2023年12月20日水曜日

フランス人の死に至る三大疾患

  


 今週、発表された、フランス公衆衛生局、Insermおよび保健省統計局(Drees)が実施した主な死因に関する調査によると、がん、心神経血管疾患、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)が三大死因として挙げられています。

 ただし、これは、2021年のデータをもとにしているので、パンデミックの影響を大きく受けていた年でもあるので、一般的な年とは異なる結果となっている向きもあります。

 フランスでは、年間で約66万168人が死亡していますが(2021年)、そのうちの4分の1がガン、5分の1が心神経血管疾患、そして10分の1が新型コロナウイルスによるものであったというデータが出ています。

 ガンに関しては、肺、気管支、気管の腫瘍が最も多く、次いで、結腸直腸腫瘍 (10%) が死亡率の高い腫瘍であり、次に乳癌が続き、女性の腫瘍による死亡のほぼ 17% を占めています。

 この発表ではまた、2020年以降、循環器系、内分泌疾患、栄養疾患、代謝疾患、消化器系の疾患による死亡率が増加していることも指摘しています。 

 それまで、心神経血管疾患による死亡は減少していましたが、これが増加しているという過去の傾向という変化は国際的な結果と一致しており、新型コロナウイルス感染症の流行が死亡率に直接的および間接的に及ぼす影響の可能性もあると言われています。

 フランス公衆衛生局の疫学者アンヌ・フイエ氏は、「ケアへのアクセスの困難や、社会的孤立の拡大が行動や生活環境の違いなども生命の分かれ目に影響を与えた可能性があると考えられる」とも説明しています。

 新型コロナウイルス感染症に関しては、依然として、多くの高齢者が死亡していますが(2021年)、2020年よりは減少しています。新型コロナウイルス感染症による死亡者のほぼ半数は85歳以上の人々に関係していますが、65 歳から 74 歳の割合は 11.9% から 15.8% に増加し、65 歳未満の割合は 6.2% から 8.4%とわずかに増加しているのも、ワクチン接種の年齢層別の拡大とロックダウン解除後の人との関わり方も関連しあっているとも言われています。

 また、新型コロナウイルス感染症による死亡者の10人中9人近くには、少なくとも1つの併存疾患または合併症が死亡診断書に記載されている。この後、高齢者、既往症がある人は新型コロナウィルス感染の際の重症化のリスクが高いと分類されていたことも合点がいきます。

 新型コロナウイルス感染症の流行は、原因が何であれ、自宅での死亡者数の増加も引き起こしました。 2017年から2019年にかけて、死亡の21%は自宅で発生していましたが、 この割合は、2021 年には 23% に増加しています。

 また、このデータ発表では、あらゆる原因による男性の超過死亡率も浮き彫りになっており、 具体的には、男性の死亡率は女性の1.7倍になっています。 特に 65 歳未満の超過死亡、早期死亡は 10 人に 2 人近くの死亡に相当し、女性の場合はその半分です。

 そして、もう 1 つ注目されているのは、死亡の約 6% は偶発的な転倒や交通事故などの外的原因によるものであり、自殺はこのカテゴリーに分類されており、これらの死亡のほぼ4分の1を占めています。 また、自殺による死亡の大部分は男性にというのも驚きました。 

 こうして、データを見ると、明らかに男性の方が弱い?と思わざるを得ず、それはフランスの平均寿命にも顕著にあらわれており、女性は85歳、男性は80歳となっています。

 いずれにしても、女性は強いということでしょうか?


フランス人の死因


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2023年12月19日火曜日

インフレと最低賃金(SMIC)引き上げ

  


 フランス政府はインフレに関する INSEE(国立統計経済研究所)の統計発表結果を参考に、2024年1月1日からの最低賃金(SMIC)の引き上げを発表しました。

 これにより、最低賃金は、フルタイムの場合、現在の月額1,747.20ユーロ(手取1,383.08ユーロ)から、1.13%増加の1,766.90ユーロに上昇します。時給にして、現在の11.52ユーロから11.65ユーロ、つまり0.13ユーロ(20円程度)の上昇です。

 手取り金額1,383.08ユーロは、現在のレートで換算すると、約215,000円程度になりますが、現在の円安の状況や物価の違いなどを考慮すると、これが日本に比べて、安いのか高いのかは、簡単に評価することはできません。

