2024年8月6日火曜日

フランス人同士でもパリジャンの悪口をいいたがる・・

 


 たまにイベントなどの催し物が行われるなど、駅でポスターを見かけたりするたびに、「ヴェルサイユ、きれいだよな~、今度行きたいな~」と、度々思うのですが、いざとなると、結局は行かないのがヴェルサイユです。

 そんなに遠くはないし、行こうと思えば、いつでも行けるのですが、なんとなく億劫で、ヴェルサイユに最後に行ったのは、母がフランスに来てくれたときに夫が車で連れて行ってくれたのが最後なので、もう10年以上、いやそれ以上も前のことになります。

 今回はヴェルサイユ宮殿でもオリンピック競技をやっているということで宮殿がどんな風になっているのか? 思い腰を上げるチャンスだと、オリンピック期間中に一度は行こうと思っていました。

 なんだかグズグズしている間にあっという間にオリンピックも終わってしまいそうで、せっかく行くならお天気の良い日がいいと、思い切って行ってきました。

 とはいっても、競技を観戦するチケットも取ってないし、炎天下で競技を観戦する気にもならないので、なんとなく雰囲気を味わいに行くだけなのですが、まあ久しぶりに訪れるヴェルサイユ宮殿はやっぱり美しくて、もっと頻繁に来てもいいのかも・・などと思いながら、歩きました。

 他の場所と同じように警察官やボランティアがたくさんいるのですが、なにせ宮殿の敷地内は広くて、それでも木々の緑のグラデーションや彫刻などを楽しみながら歩けるので気持ちよいお散歩になりました。

 と、同時にヴェルサイユに行くのに、拡張されたRER L線にも乗ってみたかったこともあって、キラキラ車内のきれいな電車に乗って行きました。ただし、到着後のことを全く考えていなかったのですが、この駅は、宮殿の反対側くらいの場所に着くため、ヴェルサイユ宮殿の敷地に入ってからかなり歩くことになりました。

 入口で荷物のチェックをしている警察官にオリンピックの会場の場所を聞くと、丁寧に、かなり流暢な英語で教えてくれたので、「ありがとうございます!」とお礼を言ってから、また英語で対応してくれたので、「最近、たくさんのフランス人が英語で話してくれるので、すごくビックリしています!」と半分、嫌みと半分、本音を込めて(英語で)言ってみたら、すごく満足気に「ありがとう!でも、パリでは、そうはいかないわよ!パリジャンは、絶対、英語でなんか話してくれないから!」と言うので、「え~~?」と驚いてしまいました。

 彼女は私がどこから来たのかも知らずにヴェルサイユを訪れているアジア人だと思って教えてくれたのだと思うので、まさか、「最近・・特にオリンピック期間中のパリはけっこういつもと違っているよ!」というわけにもいかず、別の意味で驚いていると思ったようで、そのまま、「ほんと、パリジャンって感じ悪いから・・」と言い続けるので、苦笑してしまいました。

 ヴェルサイユといったら、そんなにパリからも遠くないし、私としてはそんなに区別して考えない・・フランス人として一括りしてしまいがちなのですが、どうも彼らは同じだと思っていない模様です。

 たしかにパリジャンは、感じ悪いなぁ~と思うこともないではないのですが、私ももう慣れてしまって、もうあまり、そんなに感じなくなっているのですが、考えてみれば、パリに来たばかりの頃は、とにかく、いろんなことに、いちいち腹立たしい思いをしていました。

 もうパリでの生活も長くなって、それなりに少しでも嫌な思いをしない応対の仕方や、嫌なオーラの人はできるだけ避けるとか、かわし方をいつの間にか習得したのかもしれないし、何より、まずあまり期待していないので、嫌な感じの人にあっても、「ああ~こういう人、久しぶりだな・・」くらいに思うだけで、本気で腹をたてないようになっています。

 しかし、どうにもパリジャンというものは、フランス人から嫌われているようで、こうして、ヴェルサイユの警察官までもが、パリジャンは感じ悪い!などと言うだけあって、以前、仕事関係で全国(フランス各地)から、人が集まっている研修会みたいなものがあって、みんなで雑談していたら、「パリジャンって本当に感じ悪い!」、とか、「パリなんて人間の住むところじゃない!」とか、もうパリの悪口大会みたいになったのには、本当に驚きました。

