2021年7月7日水曜日

フランスからの日本への入国 3日間の強制隔離撤廃 日本の水際対策

   


 ここ1年ほど、大使館や外務省海外安全ホームページなどから、本当に頻繁にメールが入ります。度々、変わる日本の水際対策に関してお知らせしてくれる、ありがたい情報ではあるのですが、正直、世界中196ヵ国もあるのですから、その一つ一つの国への対応を「○月○日、日本において、新たな水際対策措置が決定されました。」と言われても、ほとんど関係ない国の話で、「またか・・」と見過ごしてしまいます。

 もともと、今のところは、日本への一時帰国は、私にとってはなかなかハードルが高く、到底、当分は、日本に行くことは諦めているので、フランスに対しての日本側の水際対策は、完全撤廃されるまでは、私には、あまり関係ないのです。

 昨日、外務省と在仏日本大使館の両方から、「フランスから日本への入国時の水際対策措置の変更」というお知らせが来ていましたが、これは、「7月9日午前0時から、日本入国時の検査で陰性と判定された方については、検疫所長の指定する場所での待機及び入国後3日目の検査を求めないこととし、入国後14日間を自宅等で待機していただくことになりました。」というものでした。

 同時に同様に制限が緩和されたのは、エストニア、ナイジェリア、アメリカ(カンザス州、デラウェア州、メイン州)の3ヵ国でした。

 一瞬、朗報??と喜びかけましたが、しかしながら、これは、あくまで3日間の指定された場所での強制隔離がなくなっただけで、結果的には、ワクチン接種の有無に関わらず、到着前72時間以内の検査の陰性証明は必要で、同じ2週間は、別の場所で自粛生活、空港から公共交通機関を利用することもできません。

 夏休みという比較的、長い期間、日本に滞在できるタイミングではあるので、お子様連れで帰国したい方には、特定された施設での監禁状態が亡くなることは、朗報ではあるかもしれませんが、依然として、容易い話ではありません。

 エストニアやナイジェリアなどの感染状況はわかりませんが、フランスに対しての、このタイミングでの、この措置の緩和は、正直、私には、ちょっと意味がわかりません。

 フランスでは、これまで順調に減少してきたものの、ここ1〜2週間でデルタ株の感染率が急激に上昇し、ついには、感染が再び、上昇し始めたばかりです。

 日本政府が何を根拠に今まで続けてきた3日間の指定された隔離施設での隔離をフランスが感染増加に転じたタイミングで解除するのか、まるで意味がわかりません。

 これまでに日本に入国しているオリンピック関係者のなかに、実は陽性患者がいたということがずいぶん後になって発覚したりしていることから、この日本の水際対策がオリンピック関係者にも同様に取られているのかも大いに疑問に感じているところではありますが、これからオリンピックまで2週間強と迫った段階で、この制限の緩和は、ますますわかりません。

 それでも2週間は自主隔離ということにはなってはいますが、この時期に日本に入国するのは、日本に一時帰国する日本人(いわゆるキチンと規則を守る日本人)ばかりではありません。

 公共交通機関を利用できずにバカ高いハイヤーなどを予約して隔離場所に移動している一部の一時帰国をしている日本人をよそに、平然と公共交通機関を利用して移動している外国人が多いという話も聞こえてきます。

 ましてや、フランス側は、ワクチン証明書か検査の陰性証明書さえあれば、隔離なしで、日本からの入国を受け入れていますし、数字的には、フランスから見れば、日本の感染状況は、ほとんど感染者数も落ち着いて見えるような状態に、フランス人に日本で危機感を感じさせることは不可能に近いのです。

 フランスは、感染が再び悪化して、7月末には第4波を迎える危険があると言い始めてはいるものの、フランス人は、すっかり解除モード、街ではマスクをしない人もグッと増え、レストランやカフェでは、以前のように人が戯れ、サッカーの試合に多くの人が熱狂するそんな状態なのです。

