2025年3月21日金曜日

BPIフランス(フランス公的投資銀行) フランスの軍事資金調達基金

  


 エリック・ロンバール経済財務大臣は、「BPIフランス(フランス公的投資銀行)から、防衛分野への投資を希望するフランス国民に新たなファンドを立ち上げること」を発表しています。

 大臣は、「不確実になった米国の傘に直面して、我々は、平和に備え、平和を保証するために欧州の防衛に投資するための組織化された取り組みが必用である」とこの基金を説明しています。

 詳細については、まだ発表されていませんが、防衛分野への投資を望む国民が、より単純なかたちで行えるように、この投資によって集められる資金をBPIフランスが民間の防衛関連企業との間に入って、投資されるもので、すでに投資家たちの間では、ここ数週間で株価が高騰しているような巨大企業やグループ企業だけでなく、比較的、中規模、小規模の防衛産業に携わる企業にもふりわけられるようになります。具体的には、フランスの防衛関連企業・大手グループ9社と4,500社への融資にふりわけられるようです。

 このBPIフランス(フランス公的投資銀行)というのは、フランス社会の変革を推進する機関として2012年に設立されたもので、日常では目に見えにくい機関ではあるものの、実は多くの場面で関わりのある機関、新しい起業家への支援のかけ橋になっていたり、フランスの未来に繋がる分野での中継など、様々な役割を果たしています。

 例えば、V.I.E(Volontariat international en entreprise)(フランスの若者の海外進出、また海外でのフランス企業のための支援システム)などにも、このBPIフランスが大きく関わっています。

 今回は、この世界情勢の変化により急速に軍事力強化に進んでいるフランスの軍事資金へ少し貯蓄のある人々をターゲットにしたもので、フランス国民が自発的に防衛活動に貢献することができるとしています。

 この商品?は、最低500ユーロから投資できるものではありますが、フランスでは、かなりポピュラーな Livret A(税金が控除される利息付預金口座・年利2.4%)などと比較すると、5年間は完全にブロックされてしまうということで、比較的余裕のある人向けではあります。

 これは、間接的にこれらの企業の株主になるという感じのものなので、利息?にあたるパーセンテージは企業の業績によって左右されるために、現段階では、固定されていないため、リスクがないわけではありません。

 とはいえ、これらの企業には、国が発注することは、もう確定しているも同然なわけで、個人的に一企業に投資するよりは、リスクは少ないかもしれません。

 しかし、これにより、国は軍事資金の一部を調達できるわけで、しかも利息にあたる部分も各企業が利益に準じて支払うわけですから、ムリのない合理的な方法であるのではないか?と思われます。

 しかも、これに投資する人は、国の防衛に参加したいという理由の人もいれば、単に投資目的、利益目当ての人もいるでしょうが、目的はいかにしても、あくまでも、自発的に投資したい人だけからお金を集めるわけで、国民からは受け入れられやすい形なのではないか?と思います。

 これは増税なしに軍事資金を増強すると公言していたマクロン大統領の政策のひとつであったと思われます。


BPIフランス 軍事資金調達基金


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2025年3月20日木曜日

日本で非公開の映画 Black Box Diaries を見てきました!

  


 私は、映画というものを見に行くということがほとんどなくて、映画館に行ったのは、もう何年ぶり?という感じでした。そもそも閉鎖された空間に大勢の人がいる場所というのがあんまり好きではないこともあるのですが、まあ、映画を見に行く習慣がないということかもしれません。

 今回の映画が私の重い腰を上げたのは、日本の映画なのに日本非公開だということで、しかも、海外ではけっこう評価されていると評判で、ドキュメンタリー映画のため、見る前からおおよその内容は知っていたものの、やはり、実際に見てみると、けっこうインパクトがあり、また、実際のやりとりなどが繋ぎ合わされているので、リアリティがあります。

