2023年8月11日金曜日

今は亡き夫の友達だったパリの動物園にいるオランウータンに会いに行った 

 


 私には、長い間、ずっと行きたかった場所がありました。パリ市内でもあるし、別に行こうと思えばいつでも行ける場所ではあるのですが、なんとなく、行きそびれているまま、もう10年以上は経ってしまっていました。

 それは、パリ5区にあるジャルダン・デ・プラント(JARDIN DES PLANTES)の中にある動物園で、よくバスで通りがかるくらいの、家からもそんなに遠くない場所にあります。

 ジャルダン・デ・プラント(JARDIN DES PLANTES)の大きな庭園(敷地)の中には、名前どおりの植物園や温室、自然史博物館や植物学の学校などに加えて動物園があります。

 ここには、これまでに2回来たことがあって、1回は家族で動物園に、そして、もう1回は、日本から家族連れで来た友人がここの自然史博物館の恐竜を見にやってきました。

 私がここにずっと来たいと思っていたのは、ここの動物園の方で、パリには、ヴァンセンヌに1つ、そして、このジャルダン・デ・プラント(JARDIN DES PLANTES)の中にもう一つの動物園があります。

 この動物園には、私たち家族にとって、特別な思い出があり、まだ、娘も小さかった頃に、ある休日の日にどこかに散歩に行こうと、最初は植物園に来たつもりが、中に動物園があることを発見し、何気なく立ち寄った場所でした。

 実際には、この動物園、ヴァンセンヌの動物園に比べて規模は小さいものの、世界で最も古い歴史を持つ動物園のひとつでもあるそうで、この植物園全体の中にもいくつもの歴史的な建造物が惜しげもなく、ポコポコ建っている感じです。

 動物園は、もうはっきりと記憶もないくらいだったのですが、さすがに10年以上経って、以前に比べると、ずいぶん整備された感じで、私は、動物園に入ると、園内の地図を片手にオランウータンを探しながら、歩き始めました。

 私がこの動物園に来たかったのは、以前、家族で訪れたときに、この中にいた一匹のWATANA(ワタナ)というオランウータンが夫のことをとても気に入ったらしく、お腹が空いただろうとでもいいたげに、なんだか、最初に小さな木のかけらを投げてよこし、口に指をあてて、これ食べない?みたいにアクションをしかけてきたのです。

 その後、自分が遊びに使っていた布切れを網の向こうから垂らして、夫とひっぱりっこをして遊び始めたのです。動物園の飼育員ならいざ知らず、見ず知らずの人間と大きなオランウータンがこんなことをして遊ぶなんて、ちょっと考えられないことで、私たちの周りには、人だかりができたほどでした。

 夫は、もう亡くなってしまいましたが、この動物園のことを思い出すたびに、WATANA(ワタナ)はどうしているだろうか? 会いたいな・・とずっと思っていたのです。オランウータンの寿命は飼育下では、50年程度ということですが、あの時、ワタナは一体、何歳だったのかもわかりません。まだ彼女は生きているのだろうか?それとも、もう亡くなってしまっているのでしょうか?

 動物園の地図には、オランウータンの場所は記載されていなくて、それでも、どこかにはいるはず・・と思いつつ、ようやくオランウータンの檻を見つけると、その檻はすっかり整備されて、網ではなく、ガラス張りになっていました。




 中にいるオランウータンの顔写真と名前が書いた看板を見ると、ワタナの名前と写真はありませんでした。実際、ワタナの顔だって、正直、私も全然、覚えていません。

 その日は、その中には3匹の親子と見られるオランウータンがいて、けっこう人気で人が集まっていました。やっぱり他の動物と比べると、人間に近いせいか、見ているとそれぞれのキャラクターがわかってきて、1日眺めていても飽きない感じもしました。

 しばらくすると、飼育員がやってきて、オランウータンについての解説を始め、オランウータンは、どこからやってきたのか?とか、その習性とか、子育てとか、飼育にあたっての健康管理についてなどの説明をしてくれました。



 他の動物についても、全部ではありませんが、こうして、頃合いを見て、飼育員が人を集めて解説していました。こんな解説などでも、フランス人はほんとうにお話が上手だな・・と感心してしまいます。

