2022年5月23日月曜日

全仏オープンテニス ローランギャロス平常モードで開幕 ロシア選手は出場するか?

   



 フランスで毎年、行われる国際的なイベントの一つとして、毎年5月に開催される全仏オープンテニス・ローランギャロスがあります。

 パンデミックのために2020年には、5月開催を延期し、さらに感染状況が悪化した9月に開催したり、昨年は、感染対策が厳しくとられる中、例年どおりの5月に開催されました。

 今年の全仏オープンは、マスクの義務化もワクチンパスも撤廃された例年どおりの大会を取り戻しています。観客も100%入ります。2年間のパンデミックの規制がこの大会では全て、取り払われ、まだ、始まったばかりというのに行列ができています。

 ローランギャロス観戦は、もともと感染対策以外の警備も厳しいことで知られており、荷物のチェックもうるさく、持ち込めるバッグの大きさ(15ℓ以下)から、禁止項目は、アルコール飲料やヘルメット、応援用の旗のサイズや楽器類から、セルフィースティックまで詳細にわたっています。

 さんざん、感染対策用の規制ばかりを見慣れてきた身としては、逆にこのようなセキュリティーのための規制が新鮮に感じてしまうのは不思議です。




 感染対策への規制が撤廃され、ほぼほぼ平常が戻ってきている雰囲気の中、今年は、新たな問題が登場しています。それは、ロシア、ベラルーシからの選手の出場可否についての問題です。

 これについては、世界中でロシアに対する様々な経済措置がとられる中、大会開催前から、物議を醸してきましたが、今回の2022年の全仏オープンテニス大会では、今年3月9日の時点で欧州連合をはじめとする36カ国のスポーツ大臣の共同宣言の署名文書に沿ったものとして、ロシア・ベラルーシの選手が中立的な旗の下で競技に参加することを認めています。

 この共同声明によると、ロシア・ベラルーシの選手に関しては、出身国に関するいかなる表示もしないという厳しい中立性制度を尊重しなければならないとされています。このため、ロシア・ベラルーシの選手は出場は許可されているものの、国旗、国歌の掲揚は禁止されています。

 実際にローランギャロスの出場選手のリストを見ると、世界ランキング2位のダニール・メドベージェフ選手や、世界ランキング7位のアンドレイ・ルブレフ、同8位のアリナ・サバレンカはロシアの国旗を掲げることが許されず、各選手の国旗が記されているスペースはブランクになっています。

  



 出身国に関するいかなる表示もしないという厳しい中立性制度を尊重しなければならないというのは、こういうことなのか・・と思わせられます。

 この大会ディレクターのアメリー・モーレスモは、「これは非常にデリケートな問題で、正しい判断が何かはわからない。しかし、国としての代表選手の場合は出場できないが、個人として中立な立場をとる者の出場は制限しない。しかし、これらの選手がメディアを通して、プーチン寄りの発言をした場合には、必ず制裁をとる」としています。

 また、FFT(フランステニス連盟)会長のジル・モレトン氏も「すべては進化している」とし、ロシア人選手のプーチンに対する立場について、「我々は、一人ひとりの家庭の事情に余計に左右されることを知っているので、個々の個人的な状況の詳細に踏み込むつもりはない」と語っています。

 これに対して、6月に開催が予定されているイギリスのウィンブルドン大会では、すでに「ロシアが自らの利益のためにイベントの成功を利用しないように、また選手や家族の安全のためにロシア・ベラルーシからの選手を排除する」決定をしているようです。

 全仏オープンとウィンブルドン、2つの大きなテニスの国際大会で、異なる選択をしたフランスとイギリス。

 本当にこの状況で何が正解なのかは、わかりませんが、とりあえず、私は、全仏オープンに関しては、フランスらしい選択をしたような気がしています。


全仏オープンテニス2022  ローランギャロス2022


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2022年5月22日日曜日

パリで一番、美しいスターバックス Starbucks Boulevard des Capucines

  