 おそらく海外での上映は、どこも同じもので、主人公の彼女は英語で話している部分も多く、その他は日本語で、フランスでは当然、フランス語の字幕がつけられています。

 ただし、字幕の場合はどんな映画にもあることだと思いますが、微妙な日本語の表現をこう訳す?というところもあったりしました。

 まず、この映画を見たいな・・と思って、パリ市内の映画館を探したのですが、思っていたよりも上映しているところは多く、私が行ったのは平日の昼間だったので、満員とまではいかないまでも、けっこう人がいるんだな・・という印象でした。

 日本で非公開になっている理由は、裁判用に提出された映像を無許可で使用しているためということでしたが、これは、該当部分を修正してでも、ぜひ、日本でこそ公開すべき作品だと思いました。

 彼女が2015年に性被害に遭って以来、警察が被害を受け付けてくれなかった様子やそこから周囲の人々の力もあって、ようやく逮捕状が出たにもかかわらず、それが逮捕直前に取り下げられたこと、多くの人のバッシングに遭って、隠れるように生活している様子、にもかかわらず、自分たちで証言を取りに奔走する様子、刑事裁判に敗れたとき、民事裁判に勝訴したとき、また、加害者と言われる男性の会見の様子などなどが織り込まれています。

 中でも最後に登場する事件発生日にホテルのドアマンをしていた男性の思いやりに満ちた言葉とその言葉を受けて彼女が号泣する様子には、涙しました。

 証言をしていただくことで御迷惑をかけることになってしまうかもしれないと案ずる彼女に対して、このドアマンの男性は、「だいたい、この種の犯罪に対しては罪が軽すぎるし、あなたの苦しみに比べたら、私が証言をすることで被るかもしれない被害は大したことない、私が事件当日、勤務していてよかった・・」と話しているのです。

 この映画は性加害問題のみならず、簡単には被害届さえも受け付けてもらえなかった状態から、ようやく警察が逮捕状を取ったにもかかわらず、逮捕直前に取り消されるという権力によって犯罪が握りつぶされてしまうという恐ろしい現代の日本の状況を訴えている作品でもあります。映画の中にたしか、女性の方だったと思いますが、「逮捕状が出たからといって、全て逮捕されるというわけではありません」という全然、納得いかない説明がありました。

 犯罪が権力によって握りつぶされる・・そんなことがあっていいわけありません。

 この作品が多くの国で公開され、評価されていることは、素晴らしいことではありますが、この作品は、日本でこそ、上映されるべきものだと思います。

 この映画の中で、あるジャーナリストが、「ジャーナリズムというものは権力を監視しなければならない!そのために存在する!」と言っている部分があったと思いますが、まさに、私もそう思います。

 現在、映像を修正中とのことですが、一日も早く修正すべきところは修正して、日本で公開され、権力が犯罪をねじ伏せるようなことがない国になってほしいです。


Black Box Diaries


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2025年3月19日水曜日

検査入院の後遺症

  


 一泊とはいえ、検査入院はなかなか厳しくて、全身にコードをつけられて、眠らなければならないので、ごくごく微かな痛みの中、無理矢理、眠ることになります。そもそも睡眠時の身体の状態を検査するためなので、眠れなくては、意味がないのですが、これで寝ろ!というのは、なかなか厳しいことです。

 上の写真は、左手だけですが、こんな感じのコードが全身に繋がっていて、一番、酷かったのは、頭につけられたコード。

 当然のことですが、頭には髪の毛が生えていて、その上から無理矢理、紙粘土のようなもので、磁石のようなものをはりつけて、それにコードが繋がっており、その上から、この網網のネットがかぶせられて、最初は、顔も覆われたところで、ストッキングをかぶっているみたいな感じ・・で啞然としていると、「まさか、このままではないわよ!」と看護師さんが得意気に目と鼻と口の部分を唐突にハサミで穴をあけてくれたのには、むしろ、逆にドッキリ!で、この近代にもうちょっと別のやり方はないものか?と思ったものの、こちらには、選択肢なし。

