2022年3月29日火曜日

機内模様から垣間見えた国民性と感染対策・衛生観念

   


 今回の一時帰国で、私が飛行機に乗ったのは、2年ぶりでした。旅行が大好きで、以前、日本に住んでいた頃から海外旅行が大好きで、空港に足を踏み入れただけで、飛行機を間近に見ただけで、税関を通過しただけで、ワクワクと心が踊るような気持ちになりました。

 今でも空港はある種、気分を高揚させてくれるものに違いはありませんが、あの頃の感覚とは違います。

 フランスに来てからは、時には、ヨーロッパ内を旅行することはありますが、やはり、最優先なのは、日本への一時帰国で、シャルル・ド・ゴール空港は、私にとっては、日本への扉のような感覚が強いです。

 まあ、極端に言えば、シャルル・ド・ゴール空港で飛行機に乗って、降りたら、もうそこは日本というあっという間に世界を飛び越えることができるもっと、容易で気軽?なものだったのです。

 今回は、それがコロナ禍、戦時下ということもあり、イレギュラーが重なり、ロンドン経由の長旅になり、2つの航空会社を利用することになったわけです。

 まず、パリ⇄ロンドン間の移動となったら、私にとっては、わざわざ空港に行かなければならない飛行機よりも、断然、ユーロスターを選ぶので、実際、パリ発ロンドン行きの飛行機に、今、こんなに乗客がいることも驚きでした。(日本だけでなく、他の地域への経由便として利用するだけでなく、ロンドンが目的地という人も・・)

 また、その後に乗った日本行きの飛行機内の航空会社と乗客の感染対策観念の違い、温度差にも、ちょっとビックリしました。

 パリからロンドン行きのブリティッシュエアーはほぼ満席、さすがに皆、マスクは着用しているものの、乗客は、かなりお喋りで、マスク以外は以前とあまり変わらない様子の機内模様。

 機内に搭乗してから、30分以上待たされるハメになったことも、通常運転の証。考えてみたら、機内に乗客を満席に詰め込んだ状態で待機させること自体、ちょっとどうかと思う上に、また、静かに黙って待っていられる人々ではありません。

 特に私たちが座っていた後の座席のフランス人の男性2名とその2人に挟まれている日本人の女性は、出発前から、もうお喋りが止まらない・・その中の一人の男性がどうやら、あとの二人を巻き込んでいる様子で、飛行機が怖くてたまらないから、しゃべらずにはいられないと言いながら、話しているのです。

 最初は、両端の男性が話している間に挟まれている女性が気の毒な感じで、「なんなら座席を端のどちらかの男性と座席を変わってあげたら?」などと前で聞いていて思っていました。

 しかし、その2人の男性はそのうち、間に座っている日本人の女性を巻き込み始め、その女性がフランス語が話せないにもかかわらず、今度は、英語とフランス語を交えながら、話し始めるすごい勢い。

 控えめに相槌をうっている日本人女性は、時折、流暢な英語で話に加わっていましたが、見ず知らずの人をさえ巻き込んででも話し続けるフランス人の男性の妙に耳障りな声と英語とフランス語が混ざりながら話し続ける様子に、ちょっとうんざりもしていたのでした。

 そして、数時間のロンドンでの待ち時間を経て、今度は、日本行きのJALの機内は、超長距離フライトということもあり、思ったよりも乗っていた外国人でさえも、この時期に日本に行くということは、日本に住んでいるか、もしくは、ビジネスで日本へ行くかなり日本をよく知る人々。

 機内のスクリーンには、「食事以外の時間はマスク着用、できるだけ人と話をしないでください」という表示がされています。さきほど、パリ→ロンドン便に乗っていたおしゃべりに溢れていた機内と比べて、シンとして、座席も半分ほどしか埋まっていないガランとした静けさです。これが、噂に聞いていた、日本の「黙食」の一部なのか・・と妙に納得したりもしました。

 機内は、長距離フライトの中、本当に、ほとんど口をきく人もいませんでした。また、食事の時間にあらわれたCAは、まるで病院?と思わせるようなガウンを制服の上から身に纏っていて、これには、さすがにちょっとギョッとさせられました。

 フランスは、感染者が再びリバウンドの増加傾向とはいえ、次々と感染対策への制限が解除されているので、日常モードになっていることからも、この機内の緩い?雰囲気もわからないではありません。