 動物園のオランウータンは、通常は、野菜しか食べさせてもらえないそうで、最近の果物は、食物繊維も減少しているうえに糖分過多なのだとか・・なんだか、自分に言われている気がしてしまったほどです。果物をあげるのは、嫌な検査をするときとか、薬を飲ませるときなどのご褒美がわりに与えているそうです。

 こうして食事をはじめとした健康管理は、ふつうの人間以上に行われているようで、健康状態には、常に気を配り、異常があった場合には、素早い対応を・・まさに早期発見、早期治療・・と人間さながらの健康管理です。

 また、メスのオランウータンの出産は、一生のうちに多くて3回程度だということで、だいたいこの辺も人間と似ているな・・などと思いながら、彼の説明を聞いていました。

 彼の説明が終わったところで、何か質問は?とみんなに質問を募っていたのですが、私が聞きたいのは、WATANAのことで、あまりに個人的?な質問ゆえ、説明大会が終了したところで、彼をつかまえて、「あの・・つかぬことをお伺いしますが、あなたは、WATANAを知っていますか?」と聞いてみたのです。

 すると、彼は、ちょっとビックリした様子で「WATANA?」と言い直してから、「知ってます!」と。でもすぐに、「Elle est parti」(彼女は旅立った)と言ったので、私は、てっきり亡くなってしまったとばかり思って、「あ~残念・・」と。

 彼の話によると、彼がここで働き始めたのは、6年前からのことで、WATANAがここにいたのは、8年くらい前までのことだそうで、それでも、WATANAの話は聞いたことがあるので知っています・・と。

 私はてっきり、ワタナは亡くなってしまったとばかり思っていたので、「ワタナは何歳まで生きていたのですか?」と聞いたら、「彼女は亡くなったわけではなくて、まだ生きていますよ!」、「今は、スペインの動物園にいるはずです・・」と。

 詳しいことはわからないけど、マッチング?が上手くいかなくて、子供がなかなかできなかったので、違う動物園に行くことになったのだとか・・。普通、他の動物園に移った動物でも、もしも、亡くなったりした場合は連絡があるはずなので、ワタナについては、そういう話を聞いていないから、まだ生きていると思うよ・・と。

 予想外のワタナの消息に、まだ、ワタナは元気で生きてるんだ!となんだか、すぐにでもスペインの動物園に飛んでいきたいような気持ちになりましたが、残念ながら、彼には、スペインのどこの動物園なのか、わからずに、私がワタナに会いに行くことはできそうにありません。

 しかし、まだ、あの彼女がスペインで生きていてくれるという話だけで、なんだか私はとっても嬉しくなり、とても満たされた気持ちで動物園を後にしたのでした。


ジャルダン・デ・プラント(JARDIN DES PLANTES)動物園 オランウータン

🌟JARDIN DES PLANTES  57 Rue Cuvier 75005 Paris


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2023年8月10日木曜日

来年のパリオリンピック期間中 パリのホテルの価格が爆上がり!

  


 私は特にオリンピックが大好きというわけでもありませんが、東京オリンピックが決まって、その後のオリンピックはパリだということが決まった時は、なんと!行こうと思えば、私は、そのどちらも行けるではないか!と、なんだかちょっと自分のゆかりの地?が続けてオリンピックの開催地になったことが、ちょっと嬉しいような気もしたりしたのです。

 しかし、その時点では、どちらのオリンピックもまだまだ、ず~っと先のことで、その頃、私はどこでどうしているのやら?とも思っていました。

 私は、オリンピックよりなにより、人混みが苦手で、映画館ですら、あんまり好きではないくらいなので、オリンピックに行くということは、あまり現実的ではないとはいえ、なんとなくオリンピックで盛り上がる街の様子などがちょっとだけ楽しみだったのです。

 しかし、東京オリンピックは、なんとパンデミックにぶつかり、1年後に延期され、ギリギリまでオリンピック、本当にやるの?という感じで、オリンピックどころか、日本に行くことだけでも容易なことではなくなってしまったことは、多くの人々と同じです。

 結局、東京オリンピックはほとんど楽しめなかった(フランスだとオリンピック中継も当然、フランスの選手を中心にした中継なので、日本の選手は、あまり見られないのです)うえに、後から出てくるオリンピック関連の汚職の話にウンザリするばかりでした。

