2024年8月3日土曜日

オリンピック期間中 公衆トイレがものすごく増えているけれど・・

 


 オリンピックの準備が本格的になってきた頃、パリ市内のあちこちを歩いていて驚いたことの一つに仮設の公衆トイレがものすごくたくさん設置されていることでした。

 パリのトイレ事情は正直、あまり褒められたものではなく、日常的には、どうしてもトイレに行きたくなれば、カフェに飛び込んで、とりあえず注文して、トイレに行かせてもらうというのが一番、一般的かもしれません。

 また、市内には、常設の公衆トイレ(有料)もありますが、人が使い終わって出ていくと、ダイナミックに水で清掃されるので、前の人と入れ違いに入ってしまったりすると、水浸しになってしまうという話を聞いたことがあります。

 また、管理する人もいない自動トイレなので、閉じ込められたらどうしよう?という不安もあります。(実際には、そんなことはないとは思うのですが・・)




 それにしても、公衆トイレのレベルは日本のように高くはないので、衛生面で不安も拭いきれないうえに、便座がないところも多く、トイレットペーパーも必ずしもあるとは限らないし、なぜそうなるのかわかりませんが、トイレットペーパーが便器のまわりに散らばっていたりすることも多いため、できるだけ、外ではトイレに行かなくて済むように、代わりに安心して行ける場所では、もれなく行っておくという予防策を講じています。

 ただ、今回のオリンピックのような大々的なイベントが市内のあちこちで行われる場合、公衆トイレをたくさん設置していることは、そのクォリティは別として、本当によかったな・・ と思っています。

 そんなわけで、私は滅多に外でトイレに行くことはないのですが、それでも、ごくごくたまに、どうしてもトイレに行きたくなって、もう頭が真っ白になって、とりあえず座り込んでみたり、ゆっくり歩いてみたりしながら、もう駅でもなんでもいいから、有料でもなんでももう行くしかない!ということも10年に一度くらいはあります。

 その10年に一度の機会がつい先日、訪れ、かなり切羽詰まった状況に陥りました。いつもよく通過するメトロの駅には、なんとなく、あそこにトイレがあるな・・というのは、わかっていましたが、これまで近寄ったことはありませんでした。

 無人の自動のトイレで、前に行ってみると、トイレということはわかるのですが、グリンのライトがついているだけで、有料とも無料とも書いてありません。こちらは切羽つまっているので、有料だろうと、無料だろうと、もしも閉じ込められたとしても、最悪の事態よりはマシと飛び込みました。



 思っていたよりも、全然、清潔で、トイレットペーパーもちゃんとあって、利用時間は最大15分で、停電の場合は手でこじ開けて出てくださいとしか書いてありません。しかし、もう考えている時間は私には残されておらず、とにかく用を足しました。

 これで無事に脱出できれば、よいわけですが、水を流す説明もボタンもなく、そのままとにかく、トイレから出ると、正面のボタンが赤くなり、清掃中の模様。

 びくびくする余裕もなく、駆け込んだトイレでしたが、意外にもスムーズで、思っていたほどに問題もなく、なんだ・・ふつうのトイレだった・・と拍子抜けしたのでした。

 結局は、グリーンのライトがついている時は利用可能で無料のトイレだったわけですが、外に何の説明もないため、あまり利用する人がいない模様です。

 とはいえ、多分、日本人がこのトイレに入れば、「えっ??なに?このトイレ??」ときっと思うと思いますが、フランスに来て以来、自分のトイレへの許容範囲が広まっている感じがします。

 本当に日本のトイレは素晴らしくレベルが高いのですよ・・。


パリの公衆トイレ


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2024年8月2日金曜日

オリンピック選手村はどんなところにあるのか?

  


 オリンピック・ヴィラージュ(選手村)では、選手村の食堂での食材が足りておらずに限られたもののサービスしかできていないとか、盗難被害が報告されているとか、、この暑さの中、冷房がないとか、あまり良いニュースが聞こえてこない気がします。

 そもそも、このオリンピック・ヴィラージュを建設しはじめる頃に、その場所にセーヌ・サン・ドニが選ばれたときに、「なぜ?セーヌ・サン・ドニなのか?」と思ったことを思い出しました。

 ここがオリンピック・ヴィラージュとして選ばれた理由のひとつは、大きなスタジアムがそばにあるということもあったのでしょうが、もともと治安の悪い地域として有名な場所を選んだのには、オリンピック・ヴィラージュを建設することを機に、この地域を再生したい、オリンピック後にもつながるパリの革新的な環境プロジェクトの一環として見据えていたということもあったようです。


オリンピック仕様のTOYOTAの車がいっぱいあった!