 一方、日本に着いてみると、ふと気がつけば、街中でも話には聞いていたものの、マスク率は120%?という感じにあらためてビックリしている自分にもビックリ。

 感染がピークに達していた頃でもなお、顎マスクや鼻出しマスクの人が少なくなかったフランスは、今では屋外でのマスクも義務化ではなくなり、まるで別世界。

 日本人の衛生観念や規律正しさが優れているのはわかっていましたが、逆に久しぶりの、しかもコロナ禍の日本の様子を肌で感じている毎日です。


機内の感染対策 衛生観念


<関連記事>

「コロナ禍で、日本では可能でもフランスでは不可能なこと フランス人に黙食はあり得ない」

「フランスでは知らない人に話しかけられる確率が高い私」

「ゴミの捨て方に見るフランス人のモラル フランス人には、箱を潰して捨てようとか、そういう観念はない」

「新規感染者数2,000人の日本と60,000人超えのフランス どちらが幸せか?」

「自分の落としたゴミを拾ったら、びっくりされて、すごく感謝された!」

 








 

2022年3月28日月曜日

入国後1日目、MY SOSアプリからの連絡 機内でまさかの濃厚接触者

   


 新型コロナウィルスによるパンデミックもまだおさまり切らず、まさかのウクライナ戦争での混乱で、パリからの直行便も欠航になっている中、パリーロンドン経由のフライトで現在、日本に一時帰国しています。

 出発ギリギリまで、フライトが予定どおり飛んでくれるかどうかも不安な中、日本入国のためのPCR検査やそれを日本オリジナルの書式に書き込んでもらったり・・、誓約書等、必要な書類を準備して、わずかばかりのお土産を揃えてバタバタと準備を進めて、シャルル・ド・ゴール空港からロンドンへ、そして、ロシア上空を避けての迂回ルートのロンドンー羽田便でパリの家を出てから、約20時間後に羽田空港に無事、到着いたしました。

 空港についてからの何重にもわたる書類やアプリのチェック、唾液検査などを経て、検査も無事陰性で、そのまま自宅に直行、久しぶりに日本の我が家に戻ってきました。実家に戻って、とりあえずはヤレヤレといった気分ではありました。

 日本にある実家の家は、両親が他界して以来、年に2度くらいやってきては、そのたびに、家の中のものを片付けているものの、まだまだ片付けは終わらないまま、今回のパンデミックのために、2年間は日本に来ることもできずに放置状態になっていました。

 幸い、同じ敷地内に従姉妹家族が住んでおり、時々、覗いてもらったりはしていたのですが、2年間放置していた家のあちこちは、埃やカビで大変な状態に・・。湯沸かし器がつかなくなっていたり、洗濯機が動かなくなっていたりと、まず、正常な状態に戻すのに、あっちこっちとかけずり回ることになりました。

 金曜日の夜に到着したものの、幸いなことに日本は土曜日も日曜日も営業しているところが多く、用事を1日にたくさん済ませることができるのは、助かります。

 ところが、日本に着いてから、バタバタと動き始めて、翌日、入国の際に入れることが義務付けられている感染対策アプリ「MY SOS」が突然、ぶーっ!ぶーっ!ぶーっ!と振動と鈍い音を立てて鳴り響き、なんと娘の方だけにアラートが!

 今回のフライトは娘と一緒でしたが、予約の際に、かなり空いているであろうということを予想して、ふたり、たてに1席ずつ予約を入れていました。おそらく、隣に予約が入らなければ、それぞれが2席ずつ使えるだろうと目論んでいたのです。

 実際に飛行機に乗ってみると、娘の隣は空席でしたが、私の隣は、残念ながら、かなり体格のよさそうな外国人の男性が座っていました。

 「え〜〜〜〜?なんで?ついてない!」と思った私は、一瞬、娘の隣に席を移ろうとしたのですが、それ以外にも何席も空席の場所があったために、二人ともが横になって眠れるように、CAの人に頼んで、私は別の空席に席を移動させてもらったのです。

 結果的に、それが私には幸いしたのですが、娘の座席の前後2席以内に座っていた人が到着後に感染したことが判明。娘には、「あなたは濃厚接触者となりました。1週間は、自己健康管理に努め、自宅隔離してください」というメッセージが・・。

 なんともショッキングなことで「濃厚接触者は待機期間緩和の対象外です。入国翌日から7日目までアプリの通知に応答し、待機を継続してください。違反した場合は見回り対象となります。陽性者の検体解析結果は判明次第、お知らせしますがオミクロン株以外であった場合は14日目まで待機継続となります。」との通知で娘は到着早々、1週間の自宅隔離となってしまいました。

 座席は半分くらいしか埋まっていなかったにもかかわらず、濃厚接触者とは、なんたる悲劇!長いフライト中も私たちは食事時間以外はマスクを決して外すこともなく、ひたすら耐えてきたというのに、いくつものハードルを乗り越えて、せっかく入国できたのに・・・。