 夜中にコードが外れて、慌てて、繋げたことも数回で、当然、熟睡などできるわけなく、その度に慌てて繋ぎなおしたり、繋がらない!と焦って電話したり、それでも、看護師さんは夜中には来てくれなくて、「私の仕事じゃない、私がやるわけにはいかない!、私がやったら、私の責任になってしまう・・」といかにもフランスな回答。「じゃあ、あなたは何のためにいるのですか?」と思いましたが・・。

 それでも、なんとか夜が明けて、朝、昨日の看護師さんが来てくれたときには、もうガックリ。頭につけられた紙粘土みたいなの・・きれいにとってくれる薬品でもあるのかと思いきや、磁石みたいな小さな金属とコードを取ると、「あとは、シャンプーで洗えば、とれるからね・・」で終わり。

 シャンプーしようにも、こんなにべっとり髪の毛に張り付いた紙粘土みたいなものが張り付いていたら、シャンプーだってできないじゃん!と思ったけど、そんなこと言っても仕方ないので、ガマン・・早く家に帰りたい気持ちが先に立ち、それ以上は、余計なことは言いませんでした。

 それでも、8時間のデータは取れているということだったので、最悪の検査のやり直しからは、逃れることができました。

 検査の結果は、数日以内に聞けるというので、その予約をまた取って、ガビガビの紙粘土付きの髪のまま帰宅しました。まったく家から近い病院にしておいて、よかったです。

 家に帰ると、まず、気持ち悪いので紙粘土付きの髪の毛と格闘、ムリにとれば、髪の毛ごと引きちぎることになるし、1時間近くかかって、髪の毛についた紙粘土を剥がしました。

 こういう検査の場合、日本の病院だったら、もっと心遣いしてくれるんだろうな・・そもそも、そんなコードの付け方を髪の毛の上からしないだろうし、したとしても、それを剥がすためのなんらかの手段を用意してくれるんだろうに・・などと、恨みがましく思いました。

 相対的に悉く消費者(検査などの場合は消費者とは言わないでしょうが・・)が使いやすいようにとか、少しでも心地よいようにとか、そういう配慮は日本は本当に優れています。

 検査から解放されたのは、午前中で、どうにもクサクサした気分を変えたかったので、そのあと、ちょっと泳ぎに行きました。コードに繋がれてほとんど動けなかった一夜(というより、前日午後から翌朝まで)を過ごして、身体をほぐしたかったのです。

 しかし、家に戻って、ガックリ疲れが出て、ダウン。いつも色々、検査をするたびに思うのですが、検査ってほんと、身体に毒だな・・と思うのです。


検査


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2025年3月18日火曜日

生きる気力を奪う病院食

  


 ずっと前から予約していた検査のための入院で、病院に一泊しました。今回の検査は、夜間の睡眠時の呼吸状態を検査するもので、何やら頭から顔、腕、足、胴体にいたるまでコードをつけられて、一晩、過ごしました。

 検査自体は、夜間の睡眠時の状態を調べるものなので、当初は夕方に予約を入れておいたのですが、なんとその予約時間が二転三転、15時、14時、13時・・となり昼過ぎには病院へ。

 13時の約束で1時間ほど待たされ、その後に病室に通されてさらに1時間待ち、15時頃には、身体中のコードを接続。

 18時になったら、このコードを本体の機械に繋げてください!と言われて、その日はそのまま放置。心の中では、だったら、17時に来れば、よかったじゃん!と・・。

 まあ、フランスの病院、こんなもんか・・と半ばあきらめの気持ち。部屋は個室だし、トイレもシャワーもついているし、その他はまあまあ快適です。

 夜になって、食事が運ばれてきましたが、特に食事制限などがあるわけではないと思われるのに、あまりの悲惨さにやっぱりガックリ・・。でも、そんなことだろうと、私はおにぎりを家から持参してきていました。

 メニューは、野菜スープにアクラ(魚のすり身を揚げたもの)、じゃがいものピューレ、ポアロのヴィネグレット煮?バゲット、チーズ、ケーキ、そして、なぜかチュッパチャップス。

