2023年7月23日日曜日

スリやひったくりや置き引きだけじゃない!パリのメトロに出没するおじいちゃん詐欺師

  


 残念なことにパリのメトロは安全ではありません。スリやひったくりなどは、日常的なことで、置き引きに至っては、もう自分から、荷物から手を放してしまったのですから、もうこれは、彼らからすると、どうぞ持って行ってくださいと言っているようなもので、自分で手離してしまった方が悪いといわざるを得ないようなところがあります。

 ましてや落とし物や忘れ物などをしても、まず、見つかることはなく、以前に知人のフランス人が日本に旅行した際にタクシーにお財布を忘れたら、お財布が見つかっただけでなく、ご丁寧にタクシーの運転手さんがホテルまで届けてくれたと「日本というのは、なんという国(よい意味で)だ? どうなってるの?この国は?」と仰天していたことがありました。

 ご丁寧にといえば、パリのメトロでは、路線にもよりますが、スリがいますので、注意してくださいというアナウンスがご丁寧にも入る路線もあります。

 なので、私も普段は、充分に警戒して、大金は決して持ち歩かないだけでなく、お財布は大きなバッグの底の方に沈ませて持っています。

 ところが、最近、パリのメトロには、スリやひったくりだけでなく、詐欺師が登場しているというので、驚いています。

 これは主に20代から30代くらいの若い女性を狙った詐欺師のようなのですが、一見、人のよさそうな、ちょっと小太りで、メガネをかけ、口ひげをはやしたおじいちゃんだそうで、彼は、地方からパリに出てきて、お財布も携帯も盗られてしまった被害者を装って近づいてきます。

 多数の被害者女性がネット上で被害を訴えていることから、このおじいちゃん詐欺が一人であるのか?または、複数人存在しているのかは不明ですが、このおじいちゃん詐欺のシナリオは、最初は被害者を装って若い女性に近付くという点で共通しています。

 最初は、メトロの切符を失くしてしまったので、一緒に改札を通らせてほしいなどと近付き、様子をうかがって、身の上話を始めて、自分が困っている状況であると懇々と説明していきます。

 彼女たちが共通して言っているのは、とてもほっこりしてしまうような、誠実そうなおじいちゃんで、いつもなら、立ち止まりもしないのに、どこか安心させられてしまう雰囲気を持っている人なのだそうです。

 また、彼は、他のパリジャンに話しても、彼らは冷たいとパリジャン叩きも付け加えます。地方にある家に帰るためのチケット代として、250ユーロを貸してほしい、家に帰ったら、すぐに返すから・・。連絡できずに家族が心配している・・あなたにも家族がいるなら、家族を心配する気持ちはわかるだろう・・と言葉巧みに説得を続けます。

 今どきの若い子たちは、現金をあまり持ち歩かないので、わざわざお金をおろさせるのですが、また、彼は誠実そうな様子を崩すことなく、彼女がお金をおろしている暗証番号を打つ様子などはのぞき込まず、最後の最後まで「私が信用できないなら、お金は渡さないでください」とまで言います。

 そして、彼は、自分はちゃんと仕事をしていて月6000ユーロは稼いでいる人間なので、すぐにお金を返すことができると言い、彼女の連絡先を聞き出し、また、自分の偽の名前と連絡先を渡します。

 こうして、やり取りを振り返れば、つっこみどころ満載なのですが、言葉巧みにこの詐欺師は、彼女たちから、現金を奪っています。

 相手はプロなので、それは騙しやすそうな女の子を物色して声をかけているのでしょうが、それにしても、こんなに騙される人が多いのかと逆にびっくりもします。

 パリのメトロでのこのような詐欺被害がネット上で報告されはじめ、我も我もと被害を訴える人がでてきて、このおじいちゃん詐欺師は有名になりつつありますが、どうやら、この手口は、最近だけでなく、以前から存在していたものでもあるようです。