 フランスでは、この最低賃金(SMIC)は、物価の上昇に応じて、毎年、改定されており、一機に上昇はせずとも、長いスパンで考えると確実に上昇はしています。例えば、2012年には、最低賃金は、1,398.37ユーロであったことを考えれば、368.53ユーロも上昇しています。

 また、1月1日以外の年度中にも、インフレ率が2%を超えた場合には、再評価が行われます。なので、通常は年1回の改定ではありますが、2021年には、1月、10月の2回、2022年には、1月、5月、8月の3回、2023年は、1月、5月に見直しが行われているので、今回は2021年以来、8回目の改定となっています。

 今回の最低賃金の改定に先駆けて、労働大臣はこの点を強調して、2021年から13.5%上昇していると、なんだか、今回の上昇が今一つであることを煙に巻くような発言もしています。

 この見直しに関しては、最も所得の低い世帯の 20% に対する加重物価上昇率などが考慮して計算されています。

 また、法令により、このように、少なくても確実には上昇している最低賃金のようには、ギリギリ、それ以上を稼いでいる人々の賃金は、必ずしも上昇するわけではないという現実もあり、働けど、働けど、どんどん最低賃金に近づいていくようなことも起こっているわけです。実際に、この最低賃金で働いている人々は、全体の17.3%と言われていますが、1年前の14.5%に比べると増加しています。

 そして、物価の上昇が考慮されたものではあるにせよ、実際の現実の物価の上昇に追いつくものではないため、必ずしもありがたいものとは限らない皮肉な結果を生んでしまうこともあるようです。

 たとえば、家族などの同一世帯などの場合、社会保障などの援助の枠から、わずかな昇給のために援助対象から外れてしまって、援助金が削られてしまったりして、実質はマイナスなどということも起こり得ると訴える人もいたりで、そんなに簡単な話ではありません。

 どんな対応をしても黙って受け入れはしないフランスの労働組合(CGT)は、プレスリリースの中で、「最低賃金とすべての賃金の大幅な引き上げ」の緊急性を強調し、最低賃金総額2,000ユーロに引き上げを要求しています。

 しかし、一方では、これを支払う雇用者側にとっても、全てが値上がりする中、従業員に支払う最低賃金額も政府が一方的に決めていくわけですから、これもキツい話ではないか?とも思うのです。


フランス最低賃金 SMIC


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2023年12月18日月曜日

私が日本に持って行ったお土産でビックリしたこと 朝からチーズ?

  


 今回も私が日本に持っていたお土産類は、9割方、食料品でした。

 主に、チーズ(いつもの定番はコンテ、パルミジャーノ、今回はリクエストがあって、一部モンドール)、バター、ドライセップ茸、インスタントスープ(今回はアスパラガス)、タラマ、ちょっと珍しめのスナック菓子類、チョコレート、マドレーヌなどなど、あらかじめ、リクエストがあった分は別として、一部は、あの人は、これが好きだったな~とか思いながら、買い集めるのですが、買い進むにつれて、だんだんわけがわからなくなり、だいたい、前もって会う約束している人は別として、誰に会えるかもわからないので、その数でさえ、不特定なので、最終的には、まあ、これくらいあれば、足りるかな?という感じになってしまいます。

 それらをこちらのスーパーマーケットなどのエコバッグなどに入れて渡しています。

 概ね、日本ではやたらと高い乳製品は大好評なので、友人などに渡すと、「さっそく明日の朝、食べるから、美味しいパンを買って帰ろう!」などと言って、実際に翌朝、「美味しく頂きました!」などとご丁寧に朝の食卓の写真を送ってくれたりするのですが、バターはともかく、「えっ?朝からチーズ?」となんとなくビックリしてしまうのです。

 たしかに私が子供の頃は、朝食でもチーズトーストなどは食べた記憶はあるし、ヨーロッパでもホテルなどのバイキング式の朝食などでは、薄切りのチーズが並んでいたりもするのですが、フランスに来て以来、朝からチーズ?というのは、どうもピンと来なくなっています。