 それがオリンピック関係者ならば仕事とはいえ、オリンピックというお祭り騒ぎに日本に入国するのです。これは断じて甘く見るべきではありません。フランスを始めとするヨーロッパの国々がなぜ?日本と違って、罰金つきの規則を敷いてロックダウンをしなければ感染を抑えられなかったのかを忘れてはなりません。

 例えば、フランス人には、「黙食」などという呼びかけは全く通じませんし、だいたい、罰金、罰則なしにルールを守るということも無きに等しいのです。

 事は、日本のオリンピック後の多くの人の命がかかっている大変な問題です。「規制は敷いたが守らない方が悪い」などと責任転嫁してみても、被害を被るのは日本国民です。

 イギリスをはじめとして、ポルトガル、スペイン、そしてフランスなど、ヨーロッパのいくつもの国がデルタ株の急増が想像以上に早いことに、大わらわになっているのです。

 そんな中、このタイミングで制限を緩和する日本政府の水際対策は、どうにももどかしくて仕方ないのです。


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2021年7月6日火曜日

フランス人はお金を使い出した 想像以上の速さで進むフランスの経済復興

   



 昨年3月以来のパンデミックで、フランス人は、お金の使いようがありませんでした。極端な富裕層や、貧窮層は別としても、一般的なフランス人は、きっと日本人がイメージするよりもずっと質素に生活していますが、それでも使うところは使います。

 彼らがきっと一番、お金を使うのは、バカンスや家族や友人と集まって食事をしたりする(外食も含めて)機会などで、特に贅沢に着飾ったり、身につけたりするものには、あまり派手にお金は使わず、どちらかというと倹約家、締まり屋(ケチともいう)の印象があります。

 しかし、昨年の3月からの約2ヶ月間のロックダウン(最初のロックダウンは本当にほぼほぼ外出ができませんでした)以来、2度目、3度目のロックダウンを経て、日常生活は大きく制限された生活が続き、昨年の夏のソルド(バーゲンセール)の時期なども、(フランスでは、ソルドの期間が国で決められています)時期がずらされ、夏に向けて、一時、感染が減少したのをいいことに、ソルドが始まった頃には、多くの人は、買い物よりもまずバカンスへと、買い物は二の次にして、バカンスに出かけてしまった後だったので、ロックダウンのためにたくさんの在庫を抱えてしまっている店舗の苦難をよそに、夏のソルドはさっぱり振るわない結果となりました。

 そんな状況を省みた結果、秋に再び感染が拡大してロックダウンになった際も、感染がある程度減少すると、フランス政府は、ノエルを前にロックダウンを緩め、商店を再開させ、ノエル用の買い物ができるようにしたのです。

 もともと、普段はケチなフランス人もノエルのプレゼントだけは、気前よく、家族全員のものを用意し、一年中でフランス人が一番買い物をする時期なのです。

 しかし、秋の感染再拡大により、再び、レストランやカフェ、映画館、美術館などはすべて閉鎖になり、フランス人にとって、日常を奪われた生活が続きました。

 フランスは、ロックダウン中、仕事ができない人々には、ずっと政府からの援助金を受け取ってきましたから、バカンスにも行けず、外食も外出も思うようにできずに、日頃、使うはずのお金は貯まるばかりの人も少なくなく、2020年のフランス人のリブレA(定期預金)等の貯蓄額は過去最高に達したと言われています。

 いわゆる「コロナ貯蓄」と呼ばれるフランス人の貯蓄額は2021年3月の段階で1,420億ユーロに達しています。

 これは、失業や生活への不安から来ている面もありますが、一方では、単にお金を使う機会を奪われていたことにも起因しています。

 そして、とうとう今年5月半ばにテラス席だけとはいえ、レストランやカフェは再開し、あらゆる文化施設も再開、そして6月末には、夏のソルドも始まりました。

 これまで抑圧されていたフランス人は、一気に日常開放モードになり、レストランやカフェは、テラス席を拡張したり、雨対策に雨よけのパラソルやテントでおしゃれにお色直しをして大賑わいの人出を迎え、久しぶりの夏のソルドは、なかなかの盛況で、街ゆく人もこれまで一年間、できなかった買い物を思う存分している様子で、メトロの中には、ショップの大きな紙袋をたくさん抱えた人を見かけます。

