2023年8月29日火曜日

物議を醸すフランスの公立校でのアバヤ着用禁止 アバヤは宗教か?文化か?


 

 新年度を目前にして、国民教育相ガブリエル・アタルがフランスの公立校における「アバヤ」の着用を禁止することを発表し、物議を醸しています。彼は、これを「国家レベルでの明確な規則とする」としています。

 これは、ただちに左翼指導者の怒りを引き起こし、イスラム教徒女性に対する強迫的規則であると、この公立校におけるアバヤ着用禁止を非難しています。

 恥ずかしながら、私は、この「アバヤ」という名前を知らず、一瞬、???となりましたが、映像を見ると、当然、見かけたことはある顔以外の全身を覆うアラブの女性の伝統的衣装であることがわかりました。

 フランスでは、政教分離の原則に則り、公立校では宗教的なシンボルを着用することが法律で禁止されているようですが、具体的な衣装を名指し?で禁止というのは、初めてです。

 問題はこの「アバヤ」が宗教的なシンボルであるかどうかということが争点となると思われますが、争点云々以上にわざわざ公的に禁止するほど、アバヤを着ている子がいるのだろうか?ということです。

 まあ、地域によっては、そういう地域もあり得るのかもしれませんが、少なくとも私は、学生で登校するのにアバヤを着ている子を見かけたことはありません。むしろ、禁止されたところで、関係ない子が大多数だと思われるものをわざわざ「禁止」というような発表をして、反感を買うのもいかがなものだろうか?とも思います。

 これに反して、このアバヤを着ることについて、これは宗教的なものではなく、単なるファッションの一つであると言い張る子もいるようです。

 ただ、このドレスが宗教云々以前に、学校生活を送るために、便利でふさわしいものであるかというと、そうとは思えないところではあります。

 そもそもフランスでは公立、私立ともに制服を定めている学校というのはほとんどなく、服装について、あまり、うるさく言われることもないし、禁止されるとか、縛られるということに慣れていません。

 だいたい、この年頃の子たちは、禁止と言われれば、より反抗するようなところもあります。

 娘が通っていた学校(私立)では、ある程度の節度ある服装をというぼんやりとした指導はあるようで、節度を外れているような場合は、忠告があったようです。

 日本の学校では、制服のある学校も多く、服装や髪型に対してまで、それこそそんな校則いる?と思うほど、厳しい規則を強いている学校もあるように聞きますが、宗教的なものに関する規則というのはあるのでしょうか?

 バブル世代に学生時代を過ごした私は、お嬢さん学校に入学した子が入学と同時にイブニングドレスがいると言われたとか、逆に、あの女子大はブーツが禁止らしいとか、毛皮のコートはダメとか、規則とはいえ、今から思えれば、どうかしている、それこそ浮世離れした話ばかり耳にしていました。

 今回のフランスの公立校における「アバヤ着用禁止」は、ともすると宗教的な差別とも言われかねないものでもあり、この種の訴訟を専門としている一部の弁護士によると、「アバヤは長いドレスであり、国家公認の権威であるCFCM(フランスイスラム崇拝評議会)の宣言によれば、宗教的な衣服ではない。従って、アバヤは宗教的なしるしではなく、文化的なものである」と説明しており、今後のこの禁止措置は主に行政管轄権への上訴の対象となる可能性があると語っています。

 「アバヤ」は宗教か?文化か? 難しい問題です。

 

フランス公立校アバヤ禁止


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2023年8月28日月曜日

フランスでも日本でも、最近、もっぱらよく聞くようになった、けっこうキツい親の介護の話

  


 以前は、娘の学校の休みの時期、しかも娘を日本の小学校に少しでも体験入学をさせたいなどと思うと、日本が最も暑くて、過ごしづらくて、航空運賃も最も高い夏に日本に一時帰国することに、いささか、憤りを感じてはいたものの、一方では、一年に一度の日本への一時帰国は、やはり、このうえなく楽しみで、両親も年に一度、孫に会えるのを楽しみにしてくれていました。

 孫というものは、本当に可愛いものらしく、母も手放しで娘をほめちぎり、まだ元気だったうちは、やたらとどこへでも孫を連れて歩きたがり、多分に気難しく、ケチな父親でえさえも、孫にだけはなにやら様子が違って、やたら気前よく、私も夫も絶対に買い与えなかった、携帯ゲームなどをいそいそと2人でこっそり事前に約束して買いにでかけたり、いずれにしても、両親2人ともが、それぞれにとても楽しそうで、これまで私がどんなに親のためにしてきたことも孫の存在にはかなうものではありませんでした。

