2021年10月29日金曜日

フランスの食品廃棄物救済アプリ Too Good To Go 


「Too Good To Go」で3.99ユーロで購入した「PAUL」のパン


  最近、環境問題の一貫として、食品廃棄物の問題が取り上げられ、スーパーマーケットなどでも賞味期限間近、または、廃棄処分になっている食料品を食品廃棄物防止の黄色やオレンジ色のラベルが貼られて、大幅に値段を下げて、売られるようになりました。

 これは政府の「アンチガスピヤージュ(無駄廃止)」の呼びかけによるもので、大きな成果を上げてきました。

 そして、ここに来て、食品廃棄物を減らし、それをアプリを使って、利用できるサービスがフランスでは急拡大しています。

 それは「Too Good To Go」という携帯アプリで、自分の希望する地域の食料品を扱う店舗で、その日に売れ残る商品を大幅な割引価格で購入することができるシステムです。「Too Good To Go」をフランス人は「トゥグトゥゴ」と縮めて呼んでいます。

「フランスのToo Good To Go のサイト・ここからダウンロードできるページに飛べます」

 これは、実によくできたシステムで加盟店はその日に売れ残るであろう?食料品を廃棄せずに約3分の1程度の価格で売り捌くことができます。

 まず、だいたい、引き取りに行く都合(時間が限られているために)の良い場所で店舗を探します。

  



 だいたい、この地域にはこれくらいの数の店舗が登録されているということが表示されます。

 毎日、毎日、同じ店舗で同じ数のパッケージがあるかはその日(あるいは前日)にならないとわからないので、その時点での購入可能な数が表示されています。

 


 加盟店には、パン屋さん、レストラン、スーパーマーケットなど、現在、フランスでは23,999の店舗が登録しており、前もって予約し、購入予約をして、アプリで決済を済ませ、当日の指定された時間(閉店間際の時間)に取りに行けば良いだけです。

 この加盟店には地域にもよりますが、「PAUL」や「Eric Kayser(エリック・カイザー)」などのパン屋さん、「Monoprix(モノプリ)」や「FranPrix(フランプリ)」などのスーパーマーケット、Starbucks(スターバックス)など、大手チェーン店も名前を連ねています。

 しかし、今のところ、スタバなどは、購入可能な商品を見つけたことはないので、環境問題に参加してますアピールのために名前を連ねているのか?などと思ったりもします。


注文すると届く画面


 ただ、中身については、選ぶことはできないので、例えば、中身は定価で〇〇ユーロ相当のものが入っているというだけで、その3分の1程度の価格が提示されています。

 先日、それなら一度、試してみよう!と、近くのパン屋さん「PAUL」で12ユーロ(約1,600円)相当のものが3.99ユーロ(約520円)というパッケージを購入してみました。「PAUL」ならば、日頃、売っている商品は大体把握しているし、何が入っていたとしても、ハズレはないと思ったからです。

 なんだか、何が入っているのかわからないので、ちょっとした福袋気分で引き取りに行くのが楽しみでワクワク・・。

 引き取りに行く時間は閉店直前の18時15分から18時30分のたったの15分だけに限られていて(これはお店によって違います)、私たちの他にはもうひと組、この「Too Good To Go」の引き取りに来ていましたが、普通のお客さんは、通常の定価で買い物をしています。

 商品は、その時間には、すでに袋に入って用意されており、アプリを提示するだけで引き取ることができます。

 さてさて、中には何が入っているか?と、家に帰るとさっそく、中身を広げてみました。

 中には、バゲットが1本、スモークサーモンのサンドイッチ、オリーブのパンにオリーブオイルとトマト、モツァレラチーズの入ったサンドイッチ、ブレッツェル、オリーブとベーコンのフガス各1個、ベニエ(チョコレート)2個、シューケット6個、シリアル入りの炭のプチバゲット、ジンジャーブレッドなどなどと盛りだくさん! 余裕で12ユーロ以上の内容です。

 これはお買い得!そして、普段、自分では試すことがないものを試すことができるので、思わぬ発見もあり、これなら、今度、買ってみようか?などと思うきっかけにもなります。

 しかし、逆にこれを知ってしまえば、もう二度と「PAUL」で定価でパンを買わないのではないか?などと思ったりもします。早々に、バゲットなどは冷凍保存し、日持ちしないサンドイッチを真っ先に頂きました。