 こんなに紙袋を抱えた人をたくさん見かけるのは、久しぶりのことで、ストップしていたフランスの経済が動き出していることを感じます。

 そして、7月に入り、いよいよフランス人にとって、一番、お金を消費する夏のバカンスシーズンに突入しました。

 まだワクチンが開発されていなかった昨年の夏でさえ、海外旅行に出るのは控える人が多かったとはいえ、それでも、ロックダウン解除、夏のバカンス(長距離移動)にGOサインが出た途端にSNCF(フランス国鉄)のサイトは、あっという間に殺到する予約のためにダウンするほど、フランス人は、一斉にバカンスに出かけたくらいですから、ワクチン接種がある程度進み、感染状況が比較的落ち着き始めている今年(とはいえ、デルタ株の勢力拡大のために不安はある)の夏のバカンスは、さらにヒートアップし、昨年以上の人出が見込まれています。

 バカンスのために生きているようなフランス人が水を得た魚のように、皆、バカンスに出かけるのです。それでも、これまで以上に屋外で楽しめるキャンプ場やキャンピングカーなどの予約が例年よりもずっと増加しているという話も聞きますが、方法や手段は別としても、フランス人の消費は波に乗り始めています。

 ロックダウン中の政府の補償金も国民がこうして消費していくことで、政府は少しずつ取り戻しているんだな・・と感じます。失業した人でさえも、フランスは失業手当もなかなか手厚く、次の仕事よりもまずバカンス、とりあえず、バカンスに行ってから考えよう・・そんなところもあります。

 もちろん長いロックダウンや営業制限のために、閉店に追い込まれたお店も倒産した会社もありますが、一般の従業員に対しては、補償金が支払われていたために、ロックダウン解除後もそれほど消費を控えるという流れにはならなかったのです。

 それどころか、これまで抑圧されていたものが一気に爆発して勢いがつき、レストラン・カフェなどの外食だけでなく、消費者は、DIYアイテム、携帯電話やラップトップ、本、自転車、などの商品に群がり、 5月の段階で、すでに、28%急増しています。

 政府の予想以上に国民が消費することに一気に動き出したのです。

 フランス銀行は、フランスの経済成長率を5.5%から5.75%に上方修正しています。

 将来に思い悩むより、今、自由な生活を思う存分楽しみたいフランス人のラテン気質がフランスの経済成長に大いに貢献しています。

 経済成長は、ありがたいことではありますが、ウィルスの感染も一気に上昇・・なんてことにならないように、お願いしたいものです。



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2021年7月5日月曜日

フランスの感染状況再び上昇へ転換 今のフランスに感染が減少する理由はない オリンピックは本当にヤバいかも?

   

バカンス突入で旅行に出始めた人々


 フランスは約半年間にわたり、レストラン・カフェ等の飲食店は閉鎖されたまま、美術館、映画館、劇場などもずっと閉ざされたままでした。

 半年ぶりにテラス席のみとはいえ、レストラン・カフェの営業が許可されたのは、5月19日のことで、同時に美術館、映画館、劇場等も、一斉に再開しました。(入場者数制限等はあり)

 気候も良くなり、日も長くなったことも相まって、人々が一斉に街に出始めました。こんなに一気に人が街に繰り出して、大丈夫かな?と思っていましたが、ワクチン接種もどんどん進んでいったこともあって、ロックダウンが段階的に解除されていっても、フランスは、感染がグングン減少し続けていました。