 私は、幸いなことに座席を空いている場所に移動させてもらったことで難を逃れましたが、本来ならば、濃厚接触者と常にいる私も通知は来ていないものの立場は同じはず。

 なんとも、残念な結果となりました。

 長距離フライトを利用される方は、もし、空席があるようなら、できるだけ、人を避けた場所に座席を移動させてもらうことをお願いした方がこのような1週間待機になるリスクが低くなるかもしれません。


機内濃厚接触者 1週間隔離


<関連記事>

「涙・涙の空き家の片付け」

「パリーロンドン経由日本行きのフライトの今」

「コロナ禍と戦時下の一時帰国 長いフライトの後の羽田空港での書類チェックとコロナ検査」

「パリから日本行きの直行便キャンセル 国際郵便も届かない」

「時差ボケの苦しみと胃の容量を上回る食欲との闘い」









2022年3月27日日曜日

コロナ禍と戦時下の一時帰国 長いフライトの後の羽田空港での書類チェックとコロナ検査

   

いくつものチェックポイントを通過するけど、流れはスムーズ


 コロナウィルスによるパンデミックでフランスから日本への入国には、長い間、強制隔離施設での隔離、あるいは、自宅隔離期間が設けられており、その間の移動も公共交通機関が使えないなど、さまざまな障害が立ちはだかっていました。

 それが、3月に入って、ワクチン接種3回済みの人に対しては、隔離措置が撤廃されました。フランスでは、わりとワクチン3回接種を済ませている人も多く、多くの在仏日本人がこの恩恵?に預かることができるようになったと思います。

 ただ、出発前72時間以内のPCR検査の陰性証明書の提示が義務付けられており、しかも、この検査陰性の証明書には、日本の求めている内容のチェックが記載されている必要があり、できれば、日本独自のフォームに書き込みをしてもらい、サインをしてもらうのが、日本入国のためには、明瞭で問題が起こりづらいものと思われます。

 フランス在住の人は、PCR検査は、Carte Vital(健康保険のカード)とワクチンパスがあれば、無料でやってもらえるので、私は、あらかじめ、この日本独自のフォームに書き込んでくれる場所を確認して検査を受け、当日、あるいは翌日には、検査結果がSNSで送られてくるので、その検査結果を持って、再び、その検査場に行くと、日本独自のフォームに記入してくれます。

 私が行ったところは、けっこう日本独自の陰性証明書に記入するケースをこれまでにも、いくつも請け負っていたとみえて、「あ・・日本のね・・」と手慣れた様子で証明書を書いてもらえました。

 パリ在住、あるいは、近郊にお住まいの方でこのPCR検査の証明書を書いてもらえるところをお探しの方は、ここは、便利かもしれません。私が検査をした時点では、予約の必要もありませんでした。

○Laboratoire FELIX EBOUE BIO LAM LCD Autorisation

   3-5 Place Félix Eboué 75012 tel.01.43.44.51.94


 それに加えて、ワクチン接種の証明書、日本政府への入国に関する誓約書、MySOSアプリ、COCOAアプリのダウンロード、あらかじめ質問事項を記入するとQRコードが出てくるので、そのQRコードをスクリーンショットしておく必要があります。

 羽田空港に到着すると、これらの書類やアプリを何重にもチェックするポイントを通過し、(これがけっこう、長くて、こんなに何重ものチェックが必要なのか?と思う)唾液検査のブースに進みます。

 この際に、「フランスから入国の場合は、自宅隔離期間が必要です」とあらかじめ、説明を受けましたが、「ワクチン接種3回済みの人は隔離は必要ないはずです」と3回のワクチン接種の証明書を提示したら、「ちょっと確認して参ります」と言われて、「すみません。やはり隔離は必要ありませんでした・・」となったので、ワクチン接種証明書は、常に携帯しておいた方がいいかもしれません。

 そして、唾液検査用のキットを渡されて、自分で唾液を採取するのですが、この容器のここの線まで入れてくださいという唾液の量が結構な量で、私の場合、「そんなに唾液、出ない!」と思いながら、結構、唾液の採取には苦労しました。

 唾液採取が終わると、検査の受付番号のシールが貼られた健康カードという紙を受け取り、待機場に移動して、自分の検査番号が電光掲示板に表示されるのを待ちます。

 私の場合は、ここでは20分ほど、待ったでしょうか? 自分のナンバーが表示された時点で、検査結果を受け取りのブースで検査結果を受け取ります。ここで陽性となったら、隔離状態になってしまうので、ドキドキして、結構不安でしたが、幸いなことに陰性でした。

 その後の流れは、通常の入国と同じで、自動認証機械によるパスポートチェック(この際はマスクを外して顔認証)をして、荷物(スーツケース)を受け取り、通関して、解放されます。