 私はフランスではパリにしか住んだことがないので(来たばかりの頃、1年くらい郊外にいたこともあったけど・・)、あまり他の地域に知り合いもなく、地方の人と話す機会がなかったので、こんなにパリがフランス人から嫌われているのか?とビックリした覚えがあります。

 相変わらず、私はあまりフランスの中を旅行しないし、他の地域のフランス人と話す機会があまりないので、あの研修の時の悪口大会以来、あまりそういう話も聞くことがなかったのですが、久しぶりに思わぬところ、しかもヴェルサイユ宮殿でそんな話を聞いたのには、相変わらずなんだな・・と思って、苦笑してしまいました。

 なぜ、これほどまでにパリジャンが嫌われているのか? 本当に感じ悪いのかもしれないし、ちょっと嫉妬みたいなものもあるのかな?と思わないでもありません。だって、感じ悪い・・ということに、あんなにムキになって話す必要もないんじゃないかな・・と。

 とりあえず、一番、簡単だけど、けっこう大切だと思うのは、まずお店にしても、どこに行ったにせよ、なにか質問がある時などでも、まず「Bonjour(ボンジュール)」とにっこりと挨拶すること、ボンジュールもにっこりもどちらも大切です。

 そして、ちゃんと意思表示をすること・・お礼はちゃんと言うこと。もう幼稚園の子に言うようなことですが、これだけでもけっこう違います。

 しかし、また笑っちゃうのが、どんなに他の人から感じ悪いとか、悪口を言われたとしても、パリジャンは全然、意に介さないということです。


パリジャンの悪口


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2024年8月5日月曜日

問題続出のセーヌ川でのトライアスロン 参加選手が大腸菌感染で入院

  


 最初から物議を醸し続けているパリオリンピックのセーヌ川でのトライアスロンですが、予行演習は何度もキャンセルされ、本当に実施されるかどうかは、ギリギリまでわからず、下手したら、デュアスロンになるかもしれないとまで言われていましたが、ついに、競技が行われる直前の水質検査で衛生基準に達したということで、もはや、かなり強引な形で実施されました。

 参加する選手にとっては、まさに取りやめても、GOサインが出ても地獄の状況だったと思います。もう終わってしまったことは仕方ないけど、選手には、本当にお気の毒なことだったな・・と思っていましたが、案の定、実際に競技に参加した選手からは、「ゴミの中を泳ぐハメになった・・」とクレームが続出していました。

 もう競技は終わったのかと思ったら、まだ混合リレーがあるらしく、再び水質検査とのせめぎ合いが続いているようで、またギリギリまで泳げるレベルの水質に達していないとのことで、再び予行演習がキャンセルされ、実際に実施するかどうかは、直前の水質検査の結果にかかっていると言われています。

 すでにトライアスロン競技が行われた同じセーヌ川での水質検査が再び、基準値に達していない状態というのは、非常に不透明なことで、水質は天候によっても大きく左右されるとはいうものの、数日のうちにそのしきい値を行ったりきたりする状況での競技の実施には、大いに疑問が残ります。

 そもそも、この水質検査の具体的な数値について、オリンピック組織委員会は発表していません。報道機関の質問にも回答していません。

 そこで、民間検査会社が行ったセーヌ川の同じポイントでの特に大腸菌細菌の検出に焦点を当てた水質検査によると、常にデータは変化しているものの、決して推奨できる状態ではないことは明らかで、ワールド トライアスロンは、大腸菌レベルが水 100 ml あたり 500 未満である良好レベルの水質であり、逆に、濃度が 1,000/100 ml のしきい値を超える場合、遊泳エリアの質は低いとされているところ、月曜日には1,553/100 ml だった数値が火曜日に実施された分析では100mlあたり687/100 ml であったと報告していますが、その後にイル・ド・フランスに降った大雨などを考慮して、おそらく、次の火曜日には、大腸菌濃度が 868/100 ml から 2,870/100 ml の間で変動すると予想しています。

 しかし、こんな結果を予測する以前に、先週、パリオリンピック・トライアスロン競技に参加したベルギーのトライアスロン選手が、大腸菌感染症により、入院し、ベルギーのトライアスロンチームから、怒りの声が高まり、抗議の声明文が出ているそうです。