 しかし、両親は、私の年齢からしたら、わりと早くに2人とも他界してしまい、母にいたっては、もう亡くなってから15年以上も経っているので、周囲の友人たちが親の介護に苦労しているなどという話を聞いても、介護する親がまだ生きていてくれて、羨ましいとさえ思っていました・・つい最近までは・・。

 母は本当に倒れてから、亡くなるまでがあっという間のことだったので、介護らしい介護をする間もなく、また、父の時は、私も弟も海外で生活しているために、けっこう、周囲の親戚などと、ゴタついたりもしましたが、それでも結局、父は最期のギリギリまで家で頑張り続け、介護施設に入って、半年くらいで亡くなってしまったので、私は、父に対しても、母に対しても、ほぼ介護らしい介護をすることはありませんでした。

 その後も、パンデミック前までは、ほぼ1年に1~2度は日本に帰国し、誰もいなくなった家の片付けをしたりして、その際には叔父や叔母たちに会ったりするたびに、父や母がいなくなっても付き合いが続いていることに感謝し、嬉しくもあるものの、どこかで、正直なところ、なんで父と母だけがもういないんだろう?などと思うこともありました。

 今、フランスに居続けるか日本に帰るかなどと考えたりもしますが、今でも両親のどちらかが生きていたら、ブーブー文句を言いつつも、私はきっと日本に帰っていただろうなとも思います。

 しかし、最近は、周囲の友人たちの親も、生きているかわりに、介護はそれなりに壮絶になってきているらしく、多少、ボケてきたり、物忘れがひどくなって、同じことを繰り返したりするのは、仕方ないにしても、ごくごく身近で介護している人に対して、異常に暴言を吐いたり、頑固に家に引きこもるようになったり、やたらと攻撃的だったり、もう耐えられないと音を上げている友人もいます。

 ついこの間は、母娘二人暮らしだった友人がお母さまを見送ったばかりだし、介護する側もされる側も、私が両親を看送った時よりも、歳をとっているため、精神的にも肉体的にも大変そうです。

 つい先日、こちらでも、フランス人の友人と久しぶりに会う約束をしていたら、両親の具合が悪くなったとかで、約束は延期になり、どうやら、コロナウィルスに感染してしまったそうです。

 彼女とは、しばらく会っていませんでしたが、以前に話を聞いた時にも、両親ともに健在?(とはいっても、要介護)ながら、すでに、もう2人とも90を過ぎていると言っていたので、今はおいくつになられたのかわかりませんが、あれからけっこう経っているので、2人とも相当な高齢で(もしかしたら、100歳くらい)、それでコロナウィルス感染などといったら、下手をしたら、深刻なことにもなりかねないわけで、それはそれは大変です。

 彼女自身ももう引退していて、郊外に住んでおり、パリに住んでいる両親の介護に通うのもなかなか大変なようで、フランス人もけっこう長生きで、まさに老々介護の感じです。

 こうなってくると、今度は、あまり長生きして、娘や周囲の人に迷惑をかけたくない・・などと考え始めてしまい、上手い具合に死ぬのも大変・・などと思ってしまい、あまり健康に気を付けすぎるのも困った結果になりかねないなどといらぬことを考えたりもするのですが、こればかりは、自分でどうこうできるものでもありません。

 これからは、自分も含めて周囲もどんどん歳をとっていくわけで、そうなってくると、小さい子供、若い命、しかも自分の遺伝子を受け継ぐ小さないいきものがスクスクと育っていることに別の感動を覚え、両親が娘を無条件に可愛がってくれた気持ちがなんとなく、今はわかるような気がしてきました。


老々介護


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2023年8月27日日曜日

海外在住者の老後 日日(日本人同士)カップルも帰国しない人が増えているらしい・・

  


 私は、そんなに日本人の知り合いが多いわけではないのですが、それでも四半世紀以上もパリに住んでいると、少しは日本人の友人(在仏)もいて、まあ、だいたい似通った年頃か、もしくは、私よりも年上の人が多いので、日本にいる親の介護の話とか、仕事を引退してからはどうするとか? そんな話題も少なくありません。