外観はそんなに特別でもないスタバの正面入り口



 カフェ文化が根強くはびこるフランスで、スターバックスが出来始めた時には、一体、どの程度、広まるものかとも思いましたが、スタバは今やどこでも見かけるほどにグングン拡大していきました。たしかに美味しいとは思いますが、だいたい、いつも行列していて、並ぶのが大嫌いな私は、滅多にスタバには行くことはありません。

 最近は、他のお店でも見かけるようになりましたが、かつてはあまり一般的ではなかったチーズケーキやドーナッツやマフィンなどがあるので、お菓子目当てに行っていたことはあります。

 とはいえ、パンデミックで多くのお店が閉店に追い込まれたりしたものの、パリでもスタバは健在、パリのほとんどの区にスタバは存在し、パリ1区にいたっては、ちょっと数えただけでも8店舗もあります。

 今回は、パリ2区にスタバとは思えないようなスタバがあるというので、これは是非、行ってみたいと思って、覗きに行ってきました。

 オペラ通りから歩いていくと、オペラ通りにも1軒、こちらの方は、そんなに特別感はありません。それでも、ここも大抵、いつも行列ができています。

 今回のお目当てのスタバは、もっとオペラ座に近いキャプシーヌ大通り(Boulevard des Capucines)にあります。外観は、そんなに特別感はありませんが、中に入ると、「うわっ!これか!!」とやっぱり、なかなかインパクトがあります。

 


 入り口付近の注文する場所は、いかにもスタバな感じのモダンに作られたスペース、中央には、スタバグッズが並んでいます。


   


 それは、外観の店構えよりもずっと奥行きのある空間で、客席は、階段を数段上がったスペースに設けられています。

 


 この階段を数段上がっていくと、美術館?宮殿?と思われるような光景が広がります。

 



 もちろん、満席。一瞬、ここ、図書館?どこかの事務所?と思うくらい、パソコンを開いたお客さんが中央を陣取っています。このパソコンを開いている人々のいるテーブルが中央にあり、それを遠巻きにするように各座席があります。

  




 しかし、それ以上にびっくりするのは、もはや内装という言葉は適さないのではないかと思うような天井のフレスコ画、大理石の柱、ゴールドの装飾、豪華なシャンデリア、鏡と優雅な空間です。

 



 そのキラキラ、豪華な内装には、とってつけた感がなく、どこかしっくりきてしまうところがさすがのパリマジックです。

 スタバのお値段は、場所によっても違いますが、オペラ通りのお店とは、同じお値段だったら、せっかくなら、この優雅な空間を味わえる方がなんだかお得な感じです。

   


 しかし、パリ市内、どこも値段は同じかと思えば、我が家から直近のスタバを覗いてみたら、値段は、だいたい50セント安かったので、やっぱりパリの中心地は高いようです。

 もともと、スタバのお値段は少々、高め・・そのうえ、さらにちょっとだけ高いのですが、この豪華な空間を楽しめるのであれば、文句はありません。

 ましてや、そこで長時間、仕事をしたりするのであれば、気分よく仕事ができそうな気もします。しかし、場所取りはなかなか大変そうです。

 とはいえ、ここで仕事?をしている人のパソコンはなぜか、圧倒的に Mac(Apple)が多く、りんごのマークがずらりと並んでいます。ひょっとして、ここApple?と勘違いするほどです。

 スタバが好きな人は、なぜかMacが好き・・一見、全然、関係ないようでいて、ここに集まる人のタイプが垣間見えるような気もしたのでした。

 しかし、もしパリにいらっしゃる機会があれば、この優雅なスタバ、一見の価値があるかもしれません。

 




Starbucks Boulevard des capucines

3 Boulevard des capucines 75002 Paris 7:00~22:00



パリのスタバ スターバックス パリ



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2022年5月21日土曜日

ヨーロッパで相次いで症例が報告されているサル痘がフランスにも上陸した

   