 その頃はまだ、次のパリオリンピックの頃には、パンデミックはおさまっているのだろうか?と思っていましたが、現在のところ、ウィルスがなくなったわけではないでしょうが、もうパリはすでに日常生活に戻って、来年のパリオリンピックのカウントダウンが始まっています。

 パリオリンピックまで1年を切った頃から、なんと1年前というのに、ホテルの予約が始まっているらしく、しかも、その価格の高騰ぶりがもの凄いと話題になっています。2倍、3倍はあたりまえ、中には5倍、6倍、10倍以上なんていうホテルもあるそうです。

 来年のパリオリンピックには、1,500万人~2,000万人の観光客が見込まれており、需要と供給のバランスを考えれば、当然、起こりうることとはいえ、なかなか、あこぎなやり方をしているところもあるようです。

 ル・パリジャン紙の報道によれば、例えば、12ヶ所のホテルを、8月5日~6日分の予約料金を2023年と2024年で比較してみた場合、その価格は平均6倍以上になっているといい、酷いところだと、パリ15区のホテルで、今年の夏一泊、90ユーロのところが、来年の夏には、1,363ユーロに値上げしているところまであると言います。

 パリ、イル・ド・フランス(パリ近郊)には、13万室以上の客室があると言われていますが、すでに、こんな価格の高騰を招いていて、余程の覚悟で予約に挑まなければならない気配で、中には、予約の段階で全額支払い、キャンセル不可などというのもあります。

 オリンピック競技が行われるのは、パリばかりではありませんが、とりあえず、やはり一番人が集まると思われるのは、パリです。

 もっとも、パンデミックのあいだ中、本当に痛手を食って、苦境に瀕していたホテル業界ですから、これを機に巻き返しにかかりたい、オリンピックのために、なんとか持ちこたえてきたというホテルも少なくないはずです。

 我が家の近所にもホテルがありますが、長いこと、ここが満室らしき気配は見られませんでしたが、この様子だと、オリンピック期間中には、満室になることは、間違いなさそうです。

 いつもは、どこか人が少なくなるパリの夏が、そんな大勢の人で埋まるのは、逆にちょっとそら恐ろしい気もして、さぞかし、バスやメトロが混むんだろうな・・などと、どこかに逃げ出そうにも、さぞかし航空運賃も高騰しているんだろうと、とりあえずのこのパリのホテル価格の爆上がりのニュースを聞きながら、来年、どうしよう?と思っています。

 

パリオリンピック パリホテル価格爆上がり


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2023年8月9日水曜日

うっかり確認せずに出かけたら、メトロがない!

  


 ここのところ、バスを利用することが多くて、メトロを使っていなかったので、ついつい、何も確認せずに出かけて、駅に行ったら、今週は工事のためにメトロがなくて、ストライキでもないのに、駅が閉鎖されていて、一瞬、呆然となりました。

 私は14号線を使うことが多いのですが、14号線は運転手のいない自動運転のために、他の線がストライキをやっていても、14号線(と1号線)は動いているので、なんだか、今、工事が多いと知りつつ、つい、うっかりしていました。

 夜間の工事をずっとしていたのは、知っていたし、一部の駅は全く閉鎖になったのも知っていたのですが、まさか今週は、14号線は全線ストップ。

 メトロの代わりにその区間はバスが運行しているのですが、代わりのバスが出ている臨時バス停まで矢印に従って歩き、バス停を探すと(通常の一般の市内バスとは別のバス停)、長蛇の列。さまよい歩いてようやくたどり着いた様子の家族連れの外国人観光客などもいるにもかかわらず、表示はフランス語のみで不安そうな観光客を引き連れて歩くことになりました。

 もしも、私が観光客で、土地勘もなく、フランス語もわからなかったら、どれだけ不安だろうか?と思うのです。

 代替バスは、とてもメトロの乗客がすべてカバーできる本数ではないため、延々、待たされて、やっと来たバスには、乗り切れない乗客が溢れて、次のバス待ちになってしまう人も・・。

 いつもと同じNavigo(定期券のようなもの)や、チケットの料金でこれは、酷いです!そのくせ、昨日、乗ったバスでは、いつまでも発車しないので、何やってるんだろう?と思ったら、検札(コントロール)をしていました。

