2023年9月25日月曜日

ワインの国フランスでのノンアルコールワイン市場拡大

  


 これまで私は、ノンアル、あるいは、ノンアルコールといえば、ビール・・かな?と思っていたのですが、どうやら、最近、フランスではノンアルコールワインなるものが市場を拡大しつつあるらしく、ノンアルコールのワインなんて、あるんだ??とちょっと驚かされました。

 そもそも私にとって、アルコール飲料は、その味はもちろんのこと、多少なりとも、酔い心地を楽しみたいというものでもあって、アルコールが入っていないなら、なにもそこまでして、ビールを飲みたいというものでもなく、私はこれまでノンアルコールビールですら、飲んだことがありませんでした。

 それが、ここのところ、ノンアルコールワインの市場が拡大していると聞いて、ノンアルコールワインなんてあるの?と驚いた次第です。

 ワインといえば、原材料はぶどうで、アルコールが入っていないならば、ぶどうジュース?と思ってしまいそうなところですが、ノンアルコールワインとは、正確に言えば、脱アルコールワイン、あるいは、非常に低レベルのアルコールのみを含むように作られたワインの一種であると言われています。

 そこでは、うんちくを延々と語りそうなフランスでは、そんなものを「ワイン」と呼んでいいのか?などと論争が起こりそうなところでもありますが、一応、欧州連合では、この「ワイン」という名称は、少なくとも7%のアルコールを含んだものに制限する法律があるそうなので、ノンアルコールワインをワインと呼んでよいものかはわかりませんが、現在、一般的に売られているノンアルコールワインのアルコール含有率は香りを保つための、せいぜい0.3%程度で、カロリーは一般的なワインの3分の1と言われています。

 カロリー3分の1というのは、ちょっと惹かれる気もしますが、ワイン好きのフランス人に言わせれば、アルコールの入っていないワインなど、「カカオの入っていないショコラみたいなもの・・」と、かなり邪道な扱いをする人もいます。

 当初は、糖尿病患者やスポーツ選手、妊婦を対象に作られていたこのノンアルコールワインは、現在ではアルコールを摂取したくない人すべてに市場が開かれつつあります。

 このノンアルコールワインは、アルコール入り?のワインからアルコールを除去して作られる製法が主流であると言われていますが、そもそも発酵をおさえて造る製法もあるようです。

 ぶどうを発酵させて、アルコール入り?のワインを作るところ、そこからアルコール分を除いてしまったら、一緒にワインの香りも飛んでしまいそうなところですが、そこを香りを損なわずに製造するところが、ノンアルコールワインの生産者の腕のみせどころのようです。

 実際にフランス人のワイン離れが語られるようになって久しく、特に若者たちの間でよく飲まれているのは、ビールやウォッカなどを使った別の飲み物に変化しつつあり、スーパーマーケットの売り場を見れば一目瞭然、かつて、広いスペースを割いていたワインのカーヴ(ワイン用のスペース)は縮小され、代わりにビールの棚がずっと拡大し、種類も大幅に増えました。

 そんなワインの人気停滞から、なんとか、別の顧客層を拡大しようとしているワイン市場、一部のワインの生産者は、ノンアルコールワインの生産を選択する人が増加していると言われています。

 実際にジロンド県(ランディラ(ボルドー地方))の大手ワイン輸出業者がこのノンアルコールワインのために、350万ユーロを投資して、ワインを約 40℃ に加熱する新しい工場を建設しています。

  この真空温度ではアルコールと香りが蒸発し、その後、香りのみが脱アルコールワインに戻るそうで、ワイン市場の客離れに貢献できるものであると期待されているそうです。

 個人的には、ノンアルコールビールと同じで、酔わないアルコールなしのワインは飲まなくてもいいかな?と思ってしまいますが、カロリー3分の1という点では、魅力的に感じるところもあるので、ノンアルコールワインという呼び方よりは、カロリーオフワインという方が、売れるのではないか?などとも思います。

