エリゼ条約およびフランスとドイツの和解 60 周年を記念して、フランスとドイツの若者・居住者(フランスもしくはドイツに居住する1996 年 7 月 1 日から 2005 年 12 月 31 日生まれ)に両国の鉄道を無料で利用できるパス 60,000 枚が提供されます。
「えっ??ほんと?」と一瞬、図々しくも思いましたが、私は18歳~27歳でもなく、また、このチケットは発表から数時間で完売?(無料なのだから完売というのもおかしいが・・)してしまったようです。
エリゼ条約とは、1963年フランスのシャルル・ド・ゴール大統領とドイツ連邦共和国 (FRG) のコンラート・アデナウアー首相の間で結ばれたドイツとフランスの間の協力条約で、この条約は、特に防衛、教育、青少年の分野における両国間の協力を強化するものだそうで、仏独協力条約とも呼ばれています。
6万枚のチケットの内訳はフランス3万枚、ドイツ3万枚で、さらにフランスの3万枚のチケットのうち、半分の1万5千枚は、奨学生 10,000 人、職業訓練中の若者 4,000 人、機会の少ない若者 1,000 人 (JAMO) に割り当てられ、一般公募には1万5千枚というさらに狭まった枠だったようです。
このチケットでは、1ヶ月以内の自分の好きな7日間、ICE 高速鉄道を含む、ドイツのすべての鉄道にアクセスが無料になり、この間、一度は隣国にも無制限に旅行できますが、TGV を利用する場合は、追加料金 20 ~ 30 ユーロが必要となります。
とはいえ、TGVを使ったとしても20~30ユーロの追加料金のみで旅行できるなど、このバカンスシーズンに魅力的なチケットに違いありません。
しかし、これは、単純に先着順ということであったため、アクセスが殺到し、サイトにはなかなか通じずに、やっと通じたと思ったら、もう締め切りになっていたという人が大多数だったようで、そんなに上手い話には、なかなかありつけないのが普通なのかもしれません。
この発表は、フランスとドイツ間の鉄道網の発展を背景にした一種のキャンペーン的なものでもあり、パリとベルリンを結ぶ夜行列車が2023年12月から再び運行され、2024年には新たな直通高速鉄道リンクが両首都を結ぶことになるにあたっての序章のようなキャンペーンです。
パリとベルリンの間に TGV と夜行列車の 2 本の直通路線が開設されることにより、フランスとドイツ間の鉄道接続は改善される見込みで、どちらも 2023 年 12 月に予定されています。
私は何かと言えば、すぐに飛行機での移動手段をまず考えてしまうため、鉄道での旅行はあまりしたことがなく、フランス国外への旅行で鉄道を使ったのは、ユーロスターでロンドンに行くか、TGVでベルギーに行った時くらいですが、たしかに鉄道での旅というのも、趣きがあって楽しいかもしれません。
先日、イタリア国内で、一部、鉄道で移動しましたが、全くアナウンスがないうえに、急にプラットフォームが変わったりもするので、ちょっと慣れないとドキドキではありましたが・・。
また、あまりに早く締め切りになってしまった人々のために、運輸省は、大金をかけずにドイツを旅行する別の方法も紹介しています。
それは、2023 年 5 月に導入されたドイチュラント チケットというもので、月額 49 ユーロで国内のすべての鉄道と公共交通機関を無制限に利用できます (ICE 高速鉄道を除く)。 ただし、国境を越える場合には使用できないそうです。
また、逆に考えれば、フランスには、少なくとも3万人の若者がドイツからやってくるということで、何もパリとは限りませんが、こんなカタチで若者が行き来する機会が増えるのも、良いことかもしれません。
旅が若者の成長を促すことはよく知られていますし、 友情を育むと付け加えることもできます。 仏独関係を祝うため、両国政府は若者向けに無料チケットサービスを設定することで両国間での鉄道旅行を促進したいと考えています。
こんなキャンペーン?もなかなか粋な計らいではありませんか? 日本でも、どこかの国との共同で、若者向けのこんなサービス、あってもいいんじゃない?と思いました。
フランスードイツ間 若者向け無料チケット6万枚
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