 今の季節は観光客も多いので、逆にキセル乗車は少ないはずだし、チケットのことがよくわからずに、無効になっているチケットを持っていたりする観光客に罰金を払わせるのは、ちょっと違うのではないか?と思うのです。

 一年のうちでもパリが一番空いていて、メトロなどもゆったり乗れて、例年なら、ごきげんな季節なのに・・今年はさんざんです。ここ数年は、やたらと工事が多い気がしていましたが、本当にメトロだけでなく、トラムも動いていないところもあるし、どこに行っても工事だらけ。

 仕方なく、迂回して、いつもは通らない駅を通ったりして、もうすでに工事が終了したのか、やけにAuber(オーベール)の駅などがピカピカになっていて、ビックリしたり、駅を上がると、ずっと続いているオペラ座の工事もまだまだ続いていて、工事中の壁面のお色直しはしているものの、入口の階段の部分も縮小されていました。

 最近は、ちょっと行かないだけでも、パリの中もどんどん変わっていくので、「ほんとうに、パリっていつまでも変わらないんだから・・」と思っていたのは、昔の話で、そういえば、このあたり、久しく来てないな・・などと思うところは、いつのまにか、けっこう変わっています。

 普段、色々と出歩くことが多いのですが、やっぱり、知らず知らずのうちに私の行動範囲には、かなり偏りがあり、また、私の出かける先も、いつの間にか変わってきているようです。

 とりあえず、夏の間、しばらくは、しっかりメトロやトラムなどがあるかどうか、チェックしてから出かけることにします。

 しかし、インフレであらゆる値段が上がっているというのに、そんなことにはびくともせずに、工事は、ガンガン進み、中には、「この間も工事してたばかりで、もうきれいになっているのに、こんなところ、また工事して、この工事、ホントに必要?」などと思うところまであって、少々、恨めしいような気もします。



メトロ14番線不通


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2023年8月8日火曜日

最初は不思議だったヨーロッパの人々の公園の楽しみ方が少しわかってきた気がする リュクサンブール公園

  


 私が最初に海外で生活したのは、ロンドンで、その頃は、私も若く、日本では、東京生まれの東京育ち、日本の他の地域に住んだこともなくて、初めて親元を出た経験でもありました。言葉の違い、文化の違いなどに触れ、見るものすべてが驚きの連続でした。

 最初は、街の中を見て歩いたり、人々の様子を観察したりして、慣れない英語での生活にドキドキしながら、知っているはずだった英語をいちいちイギリス英語に直されたりするたびに、直すぐらいだったら、意味はわかっているんだから、いいじゃん!などとバカなことを思ったりしていました。

 ロンドンは(パリもだけど・・)、東京に比べるとずいぶんとコンパクトな街で、最初は地下鉄を使って、そのうち、バスで動けるようになると、街の色々なところを自由自在に楽しむことができるようになりました。

 ロンドンには、けっこう街中に大きな公園がありますが、その公園に行ったりすると、そこにいる人たちが、公園で寝転んだり、本を読んだり、ピクニックをしたりしている様子がとても楽しそうで、彼らはとてもシンプルに生活を楽しむんだなということが、なんだか、とても衝撃的でした。

 それは、パリに来ても同じことで、最初は、彼らはなんで、わざわざ、こんなところで本を読んでいるんだろう?とか、なんで、こんなところにきて、何もせずにただ座って、喋っているんだろう?とか、思いました。喋りもせずにただ一人で座っている・・なんていう人もいます。

 パリに来て、長い間、私は、公園どころではなく、仕事と子育てに追われて、公園でゆっくりするなんていう時間的な余裕もまったくなく、仕事が休みの日は、子供のお稽古事の送り迎えや買い物やウィークデーにはできない家事などで忙殺され、バカンスには、パリ以外のところに行ってしまうので、パリの街中、しかも公園を楽しむなどということはありませんでした。

 ここのところ、子育ても終わり、時間にも余裕ができて、健康のためにできるだけ歩かなければ・・などと思い始めると、どうせ、歩くなら、少しでもきれいな場所、気持ち良い場所が良いな・・と思い、たまに、パリ市内のきれいな公園(庭園)に行くようになりました。