 何も、クレームを入れたいのは、ベルギーだけではないだろうけれど、実際に入院しなければならないほどの体調不良。しかも、アスリートにとっては、体調管理には、日頃から特別に気を使って生活しているだろうに、競技に参加したことで体調を崩し、その後の混合リレーを辞退しなければならない事態とは、大問題です。


 この体調不良を訴えているのは一人ではなく、一回目の競技に参加した他の選手にも胃腸感染症のために混合リレーを辞退する選手が複数人存在していると言われています。

 フランスがセーヌ川にこだわりたい気持ちはわからないでもありませんが、しかし、それは、せいぜい開会式のセーヌ川上のパレードまでで、選手の健康に明らかに危険が及ぶのは、一目瞭然のセーヌ川でのトライアスロンは、やはり、やり過ぎで、もはやこのオリンピックがフランスのためのものであると言われても仕方がない気がしてしまいます。


セーヌ川トライアスロン選手入院


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2024年8月4日日曜日

サン・ドニのオリンピックパークにドッキリ!・・選手村とは全然違う本当のサン・ドニ

  


 先日、サン・ドニのオリンピック選手村のあたりを見に行って、「ほんとに、これがサン・ドニ???」と思うほど、きれいなビルやきれいな街に仕上がっていてビックリしたばかりでした。

 しかし、一方では、現在は、ほぼほぼオリンピック関係者が占領しているうえに、ものすごい警戒で、この人たちがいなくなって、本来の住民が戻ってきたら、どうなるのだろうか?と懸念のようなものも同時に抱いていました。

 このオリンピックが始まってから、たまに駅のホームなどで「LE PARC DES JEUX」(オリンピックパーク)の広告が出ていて、なんか、屋外の緑の中の絵がなんか魅力的な感じで、オリンピック開催中、一度は行ってみたいな・・と思っていました。



 広告のイメージと「オリンピックパーク」という名前とで、「オリンピックパーク」=「オリンピック公園」、そして、その先はさらに私の勝手なイメージだったのですが、私にとってのオリンピック公園は、「駒沢公園」で、小さい頃から、「昔、ここでオリンピックが行われたのよ・・」などと言われながら、よくサイクリングコースに行ったり、プールに行ったりしていた馴染み深いものでした。
 
 今回のオリンピックパークも私にとっては、なんとなく、駒沢公園のフランスバージョンみたいな気分ででかけたのです。

 しかし、実際には、公園自体は、駒沢公園などより、ずっと広い森の中にある一部のスペースで、大きなステージができていたり、みんなでオリンピックを観戦できる巨大スクリーンが設置されていたり、エレベーターで登れる展望台ができていたり、実際のオリンピック競技を体験できるような施設がいくつもできていて、オープンエアの心地よい空間ではありましたが、あまりアクセスが良い場所でもないためか?そこまで混雑もせず、それほど賑わっている感じではありませんでした。

 ふだん、全く行かない地域のため、GoogleMapを頼りに出かけたのですが、駅からもけっこう歩くうえ、また、公園内も森の中にあるため、かなり歩きます。

 旅行などに行ったときに、ホテルなどを写真で見て予約した時に、実際に行ってみると、「あの写真、上手く撮ったもんだな・・」と思うような感じで、残念ながら、「オリンピックパーク」は、正直、期待外れでしたし、もちろん、駒沢公園を勝手にイメージした私は、「そりゃそうだわな・・」と帰途についたのでした。

 さて、帰ろうと思って、再びGoogleMapを開くと、いくつかの帰り道の提案が出てきたのですが、来たとおりの道を帰るのでは、つまらないし・・時間もあまり変わらないので、別の道(方法)で帰ろうと、別の駅までバスで出て帰る道を選択したのでした。

 バス停でバスを待っている人が数人いたのですが、その家族らしき人たちの服装を見て、一瞬、「ん??」と思ったものの、まあ、パリには色々な国の色々な人がいるしなぁ~、ああいう色の服、どこで買うんだろう?」などと思いながら、それよりも、「暑いな~早くバス来ないかな~?」とのんきに構えていて、少ししてやってきたバスに乗ったのでした。