 このサンドニのスタジアムにしても、私はスポーツ観戦などをほとんどしないため、一度、近くを通ったことがある程度なのですが、オリンピックに向けて周辺はきれいに整備されているものの、警察や消防などの電話番号が大きく書かれた看板がやたらと多いことをさもありなんというか、不気味な気持ちで眺めた記憶があります。

 パリ市は、今回のオリンピックのための環境整備を将来の街づくりのプロセスの一環としているようなところもあり、結局、ギリギリなんとか実施したセーヌ川でのトライアスロンにしても、セーヌ川の水質向上を数年後には、一般市民が遊泳可能なレベルにしたいという目標があり、はっきりいって、今回は、かなり強引に競技を行ったようですが、セーヌ川の水質向上はオリンピックに間に合ってはいませんでした。

 また、オリンピック・ヴィラージュにしても、現在は、お世辞にも決して推奨できない地域に2,000戸の世帯住宅と800戸の住宅を含む2,800戸以上の新築住宅や学生寮、ホテル、学校、緑地スペース、オフィスなどを備えた環境問題にも充分に配慮された近未来都市のような図を描いています。この都市計画完成は2050年と見積もられています。


日本チームもあった!あった!


 つまり、このオリンピック・ヴィラージュ建設はその都市計画の中間地点であるのですが、実際に行ってみると、新しいビルがたくさん建って、現在はオリンピックの幕やのぼりがあがり、選手が利用している宿泊施設には、それぞれの国の旗や幕がかけられているため、華やかに彩られているので、余計に明るいイメージに変わっています。

 メトロと一緒ですが、周辺は、どこも新品な感じでピカピカで、落書きもなく、一瞬、「ここ、本当にサンドニ?」とびっくりするくらいです。


選手たちが移動するバスのりば


 とはいえ、入れ物を変えたところで、住民が変わることはなく、現在は厳重警戒が敷かれているため、怪しげな人影などは微塵も見られませんが、この警戒がなくなったら、どうなっちゃうんだろうな?と、思います。

 オリンピック・ヴィラージュ周辺はやはり、厳重警戒、警察官も憲兵隊もたくさんいて、一般人はもちろん立ち入ることはできず、エリア内に入る際には、厳重なチェックが行われていますが、そうはいっても、この選手村の中で働いている人も、関係者もたくさんいるわけで、その一人一人は一応、すでに一度身分を確認された証明書で入れるため、肝心な建物内の警備がどの程度にされているのかわかりませんが、残念ながら、盗難等の被害があったとしても、フランスでは不思議な話ではありません。

 以前、ガンで闘病中の友人が本当に深刻な病状で入院中、検査の間に病室にしまってあったバッグを盗まれ、お金はもちろん、保険証のカードから銀行のカードから家の鍵まで盗られ、それを届け出ても、「よくあること・・」とあしらわれて、大変な思いをしていたことがあり、私も話を聞いて、なんて酷い話!と腹を立てたことがありました。

 フランスは残念ながら、そういう国でもあるのです。今回のオリンピックではテロ対策もあって、市内の警備は超厳重だけど、オリンピック選手村の中までは、不充分だったのかもしれません。


オリンピック選手村


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2024年8月1日木曜日

こんなの初めて!パリジャンが驚いているパリのメトロ・・

  


 「パリオリンピックが開会して以来、パリのメトロがあまりに順調に稼働していることに、パリジャンが驚きの声をあげている」という記事を見て、なるほど・・と思いました。

 今回のパリオリンピック開催にあたって、大きな不安材料であったことのひとつはパリ市内の公共交通機関についてで、パリの住民にはできるだけ公共交通機関の利用は避けるようにとか、リモートワークにするようにとかいう呼びかけがされていたり、遅延等を避けるために、RATP(パリ交通公団)は、「乗客に病人が出ても停車しない」などと宣言したりして、物議を醸してきました。

 それが蓋をあけてみれば、パリのメトロは想像以上にスムーズで(今のところは・・)、むしろ、通常よりも遅延もなく、事故も起こらず、何よりもいつもよりもずっと清潔に保たれていることにパリジャンが驚いているのです。

 RATP(パリ交通公団)は、臨時の人員を大幅に配置し、実際に大して混雑していないところまでも行列ありきで駅の構内にテープを張ったりして、人の流れを整理する体制をとっています。

