増税で起こった抗議運動に続いて、年金改革問題など、なにかの抗議運動の際のシンボル的衣装となっていますが、この蛍光色のベストは、そもそも、緊急時などに着用するためのもので、どこの家にでもふつうにあるもので、手軽に安く手に入るもので、今回、ハロウィンの仮装の衣装といっても、衣装?を揃えるのが極めてお手軽なのも、この現象が一気に広まった要因でもあるかもしれません。

 まさか、よりにもよって、世界一有名なルーブル美術館に強盗に入るなどということは、誰も予想すらし得なかったことで、今世紀最大の歴史に残る強盗事件です。

 盗賊といえば、フランスには、アルセーヌ・ルパンという小説上の大強盗が有名ですが、変装の名人といわれたアルセーヌ・ルパンを彷彿とさせる今回の大強盗事件。しかし、変装とはいえ、最も庶民的な、また、近年の度重なるデモや抗議運動の象徴ともなっている黄色いベストでの変装とは、世相を表しているようで、なんとも皮肉な話でもあり、また、それがさらに、ハロウィンの仮装のトレンドのようになるとは、シニカルなフランス人らしいアイディアでもあります。

 ただし、バラクラバで頭を覆うのは、本来ならば法律違反なので注意が必用で、公共の場で顔を隠すことは禁止されており、1,500ユーロの罰金が課せられる可能性があるそうです。

 安くついたはずの仮装が実は高くついた・・なんてことになりませんように・・。


ハロウィン 黄色いベスト


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