2023年5月7日日曜日

チャールズ国王載冠式に熱狂するフランス人 フランス人は英国王室が大好き

  


 毎回、イギリス王室のセレモニーとなると、まるで自分の国の王室のように騒ぎたてるフランス人を、なぜなんだろうか?と思います。ことにエリザベス女王ご逝去の際などには、危篤状態だという一報が入ってからというもの、ほぼ、生中継でイギリス王室のメンバーの動向を追い、それが訃報に変わってからというもの、テレビ局もほぼキー局のメインジャーナリストがロンドンに飛び、その様子を伝えながら、エリザベス女王の軌跡を辿る過去映像などを編集した映像が絶え間なく流され、週刊誌などの表紙は全てエリザベス女王が飾るという熱狂?ぶりでした。

 今回のチャールズ国王の載冠式では、やはり前日あたりから騒ぎだし、もちろん当日は多くの局で生中継、エリザベス女王ご逝去から8ヶ月後、1953年以来の載冠式という歴史的なセレモニーに様々なイギリスの伝統的な載冠式ならではの装飾品やセレモニーの中の一つ一つのアクションについての説明や、沿道に出ている多くのイギリス国民やフランスからわざわざこのチャールズ国王の載冠式のために現地を訪れているフランス人のイギリス王室ファンをつかまえてのインタビューなどが延々と放送されていました。

 もちろん、このためにわざわざ沿道に出ている人々はこの行事に好意的な人ばかりですが、何よりもこのインタビューにあたっているジャーナリストもスタジオでそれを解説しているジャーナリストもイギリス国民以上に興奮している感じなのがうるさいくらいで、なんなら、フランス人の解説は入れずに、そのままBBCの映像を流してくれればいいのに・・と思うくらいでした。

 まあ、これだけ各局が生放送で延々と中継するということは、それだけ視聴率が望めるということなのだと思いますが、ハッキリ言って、フランスでは、エリザベス女王ご逝去までは、残念なプリンス・・などという番組が作られたりするくらいで、あまり人気がなかったチャールズ国王とカミラ王妃の載冠式がここまで熱狂されるものとは思っていませんでした。

 しかし、考えてみれば約1,000年の歴史を持つ世界一有名な王室であるイギリス王室の70年ぶりの新国王の伝統的な儀式といえば、フランスだけでなく世界中が注目するのは当然のことでもあり、また世界各国から2,200人以上の要人が招かれているともなれば、なおさらのことで、これは、おそらく全世界規模でオリンピック以上の視聴率ではないか?などとも言われています。

 没後四半世紀が経った今なお、絶大な人気を誇るダイアナ妃の存在は、彼女が亡くなったのがパリであったことも手伝って、おそらくフランスでは、一段と大きく、人気があり、「イギリスで最も嫌われていたカミラがついに王妃になった・・」と、以前、チャールズと不倫関係にあった過去や生い立ちを細かく辿ったり、ちょっと意地悪な感じの報道も併せて流されていました。

 しかし、ともかくもフランス人がイギリス王室の話題が大好きなのは、それが喜ばしいことであろうとスキャンダルであろうとお構いなしで、まるで自分の国のことのように大騒ぎするのは、やはり、フランスには王室がないことや、歴史を尊ぶフランス人の習性と美しいセレモニーや伝統的な儀式に畏敬の念を持ち続けているからなのかもしれません。

 フランスからはマクロン大統領夫妻が参加していましたが、つい先日、チャールズ国王夫妻の公式フランス訪問を政情不安(デモの悪化)のためにキャンセルしてしまったばかり、少々バツの悪い立場でもあったに違いありません。

 延期されたチャールズ国王の公式フランス訪問は9月に延期されたようです。チャールズ国王の来仏よりも、9月には、フランスのデモもさすがにおさまっているだろうと見込んでいるということだろうということが気になります。

 私は個人的には、あまり王室に興味があるわけでもありませんが、このような華やかなセレモニーを見るにつけ、これがダイアナ妃だったら、どんなに素敵だっただろうか?などと思ってしまう人も少なくないのではないか?と思っています。


チャールズ国王載冠式 フランス人と英国王室


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2023年5月6日土曜日

エリザベス ボルヌ首相のパートナーのスキャンダル

  