 それでもフランスでは、秋になるとスーパーマーケットでは、ワインフェアなどをやっていて、カタログ片手にワイン好きのおじさんたちが集まってくるのですが、やはり、見渡す限り、どう考えても、年齢層は高め、「アルコールは控えて・・」などと言われる人も多いのだろうと思えば、このワイン離れの進むフランスでのノンアルコールワイン市場の拡大は、たしかに需要はあるかもしれません。


ノンアルコールワイン


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2023年9月24日日曜日

フランスのジャンクフードの広告についての警告

  


 フランス公衆衛生局は、最新の報告書の中で、ジャンクフード広告が子供や青少年に与える影響と、フランスにおける肥満の蔓延におけるジャンクフード広告の役割を明確に指摘しています。 

 同局は、ジャンクフードメーカーの無責任なマーケティング慣行を禁止する時期が来ていると、明確に企業名を挙げて、勧告しているのです。ジャンクフードメーカーは、子供たちをターゲットにして、脂肪分が多すぎたり、甘すぎたり、塩味が強すぎたりする製品を販売することを非難し、このような商品の広告の禁止を呼び掛けています。

 ジャンクフードといえば、いわゆるファストフードのようなものを思い浮かべますが、上の写真にあるような、お菓子、駄菓子の類、そして朝食用のシリアルなどまでが含まれていることにはちょっと驚きです。

 フランスは、もともと広告に対して、すでに、かなり厳しい規制があることも事実で、私の知る限りでも、アルコール飲料などに関してはテレビのコマーシャル、映画館、若者向けの雑誌、スポーツ関連、また若者向けのwebサイト上の広告は禁止されています。街中の、例えば、駅やバス停などに、この種のポスターが貼られたりすることがありますが、必ず、その広告の中には、必ず過度の飲酒は健康を害するとか・・1日〇杯程度にしましょうなどの注意書きが書き加えられています。

 つまり、ジャンクフードもこのような扱いにするべきであるという意味合いであると思われます。

 この呼びかけを行っている Foodwatch France という機関は、バーガーキング、ネスレ、コカ・コーラ、モンデリーズ、ユニリーバなどを名指しにして、これらのメーカーが健康対策にたいする自発的な取り組みが不十分で効果がないものであると、これらのメーカーの製品に対する厳格な広告禁止を呼び掛けています。

 現在、日本で話題沸騰中のジャニーズタレントによる広告の是非などという問題ではなく、製品そのものを広告することを禁止しようという声があがるということは、メーカーにとっては、大変な痛手であることに違いありません。

 販売を禁止するほど、毒扱いはしないまでも、製品自体は許可?しておいて、広告は禁止というのは、大変に厳しい措置です。

 日本はフランスなどと比べると、大変、健康志向の強い国で、健康に良いことをアピールすることが何よりの広告効果をもたらす気もしますが、フランスとて、健康志向がないわけではなく、やたらと bio とか、グルテンフリーとかの表示があるものが増えてはいます。

 私が思うに、フランスで一般的に言われている1日に5種類の野菜か果物を!などという呼びかけも5種類??さすがに、ずいぶんハードル低い・・などと思ってしまいます。

 しかも、一般的に思い浮かべられるフランスの美味しい食べ物(チーズやバター、生クリーム、パン、ケーキなどのスイーツ類など)は、決して身体によいものとは程遠いイメージがあります。

 しかし、このような広告禁止を呼び掛けることで、単に広告をしないというだけでなく、少しでも健康に害が少ないものをメーカー側も開発していこうとする努力を促すことになるわけで、少しでも国民を健康に導いていくきっかけになります。

 とはいえ、そもそもジャンクフードに、背徳感はつきもので、これらの食品は、そもそも健康には、あまりよくないと知りつつ、たまにはいいだろう・・と食べたくなってしまう魅惑的な食べ物であることも、魅力のひとつです。

 このような動きがあるせいかどうかはわかりませんが、マクドナルドフランスは、一時、フライドポテトの代わりに野菜サラダとか、フライドベジタブルなるものをメニューに加えたりしていましたが、やっぱり、圧倒的にフライドポテトが人気です。

 日本に一時帰国したりした際に日本のテレビをつけると、ビールのコマーシャルの多さにビックリさせられますが、それはそれで、さすがにそんなに違和感も感じず、「あ~美味しそう!」と思うのですが、どちらかというと、一緒に出てくる食べ物の方が気になる最近の私です。

 なぜか、フランスにいると、ビールというものは、全然、飲みたくならないのは、気候のせいでしょうか?食べ物のせいでしょうか?