 どちらかというと、日本人以外のパートナーを持っている人が多く、また、こちらで、アパートや家を買ってしまっている人は、おそらく、老後もこのままフランスで過ごすつもりなのだと思いますし、もうすでに、引退した生活が始まっている人もいます。

 なかでも、独身を通してきた人などは、自分の住まいを縮小して、かなり整理したりして、自分にもしものことがあった場合、日本の家族(といっても、両親はすでにいないために、自分の兄弟やその子供たち)に後のことを頼み、遺言書まで用意して、また、必要な手続きをできるだけスムーズにできるように準備している人までいます。

 私の周囲では、珍しい日日(日本人同士)のカップルは、一応、こちらでアパートを購入し(まだローンが残っていると言っていたけど・・)、「将来は、2人で日本に帰るかもしれない・・」と、以前から話していたのですが、ここのところ、「う~ん・・どうも、あんまり日本には、帰りたくない気がしてきた・・」と言い出しています。

 どちらにしても、まだ、引退しているわけでもないし、決定事項ではないようなのですが、彼女の周囲には、他にも、日日カップルがいるらしく、彼らも、以前は「将来、老後は日本に帰ると言っていたのに、帰らないと言い出した・・」そうで、日本での老後の生活に不安要素が増えたというか、あまり、魅力を感じなくなってしまったというところでしょうか・・。

 日本とフランスの間には、相互の年金を合算して計算してもらうこともできるという協定があるらしく(具体的には、まだ調べていませんが・・)、フランスで働いた分の年金を日本で働いた分と合算して受け取ることもできるようなので、そもそも日本で生まれ育った日本人同士のカップルならば、老後、病気になったり、弱ったりしてきたら、食べ物だって、なんだって、日本人として、やっぱり日本の方が安心と思うのも当然のような気もするのです。

 日本は、どこも清潔で、治安もよくて(海外と比較しての話)、きちんとしていて、何より、生まれ育った我が国は安心だという気持ちは多々あります。

 しかし、長くフランスで生活してきた生活習慣や、また、現在のそれぞれの国のありようを比べて、日本への帰国に二の足を踏んでしまう気持ちもわからないではありません。

 フランスで生活していくために、自分をフランスでの生活に順応させていくうちに、自分自身の行動や、考え方なども変わってしまっているところもあります。

 フランスでは、外国人であるとはいえ、正当な権利をもって(ビザを持って)生活している以上、ほぼ、フランス人と同様の社会保障が受けられます。税金も高いですが、それなりの保障に還元されている気がします。特に、最も弱い立場に陥った場合には、優しい国だと思います。

 もはや、日本の事情の方に疎くなってしまっているところもあるのですが、日本には、それがあるのかどうかが、甚だ疑問でもあります。

 そもそも、歳をとってから、生活環境を変えるというのは、大変なことで、しかも、国をまたいで・・となれば、なおさらのことです。

 私自身もまだ、将来、どうするのかは決めてはいませんが、今のところは、どこに住むか、どこで死ぬかというより、とにかく少しずつ片付けるように心がける・・くらいしかしておらず、今のところは、国というよりも、とりあえずは、今、住んでいる家(アパート)(決して豪華でもないし、きれいなところでもないのですが・・)の自分の空間が心地よいので、今は、動くつもりはありません。

 「猫は、家につく」というように、私も今のところは、この家が気に入っているのでここにいたい・・そんな感じです。

 しかし、老後は日本に帰ると決めていた日本人たちが、こぞって、「日本には帰りたくなくなった・・」と言いだしたのは、ここ20~30年の日本の国の変わりようもあるのかもしれないと、なんとなく、「やっぱり・・」と、うなずける部分もある気がしているのです。


日本での老後生活


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2023年8月26日土曜日

超人気のセドリック グロレのクロワッサンを買うのは大変 Cédric Grolét Opéra

  


 ずっと気になっていたセドリックグロレ(Cédric Grolét Opéra)というパティスリーがあって、いつ通りかかっても(といっても、そんなに頻繁に通るわけでもないけど・・)、長蛇の列ができていて、なんだか、いかにもインスタ映えしそうな可愛らしい店構えのお店で、そのうち、ブームが過ぎて、空いてきたら行ってみようと思っていました。

