2021年7月25日日曜日

通常の日常に戻れるのは2022年〜2023年 8月初旬には1日の感染者が5万人を超える恐れ


フランス国旗を掲げて、ヘルスパスの反対を訴える人々 マスク率もかなり低い


 フランスの科学評議会(le conseil scientifique)(フランスのコロナウィルスのパンデミック対応のための公共の意思決定に必要な情報を提供する責任を負う独立した諮問機関)の議長であるジャンフランソワ・デルフライシー は、第4波に突入したフランスの1日の新規感染者数は8月初旬には、5万人を超える可能性があることを発表しました。

 そして、さらには、冬には新しい変異種が登場し、2022年〜2023年より前には、通常の日常生活に戻ることはないと語りました。まったくもって、まだまだ感染がおさまりそうもないガッカリする話です。

 このウィルスの特徴は、並外れた突然変異力を持っていることで、さらに強力な威力を持つ変異種が誕生する危険があると指摘しています。

 現にすでにいくつもの変異を繰り返し、現在、世界中のウィルスがデルタ変異種に置き換わり始めてからというもの、フランスも毎週、感染者が倍々に増え続け、ここ1ヶ月で約10倍に急増しています。1ヶ月で10倍って、凄くないですか?

 フランスの現在のワクチン接種率は、58.27%(2回の接種済は、48.26%)で、ワクチン接種も進み始めているにもかかわらず、これだけ感染が拡大してしまうのですから、その威力たるや恐ろしいものです。

 しかし、感染者の96%がワクチン未接種であることからも、ワクチン接種でかなりの感染を回避できるできることは、証明されているようなものです。

 にもかかわらず、週末のフランスは、先週よりもさらに大規模な、全国で16万1千人の人出の「ヘルスパス反対」のデモが起こり、特にパリやマルセイユなどでは、デモが暴徒化し、催涙ガスや放水車まで出動する大騒ぎになりました。


 正直、バカンス中にこれだけの規模のデモというのもなかなか珍しいことですが、今回のデモに参加した人々は、フランス国旗を掲げ、一見、ぱっと見には、オリンピックの応援??と勘違いしそうになるような光景でもあります。

 今回のパリでのデモでは、バスティーユからシャンゼリゼにかけてがルートに選ばれたため、先日のパリ祭ではこの上なく美しいパレードで彩られたシャンゼリゼは、催涙ガスや放水車で煙がモクモクと立ち上がり、終いには、水浸しになり、警察とデモ隊の攻防戦になりました。

 何も知らずにシャンゼリゼに立ち寄った観光客などにも、容赦なく放水車が水で追い立てる結果となってしまいました。


 このヘルスパスの件だけでなく、フランスでは、土曜日にデモが起こる可能性が非常に高いため、パリ(フランス)を観光する際には、土曜日が日程に含まれている場合は、予めデモが起こる予定があるかどうかをチェックして出かけることが必要です。

 このデモは、単にアンチワクチン派だけではなく、かなり強行なほぼワクチン接種に追い込むような形の政府のやり方に反対している人々も多く、現実的に9月からはワクチン接種が義務化される医療関係従事者の人々=ワクチンをしなければ仕事が続けられない人々なども含まれています。

 ですから、このデモは、ヘルスパスに反対するデモでもあり、政府の強行的な政策に反対するデモ、デモクラシーを叫ぶデモでもあるのです。

 フランス国旗を掲げているのは、「フランスは民主国家であるべきだ!」との主張から、本来のあるべきフランスの姿?を訴えているという意味だと思います。

 フランス人のデモは、単に、ある物事に反対する側面と、フランスは、こうあるべきだ!とフランスを愛するがゆえに、これは個々が主張しなければならないと義務感、使命感にかられて行っている不思議な?側面もあります。

 しかし、どちらにせよ、今のパンデミックの状況で、端的にどうすればいいのかは、残念ながら、現在のところ、他に選択肢はありません。

 ワクチン接種を拡大し、ヘルスパスの制度が拡大することで、政府は100%ロックダウンは解除できると言っているのです。

 ワクチンは嫌!でも、ロックダウンは嫌、では、どうしたいのか?全く理解に苦しみます。

 科学評議会の議長は、それでもワクチン接種ができる国は、まだ救われる道がある。しかし、世界には、まだワクチン接種がほとんどできていない国もあり、それらの国では感染拡大が続き、そこで新しい変異種が誕生する危険も指摘しています。

 とりあえず、フランスでは、1ヶ月で感染が10倍にも広がっているウィルス対策に一刻も早く対策を取らなければならないのは必須です。

 ワクチンもロックダウンもイヤイヤと言っている人は、感染が悪化した場合は、病院に行かないつもりなのでしょうか? 権利ばかりを主張して、義務は果たさず、結局は国におんぶに抱っこになる、いつでも問題になる、ある一定の層の人々は、どんな時にも同じなのです。


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2021年7月24日土曜日

フランスで見ていた東京オリンピックの開会式

   