 これまで聞いたことがなかった「サル痘」(Monkeypox)という病気が、ここ数日でヨーロッパで広まっているというニュースを聞いて、ギョッとしています。

 正直、また、ヨーロッパを中心に感染拡大・・と思ったら、カナダやアメリカ、オーストラリアでも、症例が報告され始めて、これは、欧州だけではないらしいことがわかりました。

 もともと、西アフリカの風土病であったサル痘がアフリカ大陸の外で拡大するケースは稀なことで、WHO(世界保健機構)は、このサル痘に関する緊急会議を召集しています。

 しかし、私が以前、西アフリカにいた時、サル痘なんて、聞いたことありませんでした。あの時は、とにかくマラリアが怖くて・・夫は数回、マラリアにかかって苦しんでいました。

 この病気(サル痘)は、最初の段階で、発熱、頭痛、関節や筋肉の痛み、リンパ節の腫れなどの症状が現れ、第2段階では、水疱を伴う発疹ができ、多くの場合、顔から始まり、手のひら、足の裏、性器など体の他の部分に広がるとのこと。特定の治療法はないようですが、天然痘のワクチンが有効であるとも言われ、大多数の患者は隔離され、自然に回復するとされています。しかし、一方で、一部の疫学者の間では、「サル痘の死亡率はコロナウィルスよりもはるかに高い」と警告しています。

 今回のサル痘の蔓延は、5月6日にイギリスで確認されたのを皮切りに、5月14日以降、ヨーロッパでは、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、イタリア、ベルギーでの症例が報告されており、とうとうフランスでも、5月20日に、イル・ド・フランス地方で初めてサル痘の患者が確認されたと、保健当局とSanté publique France(SPF)が発表しました。



 このフランスでの患者は29歳の男性で、過去にウイルスが流行している国への渡航歴はないと、保健当局が発表しています。患者は、感染症が疑われた時点ですぐに保護され、現在のところ、自宅で隔離されています。

 ウイルスは、病人の皮膚病変部や粘膜に直接触れたり、飛沫を介したりして感染し、また、病人の生活環境(寝具、衣類、食器、バスタオルなど)との接触でも感染するとされています。

 また、現段階での感染経路の追跡によると、感染者やその体液(唾液など)との接触による感染が目立ち、「感染が疑われる症例は、性交渉の際に粘膜を介して感染が起こった例が多い」ことが指摘されていますが、現段階では「感染のダイナミクスをより理解するために適切に調査する必要がある」とされています。

 潜伏期間は5日から21日。発熱期は1〜3日程度続きます。通常は軽症で、2~3週間後に自然に治癒することが多いということです。

 しかし、総じて、この病気は人間同士の感染力はそれほど強くないことから、コロナウィルスのようなパンデミックには陥りにくいだろうと予測されていますが、一方では、にもかかわらず、明らかなアウトブレイクが多発していることに、WHOや欧米各国の保健当局は警戒を強めています。

 マスク、手洗いなどの最低限の感染対策の日々はまだまだ続けなければならないようです。

 まったく、次から次へと未知の病気が出てきて・・という風にも思いますが、逆にコロナウィルスによるパンデミックを経験して、これまでよりも感染症に対する警戒が強まったために、このような報告が浮上してきているのかもしれないとも思うのです。


サル痘 Monkeypox 


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2022年5月20日金曜日

フランスでよくある「2個買うと2個目半額」の罠

   



 スーパーマーケットに買い物に行くと、「ー50%!」とか、表示されていて、「うわっ!」と思うと、よく見ると「2つ目が半額」・・などというのが、よくあります。この2つ目半額というのが、出始めた頃は、その「2つ目が・・」というところをちゃんと見ずに、半額だと思って1個だけ買ってきて、実は定価のままだったりしたことがよくあって、特に夫は、このあたりの注意力が欠如していて、何度も同じ過ちを繰り返していました。

