2025年1月30日木曜日

バスを突然、降ろされたけど・・

  


 先日、ちょっと買い物に行った帰りにバスに乗っていたら、あるバス停でバスが停まって、乗客が乗り降りし終わったのに、なかなか出発しないなぁ~と思っていたら、運転手さんが、乗客に向かって、「バスに問題が起こりましたので、皆さん、降りて、次に来るバスに乗ってください!次のバスは5分後くらいに来ますから・・」と言われて、バスを降ろされました。

 もう家まで、歩いて帰れないこともなかったけれど、天気も悪くて雨も降っているし、寒いし、調子悪いし、荷物はあるし・・と、私は、おとなしくバスを降りて、次のバスを待っていました。

 日中だったのですが、バスはほぼ満席で、ポツポツと立っている人がいるくらいの感じでけっこうな人が乗っていました。

 うんざりした気持ちでバスを降りて、ふと周囲を見渡すと、みな、おとなしく、怒ることもなく、当然のような顔で静かに次のバスを待っています。急にバスを降ろされても、特に理由を尋ねるでもなく、おとなしく、あたかも通常運転かのごとく、それをふつうに受け入れているところが、すっごくわかるような気もするし、これもフランス人のおもしろいところだな・・などと思いながら、次のバスを待っていました。

 外国から来た私にとっては、一般的には、「何ごとも黙って引き下がらないのがフランス人」みたいな印象もあるのですが、この手のトラブルに対しては、至極、寛容で文句も言わずに静かに受け入れます。

 嫌みな言い方をすれば、こういうトラブルが、そんなに珍しくもない日常茶飯事の一種であることもあると思いますが、こう皆が揃いも揃って、静かにしている光景が不思議な気もします。

 理由も説明せずに、急にバスを降ろされたら、「えっ??なんで??」とか、「なんだよ!」となってもおかしくなく、いわゆるキレる感じの人がいてもおかしくない・・というか、むしろ、一見、おとなしそうな日本の方が、文句を言い出す人がいそうな気もします。

 公共交通機関のストライキの時なども、(こちらの方は・・、)内心、腹立たしい思いをしている人もいるとは思いますが、他の案件(デモなどが起こるときなど)でのフランス人の怒り様を見ていると、こういったトラブルに際しては、仕方ないと抗わないのも不思議なところです。

 まあ、考えてみれば、これも一種の生活の知恵というか、身の処し方なのかもしれず、たびたび起こる自分ではどうすることもできない突然、バスを降ろされたりするトラブルにいちいち、腹を立ててはいられない。余計なことには、エネルギーを使わないというところでしょうか? 

 私自身でさえも、突然、「バスを降りてください」と言われて、「え~~?また?」と思ったものの、そんなフランス人に混ざって、そこまで不安も感じずに、おとなしくバスを待ちながら、周囲の人々があまりに静かに、当然のことのように受け入れていることを興味深く観察していたのでした。


パリの交通トラブル


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2025年1月29日水曜日

モナリザのお引越し ルーブル美術館の新ルネサンス

  


 昨年の来館者数は870万人を超えたというパリ・ルーブル美術館。いつでも行けると思うものの、あまりに巨大で一大決心をしないとなかなか行く気がしないのも現実です。

 実際に行ってみれば、「やっぱりいいな・・また、来よう!」と思うものの、とにかく、広くて、ものすごく歩くので、行った翌日には、ジムに行った後みたいにガックリと疲れが出て、その後はなかなか重い腰があがりません。

 それでも、これだけの来場者数が訪れるということは、パリの人気スポットの一つであることに違いはありませんが、この美術館は、常に混雑と老朽化の問題を抱えているようです。

 長いこと、美術館側は、この問題について、パリ市とともに、解決策を探っていたようですが、ついに先日、マクロン大統領が「ルーブル美術館の新ルネサンス」と題して、美術館の改修工事や料金改定などについての提案を行いました。

