2024年8月24日土曜日

コカ・コーラとシュウェップスのプラスチック微粒子混入問題

  


 Acting for the Environmental (APE) (住みやすい地球を求める声を広めることを目的として環境保護を支持する市民動員のためのフランスの団体)が行った調査結果によると、現在、販売されているコカ・コーラ オリジナルの 1 リットルボトルとシュウェップス インディアン トニックの 1.5 リットルボトルから6種類のプラスチックの微粒子が発見されたことを公表し、消費者が無意識にマイクロプラスチックを飲むことは容認できないと考えており、「これは厳格に規制されていないため、フランス当局はこの問題を取り上げ、公衆衛生と環境保護の優先課題とすべきだ」と訴えています。

 このActing for the Environmental (APE)という協会は、協会と市民の大規模なネットワークを結集してキャンペーンを主導することで、政治的および経済的な意思決定者に圧力をかけています。活動の独立性を維持するため、公的機関からの資金提供を一切拒否しています。

 今回、この協会が挙げているのは、ポリエチレン (PE)、ポリエチレン テレフタレート (PET)、ポリ塩化ビニル (PVC) に加えて、少量のポリアミド (PA)、ポリプロピレン (PP)、ポリウレタン (PU) も含まれており、メーカーが飲料と接触するポリマーは2種類のみと発表しているのに対して、6種類の異なるポリマーが特定されたことに警鐘を鳴らしているのです。

 そして、ボトルの開け閉めの回数が増えるほど、ボトルに含まれるプラスチックの量が増えることが確認されています。

 さらには、ボトルに混入されているのはプラスチックの微粒子だけではなく、微粒子より小さいナノ粒子が大量に存在することを指摘。このナノ粒子は非常に不規則な輪郭を持ち、非常に大きな総表面積を持ちます。これにより、いくつかのポリマーの効果が組み合わされて、他の粒子との相互作用が促進される可能性があります。さらに深刻なのは、摂取後にヒトの粘膜の細胞との接触と細胞への取り込みを促進する可能性があることを伝えています。

 これに対して、コカ・コーラ社は、自社の安全性と品質基準が「業界で最も厳格なものの一つ」であり、製品の安全性を保証していると断言。 「当社では、飲料の組成に使用される水から不純物を除去するために高度な濾過システムを使用しています」とただちに反論しています。

 シュウェップスブランドもまた、同社が市場に出すすべてのパッケージは、PETプラスチック素材を含めて「フランスとヨーロッパの保健当局が定める厳格な食品グレードの品質要件を満たしている」、さらには、問題は炭酸飲料だけに限定されるものではないとし、「プラスチックは、飲料水、果物、野菜から、あるいは合成繊維の衣服を着ているときでも、日常的に摂取されており、毎週、一人当たり 0.1 g から 5 g を摂取しますが、これは銀行カード 1 枚分に相当する」と開き直っているかの回答もしていますが、同時に、微粒子の健康への影響はまだ十分に解明されていないとも説明しています。

 話は逸れますが、コカ・コーラはともかく、シュウェップスというのは、不思議な会社で、アメリカでは、ドクターペッパーが、また、イギリス、アイルランド、ブラジル、香港、ニュージーランド、ルーマニア、日本ではコカ・コーラ社が、フランスでは、なんとサントリーグループ・オランジーナ・シュウェップス社が販売しているという不思議な会社です。

 今年の初め頃にネスレグループのミネラルウォーターが違法精製水を販売していたということが明らかになり、大スキャンダルとなったことがありましたが、フランスでは「水の次はソーダかよ!」と騒ぎになっています。

 個人的には、これらのソーダ類は飲まないので、関係ないといえば関係ないのですが、プラスチックボトルのキャップの開け閉めにより、よりプラスチックの微粒子が多く混入するというのなら、なにもプラスチックボトルに入っているのは、コカ・コーラやシュウェップスだけではないわけで、なんなら、問題はコカ・コーラやシュウェップスの飲料そのものよりもプラスチックボトルに問題があるのではないか?と思わないでもありません。