 そして、その食事は、フランスなのに、悲しいほどにアツアツで、かけてあるラップをとるのも苦労するほどに熱い!」

 しかし、ハッキリ言って、病院で出しているとしたら、「人間から生きる気力を奪おうとしている」としか思えないお味。色も茶色とまではいえないものの、全てが薄いベージュ。

 糖質制限とか、カロリー制限とかいうならともかくも、揚げ物+ケーキにキャンディーつきとは・・特に、極めつけの「チュッパチャップスってなんだよ!」と苦笑するしかない感じ。

 私は、これまでなんだかんだと、検査をしたりもしてきましたが、フランスで入院したのは初めてで、一泊といえども入院したのは、アフリカでの出産の時以来のこと。

 その後、夫や友人が入院したときに、お見舞いに行ったことはあって、病院の食事を見たこともあったと思うのですが、どうにも記憶がほとんどありません。

 ただ、末期がん(直腸ガン)で入院していた友人の病院で「全然、食欲ないのに、ガッツリ肉がでてきてウンザリしている」という話は直接、友人から聞いた記憶があります。

 検査結果は数日中にわかるようですが、とにかく、今回は検査だけだから、1日で済んだけど、本格的に入院となったら、地獄だ・・と思いました。

 夜中にコードが外れて、焦って、看護師さんに電話したら、機械のことは取り付けた人の責任だから、私は触れない・・と言われて、自分で四苦八苦して、つけなおしましたが、これが正解なのかが心許なく、ヘタしたら、またもう一日やり直し?と焦りましたが、朝になって、機械を取り外しに来てくれた看護師さんに聞いてみたら、8時間分のデータがとれているから大丈夫・・とのこと。

 あまり、うるさく病室に入ってこられるのも嫌だけど、フランスお得意の「それは私の仕事じゃない」が病院でも・・。

 まったく検査での入院とはいえ、どっと疲れた一夜でした。


フランスの病院食


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2025年3月17日月曜日

フランス人の86%が兵役復活に賛成している?

 


 IPSOS-CESI Ecole d'Ingénieur 世論調査によると、フランス人の86%が兵役の再開、さらには、53%が義務的兵役 に概ね賛成していると答えています。

 この世論調査は、ロシアのウクライナ侵攻とトランプ大統領就任以降の国際的な緊張の高まりを背景に周囲の欧州諸国が防衛力を強化するために徴兵制や予備軍増強を検討している中で行われました。

 それでも、調査対象者の多くが概ねこれに賛成している中、14%は完全に反対であると答えています。

 また、これらの回答は調査対象者の支持党派によっても異なり、極左政党に近い人の31%が兵役義務の復活を支持しているのに対し、極右政党国民連合の支持者では67%が支持しています。そして、これは、年齢層によっても異なり、35歳以下の人では41%が兵役義務を支持しているのに対し、60歳以上では、63%が支持しています。 

 いずれにせよ、この数字は私が想像していたよりも、ずっと多い数字で、もし、これと同じ世論調査を日本で行った場合にどのような数字になるのだろうか?と思って、そのような調査がないかと少し調べてみましたが、みつかりませんでした。

 先週の段階でマクロン大統領は、国民皆兵制度(SNU)の大幅見直しについて、翌週にも発表すると公表していましたが、よもや徴兵制度の復活?かと思いきや、週末の数社の仏紙のインタビューでマクロン大統領は、「兵役義務の復活は現実的な選択肢ではない」、「作戦に重点を置いた軍隊の専門家に着手した瞬間から、80万人の若者を動員することは絶対に可能なことではない」答えており、彼が言っていた国民皆兵制度の大幅見直しは、別のところにあるようです。

