そもそもパンデミックの影響で始まったインフレはガソリン、電気などの価格が高騰し始めたことで、昨年の段階から騒がれ始め、フランスでは、インフレ手当やエネルギーチケットなどが配られたりして、なんとなく、ちょっと得した気分にさえなっていたボーッとしている私ですが、その頂いたはずのものも、あっという間に知らないうちに、すっかり消費してしまっていることを考えれば、やはり確実に全ての価格は上昇しているようです。
そもそも私は、日常的に頻繁に買い物する野菜や肉などの生鮮食料品に関しては、だいたい、このくらいの値段なら安いかな?高いかな?とかいう漠然とした感覚はあるものの、ストックがなくなれば、補充しておくような、食用オイルや洗剤、トイレットペーパーなどは、ごくごくたまにしか買わないので、正直、あまり値段は把握していません。
しかも、通常なら、セールになっている時に、安くなっているなら買っておこうか・・くらいの適当さなので、価格が高騰したと言われても、騒がれ始めてから、なるほど・・と思い、実際に買い物に行っても、スーパーマーケットで色々なものをまとめて支払うので、支払いの時になって、「えっ?これしか買ってないのにこんなになっちゃった??」とちょっと反省したりするのですが、もともと、そんなに無駄なものを買っているわけでもないので、気をつけようもありません。
だいたい食料品や日用品などは、特に贅沢品でもないかぎり、ひとつひとつの値段は大したことがなくても、積み重なっていくと、さすがに私のようにボーッと暮らしている者にとっても、だんだんヤバい感じになってきます。
ついこの間まで、食用オイルや小麦粉、パスタなどの価格上昇について騒いでいたと思ったら、今度はトイレットペーパー価格が爆上がりのニュース。なんでも、製紙業界では、原料の紙パルプがここ1年で50%値上がりしたとかで、ペーパータオルが10%、トイレットペーパーが7%値上がりしているそうです。
しかも、パルプの輸送はほとんどが海上輸送で、ウクライナ紛争が始まってからはさらに、アジアとヨーロッパを結ぶ陸上輸送が水域にシフトしています。現在の港湾の混雑やコンテナの価格は、輸送コストを増幅させるだけです。
また、この業界では、木の皮のチップを数時間煮込んだ化学薬品の混合物を使用しているため、加工コストは1年で30%上昇しています。
加えて、製紙はガスや電気を大量に消費しているため、このエネルギーは製品の30%を占めているとのこと。
ロシアのガスが禁輸された場合、状況はさらに悪化する可能性があり、十分なエネルギーがなければ、一部の工場は操業停止に追い込まれる可能性さえあると言います。
製紙業界といえば、トイレットペーパーだけではなく、9月からの新学期に備えてのノート類や、現在、アマゾンなどの配送に使われている大量の段ボールなどもあります。
少し前までは、環境問題(廃棄物問題)から、プラスチック包装は禁止されたり、プラスチックのストローではなく紙のストローなどに移行し始めたばかりです。むしろ、「紙ならばエコ」くらいに感じていたのも、この製造過程を考えれば、そこまでエコでもないのかもしれません。
ウクライナの小麦やオイルなどが輸出できない状態やロシアへの経済制裁から、食糧危機だと言っていますが、この全ての価格が上昇する経済危機は、止まらないようです。
食糧危機に関しては、昨日、ウクライナでの戦争以来、初めてウクライナ産のトウモロコシがスペイン北西部の港に到着したそうです。ロシアが封鎖している黒海での航路を回避するための新しい海上航路を見出し、成功したことでこれからのウクライナからの海上輸出航路として期待されています。
これも、ロシア上空を飛べない飛行機が迂回航路を使っているようなもので、ますます輸送費が加算されそうな気がしますが、食糧難回避のためとなれば、それも致し方ないのかもしれません。
今回運ばれたトウモロコシなどは飼料用のトウモロコシだそうで、この高価そうなトウモロコシを食べたブタなどの値段がさらにまた、高騰しそうです。
フランスはこれまで輸入していたひまわりオイルなどを自分で生産しようと、ひまわりなどの栽培にも手を広げ始めたと言われていますが、今度は異常気象で、フランスは今週も猛暑(今週はまだ6月だというのに軒並み30℃超え、パリでさえ、今週末は38℃まで気温が上昇すると言われています)、雨が降らなければ、農作物も育たないというもうにっちもさっちもいかない状態です。
トイレットペーパー爆上がり
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