 けれど、まだまだ充分に美味しく食べられるものを今までは廃棄していたのか?と思うと、とてもお買い得なお買い物をしたと同時に無駄を減らすことに貢献できた!という都合の良い満足感も感じます。

 このアプリはデンマークで発祥したアプリのようですが、このようなアプリがもっと世界中に広がると良いなと思っています。


食品廃棄物救済アプリ Too Good To Go

 

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2021年10月28日木曜日

パリで見つけた美味しいお蕎麦屋さん あぶりそば Abri Aoba

  

フランス産の鴨の鴨南蛮そば フランス人は鴨が大好き

 

 お寿司、ラーメン、うどん・・今やパリで和食のお店は珍しくなくなりましたが、そんな中でもあまり見かけないのがお蕎麦屋さんです。

 私はお蕎麦が大好きで、日本で仕事をしていた頃は、お昼というと週2〜3回はお蕎麦というオヤジのような生活をしていました。

 パリに来てからは、そもそもお蕎麦屋さんには全く期待をしておらず、ずいぶん前にサンジェルマン・デ・プレの方にお蕎麦屋さんができたという話を聞いたのですが、あまりの高価さに覗いてみる気にもならず、パリでお蕎麦といえば、家で乾麺を茹でて食べるというくらいでした。

 しかし、先日、「何か美味しいものは・・・」と探していたら、パリにもいつの間にかあったではありませんか? なんと、ミシュランのビブ・グルマン(Bib Gourmand Michelin)(ミシュラン星付きレストランほど高価ではなく、比較的お手頃価格の厳選されたお店)に載っているお蕎麦屋さんが・・。

 これは行かないわけにはいかない・・とさっそく、行ってきました!

 それは、こじんまりとした、さほど目立たない外観でお店の看板も出さずに(看板は敢えて出さないという方針らしい)やっているAbri Soba(炙りそば)という名前のお店で、行列を避けて、なんとか昼1時前には・・と思っていたにもかかわらず、すでに少し行列ができていたことでそのお店だとわかったほど、目立たずに営業しているお店でした。

  

目立たず、看板もなく、ちょっと見には何のお店かわからない外観

 店内に入るとすぐに目に飛び込んでくる、吊るされたワイングラスやその上下にずらっと並んだ日本酒やワインの酒瓶が酒飲みの目にはことさら嬉しく、一見すると、バー?飲み屋さん?と思われる店内です。

 

これだけ見たら、とてもお蕎麦屋さんには見えない


 店内はテーブル席30席ほどとカウンター席が6席で、満席。お店の規模のわりには店員さんは8人もいて、スタッフは全て日本人、お客は私たち以外は全てフランス人という珍しい光景です。

 ここでは、ナイフやフォークは提供していないのか?お客さんたちは、器用にお箸を使っていましたが、中には上品そうなマダムがまるでナゲットかフライドチキンのように、天ぷらを手で摘みながら、お蕎麦を食べている様子なども見られてそれはそれで、微笑ましい感じです。

 

一見、日本か?と思うような座席、座席の下には荷物を入れるカゴまで!


 入り口の扉から内装まで、全て木目調で揃えられ、店内のあちこちに見える細かい装飾品も味のある日本のもので飾られています。


可愛らしい日本の小物とともにフランスのレストランには珍しい黒七味


 さすがに日本人だけのスタッフのサービスは、フランスではあまり見られないサービスが隅々まで行き届いており、お店の人の対応にはいちいち、さすが・・日本人・・と嬉しくなります。

 昼のメニューはそれほど種類は多くありませんが、どちらにせよ、そんなに食べられるわけでないので、充分です。

 お蕎麦には、冷たいお蕎麦と暖かいお蕎麦があり、ざるそば、おろしそば、きつね、ごまだれ、天ぷら、月見、山菜、鴨などがあります。お値段は9ユーロ(約1,200円程度)(ざるそば)から17ユーロ(約2,200円程度)(天ぷらそば)の間なので、パリでの外食としては、このクォリティでこのお値段はすごく納得のいく価格です。

 それぞれのお蕎麦には、プラス6ユーロでサラダ、ご飯(炊き込みご飯(ひじきや枝豆などが入っている)かマグロとサーモンの巻き寿司が2個)の他に、唐揚げか野菜餃子、日替わりのお惣菜のいずれかのを選ぶことができます。

 