 

コカ・コーラとシュウェップスのプラスチック微粒子混入問題


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2024年8月23日金曜日

アラン・ドロンは日本での驚異的な人気を誇りにしていた

  


 アランドロンの訃報が聞こえてきて以来、アランドロンに関する逸話が続々と語られているなか、アランドロンが日本で驚異的な人気があったということについての話があったので、少し興味深い気がして読みました。

 実のところ、アランドロンの全盛期、日本で最も人気のあった頃を私は知らないのですが、それでも、なんとなく美形の代名詞のように語られている感じは知っている・・それくらいだったので、当時の日本でのアランドロン人気について、彼の没後にフランスで語られているのを見て知るという、不思議な感じでした。

 私の記憶にはなんとなく彼の全盛期のイメージの面影があったので、フランスに来たばかりの頃、初めてフランスのテレビ番組(なんかのトークショーのような番組だったと思う)で彼を見かけて、あまりの変貌ぶりに驚いた記憶がありますが、それも20年くらい前の話、今から考えれば、あの時は、まだまだ良い方だったのです。

 ある、フランスの番組でのインタビューで、「あなたは、世界的なスターですが、とりわけ日本では驚異的な人気があることについてどう思いますか?」などと尋ねられたりもしていて、彼はフランスでも日本で驚異的な人気を得ていることが有名であったことがうかがえます。

 フランスでは、一時、彼はフランスよりも日本での方が人気があると言われることもあったようで、また、彼自身も自分を「日本における生きる神」のような存在であることを公言することを好んでいたとも言われています。

 彼自身はインタビューの中で、自分が日本で人気がある理由について、「日本人にはある種の白人に対する憧憬のようなものがあり、それに自分の美貌と理想的な男性像、映画の成功が重なった結果であり、人々は私の手に触れるだけで、私が指にキスするだけで、大きな喜びを感じている・・」というようなことを語っています。

 これだけ冷静に聞くと、ちょっと小馬鹿にされているというか、鼻もちならない嫌みな感じがしないでもありませんが、彼はまた、映画「太陽がいっぱい」の成功によって、その容姿と神秘的で野心的な側面だけでなく、哀しく孤独で冷笑的でもある暗い側面が、敗者を励ますことを好む日本の観客にとって非常に魅力的に映った結果でもあると、日本人の国民性も考慮した分析もしています。

 彼は日本での人気を映画の興行だけではなく、ビジネスとしても充分に活用し、1970代には、日本で販売するフレンチ シックの大使のような存在となり、日本のメンズスーツブランド・ダーバンやマツダ車のCMに登場し、後には、自身のブランド「アラン・ドロン」を立ち上げ、ファッションアイテムやアクセサリーを自分の名前で販売しました。

 彼は度々、訪日していますが、当初は映画の宣伝のためであったものが、のちには、彼自身の人気を日本で維持し続けるために、また彼自身のブランドを盛り立てるために、テレビのバラエティ番組や社交イベントに参加、1980年代と1990年代には、日本の旅行会社が企画したアランドロンも出席するパリでの晩餐会​​ツアーなどもあり、有料オプションとして、花束を贈ったり、一緒に記念写真を撮ったりできるサービスもあり、これには、5万人以上の日本人が参加したと言われています。

 当時は日本も景気が上向きの時代で、彼の人気は日本のそんな時代にハマったのだなぁと思います。

 彼の没後、彼の子どもたちの間の諍いの種の大きな原因の一つであると思われる彼の巨額な遺産の詳細については、公表されないながらも、相当なものであると思われますが、彼が築いた財産の一部は確実に日本で稼いだ部分も大きいのではないか?と思ったりもします。


アランドロンと日本


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2024年8月22日木曜日

新千歳空港でハサミ紛失のための欠航・遅延についてのフランスの報道

 


