2025年8月19日火曜日

パンテオン Le Panthéon 偉人たちの墓所

  


 パリ5区にあるパンテオンは、パリの中心にありながら、巨大なドームが青空にそびえる荘厳なパリの歴史的建造物のひとつでもあります。

 パリ5区市庁舎のすぐ前で、しかもリュクサンブール公園からも近いので、たまにお散歩がてらに付近を歩くことがあったのですが、今回、初めて中に入ってみました。





 その独特な建築は、内部は、ドームがあることもあるのか、ちょっとどこかの大聖堂みたいな感じもあり、どこかシンとした雰囲気と涼しさが漂っています。




 正面入り口から入場すると、地上階中央部分には、天井から吊るされた振り子時計が存在し、その奥には、ドーンと大きな像がまるで舞台に上がっているような感じにそびえ立っています。




 そして、ここに埋葬?祀られている偉人たちの墓所は、そのさらに奥にあります。石造りの建物には、荘厳さと歴史が刻まれており、途中、いくつも進入禁止の部分がありますが、その奥には、石の階段などが続いていて、方向音痴の私などは、迷い混んだら、間違いなく、容易には外に出られなくなりそうな感じです。


ルソー


 ここに埋葬されているのは、ヴォルテール(哲学者)、ジャン・ジャック・ルソー(思想家)、ヴィクトル・ユーゴー(小説家)、マルセラン・バルテロ(科学者)、ピエール・キュリー/ マリー・キュリー(物理学者)などなど、最近、ここに新しく仲間入りしたのは、ジョセフィン・ベイカー(歌手・女優)です。


ピエール・キュリー/ マリー・キュリー


 政治家、革命家、思想家、哲学者、画家、軍人、冒険家、小説家、学者などなど、そのジャンルは様々ですが、ひとつひとつの墓所を見て行くと、昔の政治家ほど、派手な棺で装飾も、どちらかといえば派手めです。

ヴィクトル・ユーゴー

 マリー・キュリーなどは、今回、ここで見るまでは、フランス人だったことは知らなかったくらいで、祖国のポーランド(彼女の国籍はポーランドとフランスの二重国籍)は、よく彼女の墓所をフランスに委ねたな・・と思いますが、けっこう、彼女のように、この人フランス人だったの?という人もいます。

 それにしてもフランスに長い歴史の中で選ばれた人々の墓所は、それなりに一見の価値があります。

 以前、この内部(地上階の石像の前の広場?)をテレビで見たことがあったな・・と思いだしてみたのですが、数年前に、マクロン大統領が死刑制度廃止などについてのシンポジウムかなにかを開いた時に会場として使われたのが、ここでした。

 パリには、著名人が眠っている墓地・ぺー・ラ・シェーズなどもありますが、あそこは、あくまでも墓地で一般人の墓所でもあります。また、このパリの真ん中にあり、この荘厳な建物の中にある墓所というのもすごいことです。

 中を見て歩くのも1時間ほどあれば、充分なので、またちょっと違うパリを見るには、ロケーション的にもアクセスがよく、便利でわりと簡単に立ち寄れる場所かもしれません。

 チケットはもちろんネットで事前予約できますが、当日、その場でも簡単に買うことができるし、そんなに待ち時間もありません。

 美術館にちょっと飽きた・・という方もちょっと目先が変わった感じで面白いかもしれません。


パンテオン Le Panthéon / Place du Panthéon 75005 Paris


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2025年8月18日月曜日

娘の有給休暇とフランスの有給休暇

  


 日本で就職して日本で仕事をしている娘。仕事も生活もまあまあ順調で、楽しく、忙しく生活しているようです。まさに独身貴族を謳歌している感じではあるのですが、今年の4月から正社員となり、役職にもついて、ますます忙しく、けっこうな収入を得ているのに、あまりに忙しすぎて、「これじゃ、もう少し貰わないと合わない・・」などとのたまっています。

 忙しすぎて、大変ならば、少しはお休みの日などは、ゆっくりしていたらいいのに、これがまた、休日も忙しく旅行して歩いているので、まあ仕方ありません。でもまあ、本人が楽しく生活できているようなので、何よりです。

