2024年1月3日水曜日

羽田空港での航空機衝突炎上事故にフランス BEA(民間航空安全調査分析局)が調査員派遣

 


 新年早々、2夜連続、フランスの夜のトップニュースに日本の話題が上がるなど、どうにも、やるせない気持ちになります。

 ふだんは、なんといっても、日本は遠い国で、ニュースに取り上げられることはあっても、トップニュース扱いということは滅多にないことなのです。

 前日の石川県能登半島での大地震でさえ、かなり衝撃的な取り扱いでしたが、翌日の羽田空港での民間航空機と海上保安庁の航空機の衝突による炎上はまさに炎が上がる・・✈が燃える映像は衝撃的で、民間航空機の乗客が事故直後に機内で撮影した映像も流され、機内の様子まで報道されていました。

 さすがに日本人、パニック状態でありながらも、客室乗務員の機内での支持は適切かつ的確で、暴れ出すような乗客も見えずに凄いな・・と思いました。

 飛行機は、ちょうど着陸するかしないかのタイミングだったとのことで、本来ならば、飛行機が着陸して、一応、ホッとするタイミングです。民間航空機の乗客は、全員、緊急脱出スライドから飛行機を脱出したとのこと。これがフランス人ばかり乗っている飛行機だったら、パニックの起こし方も桁違いに大変な騒ぎになっているだろうな・・などと想像したりもしました。

 消防隊がかけつけたものの、乗客全員が避難した後にあっという間に飛行機全体が焼けてしまったということなので、余計に冷静、迅速な避難で多くの命が救われたことを思うと、乗客の人々は、ほんとうに生きた気持ちがしなかっただろうと思います。

 飛行機に乗るたびに、酸素マスクの使い方や避難方法などがCAさんによって説明されますが、正直、私はロクに聞いたことがなかったのですが、やっぱりちゃんと聞いておくべきなんだな・・と思ったりもしました。

 衝突した海上保安庁の飛行機は、被災した石川県に数千人分の食料品や生活必需品などの救援物資を届けるところだったということで、余計にやるせない気持ちです。

 この事故に際して、フランスのBEA(民間航空安全調査分析局)(le Bureau d'enquêtes et d'analyses pour la sécurité de l'aviation civile)の専門家チームの調査員が派遣され、3日には日本に到着するという話を聞いて、なるほど、昨日の大地震に際して、マクロン大統領が被災した日本へのお見舞いと救助・援助を申し出ていたので、その一部が早々に実現するのか・・と、一瞬、思ったのですが、これは、飛行機事故の調査のためのもののようです。

 というのも、この事故機となった日本航空が使用していた飛行機エアバスA350-900型機は、フランスのトゥールーズで製造されたもので、そのために、BEA(民間航空安全調査分析局)の出動となったようです。

 このBEAは、通常はフランスで発生した重大な民間航空事故などについて、状況を解明し、原因と要因を特定するために、独自に安全調査を実施している機関なのですが、フランスで製造または設計された航空機に対して海外で事故が発生した場合に、国際規則で定められた条件の下で外国の対応機関が実施する調査にも貢献しています。

 調査の結果、セキュリティに関する推奨事項を伴うレポートを発行し、航空の安全性を向上させることを目的としているそうです。

 実際、この事故の原因等は、現段階では発表されていませんが、この年明け早々の災害に次ぐ、大事故、よもや、対応如何によっては、さらなる犠牲者も生まれかねなかった大惨事になるところだったことを思うと、大事故に接して妙な話ですが、日本の航空会社の方が信頼できるかも?とも思った事件でした。


羽田空港 航空機衝突炎上事故 フランスBEA民間航空安全調査分析局


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2024年1月2日火曜日

フランスでも石川県での地震は夜のニュースのトップ記事

 


 こちらは、のんびりと元旦の一日を過ごしていて、友人たちに「あけましておめでとう」のメッセージを送ったりしていたら、日本の友人たちから、「石川県ですごい地震があって、大変らしい・・怖い・・」というようなメッセージが返ってきて、初めて、日本で大地震があったことを知りました。