 なにやら、ホテル・ムーリスの世界的に有名なスターシェフがやっているお店だとかで、クロワッサンにしても、ケーキにしても、美しく麗しいことこのうえないのですが、食べてみないことには、どんなふうに良いのかもわかりません。

 サイトを見ると、予約することもできるのですが、それはケーキだけで、クロワッサンやヴィエノワズリーは、予約はできません。

 知人からも、「やっぱり美味しいよ!あそこのクロワッサン!」などと聞いていたのも、私を突き動かすきっかけともなりました。

 もうそろそろ、夏のバカンスシーズンも終わりに近づいてきて、ふと、「バカンス期間中の今だったら、そんなに並んでいないかもしれない!」と急に思い立ち、行ってみることにしました。

 まだ、午前中だったし、我が家からもそんなに遠くもないし・・と思って出かけたのですが、私の思いつきは、全く甘い考えで、やっぱり結構な行列ができていました。私がお店に到着したのは、11時頃、行列を整理するために張られたロープの先には、「クロワッサン等のヴィエノワズリーは午前中、12時までです」と書かれていたので、私はそれを見て内心、「セーフ!やった~!」と思っていました。 

 それから行列に並ぶこと約40分、ようやく店内に入れましたが、すでにクロワッサンもパン・オ・ショコラも売り切れで、思いっきりガッカリし、「え~~!売り切れだとわかっていたら、並ばなかったのに~~!先に言ってよ~~!」と思いましたが、これだけ並んで手ぶらで帰るのも悔しく、まだ、かろうじて存在していたヴィエノワズリーの一つである、シナモンを使ったヴィエノワズリーを一つ買って(12ユーロ)、帰ってきました。もはやこの値段、ふつうのヴィエノワズリー一つの値段ではありません。(ちなみにここのケーキも小さい一人用の大きさのケーキ一つの値段の平均は17ユーロというビックリ価格です!)




 こうなってくると、普段、並んで何かを買い物をしたりすることは、まず、することはない私も、ちょっと意地になってきて、是が非でもクロワッサンをゲットしたくなり、お店で明日の開店時間を確認して、次回は開店時間に行こう!とその日は、家に戻りました。

 買って帰ったシナモンのヴィエノワズリーは、想像以上にかなり美味しく、こうなってくると、余計に期待も高まります。

 翌日は、開店時間に行ったのですが、すでに、昨日同様の長蛇の列、このような行列に慣れていない私は全くもって、甘かったのです。行列ができるなら、開店時間の前から並ばなければいけないのです。

 お店を覗いてみれば、今日はしっかりウィンドーから見えるところに麗しいパン・オ・ショコラが並んでいます。しかし、行列は、昨日以上に凄まじく、私の手前に並んでいた人が行列を時々、整理しにくる男性に、「昨日は、さんざん並んでクロワッサン1個しか買えなかったんだけど、今日は大丈夫?」などと言って、結局、怒って帰ってしまったりしたので、「並んでいるからといって、必ずしも買えるとは限らないんだ・・」と思いながら、少しずつ行列の前に進んでいきながらも、ショーウィンドーに並んでいるクロワッサンを確認しつつ、「まだあるある・・」と思いながら、行列に並んでいる人の様子を眺めながら、ひたすら順番を待つこと約1時間半くらい・・ようやく中に入れて、無事、クロワッサン、パン・オ・ショコラ等、4種類のヴィエノワズリーをゲットしてきました。


この4つで31ユーロでした! 高いけど、それなりの感動が・・!


 我ながら、ちょっとバカらしいと思いつつも、一応、念願を果たし、まあ、キレイなお金がかかっていそうな包みと紙袋に包まれたパンを持って家に帰りました。

 せっかくだからと、クロワッサンとパン・オ・ショコラはちょっとだけオーブンで温めて食べましたが、苦労が報われる素晴らしい味で、ちょっと冷めてからは、むしろ、本来の味わいを深く感じたというのも、皮肉な感じでもありますが、クロワッサンにありがちな、バターの油が染み出してしまう感じがなく、思っていた以上にさっぱりとしていて、それでいて、口の中に入れたときに、鼻から感じる風味までが素晴らしく、思わず一人で「う~ん!納得!」と満足しました。