 東京オリンピックの開会式は、フランス時間で午後1時から生中継されていました。

 これまでフランスでは、ギリギリまで開催中止もあり得るとも言われていたせいか、オリンピックの話題に、あまり盛り上がりはありませんでした。

 とはいえ、当日は、エッフェル塔の目の前の広場には、パブリックビューイング会場が設けられ、多くの人で賑わっていました。

 しかし、この場所もヘルスパスなしには、入場できない制限された状態でしたが、この会場では、アルコールの提供も飲食も許され、日本の開会式の様子を「本当に無観客でやっているんだ・・」と驚いている人も多いようでした。

 でも、「ワクチン接種が進んでいない日本では仕方ないのかもしれない・・」と、日本の事情の一部も理解されている様子でした。

 フランスのテレビでも、その1時間ほど前から特番が組まれ、フランスの選手を紹介する映像が流されたり、開会式に参加するために東京に到着したばかりのマクロン大統領がインタビューに登場したりしていました。

 短いインタビューでしたが、マクロン大統領は、相変わらず饒舌によく喋ること・・視聴者のほとんどはフランス人なので、当然といえば、当然なのでしょうが、東京オリンピックについては、申し訳程度で、ほとんどは、フランスについて話していました。

 考えてみれば、私は、これまでオリンピックの開会式というものをテレビでさえ、ライブで見たことはなく、正直、とても複雑な思いで、初めて、私の祖国である日本で行われているオリンピックの開会式をライブ放送で見ていました。

 オリンピックの公用語がフランス語であったことも今さらのように思い出し、アナウンスがフランス語で始まってから、英語、日本語と続くことに、「あ〜、そうだった・・」と思ったくらいでした。

 多くの日本人が反対する中で開始されたオリンピックも開会式を迎えれば、もう、とうとう後戻りができない・・始まったんだ・・というような、どこかしっくり来ない気持ちや、それでも私は、日本に住んでいるわけではないので、日本人のような行動制限や交通制限を加えられているわけでもなく、きっと、私も日本に住んでいたら、また、さらに違う感情を持っていたんだろうな・・と思ったりもしました。

 また、逆に、衛生環境が世界的にも最も優れた日本だからこそ、こんなパンデミックの状況でオリンピックの開催に踏み切ることもできたのではないか? そんなことを思ったりもしました。

 無観客でありながら、無観客であることが目立たなく映るように工夫された場内の客席も、時折、映る、使われることがないであろう座席に備え付けられた飲み物のホルダーなどに虚しさを感じたり、開会式そのものを楽しむということに集中できずに、ぐるぐると色々なことを考えながら見ていました。

 開催までの流れを振り返るフィルムで、オリンピック招致が決定した時の映像などには、さらに複雑な思いを掻き立てられました。そもそもあれが不幸の始まりだった・・と思いながら見た方も少なくないのではないでしょうか?

 特に開会式に登場する組織委員会の面々の誰にも笑顔が見られないことも不自然なような、当然なような妙な思いでした。

 日本語で挨拶する橋本聖子委員長の挨拶の中の「このオリンピック開催を受け入れて下さった日本国民の皆様、開催実現のために、ともにご尽力をいただいたIOC、日本国政府、東京都、関係者の皆さま、ありがとうございます」が「Merci à tous」(皆さん、ありがとう)とだけ、訳されていたことにも、「まあ、そうだけど・・」となんだか、伝わらない気がしたりもしました。

 個人的には、なんとなく纏まりのない流れの演出のような気がしましたが、まあこの際、ギリギリまで色々な騒動があって仕方ないな・・とも思いました。

 おおよそのプログラムと解説は、報道機関には配布されていたのでしょう、フランスのテレビでも進んでいくプログラムを説明していましたが、その中で、「エモーション」という言葉が多いことも、単なる「感動」とは受け取れない、複雑な感情の動きが表れているようで、ことさら耳に残りました。

 フランス人にとって、この開会式で一番印象的であったのは、その後の報道から見ても、1,824個のドローンが東京の夜空に舞いながら、東京オリンピックのエンブレムを描きながら、地球の形を描いていく様子で、「これが日本のテクノロジーだ!」と大絶賛を送っていました。

 そして、報道陣にも知らされていなかった様子のオリンピック聖火の最終ランナーに大坂なおみ選手が登場したことも、これは、様々な意味で素晴らしい人選だったと評されています。  

 フランスでは、今年の全仏オープンで記者会見を拒否して結果的に途中で棄権してしまった曰く付きの大坂なおみ選手でしたが、フランスでは、自分の意思を通した彼女には、わだかまりは感じられず、多くのメディアのオリンピック開会式の報道には、「大坂なおみが聖火を灯し、オリンピックが開幕した!」と見出しに彼女が登場していました。

 おそらく、東京オリンピック開会式のフランスのイメージは、「夜空に舞うドローンでライトアップされた地球」と「大坂なおみ選手」の聖火の灯火として記憶に残ったと思われます。

 さすがに、各国の選手団が入場し始め、選手たちは、満面の笑顔で救われましたが、中には、マスクを誰も着用していない国の選手団も見られて、恐らくマスク着用が義務付けられているであろうに、誰もマスクをしていない選手団に、スタートからこれでは、どうなるんだろう?と思ったりもしました。

  


 フランスの選手団が登場したのは、次回のオリンピック開催国であるためにかなり終盤、それでも、他の国が登場するのとは、全然、違った嬉しさがあり、フランスは私にとって特別な国になっていることも感じました。