 しかし、最近は、若者のワイン離れが叫ばれ、フランスでもビール売り場が拡大しています。これも、コマーシャルがほとんどない状態での動向なので、コマーシャル戦略に慣れている日本のビールメーカーなどは、このビール人気にどうやって対応していくのか?きっと難しい課題なのではないか?と思います。

 それにしてもフランスのテレビコマーシャルなどは、有名タレントがでてきてのコマーシャルってあんまり見ない気がするのも日本のCMと違うところかもしれません。

 

ジャンクフード コマーシャル規制


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2023年9月23日土曜日

具合が悪くて、もしかして・・と、久しぶりにコロナ検査に行った・・

  


 今週に入って、体調が思わしくなく、微熱が続いて身体がだるく、鼻がグズグズ、ちょっと痰がからむような咳が出始めて、まあ、しばらくおとなしくしていれば、なおるだろうと、適当に放置し、タカをくくって、ちょっと出かけたら、いきなりまた、発熱。

 いつまでたっても治らず、翌日は、会議で人と会わなければならない予定もあり、「まさか・・でも、もしかして、これって、コロナウィルス??最近は、また感染者が増えていると言っていたし・・」だとしたら、他人に感染させては申し訳ないと、久しぶりにコロナウィルスの検査を受けようと出かけました。

 もうすっかり、元の日常に戻っているので、まだ薬局で検査してくれるのかな?と思いましたが、近所の薬局には、再び「コロナウィルスの検査します!」という看板が出ていて、検査をしてもらってきました。

 もう検査する方もされる方も慣れたもので、「ハイハイ!検査ね・・座って待ってて!」と言われ、パンデミック以来、ずっとお決まりの検査スペースになっている場所へ。ちょっと立って待っているのもしんどいくらいだったので、優しい心遣いに感謝しつつ、すぐに検査。

 検査はあっという間に終わり、「結果が出るまで、待ってて!」と、待つこと7~8分。

 「陰性でしたよ!」と言われておしまい・・。今やヘルスパスも何もいらずに簡単にやってくれました。

 ひとまず、コロナウィルス感染ではなかったことに多少なりともホッとして、しかし、だからといって、検査をしただけで、体調が改善するわけでもなし、翌日の会議は延期できるものでもなかったので、とにかく寝て治す・・と思って、その日はおとなしく寝ていました。

 ずっと忙しい日々を送ってきて、多少、具合が悪くても、これまで、なんとか休まずにのりきってきたのですが、だんだん自力で回復するのも難しく、時間がかかるようになり、下手をすると、さらに悪化するようになってしまった今、病気=安静に寝ている・・というのが、意外とシンプルな回復の手助けになることが、意外に新鮮でした。

 しかし、多少、回復したものの、翌日はちょっとまた、不安が残る感じのまま会議に出かけました。

 こうして自分が体調を崩してみると、気のせいかメトロに乗っている人の中にもマスクをしている人がいるのが目についたり、また、車内の手すりなどに直接触れたくないのか?紙でカバーして手すりにつかまっている人がいたりして、そんなに気にするなら、いっそのこと手袋をすればいいのに・・と思ったり・・。

 しかし、パリはあっという間に寒くなり、まさに、木の葉も色づき、路上には枯れ葉がけっこう目立つようにもなってきて、街を歩く人々も、今はきっと、一番、服装にバラつきのある時期かも?と思うほど、まだサンダルにTシャツの人もいれば、革ジャンやコートやマフラーをしている人までいます。

 私個人としては、もう秋めいてきたら、いつまでも夏っぽい恰好をしているのは、なんだかみすぼらしい気もするので、早めに秋モードに切り替えるようにしています。

 今朝の気温は10℃程度、私も風邪気味ということもあり、ヒートテックに薄手のコートを羽織って出かけましたが、やっぱりセーターも着てくればよかった・・と思ったほどです。

