私が日本に住んでいた頃は、もう20年以上も前のことになりますが、ボジョレー・ヌーボー解禁の日は、メディアでも大きく取り上げられ、なかなかのお祭り騒ぎでした。 フランスに来たばかりの頃は、それでも、フランスでもボジョレーは一応、フランスでも解禁日には、職場で買ってきてみんなで飲み比べをしたりもしたり、スーパーマーケットなどでも特別なコーナーが大きく設けられていたりしたので、今よりはもう少し、盛り上がりを見せていたような気がします。 それが、年々、スーパーマーケットなどでも扱われ方が小さく、雑になり、また、あまり人が群がるようなこともなくなったのには、少々、寂しい気がしています。 昨日、「そういえば、今日はボジョレー解禁日だった!」と思い出して、近所のスーパーマーケットを覗いてみると、寂しい限りのボジョレーコーナー、しかも周囲に興味のありそうな人もおらずにひっそりと5〜6種類のボジョレーが積み上げられていました。 昨年もすでにずいぶんとボジョレーも衰退したな・・という感がありましたが、今年はますますその感が強くなった印象です。そうでなくとも、最近ではフランスの若者のワイン離れが伝えられ、ビールやウォッカ、モヒートなどのカクテルや、逆にウィスキーなどの人気が高まり、スーパーマーケットにあった大きなワインカーブが縮小され、代わりにビール売り場が拡大して、ビールも多くの種類がおかれるようになりました。 それでも、フランス料理には欠かせないワインは、やはりフランスでは大きな位置を占めていることに、かわりがないのですが、もともとあまり長い期間の保存が効かない(最大6ヶ月保管可能)若いボジョレーは季節限定であるがゆえにその時だけ、一瞬、注目されるだけのもの、たまにボジョレーを手にとっている人も年齢層が比較的高めで「今年のボジョレーを味見してみよう」といった感じのまさに年中行事を変更することのない人々といった印象です。 昨年から続くパンデミックはさらにこのボジョレー解禁のお祭り行事から、一層、人を遠ざけているのかもしれません。 今年は、春先にワイン畑に霜が降りたりした気候もワインに大きな影響を与えたと言われていますが、このボジョレー地方も少なからずその影響を受けており、メーカー側は今年のボジョレーは、「アルコール分が少なめで、より軽く、よりフルーティーで飲みやすい」と、「物は言いようだ・・」と思われるような宣伝の仕方をしています。 1980年代に、この特別に早くに解禁日を迎えることを利用して、盛り上げる商業戦略にのったボジョレー・ヌーボーは、本来のブラックガメイ種の葡萄の本来の風味を際立たせる、より自然で伝統的なプロセスから、アルコールの少ない控えめな飲み物から、赤い果実の香りを引き出すことを目的として、イチゴやラズベリーやスミレの味を際立たせるために人工酵母の使用、発酵前の浸軟(ワインの着色と風味付け)、補糖(砂糖を加えてアルコールレベルを上げるプロセス)する製造方法が体系的になりつつあり、本来の風味とは異なったものとなってしまっている可能性があります。 それでもフランスワインの中での一定の割合でのマーケットになっているボジョレー・ヌーボーは、フランスだけでなく、海外でも110カ国以上で4000万本以上のボトルが販売されており、その生産の40%は海外に輸出されています。 ボジョレーヌーボーの輸出先 中でも日本はその4分の1を占める世界で最も大きなボジョレー・ヌーボーのマーケットになっています。 時差の関係で、この11月の第3木曜日をフランスよりも早く迎える日本は、その解禁のタイミングを上手く盛り上げて、このボジョレー・ヌーボーをより広く販売することに成功したのです。 今年のボジョレーの葡萄の収穫は9月の中旬に始まり、2週間程度で終了、もともとボジョレー・ヌーボーは、製造過程に4日間しかかからないという製造プロセスであるために、価格も安く、フランスでは4.5ユーロ(約580円)から7ユーロ(約900円)程度で売られています。 値段は安くても、ワインならば、一年中を通して、それほど高価なものでなくても、そこそこのクォリティーのものが楽しめるフランスで、わざわざボジョレーでなくとも良い・・そこまで感動しない・・というのが私の正直な印象です。 それでも、おススメのボジョレーが掲載されていましたので、ご紹介しておきます。 一般的に売られている物よりは少しお値段は高めではありますが、ワイン通でボジョレーを楽しもうとなさる方には、元来のボジョレーの味と風味を楽しめるものかもしれません。○Frédéric...
2021年11月19日金曜日
2021年11月18日木曜日
フランスは本格的に第5波に乗り始めた!
現在、周囲のヨーロッパの感染拡大の急増が顕著な中、フランスの感染状況は増加傾向にあるとはいえ、比較的、安定している状況に見えていました。 フランスでの1日の新規感染者数が1万人を突破したのが、11月3日(10,050人)、そして、その2週間後の11月17日には、あっという間にその2倍の2万人を突破(20,294人)してしまいました。 いくら他のヨーロッパの国よりはワクチン接種率があがっているとはいえ、依然として4人に1人はワクチン接種をしていない状態。感染者数が増加すれば、感染のリスクが増加するのは当然のことです。 ヘルスパスのシステムが導入されたことで、フランス...