  




 そして、最後に登場した日本の選手団に対しても、やはり自分の祖国が登場する嬉しさを当然のように感じ、まるで私が二つの祖国を持っているような気持ちになりました。

    


 この開会式の中継から、フランスのテレビコマーシャルは、一気にオリンピックバージョンのCMに切り替わりました。日本では、オリンピックバージョンのCMは中止することを発表していたTOYOTAもフランスでは、しっかりオリンピックバージョンのCMが流れています。

 日本では放送できない分、海外ではここぞと巻き返しをするTOYOTAの気持ちもいかばかりかとこれまた妙な気分です。

 しかし、フランスでは、華やかな開会式の様子だけではなく、日本国民が未だオリンピック開催に反対してデモが起こっている様子もしっかりと報道しています。

 長いオリンピックの開会式をテレビで見守っていた私は、ちょうど開会式が終わるタイミングを見計らっていたように、新しいメールの着信に急に現実に戻されたような気がしました。

 それは、在フランス日本大使館からのメールで、翌日の「ヘルスパス反対のデモ」のお知らせでした。フランスは、オリンピックをやっているわけでもないのに、新規感染者は2万3千人を突破する急増ぶりで、第4波の波は確実に上昇中のデモです。


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2021年7月23日金曜日

デカトロン(スポーツ用品店)が開始するレンタルサービス

    


 デカトロンは、57ヶ国に2190軒以上の店舗を持つフランスの大手スポーツ用品店で、フランス人では知らない人はいないような、誰もがお世話になったことのあるであろう有名なお店です。

 自転車、キャンプ用品から水着、ダイビング、サッカー、テニス、乗馬、登山、トレーニングウェアなどなど、ありとあらゆるスポーツ用品を扱っているお店は、ここへ行けば、大抵、スポーツに必要なものが揃います。スポーツだけでなく、Tシャツなど、日常から利用できるものなどもかなり扱っています。

 そういう我が家も娘が高校を卒業するまでは、ずいぶんお世話になってきました。

 比較的、値段も手頃で、成長期の子供のスポーツ用品は、どんどんサイズも変わるため、安全でさえあれば、そんなに高価なものは必要ないのです。

 小学校高学年の頃からは、学校のお休みごとにコロニー(サマーキャンプやウィンタースポーツなどなど)でスポーツ三昧だった娘は、学校が休みの前には、必ずデカトロンに行って、必要なものを揃えるのが毎年の恒例行事のようになっていました。

 日頃、学校に履いていく靴の他に、彼女がやっていたスポーツのために、(バレエだけでも毎年2足)ランドネ用(山歩き)、スキー、乗馬など、どんどんサイズが変わっていく娘の足に併せて全ての靴を買い換えなければならないことを恨めしく思い、どうか早く娘の足のサイズアップが止まって欲しい・・と長いこと思い続けていました。

 子供の成長は嬉しいことではありますが、スキーやランドネなどは、一年のうち、そう何回も行くものでもないので、下手をするとワンシーズンで終わり!なんてことにもなってしまうので、その大して使っていない靴が溜まっていくのも恨めしくもありました。

 今もそんな子供の成長に大して使われていない靴やスポーツ用品の山にうんざりしている方も少なくないと思います。

 そんな方々には、これは朗報です。

 デカトロンは、新規事業として、スポーツ用品のレンタルサービスに乗り出しました。現在は、リヨン地域の5つの店舗でこのレンタルサービスのテスト期間中だそうですが、これには、自転車、カヤック、カヌー、パドルのほか、キャンプ用品や釣り道具などが含まれています。

 このテストケースが成功すれば、このサービスはオンラインでも利用できるようになり、レンタルできる製品の種類も広がっていくことになるでしょう。すでに自転車に関しては、サイトでレンタルサービスを開始しているようです。

デカトロン 自転車レンタルのサイト


 デカトロンは、パンデミックのおかげで、キャンプ用品、ハイキング、サイクリングなどのアウトドアスポーツ用品で大幅に売り上げを伸ばしています。この好機に乗って、デカトロンは、次なる戦略に乗り出したわけです。

 もともと年に1〜2回しか行かないキャンプや山歩きなどのために必要な用品を全て揃えて、使用しない期間を家の倉庫、あるいは、棚の奥深くに大きなスペースを占領しているのは、邪魔なことで、しかも、市場にはどんどん新しい商品が登場します。

 物を無駄にしない、環境問題にも配慮した新しい試みです。倹約家のフランス人には、好評に違いないと私は、思っています。

 しかし、この盗難事件の多いフランスで、(特に自転車などは・・)借りたはいいけど、すぐ盗まれそうで、レンタルの際には、保険がかけられることになるのでしょうが、いつでも心配はつきまといます。

 願わくば、もう少し早くこんなサービスができていてくれれば・・とうちにもゴミの山ができなかったのに・・などと思いますが、それでも、少しでもフランスでの生活が便利になっていくことは、嬉しいニュースに違いありません。


Decathlon Paris La Madeleine

23 Blvd.Madeleine 75001 Paris

104 Blvd. Saint-Germain  75006 Paris


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2021年7月22日木曜日

いよいよヘルスパスがスタートしたものの問題は山積み

   