 飛行機が到着してから、1時間ほどだったでしょうか? 現在は、比較的、入国者も少ないため、思っていたよりも、早く解放されました。

 いよいよ、入国して空港内に解き放されると、すぐにコンビニにかけこみ、おにぎりとお茶を買って、「あ〜日本に帰ってきた!」と実感するのでした。

 いくつもの不安材料であるハードルを越えて、日本に入国、やっぱり日本はいいな・・あぁ〜羽田空港だ・・と、今まで、こんなに感慨深い帰国はなかったな・・としみじみしながら、日本に入国いたしました。

 


 この税関を通って、自動ドアが開かれた瞬間、キティちゃんの看板がお出迎え、「日本だ・・」とどこかホッとする瞬間です。

 今から早いですが、次回、日本に帰国する際には、直行便で、PCR検査の必要もなく、あっさり入国できるようになっていてほしいとつくづく思うのでした。


海外からの日本入国 空港での書類チェックと検査の流れ



<関連記事>

「パリーロンドン経由日本行きのフライトの今」

「キャンセルした日本行きの日本の航空会社のアフターケアー さすが日本の航空会社!」

「パリから日本行きの直行便キャンセル 国際郵便も届かない」

「コロナウィルスで日本が遠くなった」

「ハードルが高いコロナ禍の日本への一時帰国」

2022年3月26日土曜日

パリーロンドン経由日本行きの超長距離フライトの今

   



 海外生活もトータルで四半世紀を過ぎて、特にパリ⇄日本間は、これまで、何回、行ったり来たりしてきたことか・・。娘が小さい頃は、できるだけ日本という国に、日本語に触れさせたくて、学校の休みが長い夏のバカンス時に、年に1回のペースで連れて行っていました。途中、あまりに多いフランスの学校のバカンスの調整をつけるために、数年、日本には行けなかった時期もありましたが、その分、ヨーロッパ内はだいぶ旅行して歩きました。

 数年、行けなかった分を取り戻すがのごとく、母が入院した・・危篤・・父の病状が悪化した・・、葬儀、日本の税務署からフランスまで通知が来て、慌てて日本に行く羽目になったり、ここのところ、年に数回、行くことも少なくありませんでした。

 夏のバカンスシーズンはチケットも高く、航空運賃というものは、2歳以上は、ほぼ大人と同じ金額で、二人分の日本往復は、私の決して多くないお給料からしたら、大変な出費で、少しても安いチケットを探して、ルフトハンザやブリティッシュエアなどの経由便を使っていたこともありました。

 しかし、歳を重ねるにつれて、だんだんと長距離フライトは、体力的にもキツくなり、また、9.11のテロ以来、一層、手荷物検査などが厳しくなり、経由便の場合は出発地のチェックに加えて、乗り換えの際に再び手荷物検査に時間がかかり、前のフライトが遅れて、だだっ広い空港内を走って移動して、乗り換え便にようやく間に合った・・ということもありました。

 2020年3月以来のパンデミックのために、日本の水際対策はとても厳しく、ずっと日本行きは諦めていましたが、ここに来て、ようやくフランスからの入国については、ワクチン3回接種者に対しては隔離措置がなくなり、用事も重なって、日本行きを決断したのです。

 ところが、やれやれ・・と思ったところで、今度はまさかの戦争。予約していたパリから日本への直行便はキャンセルになり、日にちをずらしたものの、またキャンセル、結局、ロンドン経由の便を利用しての帰国となりました。

 しかし、それでさえも、いつキャンセルになるかドキドキで、こんなに寸前まで日本へいくためにハラハラさせられるのは初めてのことでした。しかも、日本での隔離期間が撤廃されたとはいえ、まだ出発72時間前のPCR検査の陰性結果を日本式のフォームへの記載を頼んだり、日本入国のために必要な書類を揃えたりと今までとは違うステップがいるわけで、寸前でもしも検査結果が陽性になれば、全てはまたふりだしに戻ることになってしまいます。

 それでもシャルル・ド・ゴール空港に向かった時には、久々の飛行機や空港が嬉しくて、ちょっとワクワクした気分になりました。必要な書類を揃えて空港に行くと、さすがにこれまでとは、比べものにならないくらい、空港にも人が少なくて、ちょっと寂しくも思いましたが、一方ではそのおかげで思っていたよりはスイスイとチェックインも書類のチェックも進みました。

 ロンドン行きの飛行機は、機内で30分ほど待たされはしましたが、そこは、別にコロナも戦争もなくとも、いつもよくある出発の遅延の範囲内。

 ロンドンのヒースロー空港は、乗り継ぎ便のターミナルひとつひとつは、とても心配りがされて、便利にできている一方で、ターミナル間の移動がとても長く、時にはターミナル間を滑走路の近辺を通るバスで移動しなければならず、大変時間がかかります。