 そして、もう一つの驚きは、この被害届を警察に提出しようとしても、「自分の自由意思でお金を渡したのだから・・」と受け付けてもらえない場合が多いということで、「警察はこのような事件を把握しているにも関わらず、真剣には受け止めてもらえない」と、被害にあった女性たちはこの顛末を含めてネット上で訴えています。

 現在、話題に上っている人物と同一人物かどうかは不明ですが、この手口で詐欺行為を続けている者の中には、20年間もこの商売?を続けている人物がおり、彼はギャンブル依存症の年金生活者だそうで、過去に逮捕され、懲役2年の判決を受けているものの、再審の結果、この行為が詐欺ではなく、投資?として再認定され釈放されています。

 この行為が詐欺ではなく投資とは?これでは裁判所が詐欺に遭っているようなものです。彼は一応、司法監督下におかれているそうですが、彼は活動を停止してはいないようで、ここのところの騒ぎによって、再び、捜査が再開されたようです。

 パリ・・ほんとに、油断なりません・・・。


パリメトロ おじいちゃん詐欺


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2023年7月22日土曜日

97歳 視覚障害女性の家賃滞納のための立ち退き問題

 


 フランスにおける居住権というものは、まことに厄介なもので、スクワット(空き家などに勝手に侵入して居すわるのっとりのような行為・不法占拠)などの問題もしばしば耳にしますが、この行為自体は、不法であるというのに、彼らを追い出すのは、生易しいことではありません。

 今回の話は、賃貸の話ですが、シャラント・マリティーム県(ヌーベル・アキテーヌ地域圏(フランス西部)で、2017年以来、家賃未納のために家主が法に訴える手段をとりはじめ、2019年3月にラ・ロシェル裁判所、その後2020年11月にポワティエ控訴裁判所での裁判を経て、裁判所は所有者に有利な判決を下していました。

 裁判に時間がかかるのは、珍しい話ではありませんが、それから、さらに3年の年月をかけて、この居住者は、いよいよ住居からの追放の危機に直面していました。

 しかし、問題なのは、この女性が97歳という高齢であるうえに、視覚障がい者(盲目)であるということで、こういうケースに必ず集まる人道的な面を問題視するような声が高まり、彼女の弁護士は、この陳情書を裁判所に提出していました。

 「彼女は80年前に難民としてフランスにやってきて以来、この家に60年以上住んでおり、解決策なく彼女を追放することは、彼女にとっての死刑を意味する!」とまあ、こんな感じの強烈な言葉を使っての意見です。

 結局、シャラント・マリティーヌ県は、「裁判所の判決は履行されなければならないが、「彼女の同意を得て」「適切な宿泊施設」が見つかるまで自宅に留まることができる」とし、県のサービスは、「彼女の年齢、運動能力、障害に適応する宿泊施設を見つけるために取り組んでいる」と発表しています。

 しかし、これまでに彼女に対しては、2ヶ所の宿泊施設が提案されてきていますが、彼女はこれらを拒否してきており、彼女がごね続ければ、このままの状態が続くということでもあります。

 人道的に彼女を追放するのはどうかという意見もわからないではありませんが、そもそも否があるのは、家賃を滞納している借主の方で、この間の、滞納された家賃は積載されていくだけで、これが今後、支払われる可能性は限りなく低く、結局、家主が泣き寝入りを続けることになります。

 長きにわたり、居住している場所をこの高齢者に、出ていけというのは忍びないのはわかりますが、だからといって、家賃を払わずに居座り続けるのが許されるというのは、妙な話です。

 フランスで家やアパートを貸すというのは、リスクが多いことで、家主は日本人の借主を好んで探しているというような話を聞くことがありますが、これは、日本人の場合、取りっぱぐれる可能性が低く、しかも、お行儀よく、きれいに住んでくれるという評判が高いことからくるわけで、家賃が払えなければ、そこには住めないという当然の理屈がフランスでは必ずしも通用しないということでもあるのです。

