国民議会は月曜日、フランソワ・バイルー首相の信任決議を行い、賛成194票、反対364票で否決し、首相は罷免されました。
フランソワ・バイルー首相は、公的債務に関する懸念が高まる中、自分の首をかけて、国民議会に問題を突きつけましたが、無残にも砕け散ってしまいました。
これは、あまりに無謀なやり方で、結果は、ほぼほぼ予想されていたことでしたが、最後の最後まで、なにか、ウルトラ級の案があるのかとも思ったのですが、首相自身がこの方法を発表したのちは、予算案云々以前に現政権を倒すことが目的とも思われる言動が増え始め、バイルー首相を飛び越えて、打倒!マクロン大統領!のような声さえ出始めてしまったのには、まともに予算を話し合う感じがかえって薄れる感じさえしてくるのでした。
昨年のパリ・オリンピック終了後のミシェル・バルニエ首相任命以来、1年未満の首相退陣が続いていますが、どちらも、膨大な負債を抱えた予算案の審議の過程においての話であり、この財政赤字をどう削減していくかは、現在のフランスの深刻な問題に違いありません。
2025年の予算は、突如、首相が退陣するハメになったために、年明けまでに予算の審議が間に合わず、予算案が確定するまえに2025年がスタートしてしまい、とりあえず、2024年の暫定予算のままスタートするという壊滅的なスタートでした。
そして、現在、審議中の2026年の予算案ですが、これで首相の退陣が決まったために、また、予算の審議は先送りになるわけです。
思い返せば、そもそもは、欧州議会選挙において、極右政党が圧勝したことから、本当はやる必要がなかった国民議会の解散・総選挙を行ったことで、結果的には、マクロン大統領は、多くの自分の党の議席を失い、第一党過半数を失ったどころか、第一党を新人民戦線(NFP)に奪われてしまいました。
フランスの首相は大統領が任命するのですが、この首相任命にあたっては、通常ならば、第一党の政党から選出するのが誰もが納得できる道だと思われるところ、マクロン大統領は、ここ2回の首相任命に関して、第一党からの選出を行いませんでした。
ただでさえ、難航しそうな議題(財政赤字削減)に際して、これでは、政府からの予算案が通りづらいのは、当然のことでもあります。
今の段階では、マクロン大統領が倒れるわけではありませんが、これで1年の間に3回目の首相任命という事態をマクロン大統領は招いてしまったことになります。
この直後に、フランスはすでに「全てをブロックせよ!」と銘打った大規模デモが9月10日には予定されており、18日には、労働組合デモ、そして金曜日には、フィッチ格付けによるフランスの債務格付け引き下げの決定の可能性もあるなど、次期首相任命に時間はかけられない理由が乱立しており、次期首相任命は、早くなるだろうと予想されています。
しかし、もとをただせば、マクロン大統領が全てを引き起こしていると思えないでもない事態。もうこうなってくると、次の首相は何ヶ月もつだろうか?と思ってしまいます。
フランソワ・バイルー内閣崩壊
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