ここのところ、中規模の服飾品メーカーが相次いで、管財人の管理下におかれ、事実上の倒産状態になったり、経営危機が露わになってきていますが、フランス最大手百貨店もその中に含まれているようです。
競合他社であるプランタンが国内の7店舗を閉鎖する発表をしたのは、2020年11月のことで、パンデミックが始まった年でもありました。
この時、すでにギャラリーラファイエットは大丈夫なんだろうか?という思いが、ふと頭をよぎったのですが、どちらにしても、パリの店舗はさすがに同社全体の象徴的な存在でもあり、影響は及ばなかったために、フランス国内の地方の店舗の事情もピンと来なくて、あまり深く考えることもありませんでした。
今回のギャラリー・ラファイエットのセーフガード手続きというものは、こういう申請の仕方もあるのか?と思ったものの、経営が上手くいっていないことに違いはありません。
財務省の説明によると、セーフガード手続きの目的は、経営難に陥った企業が負債を清算しながら活動や雇用を維持するために、組織再編を促進することとされており、キャッシュフローが債務を決済するのに十分ではなくなったものの、まだ支払いを停止していない企業を対象に、経済活動や雇用を維持し、確実に債務を返済できるようにするためのものだそうです。
これにより、債務の利息(法定利息、遅延利息、延滞利息)および課徴金の支払いが停止されます。
このセーフガード申請の対象には、アジャン、アミアン、アングレーム、バイヨンヌ、ボーヴェ、ベルフォール、ブザンソン、カーン、カンヌなどの店舗が挙げられています。
どちらにしても、プランタンといい、ギャラリーラファイエットといい、各段に観光客の多いパリの店舗はすっかり復活した観光客に支えられえていると思われますが、どちらにしてもこのデパート、百貨店という営業形態がもはや成り立たなくなりつつあることも事実です。
私自身、そもそも買い物をあまりしなくなったうえに、ギャラリーラファイエットへ行くのは、ノエルのデコレーションを見に行く時だけで、それ以外は、ごくごくたまに行く、ラファイエットグルメだけ。
考えてみれば、何か探して買い物に行く際には、「まぁとりあえずデパートに行けばみつかるだろう・・」と思っていたのは遠い昔の話で、今でも広範囲の色々なブランドのものが、置いてあることには違いがないのでしょうが、どうにも、見づらく、また、中途半端に高いという始末の悪さに、デパートで買い物をしようとは思わないのです。
今は何か欲しい商品があれば、ネットで調べて、ネットで買ってしまう方が簡単なうえに、実物を見て、自分の手で触れてみてから選びたいという場合でも、お店もそれぞれに、簡単に調べて出向くことができるので、わざわざ不特定多数のある程度の商品数がおいてあるデパートに行く必要はないのです。
ラファイエットグルメなどは、美味しいものがたくさん厳選されておいてあり、たしかに、よくこれだけ集めているなぁと感心するものの、やっぱりお値段は、それぞれのお店よりも若干高めに設定されており、短時間に一度に美味しいものを手に入れるには便利なところではあるのですが、このインフレで商品の価格には、今まで以上に敏感になっている消費者にとっては、敷居が高くなっているかもしれません。
しかし、パリの店舗を見る限り、店舗はいつもにぎわっている様子なので、大きな問題ではないのかもしれませんが、購買力の弱い地方の店舗にとっては、ギャラリーラファイエットとはいえ、デパートという存在自体が、生き残りが難しくなっているものなのかもしれません。
ギャラリーラファイエット セーフガード手続き申請
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