 また、今はバカンス期間ということもあって、先月はスイスから1人、今月はフランスから1人、友人が来るとかで、楽しそうです。

 来月には、パリに来ることになっているので、その時に一緒に旅行しようと言っているので、今は、どこへ行くのか検討中。

 娘は基本的には、半分程度がリモートワークなので、リモートワークの場合は、どこにいてもいいわけで、パリに来ても、半分は仕事しているんじゃないかと思います。

 それにしても、「あなた、今の会社は有給休暇は何日あるの?」と聞いてみたら、「11日」とのこと。彼女の現在の生活を見ていると、とても11日とは思えないのですが、リモートワークを上手く利用しているようです。

 彼女が働いている会社はフランスの会社なのですが、その日本支社なので、休暇等は、日本の休日ベースなのだそうで、彼女曰く、「今時期、フランスの本社の人たちは悠々、1ヶ月バカンスをとれていて、すごく羨ましい!」とのこと。

 私は心の中で、「そうでしょ・・そうでしょ・・」と思いながら、フランスで育ってきて、長いバカンス期間に慣れきっていた彼女にとって、有給休暇11日とは、生まれて初めての厳しい経験かもしれません。

 私が日本で仕事していたのは、もう遥か昔のことなので、その時の有給休暇が何日だったのかは、もう覚えていませんが、その頃は、それがあたりまえだったので、特に有給休暇が少ないとか、そんな風に思ったこともありませんでした。

 しかし、私自身、フランスに慣れてしまったので、有給休暇が11日と聞いて、ちょっとビックリしたのも事実です。

 ホントにそうなの?と思って調べたら、だいたい勤続1年未満の場合は10日が平均的で、1年以上になると20日が平均的なのだそうです。

 フランスの場合は、法律で最低でも年間25日以上の有給休暇が認められており、私の場合は、30日でした。1ヶ月ごとに有給休暇が2.5日ずつ貯まっていく計算でした。

 そして、これは、大きな違いと思われるのですが、その有給休暇をしっかりまとめて取れるのがフランス。日本だと、続けて長く休むことは、難しい感じがします。

 しかし、独身で遊び歩いているうちは、まだ良いのですが、これが子どもがいたりした場合は、大変だろうな・・と思うのです。

 実際に途中からシングルマザーになった私は、30日の有給休暇をフルに使ったとしても、さらにその数倍はある子どもの学校のバカンス期間をどうやって凌ぐかということには、本当に苦労しました。

 日本の学校はフランスほど学校のお休みが長くないとはいえ、それにしても働きながら子育てをしている女性にとっては、大変なことだろうな・・と思うのでした。


日本とフランスの有給休暇


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2025年8月17日日曜日

ジェネリック医薬品の割引削減に薬局が激怒!

  


 薬局というものは、一般の商店とは少々異なり、ストライキをしたりすることは、珍しいことです。

 逆に、このバカンス期間で多くの商店がこの期間、お休みしていても、薬局は夏休みの間も変わらず営業していることが多いです。

 しかし、今回は、薬局がデモ・ストライキ。これも夏のバカンス期間には、一般的なストライキは、ちゃっかり行わずに夏休み明け早々にストライキ・・というのがふつうなのですが、このバカンス期間に多くの薬局が閉店・つまりストライキを行いました。

 これは、政府が発表した「ジェネリック医薬品割引削減」の発表を受けてのことで、政府は8月6日付官報に「ジェネリック医薬品の値引き上限を9月までに現在の40%から30%に引き下げる決定」を発表したためです。

 また、これは、長期的な計画の経過地点で2027年までには、20%に引き下げる予定としています。

 現在のジェネリック医薬品の値引き額は薬局の年間利益の約半分に相当するものです。

 フランスでは販売される医薬品の3分の2がジェネリック医薬品です。製薬会社が提供する値引きは薬剤師側の報酬の一部となっています。それを減額されてしまうのですから、怒るのもわからないでもありませんが、どこも不景気な風が吹いている薬局界隈では、これは、地域薬局の存続を脅かすものである!と怒り心頭なのです。

 しかし、超多額の負債を抱える政府としては、赤字を抱えている医療保険部門の費用を削減しようとするのは、これまた当然の話。

 正直、私などは、自慢じゃないが、薬局の大変なお得意様で、毎月、山ほどの薬を処方してもらっています。しかし、全て保険でカバーしてくれるので、実際に私が薬局でお金を支払うことはありません。

