止まらないインフレの中、これまであまり見ることのなかったハードディスカウントショップが続々と登場していますが、このハードディスカウントショップの中でも、新しいビジネスモデルを構築しようとしている新しいブランド「トゥージャスト」の1号店がアレス(ガール県・オクシタニー地域圏)にオープンしました。
この新しいブランドは、「他の市場よりも10%安い」価格を提供することで、他のディスカウントストアと競争しようとしています。
これまでハードディスカウントショップといえば、どちらかといえば、日用品をメインに取り扱っていたイメージがありましたが、今回は、スーパーマーケット寄りというより、まさしくスーパーマーケットです。
また、それ以前からのディスカウントショップ(低価格帯のスーパーマーケット)としては、Lidl(リドル) や Aldi (アルディ)(ドイツ資本のスーパーマーケット)がありましたが、このリドルやアルディよりも少なくとも5%は安くなることを公言しています。
このブランドの特徴は、できる限り仲介業者を省き、生産者と直接取り引きしています。
例えば、このブランドで扱っているガスパチョなどを例に挙げると、通常は、生産者と流通業者の間に仲介業者が存在するために競合他社の間で6.5ユーロで販売されているものを彼らは「2.50 から 2.95 ユーロの間」で販売することができると説明しています。
トゥージャストのもう1つの特徴は、利益の一部をサプライヤーに支払うことを約束していることです。これらの製品の大部分は消費者に知られていないホワイトラベルであり、あまり知られていない製品を扱うことは、店舗側にとってはある意味リスキーなことでもあるのですが、その代わりに製品の仕入れをギリギリの低価格に抑え、利益が上がった場合にその一部を支払うという新しいビジネスモデルになっています。
ホワイトブランドにとっては、何よりも製品が売れて、消費者に少しでも知ってもらう機会にもなり、利益が出た場合に追加の報酬も得られるわけですから、生産にもより、真剣に取り組むことになるでしょう。
また、日頃、食料品などに関しては、ついつい、決まりきった長いこと慣れ親しんでいるメーカー(ブランド)のものを選びがちなのですが、この止まらないインフレが、あまりこれまで見かけたことがなかったブランドのものに手をのばそうとするきっかけになりつつあるということでもあります。
これまでフランスでは圧倒的に大きなブランド(認知度が高いメーカー)の製品がかなり独占して出回っているイメージがあって、逆に言えば、よく飽きないな・・と思うと同時に、彼らの好みがかなり保守的であることを感じていましたが、このインフレを機に、より多くの小さなブランドがこのようなお店を足掛かりに進出できるチャンスでもあるのかもしれません。
このお店は、現在1号店をオープンしたばかりですが、2023年末までには、約40店舗に拡大される予定になっています。
また、当然?割高なフランス産のものばかりではなく、スペイン産のオレンジ ジュース、ポーランド産の鶏もも肉、イスラエル産のクレマンチン(みかん)、さらにはケニア産のサヤインゲンなど、より低価格を追求するために海外からの輸入品も多く扱っています。
このインフレを機にホワイトブランドに目をつけて、より低価格で仕入れるかわりに利益が出た場合にその一部をディストリビューターに支払うという新しいビジネスモデルがこの先、どう他のマーケットにまで影響するのかはちょっと楽しみなところです。
今後、パリにもこの店舗ができるかどうかはわかりませんが、より低価格なのは嬉しい限りですが、それ以上に今まで目にしたことのない製品が並んでいるというだけでも、なんだか楽しそうです。
これが成功すれば、今後、同等のお店ができていくと思いますが、すでに昨年末にオープンしているスペインのプリマプリ、春にはドイツのTEDi、9月にはカーフールの子会社でアタカドンがフランスに上陸する予定になっています。
いつか日本の「業務スーパー」がフランスに来てくれるかも?と期待しています。
ハードディスカウントショップ トゥージャスト
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