 バスは私が乗ったときには、そこまで混んでいたわけではありませんでしたが、停留所を過ぎるたびに、少しずつ人が増えてきて、「ん??」と気が付いたときには、もうフランス人なんて、一人もいなさそうな感じでちょっとギョッとしました。もうそのバスの中だけ見たら、誰もここがフランスだとは信じられないだろうな・・と思いました。

 そして、「これが本当のサン・ドニなんだ・・」と実感したのでした。私自身も移民という立場なので、フランス人じゃないとか、移民は・・とか言えないことは重々、承知していますし、パリ市内にも移民はたくさんいるので、移民自体には驚いたりはしないのです。

 しかし、それにしても、そこは、ちょっといたたまれない空間で、ついこの間見た、オリンピック村のサン・ドニと、このサン・ドニ・・どちらが本当のサン・ドニかと言えば、きっとこっちが本当のサン・ドニなのだ・・と一人でバスの中でぐるぐると考えていました。

 いわゆる富裕層とは真逆の人々だけの空間で、また渋滞していて、なかなか進まないバスが通る道すがらには、「えっ?これ何時代の車両?」と思うような車両を使ったトラムが走っていて、あまりのパリ市内との違いに愕然としたのでした。
 奇しくもオリンピックのおかげで・・。

 日常、私は、パリ市内でさえも、自分の好きな場所に行きがちで、なかなかディープな感じの場所があることも知っているし(用事もないので行きませんが・・)、それにしても、そういうタイプ?の人が多めだな・・と思うことはあっても、ほぼほぼ、そのような移民しかいない感じの場所に来たのは、四半世紀もパリにいて、初めてのことでした。

 パリ市からは少し外れているとはいえ、そこまで遠くはない場所がこんなこととは・・むしろ、そう遠くないところが余計に残酷というか、衝撃的で、格差社会問題どころではなく、余計に闇が深い気もして、いつも事件報道などで、なにかと言えば出てくる「サン・ドニ」という場所は、これだったんだ・・と思いました。

 昼間だし、公共交通機関の中だし、特に危険な思いをしたわけでもないのですが、もはやパリではないどころか、フランスでもない・・そんな場所がパリからそんなに遠くもない場所にあって、その「サン・ドニ」という同じ町の中でさえ、天と地の差もある感じになっていることが、とてもショッキングだったのです。

 いつのまにか、パリから消えているあれだけいたのにどこへ行ったのか?と思っていた露天商もここにはいました。警察はいても、見逃している・・そこはいつものパリと一緒ですが、現在のパリとはまるで違います。まるで違う国のようです。

 聞くと見るとは大違いと言いますが、まさにそんな感じで、オリンピックパークのおかげで、そんなディープな本当の「サン・ドニ」の生の姿を見ることになったのです。


サン・ドニのオリンピックパーク


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2024年8月3日土曜日

オリンピック期間中 公衆トイレがものすごく増えているけれど・・

 


 オリンピックの準備が本格的になってきた頃、パリ市内のあちこちを歩いていて驚いたことの一つに仮設の公衆トイレがものすごくたくさん設置されていることでした。

 パリのトイレ事情は正直、あまり褒められたものではなく、日常的には、どうしてもトイレに行きたくなれば、カフェに飛び込んで、とりあえず注文して、トイレに行かせてもらうというのが一番、一般的かもしれません。

 また、市内には、常設の公衆トイレ(有料)もありますが、人が使い終わって出ていくと、ダイナミックに水で清掃されるので、前の人と入れ違いに入ってしまったりすると、水浸しになってしまうという話を聞いたことがあります。

 また、管理する人もいない自動トイレなので、閉じ込められたらどうしよう?という不安もあります。(実際には、そんなことはないとは思うのですが・・)




 それにしても、公衆トイレのレベルは日本のように高くはないので、衛生面で不安も拭いきれないうえに、便座がないところも多く、トイレットペーパーも必ずしもあるとは限らないし、なぜそうなるのかわかりませんが、トイレットペーパーが便器のまわりに散らばっていたりすることも多いため、できるだけ、外ではトイレに行かなくて済むように、代わりに安心して行ける場所では、もれなく行っておくという予防策を講じています。

 ただ、今回のオリンピックのような大々的なイベントが市内のあちこちで行われる場合、公衆トイレをたくさん設置していることは、そのクォリティは別として、本当によかったな・・ と思っています。