 現在のパリからロンドン経由の羽田行きのフライトは、単なる経由便というだけではなく、ロシア上空を回避した迂回ルートになるために合計すると20時間近いフライトになるのです。

 大昔、日本からヨーロッパに行くのには、北回り、南回りやアンカレッジ経由なるものがあって、かなり時間がかかっていた時期も私は経験していたので、まあ、そんな大したことないな・・と高を括っていたのです。そこは、やはり、私もあの頃は若かったのです。

 実際に乗ってみると、果たしてこれはやっぱり長い・・しかも、この長時間、空港内での移動の時間を含めて、機内でももちろんずっとマスク着用、このマスク着用状態で20時間近く・・というのが、長距離フライトに追い討ちをかけるように、結構、シンドく影響するのです。

 飛行機は、787−9という比較的小ぶりの飛行機にもかかわらず、座席は5割弱程度の埋まり具合で、一人で2席分は使うことができたので、それでも少しはマシでしたが、それにしても、長い・・シンドいフライトです。

 機内での食事は長時間でも、いつもと同じ2回、長いフライトなのでと、どら焼きとブルーべリーマフィンが配られた他、「おっとっと」などのスナック菓子やクッキーやお煎餅などが置いてあり、長時間フライトのストレスから?四六時中、お煎餅やらスナック菓子を食べ続けてしまうという最悪の感じ。もう日本へ到着する前から増量気味。

 こう長いと映画を見るにもスクリーンの光が目に厳しくて、なぜかスクリーンには「早く着かないかな?」と期待をもちつつ、飛行機のルートを示すマップをセットしている人が気のせいか多い気がしました。

 唯一の楽しみ?としたら、いつものルートではない北極圏の近くをとぶために空から見える景色が違って、もしかしたら、オーロラが見られるかもしれないという微かな期待がありました。(しかし、見れなかった・・というか、見る気も失せてしまった・・)

 現実的には経由便なのに、いつもよりもずっと高額のうえに、さらに時間もかかるというこのフライト、正直、かなりしんどかったです。

 ようやく日本に到着すると、何重にもわたる書類やアプリのチェックと検査が待っています。ここでまさかの陽性になったら、隔離です・・。

 それでも羽田空港では、到着する人より、それをチェックする人の方が多いのではないかと思われる受け入れ体制。無事、陰性で、入国できました。

 私は、帰りのパリ行きのチケットは、直行便も経由便も同じ金額だったために、「その頃には、なんとか・・」という淡い期待を込めて、直行便を予約しているのですが、さて、どうなることでしょうか?

 日本からパリに戻る時には、大量の食料品とともに戻るために、荷物は常に満パンで、フライトは可能な限り直行便と願っているのですが・・。

 しかしながら、ともかくもいくつものハードルを超えて、約2年ぶりの日本帰国は、嬉しいことであるには、違いありません。


ロンドンー羽田迂回ルートでの長距離フライト


<関連記事>

「キャンセルした日本行きの日本の航空会社のアフターケアー さすが日本の航空会社!」

「パリから日本行きの直行便キャンセル 国際郵便も届かない」

「ハードルが高いコロナ禍の日本への一時帰国」

「海外在住者の本人確認はパスポートではできない不思議」

「日本の鎖国延長についてのフランスの報道の中で気になったこと」

「フランスからの日本への入国 3日間の強制隔離撤廃 日本の水際対策」

 

 




2022年3月24日木曜日

ゼレンスキー大統領のフランス国会での演説

  


 日本の国会で演説を行ったウクライナのゼレンスキー大統領は、同日、フランスの国会においても、演説を行いました。彼は3月1日の3月1日の欧州議会での演説以来、国際舞台での外交キャンペーンを精力的に続けています。

 アメリカ、ドイツ、スイス、イスラエル、イタリアの国会で連日演説を行った後、3月23日(水)は、日本に続いて、午後3時からフランスの国民議会と上院で演説を行いました。

 毎回、ウクライナからビデオ会議で、自国語(同時通訳)で、軍用カーキ服を着て自国の旗の前での彼の演説は、スタンディングオベーションを受けていました。

 すでに、彼の演説は、それぞれの国にあわせた歴史的な出来事や人物を組み込んでおり、言葉も語調もその聴衆にあわせて語られています。

 イギリスでは、ウィンストン・チャーチルやシェイクスピア、アメリカでは真珠湾攻撃や9•11のテロ事件、またドイツではベルリンの壁を引用したかなり強めな訴えと日本では、TSUNAMIという言葉を使ったり、震災における復興にあたった日本の力を讃えたりと、その内容は様々ですが、もともと俳優であった彼にとっては、人に訴えかけて話すことはかれの得意分野でもあります。 