2021年11月17日水曜日
ご近所との常識の違いに戸惑う出来事
狭いコントロールルームに詰め込まれていた荷物 私たちの住まいは、パリのあまり大きくないアパートで、1フロアに2世帯が住んでいます。ですから、同じ階のお隣の世帯と共有?のスペースはエレベーター前の小さなスペースと電気や水道のメーターなどのコントロール機器が入っている小さな小部屋(コントロールルーム)のような場所が共有といえば、共有のスペースになっています。 先日、午後の時間にアパートの呼び鈴が鳴ったので、不審に思って(普通、外からの来客は、まず地上階にあるドアフォンを鳴らして、それに応えてから、まず地上階にあるドアの鍵を解除して、それから上がってくるので、いきなり玄関のベルを鳴らさ...
2021年11月16日火曜日
フランス国旗の色が変えられた理由
青、白、赤のトリコロールカラーはフランスのシンボルでもあり、当然、フランスの国旗もこのトリコロールカラーで彩られています。 祝祭日はもちろんのこと、このトリコロールの国旗は、パリの街中でもよく見かけるもので、あまり多くの派手な色合いが使われていないパリのシックな街並みや歴史ある建築物には上手く調和し、またアクセントとして映える国旗でもあります。 マクロン大統領をはじめとする政治家が国民に向けて演説をする際などには、必ずこの国旗が側に掲げられています。 そのフランス国旗の色が実は1年前から変えられていたことが、今、フランスでは話題になっています。 マクロン大統領はこの色の変更を公表しなかったことから、ほとんどの人が気付かずに1年以上も過ごしてきたのです。 1年前まで使われていたフランス国旗の色は1976年に、当時の大統領ヴァレリー・ジスカール・デスタン大統領によって、それまで使われていたブルーと赤よりもより明るいブルーと赤に変更されたもので、マクロン大統領は、昨年の7月14日(パリ祭・革命記念日)から、以前に使われていたダークブルーの青に戻しました。 現在、公式に使われているフランス国旗 現在トリコロールに使われている青は、フランス海軍で使用されている青であり、1794年の条約で選択されたものです。 この色の変化は非常に僅かなものですが、フランス革命のシンボルと再接続するものであると説明する者もいます。 マクロン大統領の真意はわかりませんが、この僅かな色の変更は、マクロン大統領が舞台美術家のArnaud...
2021年11月15日月曜日
フランス・ベルギー他15ヶ国からのワクチン未接種者の入国に陰性証明書提示義務化
現在のヨーロッパの感染拡大に接し、フランスはベルギーをはじめとした約15ヶ国からのワクチン未接種者のフランス入国の際にPCR検査または抗原検査で陰性の証明書の提示を求めることを発表しました。 ベルギーやヨーロッパの多くの国で感染状況が急速に悪化するにつれて、フランスは自国を守るためにこの新しい措置を講じることを決定しました。 11月13日以降、ワクチン未接種者がフランスに入国するために24時間以内のPCR検査または抗原検査で陰性でなければなりません。要はヘルスパスがフランス入国の際にも必要になるようなものですが、ヘルスパスの場合は72時間以内の検査陰性の証明書であったものが、...
2021年11月14日日曜日
「電気料金滞納しても、電気は止められなくなる」措置は電気料金値上げのための布石か?
フランスでは、エネルギー供給業者(電気やガス)が11月1日から3月31日までの間に、主たる住居に関連する請求書の未払いのためにサービスを中断することを法律で禁じています。 11月1日から5ヶ月間は、料金がたとえ未払いであっても、電気やガスを止められることはありません。昨年は、ロックダウンのためにこの期間は3ヶ月間延長され、約30万世帯がこの影響を受けたと言われています。 そして、先日、EDF(フランス電力)は、4月以降も、料金を支払わないユーザーに対して、の電力供給をストップしないことを発表しました。その代わり?に料金未払いの人への電力供給は必要最低限の1,000ワット相当...
2021年11月13日土曜日
ヨーロッパの感染再拡大と再ロックダウンの波
ヨーロッパでコロナウィルス感染が再拡大し始めている現在の状況から、欧州連合は、ストックホルムを拠点とする欧州疾病予防管理センター(ECDC)を通じて、最新のリスク評価により、27の欧州加盟国の中で、ベルギー、ポーランド、オランダ、ブルガリア、クロアチア、チェコ共和国、エストニア、ギリシャ、ハンガリー、スロベニアなどの10カ国が非常に懸念される状況にあることを発表しました。 しかし、ここに挙げられていない国々も決して安心できる状況ではなく、ドイツやオーストリア・オランダなども、緊急の対応を取り始めています。 中でも、オーストリアは、感染率が最も高いオーバーエスターライヒ州とザル...
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