 フランスでは歴代2代目の女性首相となったエリザべス・ボルヌは、昨年、マクロン大統領が再選されて、組閣した際に任命され、当初は女性の首相が起用されたことで、特に注目を集めてきましたが、ここ最近、ことに年金改革問題が世間を賑わすようになってからは、マクロン大統領とともに支持率がガタ落ちになり、特に問題の憲法49.3条(首相の責任のもとに採決を取らずに法案を通す法律)を発表してからは、矢面になる感じで奮闘しています。

 フランスの歴代初の首相、エディット・クレソン(ミッテラン政権時の首相)は、とにかく過激発言が多かった人らしく、彼女の首相就任期間は正味10ヶ月程度という短命の首相であったようです。

 エディット・クレソンの反日発言は、なかなかなもので、当時、日本がバブル真っ只中の頃、海外の物件などを買い占める日本人を敵と称し、「日本人は兎小屋のようなアパートに住み、2時間もかけて通勤し、高い物価に耐える蟻のような生活をしている」とか、「日本人は黄色い蟻だ!」とか、「フランスに黄色い蟻はいらない!」などと公式の場で発言し、日本政府から正式な抗議を受けたにもかかわらず、一連の日本への嫌悪発言への謝罪を拒否し続けたという記録が残っているようです。

 今の時代なら、あり得ない発言(当時でも充分ありえなかった)ではありますが、彼女の発言は日本に対してだけでなく、アングロサクソン嫌悪発言なども記録に残っており、「ほとんどのイギリス男はホモだ!」などという問題発言もあったりで、彼女の政権は長くは続かなかったようです。

 初代の女性首相に比べれば、ボルヌ首相は彼女自身に何の咎があるわけでもないのですが、正直、今回の年金改革問題で、マクロン大統領の影というより表に立って、一番、割を食っているのは彼女かもしれないと思うくらいです。

 そんな彼女は、経歴を見ると、大変な苦学生で大変な努力家な上に大変な秀才で、そして野心家でもあるようで、とにかく勤勉でよく働く人のようです。彼女は27歳の時に大学職員であった2歳年下の男性と結婚し、子供が一人いますが、19年の結婚生活の後に離婚、その後、独身ということになってはいますが、彼女には、コンパニオン(パートナー・連れ合い)として、周囲に紹介している男性がいるそうです。

 離婚後に別の男性と交際していることは、なんら珍しいことではないし、バリバリに働いていて、あまり女を感じさせることがない(失礼!個人的見解です)彼女もさすがフランス人、ちゃんとパートナーがいるんだ・・などと思っていたのですが、その相手の男性には実は2年前からPACS(事実婚)の届け出が出ているということが物議を醸しています。

 実際のところはわかりませんが、要は不倫に近いようなスキャンダルです。まあ不倫自体も珍しい話ではないし、個人的な恋愛問題を非難するような風潮はフランスにはあまりありませんが、彼女があまりに猛烈に仕事に取り組んでいたことが原因だったのかどうかはわかりませんが、彼女には一時、同性愛疑惑も上がったりしたこともあったとかで、彼女は同性愛に関しては全く否定しているし、実際、結婚歴もあり、子供までいるので、これはデマではないかとは思いますが、そのデマをかき消すためのカモフラージュにこのパートナーを利用していたのではないか?という声も上がっています。

 年金改革問題でマクロン大統領だけでなく、彼女に対しても国民の矢が向いているのは仕方ない話でもあり、そんな折になんとかアラさがしをしてマスコミがつついている結果、こんな話が出てきているのかもしれません。

 まあ、個人的な恋愛問題が首相の立場を揺るがすようなことはないと思いますが、現在62歳の彼女もこんなうわさが出てくるくらい、やっぱり女を捨てていないということなのでしょうか?


