2024年10月22日火曜日

「1990年代の日本の軌跡を辿る中国経済」という記事

   先日、仏レゼコー紙に掲載されていた「1990年代の日本の軌跡を辿る中国経済」という記事を見つけて、あらためて、1990年代からの日本経済の失敗が紹介?されていることに、愕然とする思いでした。なんか身内同士で悪口を言い合うのはまだしも、外野から言われると傷つく・・そんな気持ちでした。 その記事によると、「多額の債務、不動産バブルの崩壊、人口の高齢化、成長の鈍化、デフレの蔓延、米国との緊張を悪化させる重商主義(重商主義は、国家の輸出を最大化し、輸入を最小化するように設計された国家的な経済政策)、そして消費よりも投資に基づいた経済モデル。 2024 年の中国には、1990 年代初頭の日本と、いくつかの厄介な類似点がある・・」と始まります。 「日本は、長年にわたる過剰債務によって生じた不動産バブルの崩壊後、長期間のデフレと低成長を経験している・・一方、中国の公的債務と民間債務の総額はGDPの245%に達しており、30年前の日本よりも高い水準にあり、中国の労働人口は減少に転じており、2050年までに総人口は2億人減少すると予想され、中国の人口動態の変化は、やはり日本よりも早いと見られている」 「中国経済において輸出は依然として重要であり、かつての日本のように米国からの保護主義波の圧力を受けている・・不動産バブル崩壊後の中国の家計の不信感が貯蓄を促し、内需の圧縮が起こり、経済全体を弱体化させているにもかかわらず、供給側政策を実践し続けている・・しかし、歴史上、GDPに占める消費の割合が増加せずに先進国の生活水準に達した国は例がない」 「輸出と投資だけでは経済を永久に推進するのに十分ではなく、これを続ければ日本と同様の罠に陥る危険があり、ほとんど進歩していない生活水準に留まり続けることになる」とエコノミストが強調しています。 しかし、1990年代の日本と現在の中国を明確に区別できる点もあり、現在の中国のGDPは、30年前の日本を上回っており、何よりも、中国は国家が経済分野全体を支配しているということで、為替レートは当局によって設定されており、これにより人民元の過小評価が維持される。したがって、日本に起こったことは中国には起こらない。 1985年に日本はドル安と円高を目的とした米国および欧州諸国とのプラザ合意に署名し、その結果日本の輸出の活力が低下したが、中国は政府が大手銀行と金融セクターの大部分を管理しており、資本規制により貯蓄の国外流出が防止されているという事実により、中国は、そのディリジスト・モデルが生み出す過剰投資や不良投資に関連する損失を経済主体に配分することができるようになっているが、日本のような自由主義経済には当てはまりませんでした。 「最近の不動産部門の粛清はその一例で、10月に発表された再建計画では、大手銀行の資本増強が計画されておる、政府は不動産部門の統合を推進することで、不動産リスクを小規模銀行から大規模銀行に移している・・したがって、中国は経済の「日本化」を回避する可能性を秘めていると思われる」 「多額の債務、輸出に依存したモデル、高齢化、成長の鈍化」最後に再び、このワードを羅列して、「1990...

2024年10月21日月曜日

サノフィ・ドリプラン売却問題に政府が介入 Bpifrance(フランス公的投資銀行)の役割

   フランス最大手製薬会社「サノフィ」がフランス人がもっとも利用している薬「ドリプラン」等の一般市販薬部門の子会社の株式をアメリカのファンドCD&Rに50%売却することが発表され、ほぼ、合意に達したというニュースは、かなり衝撃的に取り扱われていました。 サノフィは、この株式売却に関して、「より収益性の高い医薬品に注力したい(同社の主力分野である免疫学での治療法の開発を優先したい)」という方針によるものであるという説明をしていましたが、これは、フランスの大企業(正確には、ドリプラン等の一般市販薬部門は子会社になっている)とはいえ、一民間企業であり、国が介入できる問題ではないと思われてきました。 この薬はパラセタモール(鎮痛・解熱剤)で、実際には、すでに国内で生産されている量は減少していて、その生産は海外で行っているために、いざというとき(パンデミック時など)に薬が不足して、国内に入ってこないような事態が起こったために、今後は、国内生産に切り替えていくと発表していました。しかし、この発表をしたのは、一方的に政府が発表しただけで、それに対してのサノフィとの話し合いが水面下で行われていたのかどうかは、不明です。 しかし、今回のサノフィのドリプラン等の子会社売却で、フランス国内にあるドリプランを製造していた工場等は大騒ぎ・・しかし、子会社株の50%が売却される以上、収益性を追求して・・というのであれば、現状が継続されることは考えにくいと思われてきました。 その後、もう為す術もなく事態を見守るしかないと思いきや、このドリプラン問題について、経済財務大臣(フランス政府)は、突然、このサノフィの子会社の株式を取得するために、サノフィ、アメリカのファンドCD&Rの間で「三者合意」に達したと発表しました。 すでに話がまとまりかけていたサノフィとアメリカのファンドCD&Rとの間によく割って入れた・・というか、なんらかの計画ありきで、投資するつもりであったこのファンドCD&Rが同意したな~と思うのですが、これまた政府もよく割って入れたな・・と驚いています。 フランス政府は、この株式取得をBpifrance(フランス公的投資銀行)を通じて行うことも同時に発表しています。 このBpifrance(フランス公的投資銀行)は、フランス経済の原動力であり、ビジネス創出に対する支援やマネジメントに必要なパートナーシップ、投資を行っているところで、協調融資、共同投資、自己起業家コミュニティ、地域、フランス...