 そんなわけで、私は滅多に外でトイレに行くことはないのですが、それでも、ごくごくたまに、どうしてもトイレに行きたくなって、もう頭が真っ白になって、とりあえず座り込んでみたり、ゆっくり歩いてみたりしながら、もう駅でもなんでもいいから、有料でもなんでももう行くしかない!ということも10年に一度くらいはあります。

 その10年に一度の機会がつい先日、訪れ、かなり切羽詰まった状況に陥りました。いつもよく通過するメトロの駅には、なんとなく、あそこにトイレがあるな・・というのは、わかっていましたが、これまで近寄ったことはありませんでした。

 無人の自動のトイレで、前に行ってみると、トイレということはわかるのですが、グリンのライトがついているだけで、有料とも無料とも書いてありません。こちらは切羽つまっているので、有料だろうと、無料だろうと、もしも閉じ込められたとしても、最悪の事態よりはマシと飛び込みました。



 思っていたよりも、全然、清潔で、トイレットペーパーもちゃんとあって、利用時間は最大15分で、停電の場合は手でこじ開けて出てくださいとしか書いてありません。しかし、もう考えている時間は私には残されておらず、とにかく用を足しました。

 これで無事に脱出できれば、よいわけですが、水を流す説明もボタンもなく、そのままとにかく、トイレから出ると、正面のボタンが赤くなり、清掃中の模様。

 びくびくする余裕もなく、駆け込んだトイレでしたが、意外にもスムーズで、思っていたほどに問題もなく、なんだ・・ふつうのトイレだった・・と拍子抜けしたのでした。

 結局は、グリーンのライトがついている時は利用可能で無料のトイレだったわけですが、外に何の説明もないため、あまり利用する人がいない模様です。

 とはいえ、多分、日本人がこのトイレに入れば、「えっ??なに?このトイレ??」ときっと思うと思いますが、フランスに来て以来、自分のトイレへの許容範囲が広まっている感じがします。

 本当に日本のトイレは素晴らしくレベルが高いのですよ・・。


パリの公衆トイレ


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2024年8月2日金曜日

オリンピック選手村はどんなところにあるのか?

  


 オリンピック・ヴィラージュ(選手村)では、選手村の食堂での食材が足りておらずに限られたもののサービスしかできていないとか、盗難被害が報告されているとか、、この暑さの中、冷房がないとか、あまり良いニュースが聞こえてこない気がします。

 そもそも、このオリンピック・ヴィラージュを建設しはじめる頃に、その場所にセーヌ・サン・ドニが選ばれたときに、「なぜ?セーヌ・サン・ドニなのか?」と思ったことを思い出しました。

 ここがオリンピック・ヴィラージュとして選ばれた理由のひとつは、大きなスタジアムがそばにあるということもあったのでしょうが、もともと治安の悪い地域として有名な場所を選んだのには、オリンピック・ヴィラージュを建設することを機に、この地域を再生したい、オリンピック後にもつながるパリの革新的な環境プロジェクトの一環として見据えていたということもあったようです。


オリンピック仕様のTOYOTAの車がいっぱいあった!


 このサンドニのスタジアムにしても、私はスポーツ観戦などをほとんどしないため、一度、近くを通ったことがある程度なのですが、オリンピックに向けて周辺はきれいに整備されているものの、警察や消防などの電話番号が大きく書かれた看板がやたらと多いことをさもありなんというか、不気味な気持ちで眺めた記憶があります。

 パリ市は、今回のオリンピックのための環境整備を将来の街づくりのプロセスの一環としているようなところもあり、結局、ギリギリなんとか実施したセーヌ川でのトライアスロンにしても、セーヌ川の水質向上を数年後には、一般市民が遊泳可能なレベルにしたいという目標があり、はっきりいって、今回は、かなり強引に競技を行ったようですが、セーヌ川の水質向上はオリンピックに間に合ってはいませんでした。

 また、オリンピック・ヴィラージュにしても、現在は、お世辞にも決して推奨できない地域に2,000戸の世帯住宅と800戸の住宅を含む2,800戸以上の新築住宅や学生寮、ホテル、学校、緑地スペース、オフィスなどを備えた環境問題にも充分に配慮された近未来都市のような図を描いています。この都市計画完成は2050年と見積もられています。


日本チームもあった!あった!