 たしかに、この国民皆兵制度が停止され、縮小されていった背景には、これには、大変な費用がかかるためだ・・という話も聞いたことがあります。

 この兵役問題は、別としても、軍事予算の拡大は、すでにマクロン大統領は、増税なしに行うと宣言済みのこと。

 とはいえ、増税なしに行うとなれば、なにか別の予算が削られることは大いに考えられること。フランス国民は、この軍事費の増額のために、医療費の払い戻し、住宅手当、家族手当、学生助成金などの社会保障を削減したり、法定年退職年齢を延長したり、年間数日の追加労働などのすでに提案されている案には、全て反対しています。

 防衛に関して、フランス人が賛成していることと、反対していること、どちらもフランス人をよく表している気もしますが、多くの人が兵役復活に賛成するような状況は、尋常ではありありません。


フランスの兵役に関する世論調査


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2025年3月16日日曜日

偽物を買うことはもはやタブーではなくなっているフランスの若者

  


 ハイブランドの偽造品の売買は、違法行為で売る側も買う側も罰せられます。にもかかわらず、2022年から2023年にかけて、この類のフランスで押収されたブランド物の偽造衣料品やアクセサリーなどの数は倍増しています。

 EUIPO(欧州連合知的財産庁)の調査によると、15歳から24歳のフランス人の29%が故意に偽造品を購入していると言います。2019年の同様の調査では、14%でした。この数字だけでも倍増していることは明らかですが、私などにはこの2019年の14%という数字ですらもすでに驚きです。

 29%といえば、もはやほぼ3人に1人という割合で、もはや彼ら(彼女たち)は、それが偽造品だということを隠しもせず、偽造品だということは重々承知のうえで、購入し、偽造品が流行しているような、もはや偽造品はタブーではなくなっているくらい浸透しているということなのです。

 私も若い頃、一時期はちょろっと麻疹のようにブランド物にかぶれかけたことはあったけれど、徐々に興味を失い、むしろ、フランスに来てからは、敢えてブランド物は身につけないようになったくらいです。何よりも安全を考えてのことです。

 考えてみれば、最近、メトロやバス、トラムの中などで、男女問わず、若者がブランド物を身に着けているのを見かけるようになりました。グッチのキャップやポシェットを身に着けている若い男の子などは、特によく見かける気がしますが、絶対にホンモノではないだろうな・・と思いつつ、それでも(偽物でも)ほしいんだな・・?と眺めていました。

 現在は、若い男の子の間で主に白やグレーのディオールのスニーカーが大流行しているそうです。(偽物ですが・・)

 だいたい、まともな人はパリ市内のメトロなどで、これ見よがしに本物のブランド品は持ち歩きません。危ないですから・・。

 以前は、このような偽造品は露天商が売りさばいている様子を見かけたものですが、それが現在は、SNSでお手軽にネットショッピング、特に中国のサイトを通して、簡単に手に入れることができるそうで、Telegram、Snapchat、TikTok のアカウントから注文するだけで、数日以内にパッケージが届くようです。

 この偽造品を扱うサイトを運営している中国を拠点としているフランス人は、「当社はルイ・ヴィトンとディオールの上客だ」と言い、実際に本物を購入してその製品を特殊な機械を使って、重さ、織り方、模様、色を決め、工場に発注して偽造品を作って販売します。

 中国を拠点とするのは、労働力の問題で彼らには、月給制で給料を支払いますが、彼らは月29日間労働なのだそうです。

 製品の発送は中国からになるため、税関にひっかかることもあるとはいえ、税関も全てをチェックすることは不可能なため、時々、損失は出るとしても、その分は充分カバーできるほど売れているので問題ないと話しているといいます。

 偽造品がまかり通れば、本家本元のハイブランドの方も迷惑極まりない話ですが、そもそも「偽物がタブーではない」という観念自体が破滅的というか、彼らは一体、何に価値を求めているのか? 偽物なんてみっともない!偽物を持つくらいだったら、ノーブランドで良いではないか?と思う私はもう古いんでしょうか?