 また、清掃も行き届いていて(パリにしては)、今のところ臭い駅にもメトロにも遭遇していません。

 メトロがスムーズに稼働している理由には、いつもに増しての注意と人員を割いていることもあるだろうし、テロ等の警戒のために、メトロの駅や車内までにも警察や憲兵隊等が警備していることもあるとは思いますが、何よりも思っていたほど、観光客やオリンピック観戦のために来ている人が少なく、パリから逃避してしまったパリジャンも多いということがあるかもしれません。

 まだ、全体の観光客数などが出ていないので、わかりませんが、おそらく、オリンピック期間中は満室になるであろうと思っていた我が家の近所のホテルなども、そこまで満室という感じでもないことから、目論んでいたほどには、パリに観光客は来ていないのではないかと思われます。

 私自身もオリンピック時には、乗客が膨れ上がるであろうし、そのうえ、土地勘のない観光客に溢れたら、大変なことになるだろう・・と勝手に心配していましたが、むしろ、どこへ出かけても、オリンピック開催以来、今のところ、メトロでトラブルに全く遭っていない・・そういえば、いつもなら、こんなことあり得ないはず・・などと思います。

 とはいえ、バスは、運行停止の区間などがけっこうあって、少々不便ではありますが・・。

 それでも、まったく問題がないわけではなく、開会式の翌日に13号線が停まって、乗客が線路を歩かされたというニュースをチラッと見た気はするのですが、これでさえ、「早急な対応ができた!」とRATPは胸をはっており、全般的には、いつもより、ずっとスムーズという声が圧倒的に多いようです。

 この状態がキープできれば、それに越したことはないのですが、オリンピックが終われば、また元に戻ることでしょう。

 清掃だけでも、この状態をキープしてくれたら・・と思いますが、一時、コロナウィルス感染が始まった初期の頃は、本当にメトロも駅もきれいになり、このまま続けばいいなと思っていたのに、いつのまにか、すっかり元どおりに汚くなりましたから・・。


オリンピック期間中のパリのメトロ


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2024年7月31日水曜日

オリンピックでフランス人の英語力が上がった?

  


 ここ数日、お天気がよくなって(ちょっと良くなりすぎで暑いけど・・)、パリでのオリンピックの風景を見て歩いているのですが、まあ、街の中が(といってもオリンピックに関係のある場所ですが・・)華やかで、どこかウキウキとしている感じで楽しいです。

 もともと美しい街ではありますが、それがオリンピックのデコレーション?と上手く調和して、上手いこと街をオリンピックバージョンに変身させたものだな・・と感心しながら歩いています。

 いつもならば、そんなに人に道を聞かなくても歩けるのですが、現在は依然として道路の一部が閉鎖されていたり、またオリンピックのために設置されているものを見に行ったりするため、道を尋ねたくなるケースが多いわけです。

 そんな時でも、まず、街中には警察官はちょっと引くほどいるうえに、ボランティアもたくさんいて、駅にもおそらくRATP(パリ交通公団)の臨時職員と思われる人々がたくさん待ち構えているので困ることはありません。

 自分の方から声をかける場合には、フランス語で話すのですが、向こうからも「なにか困った事はありませんか?」などと声をかけてくれることもけっこうあって、そういう場合は英語であることが多く、このフレンドリーに英語で助けの手をのばしてくれる感じに驚いています。

 まあ、街中に配置されているボランティアは、ある程度、英語が話せるということで選ばれている人々であるとは思うものの、パリでこんなにたくさんのフランス人が親し気に英語で話しかけてくれる場面に私は初めて遭遇しました。

 また中でも10代後半から20代前半くらいの女の子たちの英語が想像以上に上手でびっくりしています。おそらく学生なんだと思いますが、考えてみれば、彼女たちにとって、同じような話を繰り返し説明するとはいえ、英語を話す良いトレーニングで、実に清々しい気持ちのよい女の子たちでした。

 そもそも、フランス語と英語は似て非なるものではありますが、読み方や発音は違ったりもするものの、重なる単語などもけっこうあって、日本人が最初から英語を学ぶよりはずっと楽なのではないか?なのに、なんでフランス人は英語を話したがらないのか?と思ったこともあります。

 以前はフランス人は英語を話してくれずに感じ悪く・・駅などで英語で質問している観光客に対して、「ここはフランスなんだからフランス語で話しなさい!」などとフランス語で言っているのを何度見かけたことか?本当に感じ悪いな・・と思ったことも一度や二度ではありませんでした。