 そしてその3週間後の6月9日、いよいよ、レストラン・カフェは屋内営業も許可され、どんどんコロナ前の日常に近づいてきました。

 しかし、5月末には、イギリスでのデルタ株の感染拡大のため、感染者が上昇し始め、フランスもイギリスからの入国者に入国後の隔離期間を強制するなどの感染対策を取り始めていました。

 それでも、フランスは、デルタ株に対して常に警戒はしながら、全感染者のうちのデルタ株感染者はせいぜい5%未満という状態が続いていました。

 それが、ここへ来て、一週間ごとにデルタ株の感染者が一週間ごとに10%、20%と倍々に増加し始め、ずっと感染減少を続けていた数値が、ついには下げ止まりになり、一転して増加傾向に切り替わりました。



 昨日、オリヴィエ・ヴェラン保健相は、「これまで減少してきた感染が、ここ5日間で、下げ止まりになり、ついには、感染増加に転じました。これはデルタ株の猛威によるもので、イギリスでの例を参考にするならば、7月末には、第4波を迎える危険があります。しかし、これらはワクチン接種の大規模な拡大とソーシャルディスタンスの尊重により、避けることができます。」

 「ワクチンは、デルタ変異体を含め、重症化のリスクを軽減します。ワクチン接種を受けると、感染は顕著に減少し、ストレス下で生活することがなくなります。集合免疫を達成することはフランス全体の挑戦です。一緒に挑戦に挑みましょう!」と発表しています。

 これまでフランス政府は、秋にはやってくるかもしれない第4波を避けるために、夏の終わりまでには、なんとか第4波を避けるべくレベルのワクチン接種の拡大を達成すると公言してきました。

 ところが、デルタ株の猛威は想像以上に早く、フランスは一転して、感染者増加に転換してしまいました。

 フランスの感染症専門家の中には、フランスの感染状況は、イギリスの8週間後を追っていると分析している人がいましたが、まさにイギリスでのデルタ株による感染増加から約8週間後にフランスも増加に転じたことは驚くべき現実です。

 5月1日には、1日の新規感染者数が1,800人台まで下がっていたイギリスは、7月1日には、27,000人までに感染が増加しています。2ヶ月間で15倍です。しかし、ワクチン接種がかなり進んでいるイギリスでは、感染者はかなり増加しているものの、重症患者や死亡者は、それほどには、増加してはいません。

 現在、イギリスのワクチン接種率は、国民全体の66.49%(うち2回接種率は50.01%)、フランスは、50.69%(34.05%)です。このワクチン接種の遅れは、このままでは、フランスがイギリスほどには、デルタ株の拡大から守りきれないことを示しています。

 フランスは感染状況が下げ止まりなだけでなく、ワクチン接種もスピードダウンしつつあります。その上、ロックダウンは、ほぼ解除され、バカンスシーズンに突入し、多くの人が大規模に国内移動を始めています。

 これでは現在の感染状況が悪化する要因ばかりが積み重なっていきます。

 ここのところ、フランスでは、高齢者施設の介護者のワクチン接種率が低いことを憂慮して、医療従事者、介護者へのワクチン接種義務化の必要性が論じられるようになってきていましたが、この問題は、さらに深刻になります。

 たとえ、ワクチン接種をしている人でも、発症、重症化するリスクは軽減されても、感染するリスクは常にあり、感染したら、他人を感染させることができる現実は、恐ろしいことです。

 それにつけても、これだけ、デルタ株が蔓延し始めたヨーロッパから、多くの人がオリンピックのために日本を訪れ、世界中の人が交わるオリンピックを開催する日本のリスクは、さらに増加しています。

 しかも、現在、急ピッチで進められているとはいえ、日本のワクチン接種率は、24.5%(2回接種率は13.5%)と、桁違いに少ないのです。

 これまで奇跡的に感染を驚異的に抑えてきた日本は衛生対策にも優れ、恐らく世界中のどこの国よりも素晴らしい衛生対策を取ると思っていますが、オリンピックに参加するのは、(関係者や報道陣も含めて)その多くが外国人なのです。

