我が家の、ごくごく近所には、これまでマルシェというものがなくて、近所にマルシェがある人をずっと羨ましく思っていました。
それでも、コマーシャルセンターがごくごく近くにあるので、特に買い物に不便ということはなく、考えようによっては、マルシェがあるよりもコマーシャルセンターがあった方が広範囲にわたる商品があり、しかも、毎日、営業時間も長くて便利といえば便利でもあったのです。
特に娘が子供の頃は、「急に学校で、明日○○を持ってきなさい!」などと言われて、「えっ??何?そんな急に言われても!?」という時などには、(学校が終わって、エチュードが終わって、迎えに行って、家に帰ってくるのは、もう午後7時近く・・)コマーシャルセンターがあってよかった・・と思うことも多かったのです。
しかし、食料品、ことに魚屋さんに関しては、カーフールに入っている魚は、お世辞にも新鮮とは言い難く、しかも種類も限られているので、「マルシェがあったらな~~」とずっと思っていましたが、もはや魚に関しては諦めてもいました。
でも、やはり日本人としては、魚が恋しくて、未練がましくカーフールに行くと魚屋さんは一応、覗いてみたりもして、時には「これなら、まぁいいっか!」と思って魚を買ったりすることもあるのですが、一度、食あたりでエライ苦しい思いをして以来、どうにも、躊躇うことが多くなり、魚というものを滅多に買うことはなく、もっぱら魚はピカール(Picard)の冷凍のお魚に頼っていました。
それが、最近、どういうわけか、家のごくごく近所に週1ですが、マルシェが出ることになり、代わり映えのしない近所に新しい楽しみができました。
マルシェといえば、新鮮な野菜、果物、魚、肉、お花、チーズと見ているだけでも、楽しいのですが、何と言っても人が人に直接、物を売るという、その間に生まれるフランスらしい和気あいあいとした雰囲気や会話も楽しいものです。
フランス人にはツンとしたイメージがあるかもしれませんが(事実、私もフランスに来るまではフランス人をそんなイメージで見ていました・・)、実際のところは、フランス人はおしゃべり好きで、知らない人とも平気で話す人が多く、どこか下町のおじちゃん、おばちゃんみたいなところがあります。
もっとも、これには個人差はあると思いますが、そんな下町のおじちゃんやおばちゃんみたいな、人と人の距離が近い感じを、ことさらマルシェでは感じることができます。
このどこか暖かい感じの雰囲気が、私がフランスの好きなところでもあり、最近では特に心地よく感じるところでもあります。
そもそも、私はどういうわけか、バス停などでも知らない人に話しかけられることが多く、当初はなぜ?外国人である私なんかに話しかけるんだろう?と思ったりしたこともあったのですが、そもそもパリは外国人だらけなので、そんなに外国人を特別視することもないのです。
マルシェのおじさんたちは、商売ですから、話すことにも慣れていて、声も大きく、話も楽しく、ちょっとジョークを交えたり、オーバーアクションだったりして、楽しい人が多いのですが、それに加わるお客さんたちも、どこか、ほっこりしていて、スーパーマーケットで淡々と買い物をしている人々よりも、生き生きとしていて、楽しそうなのです。
そこに流れる暖かい空気感が私は好きなのです。
また、野菜や果物、魚などの並べ方も、彩り豊かで美しいのも楽しいです。
マルシェには必ずお花屋さんもあって、けっこうお花屋さんに行列ができたりしているところもパリらしいところで、今日もお花屋さんで「ブーケを作ってくれる?」と頼んでいるおばちゃんがいて、「これは私のためのブーケなの・・」などと言いながら、ひとしきり話をしていく人を見かけました。
デコレーションのつもりか?口の中に思いっきりレモンを突っ込まれているお魚も愛嬌があって可愛いけど、こんなこと、日本じゃ絶対やらないだろうな・・とニヤッとしてみたりもしてしまいます。
最近、マルシェを出し始めたばかりだからなのか? マルシェの脇ではバンドミュージックのサービスつきで、それが若者ではなく、けっこうな年長者なのも、味わい深いです。
私は間違いなく、このマルシェの常連になります。
マルシェ おしゃべり好きフランス人
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