 それから、しばらく、ネットのニュースを見たりして、津波の様子やニュースで、「すぐに逃げてください!家や財産よりも命が大切です!」などと、テレビで呼び掛けているのを見て、ほんとに怖いな・・地震って忘れた頃にやってくる・・しかし、しかも元旦なんて、あんまりだ・・と思っていました。

 パリにいると、地震というものはないために、地震というものを忘れがちになっているのですが、フランス人などには、体験がないために他の国の地震などの災害と比較して客観的に見るので、また違った見方をするようです。

 これだけ大きな地震ならば、フランスでも報道されるのだろうな・・と思っていたら、夜8時からのニュースでは、トップニュースとして石川県のニュースが扱われていました。

 地震での被害の様子、駅やコマーシャルセンターの中、一般の家の中、津波が押し寄せる海、地割れを起こしている場所などの映像が次々と流され、被害状況を伝えていました。

 それだけで終わりかと思っていたら、現在、日本当局の発表によると、死亡者は4人だけで(翌日の発表では55人、その後は増え続けているけれど・・)、なぜ、これほどの被害にもかかわらず、日本は最小限の被害に抑えられるのか?という解説もしていました。

 それによると、日本人は常日頃から、地震などの災害に対する訓練を欠かさずにしていて、学校などで行われる避難訓練で机の下に避難したり、落ち着いて行動する訓練をしており、緊急連絡先に問い合わせができたり、緊急避難先などを徹底しており、また、大きな建築物なども耐震構造になっているために日本は、このような大災害にもかかわらず、最低限の犠牲者に抑えることができるのだと解説していました。

 ニュースでは、日本駐在のフランス人などからの話を聞いていて、「日本人は、災害に慣れている・・自分よりもこどもたち(現地の学校に通っている)の方がよっぽど落ち着いて、適格な行動をしていた・・自分はただただ怖かった・・」などと語っていて、さもありなん・・日々の訓練や災害教育って大切なんだな・・と思いました。

 ちょっと日本が褒められたみたいで嬉しかったです。

 しかし、一方では、今回の震源地と言われている石川県志賀町には、原子力発電所があり、現在は、原子力発電所の敷地内に活断層があるという議論が続いていたために、稼働していなかったとのことで、大事にはならずに済みましたが、この原子力発電所を稼働させろと経団連がせっついていたとのことで、もし、これが経団連や政府の圧力により稼働していたら・・と思うと恐ろしい話です。そんな危うさが日本には、あります。

 地震などの自然災害は、戦争などとは違って、大自然が相手の予測も反撃もできない大変なことで、こういった大地震が忘れた頃にやってくる・・また、いつ、どこにやってくるのかもわからない災害を抱えている日本は、その国民性にも影響しているんだろうな・・とも思ったりもします。

 フランスでは、どちらかといえば、災害より人災が多く、それでも最近は、異常気象のためか? しょっちゅう、洪水という自然災害が増加しています。ここ数年で特に多くなってきた災害とはいえ、洪水を避けるとまではいかないまでも被害を少なくできるような防御策とか、対応策はないんだろうか?と思ってしまいます。

 パリのセーヌ川でさえも、毎年のように洪水とまではいかなくても、川の水位が上がり過ぎて、バトームーシュなどの遊覧船などの船が橋の下を通過できなくなる・・なんて話は、ずっと前からよく聞く話です。

 フランスも災害を回避、軽減する方法、日本から学んでほしいけど、日本もフランスから学んでほしいことはたくさんあります。


石川県能登半島地震


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2024年1月1日月曜日

2023年のフランスを振り返る

  


 毎年、恒例の大晦日の大統領の演説を聞きながら、そういえば、2023年も色々なことがあったな~と思い出しています。個人的には、どんどん時の経つのが早く感じられる中、この一年もまた、あっという間に経ってしまった気がするのですが、思い返してみると、大きな出来事がたくさんあったんだな・・とあらためて思い出されるのです。