 しかし、オリンピックで湧くパリ市内の様子を見ていると、もうそんなことはパリでも通用しないし、むしろ、若い子たちは、本当に感じがよくて、英語のレベルもなかなかなもので、なによりもオープンマインドな感じになって、以前の無駄にスノッブな感じのフランス人のいやらしさが全然、感じられなくなりました。

 もちろん、フランス語も大切ですが、このような世界の人が集まるような場ではやっぱり英語です。日常、ふつうに生活していれば、逆にあまり英語に接することはないものの、やっぱり、ここぞというタイミングでは英語も話してくれる若い優しい感じのよいフランス人が増えていることに「いいぞ!若者たち!」と応援したくなるのでした。


パリオリンピック 英語


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2024年7月30日火曜日

最後までグタグタ・・セーヌ川の水質問題 トライアスロンがデュアスロンになる可能性

  


 危険視されていたセーヌ川上でのオリンピック開会式もなんとか事件も事故も起こらずに済み、今回のオリンピックで終始、疑問視されていたセーヌ川でのトライアスロンが最後の最後までセーヌ川の水質問題で未だに動向が不明となっています。

 セーヌ川で開会式のパレードを行うことも、ちょっと前代未聞の荒唐無稽な話ではありましたが、またそのセーヌ川を利用してトライアスロンの競技を行うという決定も、リスクの種類は違っても、同様にちょっと考えられない発想でした。

 セーヌ川の水質を改善させることは、長いことパリ市の課題でもあり、このオリンピックを機に、浄化させることを目標としてきました。

 パリ市は、このためにオーステルリッツに水を浄化するための巨大な貯水池を落成したりしたものの、今年に入って以来、イル・ド・フランス(パリを含む周辺の地域)は極端に天候の悪い日が多く、降水量も増えて、ギリギリまで水質検査の結果がオリンピック基準にパスできないまま、5月末から6月にかけて、大雨のために5万リットルの汚水がセーヌ川に流出するという事態まで起こっていました。

 このセーヌ川の水質問題が浮上するたびに、マクロン大統領やパリ市長が、絶対に水質には、問題がなくなると確信している!なんなら、オリンピック前に自分が泳いで見せる!と言い放ち、現に、オリンピック開催のギリギリ直前の7月17日に本当にセーヌ川で泳いで見せるという体当たりのデモンストレーションを行い、水質改善をアピールしていました。

 ところが実際にオリンピックが始まってみると、セーヌ川の水質検査は数回、続けて水質検査の結果に問題があり、トライアスロンのセーヌ川での事前トレーニングが2回連続で延期され、いよいよ日程が差し迫り、まさかの事態には、トライアスロンではなく、デュアスロンになるかもしれないという可能性がでてきています。

 こうなってくると、遡ってパリ市長が泳いだ日も実は水質検査はパスしていなかったのでは?という話まで出てきて、パリ市長は、「あの日はたしかに水質検査はパスしていた!」と火消しに必死。この期に及んで、まだ、競技当日には、水質は改善されるはずと言っています。

 そもそもオリンピック開会式の日は残念ながら、パリはかなりの雨で、そのうえセーヌ川はパレードのために選手たちが乗った船だけでも85隻にのぼる数の船、それに加えて警備用の船も含めたら、少なくとも100隻以上の船が雨の中を時間をかけてセーヌ川を通っているわけで、加えて、翌日も雨の一日。セーヌ川の水がきれいなわけがありません。

 セーヌ川の水質問題については、専門家が出てきて、「セーヌ川が泳げるようになるには、あと4年くらいかかる」などとも言っています。

 はっきり言って、セーヌ川がきれいかどうかは一目瞭然で、誰も好んでセーヌ川で泳ぎたい人はいないはず。同じくウォータースポーツでサーフィンなどの映像を見ていると、タヒチの海は本当に美しく、トライアスロンの選手からしたら、恨めしく感じることと思います。

 そもそも、こんなにギリギリまで、事前のトレーニングも現場でできないなど、もうこの時点で選手には申し訳ない話。まだ結果は出ていないとはいえ、トライアスロンがデュアスロンになろうものなら、そのために、何年間も人並み外れた訓練を積んできた選手にとったら、痛恨の極みです。

 火曜日の朝8時に行われる男子のトライアスロン競技は当日の朝4時に採取した水質検査の結果にかかっており、これにパスしない場合はまた延期、競技日程の最終リミットは金曜日(8月2日)の朝8時。当日、再び朝4時の水質調査の結果、パスできなかった場合は、この日が緊急事態宣言日となり、トライアスロンではなく、デュアスロンになる可能性があると見られています。