 チーズといえば、どちらかといえば、食後に食べる感じで、なんとなく、朝からチーズ・・などというとウッとくる感じがするようになっています。

 私が子供の頃、我が家では、チーズはどちらかというと、父がお酒を飲む時のおつまみのような感じでした。

 そういえば、父が仕事でヨーロッパに出張に行って、帰ってきた時に、外国人との商談での食事での様子について、「ようやく食事が終わったと思ったら、チーズの盛り合わせがでてきて、それをみんな、嬉しそうに食べるんだ!」と話してくれたことがあって、「へえ~~?」と思ったことを今、これを書きながら、思い出しました。

 今は、まさにその逆バージョンで、私が持って行ったチーズを「美味しく朝食にいただきました!」という友人の話に「へえ~~?」と思うのです。しかも、彼女はモンドールまで朝から食べたというので、さらにビックリです。

 まあ、うちの夫だったら、大歓迎だったかもしれませんが、実際にかなりのチーズ好きだった夫も朝は、たいていは、バゲットにカフェオレで、チーズは食べていませんでした。

 いずれにせよ、日本人の方がしっかり朝ごはんを食べる人が多いということなのかもしれません。

 私もパリではほとんど朝食をとりませんが、日本に行くと、わりとしっかりと食べることが多いです。しかし、私の場合、正直、チーズとパンよりもお味噌汁に干物と納豆とごはん・・といった和食の朝食の方が好きです。

 また、お土産についてですが、シンガポールからやってきていた弟にもチーズいらない?バターは?と一応、お伺いをたてたのですが、どれも、「いらない・・」と冷たくあしらわれ、結局、彼が目を見開いて、喜んでくれたのは、なぜか宮古島に行った時にみつけて私が感激して山のように買ってきたチーズ味の「カール」(スナック菓子)(最近は、関東では販売しなくなったらしい・・)でした。



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2023年12月17日日曜日

フランス政府 2024年から薬の服薬指導を紙からQRコードへ移行開始

  


 フランス政府は2024年から薬の服薬指導の紙を廃止し、QRコードに置き換えることを目的とした試みを開始することを発表しました。

 2024年はひとまず、一部の薬の箱に、このためのQRコードが付加される予定で、長期的には、この薬の箱の中に入っている服薬指導の紙の廃止を検討する予定です。

 私がフランスに来たばかりのころ、フランス人はやたらと薬(ヤバい薬というわけではない)に頼りたがり、また、医者も気安くやたらと薬を処方するような気がする・・と思いました。

 そして、医者の処方箋をもらって薬を出してもらう薬も全て箱入りの薬で、やたらかさばる感じがした覚えがあります。それは今もあまり変わりません。

 現在、私は3か月ごとにかかりつけのお医者さんに通って処方箋を書いてもらって、薬をもらってきていますが、3ヶ月分の薬もそれぞれが箱入りとなるとなかなかこんもりとした量で、また、その箱の一つ一つには、まず読むことのない薬の服用指導の紙が入っており、この服用指導の紙に関しては、ほぼほぼ包み紙同様の扱いで、即刻、ゴミ箱へ直行してしまうもので、まず、読んだことがありません。

 だいたい、紙に書いてあることは長すぎる上に細かい文字で読みにくく、ごくごくたまにその薬について、知りたいことがあったとしても、薬の名前でググって調べる方がラクなので、全く必要がありません。

 私でさえも、こんな具合ですから、病院などでは、けっこうなゴミの量になるそうで、これは、なるほど、すごくいらないものだな・・と思います。

 これまでにも、フランスでは、環境問題に関しては、レシートが廃止されたり(とはいっても、頼めば貰えますが・・)、紙の広告のチラシなどが大幅に削減されたり、ファストフードの店内飲食には再利用できる容器が使われるようになったり、様々な試みが続いてきましたが、まだまだあるな・・削減できるもの・・と思います。

 その一つ一つは、大した量ではなくとも、小さいこと(でもないけど)の積み重ねで、少しでも環境問題を改善していこうと国主導でどんどん動いていくことが、大切なのだなぁと思います。

 それでも、やはり、QRコードの取り扱いに慣れていない一定の層はいるわけで、そういった人々に対する「薬剤師向けの紙の指示書の提供」など、さまざまな「解決策」が検討されているようです。