 

97歳視覚障害女性の家賃滞納による立ち退き問題


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2023年7月21日金曜日

私の私的な外出の大半は食べることが目的 最近のマイブームは、モンパルナス駅

 


 私の父は、大変、食べ物にうるさい人で、また、味覚が鋭く、舌が肥えていて、そのうえ、大変、わがままであったので、母は父の食事の支度には、ものすごく神経を使っていて、牛肉なら、ここの店、魚なら、ここの店、佃煮は、ここ、餃子の皮はここの・・などなど、食材を買い集めるだけでも、なかなか大変なことで、食卓に出てきても、口に合わないものだと、お皿を遠のけて、箸もつけずに不機嫌さを丸出しにするような人だったので、私は、どんなものでも、家族が楽しく食事ができればいいのに・・と思っていました。

 夫と出会ったときには、何を出しても「美味しい!美味しい!」と感激してくれる人だったので、「やっぱり家族が楽しく食事できる家庭が幸せだな・・」と思いつつも、そのうち、「この人、ほんとに、味、わかっているんだろうか?」、「わかってないな・・」、「これはこの人には、もったいないかな・・」などとさえ思うようにもなっていました。

 しかし、悲しいかな、父の味覚の鋭さと好みは、怖いくらい娘に隔世遺伝しており、娘は、本当に味覚が鋭く、また、好みも父の好みと似ていて、なんだか、いつまでも父に憑りつかれているような気もしていました。

 一方では、そんな父のおかげで、結果的に、私も弟も食育は優良な?教育を受けてきていたわけで、また、美味しいものに向かう姿勢などは、我が家のDNAではないか?と思われる執着ぶりで、結果、弟は食品関係の会社に就職して、けっこう頑張っています。

 私自身についても、日常の食生活、食材の調達などを、あらためて、考えるてみると、生活の場がパリということで、特に日本食などを作ろうと思うと、1ヶ所で欲しい食材が揃わないということもありますが、結局は、少しずつの買い物を、これは、あそこ、あれなら、あそこ・・と、結局は母と同じようなことをしていることに気付き始めました。

 家のすぐ近くにカルフールがあるので、たいていのものは、そこで間に合うといえば、間に合うのですが、定期的にアジア食材を扱うタンフレール、パリストア、KIOKO食品、パン屋さんは2~3軒くらい、その他にお気に入りの生ハム屋さん、ケーキ屋さん、チョコレート屋さん・・などなど、私はなんで?こんなにいつも食べ物を買い廻っているんだろうか?と苦笑してしまいます。

 ラファイエットグルメなどに行けば、かなり色々なものが揃っているとはいえ、同じものでも値段も若干高めだったり、やはり、それぞれのお店に行った方が、新しいものを見つけたり、お店の人に色々と教わったりもするので、楽しいのです。とはいえ、ラファイエットグルメも時々は覗いているのですが・・。

 そのうえ、美味しそうなレストランがあるといえば、飛んでいくので、私の私的な外出は、ほぼ食べることが目的の外出がほとんどです。

 最近、その外出先に加わったのがモンパルナス駅で、ここには、ブレグジットのためにパリ市内の多くの場所から姿を消してしまったM&S(マークスアンドスペンサー)(イギリスのスーパーマーケットがあり(ここでは、マフィンなどのパンや紅茶、クッキーなどを買います)、ヨーグルトファクトリーというアイスクリーム屋さんがあり、ボルドーのカヌレ屋さん La Toque Cuivrée(ラ・トック・キュイヴレ)があります。




 そのうえ、NormalやPILONEなどの雑貨屋さんや、たくさんの駅弁ならぬサンドイッチやベーグルのお店などが、軒並みたくさん並んでいて、本当に楽しいのです。


 


 特にカヌレは、ボルドーのカヌレ専門店が唯一、パリに出店している場所で、普通、ブーランジェリーなどで売っているカヌレの半額以下で、本場のカヌレが買えるので、他の場所でカヌレを買うのはバカらしくなります。