 ここ数年は、パンデミックがあったり、突如、戦争が始まったり、世界的にも動乱のときとも言えるのですが、この一年は、フランス国内だけでも、なかなか激しいできごとが起こった年でもありました。

 マクロン大統領は、この年末の演説の中で、イスラエルやウクライナでの戦争にふれつつ、この大きな暴動が続いた一年を「フランスは間違いなく、最も多くの決断を下し、最も多くの変革を実行した西側諸国の一つだ!」と述べました。

 なるほど、たしかに事実ですが、上手い言い方です。

 たしかに、年明けからの暴動は、年金改革というか、定年延長、今では懐かしささえ感じる憲法49条3項についての少々、強引な推し進め方に反対のデモから暴動がおこりました。

 これは、あちこちで起こる暴動とともに、今までには例を見なかったゴミ収集業者のストライキという荒業のために、街中にゴミの山ができて、ゴミが溜まるだけでなく、そのゴミがあちこちで燃やされるという無残なものとなりました。

 また、夏頃には、検問を拒否した未成年の少年を警察官が射殺してしまったことによる公権力の暴走行為への抗議の暴動がエスカレートし、それがSNSにより拡散されるだけでなく、スナップチャットなどの機能を使って、いわばゲーム感覚のように競い合って行われる異常事態に発展し、見境なしに、夜中に店舗が襲われて、強奪行為が続出したり、一方では、市町村の議員の自宅が狙われたり、ついには、昼日中にもコマーシャルセンターに押し入って来たりと、私もすんでのところで巻き込まれそうになるという危うい思いもしました。

 そして、年末には、かねてから、予告されていた移民法の改正が採択され、不法移民をより厳しく取り締まるようになりました。

 マクロン大統領は、激動の一年を、国民には、不人気であること(特に年金改革)は、理解しているが、これらの決定は、未来のフランスのために絶対に必要なことであると確信していると述べています。

 これらは、将来の世代に対する私たちの義務であり、フランスは国のために行動する人々の側にたゆまぬ寄り添いを約束すると力強く語っています。

 2024年はオリンピック・パラリンピックが私たちの美しい国、フランスで開催され、12月には、パリ・ノートルダム大聖堂の公開が再開されます。

 こうして、マクロン大統領が年末の演説をするのも7回目ですが、こうして、いつもどおりフランスを誇らしい国として堂々と語る様子を見るにつけ、どうしても、日本の政治家と比べてしまいます。

 フランスの大統領って、つくづく大変だろうな・・と思います。受け入れがたいことがあれば、野党はもちろんのこと、国民も黙っておらずに、すぐにデモ、ストライキ、暴動へと発展します。

 マスコミへの回答にしても、日本の政治家のような「現段階での説明は差し控えさせていただきます・・」なんていう言い訳は絶対に通りません。国民だってそんな回答は納得しません。納得しないどころか、そんなこと言った時点で、政治家の資格はないと烙印を押されると思います。

 フランス人は、子どもでさえも、政治についての話をするくらい(家庭での大人の話題の影響だと思いますが)、政治への関心が高いのです。これはとても大切なことです。

 政治家の活動や発言に、国民が無関心ではないのです。だから、すぐにデモが起こったり、それがエスカレートして暴動が起こったりもするのですが、日本の政治家の現在の状況を見ているとそれさえも、大暴れするフランス社会の方が健全な気がしてくる一年でした。


2023年のフランス


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2023年12月31日日曜日

ロンドン発着ユーロスターの終日運休で3万人が足止め

  


 最近、とんと、ユーロスターは利用していませんが、一時、「ロンドンにこんなに簡単に行けるなんて!」と感激して、しばらく、何回か続けて、ロンドンに行っていた頃がありました。

 パリ北駅から、ロンドンのセント・パンクラス駅まで直行なので、空港まで行くよりもずっと近いし、ロンドンに着いてからも、やはりロンドンの中心部なので、その後の移動もラクで俄然、楽ちんなのです。