お昼のメニュー

 お蕎麦以外には、鶏の唐揚げ、とんかつ、鮭の西京焼きのお弁当(定食)があり、ご飯、お味噌汁、漬物、野菜餃子がついてきます。

 寒くなってきたので、暖かいお蕎麦が食べたくて、天ぷらそばと鴨南蛮そばを頼んだのですが、天ぷらは別盛りでカラッと揚がったサクサクの天ぷらが楽しめます。

 お蕎麦はお店で作っている特製のお蕎麦で、比較的細めの麺は滑らかで、舌触りも良く、久しぶりのお蕎麦に舌鼓をうちました。


天ぷらそば 天ぷらは海老2本とエリンギとナス

 大きなぷりぷりの海老の天ぷらも、鴨の脂がじわっとつゆに染み出している鴨南蛮にも大満足、お蕎麦に載せられている刻みネギの細かさと小さな三つ葉にまで感動しました。強いていうならば、おつゆは若干、甘めです。


 


 プラス6ユーロでついてきた、巻き寿司は赤酢の酢飯で巻かれており、サラダには水菜、大根のつまなどが合わされ、鰹節と醤油ベースのドレッシング、唐揚げには甘だれがうっすらとかかっており、唐揚げに添えられたサラダには胡麻ダレがかかっています。

 その一つ一つの小さな小皿にも細かい心遣いが感じられ、丁寧に作られていることがわかります。

 その上、どんなものかわからず、一人分しかプラス6ユーロのメニューにせずに二人で分けあって食べていたら、頼まずとも、唐揚げは二人分に切り分けてくれる心配り。

 

お水を入れてきてくれるボトルも可愛い

 お水一つをとってもなくなったら、すぐに次のボトルを持ってきてくれました。(日本ならあたりまえのことですが、フランスでは決してあたりまえではありません)

 こんな感じのお店なので、夜になると、メニューも増えて、ちょっとつまみながら飲める居酒屋さんのようになり、大賑わいになるようです。

 このお店で出てくるものなら、際限なく飲めそうだと思いながら、次回はぜひ、夜に来たいものだと思ったのでした。


⭐️Abri Soba Paris あぶりそば パリ

10 Rue Saulnier 75009 Paris  月曜休 12:00~14:00, 19:00~22:30 日曜夜のみ

メトロ⑦番線 Cadetより徒歩3分、⑧⑨番線 Grand Boulevardsより徒歩7分


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2021年10月27日水曜日

眞子さまのご結婚報道で見えるフランスの日本という国の見方

 


 「日本の眞子内親王の物議を醸す結婚」「眞子内親王は長い論争の末に結婚した」「眞子内親王の結婚式が帝国の伝統を破る理由」「眞子内親王は4年間の論争の末、ついに婚約者と結婚する」「4年間待った後、眞子内親王はついに結婚しました!」こんな見出しで、フランス大手各紙は眞子さまのご結婚を報道しています。

 フランスでのこの結婚に関する報道は、概ね以下のとおりです。

 天皇陛下の姪にあたる眞子さまは、一般人の小室圭氏と結婚しました。この結婚は婚約発表の3ヶ月後に、夫となった小室圭氏の母親が400万円(3万ユーロ)の返済を拒否したことが公になって以来、日本では物議を醸し続けてきました。

 このスキャンダルは日本社会の非常に保守的な層からは完全に否定的な目で見られていました。

 そのため、宮内庁はこの結婚を延期し、小室氏はニューヨークに旅立ち、勉強を続けていましたが、結婚が正式に決まったタイミングで日本に帰国。4年が経過し、結婚が決まった状況においても空港に降り立った際の彼のポニーテールでさえも非難の的となり、とうとう結婚直前になっても彼らの結婚への反対の声は収まることがありませんでした。

 日本でのこの結婚に対する論争は、英国のメーガンとハリーに匹敵するほどであると報道しています。

 このように、結婚までの経緯については、日本での報道とほぼ同じではありますが、この報道を機に、眞子さまが心的外傷後ストレス障害であると発表されたことから、過去に現皇后・雅子妃殿下が長い間うつ病を患ってきたことなどを例に挙げ、日本のマスコミは、皇族のわずかな粗さにも態度を緩めることはないと指摘しています。

 結果、「多くの人がこの結婚に納得していない」と判断した皇室側は、結婚にまつわる皇室での伝統的な儀式を全て中止し、まるで平和な生活への代償を支払うかのように、結婚時に支払われるはずの1億5,200万円(110万ユーロ)を辞退する結果となり、これは、戦後、日本史上初めてのことであると伝えています。