 しかし、どの国においての演説でも共通することは、聴く人の感情に大きく訴えかけるものであり、今や世界中の誰よりも世界中で演説を行い、その聴衆を引き込んでいくチカラを持った大統領であるかもしれません。

 このコミュニケーションは、ウクライナの重要な武器の一つでもあります。真実が拡散するのを恐れて言論統制をしているプーチン大統領と真実を訴えかけるために自ら演説を続けるゼレンスキー大統領とは、まさに対照的です。

 フランス国会での演説では、まず、「我々はフランスの援助に感謝しています」と述べ、この戦争にあたって、真のリーダーシップを発揮してくれているマクロン大統領の努力を賞賛し、フランスとその指導者がウクライナの領土保全を維持することを期待している」と述べました。

 そして、マリウポルをベルダンになぞらえ、3月9日のマリウポリ産科病院への爆撃は「中世のような残酷な包囲攻撃」だと述べました。「怪我をした女性、足を切断した女性、赤ちゃんを亡くした女性、骨盤を骨折した女性・・医師は彼女を救おうとしたが、彼女は死なせてくれと言っていた。彼女はもう生きる理由がないと思って死んだんだ・・」語り、とフランスの過去の記憶に訴えました。

 「ロシアの侵攻から数週間が経ち、マリウポルをはじめとするウクライナの街は、誰もが見たことのある第一次世界大戦の写真のようなヴェルダン廃墟を思わせる」と説明し、「フランスがベルモンドに別れを告げることができたように、私たちも互いに別れを告げることができなければなりません」と述べました。

 また、すでに数百社のフランス企業がロシアから撤退したものの、一部は今もロシアで活動を続けていることに言及し、「誰が罪を犯しているか、砂に頭を隠してロシアで金を見つけようとしているかは、皆さんがよくわかっているだろう」とオーシャン(Auchan・スーパーマーケットチェーン)、ルロワメルラン(Leroy Merlin DIYショップチェーン)、Renault(ルノー)グループを引き合いに出して、「フランス企業はロシア市場から撤退せよ」と呼びかけました。これらの企業は「ロシアの戦争マシンのスポンサーであることをやめなければならない」とロシアからのフランス企業の撤退をかなり厳し目に訴えました。

 同日、ルノーは、このプレッシャーのため、ルノーのモスクワ工場の操業停止を発表しています。

 そして、ゼレンスキー大統領は、「フランスは、真実を大切にし、それを守り続けている国であることをウクライナはよく知っている」と述べ、フランスのモットーとされている「Liberté, égalité, fraternité'(自由、平等、友愛)」という言葉を用い、「ウクライナ人が自由のために戦ってから1ヶ月になる」「我々の軍隊は数の上で勝るロシアに英雄的に対抗している 」と堂々と語り、「自由が失われないために、我々は、十分に武装しなければならない」とさらなる援助と物資支援を求めました。

 また、将来の紛争を防ぐために、フランスが「主導的な役割」を果たすべき欧州の「新しい安全保障システム」を構築することを期待していると述べました。

 おそらくフランス人に一番、ストレートに響く「自由」「真実」という直球の言葉を使った彼の演説は、どれだけ、フランス人の気持ちに響いたでしょうか?

 また、この世界中での演説を巧みに進めていくゼレンスキー大統領の様子を見ながら、日本のトップは、このような説得力のある演説を世界に向けてできるだろうか?とも思ったのでした。


ゼレンスキー大統領演説 フランス国会


<関連記事>

「フランス国内のオリガルヒ資産の凍結とフランスの税務署」

「マクロン大統領のゼレンスキールック」

「言論統制・報道規制の恐怖 プーチン大統領を止められるのは誰か?」

「世界中の共通の敵への制裁という団結とフランスの大統領選挙」

「フランス共和国大統領のアジャンダ(議事日程)L'agenda du Président de la République」



2022年3月23日水曜日

WHO(世界保健機構)が警告 ヨーロッパの感染対策解除はあまりに急激すぎる!