 しかし、まあ、そうでなくとも、たいていの場合、薬局の人は聞けば薬についても、よく教えてくれるし、結構、おしゃべり好きな人が多い印象なので、難しい説明書を読むよりもずっとわかりやすいのではないか?とも思われます。

 それに加えて、処方箋を出してもらう段階で、お医者さんに色々、聞くこともできるし、たとえQRコードがなくても、薬の名前でググれば、たいていは出てくるので、やっぱり、この紙は、ほとんど必要はありません。

 むしろ、薬の名前+(たとえば)副作用などと調べれば、ピンポイントで知りたいことが出てくるので、その方が全然ラクでわかりやすいです。

 いずれにしても、環境問題にせよ何にせよ、政府主導でどんどん対応していく感じが日本にはないフランスのよいところだな・・とも感じます。



薬の服薬指導QRコード 


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2023年12月16日土曜日

パリのノエルのイルミネーションさんぽ

  


 早いもので、今年もあっという間に一年が過ぎようとしています。12月も残り半月ほどになり、ノエルまでもう一週間と少しになりました。

 先月から少し、フランスを離れていたこともあり、なんとなくノエルに乗り遅れた感じもあり、また、今月は、どういうわけかお天気の悪い日が多かったりで、さっぱりノエルのイルミネーションを見に行けていませんでした。でも、その乗り遅れを取り戻すように、今年は、ぐる~っと一気に気になるところを見てきました。

 最初に行ったのは、ギャラリーラファイエットで毎年、一応、チェックする感じです。特に買い物もないのに、店内のドームのような空間のデコレーションやショーウィンドーを覗いています。


 今年は、大きなサンタクロースがあしらわれたツリー型の飾りで、ドームの天井に映える感じではありましたが、個人的には、今一つな感じの印象・・同様にショーウィンドーも今一つ惹きつけられる感じが薄い印象でした。

 後日、今度は、マドレーヌあたりから、フォーブールサントノーレを通ってルー・カンボンを横目で眺めつつ、ヴァンドーム広場へ、そして、チュイルリー公園を通ってシャンゼリゼまで歩きます。

 このコースは、けっこうハイブランドのお店なども多く、通り自体も可愛い大きなアーチ状のデコレーションをしていたり、オリジナルのクリスマスのモニュメントを飾っていたりするので、お店に入らずとも、通り沿いを歩いて行くだけでも、「お~~可愛い!素敵!」と楽しみながら歩くことができます。


 マドレーヌ寺院の近くのディオールは今年のディオールの統一デコレーションでお店が飾られており、なかなか華やかで、その脇にあるヴィラージュ・ロワイヤルというスペースはいつもきれいにデコレーションされていますが、しっかりノエルバージョンになっています。


 そこから、フォーブール・サントノーレを歩いて行くと、ハイブランドのお店が軒並み華やかなデコレーションのパレード状態、ルー・カンボンと交差するあたりで、再び、ディオール、そして、シャネルの独特なシャネルっぽいデコレーションに「ほ~~っ!」となります。



 しばらくすると、マンダリンオリエンタルホテルのオーソドックスではあるけど、シックで上品なデコレーション。

 


 そして、ヴァンドーム広場に行き付く直前には、ちょうどショパールとルイヴィトンが重なって見えるポイントが見えてきます。このショパールとルイヴィトンのデコレーションは毎年楽しみで、特にショパールのデコレーションはいつも品がよくて私が好きなデコレーションの一つでもあります。

 


 昨年のルイヴィトンは、これでもか!というくらいインパクト大な感じで、むしろ、ちょっと引く感じがしてしまったのですが、今年はそれに比べるとかなり、トーンダウンした感じがして、むしろ、隣のグッチの方がインパクトがある感じさえしました。(しかし、後になって、やはり、ルイ・ヴィトンにはびっくりさせられた!)