 また、結婚が単なるラブストーリーの延長ではなく、家族間に関わる契約である場合が多い日本という国で、彼女の父親が結婚を受け入れることは、何世紀にも渡る皇室の伝統や習慣を損なうことになろうとも、娘の幸福を望む秋篠宮文仁親王の皇室の変化への願望とも解釈することができ、この願望はこの世代の日本人の両親によって広く共有されつつあるものでもあり、眞子内親王の結婚は、若い日本人女性の開放の強力な象徴になる可能性があるとも伝えています。

 日本の皇位継承は男性皇族のみに引き継がれるもので、女性の皇族は、結婚後、皇室を離脱することが、定められています。皇室の女性を結婚後も皇室に留めおくことは論じられてはいるものの、強硬派の支持者や伝統主義者は、女性が統治できるようにするための措置に激しく反対しているため、制度の変更は今後長い間続く可能性があります。

 皇室を離れた経緯は異なるとはいえ、ニューヨークに移住するこの元皇族の夫婦は、必然的に王室を離脱して異国に移住したハリー王子とメーガン妃との比較が行われ続けるだろうと予測されています。

 気になるのは、いくつかのメディアでは、国民の多くが賛同しないがゆえに、眞子さまが皇室を離脱したという報道があることです。

 いずれにせよ、ニュースの内容そのものよりも、日本古来の伝統的な皇室の異例な結婚というこのニュースを通じて、フランス(海外)からは、日本がこんな風に見えているのか・・ということを垣間見える興味深い一面もありました。


眞子内親王ご結婚 日本の皇室


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2021年10月26日火曜日

フランスでの婦人科検診 子宮頸がん検診

 


  

 毎年のように婦人科検診の通知が来ていたにも関わらず、ずっと放置したまま、ここ数年は、それにロックダウンなどが重なり、できる限り、病院には行かないことにしていたため、これまで私がフランスで婦人科検診に行ったのは、23年間でたったの一度だけでした。

 もうそれは、10年以上も前のことだったので、記憶も朧げで、ひたすら不快で痛かった記憶しかなく、そのうちの一つは乳がん検診だったと思うのですが、大してありもしない胸を無理矢理機械で挟んで、レントゲン?を撮ったのが、もう悲鳴をあげるほど痛くて、「これは、検査で病気になりそう!」などと思い、「もう一生やりたくない!」と思ってしまったのです。

 以来、検査の通知が来ても、ロクに中身も見ずに、捨ててしまうことはないものの、なんとなく気にしながらも、いつか、時間的にも、精神的にも余裕ができたら行こうと、束のように通知が溜まっていき、そのうち、もう封筒を見ただけで、「あっ!これは婦人科検診の通知だ!」とわかるくらいになり、通知に添えられている手紙にも「あなたは、ここ何年も検診を受けていませんが、検診を受けることはとても大切なことです」などと記載されるようになり、歳を重ねるにつれて、普通に生活しているだけでは健康を保てないことを痛感しつつあり、少々、不安を覚えるようにもなってきました。

 先日、いつも薬を処方してもらう、かかりつけの医者のところに行ったときに、ついでに届いていた通知を持っていって、相談したところ、「それは、やらなきゃ!前回は、いつやったの?」と言われ、「もういつだったか覚えていないくらいずっとやっていない・・」と言うと、「そんなはずはない!絶対、5年以内にはやっているはず・・」などと断言されて、なんだかそれ以上はもう言い返すのも憚られて、婦人科を紹介してもらったのでした。

 彼女が知っているお医者さんなら、少しは安心か・・と自分に言い聞かせて、予約を入れて、数十年ぶりに婦人科検診に行ってきたのでした。

 婦人科検診、(今回の通知は子宮頸がんの検診)は、厚生省(公衆衛生局)が2018年に開始した子宮頸がんプログラムの一環で、その通知を持って行けば、検査は無料でやってくれます。

 このプログラムは、25歳から65歳の全女性を対象としており、子宮頸がんの早期治療を行い、死亡率を減らし、また情報のフォローアップとケアの質を向上させることを目的としており、全ての女性が全国の子宮頸がん検診への平等なアクセスを保証しています。

 年齢に応じて、3〜5年に一度の検査が推奨されていますので、これに応じて、この間隔で通知が送られてくるものと思われます。(私の場合、ずっと受けていなかったので、毎年のように送られてきていたのだと思います)