女性首相 エリザベス・ボルヌ パートナー


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2023年5月5日金曜日

マドレーヌ寺院界隈の移り変わり

 


 先日、ある場所に行こうとして出かけたら、外出する前にチェックした時には、何ら問題はなかったのに、途中でメトロが止まっている線があって、急遽、行先を変更して、久しぶりにマドレーヌ界隈に行くことにしました。

 マドレーヌ寺院の界隈は、特によく行く場所というわけではないのですが、それでもぶらりと歩くには、なかなか楽しい場所でもあります。

 この辺りは、パリの中心地のどこからでも比較的アクセスしやすくて、きれいな街なみで、高級食料品店がたくさんある場所でもあるのです。

 以前は、この界隈のランドマーク的(といっても一番のランドマークはマドレーヌ寺院なのですが・・)存在だった高級食材のデパートのようなフォション(FAUCHON)やエディアール(HEDIARD)などは、日本から友人が来たりすると必ず寄ってみたりするお店でした。

 しかし、黄色いベスト運動やパンデミックによるロックダウンで大打撃を受けた後に破産申請して、この界隈を華やかにしていた、あの独特な黒地に白抜きの文字のロゴにピンクがあしらわれているお店の灯は消えてしまいました。

 フォションがなくなって、早や3年が経とうとしていますが、フォションの跡地は、まだ、次のお店が入っていないようでした。


フォションも小さいお店は残っている


 しかし、このインパクトのあるフォションが消えてなお(小さいお店は別の場所に残っています)、この界隈には、私の大好きなメゾンドショコラもあるし、マカロンで有名なラデ、トリュフ専門店、キャビアの専門店、マスタードのマイーユや紅茶のマリアージュフレールなどのお店があり、見るだけでも退屈しないお店がたくさんある場所です。


マリアージュフレール


 どのお店も他でも買える商品もありますが、お店ひとつひとつが趣のある店内のつくりで、マリアージュフレールなどはお店に一歩入ると紅茶の香りに包まれて幸せな気分になれます。

キャビア専門店KASPIA


メゾン・ド・トリュフ


 パンデミック(特にロックダウン)以来、かなりお店の移り変わりが激しいパリですが、老舗と言われるお店もこうして生き残っていてくれるのは嬉しいことでもあります。

 そして、この界隈にくればたいてい立ち寄ってみるイケア(IKEA)(スウェーデンの家庭用品を置いているお店)や以前はバカンス前には必ず行っていた気がするデカトロン(DECATHLON)(お手頃価格のスポーツ用品店)などもあり、高級食料品店とはちょっとは少々、毛色が違うものの、なかなか楽しいお店でもあります。

 しかし、残念なことに、このイケア(IKEA)に関しては、お店がつぶれるわけではありませんが、マドレーヌの店舗は来年(2024年)には、別の場所(イタリア広場 Place d'Italie)のショッピングセンターに現在のマドレーヌの店舗より広い場所に移転してしまうそうです。

 移転先のプラスイタリーの方が交通機関のアクセスもよく、より多くの顧客を見込める立地であるというのが理由だそうですが、個人的には、あまりイタリア広場に出向く機会がなく、マドレーヌ界隈の方がありがたかったので、とても残念です。

 とはいえ、この界隈の食料品店は楽しいとはいえ、高級すぎて、私が実際に買い物をするのは、たまにチョコレートをちょっとだけ買うか、または、キャビア専門店(KASPIA)で扱っているコルニッション(ピクルス)くらいなもので、大した買い物はしないのですが、何となく豊かな気持ちにしてくれる場所でもあります。


メゾンドショコラ



すごく美味しいキャビア専門店のコルニッション


 KASPIAは、キャビアを専門に扱うお店ではあるのですが、私はキャビアにはあまり興味がなく、ここのコルニッションは他ではあまり見かけることがなく、上品な香りで酸味も穏やかで、しかも、そこまで高くないので、わりとよく買います。

 フォションの跡地は他の店舗に比べて面積も広いので、あの場所であの広さの店舗の家賃といったら、なかなか借り手がつかないのかもしれませんが、それを細切れにして、貸さないところは、この街全体のプライドなのかもしれません。

 来年には引っ越してしまうというイケア(IKEA)もそこそこのスペースがあるため、また次の店舗は何になるのかはちょっと心配でもありますが、逆に考えればちょっと楽しみでもあります。

 先日、金持ち凶弾アクションとかで、ルイヴィトンが攻撃されたりしましたが、今、至るところに店舗が増えている感じのするLVMHグループの店舗で、彼らならすんなりは入れてしまいそうな気もするのですが、ここには、LVMHグループではなく、食料品のお店で埋めてほしいと願っています。