 最近、行くようになったのは、パリ6区にあるリュクサンブール公園で、フランス人がヨーロッパで最も美しい庭園と誇る巨大な公園で、入口だけでも10ヶ所あります。


 季節ごとの花は美しく、フレンチな感じとイギリスの感じが混在する庭園と言われており、敷地は、公開されているだけでも部分だけでも 21.75haもあり、敷地内には、庭園はもちろんのこと、宮殿、美術館からテニスコート、バスケットコートや子供が遊べる公園や砂場、回転木馬、マリオネットの劇場、野外音楽堂、ピンポン、チェスなどを楽しめる場所、小洒落たカフェ、有名なメディチ家の噴水、庭園内には、102点の彫像が散りばめられ、それが、上手く調和して、存在しています。






 けっこう、ヨーロッパからの観光客も多く(子供連れも多い)、2022年には、年間来場者数620万人を記録しているそうです。

 わざわざパリまで来て、ここで、質素な食事でピクニック? わざわざ、こんな庭園に来て、読書?などと思わないでもありませんが、心地よい場所を選んで好きなことをしていると思えば、それはそれで、というか、それだけで、心にゆとりがあるような気もするのです。

ドイツからの観光客 パンや卵、フルーツなどを分け合いながら食べている


 彼らは太陽が大好きということもありますが、同じ本を読むならば、食事をするならば、屋外の景色のよい心地よい場所でというのは、たしかに、気分が良いことに違いありません。彼らは公園が大好き。若者でも、簡単な食事やお菓子を持って、おしゃべりしたり、カードゲームをしたり、すごくシンプルに遊んでいます。たしかに、狭い家の中で、ごそごそやっているよりも外に出て、緑や太陽に触れながら、遊ぶ方が健康的たし、心地よいに決まっています。

 しかし、私は若い頃には、そんな遊び方をする発想は皆無だったので、そんな光景もけっこう衝撃でした。

 また、観光客の場合、限られた日数の旅程で、あそこの美術館にも行きたい、あそこで買い物もしたいと忙しく動き回りそうになるところをゆったりとした時間を美しい庭園で好きなようにゆったりと時間を過ごすというのも、いいな・・と最近の私は、思うようになりました。

 リュクサンブール公園には、4,517の椅子(ベンチ)があるといわれていますが、今の季節、平日の昼間でも、椅子は、ほぼ満席?です。広い庭園の中をそんな人々の様子を眺めつつ、美しい花や彫像などを楽しみながら散歩するのは、なかなか退屈しません。

 せっかくパリにいるのですから、今度は、私も、歩くだけではなく、本を持って、ゆっくりと時間を過ごしてみようかと思っています。


リュクサンブール公園


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2023年8月7日月曜日

日光でのフランス人女性行方不明事件について

  


 昨日、夜8時のニュースを見ていて、私はちょっとびっくりしました。事件は、2018年に日本で行方不明になったフランス人女性についての話でしたが、それが、たまたま、つい先日、日本の犯罪ジャーナリストの人が運営しているYouTubeで見たばかりの話だったからです。

 見たばかりとはいえ、事件そのものは、2018年の7月に起こっている話で、日本を旅行中だったフランス人女性が日光に滞在中、2泊の予定で宿泊施設を予約しており、2日目の朝(つまり、まだもう1泊する予定だった)10時頃、ふらっとホテルを出たまま行方不明になってしまったにもかかわらず、それ以来、彼女の行方がわからなくなってしまったという謎めいた話です。

 日光といえば、日本でも有数の観光地、観光客の多いところで外国人観光客も少なくありません。彼女は、当時の朝、軽装で出かけており、部屋にもスーツケース、パスポート、観光プログラムなど、彼女の荷物は、そのままになっていて、失踪したと思われる気配もなく、朝食の場で、居合わせたドイツ人観光客と会話をしていたのが目撃されているそうですが、その後、彼女の目撃情報はほとんど見つからず、初動捜査にあたった栃木県警も、当初はあまり事件性を疑っていなかったために、本格的な捜査にかかるのが遅れ、観光地ゆえ、もしも目撃していた人がいたとしても、彼らは土地の人ではないために彼女の足取りを掴むことが困難になってしまったらしいのです。

 彼女の家族は、充分な捜査がなされない日本の警察に業を煮やし、フランスにて助けを求めました。その結果、フランス当局が同年秋に司法捜査を開始し、2019年5月にフランスの捜査官が日本を訪れ、日本当局の支援を受けて、現地調査が行われましたが、捜査は行き詰まり、2022年7月に捜査は中断されることになりました。