 しかし、たまに、処方された薬が品切れで注文して後から追加分を取りに行った利する場合には、自分で料金は支払わなくとも、受領証に値段が記載されていて、「この薬、こんなに高い薬だったんだ!!」と驚くこともあります。

 この製薬会社からの割引と薬局の利益の関係については、よくわかりませんが、逆に考えれば、薬局というものは、医者が処方したとおりの薬をまるで横流しのように売っていくのですから、ずいぶんとちょろい商売だな・・と思ったこともあります。

 実際にお店のレイアウトなどは、実に魅力に欠ける陳列の仕方だったり、同じ商品が横並びに場所をとっていて、「日本の薬局見て勉強してこいよ!」と言いたくなります。

 考えてみれば、薬局というのは、これだけ色々なものがどんどんその企業形態などを変えていく中、まことに前時代的なままフランスに存在しているもののひとつかもしれません。

 しかし、だからといって、一般的な商店とはまた、少々立ち位置が違うのも事実。この薬局のジェネリック医薬品割引問題。政府は9月までに・・と言っているから、この時期にもかかわらず薬局はストライキをしているのでしょうが、さて、9月までに折り合いがつくのでしょうか?


ジェネリック医薬品の割引削減


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2025年8月16日土曜日

ここ数年の大ヒット商品 水分補給タブレットの真の有効性

   


 ここのところ、猛暑日が続いていて、暑いと、「この暑さ!なんとかしてくれ!」と切に思い、一日、一体、何回、気温を確認しているか?わからないくらいですが、毎回、少しでも気温が下がっていますように・・と、祈るような気持ちで携帯の天気予報を開いてしまいます。

 こんな猛暑の中にも、しっかりとヒット商品を狙っている人というのもいるもので、この暑さに付け込んで?(というのも言い方が悪いですが・・)ここ数年、フランスでは、「水分補給タブレット」 なるものが大ヒットしているそうです。

 疲労回復、パーティー後の疲れ、猛暑への奇跡の解決策として売り出されたこのタブレットは、ミネラル塩とフルーティーな風味をベースにしており、発汗による電解質損失を補うものとされています。

 私はこのタブレットの存在を、つい最近、知ったばかりなのですが、だいたいタブレットで水分補給?とは、なんとなく胡散臭く感じるもので、水を飲まずに水分補給?水分補給なら、水飲めよ!とか思ってしまうタイプです。

 大ヒット商品だけあって、既に数社がこの商品に参画し、多くの薬局には、この商品が並べられており、フランスには、550万人以上の愛用者がいると言われています。

 この水分補給タブレットを発売している各社は、口を揃えたように「フランス人の成人の約80%がANSES(フランス国民保健サービス)が推奨する1日1.5~2リットルの水を飲んでいない」とフランス国民の水分補給が充分でないという衝撃的な主張を展開し、そのための最適な水分補給を促すタブレットとして宣伝をしています。

 このタブレットには、ミント、レモングラス、ワイルドベリーなど、様々なフレーバーがあり、より摂取しやすく魅力的にアレンジされていますが、カリウム、マグネシウム、亜鉛などが含まれており、ふつうの水よりも水分補給効果があり、電解質を摂取することで水分補給効果を高めることができると謳っています。

 しかし、専門家によると、その有用性は、実際の健康効果というよりも、商業的なストーリーのうえにのっているものである・・つまり、「のせられるな!」と警告・・。

 これらのタブレットは、結局のところ、わずかな炭水化物の摂取量を抑えることであり、糖分が含まれているために、定期的に摂取すると、体重増加を促進すると語っています。

 これに対し、発売元は、「私たちは水分補給を補うソリューションを提供しており、製品に含まれるブドウ糖の量は非常に少なく、1錠あたり約2グラムで、食事から摂取する糖分過剰摂取とは程遠いもの。もちろん、これは体内の水分補給を改善する製品であり、水の代わりになるものではありません」と弁解しています。

 結局のところ、水分補給だけど、水ではない・・何なんだ!と思ってしまいますが、流行りものとなると、ひとまず、引きたくなる私は、やっぱりあまのじゃくなんでしょうか?