マドレーヌ寺院 高級食料品店


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2023年5月4日木曜日

5月1日の身柄拘束者はパリだけでも400人以上、身柄拘束された者の権利

 


 5月1日、労働者の祭典の日のデモは少なからず暴力的な場面があり、警察・憲兵隊とデモ隊、暴徒化した輩との闘いの場面、数々の破壊行為が起こっていましたが、この嵐のような暴動の後、身柄拘束を受けた人々は、どうなっているんだろうか?というのも素朴な疑問でもありました。

 公共物(必ずしも公共物ばかりではないが・・)を破壊したり、火をつけたりするのは、れっきとした犯罪行為であり、そんな行為が公然と行われ続けるというのも、単純におかしな話です。

 警察・憲兵隊との衝突の中で、引きずられるようにして身柄を拘束されていく人々の映像なども見かけますが、これは暴れている人をすべて拘束しているわけでもなく(できるわけもない)、一体、他の破壊行為を行っている人の中で身柄を拘束される人とされない人の間にどんな違いがあり、どのような違いがあるのかと思うこともあります。

 なんらかの破壊行為の現行犯としても、その数はあまりに多く、また、なんらかの武器を持っているとか、一応の基準はあると思われるものの、両手両足を持たれて引きずられていく様子には、こんな拘束の仕方するの?と思わないでもありません。 

 1日の日は、パリだけでも281人の身柄が拘束されたと言われていますが、その中には、正当な根拠なしに拘束された人も少なくないようで、そのうちの124人に関しては、その後の追跡調査が必要なしと分類され、比較的早くに釈放されています。

 あの混乱状態の中、間違いということもあり得るとはいえ、身柄を拘束されるという個々人にとってはかなり衝撃的なできごとに、武器を持っていたわけでもなく、破壊行為を行っていたわけでもない若者が身柄を拘束されたとニュース番組に登場して、警察の不当逮捕に対して猛然と物申していました。

 一方、警察の側からは、この日に負傷した警察官・憲兵隊は400人を超えていると、法務大臣は、この破壊・暴力行為に関する「反暴動者法」の必要性を訴えています。

 このあたりは、またフランスの権利問題が足かせになっているようで、2019年の時点で、「公の秩序に特に深刻な脅威」を与える人々へのデモを禁止することを規定していますが、結果的には憲法評議会の審議の結果、「思想や意見を表明する集団的権利」を侵害していると判断しています。

 だいたい、数十万人が参加しているデモの中で、これらの破壊行為を行う暴動者を見分けて、対処するのはほぼ不可能で、つまり収拾がつかない状態と言わざるを得ないのです。

 しかし、破壊行為に巻き込まれることも恐ろしい話ですが、同時に「なんで自分の身柄が拘束されたのかわからない・・」と訴えている人などの話を聞けば、ただデモに参加していただけで、身柄拘束されてしまうということもあり得るということも恐ろしい話です。

 また、身柄拘束されたらされたで、「身柄拘束された人の権利」というのもあり、基本的には、拘留期間は24時間(短縮、延長の可能性あり)、拘留の目的を知る権利、診察を受ける権利、親族(1人)に雇用主、および外国籍の場合は自国の領事館に電話で通知する権利、警察による拘留の開始から、本人が選択した、(または正式に任命された)弁護士の支援を受ける権利、通訳の介助を受ける権利、黙秘する権利、声明を出す権利などが認められています。

 デモに巻き込まれた場合、怪我をしたりする危険とともに、不当逮捕されてしまう危険もありえると、その両方のリスクが考えられるわけで、まさかの時のために、この拘束された場合の権利は知っておいても良いかも・・などと、物騒なことまで考えさせられます。

 この身柄拘束された者の権利を見ていると、以前、カルロス・ゴーンが日本で逮捕された時にこの権利が全く日本では通用しなかったことに、かなり憤っていたのには、このフランスでの権利が彼の社会通念であったのだろうな・・などと思わせられます。

 いずれにしても、「思想や意見を表明する集団的権利」は認められるべきであるとは思いますが、それが破壊行為や暴動に繋がることが許され続けるのはおかしな話で、破壊行為や暴力行為に及んだ者を放置してほしくはありません。


身柄拘束 権利の主張


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2023年5月3日水曜日

環境活動家の「金持ち凶弾アクション」 ルイヴィトン、ホテルリッツへのペンキ攻撃

  