 ヨーグルトアイスクリームは、他の場所にもある店舗ではありますが、このもっちりとして、しかし、さっぱりとしているアイスクリームは、後味も良く、けっこうボリュームもあり、トッピングもできるのですが、トッピングまでするとすごい量になるので、シンプルにアイスクリームだけでも大満足・・しかもアイスクリームの前にヨーグルトとつくだけで、罪悪感も少し軽減。
 

 バカンスに出かける人がTGVに行列しているのを横目に、私は私で、今日もまた、たくさんの食料をかかえて、家に帰るのでした。



パリでの食材調達 モンパルナス駅 カヌレ


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2023年7月20日木曜日

電気料金の値上げは当分、止まらないらしい・・

  


 つい、この間、電気料金の請求書が来て、金額を見て、「えっ?また上がった?」と思ったばかりでした。

 私は、細かい値段について、「え~~?高~い!」などと、言ったりするわりには、一度、払ったものについては、すぐにその値段を忘れてしまう、よく言えば、根に持たないタイプではあるのですが、電気代に関しては、過去にあった EDF(フランス電力)の桁を間違えられて引き落とされた事件以来、自動引き落としを取りやめたままで、いちいち請求書を確認してから、ネットで振り込むようにしています(以前はいちいち小切手を書いて送っていた・・)。

 そんなわけで、電気料金に関しては請求書が届き、また、この請求書は、ごくごくたまに必要になる住居確認の証明書として必要になることもあるため、保管してあったりもするので、なんとなく、他の支払いに比べて、否応なしに、その金額には、センシティブなところがあります。

 (電気代の引き落とし間違いの時には、その間違って引き落とされた金額を返金してもらうのに、一言の謝罪すらなく、挙句の果てに逆ギレされて、おまけにえらい時間がかかるというすごく嫌な思いをしたのです)

 しかし、「え~高い?」と思った金額よりもさらに、「8月1日から政府は電気料金の10%値上げを発表」という知らせを聞いて、また、ビックリ!、いったい、どこまで上がるのかと思いきや、これは当分続くようで、来月の10%値上げに続いて、2024年2月、8月、2025年1月に着々と17%ずつ上がっていくという話もあります。

 半年ごとに17%増とはかなりショッキングな話です。

 それでも、現段階では、フランスの電気料金はヨーロッパでは最低の部類に入ると政府は胸を張っており、これは電気料金に対して、政府が拠出している電力シールド(値上げから国民を守る政策)のために、これだけの値上げに抑えられているのであり、これまで実際に国民が支払うべき電気料金の43%を政府が負担していたものを約37%に引き下げることによるものとしています。

 政府は、景気回復の兆し(といっても、一部だとは思うけど・・)とともに、この電力シールドを段階的に廃止していく方針です。

 経済分析評議会(CAE)は、裕福な世帯からはこのシールドを早々に撤廃し、最も不安定な人々への援助を強化するように勧告しています。裕福な世帯からすれば、電気料金の値上げくらいは、大した痛手ではなく、最も不安定な人々への援助が強化されれば、彼らの助けにはなりますが、結局、一番痛手を被るのは、中流階級かもしれません。

 しかし、電気料金などの値上げは、結果的に全ての料金に反映されるものでもあり、インフレは止まらないということになります。

 また、今回、そして、今後の電気料金の値上げには、風力発電所や太陽光発電所の強化のための工事資金も含まれており、これらの工事費は、電力消費者の請求書の一部によって賄われています。 エネルギー規制委員会(CRE)によると、この賦課金は電気料金の次の段階の引き上げにもなっています。

 現在の異常気象なども鑑みれば、これまでの発電所(火力発電や原子力発電)ばかりに頼り続けることは、不可能であることは、理解できるものの、すでに、環境問題とともに、エネルギー危機と重なっていることも、この値上げに拍車をかけています。