 「日本では、ハサミの紛失後、空港が数時間麻痺した!」というニュースの見出しに驚きました。というより、このことがフランスで複数の報道機関で取り上げられていることに驚いたのです。

 「先週末、日本の新千歳空港の国内線の出発待合室にある店舗からハサミが紛失し、数時間フライトが中断されました。合計 36 便が欠航し、200 便以上が遅延しました。日本では、ハサミの紛失後、空港が数時間麻痺したのです」と報道内容の大枠はこんな感じです。

 この事件により、空港では数時間にわたる捜索が行われ、その結果、36便が欠航し、201便が遅延し、出発ラウンジの乗客は再び保安検査を受けることを強制されたと報じています。

 考えてみれば、空港では、国内線、国際線に関わらず、保安検査場で手荷物や金属探知機などを通されて、最近では時には、靴まで脱ぐように命じられたりすることもあったりもして、窮屈な思いをすることも多いですが、一方、空港内にある店舗やレストランなどでは、ハサミだって、ナイフだってあるのですから、この新千歳空港の保安当局が懸念したように、テロリストがこれらのハサミを入手し、飛行機内で武器として使用するという可能性は、考えられないこともない話ではあります。

 飛行機が定刻どおりに出ないことは、むしろ、日本よりも海外の方が多いような印象がありますが、今回の新千歳空港の件のような理由でフライトが遅延、またはキャンセルになったという話は聞いたことがありません。

 この事件?の発端は、出発待合室にある店舗から「ハサミ紛失」の警報が発せられたことによるものだと言われていますが、そもそも、日本の空港の店舗には、ハサミ等の凶器になり得るものを紛失した場合には、届け出なければならないというマニュアルがあるのでしょうか? だとしたら、かなり徹底した管理体制をとっているところは、さすがに日本、すごいな・・と思うのですが、おそらく、フランスなどの空港内の店舗でもし同様の紛失事件が起こったとしても、そんなに大騒ぎをしないのではないか?というより、そんなに厳重に管理をしていないのではないか?と思ってしまいます。

 だからこそ、今回の新千歳空港の事件がこんなに報道されているのだろうと思うし、それが良いとか、悪いとかのジャッジは報道の中ではしていません。

 むしろ、今どき、ハイジャックのような割に合いそうもないことをやらかすことも少なかろうと思う反面、テロや諍いが世界中で起こっているなか、まったく危険性がないとも言えないし、今回の報道では、むしろ、その手があったか!と思いついてしまった人がいそうな気もしないでもありません。

 空港運営者は声明で「店舗従業員の適切な使用、保管、管理体制の欠如が原因で事件が発生したと認識している」とし、謝罪したそうですが、この夏休みの最も多くの人が交通機関を利用する時期に、フライトをキャンセルされた人々からしたら、お金を返してもらうだけではおさまりのつかない思いをしているのではないか?と思います。

 結局、ハサミは、翌日、同店舗内で見つかったそうですが、大した人騒がせなことです。非難ごうごうなことはもちろんですが、一方では、 「乗客として、安全を確保するためにこれほど厳格な措置を取ってくれていることに感謝しています」と空港の判断は正しかったと支持する声も上がっているとのこと。

 次回、空港に行ったら、保安検査を過ぎたところにある店舗にハサミなどの凶器になりうるものはあるかどうか?探してしまいそうです。


新千歳空港


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2024年8月21日水曜日

パラリンピック開会式はコンコルド広場で・・パレードはシャンゼリゼ

 


 ついこの間、シャンゼリゼのあたりに行った時、オリンピックのフラグなどは、そのままだし、オフィシャルグッズショップなども、まだ相変わらず、盛況で、まだパラリンピックもあるからなんだろうな・・とぼんやりと思っていました。

 そして、凱旋門の脇あたりが工事中で、なにやら、ステージのようなものを作っている模様で、あらら・・パリ祭も終わったし、オリンピックも終わったし、パリ祭もとっくに終わっているし、こんなところにステージを作って何をやるんだろう?と思っていました。