水分補給タブレット


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2025年8月15日金曜日

恐らくパリは今、一番空いている・・

  


 このまま涼しくなるとは思っていなかったものの、やはり戻ってきた猛暑に少々、バテ気味です。しかし、今、恐らく多くのパリジャン・パリジェンヌはバカンスに出かけていると見えて、同じアパートの中も人があんまりいない感じで、エレベーターでさえも滅多に人と顔を合わせることがなく、日頃からそんなに騒がしいわけではないのに、人がいない気配というか、なんとなくしんとした感じが伝わってきます。

 観光地のような場所に行けば、全然、違うのでしょうが、とりあえずは、我が家の近所はとても静かです。こんな感じの静けさが私はとても好きです。

 今日、明日中に終わらせなければない仕事があるために、今日は観念して、扇風機の前を陣取って、黙々と仕事をし、一段落したところで、少し散歩がてらに近所のコマーシャルセンターに買物へでかけました。

 コマーシャルセンター内のお店も、そもそもこの期間は夏休みで閉店してしまっているお店もあるのですが、それにしてもお客さんがまばらなことといったら、ちょっとロックダウンの頃を思い出すくらいでした。

 これでは、わざわざ、この期間にお店をあけておくのもなんだなぁ・・と思いながら、こちらは、やっぱり空いているお店というものは、快適です。

 以前、日本で暮らしていた頃も、お盆休みの頃は、通勤ラッシュも緩和され、なんとなく街がスーッとする感じで、意地でもこの時期には休みをとらない!と思ったのと同じ感じです。

 昨日は珍しくマルシェに買物に行きましたが、こちらのお店の閉店ぶりは、もっと顕著で、お魚を見に行ったのですが、いつもは3軒くらいは出ているはずの魚屋さんも昨日は1軒だけ。そのため、なんだか行列ができているという皮肉な結果。

 行列は嫌なので、別の用事を済ませて、帰りにまた寄ってみたら、もう店じまいの準備中で、未練がましく覗いていたら、「マダム!何にしましょう!」ってすぐに来てくれて、そこまででもなかったんだけど、「タコが欲しいんだけど・・大きいのしか残ってないですね・・買うんだったら、一番小さいのに・・」と言うと、やっぱりやたらと大きなタコで、「ん~~」と渋っていたら、お揉むろに重さを測り始めたので、一応、「それでいくらですか?」と聞いてみたら、35ユーロだと・・。

 「一人だし、食べきれないだろうし、高いしな・・」と言ったら、「25ユーロでどう?もうお店も今日は閉めるし・・」と10ユーロも値引きしてくれるなら・・とタコをまるまる1杯買ってきました。

 それにしても、あんまり予期していなかったお買物。タコって意外と重いんです。

 それが、家に戻ってみると、この暑さの中、まさかのエレベーターが故障。思いタコを下げつつ我が家はなんと8階。日々、けっこう歩いているつもりでも階段で8階までとなるともう足はガクガクです。

 ようやく家に辿りついた時には、もうパリが空いていたことなんてすっかり忘れるほどヨレヨレ・・でも、この大きなタコをなんとかしなければ・・と、さっそく買ってきたタコを茹でたり、マリネにしたり、わさび醤油で和えてみたり、タコ飯を作ってみたり、一部を冷凍したりとバタバタ。

 でも、空いているパリでゆったりと・・なんて思っていた私は、結局、貧乏性に重たいタコをしかも階段を8階ものぼって、ひたすら料理。

 まあ、こんなもんです。


空いているパリ


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2025年8月14日木曜日

リステリア症って何? シャヴグランチーズ工場のチーズ 死亡者まで出てリコール

  


 既に販売されている商品(製品)に問題が発覚した場合にその商品(製品)がリコールされることは、決して珍しいことではないので、今回のチーズのリコールの話を聞いても、「ああ、また何かリコールになってる・・」と思っていたら、なんと死亡者まで出ているというので、そこまでだと、なかなかなレベルだな・・と、ちょっとこれは、ちゃんとチェックしておかなければ・・と、聞き流していたニュースを、もう一度、最初から見直しました。