 今年のメーデーのデモは結構、荒れて、炎に包まれ黒煙が立ち上るところや、警察・憲兵隊とデモ隊の一部の暴徒たちの闘いが荒々しく、これでは普通にデモを行おうとしている人も近寄るのが危険だ・・と思われるほどで、この破壊行動は結局は何も生まずに破壊行動が進むだけではないか?と虚しさを感じないでもありません。

 そんな黒煙が立ち上るなかで、同じフランス人同士で闘っている場面とは別に環境活動家が同じ日に「金持ち凶弾アクション」と銘打って、ルイヴィトン財団、ホテルリッツ、法務省をほぼ同時にペンキで攻撃していました。


 ルイヴィトン財団に対しては、建物の壁面に向かって、オレンジ・ピンク・ブルー・グリーンなどのペンキをスプレーやペンキの砲弾を叩きつけ、ヴァンドーム広場にあるホテルリッツに対しては、ホテル前の広場の一部にオレンジのペンキをスプレーしたり、ぶちまけたりで、ヴァンドーム広場自体が美しい場所であるだけに、余計にその汚されようが目立つ気がしました。

 活動家の言い分には、5月1日の労働者の祭典の日の活動として、「労働者と連帯する」行為であるとし、「金持ちを凶弾する!」をスローガンにしており、「このインフレの中でフランス人が1日一食を抜いている現在の社会的状況において、大規模グループ(ルイヴィトングループ)の繁栄・隆盛は卑劣である!」と訴えているとのことです。

 環境活動家は、そもそも地球温暖化問題などに取り組んでいると思いきや、最近は、美術館内の名画にペンキをぶちまけたり、その破壊行動に何の意味があるのか?正直、意味がわからないことばかりでしたが、今回の「金持ち凶弾アクション」もまた、ますます意味がわかりません。

 環境保護にはお金がかかることで、これらの金持ちグループは、フランスの最高額納税会社であると同時に多くの従業員を抱え、多くの雇用を促している会社でもあるのです。あまりの隆盛ぶりに、一般庶民からしたら「どんだけ、お金あるの?」と、ちょっと鼻につくのはわからないでもありませんが、金持ちを凶弾したところで、僻んで嫌がらせをしているようにしか、映りません。


 ヴァンドーム広場にあるホテルリッツは、今回、その標的の一つにされていますが、そもそもヴァンドーム広場には、パリの中でも最も金持ちにしか用のない場所で、ただの一軒でさえも、庶民的なお店はありません。

 そんな中でなぜ?ホテルリッツだけを標的にしたのかは、謎ですが、もともと彼らの行動は全く理解ができないので、それだけを疑問視しても仕方ないかもしれません。

 どちらにしても、デモに紛れて破壊行動に及ぶ人々も、この環境活動家の破壊行動も、パリを破壊し、汚す行為はもうやめてもらいたいです。

 彼らの行動を見ていると、もはや環境活動家という呼び名は全くふさわしくありません。


環境活動家 ルイヴィトン ホテルリッツ ペンキ


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2023年5月2日火曜日

年金改革への抗議に捧げられたメーデー 5月1日労働者の祭典

 


 5月1日は、フランスにおける特別な日の一つで、労働者の祭典(la Fête du Travail)と名付けられたメーデーは、伝統的に、働く人々にミュゲと呼ばれるスズランの花を贈りあう日であると同時に大々的にデモが行われる日でもあります。

 とはいえ、フランスではデモはほぼ日常的に行われているもので、デモに関しては伝統的なデモの日ではあるものの、あまり特別感はありません。

 特に、今年は、年金改革問題で、年明けから数えきれないほどのデモが行われており、一応、公式に届け出が出ているデモとしては今回が13回目ということになっているようですが、憲法49.3条(議会での採決をとらずに法案を施行する)発令が発表されて以来、無認可の自然発生的?なデモが数多くおこっているためにこれが13回目といわれても、どうにもピンと来ない状況で、少なくともその倍以上は、デモが起こっている感じで・・ということは、通算では、ほぼ30日くらい・・ということは、ほぼ一ヶ月間がデモに費やされていることになります。