 しかし、この値上げの中、フランス最大のガソリン供給会社などがこの2年連続過去最高益更新などという話を聞けば、どうにも心中穏やかではありません。


電気料金8月から値上げ


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2023年7月19日水曜日

パリのメトロはマスク率ほぼゼロ

  


 この間、久しぶりに日本にいる友人と電話で話していて、「日本はまだ、けっこうマスクしている人がいるんだよね~」という話を聞いて、びっくりしました。

 もう、はっきり記憶にもないくらいなのですが、私も多分、春ごろまでは、一応、マスクは持ち歩いていて、メトロやバス、つまり公共交通機関が混んでいたりするとマスクをつけたりしていたこともあったのですが、正直、彼女と話をするまでは、いつのまにかマスクのことは、すっかり忘れていました。

 パリはすっかりバカンスモードに入り、観光地をのぞいては、「やっぱりみんなバカンスに出ているんだな~」と思うくらい、人が減ってきた気がしますが、路線にもよるのですが、バカンス時期は、バスなどは明らかに本数が減るので、けっこう待たされた挙句にけっこう混んでいる・・なんてこともあるのです。

 あらためて、マスクをしている人はいるんだろうか?と周囲を見渡してみると、今日、1日、出かけて、バスにもメトロにも何本か乗りましたが、1人もマスクをしている人を見かけることはありませんでした。

 もともとマスク嫌いのフランス人、(まあ、日本人とてマスクが特に好きというわけでもないでしょうが・・)、マスクを外してしまうことには、日本人よりも抵抗がないのだとも思いますが、それでも、マスク着用義務が解除された当時は、マスクをしている人、していない人が上手く住み分けできなくて、マスクを外した人の中には、いつまでもマスクをしている人たちに対して、「いつまで、マスクなんかしてるんだよ・・」と、言いがかりをつける人などもいました。

 しかし、そのうち、不安な人はマスクをし、そうでない人は、マスクはもうしない・・それぞれ、好き勝手にしていても、それぞれに何とも言わない「マスク派とアンチマスク派」が共存できるようになって、めでたしめでたし・・と思っていました。

 今年は、というか、今年も、フランスはけっこう暑い日が早い時期から多くなったこともあるのか、私自身もマスクのことは、すっかり忘れており、周りがマスクをしているかどうか?を気にしてみることもなくなりました。

 それが日本はまだマスクをけっこうしている・・という話を聞いて、「へえ~!」と驚いていたら、ちょうど、YouTubeでホリエモンが「もういい加減、マスクやめませんか?」という動画を出していて、やっぱり、けっこうマスクをしている人が多いんだな・・と思いました。

 日本は地域にもよるのでしょうが、おそらくパリよりも気温も湿度も高く、パリよりも冷房が効いているところが多いとはいえ、さぞかし苦しいのでは?と思ってしまいます。

 周囲に高齢者が多いこともあるのでしょうが、お互いを縛りあっているようで、大変そうだなぁと思ってしまいます。もう感染者数なども発表しなくなっているので、日本とフランスの感染者数の対比をすることもできませんが、フランスでは、それ以上?に大変な事件がめじろ押しで、コロナに関してはもう話題にもあがらなくなってしまいました。

 どっちがいいのかは、一概に言うことはできませんが、今でもマスクをしている人がいっぱいいると聞いて、あまりの違いにびっくりした次第です。


マスク


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2023年7月18日火曜日

2024年から運転免許証がスマホに取り込めるようになる!