 試合当日に向けて体調を合わせていく選手にとって、これは酷い話です。

 水質検査がパスできなかったとしても、またパスしたとしても、いずれにしても、この水質検査ギリギリのセーヌ川で泳ぐのは、どんな罰ゲームなのか?という気がします。

 開会式のセレモニーにしてもトライアスロンにしても、どうしてそこまでセーヌ川にこだわるのか? そもそも最初から問題視されていて、代替案があるとも言っていたのに、結局、最後までグダグダでギリギリまで引っ張るカタチになってしまいました。

 単純に言って、水質検査をしなくても、「泳げるかどうかは、見ればわかるでしょ!」っていう気がするんですけどね・・。


パリオリンピック セーヌ川の水質問題


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2024年7月29日月曜日

オリンピックを開催している街ってこういう感じなんだ・・

  


 パリオリンピック開会式の日は、交通手段も限られていたし、その翌日もお天気が悪く、なんとなく、街中に出てみようという気もしなかったのですが、2日後、ようやく、ちょっとオリンピック色に染まった街の様子を覗いてみようか?と、パリにあるいくつかのスタジアムのうちの一つの近辺を少し歩いてみました。

 相変わらず、我が家の周辺のバスは通常運転にはなっておらず、「え~~?まだダメなの~~?」と正直ウンザリもしたのですが、セーヌ川へのアクセスは、場所にもよるのでしょうが、再開されていて、久しぶりにセーヌ川沿いも歩くことができました。

 スタジアムの近くの駅は、やはり警備は相当なもので、「メトロ、結構、混んでる?」と思ったら、警備隊(私が見たのは憲兵隊でしたが・・)がメトロの中にまで乗り込んでいました。


 おそらく、セーヌ川近辺に取られていた人員が今度は市内、メトロの中にまで配置されるようになったものと思われます。まあ、こんな警備隊がメトロの中にまで乗っているのは、多少、緊迫感もありますが、よく考えてみれば、安心なわけで、おそらく、日常のパリよりは、数段、治安がよくなっているのではないか?と思われます。

 お天気が良いだけで、パリは本当に格段に美しく感じられ、また、オリンピックのための表示や看板などが周囲の風景や緑の木々など、計算しつくされたようにマッチしていて、路肩に何気なく置かれたブロックなどまでもが、今回のパリオリンピックカラー(オリンピックの五輪の色とは別のパステルピンクとペパーミントグリーンなどなど・・)にペイントされていて、とってもいい感じです。



 開会式のための警備のための、あまりの規制の厳しさに逃避してしまったパリジャンも多かったわけですから、すべてのフランス人がオリンピックに好意的、またオリンピックに興味あるというわけではないとは思いますが、それにしても、やっぱりオリンピックを開催している街がなんとなく、次第に湧いてくる、なんとなく多くの人がワクワクしている感じというものを少しずつ感じています。

 テレビのオリンピック中継なども、いつもは要所要所に少しずつフランス人の分だけ・・という感じが多いのですが、今回は、時差もなく、何より開催国ということで、夜20時のニュースの時間なども、ほぼ一般的なニュースは最小限でオリンピックの中継やオリンピック関係の報道に割かれています。

 私は、オリンピックといえば、やっぱり日本人を応援したくなるのですが、ふだんはあまり日本人の分は放送してくれないので、日本人がいない競技はフランスを応援します、

 昨日はちょうど、水泳の生中継をしていて、フランス人も日本人も出てきた男子400メートルメドレーの試合でした。

 これは珍しいタイミング!と思って見ていたのですが、満席の会場の応援はほぼほぼフランス人の応援で、テレビ越しからでも伝わってくる観客席の大熱狂。各国からの応援団はそれぞれいるとはいえ、これはフランス人にはずいぶん有利、気持ちの上がりかたはずいぶん違うのではないかと思いました。

 その試合では、なんとフランス人が金メダル!日本人が銅メダルを獲得していました。

 ちょうど、その日には、たまたま行ったスタジアムの近くに時計メーカーのOMEGA(オリンピックの公式タイムキーパー)のパビリオンができていて、実際にオリンピックで使われているタイムを測るための装置や実際のプールの中の装置がどんな風になっているのかなどを見てきたばかりだったので、「ほんとに、あれ、使ってるんだ!」あの展示場に出ていた写真の人(奇しくも当日金メダルをとったフランス人選手)だ!などと、いつもよりは、興味深く見ることができました。