 中でも、注目されたのは、ルーブル美術館の中でも最も混雑すると言われる「モナリザ」の絵画の展示について、新しい入口を設け、モナリザを専用の「特別スペース」に移動させること、美術館の他のスペースとは独立してアクセスが可能となり、そのための専用入場券が設定される・・とのことです。

 この新しく設けられるモナリザ専用の「特別スペース」がどんなものなのかがわかりませんが、これは、従来のルーブル美術館の入場券と別料金になるのかどうかは、定かではありません。

 そして、最も聞き捨てならないのは、入場料を外国人(EU圏外からの観光客)には、高く設定するというもので、実際に価格は発表されていませんが、現在の入場料22ユーロよりも、高くなるのは、必須です。

 この美術館の入場料を高いと感じるか否かは、恐らく意見が分かれるところだと思うし、実際の作品数や歴史ある巨大な文化施設としたら、圧倒的に安いのかもしれませんが、外国人観光客には、高額を請求するというやり方はどうかとも思わないでもありません。

 実際にルーブル美術館の来訪者は23%がフランス人、77%が外国人と言われているため、外国人観光客が圧倒的に多いのです。

 この観光客への値上げに関しては、パリ市は、パリ・オリンピックの際の公共交通機関や宿泊施設、観光地といわれる様々な場所に関して、オリンピック期間限定の値上げを行い、その結果、一般観光客からは総スカンをくらい、逆にこの期間は例年よりも観光客数が減少するという失敗もしでかしています。

 まあ、全ての観光客がルーブル美術館へ行くわけでもありませんが、もはや、インフレのために、大変な物価高の中、外国人観光客だけに高い料金を課すというやり方がどのように観光客に受け取られるのかは、微妙なのではないか?それとも、これを機に、他の美術館などの施設等にも反映されてしまうのか? 行方を見守りたいです。とりあえず、この外国人観光客料金は2026年からということなので、もう少し猶予があります。

 しかし、いちいち仰々しく「ルーブル美術館の新ルネサンス!」のようなタイトルを掲げるのは、マクロン大統領らしいというか、政治家というものはそういうものなのかわかりませんが、「こんなことにまで大統領が出てくるの?」とどこにでも前面に登場してくるんだな・・と思わないでもありません。

 それにしても、またまたお金のかかる話。大規模な改修工事は10年間で約7~8億ユーロかかると見積もられており、文化省は、この予備調査に1,000万ユーロを投資すると言われています。


ルーブル美術館 モナリザ引っ越し


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2025年1月28日火曜日

コカ・コーラ ヨーロッパ 次亜塩素酸塩過剰含有で大規模リコール

  


 コカ・コーラ欧州ボトリング(株)は、現在、販売中の製品に次亜塩素酸塩含有量が過剰であるため、欧州で大規模な製品回収を行うと発表しています。

 リコール対象は、コカ・コーラ、スプライト、ファンタ、フューズディー、ミニッツメイド、ナル、ロイヤルブリス、トロピコの缶及びガラス瓶の製品で、昨年11月からフランス、ベルギー、オランダ、イギリス、ドイツ、ルクセンブルクで流通しています。

 具体的には、生産コードが 328 GEから338 GE までの製品に限定されていると説明しており、すでに、この製品(該当コードが記載されている商品)を購入している場合は、販売店に返品して払い戻しを受けることができます。

 フランスでは、このリコールの影響を受けるのは、製造コード 335 GE2 のフューズティー(ピーチ)と製造コード 337 GE1 のコカ・コーラゼロの1ℓ瓶(そんなのあるんだ・・とビックリした!)ということですが、状況を把握した段階で、人口保護局に通報し、これらの製品は倉庫でブロックするように依頼したとのことで、市場に流通している可能性は低いということです。

 しかし、同社によると、「現時点では、フランス当局からの要請やコカ・コーラフランス社からの製品撤去に関する情報は受け取っていない」とのこと。どちらにしても、正直だな・・と思います。