 この通知を受け取ったら、地域の婦人科に予約を取り、検診票を持参して、検診を受けます。この検査の実施の記録と結果はこのプロジェクトを担当する地域ガン検診調整センター(CRCDC)に送信されます。

 この検診に関しては、通知と健康保険カート(Carte Vital)を持参しさえすれば、前払いなしで国民健康保険により100%カバーされます。(しかし、一応、レシートのようなものをくれるので、それに記載されている内容によれば、かかっている費用は30ユーロ(約4,000円程度)ほどです。

 フランスでは、がんの治療に対しては(特別な療法は除く)100%、国で補償されるので、早期に発見して、がんを回避することは、結果的に国の医療費節減にもつながるのです。

 年齢、妊娠、出産の経験、出産時の手術について、健康状態(既往症など)について、家族(家系)の病歴、アレルギーなどについての簡単な問診の後に、内診が行われ、子宮頸部からのサンプルが採取されます。

 多少の痛みと不快感はあるものの、前回感じたほどの嫌悪感はありませんでした。内診・サンプル採取は正味5〜10分ほどで終わります。

 採取されたサンプルは、宛名のついた封筒に入れてくれるので、それを自分で切手を貼って郵送します。

  

サンプルは自分で郵送するところが、いかにもフランス


 一度、検診を受けると個人個人のデータファイルが作成され、地域ガン検診調整センター(CRCDC)がフォローアップし、今回の結果とともに今後のデータもそれに追加される形で保存されます。

 このデータは、フランス公衆衛生研究所やがん研究所(INCa)など、これらのミッションを担当する研究所で共有され、がん制御システムを評価、研究を実施するために、国立がん研究所の腫瘍学データプラットフォームに追加され、ナショナル・ヘルスデータシステムのデータとの照合されます。

 長いこと放置して、検診を受けなかったくせに、こんなシステムを知ってみると、自分の健康維持だけでなく、自分の検査が、国のがん研究に貢献しているようで、少し嬉しい気分です。

 ただし、データ保護規則(RGPD)およびデータ保護法に基づき、このデータ処理へのアクセスを拒否する権利もあり、自分の権利が尊重されていないと感じた場合は、CNILに苦情を申し立てる権利があります。

 本人には、3週間後くらいに、サンプルを送った検査施設から直接、結果が送られてくると言うことです。

 長いこと気にかかりつつも放置してあった検診をようやく受けて、3週間後に受け取る通知に問題なければ、積年の気がかりが解消され、ようやくホッとできることに、なんだ・・もっと早くやっておけばよかった・・と調子のいいことを思った私でした。


婦人科検診 子宮頸がん検診


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2021年10月25日月曜日

燃料費の急激な高騰のためにフランス政府が緊急に支払う100ユーロのインフレ補償手当

   


 パンデミック以来、ロックダウン等により、停滞していた経済が想像以上の速さで回復しつつあったフランスで、今回の燃料費を始めとする物価の急激な上昇は、見過ごすことができない問題として急浮上してきました。

 日常生活に直結するこの急激な物価の上昇にフランス国民がおとなしくしているはずはありません。

 すでに、先週末には、夏以来、続いてきた「ヘルスパス反対」のデモとともに、黄色いベスト運動が、この燃料費・物価の上昇に対するデモを開始しています。

 フランス政府はこれを棄ておけない状況であると判断し、カステックス首相は、このインフレに対応する措置として、「月収2,000ユーロ(約26万円)未満の国民に対し、100ユーロ(約13,000円)のインフレ補償手当を支給する」ことを発表しました。

 この100ユーロの「インフレ補償手当」支給には、3,800万人のフランス人が該当しています。

 カステックス首相は、「価格の上昇に直面して、政府は最も公正で効率的なシステムを選択した」と説明しています。これには、就業者、従業員、自営業者、失業者だけでなく、奨学金を受けている学生、年金生活者などの多くの人が対象になります。

 このインフレ補償手当は、家族の構成や車を所有しているかどうかに関わらず、1人当たり100ユーロが支給されます(非課税)。この手当は個別に支払われるため、例えば、夫婦で双方が2,000ユーロ未満の収入の場合には、200ユーロが支給されます。

 この2,000ユーロの基準額は、税務世帯の規模ではなく、1人あたりに決定されたもので、労働者の半数以上と退職者の70%をカバーしていることになります。また、私は都市部に住んでいるので、さほど車の必要性を感じることはありませんが、フランスでは、現在、84%の世帯が車を所有しているため、特に燃料費の高騰は多くの世帯にとって、切実な問題であるのです。