 帰ってきて、調べてみたら、どうやらパラリンピックの開会式はコンコルド広場が会場となり、選手たちは、シャンゼリゼをパレードするんだそうです。

 開会式会場がコンコルド広場で、パレードがシャンゼリゼとなれば、まさにパリ祭の時のような感じが予想され、選手たちは、シャンゼリゼをおりてきて、コンコルド広場に集結する感じになると思われます。

 この間、シャンゼリゼからコンコルド広場の方を眺めたら、その向こうにあるチュイルリー公園のオリンピック聖火のために設置された気球がまだ、そのままになっていて、あれ?あの気球は、このまま記念碑のようにずっと据え置きになるのかな?などと思っていましたが、どうやらパラリンピックのためのようです。

 でも、シャンゼリゼからも見える光り輝く気球は美しく、またチュイルリー公園の方から見ても気球の向こうにシャンゼリゼ、凱旋門が見える景色はなかなか幻想的で美しいので、このままずっと残したら、パリの名所のひとつになるのでは?とも思います。

 夏のパラリンピックをパリで行うのは初めてのことだそうで、このパラリンピックの開会式にもまた、付加価値をアピールしている感があり、シャンゼリゼ通りとチュイルリー公園の間にあり、国会議事堂やグラン パレのすぐ近くにあるパリ最大の広場であるコンコルド広場、フランスの歴史において重要な場所を選び、歴史的、文化的な意味付けを持たせています。


 また、スタジアムの中ではなく、もっと開かれたオープンスペースを選んでいるというところを強調しています。そういえば、早々に取り付けられていた五輪のマークはエッフェル塔、パラリンピックのマークは凱旋門に取り付けられていたのは、こういうことだったんだと今さらのように思います。


    


 パラリンピックは8月28日から9月8日まで、開会式は28日の20時から23時までというまたまた長時間です。

 そもそも、オリンピックの開会式をこの場所にしても良かったのではないか?と思わないでもありませんが、また、どんな開会式を見せてくれるのか楽しみです。

 この開会式のチケット・・いくらくらいなのかな?と思ったら、なんと450ユーロから700ユーロ(約7万3千円から11万5千円程度)ということで、なかなかなお値段のようです。


パラリンピック開会式


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2024年8月20日火曜日

戻ってきたRATP(パリ交通公団)の検札官とバスのチケット

  


 パリオリンピック期間中は、 パリ市内のバスやメトロで全くチケットのコントロールの検札官の集団を見かけることはありませんでした。おそらく、オリンピックのための駅の警備や案内係等のために多くの人員を割かなければならなかったのと、混雑時の混乱を避けるためではなかったかと思われます。

 パリオリンピックの開会式の一週間ほど前から、パリのバスやメトロの料金は、通常の倍近くに値上がりしましたが(月額、年額のNavigo(定期券のようなもの)購入済みの場合を除く)、このオリンピック料金は、オリンピックが終わった現在もまだ続いています。

 パラリンピックを控えているということもあるのでしょうが、「オリンピックが終わって、パラリンピックが始まるまでの期間も値上げしたままなのは、酷いではないか!どういうことになってるんだ!」という声も上がっているようですが、技術的な問題を理由に価格は元に戻っていません。

 私は、Navigo(定期券のようなもの)を持っているので、この値上げの影響は受けていないのですが、オリンピック期間中のことを考えれば、この期間は駅が閉鎖されていたり、迂回を余儀なくされたりと、通常よりはずっと不便で、これでいつもの2倍の料金のチケットを購入しなければならない人々は気の毒だな・・と思っていました。

 現在は、未だ閉鎖されている駅もあるものの、私がよく利用するバスなどの迂回経路などは元どおりになり、昨日、バスに乗ったら、久しぶりにコントロールと呼ばれる検札官が乗っていたのでビックリしました。