 ロンドンは、想像以上にフランス人が多いことも、その時にビックリしたことで、まあ、これだけ簡単に行けるのだから、当然といえば、当然です。

 まあ、ヨーロッパ諸国はだいたい他の国とて、陸続きなので、簡単に外国に行けることには変わりありませんが、なぜか?ロンドンは、フランス人に人気の場所であるようです。

 当然、バカンスシーズンなどは、チケットの値段も高くなり、また、この年末年始にかけても、予約は満席だったようです。ところが、30日という最も人々が移動するタイミングでユーロスターが終日運休という悲劇に見舞われ、甚大な被害が起こりました。

 原因は、ロンドン近郊のトンネル浸水のためのようですが、当初は、16時まで運休ということだったものが、結局、1日中復旧せずに、ロンドン発着のユーロスターは一日中、全てキャンセルになってしまったのです。

 ユーロスターはパリだけではなく、同じく、ブリュッセル間、アムステルダム間の乗客を併せると、約3万人が足止めを食ったことになります。

 新年をパリで過ごしたかった人々も、ロンドンで過ごしたかった人々も同じく足止めを食い、振りかえ便を予約しようにも、いつ復旧するかもわからず、復旧したところで、もう全て満席状態で、その場に立ち尽くした人々は、携帯を握りしめ、代わりの飛行機やフェリー、バスなどの便の予約を試みていたようですが、この時期、どこもかなりの満席、予約が取れたとしても、旅行の予定は大幅に変更せざるを得ないわけで、パリに来ようとしていた家族連れが、「年明けにはディズニーランドに行く予定だったのに~!」と泣いている子供をあやしているパパなどが、泣きたいのはこっちだと言わんばかりの顔で、必死に子供をあやしていました。

 ユーロスター側は、大変申し訳ないと詫びつつ、チケットの変更やキャンセルは、駅ではなく、サイト上の予約管理のページで行ってほしいと呼びかけています。まあ、これだけの混乱状態で、駅に人が溢れかえることを回避したいのもわかりますが、誰もかれもが上手くサイト上でそのようなことができるとは限りません。

 そういえば、以前、娘がロンドンにある大学に留学予定で、早々にユーロスターを予約していたのが、パンデミックのために、国外には出れなくなり、ロンドンには行けなくなって(リモート留学になった)、予約していたユーロスターをキャンセルしたら、当然、こちら側の落ち度ではなく、国の取り決めで国外に出れなくなったのだから、当然、全額返金されると思っていたら、ユーロスターのクーポン券のようなもので返してきて(しかも期限付き)、結局、その期限内には使うことができずに、使えないままにダメになってしまって、憤慨したことがありました。

 今回のチケットの変更・返金に関しては12ヶ月間以内と言っていますが、また、これらの変更・返金のリクエストは、28日以内に処理されます・・とのことですが、28日もかかるのか?とちょっとウッときてしまいます。

 また、この足止めを食った人々に対する食費や宿泊費の補償については、一応、ユーロスターの予約管理サイトのサポートの欄に進み、これらの費用についての払い戻しを請求すれば、検討するとなっています。

 「一晩の宿泊、ケータリング、駅と宿泊場所間の交通などは、ユーロスターのチケットのコピーとその領収書、支払い先の銀行口座情報を添付してください」となっていますが、実際、予約するより、キャンセルをしたり、返金や補償をしてもらう方がよっぽど大変だな・・と思います。

 私は、一度、パリからロンドン行きのユーロスターに乗り遅れてしまったことがあって、その時は、駅の窓口に駆け込んで頼み込んだら、わりとあっさりと、チケットを次の便に変更してくれたこともあったのですが、ここまで混雑しているタイミングだと、駅の窓口にも来るな!と言っているくらいですから、そんなことはとてもムリな話です。

 最近は、こういうトラブルがあるたびに「これ、オリンピックの時だったら、どうするんだろう?」と思います。夏の猛暑のなか、豪雨・・そして洪水・・浸水・・なんてこともなくはありません。ただでさえ、どこの宿泊施設も交通機関も満杯状態になっているだろうに、何も起こらない方が不思議な気がしてきました。