お見事すぎてパンオショコラには見えない


 また、どこのチョコレートを使っているのかはわかりませんが、パン・オ・ショコラのチョコレートの香りもすばらしく、あっという間にペロッといってしまいそうになりました。あんなにならんだのに、食べてしまうのは一瞬です。

 しかし、これだけ行列ができるからといって、クロワッサンだって、ヴィエノワズリーだって、一日中、売っていたってよさそうなところを無理はせず、品質は落とさず、逆に商品価値を上げてしまうあたり、なかなかな手腕、同じ通りの並びにあるPAULには、「クロワッサン3つ買ったら1つおまけ」の看板が立っていて、なんだかちょっとPAULが気の毒な気になったくらいです。

 また、紙袋もさることながら、お店のデコレーションもどこから撮っても映えるようにデザインされていて、買い物をする人はほぼ100%写真を撮っていました。

 また、このお客さん、どうやら、観光客もかなりの割合で、含まれているようで、数日しかパリにいない僅かな時間をこの行列に割くのか・・と、不思議な気もしましたが、パリに来て、ぜひ、行きたい場所がパティスリーというのも、楽しいことなのかもしれません。

 こうしてやってきたお客さんたちが、SNS等で拡散して宣伝してくれるのですから、バカンス中でパリの住民が少ないからといって、お客さんが全然、減らないわけです。

 この分だと、当分、この行列はバカンス期間関係なしに、当分、短くなることは、なさそうです。

 しかし、また、この行列に並んでまで買いたいかというと、それは御免被りたいところ、パリには、まだまだ、私が食べたことがない美味しいものがたくさんあるのです。

 でも、とりあえずは、話題の?大人気のクロワッサンを一度は食べられたことにとっても満足しています。これだけ感動できるクロワッサンもなかなかないかも・・。


⭐️ Cédric Grolét Opéra

     35 Avenue de l'Opéra 75002 Paris


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2023年8月25日金曜日

10年間で半数が退職してしまう公立病院の看護師不足

  


 公立病院の看護師としてのキャリアをスタートした人々の約半数は、10年後には退職しているという深刻な看護師不足が数字で表れている結果が発表されています。

 しかも、この数字には、コロナウィルスによるパンデミックのための退職者は含まれていないということなので、現状は、さらに酷いことになっているかもしれません。

 昔、まだ私が日本にいた頃に、3K(きつい、汚い、危険)などと言われる仕事の人出不足が叫ばれていた覚えがありますが、フランスでも、まさに看護師という仕事は、この3Kに当てはまるのではないかと思います。

 しかも、慢性的な人出不足のために、個々の仕事の負担が重くなることから、ますます、きつい仕事となり、志を持って資格まで取得して就いた仕事を続けられなくなってしまうという残念な悪循環が続いているようです。

 現在の日本の状況はよくわかりませんが、そもそも、フランス人は、というか、今の世代の人々は特に、退職や転職というものをあまり否定的にはとらえていない印象があり、その中でも、特別な資格を必要とする看護師のような職業ならば、本来ならば、退職者、転職者は他の仕事に比べて少なそうなイメージがないこともないのですが、それが、逆に他の職業よりも多いということは、やっぱり、それでもなお、耐えられない、やってられない・・と思うことが多いのかもしれません。

 そのうえ、大変な仕事のわりには、低賃金であるということが、さらに退職・転職増加に拍車をかけています。

 彼ら(彼女ら)は、同じ仕事でもフランスよりも高賃金のスイスやルクセンブルクに転職したり、医療検査機関や、高齢者施設などに転職するか?全く別の仕事に就くか、彼らにとっては、むしろ、一般の人よりも選択肢はたくさんあるのです。

 以前、医者不足のために、定年後も医者に働いてもらうためのシステムなどが、提案されていた話がありましたが、医療全般にわたって、医者も看護師も足りないという危機的状況のようです。

 この看護師不足の数字から算定すると、年間40,000人の新卒採用が必要と見られていますが、実際には、看護師を志しても、看護学生の20%は、仕事に就く前に断念しているのが現状だそうで、どうにも壁が高そうです。

 皮肉なことに、この看護師不足、学生の段階から看護師の道を断念してしまうのは、インターシップのシステムによる職業体験がひと役買っているようで、学生の立場からすれば、実際にどっぷりつかってしまう前に方向転換するならば、できるだけ早い段階の方がよいのかもしれませんが、実際の現場での職業体験で、将来の労働条件を如実に知ることになり、学業を放棄する学生の数は、10年間で3倍に増加したと言われています。