 すでに高騰している物価のため、この措置は緊急性を帯びていることから、この資格に該当する者には、特別な申請等の手続きは必要なく、2021年12月から2022年2月の間に、自動的に支払われます。

 しかし、これは、恒久的な補償ではなく、差し迫った状況にある中産階級への財政的な後押しであることは言うまでもありません。

 100ユーロ支給の価格について、政府は、車を頻繁に利用する人の値上がり分の費用を80ユーロ、追加の20ユーロは他の物価上昇(食品等)のインフレを補うと見積もっています。

 この緊急措置に必要な金額は38億ユーロとされており、そのための資金として増税が心配されていますが、政府は、このインフレ補償手当を行うことで、消費を停滞させることなく国民が消費することで、価格が上昇している分、追加になる消費税で10億ユーロは回収できるとしており、残りの28億ユーロについては、2021年の経済回復率が6.25%に上方修正されたことにより、特に増税することなく、回収可能な金額であると説明しています。

 フランスのお役所仕事は、本当にトラブルも多く、時間もかかるのが普通ですが、税金やお金に関することは、きっちり漏れなく請求も来るし、支払われるべきものは、きっちり支払われます。

 ロックダウン中の営業停止などのための補償金なども、大きなトラブルが起こったという話を聞くこともなく、早急に支払われていました。

 これは、全ての情報が全てオンライン化され、個人個人の納税状況などが全て把握されているからこそ可能だったわけで、今回の「インフレ補償手当」も同じように支払われるものと思われます。

 同じお役所でも税務署(財務省)だけ、どうして、こうもきっちりしているのだろうか?と思いますが、徴収される場合だけでなく、支払ってくれる時には、ありがたいことです。

 決して黙って我慢はしない国民を抱えたフランス政府は、この燃料費の高騰により、2018年に起こった過激な「黄色いベスト運動」の二の舞にならぬよう、即刻に緊急措置をとったのだと思われます。

 放置すれば、物価の上昇による経済停滞だけでなく、暴徒化するデモにより、さらに状態は悪化する可能性を秘めているのです。

 それにしても、この対応措置の速さ!スゴいです。


フランスの補償 燃料費高騰


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2021年10月24日日曜日

フランス政府からの3回目のマスクの無料配布

   

左から1回目、2回目、右端が3回目に配布されたマスク


 パンデミック以前から、日本からの観光客にマスクをしている人を見かけるにつけ、フランス人から、「なんで?日本人はマスクをしてるの?」と半ば嘲笑的に言われることがありました。「別に、みんながマスクをしているわけではないけど、衛生的に気遣っていたり、花粉症の場合なんかもマスクをするかも・・」などと、適当な返事をしながら、ちょっとバカにされている気分であまり気持ち良いものではありませんでした。

 医療従事者や特別な仕事以外には、マスクをする習慣がなかったフランスで、マスクは病気を連想させ、美観?を損ねるため、個人的には、パンデミック以前は、フランス人が街中でマスクをしているのを見たことがありませんでした。

 ある時、会社内の改装工事をしているときに、あまりに社内の埃がひどく、慌てて誰かがマスクを買いに行って、今はどこでも見かける大きな箱入りのマスクを買ってきた時には、フランスの薬局にもマスクを売ってるんだ・・とビックリしたくらいでした。

 それがパンデミックが始まって、あっという間にロックダウンになり、非常時用に備蓄してあったはずのマスクが経年劣化して廃棄されたまま、補充されていなかったことから、医療施設でさえもマスクが不足し、急遽輸入されるマスクが国賓待遇で警察車両に誘導されながら、政府の管理のもとに運ばれるような時もありました。

 この頃は、まだロックダウン中だったので、ほとんどの人がほぼ外出できない状態でいたので、マスクは薬局でも一般人は購入することはできませんでした。(医療従事者ややむを得ずに人と接する必要のある仕事関係の人優先)

 まさに「マスクを笑うものはマスクに泣く」の状態でした。

 当初は、マスクの必要性をそれほど理解していなかった国民に対して、フランス政府は、「医療従事者でなければ、マスクは必要ない」などと言ってもいました。

 そんなフランスでマスクが配布され始めたのは、日本で「アベのマスク」が騒ぎになっていた頃でもあり、ロックダウン解除が決まった2020年の5月のことでした。

 この時、私のところに届いたのは、市役所からで、ロックダウン解除のタイミングには、国単位ではマスクの供給が間に合わず、市役所が急遽、布で作らせた、色は良いけど、ペラペラのマスクでした。

