2025年12月7日日曜日

マクロン大統領の中国公式訪問と中国からフランスへの対日外交支援の要請

 


 マクロン大統領は、ウクライナ問題、貿易問題などを中心としたフランス・中国間の関係再構築のため、2017年以来4度目となる中国公式訪問を行いました。

 マクロン大統領は、主にウクライナ問題や貿易に関する欧州の期待などを中心とした

テーマにおいて、有益な議論が行われたと表明しており、習近平国家主席に「安定と平和に貢献する意欲」を感じたと述べていますが、実のところは、あまり具体的な進展は見られていません。

 また、最近では、SHEIN問題などにもみられるように、中国との貿易問題については、フランス国内でも物議を醸しているところではありますが、実際にフランスの対中貿易赤字が2024年には470億ユーロに達しており、フランスの貿易相赤字のほぼ半分(46%)を占めていることから、経済関係のリバランスの必要性を訴えたようです。

 エアバスの発注に関してや、コニャック、乳製品、豚肉などに関する関税問題、また中国の電気自動車問題などについても話題に上がっていたようです。

 ウクライナ問題にせよ、貿易問題にせよ、いずれも具体的な進展が見られなかったものの、今後、数週間から数ヶ月の間に外相間の外交対話を強化し、共同文書を作成することで合意したと報道されています。

 そんな中、マクロン大統領の中国公式訪問の数日前に中国はフランスに対し、「対日外交支援」を要請したという話も伝えられています。

 これは台湾問題と戦後合意の解釈をめぐり、中国と日本の間の緊張が高まる中、行われた措置のひとつです。

 高市首相の発言に端を発した中国と日本間の問題が、どんどん他の国をも巻き込んでいる事態に発展しているということです。

 ブルームバーグ(米)によれば、中国が国際フォーラムで日本の立場を孤立させるためにフランスと連携したいと明言し、日本が台湾に関してなされた歴史的合意を曖昧にした非難しており、日本は自らの立場を明確にし、戦後の国際秩序を尊重しなければならないと主張していると言います。

 2026年6月にG7サミットを開催するフランスはまさに外交の最前線に立たされており、マクロン大統領は、このデリケートな問題に対するフランスの立場を迫られています。

 これに対し、マクロン大統領は、2026年6月のG7サミットへの中国の習近平主席の招待を検討していると言われています。

 日本は既に、習近平国家主席のG7招待について、同国の出席が中国に対する議論を制限する可能性があるとして、フランスに対して慎重な姿勢を示すよう要請していると言われ、一方、中国はフランスに対して日本の立場に異議を唱える上で積極的な役割を果たすことを求めています。

 これに対して、フランス政府からの公式な発表はなされていませんが、マクロン大統領からしたら、とんだお土産を持ち帰ってきたことになっています。

 フランスは習近平主席をG7に招待するんでしょうか?

 日本はこの問題、放置しておくんでしょうか??


中国のフランスへの対日外交支援の要請


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2025年12月6日土曜日

永遠の汚染化学物質PFASのひとつTFA(トリフルオロ酢酸)がフランスの水道水の92%に存在している

  


 フランス食品環境労働安全衛生庁(ANSES)は今週、飲料水中に人体への潜在的有害性を持つという残留性汚染物質が含まれているという調査結果を発表しています。

 この調査はANSES(フランス食品環境労働安全庁)が2023年から2025年にかけて実施した飲料水中のPFAS(フルネームでパーフルオロアルキル化およびポリフルオロアルキル化)濃度測定のための全国キャンペーンの結果をもとに発表されています。

 まず、このPFASですが、これは私たちの日常生活の中、鍋、肉、薬品、化粧品、水、その他食品など、どこにでも存在する「残留性汚染物質」通称「永遠の汚染化学物質」とも呼ばれる危険で耐性のある物質です。

 このキャンペーンは原水および水道水における新興化合物に関する理解を深めることを目的として行われたものでした。

 その結果、分析された35種類のPFASのうち、原水サンプルで20種類、水道水サンプルで19種類が検出されています。

 今回、特に問題視されているのは、その中の「TFA・トリフルオロ酢酸(TFA、化学式CF₃COOH)」という物質で、これが分析された水サンプルの92%という非常に高い割合で含まれていたというものです。