 そもそも日本(東京)のバスには検札なんていうものはないわけで、皆、入口から乗る時に運転手さんがチェックして済むわけなのに、パリではみんなが入口から乗るとは限らないし、そのうえ、入口から乗っても、平気でチケットなしに乗って行く人までいるからこういうことが必用になるというところなどは、日本とは民度が違うと言わざるを得ません。

 運転手さんの方も注意をしようものなら、逆ギレされてボコボコにされる・・なんてことも無きにしも非ずなわけなので、多くの場合は、この逆ギレされないように口で注意せずに、あらかじめ録音されたものを随時、流すというケースが多いような気がします。

 昨日は、どういうわけか、その検札官たちは、バスの入り口付近にいたので、もし、チケットを持っていない人がいれば、その場で何食わぬ顔をして、運転手さんからチケットを買えばよいので、なんだかあんまり意味がない?ような気もしたのですが、そこに乗ってきた小さい旅行用のキャリーバッグを持った明らかに観光客らしき子連れの女性がチケットを買おうとして、運転手さんに10ユーロ札を出したら、お釣りがないと言われていて、小銭がないなら、ネットで買ってくださいと言われて、苦労していました。

 バスに乗るときにその場で運転手さんからチケットを買っている人というのは、時々、見かけるのですが、お釣りがないと断られているのは初めて見て、観光客相手にネットで買えというのは、そりゃないでしょ!いつもの倍額取ってるのに・・この冷たい対応は何なの?と思ったわけです。お釣りを用意していないのは、明らかに運転手さんの不備なのに、申し訳ないという感じは微塵もなしです。

 観光客の場合、必ずしもネット環境が整った携帯を持っているとも限らないわけで、私がもし、外国で言葉もよくわからない国でそんなことを言われたら、どうしよう?と思ってしまうと思うのです。

 こういうことがあるから、パリは感じが悪い!と言われてしまうのだろう・・と思った次第です。

 現在はまだパリはいつもよりも空いているので、バスもメトロもあまり混雑することもなく、駅などもオリンピックの余韻?でまだ清潔さを保っているので、やっぱり今の季節はよいな・・などと思うのですが、やっぱりところどころで、こういう場面に出会うのがパリ・・だって、カード払いもできなくて、お釣りを用意しないで何かを売るって、ちょっとあり得ないことです。

 駅ならばともかく、バスの場合は、チケット売り場がバス停にあるわけでもないのですから、やっぱり酷い話です。

 こうして観光客の立場にたってみれば、やっぱりまだまだパリには、困ったところがけっこうあるのかもしれないな・・と思った日でした。


パリのメトロとバス


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2024年8月19日月曜日

アラン・ドロンの訃報 「サムライは死んだ・・」

 

         


 ここ数年、アラン・ドロンについては、彼の子どもたちどうしの家族のいざこざばかり(父親の治療をめぐって弁護士を介して衝突したりしていた様子)が大きく報じられてきました。

 本当のところの真相はわかりませんが、かなり彼自身がすでに心身ともに正常な状態ではなかったようで、最後には彼の財産等も含めて、司法監督下におかれていました。

 彼がフランスの映画界における偉大な存在であることは当然、知っていましたが、その度に流れる、彼が公に姿を現した2019年のカンヌ映画祭の名誉パルム賞を受賞した時の様子には、すでにかなり痛々しい印象を受けました。

 子どもたちが彼の人生の最後の数年に寄り添ったパートナーを追い出し、その後は子供たちの間で諍いを起こす様子は、カンヌ映画祭で見た痛々しい彼の様子を考えるに悲惨としか言いようのない感じがしていました。

 死の8か月前には、彼は後見判事によって司法的保護下に置かれており、この措置は春に「強化保佐権」に変更され、財産管理の完全な自由を剥奪され、自身の医療についてのみ一定の決定を下すことを認める追加措置となるというドロドロ劇にまで突入していました。