 あれから、何度かの感染の悪化、減少を繰り返し、その度にマスクの着用が義務化される場所が拡大され、今年の5月に2度目のマスクが今度はフランス政府から届きました。

 それは6枚セットの白い洗えるマスクで前回よりも、だいぶ、しっかりしたものでしたが、しっかりしすぎて、逆にちょっと息苦しい感じでギャザーも少なく、あまり使い勝手が良いものではありませんでした。

 これは、営業が停止されていた店舗や美術館や映画館などが再開し始めたタイミングで、外出は許可するけれど、マスク着用は義務化された状態であったのです。

 あれから、夏のバカンスとほぼ同時にフランスでは、「ヘルスパス」(ヘルスパスによる飲食店や娯楽施設等の入場制限)の制度が取られ、ワクチン接種率も急激に上昇し、それにより、感染状態も減少し、集中治療室の患者数もかなり減少していきました。

 今では、フランスでは、ほぼ日常の生活を取り戻し、屋外でマスクをしている人はかなり減りましたが、相変わらず、公共交通機関や飲食店以外のヘルスパスの提示が求められる場所などの屋内空間では、マスク着用が義務付けられています。

 そして、先日、パンデミック以来3回目の政府からのマスクが届きました。今では、どこでもマスクは買えるようになりましたが、義務化しているためなのか?まだまだ気を緩めてはいけないという警告なのでしょうか? 

 感染が減少したため、ヘルスパスはもう撤廃しても良いのではないか?という声も上がり始めている中、政府は追加のマスクを国民に配布し続けているということは、政府はまだまだ慎重な態度を崩していないという表れでもあります。

 政府からのマスクの配布はこれで3回目になりますが、度を重ねるごとに、クォリティもアップし、今回も6枚セットの洗えるマスクですが、かなり使いやすいように改良された自国製のリサイクル可能なもの。

   

マスクのチェックシート

 4時間ごとにマスクは交換してくださいとか、1枚に付き、50回(洗って)使用可能な6枚分のマスクのチェックシートまでついています。これでマスクをチェックしながら、マスクを使用する人がいるかどうかは、疑問ですが、つまり、1日2枚使うとして、150日間分のマスクだということです。

 感染が減少したとはいえ、ここのところ、若干ではありますが、上昇傾向に転じ始めたフランス。先日、フランスは議会で「ヘルスパス」は、必要であれば、2022年7月31日までは延長できる法案が採択されました。

 ここのところ、ワクチン接種の拡大で感染が収まりかけたに見えていた世界の国々でも、イギリス、ロシアなどでは、急激な感染者の増加が記録され、ドイツでさえも感染者の増加を発表しています。

 フランスは「ヘルスパス」で救われ続けるのか? それとも、これまで常にイギリスの数ヶ月後に同じような状態になって感染増加している前例を見る限り、またイギリスと同じ道を辿るのか? いずれにしても、政府が憂慮してマスクを送ってくるように、まだまだ、気を緩めることはできないのが現状のようです。


マスク無料配布


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2021年10月23日土曜日

海外での在外選挙投票には、事前に在外選挙登録が必要 そしてそれは2ヶ月もかかる

   

パリの日本大使館はここから歩いて7分程度のところ


 これまで私は、「在外選挙制度」というものがあることを知りながら、なんとなく忙しさにかまけて、日本の様子もよくわからないし・・やり方もわからないし・・と、なし崩しに、ここ20年以上も選挙の投票はせずに過ごしてきてしまいました。

 このパンデミックや日本の様子を見るにつけ、私も日本国民として、少しでもできることはしなくては・・と思うようになり、近々、日本で選挙があるのを機に、「在外選挙」の投票をしてみようと思い立ったのでした。

 総務省の在外選挙制度についてのホームページ(総務省・在外選挙制度について)もありますが、具体的に必要な書類などを直に聞いてみようと在仏日本大使館に電話してみると、まず、ほっとした何とも日本人らしい丁寧で優しい応対に思いの外、ほっこりさせられたのでした。