 もう4月も終わり、5月に入ったところで、今年も4ヶ月が経過したことになりますが、4ヶ月のうち、その4分の一はデモをやっていたということで、これは黄色いベスト運動以来の記録的なものではないかと思います。

 なんなら、黄色いベスト運動のときは、かなり破壊行動は酷かったとはいえ、まだ、土曜日以外の日のデモはあまり記憶がないので、今回の方がもっと裾が広く、根深いような気もしています。

 年金改革については、政府のゴリ押しとはいえ、すでに年金改革法案はすでに決定してしまったにもかかわらず、一向にこのデモが冷めやらないということは、逆にこのデモの終わりが見えない状態であるということも言えます。

 今年のメーデーは、天気もあまりよくなくて、夕方から少し晴れ間が見えたとはいえ、なんだか肌寒く、もう普通に出歩くことは、ほぼ不可能なうえに、メトロなどの交通機関もどこが閉鎖されているのか調べるのも億劫なうえに、たいていの店舗などは、閉まっているので、もう観念して、おとなしくしていました。

 フランスでは、普通の日曜祭日などの休日は、会社や店舗も従業員を働かせれば、ドゥーブルペイエといって、倍の給料が支払われるのですが、この日ばかりは、トリプルペイエといって3倍の給料を支払わなければならないため、営業しないのが普通なのです。

 そのうえ、今年のように特に営業することがかなりリスキーであることを考えれば、普通は営業しないと考える方が無難だと思うのです。

 果たして、当日はパリでは昼前から7つの駅が閉鎖になり、デモ隊(組合発表55万人、警察発表11万2千人)はレピュブリック広場を出発し、ナション広場へと向かいました。



 通常なら、炎が立ち上り始めるのは暗くなりかけた時間帯が多いのですが、今回ばかりは、午後の比較的早い時間から炎が立ち上りはじめ、かなり大がかりに、もはや火災といえる規模で建物が燃え、黒煙が立ち上っている映像が流れたり、しまいには、警察官同士が揉みあっているかに見える映像は、実は火炎瓶があたって警察官に着火してしまった炎を消火するために、消火器を使って火を消そうとしている映像であったり、戦争とは言わないまでも、もはや闘いであり、やっぱり今日、出かけないのは正解だったと思わせられたのでした。


 こんな破壊行動に一体、何の意味があるのかと悲しくなりますが、実際の被害額は相当なものだと思われますが、ひとまずパリ市に関しては、この破壊された公共物やその清掃費用、復興費として、市が政府に対して160万ユーロ(約2億4千万円)の賠償金を政府に請求しています。

 それにしても、暴徒化しているデモの警備をしている警察官や憲兵隊も本当に命がけ、この警察官や憲兵隊もトリプルペイエ(休日出勤手当3倍)なのかな?などと思いつつ、これだけの激務、3倍でもやってられないのでは?と思うのです。

 とにかくちょっと手が付けられない状態で、毎日がデモというわけではありませんが、旅行をご検討の方々、まだしばらくの間、限られた日程を思うように動けない可能性も高いため、現在、残念ながら、パリへの旅行は全くおススメできません。


5月1日 メーデー 労働者の祭典 年金改革デモ


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2023年5月1日月曜日

少年院から出て2ヶ月後、5歳の少女を殺害した15歳の少年

 


 フランス北東部ヴォージュ県(グラン・テスト地域圏)の人口5,000人の小さな村で5歳の女の子が行方不明になり、届け出がだされて数時間後には、ビニール袋に入った状態で遺体で発見されるという衝撃的な事件が起こっています。

 この衝撃をさらに大きくしているのが、容疑者として拘留されたのが15歳の未成年の少年であったうえに、彼には過去にも、10歳前後の子供に対してのレイプや暴行などの犯罪歴があり、約1年間、閉鎖された教育センター(少年院のようなもの)で司法監督下におかれており、今年の2月に出てきたばかりだったことです。

 彼は青少年司法保護局の監督の下、少年院からこの村に戻った後も引き続きケアと生活訓練を受ける義務があり、彼の教育にあたる者たちが定期的に彼の家を訪問しており、彼の更生に関して教育関係者が作成した報告書には、彼は閉鎖された教育センターの枠組みの中で、また自宅においても前向きな更生を遂げたと結論づけられていたことがわかっています。