 規則をきっちり守る日本人とは違い、規則をどう掻い潜って自分のやりたいことをするかと考えている人たちが多く日本に入国するのです。

 私は、現在の世界的なデルタ株の蔓延事情を見ると、どう考えても、オリンピックが安全だとは、思えないのです。

 フランスでの7月末の第4波以上に、私は日本が心配でならないのです。



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2021年7月4日日曜日

フランスの未来は若者が変える

   

おそらくアルバイトのお兄ちゃん スゴく一生懸命で感じ良かった 


 以前、といっても、私がフランスに来たばかりの頃のことなので、もう20年以上前のことになりますが、フランスは(パリは)本当に感じの悪い人が多くて、観光客に対してなども英語で尋ねているのに、「ここはフランスなんだから、フランス語で話せ!」などと、無茶苦茶なことをもの凄い上から目線で、堂々と言ってのけている人などを見かけることが多く、当事者ではない私でさえ、側から見ていても、嫌な思いをすることが多くありました。

 それを見て、「フランス人ってフランス人っていうだけで・・、フランス語を話すっていうだけで、どこか1ランク上の人間だと思っているんだ・・つまりはそれ以外の人を見下しているんだ・・」などと思っていましたが、それは、ある意味、プライドであると同時に、一種の卑屈さやコンプレックスの裏返しでもあるとも思い始めました。

 とはいえ、本心はどう思っているのかは別として、外国人の私でも、日常生活を普通に送っている分には、特に差別されていると感じることもほとんどないし、少なくとも表面的には、皆、普通に接してくれます。

 お役所などは、今でもあまり変わりませんが、最近、お店でのお客さんへの対応や、銀行などのその他の手続きなども、若い人だと本当に感じの良い人が増えた印象です。

 以前、日本で、「オバタリアン」という言葉が流行ったことがありましたが、ちょっと似ているところがあるかもしれません。しかし、それとも、少々ニュアンスは違って、ちょっと一見、仕事ができる風を装っているベテラン風のおばさんには、今でもお客をお客とも思わず、上から目線で、うまく事が進まないとなると最悪、逆ギレする感じの悪い人が多いのです。

 最近は、若い子が応対してくれると、普通に親切で感じがよく、しかも仕事もきちっと、素早くやってくれる人が多いので、私は、最近、買い物をしたり、外で何か用事を済ませようと思う時には、なるべく若い子にお願いするようにしています。

 観光客に対しても、臆せず英語を話してくれる人が増えたのも、若い世代の人たちに多いのです。

 特に今の季節は、若い子がアルバイトでバカンスに出ている正規社員の代わりに働いていたりするので、本当に初々しく、一生懸命な様子に思わず応援したくなってしまうような、ママ目線になってしまったりもすることもあります。

 きっと、フランスとて、以前とは、教育も時代も変わり、また、ITなどをどんどん取り入れるようになった時代に、それを余裕で使いこなしている若者と、そうでない世代の隔たりが、そのような違いをさらに大きくしているのかもしれないし、ダメな人ほど、威圧的だったり、不必要に偉そうにしていたり、威張ってみたり、そんな感じなのかもしれません。

 誰でも、職場で仕事を覚えていくうちに、適当に手を抜くことを覚えたりもするので、まだまだ初々しく頑張っている若者は、下手に手抜きなどをせずに、さらっと普通に仕事をこなしているだけなのかもしれませんが、以前には、若者とて、こんなではなかったので、やっぱり今の時代のフランスの若者は、変わってきたのだと思います。

 しかし、どちらにしても、現代のフランスの若者が、どんな時にも偉そうにダメなくせに上から目線なフランス人のイメージから変わってきていることを感じさせられます。

 この若い世代が働く世代の中心になり、大多数になってきたら、フランスの未来は、変わるのではないか? そんな気もしています。

 今後、フランスにいらっしゃる機会のある場合、何かお願いしなければならないことがあったら、できるだけ、若い人に頼んでみると、嫌な思いをする可能性が低いかもしれません。