 しかし、在留届さえ出していれば、簡単に在外選挙の投票ができると思い込んでいた私には、ショックな話で、在外選挙で投票するためには、まず、「在外選挙登録」というものが必要で、在外選挙人名簿の登録申請書を提出しなければならず、実際に申請が受理されてから、登録証を受け取ることができるまでには、約2ヶ月間かかるということで、「今回の選挙には間に合いませんよ」と言われてしまいました。

 申請した書類は、外務省経由で、日本で最後に居住していた市町村の役所に送られて、住民票が抜かれていることなどを確認してから、発行されるものなのだそうです。

 しかし、大使館の担当者は、「今回は間に合いませんが、来年は参議院選挙もありますから、申請はされておいた方が良いですよ!」と勧めて下さったし、まだまだ、フランス生活も続きそうなので、せっかく来たのだから、申請しておくことにしました。

 最近では、日本出国前にも事前に申請することができるそうですが、私が日本の住民票を抜いたのは、かれこれもう20年以上も前のこと、しかし、フランスで在留届を提出済みであり、住所を変更していなければ、パスポートさえあれば申請することができるのです。(在留届を未提出の場合は、現在の住居の滞在を証明する電気料金の請求書などの住所が記載された書類が必要)

 また、住民票を抜いているのに、どこの区役所?と思いきや、自分が出国前に最後に居住していた市町村が管轄になるのだそうです。申請書には名前、生年月日、性別、フランスでの住所、日本から出国した年月日、日本で住民票に記載されていた最終住所、連絡先などを記入するようになっています。

 私が日本の住民票を抜いたのは、フランスの前にアフリカに行った時点の大昔の話、詳しい日にちなどは、古いパスポートを調べればわかるのでしょうが、とても思い出せませんでしたが、大体でいいですよ・・と仰るので、そのとおりに・・。

 私は、フランス国籍を持っているわけではないので、フランスでも選挙で投票する権利はなく、長らく日本の選挙にも参加していなかったので、かれこれ四半世紀近くも選挙の投票というものをしないまま過ごしてきてしまいました。

 在外選挙登録申請をするのは日本大使館ですが、大使館なんて、あんまり縁がなかったなと思いつつも考えてみれば、ここ20年以上の間には、パスポートの書き換え(自分の分と娘の分)、娘の日本の教科書の受け取り、相続手続きのために必要な書類の申請などなど、ざっと数えただけでも、これまでに50回近くも行っています。

 パリのフランス大使館は、シャンゼリゼにほど近いとても良い場所にありながら、これまで、大使館に行くときには、子供の送り迎えや仕事があったために、昼休みを抜け出して(といっても昼休みは大使館も昼休みのために昼休みをずらしてもらっていました)、全速力で走って行って、走って帰るという慌ただしさで、周囲の景色を楽しむような余裕はまるでありませんでした。

 あらためて、久しぶりに平日の昼間に行ってみると、凱旋門からふらふらと歩くと気持ち良いことこの上なく、また、大使館は嘘のように空いていて、申請もあっという間に済みました。現在は、日本に行くためにビザを申請する人などもほとんどなく、空いているのも当然なのかもしれません。

 この大使館の空いているタイミングならば、在外選挙登録申請もいつもよりもずっとスムーズにできるので、今が狙い目かもしれません。(といっても、今回の選挙には間に合わないのですが・・)

 日本の投票率が低いことは、大変、問題だと思いつつ、海外にいるからといって、投票する権利がありながらも、放置したままに何もしてこなかったことを今、反省しています。

 フランス人は大変、政治にとても関心のある国民で、日常から政治の話題が上がることも多く、そんなフランス人に影響されたところもあってか、また同時にフランスと日本の政治を見比べたりしていることもあり、日本が少しでもより良い方向へ進んでくれることを願いつつ、遠くに住んではいても、日本人としてできることを少しでもしたいと思った次第です。

 実際に投票する際は、実際の日本の投票日よりも1〜2週間早くに投票するということです。

 在外選挙登録には費用はかかりません。また、申請時は本人が大使館(または領事館)に出向く必要がありますが、大使館や領事館の遠くに住われていて、そうそう容易には行けない方には、大使館が費用を負担して、郵送してくださるそうです。

 一度、申請してしまえば、それ以降は同じ登録証で投票ができるそうなので、時間に余裕がある際には登録されておくと良いと思います。

 これまで、私も色々理由をつけては後回しにしていたことですが、思っていたよりもずっと簡単に申請できたので、それをお知らせできればと思いました。


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