 





 今年のヴァンドーム広場には、ブルーの回転木馬が設置されていました。

 




 そして、現在、マルシェ・ド・ノエルをやっているチュイルリー公園を横目に、コンコルド広場を通ってシャンゼリゼへ・・。しかし、ここで、私は少々ズルをして、コンコルド広場からジョルジュサンクまではメトロで移動。

 今年のシャンゼリゼは、やけに早くから、街路樹のイルミネーションの準備をしていたので、何か特別なことがあるかと思いきや、特別なことはなく、いつもどおりに17時にイルミネーションが点灯します。

 17時きっかりにまず、パラパラと白いライトがつき始め、白いライトでシャンパンフラッシュが始まり、15分おきにこのシャンパンフラッシュタイムになります。

 しかし、白いライトがキラキラするのも一瞬はきれいなのですが、正直、個人的には、これはなくてもいい気がします。オレンジのライトの方が華やかでシャンゼリゼにも合っているし、実際にシャンパンフラッシュが終わって、ライトがオレンジに切り替わって明るくなると、周囲から、「お~っ!」という声が上がるので、このコントラストを感じさせるためならば、シャンパンフラッシュも良いですが、写真に撮っても、シャンパンフラッシュはあまり映えません。

 しかし、さすがにシャンゼリゼともなると、このお店がきれいとか、もう、そういうのを超えていて、この通り全体が全て華やかで美しく、やっぱりパリのノエルのデコレーションの中でも王道な感じがあります。


ゲランのお店のデコレーションはいつも同じトーンながらオリジナルな感じで好き

 そして、ついさっき、今年は、昨年に比べると控え目だと思っていたルイヴィトンですが、なんとずっと工事中だったビルが完成?したのか、ど~んと大きなきらきら光るトランクになっていて、ビックリさせられまさした。今年のルイヴィトンは控え目になっていたなど、前言撤回です。

街路樹のイルミネーションも霞むルイヴィトンのキラキラトランク

 なお、蛇足ですが、シャンゼリゼのイルミネーション全体の写真は、17時半頃、日が沈んでしまう直前、そして、ちょうどゲランのお店の前あたりのシャンゼリゼの中央にある場所がきれいに写真が撮れるポイントです。

通りの真ん中にこんな立ちスペースまであります!

2023年12月15日金曜日

極上の温泉と最高のお料理とおもてなし 鹿児島県霧島温泉 石原荘

 


 ごくごく若い頃には、海外ばかりに目が向いて、温泉に行きたいなどとはあまり思わなかったのですが、海外生活も長くなり、歳も重ねていくうちに、日本の温泉は、ことさら憧れの場所になり、ずっと、「日本の温泉に行きたい!」と、ゆっくりお湯につかって、のんびりして、美味しいお料理を食べることに憧れてきました。

 今回の日本への一時帰国では、かねてから従姉妹に「すっごくいいよ~!」と教えてもらっていた鹿児島県霧島温泉にある石原荘という宿にどうしても行ってみたくて、その宿の予約を軸にして、日本行きのスケジュールを立て始めました。

 前日に泊まった宿を出て、ひととおり観光をして、宿に着いたのは、4時ごろだったと思ういます。渓谷の中にあるような、ちょっと、ともすると通り過ぎてしまうような場所でもあるのですが、ようやく宿に辿り着いて、車を宿の前に停めると、すぐに宿の人が荷物を運んでくれて、車は、このままでどうぞ・・と宿の中に案内してくれました。

 宿の中のひとつひとつのインテリア、調度品、花、デコレーションなどは、しっとりと上質で、どれも落ち着いていて、センスよく、心地よい空間です。


 通されたラウンジでは、チェックインの間にお菓子とお茶が出てきて、その時に、別棟にある貸し切り露店風呂の予約をし、しばらくすると、お部屋に案内してくれました。



 私たちが泊まったお部屋は奥まった露天風呂がついたお部屋で、居間に寝室にお茶室までついていて、もちろん、お部屋のお風呂は24時間、好きな時に入ることができます。

 お部屋の担当の人が案内してくれたのですが、なんと上品な感じの若い外国人の男性で、流暢な日本語で、お部屋の中を色々と説明してくれました。私は、あまり意にも留めずにいたのですが、同行の友人がその方に向かって、「日本語お上手ですね‥どちらの国からいらしているのですか?」などと尋ねるので、私は「また~そんなこと聞かなくても・・」と内心、思っていたら、なんと、その男性はフランス人で、「あらまぁ~!こんなところにフランス人!」と私もビックリして、また、友人が「この人もフランスから来ているんですよ!」などと私の方を振り返ると、その方は、一瞬、嬉しそうにフランス語で挨拶してくれました。