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2021年7月3日土曜日

父親の育児休暇28日間に延長 ヨーロッパの中でも最長レベル

   


 フランス政府は、これまで14日間だった父親の育児休暇を28日間に延長することを発表しました。これは、2021年7月1日以降に生まれた、あるいは、その日以降に出産予定になっていた子供の父親に適用されます。

 育児休暇中の給与の大半は、国の社会保障期間から支払われ、雇用主の負担は3日分とされています。

 この育児休暇は、子供の誕生から6ヶ月以内に取得する必要があります。(2回に分けて取ることもできます)

 子供の母親が子供の父親以外の男性と生活している場合(結婚、PACS、または同棲)、子供の母親と生活している男性も同様に育児休暇を取ることができます。この辺りの複雑な事情にまでわたって、取り決められているところに、フランスらしい複雑な家族関係を垣間見ることができます。

 出産のタイミングはともかく、父親、あるいは、母親の違う兄弟姉妹を持つ人は少なくありません。娘の友人にも結構、そういう家族はいるし、かくいう我が家も、娘には、異母兄弟がいます。

 フランスは、離婚率も高いけど、懲りずに再婚する人も少なくなくて、私の同僚で、かなり年齢の離れた子供がいて、「え〜!!そんな小さな子供がいたんだ!」と言ったら、「私だって、本当は、もう子供は欲しくなかった・・」などと言っているフランス人がいて、びっくりしたことがあります。

 また、同性カップルが子供をもうけた場合でも、性別を問わず、二人目の親に適用されます。 

 この父親の育児休暇は、産休と同じ条件で社会保障によって、補償されます。しかも出産直後の最初の一週間は、強制的に取得することが義務付けられています。

 単胎出産の場合は、28日間ですが、多胎出産の場合は、35日間と、一週間、長くなっています。

 給付を希望する従業員は、休暇の開始日の少なくとも1か月前に雇用主に通知する必要があります。

 この父親の育児休暇の延長は、両親が揃って育児に関わる重要性を考慮し、男女平等を推進するための施策としています。

 EUの27の加盟国のうち、23カ国がこの父親の育児休暇の制度を導入していますが、この期間延長で、フランスは、欧州の中でも最多レベルの国になりました。

 私は、日本を離れて長いし、日本で出産も育児もしたことがないので、日本の事情は、わかりませんが、フランスは、女性も働くのが当然の国なので、男性が積極的に育児・家事に参加しているイメージが強いです。また、けっこう、それを楽しんでいるようなところもあります。

 出産から育児は、長い道のりで、父親の育児休暇が長くなったとはいえ、28日間で完了するものではありませんが、最初の一番大変な出産直後の時間を父親が育児に参加することで、その後の長い育児において、より主体的に育児に関わる習慣、きっかけになるのではないかと思っています。

 フランスでは、子供を3人以上育てていると、税制上もとても優遇されるシステムをとっているため、少子化にはなっていない国ですが、この父親の育児休暇の延長で、さらに子育てを後押ししてくれる社会になってくれると良いなと思います。

 以前、日本の会社からパリに駐在していた友人夫婦は、子供を産むのは、フランスにいるうちに・・と言って、駐在期間中に子供を産んで、日本に帰っていった夫婦がいました。出産費用の面からも、その後の育児休暇の面からもフランスで子供を産んだ方が、負担が少ないからです。

 しかしながら、一方では家庭内でのDVなどの話も後を経たず、逆に育児休暇だけとって、育児をしないで、家で暴れられたりする家庭もあるのではないかと、余計な心配も後を経ちません。


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2021年7月2日金曜日

自分の落としたゴミを拾ったら、びっくりされて、すごく感謝された!