 私は、幸いなことに、自分自身は、これまでフランスの病院に入院したことはありませんが、夫や友人などが入院した際のことを思い出す限り、あまりよい印象はなく、出来ればお世話になりたくないとは思っていますが、こればかりは、もしもの時には、仕方ありません。

 しかし、一般の企業などから、考えれば、患者さん(お客さん)は溢れるほどいるのに、看護師に充分な賃金も払えず、その病院が上手く回らないというのは、やはりお金の回し方がおかしいということで、病院経営については、よくわかりませんが、単純に考えれば、こんなに次から次へとお客さんが来る仕事もないのに・・などと素人は考えてしまいます。


深刻なフランスの看護師不足


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2023年8月24日木曜日

人種差別問題はけっこう厄介

   


 人種差別というのは、非常にデリケートな話題でもあるし、色々な種類の人種差別があるので、ひとくちに語ることはできません。

 しかし、人種差別というのは、確実に存在するし、表面的には、差別などないようにふるまっている人々の中にも差別意識というのは、潜んでいる場合も多々あります。

 特にアフリカに住んでいた時などは、外地から転勤してきている人々は、ボーイさんやメイドさんなどを雇わなければならないので、自ずと現地の人との間に主従関係ができるわけですが、その現地の人々を雇用するにあたっての対応というか応対というか、その接し方があまりに露骨にかつての歴史を引きずっている感じで、我が夫も含めて、フランス人ってスゴい(あまり良い意味ではない)なぁ・・と最初はちょっと引いてしまう感じがしました。

 そこらへんは、日本人などは、妙なもんですが、ボーイさんたちにも名前にさん付けでよんでいたりする人もいたりして、これはこれで、逆に舐められ切っているのでは・・と感じないでもありませんでした。

 パリに来てからは、そこまで露骨な主従関係には、遭遇しないものの、今度は下手をすると、私とて、アジア人ということで、差別を受けかねないところもあり、まあ、私などの暮らす狭い世界では、ごくごく限られた人としか接することがないので、日本人(アジア人)だからと差別されたと感じたことはほとんどありません。

 むしろ、外国人が多すぎて、そもそも純粋なフランス人という方が少ないような気がするので、いちいち人種差別しているわけにもいかないのでしょうが、外国人として生きるには、日本にいる外国人の方が違和感にさらされているかもしれません。

 私は、ごくごく親しい人くらいしか、プライベートでは付き合いがなくて、例えば、職場などでも、仕事が終わるとすぐに子供を迎えに行って、休みの日は子供のお稽古事や買い物や家事、家族と過ごすでいっぱいいっぱいで、長い間、個人的な友達付き合いというものをする時間もなかったので、職場の同僚などとの付き合いもプライベートはほとんどしてきませんでした。

 なので、彼ら(彼女ら)とは、仕事上の付き合いのみで、分け隔てなく、どんな人種の人とも同じように接してきたつもりではありますが、その中に、ハイチ出身の女性がいて、普段、雑談をしていたりする時は、ふつうに接しているのに、何か注意されたりすると、すぐに「レイシストだ!人種差別だ!」と騒ぎだす女性がいました。

 単に正当な注意をしているだけなのに、そう言われてしまうと、「そういうことではないでしょ!単にあなたのしていることに対しての話をしているだけでしょ!」と言っても、もう彼女はかなり感情的になっていて、全く受けつけず、こちらの方が諦めるしかなく、むしろ、「なんでもそれで片付けようとする方がズルいではないか・・」などと思ったものでした。

 これだけ異様に反応するのも、これを便利な言い訳として使っているのでなければ、よほど差別に対する被害者意識が沁み込んでいるのか?と、半分は気の毒な気にもなります。

 ふだんは、彼女も一人でお嬢さんを育ててきたこともあって、一人で子育てをしていた私には、娘の話をしたり、写真を見せたりすると、娘の成長をとても喜んでくれていて、職場の人間関係としては良好な方だと思っていました。

 そうして、「レイシストだ!」などと、騒いだりしても、結局のところ、彼女もそれを引きずるわけではなく、しばらくすると、何事もなかったようにもと通りになるので、こちらも、いつの間にか忘れているのですが、たまに、彼女の口から出てくる「レイシストだ!」という言葉には、逆にモヤモヤする気持ちがするのでした。