 このオメガのパビリオン、実際に自分で走ってみてタイムを計ってくれるゲームなどもできるし、わりとふらっと見て回れるので、機会があれば覗いてみるのも楽しいかもしれません。Parc de Bercyの中にあります。入場無料です。

 まだまだオリンピックは始まったばかりではありますが、街がオリンピックでなんとなく高揚していく感じというものは、こんな感じなのか・・というのを少しずつ感じています。

 と、同時に無観客のまま行われた東京オリンピックは、本当に残念だったな・・とも思うのです。


Paris 2024 パリオリンピック


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2024年7月28日日曜日

フランスにとってのオリンピック開会式セレモニーの意味

 


 4時間以上にも及ぶ2024年パリオリンピックの開会式セレモニーは、悪天候の中にもかかわらず、大きなトラブルに見舞われることもなく、無事、終了しました。

 マクロン大統領は、翌日、会見で、このイベント前から警備にあたった人々、ボランティアをはじめ、2024年パリオリンピックの成功に貢献したすべての人、特に大会の安全を確保した人たちに感謝したいと述べました。

 また、X(旧Twitter)には「誰もが不可能だと言った・・しかし、私たちはやり遂げた!それは集団の力、国家の投資、そして私たちを守ってくださる皆さんの並外れた動員のおかげです。ありがとう!」とポストしています。


 彼は今回の開会式セレモニー開催のための異例の動員に対して国の感謝の意を表明しているのです。

 まさに今回の警備のための動員は、まさに「異例」の動員で、日常から他の都市に比べて格段に警察が多いパリでさえも、こんなに連日、大所帯の警備隊を目にする日々は(特に最後の1週間)あり得ないことで、日々、パリの住民は減っていき、終いには、「ここ、警察官の方が多くない?」と思う場所もあるくらいでした。

 そもそもバカンス命のフランス人にとって、バカンスに行かずに夏の間も仕事をしろ、オリンピックのために働け!というだけでも大の難題であったのに、なんといっても、このセーヌ川上をパレードするという警備上、この上ない難題をかかえて、一体、どうするのだろうか?それこそ、「誰もが不可能だ」と思ったはずです。

 しかも、世界情勢も不安定でフランス国内でさえも決して安定した政情ではなく、ましてや、6㎞にわたる川岸、水を挟んで両岸を1週間まえから閉鎖して、テロの可能性のあるものを排除し、海外からの動員も受けながら、警備を続け、その間にオリンピックのための仮設会場やセレモニーのためのセーヌ川沿いのデコレーションや観客席まで作り上げたのですから、これは日常のフランスを知っている身からしたら、本当に快挙です。

 だいたい、工期というものがあってないような日常のフランスにもかかわらず、これをなんとか間に合わせただけでも驚きのことです。

 セレモニーのパフォーマンスに関しては、賛否両論、色々あるようですが、それですら、大胆といえば、大胆、かなりやり過ぎというか、極端なパフォーマンスはありましたが、論争が起こることを恐れずにやってしまう、むしろ、論争を歓迎するというか、堂々と受けて立とうとしているところがそれぞれの演出などをしたアーティストにはある気もします。

 敢えて、誰にでも受け入れられそうな無難なものには仕上げずに、このなんでもありな感じを敢えて出していくのがフランスでもあり、また一方では、同時にものすごく保守的な部分ももっているのがフランスなのだと思っています。

 特に、フランス(マクロン大統領)にとっては、この「セーヌ川沿いのパレード」からの開会式という「誰もが不可能だと言ったことをフランスがやり遂げた!」という部分の方が重要なことで、特に集団的な努力を強調することで、レジリエンス(不利な、困難な状況の中で対応する力)を示し、オリンピックを国民の団結を強化できる象徴的なプロジェクトとして見据えており、この大会のプラスの効果(成功体験)が国中に広がることを願っていました。

 同時にこの規模のイベントを組織するフランスの能力を強調しているとも言えます。

 とはいえ、現段階では、最もリスクがあると言われた開会式が一応、テロなどの標的にはならずに終了したというだけで、まだまだオリンピックはこれからです。

 もっとも、この開会式の成功が「国が総力を併せて団結すれば不可能を可能にできる!」と必ずしもそう簡単に国民は思わないことも明白なことで、このあたりが、マクロン大統領が国民と嚙み合わないところでもあります。


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