年齢を重ねると、友人との話題も健康問題やお墓の話題が多くなるなどという話を聞いたことがありますが、今のところ、私たちは、健康問題については、はたまに話すことはあってもお墓の話についてはあまりしたことがありません。
一度、従妹の一人が嫁ぎ先は代々、医者の家系?で遺体は遺骨もろとも献体しているためにお墓というものがないとのことで、自分が死んでもお墓というものがないので、実家のお墓に入れてほしい・・なんならお墓には家名を掘らずに、誰でも入れるように墓碑銘として、この食い意地の張った家系にふさわしい「食」とう文字を刻んだらどうか?などという話はしたことがあります。
私の場合は、日本の実家のお墓か、夫の眠るフランスのお墓かなのですが、そもそも私はこのままずっとフランスに住み続けるかどうかも、はっきり決めているわけでもないので、どうなるかはわかりません。
もしも、フランスにお墓がなければ、私のためにわざわざお墓を立ててもらうつもりはなかったのですが、思わぬことに、夫が急に亡くなった時に、夫が走り書きのように書き残していたメモのようなものを偶然にも義理の息子が発見し、それには、「自分が死んだ時には、お墓は家から一番近い墓地にしてほしい・・」というようなことが書いてあったので、夫のお墓は近所の市営墓地に決め、思いがけずに、フランスでまさかこんな買い物をするとは思わなかったお墓を買うことになったのでした。
そもそも、夫が亡くなったのは、夫がまだ50代の時で、しかも、倒れてから数日後のことだったので、まさか亡くなるとは、まるで思ってもみなかったので、夫とお墓の話などはしたことがありませんでした。
夫の両親が入っているお墓は義兄夫婦の家の比較的近くにあり、当時は夫も羽振りがよく、やたらと立派なお墓を建てたみたいなのですが、なぜか夫はそこに一緒に入りたいとは思っていなかったようです。
そんなわけで私には、もしも私がフランスで死んだ場合には、自分で買ったお墓が待っているので、そこに入ることもできます。というよりも、自分で買っておいて、そこには入らないというのもなんか損な気もします。
しかし、妙な話ですが、市営墓地なので、場所を借りているというようなカタチになっているので、夫が入った時の契約では、30年契約にしてあるので、それ以降になる場合は、契約を更新しなければなりません。契約を更新しない場合は、次の借り手のためにお墓は潰されてしまうので、まあ合理的といえば合理的なシステムです。
つまり、私が買ったのは、墓石だけなのですが、私としては、けっこう大きな買い物でした。
もしも、日本にいた時に死んだ場合は、実家の両親や祖父母が入っているお墓ということになるのだと思いますが、特に私には、どこのお墓に入りたいという希望はなく、娘には、遺体や遺骨を運ぶのは大変だろうから、フランスで死んだ場合はフランスのお墓に、日本で死んだ時には日本のお墓にと、一番、簡単な方法にしてほしいとだけ頼んであります。
よく、仲の悪い夫婦や義家族などと一緒のお墓に入りたくないなどという話を聞くこともありますが、骨になってまで、それがどこにあろうと、あまりこだわるつもりは全くありません。なんなら、海にでも捨ててくれてもいいと思うくらいなのですが、それはそれで結構面倒なことらしいので、本当に簡単にしてくれて構わないと思っています。
わりと最近にお父様を見送った友人が父上の遺言で海に散骨して、とても清々しく良かったという話なども聞いたこともありました。
フランスでは、最近は火葬も増えたという話も聞きますが、一般的には未だに土葬にする場合が多いのですが、日本人の場合は火葬にして、日本に遺骨を持って帰るか、もしくは、火葬のできる墓地(ペーラシェーズなど)では、特にお墓を持たない人のために、遺骨を撒く場所もあります。
フランスの火葬の場合、遺骨というよりも遺灰にしてしまうので、遺骨というよりは、灰(砂)とよぶくらいなので、土にそのまま撒いてしまうという感じにもなるのです。
私の知人の何人かも灰になって、ペーラシェーズの土となっています。
私自身は、すでに両親も亡くし、夫も亡くしているのでお墓問題以上に死後の手続きや後片付けがどんなに大変なことなのかはわかっているので、娘一人にかけてしまう負担はできるだけ少なくしたい・・と思うばかりです。
こうして家の中を見渡してみるだけでも、私一人が生活している空間にどれだけたくさんの物があるのかと思うと本当にこれを少しでも少なくしていかなければ・・と思うばかり、しかも、両親が残してくれた?家や物でさえも、まだ全然、片付いていません。
自分の後始末は自分でしなければ・・と思うものの、人間は一生の間に1人の人間が一体、どれだけのものをため込んでしまうのか?と思うとおぞましい気さえしてくるし、ましてや自分の身体は、自分では片付けられないし、迷惑をかけてしまうんだな・・とそんな妙なことを、最近は考えているのです。
墓問題
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