 季節の変わり目で、一日の気温の差も激しくなり、朝晩などは、寒いくらいなので、うっかりすれば、風邪をひいてしまう季節でもあるのですが、やっぱり風邪のような症状が出てみれば、未だにコロナ感染かも?とギョッとしてしまうのは、一体、いつまで続くのだろうか?と、ちょっとウンザリしているのですが、未だにこんなに簡単に検査してくれるなら、体調が悪いと思ったら、すぐに検査してもらった方が、やっぱり自分も安心だし、他の人に感染を広げてしまうことを避けれるので、せいぜい、この検査を利用させてもらおうと思っています。


コロナウィルス検査


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2023年9月22日金曜日

チャールズ国王のフランス訪問に見るフランスとイギリスの関係

  


 本来ならば、今年3月に予定されていたイギリス国王のフランス公式訪問は、年金改革問題のデモのために、繰り返し延期されていました。

 あの時点でも、本当にギリギリまで、最大限の警備体制をとっているので、問題ないと言っていたものの、チャールズ国王の公式訪問の際に訪問予定にされていたボルドー市庁舎の大扉が燃やされるという事態にまで発展し、マクロン大統領がチャールズ国王と直接電話会談し、ほぼドタキャンに近いかたちで、延期されたのでした。

 今回のチャールズ国王のフランス公式訪問は、即位後の初の海外公式訪問として、また、ブレグジット後、初のフランス訪問として、イギリスとフランスの外交の象徴として、位置付けられていたものが、フランスの社会情勢のために延期という、まことに縁起の悪い感じもしたものです。

 フランス人はイギリス王室の話題が大好きで、自国の王室は崩壊しているためもあるのか?なにかにつけて、スキャンダラスな話題も多いイギリス王室に、フランスのマスコミもまるで自国のことのように大騒ぎするのも不思議な感じがします。

 しかし、フランスでは、やはりエリザベス女王やダイアナ妃人気が高く、チャールズ国王がフランスを訪問したとて、そこまで盛り上がるものなのか?と思っていましたが、やはり、マスコミは熱狂的に報道し、また、フランス側の盛大な歓迎ぶりも手伝ってか、大きく扱われています。

 フランスに到着したチャールズ国王夫妻は、レッドカーペットで迎えられ、マクロン大統領夫妻がエスコートしながら、初日は凱旋門の無名戦士の墓を訪れ、シャンゼリゼを下り、150人以上の著名人が招かれたヴェルサイユ宮殿の鏡の間での晩餐会に出席しました。

 このような晩餐会には、比類ない抜群の美しい舞台となるヴェルサイユ宮殿、しかも鏡の間は、華麗なる晩餐会そのもので、この類の晩餐会の中でも、群を抜いて煌びやかな豪華さを演出します。晩餐会には、フランスのVIPだけでなく、ミックジャガーや俳優のヒュー・グラント、作家のケン・フォレットなども招かれていました。

 気になる晩餐会のメニューは、スターター、メインともに、ミシュランの三ツ星シェフの二人が担当し、ブルーロブスター、ブレス鶏の他、デザートにはピエールエルメが腕を振るい、イギリス国王にちなんだ30ヶ月もののコンテを含む3種類のチーズが選ばれ、ワインは1本800ユーロ以上という噂まで飛び交っています。

 このチャールズ国王の遇し方を見ていると、フランスがイギリスをどのように位置づけているのかが見えるような気がしますが、この豪華な晩餐会と同時に、訪問先で、親しくフランスの一般市民とも触れ合う姿が見られたり、上院議会でスピーチを含め、少なからず政治的と思われる発言をしたりと、開かれた新しい王室を演出しようとしている向きも見られました。

 このチャールズ国王のフランス訪問の日程は、イギリス王室とフランス側が当初に予定していたものと、大きくは変更がなかったそうですが、フランスは、超VIP待遇でお迎えすると同時に親しみのある王室アピールの意を汲んで、訪問先を選び、その場を盛り上げることに協力していたのだということがわかります。