 この数値はフランス本土および海外領土を含むフランス全土で採取された647の原水源(河川、池、湖、地下水、井戸など)と627の水道水サンプルから得られたものです。

 このTFAは大きく言えば、PFAS類に属する残留性汚染物質の中の一つなのですが、92%ということは、フランスのほぼ全ての水域に存在しているということになります。

 これまでこのTFAは、あまり注目されていなかったこともあり、長期データが存在しないということですが、動物実験によると、TFAは、肝臓や生殖能力に有害である可能性があり、先天性欠損症を引き起こす可能性もあると言われています。

 欧州全体で行われる来月からの義務的なモニタリングの対象となる20種類のPFASには、TFAが含まれておらず、フランス食品環境労働安全衛生庁(ANSES)はTFAをこのリストに追加することを勧告しています。

 TFAについては、あまり知られていないのですが、非常に小さく、移動性が高く、残留性の高い物質であり、ろ過が非常に困難で、実質的に分解できません。TFAは冷蔵に使われるフッ素化ガスの大気分解や除草剤フルフェナセットの製造業者からの排出など、複数の産業および農業起源です。

 一方でこのTFAは、「植物保護製品や医薬品(抗糖尿病薬、抗ウィルス薬、抗HIV薬、がん治療薬などの製造における原料」でもあり、まさに毒にも薬にもなる物質であるとも言えます。

 しかし、水道水にまでその汚染が及んでいるとなれば、知らない、わからないでは済まされません。

 多くのミネラルウォーターの水源での汚染がもうこれまでのろ過では済まなくなっているということは、水道水にも影響が出ているのは当然のこと。

 そして、問題は、今までは存在しなかった汚染物質が生じてきて、安全のための規制がそれに即したものではなくなっているということなのかもしれません。


永遠の汚染物質PFAS TFA


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2025年12月5日金曜日

パリは世界で最も汚い観光都市トップ5にランクイン

  


 アメリカの企業 Radical Storage による最近の調査で、フランスの首都パリは世界で最も汚い観光都市のトップ5にランクインしました。

 2025年11月末に発表されたこの調査は、Googleで英語で投稿された約7万件のレビューを分析したものです。

 これらのコメントは、ユーロモニターが発表した「トップ100都市観光地」ランキングに掲載されている主要100都市で最も多く利用されている観光スポット10件に関するものです。

 評価基準はユーザーからのフィードバックに「汚い」とか、「不衛生」といった言葉がどれだけ含まれているかどうかということです。

  Radical Storage によれば、このアプローチにより、都市衛生に関してネガティブなイメージを持つ観光地を特定することが可能になるといいます。

 パリはこのリストの中で堂々5位にランクインしており、調査対象となったレビューの28.2%が観光地の衛生問題について言及しています。

 上位3位はブタペスト(37.9%)、ローマ(35.7%)、ラスベガス(31%)となっています。フィレンツェは4位で29.6%、パリはフィレンツェに続いて5位(28.2%)になっているのです。

 つまり、栄えある?1位に輝いたのはブタペストらしいですが、上位5位の都市は全て衛生に関するネガティブなレビューが4分の1という基準を超えています。

 最も人通りの多いエリア(エッフェル塔、モンマルトル、ノートルダム寺院、シャンゼリゼ通り)には、観光客が集中し、日常的なメンテナンスが困難になっていると言われていますが、私の印象としては、むしろ、これらの観光地、特にシャンゼリゼ通りなどは、さすがにいつもきれいにしているな・・というイメージなので、私もずいぶん、ズレているのかもしれません。

 しかしながら、私が思うにパリでもっと汚い場所は、それこそ一般的な観光客があまり訪れない場所や、メトロの駅やホーム、通路、メトロの車内など(これは路線によっても差がありますが・・)の方がよっぽど不衛生で汚いと思っています。

 でも、実際に、このようなコメントが多い以上、それは真摯にパリ市も受け入れるべきであるとは思います。

 一方、よくあることですが、この調査自体に異議を唱える見方をする者もいて、この調査が英語のコメントのみを抜粋しているということで、偏りがあるものであるという声があることも事実です。しかし、言語が何であろうと、汚いと感じる人が多いということには、かわりありません。