 WHO(世界保健機構)は、フランスをはじめとするドイツ、イタリア、イギリスを含むいくつかのヨーロッパ諸国があまりにも急激に感染対策を解除してしまったことに警告を鳴らしています。

 WHOによると、ヨーロッパの新規感染者数は1月末にピークを迎えた後、急激に減少していましたが、3月に入ってから一転して増加傾向にあります。感染症専門家によると、このリバウンドは、特にオミクロンBA.2亜型の優勢によって説明されるといいます。

 この7日間で、WHOヨーロッパ地域で510万人以上の新規感染者と12,496人の死亡者が記録されています。「特に増えているのは、イギリス、アイルランド、ギリシャ、キプロス、フランス、イタリア、ドイツである」と指摘しています。




 しかし、一方では、WHO欧州ディレクターであるハンス・クルージ氏は「今のところ警戒してはいるものの比較的楽観的に見ている」とも発言しています。

 楽観的になれる理由としては、ワクチン接種の拡大による効果と、これまでの経過で爆発的に感染が拡大したために、ヨーロッパ市民にかなりの免疫がある点を挙げています。それに加えて「冬が終わるので、狭い場所に人が集まりにくくなる」という点もしています。

 そして、オミクロンの変異型は、「ワクチン接種の少ない国では、依然としてリスクの高い病である一方で、ブースター投与を受けた完全なワクチン接種者にとっては重症化するリスクが低い」とも指摘しています。

 しかし、現実のところ、これまで慎重な態度を取り続けてきたヨーロッパが現在のように感染対策の急激な緩和に踏み切ったのは、これまでの感染拡大回避のための規制による制限と経済復興のバランスをどう取っていくのかという面のみに注力していたことに加えて、「ウクライナ戦争による混乱」が加わり、正直、戦場はウクライナであるものの、いつ具体的な火の粉がふりかかるかもしれない地理的、政治的な関わりや、ロシアへの経済制裁の煽りからの急激なインフレ、数十万単位で押し寄せてくるウクライナからの難民や、ついには核兵器がつかわれるかもしれない恐怖は、ヨーロッパの人々にとっては、コロナウィルス以上のものであるという現実なのです。

 その結果が、この急激な感染対策緩和につながっているのですが、WHOとしては、おそらくヨーロッパの立場があまりピンときていないことから生まれるこの警告。

 ヨーロッパのコロナウィルス感染状況を鑑みれば、この感染対策規制の緩和は、客観的には、あまりに急激で唐突なものであるに違いありませんが、ある程度は、感染は増加しているものの、ピークは超えたと思われるコロナウィルスへの対応が少し緩くならざるを得ないのかもしれません。

 ワクチン接種に加えて、ヨウ素剤の準備などが行われるなか、ヨーロッパは、コロナウィルス感染対策に加えて、経済復興、戦争への対応という3つのバランスをとりつつ進んでいかなければならない結果がになっています。

 このバランスが多少、崩れていることは事実で、ワクチンパスやマスク着用義務を撤廃する一方で65歳以上の4回目のワクチン接種を開始。このアンバランスさにフランス政府の焦りも感じられます。

 とはいえ、コロナウィルスは、戦争でさえ容赦はしてくれないもの、少しでも気を緩めれば、またこの戦時下に再び新しい感染の波を迎えないとは言い切れず、ここは、冷静にどちらも対処してもらいたいものだと思っています。


WHO警告 ヨーロッパ感染対策規制解除 ヨーロッパ感染増加


<関連記事>

「フランスHAS(高等保健機構)4回目のワクチン接種を65歳以上に推奨」

「マスク着用義務撤廃とフランス人の同調圧力」

「80歳以上の人々に4回目のワクチン接種開始とマスク義務化解除の矛盾」

「フランスのコロナウィルス感染リバウンド傾向に警鐘」

「在ウクライナ フランス大使館250万人分のヨウ素剤の用意とウクライナからの国民退避についての国の対応」

「ヨウ素剤の服用法が話題にあがり始めている物騒な世の中」





 


2022年3月22日火曜日

ロシアとオウム真理教 独裁者の暴走

   



 オウム真理教による地下鉄サリン事件が起こって、3月20日で27年が経ったという報道を見て、オウムとロシアとはダブるような感じがする部分があることを最近、感じています。

 地下鉄サリン事件は、日本で起こった事件の中でも、いつまでも忘れられない事件であり、今でも時々、資料を読み返したりすることがあります。

 当時、私は、日本の通信社で働いていたこともあり、1日中、当時のニュースはかなり詳しく目にしており、また、犯行の中心となったオウム真理教の幹部と言われた人々は、私とも年齢が遠くない人々で、どこか人ごとではないような気がしていたこともあったからです。

 最近、ロシアによるウクライナ侵攻のニュースで、今まであまり、関心のなかったロシアという国を見ていると、以前にオウム真理教がロシアに目をつけて、教団武装化のための武器を大量にロシアで調達したり、ロシアにも教団支部を作り、その勢力を拡大しようとしていた理由がなんとなく、今になってわかるような気がしています。