 この(次亜)塩素酸塩というものは、慢性的に摂取すると、ヨウ素の吸収を阻害する可能性があり、1日で大量の(次亜)塩素酸塩を摂取すると、「血液の酸素吸収能力を制限し、腎不全を引き起こす可能性があるため、人体に有害となる可能性がある」ということです。

 この製品中の過剰な(次亜)塩素酸塩の含有は、ベルギーの工場での定期検査中に発見されたもので、EFSA(欧州食品安全機関)によれば、「(次亜)塩素酸塩は、食品加工や食品加工機器の消毒に塩素処理水を使用した後に食品中に存在する可能性がある」とのこと。

 今回、次亜塩素酸塩過剰が発覚した製品の含有量については、正確な量は把握していないが、相当な量であることは明らかだと述べています。

 しかし、同時に推定される最高レベルを考慮しても、1日の総摂取量が全年齢層の消費者に推奨されるレベルを超える可能性は低いと付け加えています。

 いずれにしても、そもそもが、あまり身体に良いとも思えないコカ・コーラなどの甘いソーダ類の飲料、フランス人も大好きなようで、スーパーマーケットなどに行くといつも山積みになっていて、実際に良く売れているのには、いつも首を傾げたくなります。

 日本のようにウーロン茶とか、甘くない清涼飲料水が少ないフランスで、甘くないお茶を売る日が来ないかな~?と、ずっとこっそり思っていました。

 それでも数年に一度くらいは、コーラ(フランスではコカと言います)飲みたいな・・と思うこともまるでないこともないのですが、我が娘に至っては、動物的な勘が鋭いというか、こういったコカ・コーラなどの飲み物は一切、受け付けず、特に好んで飲ませようと思ったこともありませんが、生まれてからこのかた、コカ・コーラを飲んだことは片手で数えるくらいしか?(恐らく、それ以下)ないと思います。


コカ・コーラ大規模リコール 製品回収


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2025年1月27日月曜日

クープ・デュ・モンド・デュ・ラ・パティスリー 日本チームがまた優勝!

  


 1年おき(2年に一度)行われるパティスリーのワールドカップ SIRHA(Salon International Restauration Hotellerie et de l’alimentation)で日本チームが2大会連続優勝するという快挙を成し遂げました。

 「9時間に及ぶ競技?は、接戦となったが、日本は技術で輝いた!」という評を頂いております。

 2位に甘んじた開催国のフランスは、悔しさを隠しきれなかったと書かれていますが、3位にマレーシアがのぼりつめたことは、サプライズだった!とも言われています。

 もはや、このコンクールでの日本の優勝(入賞)は、常連というか、安定した位置を築いている感もあります。

 今回のテーマは「国家遺産」で、日本の作品を見るに、まさに「国家遺産」として日本が海外でアピールし、まさにフランス人の好みを見事に表現した感じでもあり、圧巻でした。

 このコンクールは、ショコラティエ、砂糖菓子(飴細工)職人、アイスクリーム(氷)職人で構成されているチームで、今回の「自国にスポットライトを当てる」という作品で、日本チームの作品は、「赤と白の伝統的な衣装?提灯など、日の出ずる国の色で作られた日本の演劇(歌舞伎)の登場人物を表現していた」と説明されています。



 フランスにとっては、何やら、コンテストの終盤で、センターピースを組み立てる際に周囲の熱によってチョコレートが溶けてしまい、チョコレートが上手くとりつけられずに、割れてしまうというハプニングが起こったようで、悔しさが余計に募るような成り行きだったかもしれません。

 同コンクールの会長を務めるピエール・エルメ氏は、「接戦の中でも本当の違いを生んだのはチョコレートだった」と語っており、また同時に「真の力、真の勝利への意欲」を持ったチームを称賛しました。

 海外にいて、しかもフランス国内で日本人が活躍するニュースはいつでも嬉しいもの、今回のコンクールに優勝した日本チームは、籏 雅典さん(チョコレート)、的場 勇志さん(砂糖菓子(飴細工)、宮崎 龍さん(氷・アイスクリーム)の3人のチームとのこと。

 ありがとう!そして、おめでとうございます!