 また、悪いことに、途中、パンデミックがはさまり、日本は鎖国状態になり、外国人の入国は認められなくなり、彼女の家族が日本へ彼女を探しに行くこともできなくなったことにも、彼らは憤慨しています。

 彼女の家族は、捜査が打ち切られることが納得いかず、嘆願書に2万3千人以上の署名を集め、マクロン大統領に何度も手紙を書き、エリゼ宮を3度も訪れ、ついには、本まで出版して彼女を探し続けています。

 ついには、外務省を通じて、彼女の捜査は今年6月に再開されることになったそうです。

 しかし、時間が経ってしまった今、非常に彼女の痕跡を探すことは難しく、特に彼女の家族曰く、「日本の警察は捜査にほとんどリソースを割かなかったため、目撃者は無視され、犯罪痕跡は真剣に捜査されなかったことを非難しています。

 私がたまたま見かけたYouTubeは、今月初旬に配信されたもので、この犯罪ジャーナリストの方は、事件の概要を説明するとともに、日本の県警ごとの捜査の問題点なども指摘しています。

 この事件の印象から、「日本は犯罪が少ないのではなく、犯罪と認定していないだけなのでは?」などという質問に、特に地方の県警は、このような捜査に慣れておらず、おそらく、最初の段階で事件性を感じなかったのだろうと答えています。

 なるほど、考えてみれば、フランスではだれかが行方不明になったという通報などがあった場合は、ものすごい人数の憲兵隊などが捜索にあたり、「この人を見かけませんでしたか?」などと目撃証言を募るニュースが全国規模で報道されているのを見かけます。行方不明になった人の国籍は関係ありません。

 そして、私がたまたまフランスのニュースでこの件が報道されていたのに驚いたのは、このYouTubeの中で、この犯罪ジャーナリストの人が、最後に、「この件は、もっとフランスでも騒ぐべき!フランスのテレビとかで、日本の警察は世界一だとか言ってるけど、全然、そうじゃない、日本人は外国人がいなくなったら、ちゃんと捜査してくれないの?と騒ぐべき!」と言っていて、彼のアドバイスどおりに、さっそくテレビで報道されていたことです。

 このYouTubeが撮影されたのがいつだったのかはわかりませんが、それにしても、このフランス人ジャーナリストがこの事件に関するテープをテレビ局に持ち込んで、夜20時からの最も国民がニュースを見ると言われている時間帯の冒頭の5分ほどを使って、しっかり、そのニュースが流されたということです。

 たまたま、その日は、他に大きなニュースがなかったためでもあったのでしょうが、その日のニュースなんて、ギリギリになるまでわからないもので、もしも、隙間の時間があったら、これを報道してほしいと持ち込んでいて、テレビ局もそれを受け入れたに違いありません。

 とはいえ、もう事件が起こってから、5年も経ってしまっているものの、今後も日本が観光に力を入れていきたいのであれば、「外国人に対しては、行方不明になっても、ロクな捜査もしてもらえない!」なんて評判にならないように、とりあえずは、この事件に関して、しっかりかたをつけてもらいたいものです。

 これだけの署名を集めて、本まで出版して彼女を探しているこの家族やフランスのマスコミを舐めてはいけません。


日光フランス人女性行方不明事件


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2023年8月6日日曜日

ちょっとビビった心臓のMRI検査

  


 海外で生活していて、病気になることは、なかなか不安な思いをすることの一つでもあります。

 ここのところ、たしかに年齢のせいもあるとは思うのですが、ちょっとした検査の結果、あっちもこっちも、要注意、再検査が続き、老人なみ?(失礼)に、検査や医者通いを続けるハメになっています。

 ふつうの血液検査等は、いつでも予約なしにできるのですが、それ以外の検査や専門医となると、予約を入れても、いちいち2~3ヶ月待ちとかになるので、かれこれ、最初の検査を始めてから、もう半年以上が経過していることになります。