 この「2個目は半額」というのが出始めて以来、敵もさるもの、「2個目は40%引き」とか「3個目は無料」とか、手を変え、品をかえ、さまざまな試みをしているものの、大家族でもない限り、また、よほど保存のきくものでない限り、そんなにチャンスはないのですが、それでも、せこい私は、2個目が半額ということは、1個あたり・・いくらか? 3個目が無料ということは・・などと、一応、その場で立ち止まって、考えたりするのです。

 しかし、この「2個目半額」や「3個目は無料」には、最終的な落とし穴も待っていて、実際に買い物が終了して、レジに行って、支払いを済ませて、レシートを確認すると、まったく割引になっていないこともしばしばで、返金となると、その場ではしてもらえずに受付にまで行かなければなりません。

 最近はオートレジになったので、その場で自分でピッピッと値段を確認していくことができるのですが、「2個目半額」、「3個目無料」などのケースは、最後にトータルになった時点で割り引かれるとかで、最後まで確認することはできず、しかも、結局、割引になっていない場合は、やっぱり返金手続きに行かなければなりません。

 レジで並んだ後、支払いをして、また、さらに返金のために受付で並ぶことを考えると、なかなかウンザリします。

 また、量り売りの野菜なども自分で量ってキロ単位の価格に従って、自分で選んだ商品を量りに置いて、自分で選んだ重さの分だけの値段がついたステッカーを袋に貼り付けるのですが、その量りで出てくるステッカー自体も表示価格と値段が違うこともあり、(重さを量ってステッカーを貼っただけで、なんか安心しがち・・)値段を気にし始めたら、本当に気が抜けないのがフランスのスーパーマーケットでの買い物です。

 とにかく、間違いが多いので、この急激なインフレのおり、いつも以上に値段は気にして、買い物をするようになったのですが、実際に支払いの段になって、「えっ?こんな金額になっちゃった???」と思ってレシートを確かめると、たしかに一つ一つの値段はあっていて、やっぱり、全てが値上がりしているんだな・・と、最近は思います。

 しかし、これだけ安くなっているから、この値段なら、買ってもいいかな・・と思って買ったものが、割り引かれていないのは悔しいもので、返金のために並ぶのもめんどくさいので諦めていたこともあったのですが、このトラブルを減らし、問題を改善してもらうためにも、やっぱり、返金してもらいに行こうと、最近は諦めないことにしています。

 これは、間違えられる可能性がある・・と思った時には、その値段の表示を写真に撮って、返金の時にすぐに、「ほら、この値段って書いてあった!」と見せられるように構えています。こんなところも、いつも戦闘体制、戦うことが前提で備えます。

 しかし、これで少しでも改善されるかと思えば、全くそんなことはなさそうで、受付でも、まあ慣れたもので、日本だったら、「すみませんでした」とか、「大変、申し訳ありませんでした」とか、すごく謝られそうなところですが、フランスの場合は、しれっとしたもので、まったく謝ることなどもなく、しかし、びっくりするほど、あっさり返金してくれます。

 これは、完全な分業制がなせるところでもあり、返金の場合なども、フランス人お得意の「それは、私のミスではない!」というところで、たしかに返金係の人のミスではないにしても、その人が会社を背負って謝るということもしないのです。

 あくまでも返金係はその人の仕事をしているだけの話で、堂々としたものです。やもすると、返金手続きを「やってあげた感」満載の場合もあります。

 まあ、この手のトラブルも全て、間違えられること前提にしていれば、怒りも軽減できます。

 私もフランスでの生活が長くなって、自分なりのストレス軽減法を身につけました。


2個目半額 3個目無料

 


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2022年5月19日木曜日

フランス 5月の記録的な熱波

  