 街路の清潔さ、公衆トイレの状態、悪臭、ネズミの存在など、パリの不衛生な面は上げ始めたら、きりがないほどです。

 それでもなぜか、パリの国際的イメージは、華やかで美しいパリであり、そのイメージとのギャップがこのようなネガティブなコメントに繋がっているのかもしれません。

 それにしてもパリ・オリンピック前には、パリジャンたちですら、ビックリするほど、いたるところが清潔にきれいになっていたパリです。やればできるじゃん!と思ったのですが、もう今はすっかり元どおりになっています。


パリ世界で最も汚い観光都市5位


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2025年12月4日木曜日

フランスにはピンクのナンバープレートができる

  


 パリにいると、以前よりは車が少し減ったような印象を受けていますが、それでも、車に関する問題は後を絶たないようです。中でもナンバープレートの問題は数々あり、詐欺や盗難、非正規のナンバープレート使用など、政府はその対策に追われているようです。

 そんな中、今回、仮登録に関する不正行為に対抗するため、新しいピンクのナンバープレートが制定されました。

 対象となる車両は、「本登録前の新車」、「フランスでの登録を待つ海外登録車」、または、「路上試験を受けている専門業者の所有車」です。

 道路安全に関する省庁間代表団は、「仮登録車両をより明確に識別するため」、新しい専用のピンク色のナンバープレートが導入されると発表しています。

 この認識性の高いナンバープレートは、「仮登録車両」に取り付けられます。

 これまでの新車、または輸入車の仮登録ナンバープレートは標準ナンバープレートに似ており、「WW」の文字で始まり、その後に数字と文字が続いていました。一部のドライバーは仮ナンバープレートが別の車両に割り当てられたにもかかわらず、最大4ヶ月の有効期限を超えて仮ナンバープレートを使用し続け、新しい所有者が前の所有者の罰金を課せられるリスクをかかえるハメになっていました。

 内務省は、「この種の犯罪行為は年々増加傾向にある」としており、道路安全省長間代表団によると、「これらの容易に認識できるピンク色のナンバープレートの導入により、路上で仮登録された車両の識別と管理が向上する」としています。

 ピンクのナンバープレートには、これまでの地域識別番号と県番号に代わり、有効期限の月と年が表示されるそうです。

 また、ナンバープレートに関して、さらに頭の痛いことは、ナンバープレートの盗難や偽造複製問題。もう盗難や偽造となると、ピンク色のナンバープレートができたところで、代わりはないと思うのですが、これらの偽造や盗難されたナンバープレート使用によって、様々な道路交通上の違反を本当のナンバープレート保有者に転嫁することができたり、犯罪に車を使用した際などの追跡を逃れることができてしまうのです。

 なんとフランスでは40万枚以上の偽造ナンバープレートが流通していると言われています。

 仮に自分の車のナンバープレートが複製された場合、真の車の所有者は自分の無実を証明するための煩雑な行政手続きが待っているのです。

 もう、あらゆるリスクを考えるなら、車は持たない方がいい・・と思ってしまうのも無理からぬことですが、これは特に自家用車がなくても生活に支障がないほんの一部の都市に限られるわけで、車に関する犯罪とは、常に政府は新しい対策を取り続けることを余儀なくされているのです。

 しかし、このピンク色・・なかなか標識等にこれまで使われていなかったタイプの色で、なんかインパクトあります。


ピンクのナンバープレート


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2025年12月3日水曜日

大晦日のシャンゼリゼのコンサートは安全上の理由から中止

  


 毎年、恒例となっているシャンゼリゼでの年越しには、ここ数年、凱旋門を背景にした大がかりな花火に加えて、コンサートが行われていました。

 個人的には、花火だけで充分じゃない?と思っていましたが、これが本当に安全上の理由からということで、大晦日のシャンゼリゼでのコンサートは中止になったようです。

 これは、パリ警察長官からパリ市長に向けて要請されたもので、パリ市長はこれを受け入れたそうです。

 というのも、昨年の大晦日のコンサートの際には、あまり公にはなっていませんでしたが、過去2年間のこのコンサートにはシャンゼリゼ周辺に100万人以上が集まり、特に、このコンサートが行われていた2時間の間におこった危機的状況は、オリンピックの開催時よりも多かったと言われています。

 まあ、オリンピック時の厳重警戒は、本当にもの凄いレベルのものだったので、比較するのはあまりふさわしくないとは思いますが、ただでさえ年越しのイベントということで、かなり盛り上がっている人々が音楽やダンス、そしてお目当てのアーティストがすぐそこに・・となったらば、ヒートアップするのも当然といえば、当然です。

