日本の公共交通機関で「ベビーカーが邪魔だ!畳め!」と言って、ベビーカーを蹴飛ばしていった人がいた・・とかいう話がSNSで出回っていて、あらためて、自分の子供が小さい頃のことを思い返してみると、私は子供を連れてベビーカーで公共交通機関に乗ったことはなかったように思います。
たった一度、思い当たるのは、アフリカから引越してくる際のことです。夫は先にフランスに到着していて、一人で赤ちゃんだった娘を連れて、アフリカからパリに来た時のことで、空港で飛行機に乗る時にベビーカーは預けました。
その時は、ブリュッセル経由の飛行機だったのですが、ブリュッセルまでの飛行機が遅延して、経由便の飛行機に乗るために、ブリュッセルの空港をまだ生後3ヶ月だった娘と荷物を抱えて、汗だくになって走った記憶があります。
ベビーカーはブリュッセルの空港で積み残されて、ロストバゲージュとなり、数日後に夫が空港までピックアップに行ってくれました。
そもそも飛行機の場合は機内にベビーカーを持ち込むということもないので、話は別ですが、それ以外でも、私はベビーカーを利用はしていたものの、ベビーカーで出かけるのは、近所のみで、公共交通機関にベビーカーを持って乗ることはありませんでした。
娘は1歳になるかならないかの頃に歩き始め、その後は、エネルギー満ち溢れる娘に夜、寝てもらうには、ベビーカーに座らせるなどということはせず、できるだけ歩いて疲れてもらわなければならなかったし、バスや電車の乗り降りや駅の階段などの移動を娘だけでなく、ベビーカーとともに移動するのは、私にはちょっとムリだ・・と思っていたからです。
しかし、実際にメトロやバスに乗っていると、ベビーカーを押して?バスやメトロに乗っている人を見かけることはあり、それに対して、周囲の人がすごく親切なのには、いつも驚かされます。
今のバスは、たいてい、ベビーカーや車椅子の人が乗り降りできるように、電動のスロープがついていて、たいていは、特に頼まなくてもバス停にそのような人がいると、運転手さんが予め気づいてくれて、スロープを降ろしてくれて、難なく乗れるようになっているし、バスの中には、車椅子やベビーカーのためのスペースもとられています。
赤ちゃんを連れているような人がいれば、すぐに、すっと席を譲る人がいて、駅の階段をベビーカーを運ぶのに往生している人がいて、私が手伝ってあげようかな?と一瞬、迷ったりしていても、すぐに通りすがりの人の中に、手を貸してくれている人が現れ、さっと運んで、そのまま、すっと何もなかったかのように、また通り過ぎていくのをよく見かけるので、こういうところは、フランス人って優しいなぁ〜、カッコいい〜!、と感心します。
彼らは、実にさりげなく、弱い人々に席を譲り、子供も連れていない、まだそこまで年寄りでもない私などにも、(ちょっと疲れた顔をしていたのかもしれないけど・・)「マダム、座りますか?」などと言って、席を譲ってくれたりします。
一見、身勝手な感じもするフランス人ですが、そのあたりは、とてもフェミニストというか、弱者には往々にして優しいと感じることが多いです。
電車によっては、乗客のマナーが悪いと思われる路線もあるのですが(特にパリ近郊郊外線)、席を譲ることに関しては、腰が軽いというか、実にスマートな印象があります。彼らは、バーやカフェなどでも立ち飲みすることも多いし、立っていることに、あまり抵抗がないのかしら?などと思うこともないではありませんが、普段はフランスの地方の人からも冷たいと評判の悪いパリジャンも、実に親切にさりげなく、席を譲ってくれたり、ベビーカーを運んでくれたりします。
ですから、パリでベビーカーが邪魔だと言って怒っている人を私はみかけたことはありません。
ベビーカーどころか、こんなのまで乗ってる パリのトラムウェイで・・ |
しかし、一方では、我が家の近くの決まった路線(バス)ですが、すごく威張ったおばあさんたちが乗ってくるバスがあって、うっかり座っていようものなら、「はい、立って!私を座らせて!」と席をどかされることもあり、唖然としたことがあります。
もちろん、誰もが同じではないでしょうが、往々にして、フランスでは、弱者には優しいという印象があります。
ただでさえ、大変な子育てです。誰よりも大変なのは、ベビーカーで公共交通機関を移動しなければならないお母さんなのに・・と思います。
そういえば、そんなわけで?、娘は1歳半くらいになるまで、電車というものに乗ったことがなく、初めて、電車でパリに出かけた時(その頃はパリ郊外に住んでいたので)は、電車が怖くて泣いてしまったのを覚えています。
今では、一人で飛行機に乗ってどこの国へでもでかける娘にも、そんな可愛い頃があったと、懐かしく思い出しています。
公共交通機関でのベビーカー問題
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