 7月21日から、フランスは、かなりの範囲(文化施設、娯楽施設、ジム、コマーシャルセンター、長距離移動の交通機関などなど)でヘルスパス(ワクチン接種2回証明書、48時間以内のPCR検査陰性証明書、6ヶ月以内にコロナウィルスに感染した証明書)が必要になりました。

 しかし、私が昨日、ヘルスパスが必要とされていたはずのコマーシャルセンターに買い物に行ったところ、全くのノーチェック、友人とバカンスに出た娘は、 TGVに乗車というのに、これまたノーチェック・・まぁまだ初日だから・・とも思うのですが、初日に準備できなくて開始できなくても良いなら、日付を設定する意味があったのか? まあ、フランスなら不思議ではないことではありますが、今さらのように思うのは、最初のロックダウン時の衝撃的なシャットダウンをフランスで行えたことは、スゴいことだったのです。

 しかも今は、バカンスシーズンで、多くの人がバカンスに出ていて、どこも人員不足、それでも、しっかりヘルスパスのチェックを行っていたところもあるようで、ジムや映画館、美術館などで、ヘルスパス不携帯で入場できない人の様子がテレビのニュースでは報道されていました。

 当日になって、カステックス首相は、昼過ぎの国営放送のニュース番組に登場し、このヘルスパスのチェックを機能させるまでに1週間のテスト期間を設けることを発表しています。

 つまり、ヘルスパスの本格的な始動は、8月からということになります。

 また、現在のところは、ヘルスパスのチェックにIDカード(身分証明書)の提示、つまり本人確認が必要ないとのことで、これでは、また新しい商売(ワクチン接種証明書のレンタルや偽証明書の販売など)が発生しそうです。

 なにせ、このヘルスパスのチェックを身分証明書と照らし合わせて本人確認をするとなれば、手間も時間も人出もいることになるのですが、本人のものでなくても良いなら、意味はありません。しかし、一般市民が身分証明書のチェックというのは、いささかお門違いの感もあります。

 現在のところは、それぞれの施設がチェックするのは、ヘルスパスだけで、合間を縫って警察がランダムに身分証明書との照合のチェック(抜き打ち検査)をすることになっています。

 しかし、第4波に突入したフランスには、本当はそんな猶予はなく、急増している1日の新規感染者数は、あっという間に2万1千人超え(一週間で2.4倍)と同様に入院患者数も1週間前と比較すると33%増になっており、ここのところ、家から聞こえる救急車のサイレンの音がまた増えてきたような気がする・・と思っていた私の感覚は、間違いではなかったようです。

 街に出てみると、ちらほら観光客も見られるようになり、美術館を訪れようとしていたアメリカ人観光客がこのヘルスパスのルールを知らずに、「2回のワクチン接種は済ませているのに、観光するのにワクチン接種証明書は持ってきていなかったので、入れてもらえなかった・・」とボヤいている人などもいました。

 エッフェル塔などは、こういう人々のために、エッフェル塔の隣に、PCR検査場を設けて、観光客対応をしているようです。

 しかし、人出不足は、こういった文化施設、娯楽施設、レストランだけではなく、病院でさえも、現在は、バカンスのためにスタッフがフルに待機しているわけではありません。

 スタッフがいなければ、たとえ、病床が空いている状態でも患者を受け入れることはできずに、このまま、入院患者、重症患者が急増していく状況が続けば、あっという間に医療崩壊を起こしてしまいます。まだまだ1ヶ月以上続くバカンスシーズンには、そんな危惧も孕んでいます。

 感染状況が特に悪化している場所では、再び、屋外でのマスクが義務化されたり、23時以降のレストラン・カフェ等の営業が禁止される事態になっていますが、今後、さらに感染が悪化する地域が現れれば、当面は、自治体ごとに対応すると発表されています。

 娘は、現在、パリ市内の病院併設の研究所でスタージュをしていますが、このヘルスパスの発表以来、看護士が退職してしまうケースが出始めていると医者が嘆いていたそうで、自分の職を辞してまで、どうしてもワクチンをしないと言っている頑強な信念を貫こうとしている人も一定数いるようです。

 この種のアンチワクチン派の人は、病院だけでなく、様々な業界にもいるようで、8月30日以降は、病院にかかわらず、入場者にヘルスパスの提示が求められる全ての施設の雇用主は、従業員のヘルスパスをコントロールする義務があり、不携帯を続ける場合は、制裁として無給、事実上の解雇になるのです。

 「労働者(組合)の権利」が甚大であるフランスでは、従業員を解雇するにも、雇用主側にとっては、大変な出費でもあり、レストラン・ホテル業界などは、「ヘルスパスには、反対しないが、このヘルスパス不携帯の(ワクチン接種をしない)従業員の解雇のための補償金に関しては、負担することを拒否する」=「国が払ってくれ!」と発表しています。

 現在、フランスのワクチン接種率は70代以上で80%、60代で77%、50代で73%と、開始のタイミングのズレにより、比較的、高齢の人には、かなり進んでいますが、一番、後回しになってしまった12歳から17歳の年少者に対してのワクチン接種期限を8月30日としていたものを9月30日まで延期するとし、9月の年度初めから、全国の中学校・高校にワクチン接種制度を設置することを発表しました。