 昨日、彼の訃報を知ったのは、朝、Xのタイムラインでしたが、それを見て、不謹慎ではありますが、一瞬、ようやく自由になれたのだな・・と思ってしまったくらいでした。

 彼がフランスの映画界における大スターであることはわかっていましたが、それにしても、その日のXのトレンドは1日中、彼がダントツ1位、フランスの全てのテレビ局は大幅にスケジュールを変更し、特番を組み、もう彼の訃報と彼の功績を振り返る映像で溢れかえり、20時のニュースもほぼ彼のニュースに終始したくらいでした。

 彼は享年88歳、フランス映画の黄金時代を担ってきた国民的だけではなく、世界的スターで、考えてみれば、他のメディアがあまりなかった時代の彼のような存在は、もう今後、生まれ辛くなってくるのかもしれないと思うと、アラン・ドロンはフランス最後の世界的大スターであったと言えるかもしれません。

 彼に関する報道は、現在、溢れかえっていますが、そのどれもが長いこと長いこと・・。彼の死は、日常から饒舌なフランス人をさらに饒舌にさせるようなエモーションを巻き起こすほどの存在であったことに、あらためて驚いています。

 もちろん、私も日本にいた頃から、詳しくはありませんでしたが、一応、名前と顔が一致するくらいの認識はあり、とにかくハンサムな男性の代名詞のような感じでもあり、実際に美しく、逆に整いすぎていて、むしろ現実感がないような感じがしていました。

 日本人にとって、まだフランスが今よりももっともっと遠い存在であった頃、フランス人の男性はみんなアラン・ドロンみたいなハンサム・・そんなイメージがあったかもしれません。実際に世界的に人気があったアラン・ドロンですが、特に日本ではその人気がすさまじかったという報道もあり、また彼自身にもその自覚があったそうで、彼の訃報を世界中が悼んでいるという映像の一部には、日本での一般市民に向けたインタビューまで報道されていて、「昔、若い頃は彼に似ていると言われたことがある・・」などと答えている男性がいて、思わず吹き出してしまいました。(だって全然、似てない)

 彼の生い立ちから、90本近い彼の出演した作品を振り返る映像が一日中、テレビでは流れていますが、彼の生い立ちは決して裕福ではなく、4歳で両親が離婚してからは、刑務所の看守であった里親に預けられていた時期があり、彼の遊び場は、フレネス刑務所の中庭であった・・とか、「私が本当に幸せだったのは、軍隊にいた時だけだ・・」と語っていたり、美しく整った顔立ちにどこか哀愁を感じさせる影のような部分は、そんなところだったのかもしれない・・と思ったりもしました。

 彼は、人生の終盤に自分の最期については、かなり具体的に考えていたようでもあり、50年以上も所有し続けたロワレ県ドゥーシーにあるブリュレリーの邸宅には、両親のお墓とともに自分を埋葬してもらう場所まで用意しており、行政手続きも取っています。

 もうずいぶん前のインタビューにおいて、「自分が死んだら、そこで、やっと私たち親子は一緒にいられるようになる・・」と語っている場面もありました。

 また、自分自身が亡くなった場合の訃報のタイトルは?という、なんとも大胆な質問に対しては、「サムライは死んだ・・」がよい・・とあっさり答えて周囲を納得させたりもしていました。

 彼の訃報は、「ドゥーシーの自宅で、3人の子供たちと家族に見守られながら安らかに亡くなりました」という子どもたちと愛犬の連名でプレスリリースされました。

 その人の存在の大きさというものは、生前には計り知れないものなのだと、今回も痛感しましたが、フランスでは、彼の訃報は、近来、稀に見る大きな扱いです。


アラン・ドロンの訃報


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2024年8月18日日曜日

WHOが最高レベルの世界的警戒を発令した今回のサル痘はどのくらい危険なのか?