クープ・デュ・モンド・デュ・ラ・パティスリー日本優勝


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2025年1月26日日曜日

フランスの大学生に朗報 奨学生限定の1ユーロの食事が全学生に拡大

  


 2020年度の初めに導入された奨学生向けの1ユーロの食事が全学生向けに提供されるようにする社会法案が先週の国会で大多数の承認を受け、議決されました。(ただ、これは、完全に決定したわけではなく、この後、上院にて審議される予定です)

 これまで、この1ユーロの食事はCROUS(奨学生)や不安定な家庭の学生に限定されてきましたが、2024年の Ifop(フランス世論研究所)の調査によると、学生の生活状況が悪化しており、36%の学生がお金の不足のために、食事を頻繁に、または時々、抜くと答えており、1ユーロの食事の一般化が必用であると提案されたものです。

 この1ユーロの食事は、新型コロナウィルスのパンデミック直後に始まったもので、当時、まだ学生であった娘は、奨学金の援助を受けていたため、この1ユーロの食事にも時々、お世話になっていたようです。

 もとより、このフランスの奨学生制度などについては、ほぼ私は、知識がなく、そもそも、娘には、過度な期待は絶対しないことを肝に銘じていて、「勉強が好きではなかったら、ムリして大学に行かなくてもいいし、勉強したいことがあるなら行けばいいくらいの感じで、でも、大学に行かないなら、ふらふらしていないで、すぐに働いてもらいます」と宣言していました。

 そんな風にあんまり期待しない親に対して、娘は「大学くらい、行かないわけないでしょ!」と言い放ち、大学どころか、プレパーからグランゼコールへと進んだのでした。

 我が家は母子家庭だったので、頼りにならない母はあてにせず、娘はさっさと奨学金援助の手続きをし、国から学費や生活費の一部や住宅補助などをしっかり受け取り、高等教育機関においては、私は、彼女の食費くらいしか、払う必要はありませんでした。フランスの国の制度としての奨学金は、借金ではないので、後に日本の学生の奨学金の借金を就職後、延々と返す話を聞いて仰天した次第です。

 そんなわけなので、彼女はしっかり、決して裕福ではない家庭環境の中でも、しっかりと国の援助を受けて高等教育を受けることができたのです。

 この奨学生のための1ユーロの食事のサービスが始まったのは、彼女がグランゼコール在学中のことです。最初の2年くらいは、ボルドーで生活していたのですが、その後、在学中とはいえ、ほぼほぼスタージュというかたちになっていたので、パリに戻って、我が家からスタージュ先に通ったりもしていました。

 スタージュなので、学生でありながら、少額ではあるものの、いくらかの給与が出るようになっていたのですが、その時などは、我が家から通っていたので、うちからお弁当を持って行ってもよかったものの、当時の職場の近くにこのCROUS(クルス)の食堂があるとかで、メニューによっては、(彼女の最大のネックはフランス料理があまり好きではないこと)今日は良さそうなメニューだから1ユーロの食事にする・・などと、お世話になっていたこともありました。

 なにせ、1ユーロ!、今どき、バゲット1本でさえも1ユーロでは買えないのですから、学生にとってはとてもありがたいものです。簡単なサラダなどの前菜に、パスタなどのメインに果物やヨーグルトなどの簡単なデザートがつくようです。

 高等教育省によると、2023年~2024年にかけて、50万人以上の学生(フランスの学生約300万人中)がこの1ユーロの食事の恩恵を受けたそうで、これは、奨学金受給者の2人に1人相当し、2,380万食が提供されたことになります。

 このサービスが提供されるのは、大学のキャンティーンや地域大学・学校活動センターなのだそうで、このような場所のない地方などの場合は、提供のしようがなく、この恩恵を受けられない場所もあるそうです。

 この措置にかかる費用は、年間9,000万ユーロと見積もられているようですが、いずれにしても、あくまでも娘から聞く話によれば、フランスの若い学生たちは、ロクなものを食べていないし、料理もしない・・とか・・そして、想像以上にお金のない学生は多く、このような具体的な援助は、とってもありがたいものなのではないか?と思うのです。