 なにしろ、相手は日本語もフランス語もわかっているのですから、一緒にいた友人の手前、フランス語で長々と話すのも躊躇われ、少々、こちらの方がとまどっていると、よほど、厳しく躾られているのか、その男性は、そのまま勢いに乗って、フランス語で話しつづけることはなく、ひととおりの説明を終えると部屋から下がっていきました。

 もう長年の憧れであったお宿に興奮している私は、さっそく温泉へと、まずは部屋のお風呂ではなく、お宿の中の一番大きなお風呂にでかけ、次に予約していた貸し切りの露天風呂へ直行。

 そもそも宿泊客は、満室とはいえ、そんなに人数が多いわけでもなく、しかも時間帯が食事の時間帯にかかりかけていたこともあって、大きなお風呂も貸し切り状態。大きなお風呂には私たち2人だけ。サウナも水風呂もついていたのですが、とりあえずは、「これなら、泳げちゃうね・・」などと言いながら、温泉につかりました。

 同じ霧島温泉でも、前日に泊まった温泉とは泉質も違い、その違いを楽しみました。


 いくつものお風呂がある中央にあるラウンジのようなところでは、飲み物のサービスやアイスキャンディーまであって、なんなら、観光などせずに、一日中、宿にいればよかったかも?と思ったほどでした。

 そして、念願の夕食は噂どおりの絶品の連続で、季節のもの、地のものを中心としたお料理が絶妙のタイミングで出てきて、最初の食前酒として出てきたのが、地物の市販されていない蔵出しの焼酎のお湯割りで、香りが抜群によく、最近はお酒を飲まなくなっていた私も、これは、お料理にもバッチリあう調味料の役割だ・・と感じて、少しずつ頂きました。










 また、給仕してくれる方も行き届いていて、どんな質問にも適切な答えが返ってきて、本当に心地よい、まさに日本ならではの「おもてなし」、尋ねたことに対しても、決していい加減な返答をすることはなく、不確かなことは、「ちょっと確認いたしますね・・」と、その応対もとても自然で固さもなく、本当に素敵な応対でした。

 煮物、焼き物、揚げ物からご飯の炊きあがりまで、お客様の食べる時間や速度にあわせられていて、本当に見事なお食事で、ふっくらと釜で炊かれた新米など、「余った分は、おにぎりにして、お部屋にお持ちいたしましょうか?」と、後でお部屋の方に持ってきてくれました。

 これは、翌日の朝食の時も同じでした。




 しかし、優雅な温泉宿に泊まって、ゆったりとくつろげばいいものの、私は、せっかくだからと、お部屋の温泉を出たり入ったりと、忙しくしてしまう貧乏性。ちっとも、ゆっくりしていないことに気付いたのですが、だからといって、せっかくの温泉、じっとしているわけにはいきません。

 朝食の後に、フロントで、この宿の近くにある魚屋さん(東京よりもずっと安くて美味しい鰻があるという話を聞いていたので・・)の所在を尋ねたら、電話で問い合わせてくれて、持ち帰りの鰻を予約してくれました。

 こんな風に極上の温泉での一日には大満足でしたが、あっという間に過ぎてしまいました。

 帰りのチェックアウトのために、フロントにいたら、昨日のフランス人の男性がいて、もうこれで帰ってしまうからと思ったのか? いきなりフランス語でおしゃべりを始めて、とっても嬉しそうにお話してくれました。

 こんな秘境?で、フランス人もあんまりいないだろうし、フランス語を話す機会もあまりないだろうし、フランス語を話せることは嬉しいんだろうな・・と、逆バージョンではありますが、海外で生活している者どおし、なんとなく、気持ちがわかるような気がしました。

 とはいえ、私が住んでいるのはパリで日本人に会おうと思えばいくらでもいるので、全然違うとは思いますが・・。

 もう、今は、そのお宿で働き始めて8年目だとおっしゃっていましたが、ふつうの日本人としても、厳しいだろうと思われるそのお宿の礼儀作法など、ふだんのフランス人の生活を見ている私には、さぞ、彼も苦しかろうと思うのですが、奥様がその土地の方とのことで、頑張っておられます。