ロンドン発着ユーロスター終日運休


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2023年12月30日土曜日

ノエルが終わって、あっという間にびっくりするほど値引きしている生牡蠣に手を出そうかどうか迷う

  


 実は、私は、ノエルが終わった後のスーパーマーケットをちょっと楽しみにしています。特に、ふつう、フランス人が食べるような食品がすごく好きというわけではないので、最近は、クリスマスもなんか、ふつうにちょっとごちそうっぽいものを用意するくらいでです。

 しかし、ノエルが終わるととたんに、ノエル用の食材は、値引きを始めるので、この時期にスーパーマーケットに行って、「えっ?1日違うだけでこんなに安くなってる!」と、嬉しくなって、「まあ、これだけ安くなっているなら、買ってもいいかな??」となります。

 とはいえ、まだ、年越しというイベントもすぐ控えているので、そこまで驚くほど安くなっているわけではなく、20%offとか、せいぜい30%offとかで、しかもよく見ると、「2つ目が・・」というのがついていたりするので、「意外とシブいな~」と、「よし、年越しが終わるまで待ってみるか・・」とこちらも、引き下がりません。

 というより、正直なところ、今は日本から持ってきている食料品がまだ、たくさんあるために、ちょっと満ち足りていて、「よっぽど安くなっているなら、買ってあげてもよくってよ・・」「今はもっともっと美味しいものがたくさんあるんだから・・」などと思いながら、なんとなく余裕な気持ちなのです。

 ところが、生牡蠣の積み上げてある箱を覗いたら、50%offとか、70%offとかいうのまであって、さすがに、これには、心が動きました。

 いくら日本から食料品をたくさん持ってきているとはいえ、生牡蠣はムリな話。そして、けっこう生牡蠣は好きなのです。ただ、フランスだと殻ごと売っているので、殻をあけるのが面倒くさいし、ゴミの量が半端ではないので、いつも躊躇してしまいます。

 一応、フランスに来てから、牡蠣の殻をあけるのは、マスターしたのですが、それでもラクではなく、たいてい、手に切り傷の一つは作ります。

 そして、この生牡蠣の激安には、おそらくもう一つ理由があり、今年は、ノエル以降、アルカッション湾の牡蠣に加えて、ノルマンディーのカルバドスの牡蠣でも、集団食中毒が報告され、販売禁止および、その地域での貝類の収穫(趣味の範囲での釣りも含めて)も禁止することが発表されています。

 そうそう、生牡蠣で怖いのは、食中毒。レストランで食べるならともかく、フランスで生牡蠣を買おうと思うときに、ふと頭をよぎる「あたったら、怖いな・・」という不安。

 今年は、この食中毒のニュースを聞いていたので、やっぱり、この地域のものではなくても、やっぱり伸ばしかけた手が引っ込んでしまいました。


 だいたい、牡蠣というものを保管するのには、どの程度の温度がふさわしいのかわかりませんが、冷蔵室でもない空間にごっそり積まれている牡蠣の木箱に、牡蠣は常温保存でも大丈夫なの?と思わないでもありません。

 これまで、私は牡蠣にあたったことはありませんが、一度、他の海鮮類で食中毒を経験し、あの時の辛さを考えると、やっぱり安くしてくれても勇気がありませんでした。

 牡蠣といえば、娘が小さい頃からの大好物。フランス料理が苦手な娘は、レストランに行っても、生牡蠣なら、大丈夫!と、フレンチのお店に行けば、彼女が注文するのは、生牡蠣だけ・・お店の人から、「こんな子供が牡蠣が好きなんて!初めて見た!」とかびっくりされたことがありました。

 また、シャンゼリゼで迷子になった時、私は携帯の着信に気付かずに夢中で探し回って、ふと、携帯に娘が助けを求めた警察官からのメッセージがはいっていたのに気が付いて、ようやく、「ここでお嬢さんと待っていますから来てください」というのを聞いて、慌てて、娘を迎えに行った帰り道。