2024年10月20日日曜日

自動車と自転車の接触事故から逆ギレした車の運転手が被害者男性を轢き殺した事件

   こういう事件があると、自動車というものは、ほんとに凶器になり得るものだ・・とあらためて恐ろしくなります。 パリでは、パンデミックの前後から自転車利用者が急増し、道幅の広い大通りなどの車線には、ふつうの自動車道(バスレーンが別にあるところもある)に加えて、自転車用のレーンが設けられているところが増えました。 私がパリに来たばかりの頃は自転車というものは、あくまでもスポーツというかレジャーのひとつで、車に自転車を積んで、自転車は郊外で乗るもの・・というような存在でしたが、現在は移動手段の一つになっています。 以前は街中で、日本のように自転車で気楽に買い物などができたらいいのに・・...

2024年10月19日土曜日

クルッキー(クロワッサン+クッキー) の元祖 Maison Louvard メゾン・ルヴァール

   今、クロワッサンの進化系バージョンの「クルッキー」が人気急上昇ということで、これは一度、食べてみたい!と思い、この元祖「クルッキー」のお店に行ってきました。 これは、クロワッサンにソフトタイプのクッキーをプラスしたもので、発売当初は1日30個ほどの売り上げだったものが、現在では、同店舗で1日1,800個は売れているとのことで、このお店は、けっこう大きめなブラッスリーと併設されていて、ブーランジェリーの部分は、小さい間口のお店で、そんなに人気で現在、パティスリー界のトレンドとも言われているものの発祥地としては、小さいブーランジェリーです。 このクルッキー人気は、SNS(特にTikTok)で拡散され、現在では、ロンドン、ニューヨーク、シンガポールなどにもこのクルッキーレシピが広まっているのだそうです。 このクルッキーが誕生したのは2022年のことだそうで、これを考案したルヴァール・パティスリーのトップパティシエ、ステファン・ルヴァールは、世界中がコピーするようになってこそ本物だと胸を張っているのだそうです。 最近はSNSでの情報拡散の方が先行されるのか、こうなってくると、逆にパリジャン紙などが後から取材に来て追随するようになり、このパリジャン紙に掲載されたものや、テレビで紹介された模様などが店頭に飾られてもいます。 このクルッキー、テイクアウトだと1個5.9ユーロ、ブラッスリー内で食べる場合は7.1ユーロと値段が異なります。 私は、今回、このクルッキーともう一つ、クッキー+ブラウニーの「ブルッキー」を買って帰りました。 食べる前に軽くオーブンで温めて食べるとより美味しくなります。 ふつうのクロワッサンがだいたい1個2ユーロ程度であることを考えれば、けっこうお高めなお値段ではありますが、まあクッキーの部分もあることだし、こうなってくると、もう一つのケーキみたいな感じでもあるので、そう考えれば、まあまあ許容範囲内ではあります。 ブルッキーの方は、さらに少々お値段が上がり、テイクアウト6.9ユーロ、イートインだと8.1ユーロです。 とにかく、かなりのボリュームでちょっと一度に食べきってしまうのは、罪悪感がありますが、よく言えばお得感もあります。 個人的には、できれば別々に食べたい気もしますし、私はどちらかといえば、ブルッキーの方が好みでした。 しかし、クロワッサンだけでもかなりのカロリーのところを、そこに大胆にもソフトクッキーがつけ足されているのですから、カロリー爆弾であることには、違いありません。 しかし、これだけ話題になり、世界中に広まったクルッキーの元祖のお店・・やはり、一度くらいは試したいではありませんか?🌟Maison...