   



 フランス人が日本に行って、びっくりすることの一つに、「公共の場にゴミ箱が少ない」というものがあります。そして、さらに彼らがびっくりするのは、「ゴミ箱が少ないにもかかわらず、街には、ゴミが落ちていない」という点です。

 彼らは言うのです。「あんなにゴミ箱が少ないのに、街にはゴミは落ちていない。一体、日本人はどこでゴミを捨ててるんだろう?」と。

 私自身は、日本にゴミ箱が少ないとは感じませんが、そういえば、パリ市内は、やたらとゴミ箱はたくさんあるような気がします。日本は、地下鉄サリン事件以来、保安上の問題で、確かにゴミ箱は以前よりも減ったようです。

 私自身は、あまり気づいていなかったのですが、最近、ここ数年(といっても、コロナ前の話ですが・・)周囲のフランス人で、日本に行く人が増え、私が日本人だと知ると、日本へ行ったことがある!という人や、知人や家族が日本に行ったことがあるという人が必ずいて、これまで遠い東のアジアの国の一つでしかなかった日本に触れる機会が増え、こぞって日本を褒めてくれるのです。

 日本人の私としては、お世辞が上乗せされていることは分かっていても嬉しいことです。

 おそらく日本人が知っているフランスの情報以上に、フランス人が知っている日本の情報は曖昧なもので、実際に行ってみると、そこは、まるで別世界の新鮮な体験が待っているのです。

 日本の街並みや文化、食事、生活の仕方、眠らない街、時間どおりにやってくる電車、ゴミ箱がないのにゴミの落ちていない街。彼らにとって、新鮮な驚きはたくさんあるのです。

 考えてみれば、私がフランスに来たばかりの頃は、その逆のことに、私もいちいち驚いていたんだと思いますが、今では、もう慣れ切ってしまって、フランスは、こんなもの・・と驚くこともなくなっていました。

 パンデミック以来、スーパーマーケットの入り口には、アルコールジェルや除菌スプレーが備え付けられるようになって、最近、私は、買い物に行くと、備え付けられたキッチンペーパーのようなものにアルコールのスプレーを多めに吹きかけて、買い物の最中にはそれを持ち歩いて、気に掛かるものを触った後には、手を拭くようにするようになりました。

 先日、買い物が終わって、セルフレジに行って、会計を始めようと思った時に、その持ち歩いていた紙をフワッと落としてしまったのに気づいて、その紙を拾ったら、その場を取り仕切っているスーパーマーケットの店員さんに、「ありがとう!」と、大げさに感謝されたのです。

 最初、私は、何に対して、お礼を言われているのか、よくわからなくて、「えっ??」と彼女の方を振り向いたら、「だって、あなたは、落とした紙を自分で拾ってくれたでしょ!そんなこと、滅多にないことよ!」と言われて、さらにびっくりしました。

 私は、自分が落としたゴミを自分で拾っただけなのです。

 このご時世、他人が落としたものを拾うのは、(しかも、他人が使った除菌用の紙などは特に・・)躊躇われるところです。ましてや除菌用に使った紙など、触りたくないに違いありません。

 当初、最初のロックダウンの時から、日常必需品を扱っているスーパーマーケットは、感染がどんなに悪化している状態でも決して閉鎖されることはなく、店員が感染して、死亡したというケースも何件も起こっていました。

 しかし、衛生管理に気を配りながら、きっと、落ちているゴミも拾いながら、彼女は仕事を続けてきたのでしょう。

 ここで、感激してお礼まで言ってくれるのが、フランス人らしいところではありますが、お礼を言われた方は微妙な気持ちになります。

 日本に行ったフランス人が「ゴミ箱がない!」と思うということは、少なくともゴミをゴミ箱に捨てようとしているから、感じることだとは、思うのですが、実際のパリはゴミだらけ。

 パリでの日常の、彼らのゴミに対しての無頓着さと、ゴミ箱がたくさんあるのに、ゴミだらけのパリをあらためて、納得させられる1シーンでした。



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2021年7月1日木曜日

ロックダウン最終ステージから取り残されたランド県でデルタ株感染が拡大した皮肉な理由 日本も危ない

   