  


 フランス政府は、現行の運転免許証に加えて、2024年には、デジタルの運転免許証がスマホに取り込めるようになると発表しました。

 なにかと、トラブルの多い車の検問ではありますが、この検問の際の運転免許提示をスマホに取り込んだ運転免許証で提示することが可能になります。運転している時に車を停められると、まずは、免許証の提示を求められるのが普通ですが、この際の免許証不携帯というケースが少なからずあって、このご時世、特に若者は、スマホを持たずに出かけるということも考えづらいので、携帯に取り込んでおけば、いつでもどこでも忘れることなく、提示できるようになるわけです。

 スマホに取り込んでおけば、紛失ということもないわけで、免許証自体は、大切に家に保管しておいて、スマホだけ持っていればいいわけで、大変、便利になります。

 このスマホに免許証を取り込むには、アプリをダウンロードする必要がありますが、スマホの種類にかかわらず、どんな機種にも対応できるようになっているので、難しいことではありません。

 これまでにも、ヘルスパス(ワクチンパスポート)の時なども、アプリをダウンロードして、そこにワクチン接種済証明書を読み込んで、スマホで提示したりしていたこともあったので、免許証の場合もそんな感じなのかな?と思います。

 また、このスマホ免許証の場合は、これまでの交通違反の履歴などのデータや、残りのポイントなどにも自分でアクセスして、確認できるようになるそうで、これまでの免許証よりも、さらにグレードアップする感じです。

 また、この交通違反に関して、政府は同日、麻薬やドラッグを使用して運転した場合は、自動的に免許停止の措置をとることを発表しています。現在、フランスで起こっている自動車による事故の5件に1件は薬物使用者によるものであると言われており、また、薬物使用による自動車事故による人身傷害事故、死亡事故に関しては、これまでの「過失傷害罪」や「過失致死罪」から、「路上傷害罪」、「路上殺人罪」というカテゴリーを創設し、他の不本意な傷害事故とは区別し、より重罪であることを区別できるようにするとしています。

 そもそも、運転免許以前に違法である薬物使用で事故をおこせば、免停になるのは、当然のことだと思いますが、もはや、飲酒運転についてではなく、薬物使用運転について言及しなければならなくなっているほど、薬物が蔓延しているということには、フランスの麻薬当の薬物問題の深刻さを思い知らされます。

 アルコールに関しては、フランスでは、血中アルコール濃度が 0.5 g/l 血液または 0.25 mg/l 呼気 (または、0.2 g/l 血液または 0.10 mg/l 呼気) 以上の状態で運転することは禁止されています。

 しかし、今回は、もっぱら問題にされているのは、薬物使用運転に関することで、それは、もはや、飲酒運転による事故よりも、薬物使用による事故の方が多いということなのかもしれません。

 昔、日本で「酒酔い運転、一発取り消し!」などという標語があったのを思い出しますが、フランスでは「薬物運転、一発取り消し!」といったところでしょうか・・・。


スマホ運転免許証 薬物使用運転免許停止


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2023年7月17日月曜日

ガンの余命宣告は残酷か否か

  


 私にとってのごくごく近い家族は、祖父母はもちろんのこと、両親も夫も、すでに他界してしまっているので、娘をのぞいて、もう誰もいません。私の年齢だと、さすがに長寿国、日本だけあって、私の友人たちも、両親のどちらかは、まだ健在・・とまではいかなくても、健康上、様々な問題はありつつも、どちらかはまだ残っているという人が多く、「だんだん大変になってきた~」などという話を聞いても、介護できる親がいることを羨ましく思う気持ちもありました。

 しかし、反面では、家族を見送る辛さや悲しみを思い出すと、私は、もうあんな思いをすることはないんだな・・と、ちょっとホッとするというか、そういう過程も私は卒業したんだなという気持ちもあります。

 私はこれまで、祖父、祖母、母、夫、父と見送ってきたのですが、亡くなり方は、それぞれ違っていたのですが、そのたびに、私は涙が枯れるほど泣き、そのたびに、なんだか人生観が変わるような、また、日常の些細なことなど、どうでもいいような、色々な気持ちに襲われてきました。