 予想外に娘は、全然、不安そうな様子はなく、「このままママが来なかったら、きっと、食事の時間になって、何か食べさせてもらえるだろうから、「生牡蠣」を頼もうと考えていた・・」という、あまりにお気楽で脳天気でとんでもないことを考えていて、「子どもを保護した警察で、生牡蠣なんかたべさせてくれるわけないでしょ!」と怒りながらも、なんだかそのお気楽さにあまりに呆れて笑ってしまったことを思い出しました。

 

爆安 生牡蠣


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2023年12月29日金曜日

真似したいおしゃれ

 


 クリスマス前後は、どこのレストランもスペシャル・ノエルとか、スペシャル・レヴェイヨンとか、特別メニューになっていたりして、その値段からしても、また、ちょっと食べすぎる日々が続いていることもあるので、外食からは、ちょっと足も遠のく感じもするなか、日本から帰ってきてから、全然、外食してないな・・ランチくらいはいいかな?と、たま~に行くフレンチのレストランに出かけた時のことです。

 一見、間口はふつうでも、中に入ってみると、かなり奥まって広いレストランというのは、パリにはよくあることで、そのレストランも、かなり歴史のあるレストランで、歴史を感じさせる建物の造りや、調度品などに包まれている空間が心地よく、また、応対をしてくれるウェイターなどのスタッフもとても感じよく、礼儀正しくて気に入っているお店です。

 昼ならば、たいてい予約もいらないので、気が向いた時に好きに行けるところも気に入っています。ランチのメニューだと、そんなに高すぎることもなく、お値段もほどほどです。

 それほど、フォーマルすぎず、かといって、それほどカジュアルすぎる感じでもなく、ちょうどいい感じが気に入っています。

 その日は、今まで、入ったことのない部屋に案内してくれて(上階、中階、地上階と入り組んで部屋がたくさんあります)、「ほ~っ!ここの部屋、初めてだ!」と部屋の調度品などを眺めながら、メニューを選び、私には、ちょうどアントレが運ばれてきて、「う~ん!やっぱり美味しい~」と舌つづみを打っていた頃、隣には、50代後半くらいの3人連れの男女が案内されてきました。

 それとなく、様子を見ていると、上品な感じの人たちで、それほど着飾っているという感じではないものの、上質な感じの生地のシンプルなセーターに、控え目だけど、要所を押さえているようなアクセサリーを身に着け方で、とってもいいな・・と思って、何気なく、様子をうかがっていました。

 しばらくして、彼らの注文を聞きに来たウェイトレスの女の子が、「フランス語を話しますか?」と彼らに聞いたので、「えっ?」とそばにいた私もちょっとびっくりしたのですが、彼らの一人が、ニッコリと、「私たちは、ホンモノのパリジャンですよ!」と返し、上手くニュアンスが伝わらないかもしれませんが、そのゆったりとした態度が余計に、なんだか、いいな・・ああいう大人・・と思ったのです。

 外国人観光客と間違えてしまった若いウェイトレスの女の子は恐縮して謝っていましたが、穏やかな空間が壊れることなく、逆に彼女にいたわりの言葉をかけていました。

 フォーマルに着飾るおしゃれより、こういう普段着での素敵なおしゃれができるのって、いいな・・そして、その言動や立ち振る舞いなども、その人の醸し出すおしゃれな雰囲気の一部でもあり、私もすでにいい歳ではありますが、こんな大人になりたいな・・こんな歳のとり方、こんなおしゃれができるようになりたいな・・と思いました。

 一方、同じレストランで、見かけたことがあるのですが、まるで、舞踏会にでも行くの?みたいに煌びやかに着飾って、やたらと写真を撮りまくって、豪華なメニューを注文してはしゃいでいたアジア人観光客らしきカップルをみかけたことがあったのですが、観光客で、なんとなくはしゃいでいる気持ちもわからないではないのですが、どう考えてもみっともないな・・と思ったことがありました。

 時と場合にもよりますが、あまり華美に着飾るのではなく、シンプルな服装でおしゃれができるようになりたいな・・と、最近の私は思っています。

 しかし、ここまで書いて思ったのですが、もしかして、おしゃれってもう死語ですか?