 しかし、数年前から、確実に変化してきているフランスのファッション業界、モードの世界、極端に高価なハイブランドか、サイトでも簡単に変えるお手軽・格安モードのブランド以外は、軒並み経営不振で倒産続き、このサイトで簡単に変える格安・お手軽モードの中に偽造ハイブランド品の躍進があったとは・・驚きです。



ハイブランド偽造品


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2025年3月15日土曜日

日本から戻って以来、フランスの食べ物に食指が動かない・・

  


 日本に一時帰国して来仏した後、最初に近所のスーパーマーケットなどに行った時の絶望感といったら、ちょっとはかりしれません。

 逆に日本に行った時などは、別に高級スーパーマーケットというわけではなくとも、もうワクワク感が止まらず、もう端から端まで、全てが愛おしく、しかし、日本に到着したばかりの段階では、「落ち着け!落ち着け!まだまだ日本滞在は長いんだから、今から買い込んでも、一度には食べられないし、ましてや持って帰るものは、ギリギリに買った方が賞味期限が少しでも先になる・・」などと気持ちを落ち着かせるように自分に言い聞かせるほどです。

 以前は、それを娘と二人でやっていたのですが、今では日本で生活している娘は、すっかり日本のスーパーマーケットは日常のものになり、全く興奮しないどころか、落ち着いたもので、私はそんなことを少々寂しく感じつつも、それでも私は一人で興奮しつつ、日本のスーパーマーケットや食料品店を見て回るのです。

 山ほどの食糧品を抱えて、フランスに帰ってきて、それらは、あっという間に冷蔵庫や食料貯蔵庫におさまってしまうのですが、しばらくは、「まだまだあるある・・」となんとなく、満ち足りた日々を過ごせるのです。

 しかし、いくらたくさんの食料品を持ち帰ったとはいえ、野菜や肉、卵などの生鮮食料品は、持ってきているわけではないので、仕方なく近所のスーパーマーケットに買いものに行くのですが、毎度のことながら、「あ~~またこの世界に戻ってきてしまった・・」と絶望感が溢れてくるのです。まあ、毎回のことなので、やっぱり・・と言う程度のことなのですが・・。

 今は、特別にフランスでの生活には、それなりに満足しているし、フランスの方が心地よいと思う部分も少なからずあるのですが、この日本から帰ってきて、最初の食料品の買い物の時に感じる絶望感は毎度、おなじみの感情です。

 しばらくすれば、またそれに慣れてきて、あっちで美味しいものがあれば飛んでいき、また、こっちで美味しいものがあれば飛んでいく!という生活に戻るのですが、今のところ、まだまだエンジンがかかりません。

 約3週間の日本滞在で、3ヶ月分くらいの食べ物を食べたと思うので、しばらくは、食べなくてもいいくらいなので、ちょうどいいかもしれませんが、今まで勇んで行っていたブーランジェリーやレストラン等、今のところは、全く行く気になりません。

 先日、美味しいサンドイッチのお店があるという情報を得たので、出かけたついでに寄ってみようかな?と思っていたのですが、最初の目的地の用事が済んだ時点で、「さて、次はサンドイッチ屋さん・・」と思ったところで、なんだかめんどくさくなって(いつもなら、食べ物に関して、めんどくさくなるなんてあり得ないのです)、行ってみたいけど、あんまり食べたくないしな・・また今度にしよう・・と結局、サンドイッチ屋さんには、行きませんでした。

 軽め?のサンドイッチですら、こんな感じ、日本に行くまえには、通りかかれば、必ず覗いていたブーランジェリーなどにも、まるで魅力を感じなくなっています。

 まるで別に好きな人ができて、これまでの彼にはすっかり冷めてしまった感じ・・日本から帰ってきたら行こうと思っていたレストランにも、まるで行く気になれません。

 食べ物に対して、ここまで気持ちが盛り上がらないなんて、久しぶりのことで、ここで、ショック療法として、どこか、飛びぬけて美味しそうなものを探すか?自然と復活するのを待つか? そんなくだらないことを、しかし、食べることが何より大好きな私にとっては、重大事なことを、ここ数日、考えているのです。


フランスの食品


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