 つまり、このオリンピック・ヴィラージュ建設はその都市計画の中間地点であるのですが、実際に行ってみると、新しいビルがたくさん建って、現在はオリンピックの幕やのぼりがあがり、選手が利用している宿泊施設には、それぞれの国の旗や幕がかけられているため、華やかに彩られているので、余計に明るいイメージに変わっています。

 メトロと一緒ですが、周辺は、どこも新品な感じでピカピカで、落書きもなく、一瞬、「ここ、本当にサンドニ?」とびっくりするくらいです。


選手たちが移動するバスのりば


 とはいえ、入れ物を変えたところで、住民が変わることはなく、現在は厳重警戒が敷かれているため、怪しげな人影などは微塵も見られませんが、この警戒がなくなったら、どうなっちゃうんだろうな?と、思います。

 オリンピック・ヴィラージュ周辺はやはり、厳重警戒、警察官も憲兵隊もたくさんいて、一般人はもちろん立ち入ることはできず、エリア内に入る際には、厳重なチェックが行われていますが、そうはいっても、この選手村の中で働いている人も、関係者もたくさんいるわけで、その一人一人は一応、すでに一度身分を確認された証明書で入れるため、肝心な建物内の警備がどの程度にされているのかわかりませんが、残念ながら、盗難等の被害があったとしても、フランスでは不思議な話ではありません。

 以前、ガンで闘病中の友人が本当に深刻な病状で入院中、検査の間に病室にしまってあったバッグを盗まれ、お金はもちろん、保険証のカードから銀行のカードから家の鍵まで盗られ、それを届け出ても、「よくあること・・」とあしらわれて、大変な思いをしていたことがあり、私も話を聞いて、なんて酷い話!と腹を立てたことがありました。

 フランスは残念ながら、そういう国でもあるのです。今回のオリンピックではテロ対策もあって、市内の警備は超厳重だけど、オリンピック選手村の中までは、不充分だったのかもしれません。


オリンピック選手村


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2024年8月1日木曜日

こんなの初めて!パリジャンが驚いているパリのメトロ・・

  


 「パリオリンピックが開会して以来、パリのメトロがあまりに順調に稼働していることに、パリジャンが驚きの声をあげている」という記事を見て、なるほど・・と思いました。

 今回のパリオリンピック開催にあたって、大きな不安材料であったことのひとつはパリ市内の公共交通機関についてで、パリの住民にはできるだけ公共交通機関の利用は避けるようにとか、リモートワークにするようにとかいう呼びかけがされていたり、遅延等を避けるために、RATP(パリ交通公団)は、「乗客に病人が出ても停車しない」などと宣言したりして、物議を醸してきました。

 それが蓋をあけてみれば、パリのメトロは想像以上にスムーズで(今のところは・・)、むしろ、通常よりも遅延もなく、事故も起こらず、何よりもいつもよりもずっと清潔に保たれていることにパリジャンが驚いているのです。

 RATP(パリ交通公団)は、臨時の人員を大幅に配置し、実際に大して混雑していないところまでも行列ありきで駅の構内にテープを張ったりして、人の流れを整理する体制をとっています。

 また、清掃も行き届いていて(パリにしては)、今のところ臭い駅にもメトロにも遭遇していません。

 メトロがスムーズに稼働している理由には、いつもに増しての注意と人員を割いていることもあるだろうし、テロ等の警戒のために、メトロの駅や車内までにも警察や憲兵隊等が警備していることもあるとは思いますが、何よりも思っていたほど、観光客やオリンピック観戦のために来ている人が少なく、パリから逃避してしまったパリジャンも多いということがあるかもしれません。

 まだ、全体の観光客数などが出ていないので、わかりませんが、おそらく、オリンピック期間中は満室になるであろうと思っていた我が家の近所のホテルなども、そこまで満室という感じでもないことから、目論んでいたほどには、パリに観光客は来ていないのではないかと思われます。

 私自身もオリンピック時には、乗客が膨れ上がるであろうし、そのうえ、土地勘のない観光客に溢れたら、大変なことになるだろう・・と勝手に心配していましたが、むしろ、どこへ出かけても、オリンピック開催以来、今のところ、メトロでトラブルに全く遭っていない・・そういえば、いつもなら、こんなことあり得ないはず・・などと思います。