 パリ検察庁の発表によれば、昨年の大晦日の年越しに関連してパリでは136人の逮捕者が出て、104人が拘束されたと言われています。

 警察側もこの状態では、アーティスト側と観客の安全を守り切れないと判断した模様です。

 しかし、この年末のシャンゼリゼの花火は、年々、派手になり、以前は単に大きな花火が打ち上げられる程度のものだったものが、レーザー光線を使ったり、映像を使った演出がされるようになり、ついには、コンサートまで始まって、そのコンサートはテレビ中継されていました。

 この安全上の理由から中止になったコンサートは、大晦日には事前収録(先日、すでにコンコルド広場で収録済)されたものが大晦日にはテレビで流されるそうです。

 とはいえ、花火だけでも、相当な人が集まることには変わりませんが、そのくらいで、充分なのでは・・と思います。

 考えてみれば、大晦日の年越しイベント+花火+屋外コンサート・・しかもシャンゼリゼ・・どう考えてもリスクは大きすぎるのです。

 シャンゼリゼの400本の街路樹は、すでにライトアップされており、毎日5時には点灯し、平日は午前零時、週末は午前1時に消灯しますが、12月24日と12月31日だけは、夜通し点灯し続けているそうです。

 このシャンゼリゼのイルミネーションは1月4日までということです。


大晦日のシャンゼリゼのコンサート中止


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2025年12月2日火曜日

旅先に届いた訃報で・・

  


 悲しいお知らせは私の旅行中に届きました。

 その時、私は友人とバルセロナを旅行中で、自分たちの旅行のスケジュールなど、どこで何を食べようか?とか、次はどこへ行こうか?とかいうことで頭がいっぱいで、LINEやメールをチェックしていませんでした。

 娘から電話がかかってきたのは、ちょうど遅めのお昼を食べようとバルに入って、食事を始めた時のことでした。娘は私がバルセロナを旅行中なのは知っていたし、それでもわざわざ電話してくるのは、なんか急用があるんだろうな・・くらいの軽い気持ちで電話に出るために、私はバルを出ました。

 すると、「LINEでもメッセージ送ったんだけど、となりの従姉妹(私の)の○○ちゃんからLINEが来て、おばちゃまが亡くなったって・・どうしよう?どうしたらいいのかな?」と。

 あわてて、私もLINEをチェックすると、私にも従姉妹から直に訃報が届いていました。

 とにかく、今日亡くなった・・その日ということで、娘も当惑し、「なんて返信していいかわからない、どうしよう?」というので、「とりあえず、今、家にいるなら、隣の家(従姉妹の家は隣)に行って顔を見て、話した方がいいから、とにかくすぐ行きなさい・・」とだけ言って、とりあえずは電話を切りました。

 そのあとは、食事を中断していたので、バルの中に戻ったのですが、もうなんだかその訃報のことで頭がいっぱいになり、私にもメッセージが来ていたのに知らん顔はできないし、なにしろ、同い年のずっと隣に住んでいる従姉妹です。

 この歳まで、結婚もせず、ず~っと一緒に暮らしてきた母親が亡くなって(介護が大変だとこぼしていたものの・・)、一人になってしまったのです。

 ついひと月くらい前に、とうとう家で立ち上がれなくなってしまった叔母を、なんだか、えらくお金のかかる介護施設(しかし、新設されたばかりのところなので、きれいでスタッフもとても親切だと言っていた)に入れざるを得なくなって、もういくらかかってもいいから、ずっと生きていてほしい・・と言っていたばかりでした。

 私のように日本を出たり入ったりしていた挙句に結局、遠い国に出てしまって離れて暮らしてきた私と違って、ず~っと一緒に暮らしてきた母親を亡くすって、とんでもない喪失感ではないか?と思ったら、なんだかいたたまれなくなったのです。

 また、亡くなってしまった叔母に対しても、さすがに幼少期からずっと隣に住んでいた親戚のおばさんではありますが、従姉妹が同い年ということもあって、ことさら、関わりは深く、また、娘が生まれて日本に帰国するたびに、娘は私の実家に着くや否や、隣の家に、その叔母や私の従妹に会いたくて、すぐに一人でも出かけていく・・そんな感じでもありました。

 性格も明るくて、誰とでもすぐに打ち解けられる温かく、ざっくばらんな人で、どこに行っても、お友達がすぐできて、ずっと通っていたリハビリの施設などでも人気者の存在でした。