 そもそもは、かかりつけのお医者さんに「しばらく心臓専門医にかかっていないから、そろそろチェックしてもらいに行った方がいいわよ・・」と言われて、心臓専門医にかかるための血液検査をしたことが最初で、その結果、他の臓器にも少々、問題がありと言われて、また別の検査に行って、ようやく心臓専門医にかかったら、ちょっと、ここではできないコロスキャナーなる心臓のMRIの検査をした方がいいと言われ、電話で予約をとろうとしたら、書いてもらわなければならない書類もあるし、渡さなければならない書類もあるので、一度来てくださいと言われて、予約を取りに行って予約をとるも、それからまたさらに約2ヶ月待ち。

 おまけに、心臓の検査のための血液検査を検査の2週間前にして、必要な薬品を薬局で買ってきてくださいと処方箋をもらっていました。フランスでは、予防接種などの時にもよくあることですが、(さすがにコロナウィルスのときは別でしたが・・)、医者で処方箋をもらって、薬局でワクチンを買って、そのワクチンを持って医者に行って注射してもらうというようなことがふつうで、検査とて、あまり一般的な検査ではない場合だったりすれば、その検査に必要な薬品は自分で持参して検査してもらうということもありなんだろうな・・と思っていました。

 そもそも、フランス語は母国語でもなし、たとえ日本語であっても、そんな心臓の話をされたとて、どの程度、わかるだろうか?と不安でもあったのですが、検査の結果は書面などでもらえるし、かかりつけのお医者さんが、検査の結果が出たら、説明してあげるから・・と言ってくれていたので、もうまな板の上の鯉状態。仕方ない・・と思っていました。

 あらかじめ、薬局に行って、これは、急に買いに来てもすぐに手に入るものなのかを聞いてみると、いつもあるとは限らないから、3日前くらいには来てくれた方がいいと言われ、3日前になって、その薬品を買いに行くと、想像以上に大きな薬品の箱で、なかなかビビりました。

 なんだか、あまり詳しく調べたりすると、さらに恐怖が増すので敢えてあまり調べずに行くと、どうやら、私が持って行った薬品は、造影剤だったようで、スキャナーと聞いて、単純なエコーのようなものを想像していた私は、それがMRIであったことが当日わかって、びっくり。

 ただ、血液検査の内容が腎臓に関する検査であったのは、なぜだろうか?心臓の検査なのに・・?とだけ思っていました。

 造影剤を点滴しながら、「検査の途中、喉のあたりから、じわ~っと熱く感じてきますが、心配しないでください」と言われ、本当に喉のあたりからじんわりと熱くなってきた時には、感じたことのない、なんともいえない気持ち悪い感じでしたが、その間も、息を止めてください、ハイ、また息をして・・がしばらく続き、実際の時間はそんなにかかっていなかったとは思いますが、すごく長い時間に感じました。

 あとから調べたのですが、事前の血液検査は、この造影剤が腎臓に問題がある場合は、検査後に自ら排出できないために使用できないらしく、そのための検査であったようです。

 MRI検査の結果はその日のうちにもらえるということだったので、その場で30~40分くらい待たされたでしょうか?お医者さんに呼ばれて、「深刻な問題は現在のところはありませんでしたので、極度のストレスがかかることや、血圧があがらないように注意してください」ということで、また、心臓専門医に持っていくための画像やDVD映像をもらってきました。

 そもそも、なんの自覚症状があったわけではなかったのですが、母や祖父も心臓系の疾患で亡くなっているため、心臓病は遺伝の可能性も高いと言われていたために、常に不安でもあるのですが、とりあえずは、まあよし・・ということで、大いにホッとして、検査のために、前夜から食事もせずに、夜中にお腹がすいてあまり眠れなかったうえに早起きして検査に来たこともあって、ガックリ疲れて帰ってきました。

 画像や映像のの結果とは別に、診断書は、数時間後に「mon espace sante」という私の保険証?というか、私の健康状態の経歴がファイルされているサイトに送られてきました。

 これで、また、心臓専門医の予約をとらなければいけないのですが、とりあえずの結果を添付して、再び診療が必要な場合は連絡くださいとメールを送りました。

 ところが、その日は、一日中、身体がだるく、熱を出し、めっきり調子が悪く、まさか、あの点滴のせい?と思いましたが、翌日、かかりつけのお医者さんに行くと、喉が少々赤いから、風邪でしょう・・と言われて、なんだ、病院に行って、風邪もらってきた・・とガックリ。