学生向けの1ユーロの食事


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2025年1月25日土曜日

麻薬密売人専用の厳重警備刑務所と刑務所警察部隊創設

  


 ジェラルド・ダルマナン法相は、今年7月31日に「麻薬密売人専用の厳重警備刑務所」を開設し、2026年には、「刑務所警察部隊」を創設し、刑務所行政をフランスの第三の国内治安部隊にすることを発表しています。

 現在、フランスの刑務所には、麻薬密売や組織犯罪の容疑で1万7,000人が拘留されていると言われています。

 この麻薬密売や組織犯罪(その多くは両方に関わっている)に関する服役囚がいわゆる塀の外での新たな犯罪を指揮しているような事件が多発している事例が増加していることによると思われます。

 そこまでフランスで起こっている全ての事件に目を光らせているわけでもない私でも、そう言われれば、いくつかの事件が思い浮かぶほどなので、実際に起こっている事件は、恐らく想像以上に多い事象なのではないかと思います。

 ダルマナン法相の発表によると、この最も危険な麻薬密売人100人を収容する厳重警備刑務所は、「携帯電話や麻薬等の薬物の配達、脅迫が絶対に不可能な不可侵の拘留場所」になるということなのですが、逆に、この厳重警備刑務所ではない場合、これら(携帯電話や麻薬等の薬物の配達、脅迫)が可能であるというわけでそちらの事実の方が驚きです。

 実際に、昨年、起こった囚人護送中の護送車の襲撃事件・囚人逃亡事件や、麻薬密売のボスが刑務所の中から、抗争相手の襲撃の実行する少年をSNSで募集して、実行させて失敗して、別の人間を殺害してしまい、失敗した場合は、雇い主である刑務所に拘留中である囚人が警察に通報して売るような、もう警察、刑務所を舐め切っているような事件が起こった際に、彼らがいかに刑務所内で自由に携帯電話を使い、やりたい放題の生活を行っていたかが暴露されたりもしていました。

 また、この刑務所内での携帯電話に関しては、刑務官5人が金銭目的で服役囚に届けていたことが発覚してこの刑務官5人が逮捕されるというさらに別の驚きの事件もありました。

 そもそも、フランスの刑務所は、狭き門?で、生半可なことでは入れないのがふつうで、おにぎり1個を盗んで逮捕される(実際に刑務所に入るには、累犯の場合だそうですが)日本とは違うので、刑務所に入る時点でかなりの凶悪犯であるような気がします。

 なので・・というのも妙なのですが、刑務官が囚人たちを管理するハードルは高く、なにかといえば、刑務所内でも人権などを主張するフランスで、「ほとんどの人間が立ち入る勇気がない刑務所内エリアで凶悪犯に電子ブレスレットを装着するSPIP(刑務所統合保護観察サービス)の勇敢な職員を支援する!」などと大臣が呼び掛けるように、ほぼほぼ、この空間、ほとんど猛獣使いのようなスキルが求められる感じでもあります。

 そんな中でも特に選りすぐりの危険な麻薬密売人だけを収監する刑務所となれば、これまでのフランスでは考えられない厳重なものにせざるを得ないと思いますが、一方では、同種の犯罪者だけを一か所に収監することで、逆にこれらの人々をグループ化し、情報交換、犯罪組織拡大の一端を担う圧力釜のような機能が生まれるのではないか?と懸念する声も上がっています。

 しかし、逮捕しても、刑務所内から、新しい犯罪を指揮、組織される現状を放置するわけにはいかないわけで、なんとかこの現状を打破していくことが必須なわけです。

 ダルマナン法相は、今後2年間でさらに2つの刑務所施設を創設し、刑務所情報部が麻薬密売で特に危険だと指定した600人以上の人々を同じ施設に収容できるようにすることも同時に発表しています。


麻薬密売人専用の厳重警備刑務所


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2025年1月24日金曜日

エシレバターもいろいろ苦労している・・

  