人種差別 レイシスト


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2023年8月23日水曜日

ハードディスカウントショップ・激安店で思う子供のしつけ

  


 最近、我が家の近所のコマーシャルセンターにACTION(アクション)というハードディスカウントショップ・激安店ができて、想像以上に人気で、結構、繁盛しています。

 コマーシャルセンター自体が衰退の一途を辿っていて、どんどんテナントに入っていたお店が撤退して、どこにでもあるH&Mなどの洋服屋さんや、かなり大手のチェーン展開をしている美容院や、子供服のお店や、家電といえば、フランスでは、1強?と思われていたDARTYもなくなり、ついには、マクドナルドまでなくなり、どんどん空きスペースが増えて、「ここ、本当にどうなっちゃうんだろう?」と思っていました。

 いくら、家賃を下げてでも、スペースを空けておくよりはマシだろうとは思うのですが、チェーン展開のお店とて、店舗を開けておくことは、人件費もかかり、ストックも抱えるということで、この厳しいご時世、致し方ないことなのかもしれません。

 そんな中、このコマーシャルセンターに登場したACTION(アクション)は、ちょっと日本で初めて100均に行った時のような感動の安さで、このインフレのご時世には、ぴったり合ったお店なのかもしれません。

 このコマーシャルセンターにはカーフールも入っており、まあ、食料品やそこそこのものは、たいてい揃うので、このコマーシャルセンター=カーフール・・というような感じでもあったのですが、最近は、もしかしたら、ACTIONの方が人が入っているかも?と思うくらい人気で、ACTION目当てで、やってくる人も多い気がしています。

 この ACTION、徹底的に経費を抑えての経営でも有名で、商品は過剰在庫や倒産した会社の商品、売れ残り商品など、機会に応じた買収を優先する購買戦略や余分な店内装飾や人員も最低限に抑えていることでも有名なのですが、恐らく、この場所が選ばれたのも、そこそこの場所にこれだけ空きスペースを抱えているコマーシャルセンターの賃料も相当、値切り交渉が行われたのではないのか?と睨んでいます。

 この店舗のおかげで、結果的に集客は増えているので、また、別の空きスペースに店舗が入り始めているのも事実です。

 しかし、ハードディスカウントショップ・激安店だけに、集まってくる人の層が少々、これまでと違う客層も混ざっていることも事実で、けっこう、ヤバい感じの少年少女、小さい子供連れの親子でも、やたらと大きな声で子供を𠮟りつける光景なども、このお店の店内や周辺では見かけるようになりました。

 激安店ですから、いわゆる底辺層の人も集まってくるのは、当然の話ではありますが、彼らに共通するのは、子供にやたらと大声で急き立てたり、叱りつけたりすることで、まだ、パリに来る前に住んでいたパリ近郊の街にいた頃に娘が通っていた幼稚園には、そんな親がけっこういたことを思い出しました。

 やたらと大きな声で外で四六時中、子供を叱りつけているのが、こういう人たち(こういう人たちという言い方は失礼とは思うのですが・・)に共通するところで、子供たちが騒いで、はしゃぎまわっているとか、そういうことではないのですが、「早くしなさい!」とか、「静かにしなさい!」大したことではないことに、やたらと親が大声をあげるのです。

 はたから見ていると、「叱りつけている親の方がうるさいけど・・」などと思うのですが、そういった子供たちの反応を見る限り、もう怒鳴られても何とも思っていないようで、つまり、無限ループのようにそれが続いているようで、結局は子供たちもそれに慣れてしまっており、全くしつけになっていないのではないか?などと、思ってしまうのです。

 今の住まいに引っ越してから、娘を通わせていた学校では、とんと、この手の親子に遭遇してこなかったので、なんだか、久しぶりにこういう親子を見た気がしたのです。

 以前に、日本で水族館に行ったとき、子供が泣いたり、騒いだりしていても、親が放置していることに驚いたことがありましたが、だからといって、子供を大声で叱りつければいいというものでもないのにな・・などと、久しぶりに見かけるようになったこのような親子を見て、子育てって難しいもんだな・・この違いはどこから来るのだろうか?と思うのでした。


子供のしつけ


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