 とにかく、政府の提案しているヘルスパスは、人々を解雇することでも締め付けることでもなく、感染をなんとか抑えるためにワクチン接種を拡大するためのものなのです。

 ロックダウンが解除になり、人々がバカンスに出ていることも感染拡大の原因でもありますが、昨年の今頃存在していたウィルスと、現在のデルタ変異種は威力が全然違い、真夏の今でさえも、しかもワクチン接種がかなり進み出しても感染が急増してしまうのですから、ウィルスがさらに活性化すると思われる秋までに、少しでもワクチン接種を進めなければ、大変なことになってしまいます。

 現在、フランスの感染者の96%は、ワクチン接種を受けていなかったことが確認されています。

 自由を守るためにワクチンを拡大しようとしている政府と自由を保持するために、ワクチンに反対する人々に接点を見出すことはできるのでしょうか?


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2021年7月21日水曜日

日本のオリンピックで日本のバブル方式が通用しない理由

  


 遡れば、コロナウィルスがこの世に登場し、それがこんなパンデミックにまで広がる前、最初に世界でコロナウィルスについて騒ぎ出したのは、横浜から出港したクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号の乗客で香港で下船した男性が新型コロナウィルスに感染していたことが発覚してからのことでした。

 クルーズ船内での感染が拡大し、乗務員・乗客併せて3,713人のうち、712人の感染が確認され、当時は、コロナウィルスの正体もよくわからないままに、クルーズ船内でのクラスターに、日本(アジア)で起こった新しい感染症くらいにヨーロッパでは捉えられていました。

 ちょうど、そんな騒ぎの最中に日本に帰国していた私は、フランスに帰国する際に飛行機に乗せてもらえるかどうか? はたまたフランスに入国できるかどうか心配したくらいでした。

 しかし、帰国当日、恐る恐る羽田空港に行き、ANAのチェックインカウンターに行き、「フランスへの入国は、問題ありませんか?」と確認したところ、「今のところ、フランス側からは、特別な入国条件は提示してきていません」とのことで、飛行機に乗ったものの、それでも疑心暗鬼でいましたが、フランスへの入国は、全くノーチェックで何の問題もありませんでした。

 ただ、フランスに帰国してみると、やはり、日本から感染を運んできているのでは?と感じている人はいるようで、現に留守の間に猫の世話を頼んでいたフランス人などは、家の鍵を返しに来ると、いつもは延々とおしゃべりをして帰るのに、鍵を渡すと早々に退散していきました。

 しかし、それから間もなく、感染が爆発的に拡大したのは、フランスの方で、あっという間に前代未聞の完全なロックダウン状況に陥り、一日中、閉ざされた家の中で救急車のサイレンが絶え間なく聞こえ続く異常な生活が始まりました。

 「日本も油断していると危ない・・コロナを舐めていてはいけない!」などと思っていましたが、日本は、これまでに一度もフランス(ヨーロッパ)のような、深刻な感染拡大に至ることはありませんでした。

 日本では、法律上の問題などもあるのでしょうが、一度もフランスのような完全な罰金を課せられる厳しいロックダウンをすることなしに、感染を抑えられてきたことは、海外から見れば、奇跡的なことです。

 フランス人にそのことを話しても、「日本人は、マスクをする習慣があるからね・・」などと、軽く受け止めていますが、日本で感染をある程度、抑えてこれたのは、マスクだけではなく、日頃からの日常的な衛生的な生活、衛生観念、清潔に身を保つ習慣、規律正しく、規則を守る真面目な国民性などなど様々な要因に支えられてのことです。

 その習慣的に衛生管理に気を配る生活や、はっきりした規則(罰則)がなくとも自粛するということが外国人には、きっと想像もつかない世界です。

 ある意味、日本の方が特別な国なのです。

 ですから、外国人にとっては、日本で非常事態宣言が出ていると言っても、「お店はやっているし、人は街に出ているし、日本の非常事態宣言ってなに??」と意味がわかっていません。

 その上、感染者数は、ヨーロッパなどとは比較の対象にすらならないほどに少ないし、どれだけ日本人がオリンピックのために自粛生活をしているかは知らずに、この程度の感染者数なら、全然OK(あくまでフランスその他ヨーロッパの基準ですが・・)と思ってしまうのです。

 菅総理大臣は、「日本の状況は数字に表れているので、世界に発信すべきだ」と言っているようですが、ただ、数字を発表しても、世界的に見れば、数字だけでは、全く響かない数字で、世界に発信するならば、日本人がどのようにして、これだけ数字を抑えられてきたのかを具体的に説明しなければ、数字だけを発表しても意味がありません。

 むしろ、逆に受け取られかねません。

 オリンピックは、バブル方式とかいう対策がとられているそうですが、これは、あくまでも日本人の常識の範囲内ならば、通用するものであって、世界各国から集まるそれぞれのウィルスに対する衛生対策への感覚や、規則というものをどのように受け止めるかという民度?は、日本人とは全く違うのです。

 これまでは、日本がある程度、感染を抑えることができていたのは、ことさら、この日本人の民度の高さに支えられてきたところが大きく、世界中から人が集まるオリンピックにこれは、通用しません。