 フランスは、いよいよロックダウン解除の最終段階に入りました。しかし、ランド県(ヌーヴェル・アキテーヌ地域圏)だけは、デルタ株感染者の割合が他の地域に比べて、極端に高いために、ランド県知事は、ひとまず、7月6日まで、最後の制限の解除を延期することを決定しました。(前段階の生活制限が維持される)

 デルタ株の影響を最も受けたこの地域は、温泉地やリゾート地が点在し、サーフィンの人気スポットであるオスゴールなどもこの県内で、ビーチに行楽客が押し寄せる前に、ロックダウンの最終解除を1週間延長しました。 

 具体的には、公道での集会は10人に制限され、収容人員制限は、映画館や劇場では65%、レストランやカジノでは50%に維持され、店舗では1人あたり4㎡に設定されています。 

 7月6日の時点で、感染状況を精査し、これらの措置を延長するかどうかを決定します。 



 この地域は、これまでコロナウィルス感染が深刻な状況には陥ってこなかった地域で、このために、集団免疫力が弱く、人々の危機感も比較的緩いことが、今回のデルタ株拡大に繋がっていると見られています。

 これまで、感染者を抑えられていたことが、逆にデルタ株の感染拡大に繋がってしまうとは、かくも皮肉な結果ではありませんか?

 この地域のワクチン接種率は、フランスの中でも58%とかなり高めにもかかわらず、この状況。観光地であると同時に療養地でもあるこの地域は、高齢者施設も多く、高齢者を優先にワクチン接種を進めてきた同地域では、若者のワクチン接種は、滞りがちで、また、これまで感染状況が深刻な状況に陥らなかっただけに、若者の間では、ワクチン接種を急ぐ危機感が欠けていたようです。

 同県では、ショッピングセンター前にワクチン接種バスを配置し、14の予防接種センターの半分での予約なしのワクチン接種、企業または季節限定の農業労働者への的を絞ったワクチン接種をさらに拡大することを発表しています。

 同県内では、これまでに7つのクラスター(企業内(5)、高齢者施設(2))が確認されています。

 しかも、最初にデルタ株が確認された高齢者施設では、ワクチン接種済みの高齢者(既往症あり)が2名死亡しています。ワクチンとて、100%有効なわけではないので、ありえないことではありません。

 デルタ株の蔓延により、この高齢者施設では、重症度のレベルが3〜4倍とはるかに高くなっているということです。

 7月に入り、フランス人は、一斉にバカンスシーズンに入ります。観光地であるこの地域にとっては、ロックダウン解除の最終段階に足止めを食うことは、経済的にも大打撃を受けることになります。

 県知事は、夏にこの地を訪れる観光客のためにも、1回しかワクチン接種が済んでいない観光客にもワクチン接種をして、安心してバカンスを過ごしてもらえるように、ビーチ沿いにもワクチン接種センターを設けることにしています。

 しかし、これまで、ある程度、感染が抑えられてこれたからこそ、今、デルタ株に苦しめられているこの地域の様子を見るにつけ、私は、日本も同じではないだろうか?と思わずには、いられません。

 日本は、医療システムの問題で、世界的に見れば、感染者が驚異的に抑えられて来たにもかかわらず、医療崩壊を起こし、日本は日本でパンデミックに喘ぎ苦しんできたと思いますが、全体の人口からの比率にしたら、ヨーロッパなどとは、比較にならないほどに感染者数が抑えられてきている国なのです。

 つまり、現在、ランド県でのデルタ株の蔓延が集団免疫力が低いことによるならば、日本は、まことに危険な状態であると考えざるを得ないのです。

 検査数の違いはあるかもしれませんが、これまでの感染者数だけを見ても、フランスは、577万件以上、日本は、7万9千件です。(フランスの人口は、日本の約半分)

 つくづく恐ろしいデルタ株です。


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