 日本の憧れの温泉に行って、頑張っているフランス人にも会えるというおまけつき、ぜひぜひ、また、いつか、あのお宿に行きたいと思っています。


鹿児島県 霧島温泉 石原荘

🌟妙見石原荘 鹿児島県霧島市隼人町嘉例川4376


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2023年12月14日木曜日

12歳の少女が授業中に教師をナイフで襲う・・

  


 12歳の少女が授業中に教師をナイフで襲うという事件が起こり、騒然としています。この少女は、前の週にその教師と授業中に携帯電話を没収されたことで口論になった経過があり、この教師を殺す目的で、ナイフを持って登校していたと見られています。

 彼女は、2ヶ月ほど前にアラス(フランス北部オードフランス地域圏)で起こったことと同じこと(教師が刺殺された事件)をしたかったと語っており、ある程度、計画的な犯行であったと見られています。

 とはいえ、彼女は昨年度にも、教師に対する暴力事件で前の学校を退学になっていたという過去があり、今回もまた、同様の事件を起こし、教師に向かってナイフで切りつける前に「今回は、自分らしくありたい!」と叫んでから襲い掛かったということで、どう考えても、ふつうではありません。

 そもそも彼女が持ってきていたのは、刃渡り17センチのかなりしっかりしたナイフで、こんなものを学校に持ってくること自体、異常です。

 このナイフの話で思い出したのは、以前、娘がコロニー(スポーツなどのアクティビティーをするサマーキャンプのようなもの)に参加したときに、同室の女の子が突然ナイフを取り出したとかで、コロニーのディレクトリス(責任者)から、「おたくのお嬢さんが刺されそうになりました・・」と会社に電話があったことがあったのを思い出しました。

 今、思えば、ちょうど、同じ年ごろでした。

 その時は、他から話が伝わって大騒動にならないようにとディレクトリスが先手を打って、「そういうことがあったのですが、大丈夫ですから・・」という電話だったのですが、それこそ、そんな話を聞かされて、「あ~そうですか・・」で済むわけもなく、知人に頼んで、そのコロニーのオーガナイザーに連絡してもらい、厳重に監視してもらうように釘を刺したことがありました。

 「そもそも、コロニーにナイフを持ってくるなんて、ふつうじゃない!」と思ったことを思い出しました。

 無事に娘が帰ってきて、事情を聴くと、「同室の女の子の間で、1人、電気を消すか?とか、窓を閉めるか?とかいう、そんな些細なことで、いじけていた子でちょっとおかしな子だっただけで、大騒ぎすることじゃない・・」などと言っていましたが、カッとしてはずみで・・ということもあり得ないではありません。

 そもそも、ナイフを持ってきていること自体が異常です。

 普段、私立の学校に通っている娘にとっては、学校側が、問題のある子は、排除している環境の中で生活しているために、なかなかお目にかからないタイプで、「とにかく、世の中には色々な人がいるんだから、ちょっとおかしな子だと思ったら、刺激しないようにしないとダメだよ!」とキツく、言い含めたことを思い出しました。

 今回の事件を起こした少女は、「アラスと同じようにしたかった・・」と供述したことから、イスラム過激派であることも疑われてもいましたが、現在のところは、そのような背景にはないようで、両親はモンゴル人で彼女自身はマルセイユ生まれで、特別に特殊な環境で育っているわけではないと見られています。

 しかしながら、ナイフを持ち出すのも初めてのことではなく・・しかも、授業中に教師を殺そうとする・・とは、いくら腹立たしいことがあったとしても、どう考えてもふつうではないため、彼女には、精神鑑定が行われているということです。

 一度、ナイフを使用した暴力事件を起こした段階で、退学処分というだけで、また別の学校に転校させればよいという話ではなかったことは明白で、なんらかのケアが必用であったことは、言うまでもありません。

 とはいえ、今回の事件では、即、同教室にいた生徒たちも教師も避難したために、怪我人は出なかったそうですが、学校内での混乱は、計り知れません。

 フランスでは、よく、学校などで事件が起こったりすると、その後の精神的なケアをするユニットを学校内や地域に設置したというような話を聞きますが、その実、問題を起こした張本人のその後について、ある一定の期間は、治療や施設での更生を行うものの、案外、あっさり放置されたりもする話を聞くので、その後も、しっかりと支えてあげてほしいな・・と思います。


12歳の少女の教室での殺人未遂事件


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