 「日本人は政府の意向を示すと多くの人が従ってくれる」と菅総理は言っていますが、(日本人だって、もう我慢の限界に来ているというのに・・)多くの外国人が入ってくるオリンピックでは、それは通用しません。

 オリンピック選手ならば、自分の体調には少なからず、気を配り、もしも感染すれば、出場できなくなることを考えればまだマシかもしれませんが、選手団のスタッフ、マスコミ関係、IOC関係者に関しては、規則をきっちり守るとは、思い難いのです。

 ましてや、オリンピック関係者やマスコミ関係者などは、とかく「自分たちは特別扱い」に慣れている人々で、周りはダメでも自分たちはOKと思って生活している人が多いのです。

 このオリンピック開催にあたっては、海外の人の日常の生活様式や考え方、行動を予測しなさすぎています。日本の中だけでなら通用する素晴らしい日本人の生活の仕方(衛生対策)は、ある意味、世界的には、かなり特別であるという認識に欠けています。

 日本でオリンピック開催反対のデモなどが起こっている様子はフランスのニュースでも報道されていますが、日本のデモは、お行儀がよくて、常日頃からフランスで起こっている激しいデモを見慣れているフランス人にとっては、恐らく日本人の怒りのほどは伝わっていません。

 残念ながら、第4波を迎えているフランスは、1日の感染者数が1万8千人を超え、一週間で感染者数は、2.6倍に増加しているとはいえ、人々は、バカンスを謳歌し、一部の感染が悪化している地域で、レストラン・カフェの営業が23時までの時短営業になっただけで、大ブーイングが起こっています。

 先日、発表されたヘルスパスに反対するデモも度々、起こっており、数万人の人がほとんどマスクなしで、街を練り歩いています。

 多少、厳しい規則でも、はっきりとわかりやすい規則を提示しなければ、バブルには、穴が飽き続けることは明白です。厳しすぎると言われても、一生それが続くわけでもあるまいし、日本人でも今はなかなか行きづらい日本に行っているのだから、日本はオリンピック関係者に対して、もっと毅然と対応すべきです。

 外国人に対して、曖昧な規則は通用しません。

 オリンピックは、2週間とちょっとで終わりますが、ウィルスを撒き散らし、オリンピックのために自粛を強いられ続けている日本がオリンピック後にも、さらに感染拡大に苦しめられるのは、見ていられません。

 オリンピックはやっていないのに、ものすごい勢いで感染が再拡大しているフランスから見れば、オリンピックは恐怖でしかありません。


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2021年7月20日火曜日

フランス第4波突入宣言 ボルドーのナイトクラブでクラスター ヘルスパスが機能していない現実 

 



 フランスでは、ほぼ1年半にわたって閉鎖されていたディスコ・ナイトクラブが7月9日に再開されて、さっそく、ナイトクラブでクラスターが発生してしまいました。

 先日、このディスコ・ナイトクラブの再開にあたっては、アルコールを扱う場所でもあり、開放的に密になる場所として最も警戒されて、これまでのロックダウン解除が最も先送りにされてきました。

 ナイトクラブの営業再開が許可されたとはいえ、衛生管理を徹底することが難しく、未だ再開できていない場所も多いのです。

 ところが、今回、営業を再開したボルドーのナイトクラブで、クラスターが発生し、問題が再浮上しています。もう開けたら、すぐです!

 7月9日の営業開始直後、このナイトクラブには、670人が集まり、それ以来、多い日には2,000人以上が来場しています。

 このナイトクラブの再開以来、この地域(ヌーヴェル・アキテーヌ=フランス南西部)では、21例のクラスターが発生しています。

 このナイトクラブは、夕刻から入り口にヘルスパスコントロールを設置することを命じられていましたが、このパーティーに参加した人のSNSの投稿によれば、このコントロールは充分ではなく、時間帯によっては、チェックがされていなかったことが指摘されています。

 この投稿をした本人は、ヘルスパスのQRコードを提示し、その時間帯には、全てルールどおりに入場制限が行われており、750人中、80人がヘルスパス不携帯のために入場拒否に遭っていたことがわかっています。

 しかし、午前2時以降の入場者に関しては、ヘルスパスは、ノーチェックになってしまい、事実上、クラスターの格納庫のような状態になってしまったのです。

 ワクチン接種が進み、すっかり日常モードになってきたフランスも、ひとたび、気を緩めれば、あっという間にクラスターが発生してしまうことが証明されてしまったのです。

 このナイトクラブへの入場者のヘルスパス保持者のうち、ワクチン接種済みの人の割合がどの程度であったのかはわかりませんが、ワクチンをすれば、感染しないのではなく、重症化しないだけであって、実は、感染していて、感染を広げてしまう可能性も考えられるわけです。

 ワクチン接種をしている人が圧倒的な割合までに達すれば、それほど深刻な事態にまでは発展しないのかもしれませんが、今は、感染者数だけを見れば、あっという間に1万2千人にまで増加しているフランスは、相変わらず、少しでも気を緩めることができないウィルスとワクチン接種の攻防戦が続いていることを思い知らされます。