 日本に行くときのお土産で最も喜ばれるもの(私の周辺では・・)は、バターやチーズなどの乳製品が多いのですが、チーズなどは、人それぞれにお好みがあって、だいたい、わかっている範囲でお好みのものを買っていくのですが、バターに関しては、やっぱりエシレバターが一番、日本では知名度が高いようで、これまで、いつもいつもエシレバターというのも能がないかな?と「ボルディエ(Bordier)」とか、「オー・ボン・ブール(Au Bon Beurre」などのバターを買っていったこともありましたが、やっぱり、一周回って、エシレバターという感じなのか? 今年のご要望には、エシレバターが復活しています。

 色々なバターを食べてみると、さすがに日本で流行る?だけあって、一番、日本人の味覚には、あっているかも?と個人的には、思います。

 フランスの高級バター?の中では、比較的、手に入りやすいこともあって、買っていくには、便利なのですが、これがけっこう、場所によっては、値段が違うので、実際に買う前に、他の買い物のついでに、ちょこちょこと下見していたら、妙なことを発見しました。

 まず、ギャラリーラファイエットグルメは、色々な美味しいものが一か所で買い物できる面では便利なのですが、高いです。まあ、バター1個の値段の差なら、大したことはないといえば、ないのですが、数もけっこういるとなると、ちょっと差がでてくるケチ根性が働いて、「同じものを高い値段で買うことないな・・」と思ってしまうのです。

 ボン・マルシェのグルメ館にもたいていの高級バターが揃っていますが、こちらは、ラファイエットグルメよりも若干、良心的なお値段です。

 私の知る限りでは、MONOPRIX(パリにあるチェーン展開のスーパーマーケット)が一番、安い(といっても安くはないけど・・)ようです。これまた、MONOPRIXも商品によっては、場所によって価格が違ったりするので、一概には言えません・・が、私の知る限りでは、だいたいどこのMONOPRIXでも同じ感じです。ただし、エシレバターをおいていなモノプリもあります。

 エシレバターには、大小2つのサイズのものと、なんだか、小さめのこぶし程度の大きさのパニエ入りのものがあるのですが、ここのところのインフレでエシレバターはこの小さいサイズのバターを125gから100gに変更していて、これを最初に見つけたときには、「ちっちゃ!」とびっくりしました。

 最近、エシレバターのパッケージが(大小ともに)変わって、これって大きさをカモフラージュするためなのかしら?と思っていたら、まさにそのとおりだったようで、大きい方のパッケージも250gから200gになっていました。

 なので、値上がりが目立たない感じになっています。

 ところが、これまでどおりの250gのパッケージのものも、あるところには、まだあって、その代わりといってはなんですが、これまで以上に高価格になっている正当性を主張するかのごとく、AOP(原産地統制呼称保護・平たく言えば、食品によって細かな規準のある品質保証)が強調されて、メダルのようなものがつけられていて、エシレバターも苦労しているんだな~と思いました。


 そもそも、エシレバターは、日本ではかなり有名みたいで、「エシレ」のお店まであるようですが、フランスでは、けっこう知らない人も多いくらいで、だいたい、どこのスーパーマーケットでも買えるというポピュラーなものではないし、ましてや、パリに「エシレ」のお店は私の知る限りありません。

 それでも、観光客が多いギャラリーラファイエットグルメやボン・マルシェなどのバター売り場などを覗いて見ると、けっこうな人だかりができたりしているので、フランスからのお土産には、人気の商品で、なかなかよく売れているようです。

 だったら、バターとしては、規格外の100gや200gのサイズを敢えて作らなくとも、多少値段はあがっても、「エシレ様」として、堂々として君臨していればよいのに・・と思わないではありませんが、このエシレ様でさえも、このインフレでのあまりの価格高騰に恐れをなしているこの対応に、逆に涙ぐましい気もしてしまうのです。

 現在では、逆にふつうのバターサイズ250gのエシレ様を見つける方が難しくなっています。


エシレバター


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