 しかし、これで、ひとまず、年明けから始まった私の検査通いは、一段落のはず。身体によい検査も薬もないと言いますが、全くそのとおりです。

 娘が成人するまでは、何が何でも死ぬわけにはいかないと思いながらも、実際に具合が悪くなっても、今、医者にかかったら、入院しなければならないかもしれないから、娘を家に1人にはできないので、医者にもかかれない・・と思っていました。

 娘が成人してからは、もうこれでいつ死んでもいいといいつつ、検査をすれば、ひっかかって、少しでも身体が楽になる方法があれば・・などといじましいことを考え始めるという潔わるさが頭をかすめます。

 しかし、現状では、深刻な病状ではないにせよ、いつか、そんな結果が出たときに、少しは肝の据わった決断ができるようでありたいと自分に言い聞かせるのでした。


心臓MRI検査


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2023年8月5日土曜日

バイヨンヌのお祭りの悲劇 玄関前での立小便を注意した男性 殴り殺される

  


 事件はバイヨンヌ(フランス南西部・ヌーベルアキテーヌ地域圏)の年に一度の5日間にもわたる有名なお祭りの初日に起こりました。

 バイヨンヌはフランスでありながら、スペインのバスク地方とも近く、どこか異国の雰囲気のあるところでもあり、ジャンボン・バイヨンヌと呼ばれる生ハムやピーマン・デスプレットと呼ばれる独特の風味のある高級な唐辛子でも有名な場所です。

 あまりフランス国内の旅行はしてこなかった私も以前、ビアリッツに行ったときに、バイヨンヌや、アングレなどを車で回り、スペインまで足を延ばしたことがありました。

 年に1度行われるバイヨンヌのお祭りは、大勢の人が白いTシャツに赤いスカーフや赤いベルトを着けたり、赤い帽子をかぶって参加する、バスク色の強いもので、また、歴史的なお祭りとしても有名で、ユネスコの無形文化遺産にも登録されている伝統的なものでもあります。

 お祭り好きで、お祭りとなると、テンション爆上げになりがちなのは、おそらく全世界共通なものであるとはいえ、今回の事件は、また、限度を超えた悲惨な結果をもたらしてしまいました。

 このお祭りの初日、酒宴に盛り上がった若者3人が自宅の扉に向けて立小便をしているところを注意した46歳の男性がその中の一人に頭を殴られ、その後、病院に搬送され、9日間昏睡状態の末、死亡しました。自宅前で立小便をされれば、誰でも注意すると思われる、そんなことが原因で、殺されてしまったのですから、誰にでも起こりうることであると、この暴力的な若者の行為に憤慨しています。

 この3人の若者は、犠牲者を殴ったあと、すぐに逃走し、お祭りの赤と白の群衆に紛れてしまったために非常に捜査が難航しているようですが、バイヨンヌ検察によれば、主犯の男は身長180~185㎝の屈強な体格で黒い髪、20~25歳くらいで事件当時は、白か赤のショートパンツを履いて、上半身は裸だったと言われており、事件当日の近辺を撮影していた人の画像を送信するよう、または目撃情報を求めて呼び掛けています。

 犯人が着ていたショートパンツが赤か白かもはっきりしないほど、もう大勢の人が赤と白の服装をしているために、目撃情報も曖昧になってしまっているということです。



 つい、この間も、フランス北部の街で騒音被害を注意しに行った男性が若者たちに殴る蹴るの暴行を受けて死亡するという事件が起こったばかり。今度は騒音ではなく、立小便を注意されて・・という事件。

 立小便というのは、生理的な現象のゆえであるとはいえ、場所をわきまえることができない非常識を注意された挙句に逆ギレで、しかも、よりによって、頭を殴るという凶行に及ぶとは、もう迂闊に他人に注意することも憚られるご時世となっています。

 お祭りで興奮状態で、しかも、かなりの確率で酔っぱらっていたとは思われますが、楽しいはずのお祭りを台無しにしてしまう彼らは、計画的な犯行ではないにせよ、最近、逆ギレしやすい若者たちの存在が目立ってきています。

 また、このお祭りの期間、同地では、強姦被害の届けが少なくとも5件は出ているということで、伝統的なお祭りが多くの暴力行為の場となってしまうことは、とても悲しいことです。


バイヨンヌお祭り殺人事件


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