  


 数日前にWHO(世界保健機構)が「サル痘」に関する最高レベルの世界的警戒を発令したというニュースは聞いていました。しかし、まあ、そのうちおさまるでしょう・・と、正直、あまり関係ないような感じもしていて、そのままスルーしていました。

 ところが、このサル痘の世界的流行のニュースはフランスでは、けっこう引き続き報道し続けていて、なんだか不穏な気がしてきました。そもそも毎日毎日、いくらでもあるニュースの中で、特にテレビのニュースの時間枠は限られており、そのニュースに毎日のように食い込んでくること自体、ふつうの話ではありません。

 今は、バカンス中で多くの人々が世界中、あちこちの国を行き来することもあり、このような感染症が拡大する危険性は高いかもしれません。

 特にオリンピックの後、パラリンピックを控えているフランスにとっては、まだまだ世界中から人が集まる場所でもあり、特に警戒しなければならないことなのかもしれません。

 サル痘は2022年にも流行し、その後、今年、再流行の波を迎えており、始末の悪いことに、今回流行しているのは、以前のサル痘よりも新しいクレード 1b 変異種というもので、感染力と致死性がより高いということです。

 コロナウィルスの際も次から次へと現れる変異種というものに、恐れおののいた記憶がありますが、サル痘の場合もまた威力を増した変異種の登場が今回の騒ぎの原因のひとつのようです。

 アフリカ連合保健局がまず、「公衆衛生上の緊急事態」を宣言し、これに続いてWHOも翌日、最高レベルの世界的警戒を発令。そして、アフリカ以外での最初の症例はパキスタンとスウェーデンで検出されましたが、今後数日から数週間のうちに欧州でも新種の輸入症例が出現すると予想されているとWHOは警告しています。新しい変異種は感染力と致死性がより高く、世界的な蔓延の懸念を引き起こしているというのです。

 2022年には、これまでウイルスが流行したことのなかった先進国を中心に、世界の他の地域に広がり始めましたが、今回の変異種はさらに感染力、致死性がより高くなって流行しているというのですから、WHOが警戒を呼び掛けるのもわからないではありません。

 そして、先週末、ついに、フランスでも、ガブリエル・アタル首相がフランス保健当局はサル痘に対しての最大限の警戒状態をとり、すでにあらゆる事態に対応できるように準備していると発表しています。

 サル痘は、動物から人間に広がるウイルス性疾患ですが、ウイルスに感染した人との濃厚な物理的接触によっても伝染するそうで、以前の株は口、顔、または性器に発疹や局所的な病変が現れるのが特徴でしたが、現在問題となっているクレード 1b 株は全身に発疹を引き起こすようです。

 アフリカで前例のない数の感染者が発生していることに加え、WHOが懸念しているのは新たな変異種の出現で、この新株は以前のものよりも重篤な疾患を引き起こすという点にあるようです。

 また、感染者に幼児が多いことは、主な媒介者として男性同性愛者コミュニティとの性的関係を介して広がった以前の株よりも、汗や唾液などの体液を介して感染がより容易に起こることを示唆していると言われています。

 現在までのところ、比較的、患者は若く、おそらく免疫システムが未熟なため、死亡率ははるかに高くなります。成人(15歳以上)の2.4%と比較して、乳児では8.6%、1歳から4歳までの子供では7.4%、5歳から15歳では3.7%となっています。

 汗や唾液などの体液を介して感染するとなれば、全く油断ならない話です。

 このサル痘のワクチンはデンマークの研究所バイエルン・ノルディック社が製造しており、また、このワクチンは新しいクレード 1b 変異種にも有効であると製造元は発表しています。

 フランスでは1月から4月までに107件の感染者が発生しているそうで、4月以降は毎月20人から25人の感染者を出し続けているようです。この数を多いと見るべきなのか?少ないと見るべきなのか?ちょっと見当がつかない気がしていますが、致死率が高いという点から考えれば、特に常に多くの疾病のリスクにさらされている幼児、高齢者、病人、妊婦などは、注意が必用だと呼びかけています。


サル痘 WHO最高レベル世界的警戒


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