 しかし、結果的には彼は全く更生していなかったどころか、以前よりもさらに深刻な犯罪を起こしてしまったわけで、この青少年司法保護局の審査や監督状態についても疑問が持たれています。

 事件直後、早々に警察と憲兵隊により始まった5歳の少女の捜索に、最初、この少年はこの捜索隊にみずから近寄って行って、捜査を攪乱させるために実際とは反対の方向で女の子を見かけたというウソの証言をしたようですが、彼の身元もすぐに割れたことから(同様の犯罪歴があることなど)、突き詰められて、話のつじつまが合わなくなった結果、警察官が彼の自宅のアパートに立ち入ったところ、ビニール袋に入れられた少女の遺体を発見したということです。

 彼はひとりで遊んでいた少女を「猫をあげる」と言って誘い出したと言われていますが、犯行の詳細については、彼は黙秘権を行使して、多くを語ってはいないようです。

 数日後に行われた解剖の結果、遺体にはレイプの痕跡は見られなかったとのことでしたが、レイプどころか殺されてしまったことだけは確かなことで、その後、死因に関してはまだ発表されていません。

 彼女の遺体は自宅の100メートルほどの容疑者の自宅でみつかったわけで、ほんのちょっと目を離した隙に子供を連れ去られて殺された被害者の両親は打ちひしがれています。

 少女の母親が泣き叫びながら、テレビの取材に対して訴えかけていたのには、本当に言葉がありませんでしたが、今回は加害者の少年の家族、家庭環境に関しては、母親と二人暮らしであったということ以外、ほとんど知らされていません。

 どうしたら、こういう子供に育ってしまうのかについては気になるところでもあります。

 我が家は娘が10歳の時に夫が他界したために、母子家庭となったわけですが、私も娘も何の犯罪を犯したわけでもないのに、誰が通報したのか、児童裁判所に呼び出されたことがあり、おそらく、私一人で子供を育てていけるかどうかの審査のためだったと思われますが、市の児童裁判所の判事の面接を受けたことがあり、その時は子供を取り上げられるのではないかと非常に危惧して、夫の元同僚のフランス人の女性に付き添ってもらって、事なきを得ましたが、娘が成人するまでは、一応、裁判所の監督下におかれることになり、非常に定型的で儀礼的ではあったものの、毎年、報告書のようなものを提出しなければなりませんでした。

 しかし、一方では、娘には専任の判事がつき、「何か困ったことがあったら、私たちが彼女を守りますから、いつでも連絡してください」というちょっと頼もしい気もした部分もあったのです。

 そんなこともあったので、私には、「娘が成人するまでは、私も娘も本当にしっかり生きていかなければいけない!ちゃんとしていなければならない!」という気持ちがとても強くあって、絶対に娘を一人に放置したりすることはできないし、何がなんでも娘が成人するまでは死ねないと思ってきました。

 なので、今回のような加害者の状況を見ると、一度、少年院に入っていた子供をその親がどのように育てていたのかというのは、非常に気になるところでもあり、また、その地域の児童裁判所や青少年司法保護局がどのような体制で彼の社会生活を監督し、バックアップするという対応をしていなかったのだろうか?と疑問に感じながらも、そのフォローアップが家に送られてきていたような儀礼的?な報告書だったのではないだろうか?と思ってしまったりもするのでした。

 彼は現段階では一応、未成年暴行・殺害の罪で起訴されている容疑者ですが、15歳という未成年であることから、成人であれば終身刑となるところを最高で懲役20年になる可能性があると言われています。

 一応、未成年という括りがある以上、本人には責任を取り切れないということでもあり、彼自身も児童保護法により、ある程度、守られてしまっているために、判決は難しいものになると言われています。

 しかし、そもそも少年院を出る段階で彼が更生していなかった、その後の日常生活をまともに送れていなかったことは明白で、彼が社会生活を送る判断を下した機関や保護者にも問題があったのではないかと思われます。

 フランスの刑務所や少年院が超満員なのはわかりますが、やはり社会に放っておいては危険な状態の人間については、しっかり監督をしてもらはないと困ります。少なくとも彼がまだ少年院にいたのならば、一人の少女の命が奪われることはなかったのですから・・。


ヴォージュ 5歳少女殺害 15歳の少年


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