 ここ数年、フランスの夏の猛暑は毎年のことで、珍しいことではなくなってきました。

 私がフランスに来た頃、20年くらい前は、夏の間、暑い日があってもせいぜい2〜3日のことで、湿度も低いせいか、夏は断然、フランスの方が過ごしやすいと思っていましたし、建物自体が木造ではないため、外が暑くても建物の中に入ると、冷房がなくとも、すっと涼しい感じでした。

 年間を通して、あっつ〜 い!と感じる2〜3日のためにエアコンを買うこともないし、実際、一般家庭にエアコンのある家はほとんどありませんでした。

 フランスでも、日本のエアコンのように壁面に取り付けるものも、もちろんないことはありませんが、それよりも大きな箱のようなものが多く、場所もとるし、また一年のほとんどを使わないとなるとしまっておく場所も必要で、我が家はフランスのアパートではたいていあるカーヴ(地下にある物置のようなスペース)もないため、収納スペースがごくごく限られていて、そうでなくとも、普段使わないものが多い我が家には(夫の妙な美術品の収集癖のため)、そんなものを置く場所はないので、ハナからエアコンを買うつもりはありませんでした。

 それがここ数年、夏の暑さは毎年のように40℃前後にまで上がる日が数日あり、天気予報を見ながら、そろそろヤバいとなると、もう戦闘体制で、朝早くに家の空気を入れ替えた後は、ベランダの植物にはたっぷりと水をやって、窓もあけず、光も遮断して、お風呂に水をため、家に籠ってバスタオルに水を浸して肩からかけて、なんとか凌ぐというのが、ここ数年の猛暑対策として、定着しています。

 しかし、この猛暑もこれまでは、せいぜい7月から8月にかけてのことで、今年は、まだ、なんと5月! まだ5月というのにここ連日30℃近い日が続いており、これは、5月としてはフランスでも歴史的な記録なのだそうです。

 昨日は、フランスの南西部を中心に13地域で軒並みこれまでの5月の気温の記録を更新し、ソール・オスゴール(ヌーベル・アキテーヌ地域圏)での35.18℃をはじめとして、トゥールーズで33.4℃、パリで30℃とこれまでの記録を軒並み塗り替えています。

 それでも暑いとはいえ、まだパリは30℃、例年なら、暖かい気温が安定しはじめる5月まで待って、ベランダに野菜の種を蒔き、それから1ヶ月ほどして、苗を分けていくのですが、今年は早々に芽をだしたと思ったら、気温が高いだけあって、育つのが早いこと!

 もう苗を分け始めなければならなくなり、ベランダで、畑仕事?をしていたら、どうにも暑くて耐えられなくなり、一旦、中断して、夕方になって少し日が傾いてから再開したくらいでした。

 4月までは、暖かくなったとはいえ、まだまだ朝晩は肌寒かったりしたのに、徐々に暑くなっていくのならともかく、急激な気温の変化に身体がついていきません。

 昨夜は寝苦しく、冷凍庫に入れっぱなしになっていたアイスノンを引っ張り出して眠りました。(この時代に原始的な方法・・)

 フランス気象庁は、今年は早く、長く、激しい熱波が発生していると発表しています。水曜日、フランスの3分の1が30℃以上の気温を記録していたそうで、数日後には、再び多くの場所で35℃を超えるという予報が出ています。また、この気温の上昇は、少なくとも5月24日まで続くそうで、この高い気温の連続も記録を更新しそうだということです。

 また、この天気続きで干ばつの被害も心配されています。テレビのニュースでは、燃料費の高騰に始まり、あらゆる物価の上昇の次は、この干ばつで、野菜や果物にまで影響が出て、新鮮な野菜は高級品になると騒いでいます。

 やっぱり、ベランダ菜園はやめられません。

 アフリカに住んでいた頃は、朝起きて、曇っていると、心の底からホッとしたり、また四季のある生活というものは、やはり良いものだな・・などと思ったことを思い出しますが、本来ならば、一番過ごしやすい季節のはずの5月がこのようなことになるとは、地球環境問題も本当に早急に対応しなければならないことだと実感しています。