 お二人ともがご高齢にもかかわらず、日程はぎっしりで、それこそピンからキリまで・・、シャネルの工房から、サンドニでフランスのオリンピック選手と、そしてブリジットマクロンとピンポンをするなど、概ね暖かい雰囲気を醸し出していました。

 マクロン大統領は晩餐会のスピーチで「チャールズ国王のフランス訪問は我が国の過去への賛辞であり、未来への保証であり、私たちはこれからも私たちの大陸の未来の一部を一緒に描き続ける」と述べ、チャールズ国王は、「21世紀の課題に対処できるよう、友好関係を再活性化するのは我々次第だ」とフランス語でスピーチしました。

 このチャールズ国王のフランス訪問が他の諸外国でどのように報道されているのかは、わかりませんが、ここぞとばかりに華やかなフランスをアピールしていると思われる向きもあり、また、同時に懸命にエリザベス女王とは違う王室アピールをしようとしているチャールズ国王に、お互いの親しい友好関係を示しつつも、それぞれの目的を遂行しているような感じも受けました。

 この豪華すぎる晩餐会には、一部、生活に貧窮している学生なども多いのに、こんなことが必要なのか?などという声がないではありませんが、多くのジャーナリストなどは、そこまで言う?と思うほど、チャールズ国王のフランス語を褒めちぎったり、大いに持ち上げるような発言に、微妙な気もしました。


チャールズ国王フランス訪問


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2023年9月21日木曜日

いじめ・嫌がらせをしていた14歳の少年 授業中に手錠をかけられ逮捕

  


 学校でのいじめ問題が深刻化し、新年度が始まる前に、「いじめ問題が確認された場合には、いじめられた被害者ではなく、加害者を退学、あるいは、転校させる」という措置をとるという国家レベルの法律を制定したフランスですが、事は、そんなに簡単に解決するわけもなく、新年度早々に、いじめを苦に自殺してしまった少年がいたことが報じられていました。

 実際には、いじめられている、嫌がらせを受けている側の子の方が学校から遠ざかる傾向があるのは、当然のこと、しかし、現在は、学校に来る来ないだけでは、いじめや嫌がらせがやむことはなく、SNS上での嫌がらせを続けて拡散する手段は、被害者をさらに追い詰めることになっているのが現状のようです。

 この新しい法律は、学校側の取るべき態度としての確固とした基準という意味では、有効ではありますが、実際に、9月早々に自殺してしまった子供の両親からの話では、何度も学校と話し合いを続けたが、充分な対策をとってはくれず、警察に訴えても、訴えを受け付けてもらえなかったなどという実情が暴かれ、この問題の道のりの長さを物語っているような気がしていました。

 ところが、今度は、パリ近郊の中学校で、いじめ、嫌がらせをしていたとされる少年が授業中に逮捕されたという衝撃的な事件が浮上してきています。

 この少年は、インスタグラム上でトランスジェンダーの少女にトランスフォビア的な発言や殺害の脅迫(かなり過激な内容)などを繰り返していた容疑で、いじめの被害者の少女の父親が通報し、かなり強く訴え出たことから、警察が動き出したと言われています。

 警察への拘留後、この少年は、容疑の事実を認めていますが、問題になっているのは、この警察が授業中に学校に押し寄せ、授業中に少年を逮捕するという、かなり強引なやり方です。

 この学校の責任者は、警察が介入することに同意していたとされていますが、授業中に突然、大勢の警察官が侵入してきて、容疑者の名前を呼び、「深刻な嫌がらせと殺害の脅迫で逮捕する」と述べ、少年の腕を掴み、手錠をかけたとクラスメイトの学生が証言しています。

 想像するだけでも、かなりの衝撃的な場面にその後は授業にならなかったと言われていますが、これは、ある種の見せしめ的な意味があったのではないか?と思うのです。この少年に対する容疑を考えれば、何も学校で、しかも授業中に逮捕する必要はなく、家におしかけてもよかったわけだし、また、登校時、下校時などのタイミングでもよかったはずなのです。