 もう年齢も年齢(93歳)なので、さすがにお友達も少しずつ先に旅立たれたりしていて、葬儀はごくごく内輪の家族葬でということになったようです。

 とにかく、私も一言でも直接、従姉妹と話したい・・と思い、もう一度、食事を中断して外に出て、従姉妹に電話。すると、娘はもう従姉妹の側にいる様子でしたが、構わず、その日の様子などを聞き、叔母の話などをしていたら、もう次から次へと色々なことを思い出して、もう私もバルセロナのバルの中庭で電話をしながら、号泣。

 従姉妹も、「もうわざわざ、葬儀のために戻って来たりしなくていいからね・・」と言ってくれ、友人もパリに滞在中ということで、やっぱり帰れないよな・・と思いつつも、なんだかずっとモヤモヤしたままでいました。

 結局、葬儀のためには帰らないことにしたのですが、色々なことが片付いてきて、ホッとして、従姉妹の寂しさが募ってきた頃に帰ろうか・・という言い訳を自分の中で作り出し、自分を納得させました。

 私にしてみれば、もう自分自身の両親は他界してしまっているために、もうこんな思いはすることもないだろうな・・と思っていたのですが、想像以上にショックだったことは、驚きでした。

 海外で暮らしていれば、こうして身内の不幸などの際にすぐにかけつけられないことは承知しているつもりでも、いざ、そういうことが起これば、やっぱりあらためて、ズッシリ思い知らされるのです。

 代わりに娘が日本にいてくれることは、私にとってのせめてもの罪滅ぼしのような気持ちでもあります。

 こういうことがあるたび感じることは、どんな人の最期もやはり突然に感じられることだということです。


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2025年12月1日月曜日

偽の駐車違反切符詐欺にご注意ください

  


 半年くらい前に、リヨンでこの手の詐欺が横行しているために注意してくださいという記事を見た気がしましたが、今度はパリです。

 先週、パリ17区で警察が摘発したこの詐欺は、違反切符が発行されたと伝え、罰金を支払うための偽ウェブサイトにリダイレクトするQRコードをスキャンするように促すというものでした。

 これは多くの人を罠にかける可能性のある詐欺です。

 パリおよびパリ郊外やフランスの他の都市でよく知られている「偽の駐車違反切符」詐欺は手口はシンプルですが、非常に罠にはまりやすい形態をとっています。

 まず、 「フランス共和国」と刻印されたチラシ?に駐車時間制限超過で切符が切られたことを知らせ、QRコードを使って「35ユーロ」の罰金を支払うように促してきます。

 しかし、このコードは偽の政府ウェブサイトにリダイレクトします。「フランス共和国」のロゴと「amendes.gouv.fr」というアドレスが表示されており、公式(オフィシャル)の罰金支払いプラットフォームと見分けがつかないほど精巧にできているため、ホンモノだと思わされてしまいます。

 ここで敵の周到なところは「35ユーロの罰金は2日以内に支払わなければ、135ユーロに増額される」という文面も追記して、急いで支払いをさせようとするところです。

 では、このように公式(オフィシャル)のプラットフォームと見分けがつかない場合はどうしたらよいのか?といえば、とりあえずパリでは解決策はシンプルです。

 パリでは「スキャンカー」(市内を巡回し、ナンバープレートを自動で読み取る車両)の導入により、駐車違反切符はワイパーの下に挟まれるのではなく、車の所有者に直接、郵送されるようになっているそうなので、この手の車両に直接、罰金切符が置かれていることはないのだそうです。

 つまり、このような切符がワイパーの下に挟まれていたとしたら、それは詐欺だということです。

 また、このような通知を郵送で受け取ったとしても、支払いは「https://stationnement.gouv.fr/fps」で行わなければなりません。

 先週、摘発されたパリ17区での駐車違反罰金詐欺については、パリ検察庁の金融犯罪課に委託されたとのことです。

 この手の罰金詐欺に関しては、駐車違反に対する罰金だけではなく、スピード違反等の通知がかなり無尽蔵に送られてきているという話もありますので、充分にご注意ください。

 詐欺にも色々ありますが、警察の名をかたられたり、罰金などと言われると、ついビビってしまいがちではありますが、常に気を抜いてはいけません。


駐車違反切符詐欺


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