 いつもは当てにならないフランスの天気予報ですが、こんな時だけは当たるんだな・・と恨めしく思うのです。


フランス5月の記録的な熱波


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2022年5月18日水曜日

カンヌ国際映画祭開幕セレモニー サプライズゲストはウクライナのゼレンスキー大統領

  


 パンデミックのために2020年には、開催が延期されたり、今ひとつ盛り上がりに欠けていた2022年カンヌ国際映画祭が開幕し、久しぶりにコロナ前の人出に沸き、ようやく取り戻したこの国際的なイベントの盛況ぶりに、カンヌの街、ホテルやレストラン、映画関係者は、祝祭ムードに包まれていることで喜びに湧いています。 

 昨日、今年が75回目にあたるこのカンヌ国際映画祭の開幕セレモニーが行われ、レッドカーペットが敷き詰められた会場は、満席状態、華やかな服装にマスク姿はもうどこにも見当たりません。

 煌びやかにセレモニーが始まって、まもなく、司会の女性に、「今日はスペシャルゲストが登場します」と紹介されて、スクリーンに登場したのには、なんと、ウクライナのゼレンスキー大統領、これには、会場も一斉に立ち上がり、彼は大きな拍手で迎えられました。



 最初は、少々、緊張した面持ちだったゼレンスキー大統領も、すぐにいつものスピーチモードに入り、彼はこの晴れやかなカンヌ映画祭のオープニングで「チャーリー・チャップリン」の映画を引き合いに出し、映画と戦争の密接な関係について語りました。

 そして、彼は、チャップリンと1940年に公開された映画「偉大なる独裁者」に賛辞を送り、語り始めました。

「この物語では、始まりではなく、終わりが最も重要なのです」とこの物語の終わりとは、主人公が広場で行った演説のことを指していると思われます。それは大勢の兵士の前で、自由と寛容、人種の壁を越えた融和を訴えるもので、希望を捨てないことをラジオを通して語りかけるシーンです。

 そして、同時に「映画は沈黙ではないことを証明する新しいチャップリンが必要だ」とも語っています。

 20世紀の最も恐ろしい独裁者たちは映画を愛していました。以来、「人類は数々の素晴らしい映画を作ってきました。皆が、戦争の恐怖に続編はないと思っていましたが、当時も今も、再び、独裁者が現れました」

「現在の私たちの毎日に拷問を受けない日はありません。皆さんも、マリウポルの市立劇場がロシアの爆撃を受けたのをご覧になったことと思います。その劇場は、今日、皆さんが集まっている劇場と同じような感じでした。そこに避難していたのは、民間人でした」

 中略

「しかし、我々は戦い続ける、他に選択肢はありません、私は「独裁者」が負けると確信しています」

 そして、最後に彼は「私の話を聞いてくださっている全ての方々、絶望しないでください、憎しみはやがて消え、独裁者は死ぬでしょう・・私たちは、この目的を達成するために、常に自由の側に立つ映画を必要としているのです」と、楽観的な言葉で締めくくりました。

 元俳優でもあるゼレンスキー大統領ですが、こんな形でカンヌ映画祭に参加することになるとは、彼自身、俳優時代には、想像もしていなかったでしょうが、彼の発信力は、甚大なもので、今や彼をテレビで見ない日はないほどです。

 しかし、まさかカンヌ映画祭にまで登場するとは・・驚きで、本当にサプライズでした。フランスでは、カンヌ映画祭のオープニングセレモニーそのものよりも、ゼレンスキー大統領のスピーチばかりがクローズアップされる皮肉なことになっています。

 あらゆる国で、あらゆるツールを使って、彼は世界中に語りかけています。

 カンヌ国際映画祭には、ジャーナリストだけでも世界90カ国から4,000人以上が集まっています。この彼のカンヌ映画祭での演説も世界中でまた、報道されることになるでしょう。