 ブリー、カマンベール、クロミエ、山羊のチーズ・・などなど、クルーズ地方のシャヴグラン社が6月以降に製造した低温殺菌乳製品の多数のチーズ(ソフトチーズ、ブルーミーチーズ、ウォッシュドチーズ)がリステリア菌に汚染されている可能性が大で、フランス全土でリコール対象になっています。

 リステリア症というのは、私はこれまで聞いたことがなかったのですが、要は、細菌による感染症で、今回の騒動では、これまでに21件の症例が特定されており、そのうちの2名は死亡しています。

 典型的な症例としては、発熱が挙げられるそうですが、健康な人の場合は、単なる胃腸炎で済む場合もあります。しかし、より重症化すると、発熱に加え、インフルエンザのような症状、筋肉痛、身体の痛みなどが表れることもあります。

 ことに虚弱体質の人、新生児や70歳以上の高齢者、ガンなどの重篤な病気の治療中の免疫が低下している人にとっては、深刻な事態が発症する可能性があるため、特に注意が呼び掛けられています。

 このリステリア症の始末の悪い点は、リステリア菌に汚染されているチーズを摂取してから感染の発症までに1ヶ月ほどの遅延が生じる可能性があるということで、1ヶ月間の間には、他にもたくさんのものを食しているわけで、原因究明が困難になりやすいということがあります。

 このチーズ、特に珍しいチーズというわけではなく、フランスでは、カーフールやルクレール、オーシャン、リドル、Uなどのごくごく一般的なスーパーマーケットにも置かれている商品のため、現在は、店頭からは、撤収されているとは思いますが、商品が棚に並べられてから、撤廃されるまでの間はふつうに販売していたために、多くの家庭の冷蔵庫にあるか、既に食べてしまっている可能性も考えられます。

 とはいえ、感染症専門家によれば、このリステリア症は、抗生物質で治療が可能なものだそうなので、そこまで神経質になる必要はなさそうです。

 しかし、個人的には、もはや、別に問題のあるものを食べていなくとも、なんやかやと医者通いが絶えない私としては、これ以上、問題は御免被りたく、しばらくチーズはやめておこうかな?(というほど、そんなにチーズを食べているわけではありませんが・・)と思っているのです。


リステリア症 シャヴグランチーズ

 

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2025年8月13日水曜日

クラゲの大量発生で原子炉自動停止

  


 グラヴリーヌ原子力発電所(オー・ド・フランス地域圏・ノール県)の原子炉冷却水ろ過システムにクラゲが流入したため、原子炉4基が自動停止するという事態が発生しています。

 なんで「クラゲ」?と思うのですが、この夏、フランスの多くのビーチでも、クラゲの大量発生が報告されているのです。

 EDF(フランス電力)の発表によれば、原子炉冷却用の水を汲み上げるポンプ場におけるクラゲが大量かつ予期不能なほどに発生のため、グラヴリーヌ原子力発電所の4基が停止しました。

 また、併せて、この2号機、3号機、4号機、6号機の自動停止は、「施設の安全性、作業員の安全性、環境への影響はなかった」と明言。

 そのため、他の2基の発電ユニット(1号機と5号機)は現在メンテナンス中であるため、発電所は一時的に完全に停止しています。

 実際にフランスにある原子力発電所の原子炉で、「メンテナンス中」というものは、意外にも多いものです。

 EDFは、「発電所では、これに対応するチームが動員され、現在、発電ユニットを安全に稼働するために必要な調査と介入を行っています」と発表しており、電力会社の広報担当者によると、「再稼働は、数日以内に予定されている」とのことです。

 また、「他の原子力発電所や太陽光発電などのエネルギー源が現在、稼働しているため、今回の事故による電力網の供給不足のリスクはない」としています。

 クラゲの侵入により原子炉が麻痺するのは、非常に稀なこととはいえ、EDFは、1990年代に既に同様の事例を経験しているとインタビューに応じた広報担当者は回答しています。

 同様の事例は、2010年代にアメリカ、スコットランド、スウェーデン、日本でも発生しているそうです。

 クラゲのような海洋生物の増殖は、気候変動による海洋温暖化だけでなく、マグロなどの直接的な天敵の一部を乱獲することなど、いくつかの要因によるものと言われています。

 地球温暖化はもちろんのこと、自然の脅威は、隙を見ては、攻撃の手をのばしてくる・・そんな気もします。


クラゲ 原子炉停止


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