2024年10月18日金曜日

在外投票に行ってきました!

    私のフランスでの生活も四半世紀を超え、その前のアフリカにいた期間やイギリスにいた期間を加えれば、ほぼ30年・・つまり、最近、よく言われる「失われた30年間」の間、私は海外で過ごしていることになります。 この間のことは、私は、日本で生活していないために、日本の生活を実感することはありませんが、だいたい一年に一度か二度、帰国するたびに、「えっ??」と感じることの変遷で「失われていった30年間」を「そういえば・・」と思い返すことができます。 フランスに来て、当初は、もちろん、フランスでの生活に慣れないこともあり、多くのことに戸惑い、何もかもが時間がかかり、なにかミスをされても、ぜ...

2024年10月17日木曜日

カフェのテラス席がムートンで覆われる季節

   フランス人は本当にテラス席が好きで、特に気候の良い時期、夏などは、パラソルがあったりもするけれど、それでも陽の当たるテラス席で太陽を浴びながら食事をしたりカフェやちょっとしたドリンク類を飲みながら、ひたすら喋っている人もいれば、悠々とひとりで新聞を読んだり読書したりしている人もいます。 暑い夏の間なども店内なら、冷房が効いているのに、それでも、多くの人は、テラス席を選ぶので、テラス席は満席でも店内は人もまばら・・なんてこともあります。なので、テラス席を潰してしまったら、かなり売上げは激減してしまうのではないか?と思うし、テラス席を工夫することは、とっても大切なことなのです。・...

2024年10月16日水曜日

フランスの国民的スターサッカー選手キリアン・ムバッペの大スキャンダル

   全ては、スウェーデンの複数の日刊紙の「フランスのスター選手キリアン・ムバッペがストックホルムのホテルでの強姦と性的暴行の捜査対象になっている!」という記事から始まっています。 2024年からパリ・サンジェルマンからレアル・マドリッドに移籍しているフランスの国民的スターサッカー選手は、体調を整えるための準備として、レアル・マドリッドから休暇が割り当てられ、彼のスタッフらとともにストックホルムに滞在中でした。 ストックホルムの日刊紙の報道によると、事件が発生したと言われる10月10日の夜、ムバッペはストックホルムのレストラン「シェ・ジョリー」で数人のグループと一緒に食事をした後、数人とクラブ「V」へ向かったと言われています。その夜、告訴状にある強姦事件が発生したと見られており、同紙は「被害女性が治療を求めた後、土曜日に警察が告訴状を受け付けた」とされています。 スウェーデンの日刊紙は、名指しで報道していますが、スウェーデンの警察は、「サッカー選手の強姦・性的暴行事件の捜査が進行中であること」は認めているものの、該当する人物の名前については、明らかにしていません。 この国民的スター選手の大スキャンダルは、瞬く間にSNS上でも拡散され、フランスのテレビのニュースでも大騒ぎになっています。ムバッペ本人は、すぐにX上で反応し、これがフェイクニュースであることを訴え、また彼のスタッフは、著しい誹謗中傷・事実と異なる内容の拡散に関しては、断固として、法的手段に訴えることを発表しています。 このニュースが疑わしいのは、この報道が出たタイミングが彼と古巣のPSG(パリサンジェルマン)との間の金銭問題の公聴会が予定されていた前日というタイミングであったことで、こんなにピンポイントで、これまでほぼノースキャンダルであった彼の大スキャンダルが噴出するものかどうか?ということです。 ちなみに、PSGとの金銭問題は、彼がPSGに対して未払い賃金やその他のボーナスとして5,500万ユーロを要求している一方で、PSG側は、彼が1ヶ月間チームから離れた後にボーナスの一部を放棄することで合意していたと主張しているものです。 彼の弁護士は、「彼は決して、一人で行動することはなく、そもそも容易に彼に近付ける者はおらず、あり得ないことである」と一喝して否定しています。 このような大騒ぎになって、逆に彼に名誉棄損や誹謗中傷などで訴え返された場合、想像もつかないほどの損害賠償を請求されることになると思いますが、それだけの覚悟があってのことだとしたら、大変なことです。 どうにも、報じているのがスウェーデンのマスコミということで、今一つ、細かなところがわからないのですが、フランスの国民的スターのスキャンダル・・早く無実が証明されてほしいです。ムバッペ...