 長期化する戦争の中で彼は世界中からの関心が失われないように発信し続ける役割を見事に果たし、世界中の協力を求めています。

 この彼の演説の数時間前、ゼレンスキー首相は、当日もマクロン大統領と電話会談をしています。この演説に臨むにあたって、彼らがどんな話をしたのか、気になるところでもありますが、マクロン大統領は、この電話会談の直後に、「ゼレンスキー大統領に対しては、防衛装備品、人道支援、経済・財政支援、燃料など、ウクライナのニーズに応えるとともに、司法の仕事を支援していくことを再確認しました」

 「ウクライナの人々の勇気は尊敬に値するものであり、私たちの連帯を期待するものです。これまでにフランスからウクライナに送られた人道支援物資はすでに800トンに達しています。我々はゼレンスキー大統領と、ウクライナの主権と領土保全の尊重を確保するための国際協定の枠組みの中で、フランスがウクライナに提供できる安全保障について議論しました」と発表しています。

 マクロン大統領は、プーチン大統領との電話会談では、一向に話が進展していきませんが、ゼレンスキー大統領との連携は頑強にとれているようです。


カンヌ国際映画祭 スペシャルゲスト ゼレンスキー大統領


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2022年5月17日火曜日

フランスに女性新首相エリザべス・ボルヌ現労働相が就任

  


 マクロン大統領の再選が4月24日に決定して以来、新内閣の組閣について、長いこと発表されないままでしたが、特に首相の選出については、注目されてさまざまな憶測が流れていました。

 しかし、大統領選直後にJDD(Le Journal du Dimanche)が行った世論調査によれば、国民の74%が次期首相には女性を任命してほしいと思っているという結果が発表されていたので、もしかしたら、次期首相は女性なのかも?と思っていました。

 74%といえば、マクロン大統領の支持率よりも多い数字、この世論を無視するわけはないと思っていましたが、数日前から新首相予想に上がっていた数名も女性ばかりでした。

 昨日までのカステックス首相が首相に就任したのは、2年前の7月のこと、エリゼ宮での首相交代のセレモニーの記憶もそんなに遠いものではありません。パンデミックの第一波を乗り切ったばかりの頃で、前フィリップ首相の辞任により、突然、登場した感じでした。

 彼が最初に現れた時は、その経歴からも、かなりのエリートであることは歴然としていたものの、彼の南仏訛りのきついアクセントやどこか冴えないスーツ姿に、フランスの首相としてどうなの?みっともない・・などという声もあがっていました。

 しかし、結果的に首相に就任してからの彼の言動は、アクセントはそのままでしたが、暖かい人間味あふれる感じや誠実さ、そしてどこかコミカルな印象を与える人柄(決してウケを狙っているわけではないし、本人大真面目なのに、どこかコミカルという感じ・・)が、常に論理的で、口が立ち過ぎて、どこか反感を持たれるところのあるマクロン大統領のマイナス面を見事にカバーする役割を果たしていたように思います。

 首相退任後にまず何をしますか?という記者からの問いに、「家でペンキ塗りをする所がある」と答えたとかで、家でのペンキ塗りもしっくりきそうなほんわかした人柄です。

 実際に、パンデミックの感染悪化、テロ、暴力事件などの問題が起こるたびに、現地に出向き現地の人々声に耳を傾け、誠実に応対する姿勢をこの2年間、度々、報道で目にしてきましたが、これまでの首相の出張記録回数の新記録を樹立していたそうです。

 新旧首相の挨拶では、お互いに向ける言葉の中でそれぞれを"Tu" (フランス語では親しい間柄で使うYouにあたる言葉)で呼び掛け合い、同じ内閣で長く働いてきた親しい間柄を窺わせるものでした。