 それをわざわざ、授業中におしかけて、他の生徒の目の前で手錠をかけるようなことをするのは、多分に、嫌がらせをすれば、このような目に遭うという警告の意味があったとしか思えないのです。

 警察が学校に介入することに同意していたとはいえ、授業中に手錠をかけて逮捕するという具体的なことまでは把握していなかった模様で、学校側は警察に対し状況の説明を求めていると言われていますが、これには、なんと政府報道官が説明に応じており、「この逮捕は検察と教育チームの合意のもとに行われたものであり、これが私たちが嫌がらせの惨状に対処する方法であり、これが私たちが子供たちを守る方法でもある」と毅然とした態度で回答しています。

 いじめには、直接関与していないにしても、それを容認するという集団心理も加わる性質が多分にあると思われるため、かなり荒療治ではあるものの、これくらいの対応が必要なのではないかと思ってしまいます。

 また、今回のケースもそうですが、最近は、いじめの対象となるのは、同時にLGBT問題であるケースも多く、問題をさらに複雑にしています。


いじめ加害者少年 授業中に逮捕


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2023年9月20日水曜日

日本の失われた30年に思うこと

  


 最近、よく日本のメディアでは「失われた30年」という言葉をよく目にするようになった気がしますが、正直、この30年は、はからずも、私が日本を出て、海外生活を始めて現在に至るまでの期間とまるかぶりしていることに、複雑な思いがしています。

 フランスで暮らすようになって、30年は経っていませんが、その前にアフリカにいた期間などを加えると、ほぼほぼそれに近い年月が経っているわけで、海外にいるからこそ、外から見ている日本、たまに一時帰国する日本、フランスで見る日本のものなどが移り変っていることを感じることもあります。

 それでも、実際にこの間を私は日本で暮らしていたわけではないので、実感として感じているわけではないのですが、たまに見かけるニュースなどでも、よい意味でも悪い意味でも、ついついフランスと比べてしまう癖がついている気がします。

 そう考えてみれば、フランスに来たばかりの頃は、なんでフランスはこうなんだろう?と日本と比べて、腹立たしく怒ることが多く、「まあ、ここはフランスなんだから、仕方ない・・」と思っていたのですが、この30年近くの間に、日本のニュースなどを見るにつけ、また、フランスの様々な社会システムなどの変化に接するにつけ、「フランス人にできて、なぜ?日本人にできない?」と、逆に日本をもどかしく思うことが増えてきた気もします。

 何よりも、私自身がフランスの生活に順応してきたこともあるとは思うのですが、それにしても、最近は、日本の「失われた30年」などという話題に触れて、残念ながら、やっぱりそうだよな・・と思ってしまうのです。

 フランスに来たばかりの頃は、一年に一度、日本に帰るたびに、一年留守にするだけで、まるっきり、日本は景色が変わってしまう・・と驚かされるほど、新しいビルが建ったりしているのに比べて、パリって本当にいつまでたってもちっとも変わらない・・などと思ったりもしていたのですが、ある時期から、日本に一時帰国した折に、「えっ?こんなに年配の方が警備員とか、道路の交通整理などの仕事するようになったの?」などと驚かされるようになったのです。

 また、かつては、電気屋さんなどに行けば、日本人として、ちょっと誇らしくなるほどに日本製品が高価な値段でずら~っと並び、日本製品は、絶対的な信頼を勝ち得ているような感じがあったのですが、いつのまにか、電気屋さんで日本製品を見かけるのは、珍しいことになってしまったし、日本のものでフランスで注目されるのは、日本食か、マンガやアニメ、そしてユニクロくらいでしょうか? 