 とはいえ、バスは、運行停止の区間などがけっこうあって、少々不便ではありますが・・。

 それでも、まったく問題がないわけではなく、開会式の翌日に13号線が停まって、乗客が線路を歩かされたというニュースをチラッと見た気はするのですが、これでさえ、「早急な対応ができた!」とRATPは胸をはっており、全般的には、いつもより、ずっとスムーズという声が圧倒的に多いようです。

 この状態がキープできれば、それに越したことはないのですが、オリンピックが終われば、また元に戻ることでしょう。

 清掃だけでも、この状態をキープしてくれたら・・と思いますが、一時、コロナウィルス感染が始まった初期の頃は、本当にメトロも駅もきれいになり、このまま続けばいいなと思っていたのに、いつのまにか、すっかり元どおりに汚くなりましたから・・。


オリンピック期間中のパリのメトロ


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2024年7月31日水曜日

オリンピックでフランス人の英語力が上がった?

  


 ここ数日、お天気がよくなって(ちょっと良くなりすぎで暑いけど・・)、パリでのオリンピックの風景を見て歩いているのですが、まあ、街の中が(といってもオリンピックに関係のある場所ですが・・)華やかで、どこかウキウキとしている感じで楽しいです。

 もともと美しい街ではありますが、それがオリンピックのデコレーション?と上手く調和して、上手いこと街をオリンピックバージョンに変身させたものだな・・と感心しながら歩いています。

 いつもならば、そんなに人に道を聞かなくても歩けるのですが、現在は依然として道路の一部が閉鎖されていたり、またオリンピックのために設置されているものを見に行ったりするため、道を尋ねたくなるケースが多いわけです。

 そんな時でも、まず、街中には警察官はちょっと引くほどいるうえに、ボランティアもたくさんいて、駅にもおそらくRATP(パリ交通公団)の臨時職員と思われる人々がたくさん待ち構えているので困ることはありません。

 自分の方から声をかける場合には、フランス語で話すのですが、向こうからも「なにか困った事はありませんか?」などと声をかけてくれることもけっこうあって、そういう場合は英語であることが多く、このフレンドリーに英語で助けの手をのばしてくれる感じに驚いています。

 まあ、街中に配置されているボランティアは、ある程度、英語が話せるということで選ばれている人々であるとは思うものの、パリでこんなにたくさんのフランス人が親し気に英語で話しかけてくれる場面に私は初めて遭遇しました。

 また中でも10代後半から20代前半くらいの女の子たちの英語が想像以上に上手でびっくりしています。おそらく学生なんだと思いますが、考えてみれば、彼女たちにとって、同じような話を繰り返し説明するとはいえ、英語を話す良いトレーニングで、実に清々しい気持ちのよい女の子たちでした。

 そもそも、フランス語と英語は似て非なるものではありますが、読み方や発音は違ったりもするものの、重なる単語などもけっこうあって、日本人が最初から英語を学ぶよりはずっと楽なのではないか?なのに、なんでフランス人は英語を話したがらないのか?と思ったこともあります。

 以前はフランス人は英語を話してくれずに感じ悪く・・駅などで英語で質問している観光客に対して、「ここはフランスなんだからフランス語で話しなさい!」などとフランス語で言っているのを何度見かけたことか?本当に感じ悪いな・・と思ったことも一度や二度ではありませんでした。

 しかし、オリンピックで湧くパリ市内の様子を見ていると、もうそんなことはパリでも通用しないし、むしろ、若い子たちは、本当に感じがよくて、英語のレベルもなかなかなもので、なによりもオープンマインドな感じになって、以前の無駄にスノッブな感じのフランス人のいやらしさが全然、感じられなくなりました。

 もちろん、フランス語も大切ですが、このような世界の人が集まるような場ではやっぱり英語です。日常、ふつうに生活していれば、逆にあまり英語に接することはないものの、やっぱり、ここぞというタイミングでは英語も話してくれる若い優しい感じのよいフランス人が増えていることに「いいぞ!若者たち!」と応援したくなるのでした。


パリオリンピック 英語


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