 この挨拶の中で二人、それぞれ、ちょっと面白いことを言っていました。

 カステックス首相の話の中でおもしろかったのは、「フランス人は要求の多い国民で、額面通りには受け取らない。しかし、彼らはそれに対処する方法を知っている。彼らは偉大な人々であり、政治的な人々だ」「また、マティニョン(首相官邸)の住人に批判が集まるのは必至だ」と彼女に警告したことです。

 「フランス人は要求の多い国民で額面通りに受け取らない・・」まさにそのとおりです。

 また、国民に向けて、エリザベスについて、「この2年間、一緒に仕事をしてきた中で、彼女の高潔さ、誠実さ、有能さ、自発性という計り知れない資質を確認している」、「彼女は信頼できる人物であると伝えたい」と語っています。

 そして、彼女もまた、彼のフランスという国に対する揺るぎなき献身と、人間性、誠実さ、仲間への共感力を讃えました。

 また、彼女の挨拶の中で最も印象的だったのは、最後に彼女が語った一言でした。

「ご想像のとおり、私は今晩明らかに非常に感動しています。そして、この地位にあった最初の女性、エディット・クレッソンに思いを馳せずにはいられません(フランス史上初の女性首相)。そして、おそらく、この私の首相就任をすべての少女たちに捧げ、「夢に向かって頑張れ」と言いたいです。社会における女性の地位のための闘いを減速させてはならない」という言葉でした。

 見渡してみれば、ヨーロッパでは、すでに女性の首相がすでに、数名登場し始めています。民主主義を叫びながら、フランスとてこの世界の潮流から遅れるわけには、いかないというマクロン大統領の思いがあったのかもしれません。

 この首相就任という事実をすべての少女たちに捧げると語った彼女ではありますが、彼女の経歴は、並大抵のものではありません。

 1961年パリ15区生まれ。父親は彼女の父親はフランスに避難したロシア系ユダヤ人で、第二次世界大戦中にレジスタンスの一員として活動し、強制送還させられており、決して容易いものではなかったであろうに、1981年エコール・ポリテクニック(フランスの理工科公立高等教育機関のグランゼコールの一つで超エリート校)卒業、その後も数校において学業を続け、MBAを取得したエンジニアでもあります。

 彼女自身も「自分は小さい時に父親を失い、国の奨学金で教育を受けてきた」と語っています。

 ここまでの時点で、もう普通の少女とは違っていたと思われますが、彼女自身が苦労してきたからこそ、全ての少女たちに向けて、チャンスはあるとエールを送ったのかもしれません。

 公共事業省に入省したのが彼女のキャリアの始まりで、その後、国民教育省の顧問、運輸担当テクニカルアドバイザー、SNCF(フランス国鉄)の戦略担当ディレクターを経て、ポワトゥー・シャラント県知事とヴィエンヌ県知事に就任、その後RATP(パリ交通公団)社長を経て、運輸大臣、エコロジー連帯移行担当大臣を経て、昨日まで労働大臣を務めていました。

 マクロン大統領は、次期首相について「社会問題、環境問題や生産性の問題に長けている誰かであろう」とだけ語っていましたが、彼女の経歴を見る限り、まさに彼女であったと思わされます。

 華やかな感じはありませんが、カステックス首相が語ったように、高潔さ、誠実さ、有能さ、自発性が感じられる印象で、真面目そうで、どこか、厳しい学校の先生のような感じがする彼女が今後、フランス二人目の首相として、着実に活躍していってくれることを祈っています。

 ちなみに、全然、関係ありませんが、エリザベットという名前はエリザベスのフランス語読み。昔、娘が英語の授業で「エリザベットに手紙を書いたの!」と言うので、「誰?エリザベットって誰?」と聞き返したら、エリザベス女王のことで、後日、バッキンガム宮殿から返事がきたのに驚いたことを思い出しました。


フランス女性新首相誕生 エリザベス・ボルヌ


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