 日本で物議を醸しているマイナンバーカードや保険証などに関しても、フランスでは、いつの間にか、スムーズにIT化が進み、問題なく進化しています。まさにフランスにできることが、なんで日本では、そんなに揉めているのだろうか?と思ってしまいます。

 正直、フランスでは、日本のことは、よほどのことがない限り、細かいことはニュースにはならないし、そんなに真剣に話題にのぼることはありません。フランスにとっては、周囲のヨーロッパ諸国や、アメリカやロシアなどの方が差し迫った問題なのです。

 それでも、昨日もこちらのニュースで見かけたのは、日本の少子高齢化の問題で、日本は人口の29%が65歳以上で、10人に1人が80歳以上、経済を支え切れずに、900万人の高齢者が働いているなどと伝えています。

 政府に関しては、フランスだって、色々な問題はあるし、暴動にまで発展する事態も少なくありません。しかし、少なくとも、フランス政府には、フランスの将来のためにはどうしていくべきなのか? 特に教育や若者に対しての支援などを模索し、様々な試みをしていることが感じられるし、ある程度の信念が感じられます。

 それに比べて、現在の日本政府は、行き当たりばったりで、その場その場で周囲にいい顔をしつつ、すでに、ある程度、上り詰めた人々が利権を守るためにやっているとしか思えないことが多いような気がします。

 もう外から見ていても、ため息しか出ない感じで、以前は、老後は日本に帰ろうと言っていた日本人カップルなども、やっぱりやめた・・などと言っている人が増えているという話も聞きます。

 月日が経つのは早く、あっという間に時は過ぎていきますが、とはいえ、30年といえば、決して短くない時間です。

 しかし、今の日本の状態を見ていて、私は、母の病気のことを思い出します。母は、拡張型心筋症という病気で、発症から10年ほどで、亡くなりましたが、その後、母が亡くなった病院で後学のために、解剖を求められました。心臓病は遺伝という要因も多いに考えられるために、お母さまの病気について、深く解明することは家族にとっても必要だと言われて、解剖をお願いして、その結果を聞いて驚いたときのことを思い出すのです。

 心臓病は、わかりやすい病気ではないので、その辛さは周囲にはわかりにくいために、一体、どの程度、悪化しているのか、それこそ開けてみなければ、わからなかったわけですが、解剖の結果、母の心臓は、正常な状態の数倍にもなっていて、おそらく、健康な状態から、急にこの状態になったらば、窒息するような苦しみだっただろうとのことで、お母さまは、10年かけて、少しずつ悪化(心臓が肥大)していったので、苦しさにも少しずつ慣れておられたのだろう・・と聞いて、母の苦しさを理解できていなかったことを本当に心苦しく思ったものでした。

 今、失われた30年などと言われている日本も、まさに日本に住み、日本で生活していれば、それこそ、悪く言えば、苦しさに慣れてしまって、本当は窒息しそうな苦しみなのではないか?とも思うのです。

 しかし、実際には日本は依然として、フランスよりもはるかに優れている面もたくさんあるわけで、フランスでの日本のイメージは、決して悪くはないどころか、他のアジアの国とは一線を画している上質なイメージが根付いていることも事実で、特に歴史に根付いた日本の自然や文化には、憧憬の念があることは、日本にとっての大変な財産であり続けています。

 日本の文化遺産や、食文化、そして近代的な清潔な街、礼儀正しさ、そして、若者に人気のマンガやアニメなどは、少なくとも、日本がこの30年間に失わずにいたものには、しっかり注目していてくれることは、ありがたいことです。


失われた30年


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2023年9月19日火曜日

やっぱり美味しかったマドレーヌ Le Comptoir ル・コントワール Ritz Paris

  


 前々から、「ここのマドレーヌは美味しい・・」という噂は聞いていました。しかし、わざわざ出向くほどに、特にマドレーヌが好きというわけでもなく、「Ritz(リッツ)でしょ!そりゃ、美味しいでしょ!それなりのお値段だろうし・・」と思っていました。

 まあ、機会があればね・・くらいに思っていたのですが、たまたま、何なのか?市内が異常に警戒態勢が敷かれていて、通ろうと思っていた道が閉鎖されていて、迂回しなければならなかったりして、たまたま近くを通りかかることになり、「そういえば、あのマドレーヌのお店(実際には、別にマドレーヌだけのお店ではない)、この辺だったかも??」と思いついたら、まさに、その通り沿いだったので、お店を覗いてみることにしたのです。