 この21例のクラスターは、今後数日で増加する可能性も十分にあり、内務大臣は、18日、「ナイトクラブ・ディスコなどの営業に関しては、ヘルスパスのコントロールについて、最も厳格な警戒が必要であるとし、ヘルスパスの管理を尊重しないナイトクラブの閉鎖を求める声明」を発表しています。

 ヘルスパスがあらゆるところで求められるようになっても、そのチェック機能がうまく働いていない、機能していないのでは、意味がありません。そのための人員の配置や段取りには、いくつかハードルがあるかもしれませんが、これを機に、店舗側も営業停止にならないようにしっかりチェックを行ってもらわなければなりません。

 政府が厳しめの緊急措置を取っても、結果としてそれが機能していないことは、いかにもフランスではありそうなことでもあります。

 しかし、ちょっとの緩みがすぐに、感染増加、クラスターと結果が現れるのです。

 フランスは、ここ2週間ほどで新規感染者が急増しており、一時は、2千人台だったものが、あっという間に1万2千人、これまで減少し続けてきた入院患者も集中治療室の患者数も増加に転じています。

 ワクチン接種を進めているにもかかわらず、入院患者、重症患者が増加するということは、ワクチン接種の速度がウィルスの拡大に追いついていないということで、やはりヘルスパスは必須事項だということです。

 フランスは、19日、政府のスポークスマンが「我々は、第4波に突入しました」と宣言しました。現在のフランスの感染者の80%はデルタ変異種に占められ、入院患者数も増加傾向に転じたことがこの宣言の理由とされています。

 現在のフランスは、多くの人がバカンスで国内を大移動し始めてから、ちょうど2週間、やっぱり、バカンスによる国内大移動や開放感で感染が拡大しないわけはありません。

 5月の初旬の時点で、パスツール研究所(フランスの生物学・医学研究機関)が発表していた、「7月以降に第4波を迎え、再び入院患者が増加することは避けられない」という見解は、見事に的中してしまったことになります。

 特に感染状態が悪化しているピレネ・オリアンタル県(オクシタニー地域圏)(スペインとの国境近く)では、感染状況は、フランス国内平均値の4倍の数値で、すでにレストラン・バーなどの営業が23時までに制限されています。

 このまま放っておいたら、また夜間外出制限などの規制を敷かざるを得なくなり、マクロン大統領のかなり強引とも思われたヘルスパスについての発表は、やはり致し方ないとしか言いようがありません。デルタ・・恐るべし・・。

 

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2021年7月19日月曜日

フランス版メルカリ ヴィンテッド Vintedの急成長



 日本の家のものはもちろんのこと、フランスにも長くなり、不用品をいつの間にか、驚くほど溜め込んでいて、断捨離を初めて、久しくなります。

 ただ、ひたすら、処分する=捨てる・・というのは、忍びないものも多く、当初は、近所にあるエマウス(Emmaus)という慈善団体に持って行って、寄付したりしていました。もうスーツケース何個分も運んで、もらって頂きました。

 ここは、大きな家具なども引き取ってくれるので、頼めば配送のための下見に来てくれたりもします。こちらは、そういった寄付により受け取ったものを販売して、その収益を恵まれない人への寄付金として社会貢献している団体です。

 どうにも劣化しているものは、廃棄するのも致し方ないのですが、まだ充分に使えるものを捨てるのは忍びなく、かと言って、いつまでも抱え込んでいても仕方ないので、その処分に困るところなのは、どこの国でも同じです。

 日本は、一時、買い取り業者などが広まったり、メルカリなどで、不用品を処分することができますが、フランスでも、メルカリのようなネットでの売買ができるサイトがいくつか出てきています。

 私が最初に始めたのは、ルボンカン(leboncoin)というサイトで、2006年にスタートしたようです。このサイトは、扱っている物の範囲がとにかく広く、小さな置き物から、家や車、職探しまでできるようになっています。

 しかし、そのうちにヴィンテッドという別のサイトを見つけてからは、同じものを同時に2つのサイトに載せていますが、ヴィンテッドの方が圧倒的に売れるのが早く、その上、サイトが明瞭で、使いやすくできているので、現在は、ヴィンテッドがほとんどになっています。

 日本のメルカリも一度やってみたくて、日本に一時帰国をした際にやってみたことがあるのですが、システムや販売などの流れが実に上手くできていて感心したのですが、難点を言えば、手数料を取られるところです。

 ヴィンテッドは、手数料もかからず、また、システムもなかなか上手くできていて、取引した相手の評価をつけられるようになっているので、例えば、これから買い物をしようとする相手がどの程度、信頼できる相手なのかをある程度、判断できる基準となっています。

 配送料は、購買する人が負担するので、購入の際に購買者側が配送会社を選び、販売する側は、購買者の指定した配送会社を扱っているお店に商品を預けます。

 配送機関は現在のところ、5種類あり、荷物の大きさにもよりますが、軽いものならば(例えば夏用のワンピースなど)2.88€〜6.45€、配送会社(Mondial RelayやRelay Colis, Cheonopost など)によって幅があります。

 以前、メルカリをやってみた時には、フランスには、これらの配送会社のシステムが拡充しておらず、売るのはいいけど、ちゃんと届くかどうかが不安で、日を決めて手渡しすることも多かったのですが、これらの配送システム(荷物を預かる店舗が荷物を管理する)が普及してからは、荷物が紛失したりすることもほとんどなくなりました。