 人にはいつか死が必ず訪れるということは、わかっていても、その人を失ったときの悲しみはまた別で、それを受け入れるには時間がかかります。

 祖父と母は心臓の病気だったので、本当に倒れてから1週間ほどで亡くなり、夫のときには、仕事先で急に倒れて病院に運ばれて3日目くらい、父の場合は、一応、間質性肺炎という病名がつけられてはいましたが、最後の1年くらいは、みるみる身体が弱っていった感じで、老衰に近いような印象でした。

 唯一、ガン宣告を受けたのは、祖母だけで、ガンが発見された時には、もう手の施しようがなく、余命はせいぜい1~2ヶ月と言われたので、あの時の衝撃は、今でも忘れることができません。

 私もまだ独身で、日本にいた頃のことだったので、誰よりも大好きだった祖母に少しでもたくさん会いたくて、それから、祖母が亡くなるまで、毎晩、仕事が終わって家に帰ると、車で病院に通い、一時帰宅したときなどは、祖母の家に泊まりこんだりもしました。

 最後に自宅に戻った時などは、知り合いのホスピスの先生に頼み込んで、往診していただいたりもしました。

 冷静に見れば、病状の進行状態からも、祖母のガンが明らかに進行していることは、明白であるにもかかわらず、いつまでも、心の中のどこかでは、「ガンというのは間違いかもしれない・・」とか、「奇跡がおこって、よくなるかもしれない・・」などと思いながら、結局は、祖母が実際に亡くなる半年後までの間に、少しずつ、見送る方も心の準備をしていたのかもしれません。

 それでも、祖母が亡くなったときは、悲しくて悲しくて、耐えきれず、私にとっては、誰よりも大好きな祖母だったので、きっと両親が亡くなるよりもつらいだろうと思ったりもしました。

 しかし、後から考えるに、祖母とは、ガン告知のおかげで最後の半年を他の家族のみんなとともに、本当に濃密な時間を過ごすことができた気がしています。

 祖母を亡くすほど悲しいことはないと思っていた私は、それから大分、時が経って、母が亡くなったときも、やっぱり充分に悲しかったし、夫のときには、それこそ急なことでもあり、海外にいて、しかも、まだ娘も小さくて、途方に暮れ、私も半分、あちらの世界に行ってしまったような深い悲しみに暮れ、その悲しみは、それから数年間、続いたし、あまり仲がよかったとは思えなかった父の時でさえも、帰りの飛行機の中では泣きどおしでした。

 もうあんな辛い思いは二度としたくないと思います。

 今でも、叔父や叔母たちなど、かなり親しい付き合いをしてきた親戚は残っていますが、ごくごく近い家族とは、きっと違うだろうとは思っています。

 それが先日、日本にいる親友のお母さまがガンで、もう今年の夏を越せそうもないという話を聞いて、ものすごいショックでした。彼女は、独身で、ずっとお母さまと二人暮らしを続けてきていて、とても仲のよい親娘で、また、彼女とは付き合いが長いこともあって、日本に帰ると、一緒にお食事をしたこともあったり、家に電話をして、彼女がいなくても、お母さまと長電話したりすることもあったり、遠くから、私の子育てを見守ってくれていました。

 お母さまの病状については詳しいことはわかりませんが、独身の彼女にとって、この現在の状況や彼女にこれから待ち受けていることを考えると胸が痛みます。

 また、この知らせに私が想像以上にショックを受けていることが、自分でも意外というか、久しく人の最期に接してこなかった私に、人の最期に対して、やっぱり、こんなにも受け入れがたいことであることをあらためて、思い知りました。

 ガンという病気は珍しい病気ではありませんが、この余命宣告ありの病気が残酷なものなのか、それとも、最期の時を精一杯過ごすためのものであるのか、今さらながら、考えてしまいます。私の母や夫などは、本当に突然、亡くなってしまったので、全く覚悟というものができていなかったのです。

 大切な親友の一大事に何もできないことが、どうにも気持ちの置き所がないような感じでもどかしくてなりません。


ガン余命宣告


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