 お店のウィンドーには、まさに山積みのマドレーヌのオブジェが飾られていて、あ~ここだここだ・・と思って店内に入ると、甘い香りが・・。

 そんなに広くはない店内ではありますが、一応、イートインができるスペースもあって、お菓子が並んでいるケースの前には、行列ができていました。(といっても、セドリック・グロレのようなお店の外まで行列ができて、延々と並ぶ・・というような行列ではありません)


 マドレーヌがお目当てのお客さんが多いとはいえ、それ以外のケーキもしっかり売れています。しかし、まさに、もう拝むという表現がふさわしいようなケーキのお値段は、1個16ユーロ(約2,500円)とか18ユーロ(約2,800円)、少し大きめのものだったりすると、20ユーロを超えるお値段・・もはや、なんだか、国が違うというか通貨が違うのかと勘違いして、金銭感覚がちょっと麻痺してしまうような感じ・・一緒に並んでいるマドレーヌ(1個3.5ユーロ)(約550円)が安く感じてしまうから、おかしなものです。


この写真だと大きく見えるけど、ふつうのケーキの大きさです


 そもそも、マドレーヌは、フランス人にとっては、ほんとうに身近なお菓子のひとつで、スーパーマーケットなどで袋入りで市販されているものでも相当な種類があり、大手のスーパーマーケットではそれぞれが自社ブランドの製品を出しているくらいポピュラーなお手軽なお菓子。そんな一般庶民(私も含めて)が食べるマドレーヌ一袋(5~6個入り)は、ここのマドレーヌ1個のお値段か、それ以下です。

 


 マドレーヌも色とりどり、ナチュール、ショコラ、レモン、キャラメル、フランボワーズ、ピスタッシュ(これだけ1個5ユーロ)、パッションフルーツなどがありますが、たかがマドレーヌに3.5ユーロはやっぱり高い・・。

 しかし、せっかく来たのだから、まあ、ちょっとくらい食べてみたいな・・まあ、まずは基本・・とオリジナル(ナチュール)のマドレーヌ一つだけを買って帰りました。

 そもそも、どうしても、「たかがマドレーヌ・・」という気分が私の中には、あるせいか、どんなに高級なマドレーヌと言ったって、たかがしれている・・と思っていたので、そんなに期待もしていなかったのです。

 でも、値段が値段の高級マドレーヌ、一度で食べてしまうのはもったいないとせこい考えを起こして、半分にして、ひとくちパクッと食べたときの意外な驚き!「えっ?ふつうのマドレーヌと全然ちがう!」。

 そもそも、こんなに高いマドレーヌを買っておいて、期待していないのもおかしい話なのですが、どうせ、大したことない・・と思っていたものが、一口食べて、予想を超えた時に感動することは、そんなにあることではありません。

 思わず、目を大きく開いて宙を見つめてしまう感じです。

 何より、生地がなめらかで、上質なことに疑いの余地はなく、軽くて、やさしい味の今まで食べたことのないマドレーヌでした。

 こうなってくると、他のものにも期待できそうで、細長いクロワッサンやパンオショコラなども買ってくればよかったと悔やまれ、後日、買いにいったときには、すでに売り切れ。



 仕方なく、ショコラとキャラメルのマドレーヌを買って帰りましたが、これらは、中にクリームが入っていて、また、そのクリームが甘すぎず、キャラメルの方などは、キャラメルとはいえ、爽やかな味わいのキャラメルでこれまた別の感動でした。





 頼めば、お土産用に箱詰めしてくれるので、日本へのお土産にすることも可能です。

 ホテル・リッツの方は、ちょっと入りづらい、敷居の高い感じがしないでもありませんが、こちらのパティスリーは、それほど臆することなく入れる感じです。

 まあ、ホテルリッツに泊まることを考えれば、その一辺を味わえるとしたら、まあまあ納得できないこともありませんが、それにしても、この高級スイーツの値段の高騰ぶり、そしてまた、これらが飛ぶように売れているのも不思議な現象だなとも思います。


Ritz Paris Le Comtoir  ル・コントワール 

38 Rue Cambon 75001 Paris 

8:00~19:00 日休


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