 これらの荷物預かりポイントは、他のものを売っている店舗が副業としてやっていて、この系列に参加している他地域の店舗に送られるので、トラブルが頻発したら、そのお店は取扱停止となり、責任の所在がはっきりしているためにトラブルがほとんどないのです。

 トラブルが発生した場合は、一応、Vintedが中に入って、仲裁してくれることになっていますが、これまでにトラブルは、ほとんどありません。

 売りたい物の写真を撮ってサイトに載せ、その商品説明を記載して、値段をつけて出品します。その商品ごとに、説明とともに、サイト上には、「買う」「お気に入りに追加する」「メッセージを送る」という欄が表示されるので、そのまま買いたい場合は、「買う」をクリックすれば、それで、商談は成立します。

 メッセージでは、値切りの交渉や商品についての質問が来ますので、それに回答して、やりとりをします。

 化粧品・香水などに関しては、未使用のもの(つまり新品)という決まりがありますが、その他のものに関しては、中古品でもOKです。

 最近は、取扱の国も拡大し、ベルギー、オランダ、イタリア、スペインなど10ヶ国以上の国で利用されており、時には、外国からの購買希望者からメッセージが来たりするのですが、外国語にも対応できており、メッセージとともに、Google翻訳の機能付きになっていて、「このメッセージを翻訳する」をクリックすると、自分の理解できる言語に翻訳してくれ、自分の国の言語でメッセージを送り返すことができます。

 中には、「自分のサイトの中の商品と交換してくれませんか?」(物々交換制度あり)とか、「送料を払いたくないので、手渡しにしてくれませんか?」なんていうのもあったり、「お母さんへのプレゼントにしたいのだけど、私の予算はこれだけなので、この値段で売ってくれませんか?」を滔々と書いてくる人などもいます。

 売買交渉が成立すると、商品に貼り付けるラベルがすぐにダウンロードできるので、それを梱包した荷物に貼り付け、指定された配送機関の荷物を扱ってくれているところに置きに行くだけです。プリンターがない場合は、配送中継地点がプリントしてくれます。

 荷物が届いて、受け取った人が商品を確認した時点で、代金は自分のサイトのお財布に入金され、いつでも自分の指定した口座に振り込むことができます。(手数料無料)

 ヴィンテッドもスタート当初は、古着、アクセサリーなどが中心でしたが、今では、子供のおもちゃ、バッグ、靴、化粧品、香水、テーブルウェア、飾り物などのオブジェ、本など、扱うものがどんどん増えてきました。

 このサービスは、ロックダウン下でさらに急成長した企業でもあり、人々が外に出れずにサイトをのぞいている間に、利用者も急拡大し、今では、テレビのコマーシャルでも見かけるようになりました。

 もともと中古車を始めとして、中古品にあまり抵抗のないフランス人の国民性もこれを後押ししているのかもしれません。

 シーズン毎によって、売れるものも、売れ行きも違いますが、これまでの私の経験からは、ノエルの前、母の日の前が最も売り上げが良かったので、フランスでこれをやってみようと思う方は、このシーズンを狙ってみると良いかもしれません。

 今年の夏のソルド(バーゲン)は、予定どおりに開始されたので、これは、ヴィンテッドもしばらくは、お休みだと思いきや、人々の買い物モードにスイッチが入ったのか、ヴィンテッドの方も結局はサイトを見ている人も増えたのか? 売り上げは上々です。

 といっても、別に私は、これを商売にしているわけでもないので、別に急ぐわけでなし、山ほど溜め込んでいたいらないもので、ずーっと売れずにサイトに残っているものもたくさんありますが、それが忘れた頃にポロッと売れたりもして、ちょっとお小遣い稼ぎができて、喜んでいます。

 昨年、ヴィンテッドのサイトから、「税金申告のお知らせ」とともに、「昨年のヴィンテッドの売り上げを確認してください」いうメールが来たので、一瞬、ギョッとしましたが、結局、「これを、商売にしている人は、税金を申告しなければなりません」ということだったので、私のように不用品を売っている場合は、必要ありませんでした。

 フランスには、この種のサイトは他にもいくつかあります。自分の売りたいものによって、それぞれの得意分野があるようで、例えば、ブランド物(ある程度、高価なもの)(ファッション関係)なら、Vestiaire Collectiveというサイトが高い値段で売れるという噂も聞き、一度、チャレンジしたことがありましたが、高額商品ゆえに、商品に関する詳細な情報入力や審査が厳しく、断念しました。

 私は、これまでに、これで、ちょっとした旅行ができるくらいのおこづかいができました。

 断捨離をしている方、思わぬおこづかいになるので、ちょっとトライしてみたら、いかがでしょうか?

 私は、売るだけですが、買い物も思わぬ掘り出し物があるようです。娘などは、もっぱら、Vintedでしか買い物しないみたいです。この間もニューバランスのスニーカー、ほぼ新品(きっと買っただけで、サイズが合わなかったと思われる人の出品でした)が30€だったそうです。


Vinted ヴィンテッド

Vinted のサイトはこちら


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