 オウム真理教の胡散臭さはもちろんのこと、ロシアにしても、あまり裕福とは思えない生活をしている人も少なくない印象の国が宇宙開発などに力を入れ、たびたび、ロケットを飛ばしてみたり、なんとなくアンバランスなおかしな国だと思っていました。

 オウム真理教というのは、一応、宗教的な側面があるものの、ケチな私にとって、執拗にお金を要求する時点で、信用しておらず、そもそもお金で幸福になれれば、宗教など必要はないと思うのです。

 ロシアに関しては、ある程度の水準以上の生活をしている地域の人もいるのでしょうが、以前、パリで見かけたロシア人の団体旅行の一部には、陸続きとはいえ、大型バスでロシアからパリにやってくる人々もいて、その団体の人々(大人たち)が手に握りしめているのは、旅行会社から配られていると思われるビニール袋に入ったパンやお菓子で、子供の遠足じゃあるまいし、パリへ旅行するのに、こんなのってあるの?と思ったこともありました。

 最近のプーチン大統領の嘘だらけの発信を見ていると、歴史的な背景や規模は違うものの、あの時のオウム真理教に共通するものがあるな・・と度々、思うことがあります。

 「ウクライナ政権を「ネオナチ」であり、そこからウクライナを救済する」という理由もめちゃくちゃで、ゼレンスキー大統領がユダヤ人であり、実際に家族もナチスの犠牲者であるという事実からもあり得ない話で、周囲を騙すにしても、もう少しマシな理由が考えられなかったものか?と思うと同時に、自国民でさえも兵士を騙して戦争に行かせたり、国民を欺き、事実を伝えず、外からの情報を遮断してしまうというのも、信者を現実社会から遮断し、反抗するもの、邪魔になる者は、抹殺し、ついには、あの前代未聞の地下鉄サリン事件という凶行に及んだオウムと重なるところがあるような気もするのです。

 また、自分たちがやろうとしていることを、他から自分たちが攻撃を受けようとしていることとして、言い訳しようとするところも共通していて、オウム真理教が、当初、サリンについても、自分たちがアメリカなどからのサリン攻撃にあっていると釈明していたこともあり、(アメリカを異常に敵視するという面も同じ)、今回、ロシアは、「ウクライナが生物・化学兵器を使おうとしている」などと言い出していることから、彼らが生物・化学兵器の使用を検討していると受け取ることもできます。

 そして、壮大な計画のわりには、妙にそのやり方が杜撰である部分も少なくないことも、結果的に国民の犠牲も信者の犠牲も厭わないことも共通しています。国民を騙しながら、ロシア軍兵士にも決して少なくない犠牲者を出していることも何とも思っていない感じです。

 結果的に、まさかそんなことをするわけはないということをやってしまうところも、何のためにこんなことをやっているのか、理解ができないところも、同じです。

 しかし、オウム真理教には警察が介入して、それ以上の被害は食い止めることができましたが、今回の戦争は、今のところ、誰も止めることができずに、バイデン大統領などが、「プーチンは戦争犯罪人」などと強い言葉で非難しながらも、その犯罪人を誰も捕まえることはできず、被害は拡大する一方です。

 警察の強制捜査を撹乱するために、追い詰められたオウム真理教が地下鉄サリン事件を起こしたように、ロシアが生物・化学兵器や、ついには、核兵器の使用に踏み切ってしまうことも考えられないことではありません。

 フランスのオリヴィエ・ヴェラン保健相は、昨日、「フランスは、原発事故や核攻撃から国民を守る十分なヨウ素剤の備えがある」と発表しています。そんなことを発表されても、「あ〜よかった・・これで安心!」と思えるわけではありません。

 なんとか、そんなものを使わなくても済むようにしてほしい・・と思いますが、こんな発表をすること自体、その危険性、可能性をフランス政府は十分に深刻に考えているということでもあります。

 現在、ロシアがウクライナに対して行っていることは、無差別な大量虐殺、もともとウクライナ政権がネオナチだと言い始めたことをまさに自身がやっているのです。

 テロ行為を起こす絶対敵な独裁者というものには、共通するものがあるものだと思うと同時に、独裁状態というものは、そもそもバランスがとれなくなり、その独裁者が暴走し始めた場合には、とんでもない事態を起こすのだということを地下鉄サリン事件から27年という3月20日を迎えて、あらためて、考えるのです。


独裁政権 オウム真理教 地下鉄サリン事件



<関連記事>

「海外での新興宗教の勧誘」

「宗教の教育」

「宗教が加担したフランスのコロナウィルスの拡散」

「宗教に傾倒しすぎる義理の息子 フランス人の宗教」

「ヨウ素剤の服用法が話題にあがり始めている物騒な世の中」