おしゃれ


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2023年12月28日木曜日

ジェラール・ドパルデューを消すな!50人以上の文化著名人が性加害俳優 擁護の署名



 現在、フランスでは、現在3件の性加害の告発状を受けている俳優ジェラール・ドパルデューについての大論争がどんどん膨らんで大騒ぎになっていきます。

 そもそもは今月初めに彼を特集した雑誌が発売されて、騒ぎが蒸し返されカタチになり、また、その後にその雑誌の盛り上がりをきっかけに、彼にターゲットをあてたテレビのドキュメンタリー番組が放送され、その中での彼の女性蔑視的、性的に侮蔑的な発言などがふたたび炎上、話は、彼が受賞していたレジオンドヌール勲章剥奪か?という話にまで発展しました。

 それにも増して、この騒ぎをさらに大きくしたのはマクロン大統領がテレビのインタビュー番組で、「彼はフランスの誇りである!」などと、「それ?今、言うこと?」と思われるような彼を擁護する発言をしたことで、さらに火に油を注ぐカタチとなりました。

 一応、判決が出ていないということで、「推定無罪」ということが前提での話であるとは思うのですが、一人ふたりではなく、しかも、同業の女優や海外のジャーナリストなど、著名人の被害者からの告発の数々は、告発する側も相当な覚悟があってのことで、推定無罪とはいえ、限りなくグレーです。(しかも、そのうち1件はすでに起訴されている)

 そんな状況で、ふつう「性加害など、絶対に許さない!」と言うのが、大統領としては、妥当だと思われるところを「彼はフランスの誇り」などと言ってのけるあたり、どうにも理解しがたい思いで聞いていました。

 しかし、そのように考えているのはマクロン大統領だけではなかったようで、仏紙ル・フィガロに掲載されたコラムの中で、約50人以上の文化人が「ジェラール・ドパルデューを消さないでください!」、「この偉大な俳優を自分たちから奪うことは悲劇であり、敗北だ!」、「それは、芸術の死を意味する!」などと声をあげています。

 著名人とはいえ、私は、あまりフランスの文化界については詳しくないので、そこに名を連ねているのが、どの程度の人々なのかはわかりませんが、ナタリー・バイ、ベルトラン・ブリエ、キャロル・ブーケ、カーラ・ブルーニ、ジャック・デュトロン、ピエール・リシャール、ナディーヌ・トランティニャン、さらにはジャック・ウェーバーなどが名前を連ねています。

 唯一、私がアッと思ったのは、カーラ・ブルーニ(サルコジ元大統領夫人)でした。

 今年、日本でジャニーズ事務所の性加害問題が大炎上した際に、「こんなこと!海外だったら、絶対に許されることではない!」と言われており、私もそうだと思っていましたが、ジャニーズの問題は、未成年への性加害でまた、ちょっと違うところもあるとはいえ、今回の問題とて、対象は異なりはしますが、弱い者に対する権力や立場を利用した性加害には違いなく、被害者感情を無視したような、この「芸術至上主義」、「芸術は全てに勝る」ような考え方が、こんなにも文化人や権力者の間に沁み込んでいることに、大変ショックを受けた次第です。

 当然、このような考え方には、大反発が生まれ、さらに大論争になっているわけで、また、この擁護する人々の立場をとる人などは、「だいたい、性加害など、何年も経ってから、告発するものではない!」などと言いだす人までいて、本当に開いた口がふさがりません。

 芸術だろうと何だろうと、人間、富と名声を得て、権力を持ち、それが長く続くと慢心をコントロールするのが難しくなり、また周囲もその権力にすがったり、恩恵に預かろうとして太鼓持ちをしたりと、醜悪極まりないことをしでかすような気がします。

 芸能界にせよ、政界にせよ、チカラを持つ者が弱い者を痛めつける構図は、ありとあらゆる場面で起こっていることです。

 しかし、司法の場では、公正に裁いてくれると信じたいし、芸能界や映画界の場合は、結局は、視聴者や観衆が判断することです。


文化著名人の署名


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